


●ちゅううううう
A.R.O.A.とミラクル・トラベル・カンパニーが提携していることは周知の事実。
提携しているがゆえに、ツアー・コンダクターがA.R.O.A.の各支部に企画の案内をしに来ることは珍しくない。
そしてツアー・コンダクターと受付担当者が雑談を交わす程度に親しくなることも、珍しくない。
その日、受付娘は馴染みのツアー・コンダクターが浮かない顔をしていることに気付いた。
「元気ないですね。どうかしたんですか?」
ツアー・コンダクターは顔を上げて笑った。
泣いてるようにも見えるその笑顔は、見るものの胸を締め付ける。
きっと辛いことがあったに違いない。
受付娘はそう思った。
それは間違いではなかったが、ある意味、間違っていた。
「あのパーティの企画が、また、来ちゃったんです……」
受付娘の顔が凍りついた。
あのパーティ。
過去にミラクル・トラベル・カンパニーから持ち込まれたパーティ系の企画はいくつもあれど、わざわざ『あの』と評さなくてはいけないものなど、一つしか思い当たらなない。
「それって、もしかして……」
「はい……なんでも今度は……」
ツアー・コンダクターはすっと手の甲を口元に当て、やや仰け反りながら受付娘を見た。
「混沌の帝王、その目覚めが近い今こそ宴を開く時……。
この宴にはウィンクルム達の存在が必要不可欠……ああああ、だから引かないでくださいぃぃぃ!」
ツアー・コンダクター半泣き、受付娘どん引き。
引かないでって言われてもあなたポーズまで決めて台詞言ってたじゃないと、受付娘の目は雄弁に語っている。
「だって先輩がこうしろって言ってきたんです!
しかも『貴方もステップアップする時が来たのよ』とか言って主催者との打ち合わせも私がやることになっちゃったんですぅ!」
うっうっと嗚咽を上げ泣く彼女の身に一体何があったというのだろうか。
ツアー・コンダクターを哀れみながらも、ミラクル・トラベル・カンパニーに就職しなくてよかった、私は無関係……そう受付娘は考え、気付いた。
気付いて、しまった。
「……『ウィンクルム達の存在が必要不可欠』って、どういうことですか?」
「前にウィンクルムの皆さんが参加された時の評判がとても良かったそうで……。
その後にも何度か開催したらしいんですが、やっぱりウィンクルムの皆さんがいいということでご指名が来たんです」
無関係ではいられなくなった。
受付娘の瞳からは光が消え、ツアー・コンダクターの瞳は輝いた。
私だけなんて許さないと言わんばかりに暗く、輝いた。
●にーーーーっ!!
『前回は女性神人さんをご招待したので、今回は男性神人さんでお願いしますね』
A.R.O.A.支部に来た時とは打って変わった明るい笑顔で去っていったツアー・コンダクターが今では恨めしい。
いっそ大成功してしまえ。
そしてずっとこのパーティに関わり続けさせてやると、死なば諸共の精神に切り替える。
物騒な考えはおくびにも出さず、受付娘は明るくパーティ内容を説明する。
隣のデスクに座る同僚は怯えた様子でこちらを窺ってくるが、些細なことだ。
・参加費は一人につき400ジェール
・衣装は現地で貸し出しで私服厳禁
大体のものは揃ってる
・食事は立食形式で豪華
アルコールは無し
・きちんと設定を作っておくこと
また他の人の設定にも乗ること


●参加費
一人につき400jrです。
レンタル衣装と食事分込みでの金額となっております。
なお、過去に開催された宴よりも参加費が落ちた理由は
『こっちからウィンクルムと指定したんだから会員価格にしよう』
ということになったそうです。
やったね!
また、一回に付き100jrかかりますが
指パッチンをすれば生演奏のBGMを入れてくれるサービスがあります。
一曲の演奏毎の価格ですