【夏の思い出】流れる数多の星に祈りを(木乃 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

もうすぐ、7月も終わり。
暑さは日増しに高まり、素肌にじんわりと汗が滴る。
しかし、それは日中でのお話。

ゴールドビーチの海岸沿い、ムーングロウ――――通称・月明かりの散歩道では
涼しい潮風を感じながら夏を満喫することができる。
しかし、この散歩道での醍醐味はその名が表すように夜の風景にある。

月光を浴びるとぼんやりと光る道。
その道は月の満ち欠けで変化し、翌日の夜になると違う道になるという一夜限りの散歩道でもある。

そして、今年は一足早く流星群がムーングロウで観ることが出来るというニュースが流れた。
足元には月明かりで光る道、空には流れる数多の星々、そして自分の隣には……
花火とはまた一味違う、夜の風物詩・流星群。

ミラクル・トラベル・カンパニーから、『より流星群が楽しめるよう』にと双眼鏡の貸し出しも行われている。
流れ星にどんな願いをかけようか?
パートナーはどんな願いをかけるのだろうか?
……もしかしたら、同じ願いをかけているのかな?

お互いの願い事を打ち明けるのも、お互いの胸に秘めるのもそれぞれの在り方。
しかし、何かに祈りを捧げて叶えたいと思うのも人のサガ。

ウィンクルム達はそれぞれの『想い』を胸に秘めて、ムーングロウへと足を運ぶのだった。

解説

目的:
ゴールドビーチの海岸沿い・ムーングロウへ流星群を観に行こう

ムーングロウ:
ヤシの林の中にある散歩コース。
夜の間は月が出ていると道がぼんやりと光ります。
今回は流星群の影響もあるのか、いつもより道が多いようです。
散歩するもよし、道の端に座って眺めるのもよし。

ミラクル・トラベル・カンパニー:
より流星群を楽しめるようにと以下の物を用意しています。
全て有料になります(重要)

・双眼鏡 2個で100Jr
・ドリンク 1つ100Jr
・レジャーシート 150Jr
・夜食(サンドウィッチorおにぎりのどちらか) 150Jr

注意事項:
いつもより道が増えています。《必ずパートナーと一緒に行動しましょう》
迷子になっても見つけられず流星群を楽しめません!
もし、迷子になりそうな場合は対策をきちんとプランに練りこんでおきましょう。

ゲームマスターより

今の時期だと田舎は満天の星が見られます、木乃です。

今回は流星群をパートナーと見に行くエピソードとなります。
【注意事項があるので必ず確認しましょう】
お互いが心配になり、楽しい時間が過ごせなくなります。

それでは皆様のご参加をお待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

木之下若葉(アクア・グレイ)

  「星を見に行こうか」

双眼鏡とレジャーシートを借りてムーングロウへ

おや。いつもより道が増えてるのか
あ。なら手を繋いで行く?それならきっと迷子にはならないよ

手を繋いで立ち止まって空を見上げ息を飲む
たまに双眼鏡を使って覗き込んだりもして
…これは夜更しの甲斐があるってものだね

ん?どうしたの
ああ、確かに首が疲れるよね
座っても見上げるのには変わり無いし
ならどうしよう
誰も見て無いしちょっと仰向けに寝転がっちゃう?

レジャーシートを大きく敷いて背中を地面に倒す
そのまま上を見れば天蓋のように広がる星、星、星
手を伸ばしたら触れられそう
なーんて、思って手を伸ばしてみたり

ん、アクア。俺の手を捕まえても良い事なんて無いよ



羽瀬川 千代(ラセルタ=ブラドッツ)
  迷子防止に懐中電灯を持参

潮風が気持ちいいね。今日も昼間は暑かったし
確かに静かで明りも無くて、流星群が良く見える
俺の願い事は『残りの夏も二人で満喫出来ますように』

ふと流星群を映す相手の青い瞳に目を奪われ
まるで彫刻みたいだ。口を開くといつも通りだけれど

急に暗くなる視界に電池が切れたと気付く
いけない、こんな所に置いていかれたら迷子になる…!
ぼんやり見える後姿に慌てて呼び掛け
すぐ傍で感じる息遣いに気恥ずかしさを感じて視線を逸らす
かろうじて呟いた謝罪は上手く言えている、かな

不思議とまだ帰ろうという気にはなれなくて
握られた手にそっと力を込め返す
……ラセルタさん、もう少しだけ流星群を見ていってもいい?



セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
  月光でぼんやり浮かび上がる道か。
実際目の前にすると思ったより幻想的だ!
「迷子に注意って事だからさ、手を繋いで行こうぜ」
と提案。いや、良い注意事項だ。企画の人グッジョブ。
手を繋ぐいい口実に出来るからな。
本当に迷子にならないように気をつけるぜ。

流星群を見るのに双眼鏡を借りる。
ラキアと手をつないだまま空ばかり見てたらラキアが時々手を引っ張ってくれる。

流星が幾つも流れてスゲーよ。
何だか俺「スゲー」ばかり言っている。
口あけて見てたら、喉乾いた。
お、ラキア準備いいじゃん!(感動)
シートに寝転り流星観察。
流星に
『ラキアと一緒にこんな穏やかで幸せな時間が沢山過ごせますように』
と願っておこう。今回は内緒にする。


瑪瑙 瑠璃(瑪瑙 珊瑚)
  ■心情
一度でいいから流星群を見たい
今回は、絶好の機会かもしれないからな
だから珊瑚、お前も付き合ってほしい
退屈はさせないつもりだから

■はぐれた時の対策
道を歩く前に携帯電話でお互い連絡が取れるか珊瑚と確認
取れないならフェイク着信で音を鳴らし、自分の存在を知らせる

■行動
対策の確認ができたら双眼鏡とレジャーシートをナップザックに入れて出発
珊瑚はソワソワしてるし、これも何かの機会だ
歩いた道をメモしながら
珊瑚と星の話をして少し盛り上げよう
(天文学スキル、会話術スキル使用)

■到着時
レジャーシートを敷いて流星群を観る準備をしよう
おれは立ったまま観る
珊瑚、流星群を見る前に寝ていたら、肩を揺さぶって起こすからな?



シルヴィオ(ジークベルト)
  本当に道が光っているとは…見事な光景だな
とはいえ足下には気をつけろよ?
いや、そのあたりの心配は必要ないか。シノビだったな

仕事ばかりじゃなく、たまにはこういうのもいいだろう?
ジークは堅苦しすぎる
ほら、双眼鏡を借りてきたからお前も座って覗いてみるといい
まあそう言うな。こういうのは雰囲気を楽しむものだぞ?

あぁ、そうだ。せっかくこれだけの流れ星が見られるんだから
何か願いをかけない手はないな
信じているのかって?どうだかな
自分がそんなことを願っていたのかと自覚するにはいい機会なんじゃないか?
頭に自然に浮かんできたことを星に願えばいい
俺の願いは…秘密にしておく
おそらくジークには、まだわからないことだろうさ


◆空から星が零れる日
「こんばんは、いい夜ですね」
流星群の日、夜色のジャケットを身に纏うカンパニー社員が笑みを浮かべて声をかけてきた。
手にはかろうじて手元が見えるほどの必要最低限の明るさに調節されたランタン。
「明るい光や、大きな音は鑑賞されている方が集中できませんので……今日は空に雲ひとつありません。観測には最高の状態です」
それでは空から溢れる星々をご堪能ください、と入口まで案内してくれた社員は手を振って見送った。

◆無意識の願い
「本当に道が光っているとは……見事な光景だな」
シルヴィオはムーングロウのぼんやりとした淡い光を放つ道を見て、思わず感嘆の息をつく。
「とはいえ、足下には気をつけろよ?」
そう言った相手はパートナーのジークベルト。
「うむ」
気を遣ってもらった体面もあるので返事したジークベルトだが、実はジークベルトもシルヴィオが転ばないか心配して細心の注意を払っていた。
とはいえシルヴィオにはそれを知る術もない。
(ジークベルトはその辺りの心配は必要ないか、シノビだしな)
シルヴィオはそのままジークベルトと共にムーングロウを歩き始める。

ヤシの林を歩いていると、ゴールドビーチから吹き抜ける涼しい潮風が髪を揺らす。
空には既に満天の星が見えており、流星群はもうすぐ流れ始めそうだ。
「仕事ばかりじゃなく、たまにはこういうのもいいだろう?」
シルヴィオの1歩後ろを歩くジークベルトに顔を向け、その様子に僅かに顔を顰める。
「……ジークは堅苦しすぎる」
「堅苦しい?そうだろうか」
ジークベルトは不思議そうに見つめる、どうやら彼にとってはこれが『平常』のようだ。
「ああ、堅苦しい。こんなに星の綺麗な夜、流星群を見に来たというのにまるで護衛をするかのような振る舞いだ」
「性分だ、この歳になってはもう治らん」
シルヴィオの苦言にも意に介さないジークベルトだが、シルヴィオの発言を受けて隣を歩き始める。
そのまま歩を進めていくと、ゴールドビーチに少し開けた砂浜が見えてきた。

「ほら、双眼鏡を借りてきたからお前も覗いてみるといい」
「……これだけ見晴らしが良ければ、必要ないと思うが」
「まあそう言うな、こういうのは雰囲気を楽しむものだぞ?」
シルヴィオはこっそり借りてきた2台の双眼鏡のうち1台をジークベルトに渡すと、早速双眼鏡で星空を眺め始める。
空には一瞬、白い直線が走ったと思うとまた直線が走り始める。流星群が流れ始めたのだ。
「お前がそういうのなら使うとしよう、わざわざ借りてきてくれたのだしな」
シルヴィは一度言い出すと曲げないからな、とジークベルトも隣に立って双眼鏡で星空を眺め始める。
観測していると流星の流れる速さは間隔を狭くしていき流れる量も増えてきた。

「あぁ、そうだ。せっかくこれだけの流れ星が見られるのだから何か願いをかけない手はないな」
「願い?子供っぽいな……まさか、そんな迷信を信じているのか?」
ジークベルトの一言にシルヴィオは不快な顔をせず、言葉に対してどういった答えを返そうかと思案しながら双眼鏡を下ろす。
「そうだな……自分がそんなことを願っていたのか、と自覚するにはいい機会なんじゃないか?」
ジークはあまり考えたこともなさそうだが、ホントにないのか?とシルヴィオは問いかける。

「……俺の、願い……」
自分に問いかけるように呟いたジークベルトはゆっくりと目を瞑り逡巡する。
瞼の裏によぎるのは見覚えのある背中……いつも見ている自分のそれと変わりない、広い背中。
そしてワックスで整えられた灰色がかった白い髪。うなじから覗く血色の良い肌。
(これが、俺の願い……?)
同じようにゆっくりと静かに瞼を開くジークベルトを見てシルヴィオは口角を上げる。
「今、頭に自然に浮かんできたことを星に願えばいい。俺の願いは……秘密にしておく」
「……お前が秘密にするというのなら、俺も言わんぞ」
全く、食えない男だなと独りごちるジークベルトは再び夜空に目を向ける。

(おそらくジークには、まだ解らないだろうさ)

◆夜空で掴めるモノ
「星を見に行こうか」
たまたまニュースを見ていた木之下若葉は唐突にアクア・グレイをムーングロウでの流星観測に誘った。
突然の誘いに最初はキョトンとしていたアクアも徐々に瞳を輝かせていく。
「行きたいですっ!」
元気よく快諾した興奮気味のアクアを見て(元気だなぁ)と思いつつ頭を撫でる若葉。
それが2人のムーングロウへ来る数日前の出来事である。

***
入り口付近で貸し出されていた双眼鏡とレジャーシートを抱えてムーングロウを歩き始める若葉とアクア。
ご飯は出てくる前に食べてきたので、持ち物はなるべくコンパクトに。

「おや、いつもより道が増えているのか」
ふと気がついた若葉がポツリと呟く、目の前には3本の分かれ道。
道が薄明かりを灯しているとはいえ、フラフラと彷徨いてしまうと再び合流するには入口まで戻らなければ難しいだろう。
「……そうか、手を繋いでいけば良いよね」
それなら迷子にならないから、と若葉は無表情でそっと手を差し出す。
「ふふっ、ワカバさんが迷子になったら大変ですから」
アクアは冗談めかしに差し出された若葉の手を握る、伝わってくる手の温もりに『ちょっと役得ですね』と嬉しそうに笑みを浮かべる。
アクアの嬉しそうな様子に、思わず若葉の口元に微笑が浮かびそのまま薄明かりの道を歩るいていった。

数分後、道を進んでいくと人影はほとんど感じられなくなってきた。
とある地点まで来ると人工物の光もなくなり、星空が鮮明に目に映る。
「うわぁ……!」
ふと空を見上げたアクアが眼前に広がる星の海に思わず息を呑む。
手を繋いでいた若葉も、立ち止まったアクアの様子につられて空を見上げ目を見開く。
「……これは、夜更しの甲斐があるってものだね」
爛々と目を輝かせるアクアに対して若葉の反応は淡白そうに見えるが、その言葉の端々からは同じように感動していることが伺える。
星空を見上げて立ち尽くす若葉とアクアの目の前でひとつの星が大きく動き出す。
いよいよ星が、流れだしたのだ。

(一体、どれだけの願いを身に受けながら流れているんでしょう)
アクアはふと若葉に視線を向ける、若葉がどんな願いを持っているのか……アクアにはとても気になる内容だ。
視線に気がついた若葉がアクアに目を向ける。
「ん?……ああ、確かに上ばかり見ていたら首が疲れるよね」
アクアの素朴な疑問を汲み取れなかった若葉は辺りを見回し、レジャーシートを道の端に広げる。
「誰も見て無いし、ちょっと仰向けに寝転がっちゃう?」
こうすれば首も痛くないよ、と付け加えて若葉はレジャーシートの上に寝転がる。
「えへへ、じゃあ隣に失礼しますね」
少し気恥かしさを感じながら、アクアも若葉の隣に寝転がる。
アクアが寝転がって星空を見上げると、若葉はもう一度空へと目を向ける。

眼前に広がる星の海は音もなく星を流している。
(手を伸ばしたら触れられそうだ)
不意にそう思った若葉は目を細め空へ向かって手を伸ばす、指の隙間から流星が窺える。
(星にはやっぱり届かない、よね)
――――若葉が自身の手を見つめていた、その時。
隣からそっと伸ばされる、小さな手。若葉が星を掴もうとするようにその手はギュッと若葉の手を掴む。
「流れ星、捕まえました」
「俺の手は流れ星じゃないんだけど……それに、俺の手を捕まえても良い事なんて無いよ」
無邪気に笑みを浮かべるアクアに若葉は諭すように目を細める。
「そ、そんな事ないですっ!……そんな事ないですから、いい事ないなんて言わないで下さい」
若葉の一言にアクアは笑顔を引っ込めて慌てて否定する、間をおいて精一杯の気持ちを言葉にのせる。
「ごめんね、代わりにもう少しだけこうしてていいかな」
「はい」

(僕は……今はこれだけで、十分嬉しいんです。願い事は、まだ願わなくとも)

◆星夜の温もり
「うーん、他の人の気が散っちゃうのか……」
羽瀬川 千代は出発前、懐中電灯を点けたところカンパニー社員から
『灯りで集中できないと過去にいざこざがあったので、懐中電灯は敢えて用意しなかった』と教えられ懐中電灯をバッグにしまっていた。
「下ばかり向いている訳でもあるまい、それに多少暗い方が星は見える」
ラセルタ=ブラドッツは落ち込み気味の千代に声をかける、その言葉は微かに気遣いを滲ませる。
「あは、それもそうだね」
ラセルタの気遣いに気付いた千代は思わず微笑む。

ムーングロウを歩き続け2人は奥まで来たのだろうか、ヤシの林が深い所まで来ていた。
月明かりを受ける範囲が狭いからか夜の闇が際立つ。
おかげで流星の煌きが一段と強く感じられヤシの葉を揺らす潮風の心地よさも増す。
「潮風が気持ちいいね。静かで明りも無くて流星群が良く見える」
「ああ、千代は願いを流星にかけたのか?」
「うん、残りの夏も二人で満喫出来ますようにってお願いしたよ」
千代にとってはラセルタと過ごす初めての夏、だからこそ叶えたい。
「ラセルタさんは?」
「俺様は星に願う習慣などない……だが、流星群は美しいものだな」
ふ、と微笑みながら星空を見上げるラセルタ。

千代はラセルタの穏やかな表情、流星群が映る青い瞳に思わず目を奪われた。
(まるで、彫刻みたい)
ぼんやりしている千代に気づいたラセルタは視線を向ける。
「千代、口が阿呆のように開いている」
「え!?」
冗談めかしに指摘するラセルタはおかしそうに笑みを浮かべ、千代は顔を赤くしながら口元を両手で隠す。
「折角だ、もう少し先も見てみるか」
上機嫌なラセルタは早足でムーングロウの先へと歩を進めていく。
(まさか、見惚れてた?)
俯いたまま困惑していた千代は、足元の光が徐々に弱まっていることに気づいた。
「え?」
空を見上げると、ルーメンとデネブラにうっすらと雲がかかっていた。
『ムーングロウは月明かりを帯びている時だけ、道がぼんやりと光る』と、思い出した千代は慌てて先行したラセルタを追いかけようとする。
「いけない、こんな所に置いていかれたら……」
迷子になる。そう思ったときには周囲は一時の闇に飲まれていた。

「……千代?」
ふと、ラセルタが振り返ると―――千代の姿が見えない。
『……!』
遠くから押し寄せる『不安』は共鳴し、ラセルタを言いようの知れない衝動で突き動かすには充分過ぎた。

***
(もう、遠くに行っちゃったのかな)
暗闇の中、千代は少しずつ前へと歩を進めていた。少しでもラセルタの傍に近づきたい一心で。
(ラセルタさん……)
心の中で強く自身のパートナーの姿を思い描き手を伸ばす、その刹那――――千代の手を、何者かが掴んだ。
「!?」
「……千代だな?」
空を覆っていた雲が徐々に晴れていくと、目の前には己の手を掴むラセルタの姿。
ラセルタは千代の顔を確認すると珍しく深い溜息を吐く。
「馬鹿者」
厳しい口調とは裏腹に千代の両手を強く握り締めるラセルタ、伝わる力強さと温もりに千代の鼓動は早鐘を打つ。
「ご、ごめん」
間近に感じる息遣い、気恥かしさ、感じたことのない『胸の高鳴り』に戸惑いを感じて思わず目をそらす千代。

「まあ良い、予定より早いが戻るとしようか……迷子対策もな」
片方の手を離すとラセルタは手を引くように元来た道を戻ろうとするが、繋いでいた手は咄嗟に強く握られ制止しようとする。
「……ラセルタさん、もう少しだけ流星群を見ていってもいい?」
まだ帰りたくないと、遠回しに伝えてきた千代の言葉に一瞬目を見開くラセルタ。
しかし、そんな千代の『願い』を聞いたラセルタはにやりと口角を釣り上げる。
「いいだろう。今宵は俺様の夜明かしに付き合わせてやる」

(千代の願い、叶えてやらねばな)

◆お兄さんは心配性
流星観測にはやや物々しい用意をしていた2人組が混じっていた。
「携帯はマナーモードで……まぁ、落ち着いて見れないもんな」
瑪瑙 瑠璃は先ほどのひと悶着を思い出す。

瑠璃と瑪瑙 珊瑚の2人は迷子対策に『携帯電話の音で互いの存在を知らせよう』と相談していた。
出発前に連絡が取れるか試しに着信音を鳴らした瞬間、カンパニー社員が慌てて瑠璃達の元にやってきた。
『静かに見たい方も多いので、携帯電話はマナーモードにして下さいね』
実際、居合わせた観光客数人が冷ややかな視線を向けていた。
珊瑚は「ぬーんちさ!」と不満そうだったが、瑠璃は向けられた視線の意味を理解して2台の携帯電話をマナーモードにするのであった。

***
「はぁ、仕方なかね」
瑠璃は内心、酷い目に遭ったと思いつつ溜息混じりに呟く。一方の珊瑚は……
「ふしがらんフシやっさー!」
既に気持ちを切り替えているのか、空に広がる星の海を見上げて興奮気味。
気持ちは既に夜空に浮かぶ星がいつ流星に変わるかに関心が移っていた。

「瑠璃!早く行――」
「……」
瑠璃は横目で珊瑚を見つめる、無言の圧力に気圧された珊瑚が押し黙る。
「……ちゃーならんな、マジュン付き合ってやるよ」
「それでいい」
声量はなんとか抑えられた珊瑚だったが、そわそわとした様子は変わらず。
(これもいい機会か)
瑠璃は借りたレジャーシートと双眼鏡をバッグに詰め込んで、2人でムーングロウへと足を踏み入れた。

2人は周囲を警戒(?)しながら歩いていくと小さな入り江のある道に出ていた。
「あ、いばさん入り江さぁ」
「見晴らしもいいし、ここで見るか?」
「上等!アンサミ」
珊瑚は入江に向かって駆け出していく、瑠璃も来た道をメモにしたためて後を追うようについて行く。
入り江は人影がなく、両脇を崖で囲まれていた。
流星を見るのに邪魔になるほどではなく、正面をちょうどフレームで囲った額縁のようないい塩梅にある。
流星は既に流れ始めており、夜空をいくつもの星が流れ落ちていた。
「ああ……チュラヌフシすらやっさー」
いつもは元気一杯に騒いでいる珊瑚も思わず景色に見とれている。
「珊瑚、シートを借りてきたから使うといいべや」
瑠璃は借りてきたレジャーシートを砂浜の上に敷く、砂はサラサラと乾いており踏みしめるごとにキュッキュと音がする。
「にふぇーでーびる、わんもメェー買ってきたからマジュン食べようぜ」
嬉々として瑠璃の用意したレジャーシートに座る珊瑚は同じくバッグの中から先ほど買っておいたサンドウィッチとコーラ、ラムネを取り出した。
この蒸し暑い季節、そのまま持ち歩いてしまうと温くなるので保冷バッグに保冷剤を詰めて用意してくれたそうだ。

だが、用意した瑠璃に座る様子が見られない。
「いちゃし?瑠璃や座らねーらんぬかみ?」
「俺は立って見るから気にしなくていいぞ」
「なに言ってんださい、立ったまんまサンドウィッチかめーいたらうかーさいやっさーろ!」
珊瑚は瑠璃の服の裾をグイグイ引っ張って座らせる。
珊瑚の勢いに押されて瑠璃が隣に腰を下ろすと、珊瑚がサンドウィッチを1つ手渡しもう1つを食べ始める。
「瑠璃、アリってぬー億年もメーぬ輝きぬーがろみ?」
珊瑚は目を輝かせて星空を指差す、音もなく流れ落ちる流星が視界にいくつも入る。
「んだ、まぁ、んだな」
「つまり、わったーが生まりゆんちゃーメーから輝いちょるんやっさーし、間近で観らりゆんなら、ラッキーじゃねぇかみ?」
「……悪い、解説してくれ」
要は数億年、数光年先の光をこんな間近で見られることは実に幸運だと言いたかったようだ。
「ふ、意外とロマンチストだな」
瑠璃と珊瑚は流星や星座の話をして穏やかな時間を過ごしていった。

(迷子対策は少し考えすぎだったべな、いつも一緒なんだしなんもさ)

◆幸運な口実
「迷子に注意って事だからさ、手を繋いで行こうぜ?」
セイリュー・グラシアはラキア・ジェイドバインにサッと手を差し出す。
『いや、良い注意事項だ。企画の人グッジョブ。手を繋ぐいい口実に出来るからな!』
そんなちょっとした下心もありつつ、ラキアの反応を嬉々揚々と伺っている。
(ふふ……迷子になりそうなのはむしろセイリューの方だよ、顔に書いてあるって言ったら怒られちゃうかな)
内心ではセイリューの本音を察しつつ「いいよ」と返してセイリューの手を握るラキア。
ラキアの反対の手にはレジャーシートと飲み物が1つ、しかしこの飲み物は自分用ではなくセイリューの行動を先読みして用意したものだ。
「折角だし見晴らしのいいところ行こうぜ」
「そうだね、潮風も穏やかだし岬の方まで行ってみようか」

セイリューとラキアはムーングロウの端を目指して歩くことにした。
「それにしても月光でぼんやり浮かび上がる道か、実際目の前にすると思ったより幻想的だ!」
足元をうっすらと照らす道に従って歩きながらセイリューは珍しそうに先の道を眺める。
いつもより道が多いせいか、絡まった蔦のように道は伸びている。
「セイリュー、流星が出始めたよ」
ラキアはふと空を見ると夜空に流れる白い直線に気づいた、いよいよ流星群が到来したのだ。
「あ、ホントだ!」
徐々に流れる星が増えていく様子にセイリューは立ち止まって星空を見上げている。
「じゃあ、早く目的地に行こうか」
そのまま立ち尽くしているセイリューの手を引いて、ラキアが早く行こうと促してくれる。
手を引かれてセイリューも目的地まで足早に目指すのだった。

***
「うわぁ……スゲー!」
セイリューとラキアはヤシの林を抜けたスペースに高いフェンスをかけた展望スペースに辿りついた。
流星は勢いを増して、噴き出すように夜空を駆けていく。
「星降るって、こんな感じなのかな」
ラキアも流星の多さに驚きを隠せなかった。
「ひとまず、シートを敷くから座って眺めようか」
「へへっ、俺も寝転がって一杯流星を見るぜ!」
2人でシートを広げて腰を落ち着けると、労うように潮風が優しく頬を撫でラキアの赤く長い髪をサラサラと揺れる。
セイリューは隣に寝転がりながら星空を見つめる、視界には広がる星の海から氾濫したような流星群から目が離せない。

「スゲー!もう、なんかスゲー!」
「セイリュー、さっきからスゲーしか言ってないよ」
興奮しっぱなしのセイリューに思わずクスッと微笑むラキア。
「だってホントにスゲーんだもん……あ、なんか喉渇いてきたかも」
「ずっと口を開けてるからだよ、ちゃんと用意しておいてよかった」
はい、どうぞとラキアは先ほど用意しておいたジュースを差し出す。
「お、ラキア準備いいじゃん!さっすがラキア」
セイリューは目を輝かせてサンキュ!と礼を述べ、受け取ったジュースに口を付ける。
「ぷはー!なぁ、ラキア。流れ星に3回願い事を伝えると叶うって知ってるか?」
「うん、知ってる。もしかして願い事でもかけてたの?」
セイリューの問いに頷くとラキアはセイリュー質問の意図を聞いてみた。

「オレはね……内緒!」
本当は『ラキアと一緒にこんな穏やかで幸せな時間が沢山過ごせますように』と願いをかけていたが、
今は内緒にしておこうと口の前で人差し指を交差させる。
「ふふっ……セイリューが内緒なら、俺も内緒だよ」
セイリューの動きに思わず笑みが溢れるラキア。
(セイリューの考えてる事は何となく察しがつくしね)
なんのかんのでラキアの方がどうも一枚上手のようだ、ラキアは再び星空に目を向けると一際大きく光る流星が視界に入る。
『流星が沢山の幸福を皆に運んできますように』
目を閉じて少しの間、ラキアは自身の願いをかける。目を開いた時には既に消えてしまっていたがきっと叶うだろうとラキアは穏やかな笑みを浮かべた。

(流星が幸運の使いだといいな)

◆星降る夜を見守るモノ
流星群が収まると、空にはルーメンと赤く輝くテネブラの姿。
細い三日月状のルーメンは誰でも見ることができるがウィンクルムではない者にはテネブラを視認することはできない。

5組のウィンクルムがかけた願いは、テネブラだけが見ていたかもしれない。



依頼結果:大成功
MVP
名前:木之下若葉
呼び名:ワカバさん
  名前:アクア・グレイ
呼び名:アクア

 

名前:セイリュー・グラシア
呼び名:セイリュー
  名前:ラキア・ジェイドバイン
呼び名:ラキア

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 木乃
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月26日
出発日 08月02日 00:00
予定納品日 08月12日

参加者

会議室

  • [5]木之下若葉

    2014/08/01-21:09 

    おや。気付いたらこんな時間。
    遅くなったけれども木之下とパートナーのアクアだよ。
    宜しくお願い致します、だね。
    流星群、生で見るのは初めてだけれどもどんな感じなのかな?

    では、皆さんも良い夜を。

  • セイリュー・グラシアだ。
    ギリギリだけど挨拶だけでも。
    流星群は凄く楽しみにしてる!
    ラキアを迷子にしないように気をつけるぜ。
    皆も良いひと時を!

  • [3]羽瀬川 千代

    2014/08/01-00:35 

    こんばんは、遅ればせながら手短にご挨拶を。
    羽瀬川千代とパートナーのラセルタさんです。
    迷子にはならないよう気を配りつつ…流星群、見るのがとても楽しみです。
    宜しくお願い致します。

  • [2]瑪瑙 瑠璃

    2014/07/30-02:06 

    瑪瑙瑠璃といいます。
    相方は珊瑚です、どうぞよろしくお願いします。
    こちらこそ、先日はお疲れ様でした。

    お互い、流星群を見ながら、いい思い出ができることを願います。

  • [1]シルヴィオ

    2014/07/29-23:46 

    シルヴィオだ。連れはジーク。
    見知った顔が多いようだな、先日はお疲れ。
    今回は仕事のことは忘れてのんびりさせてもらおう。
    よろしく頼むよ。


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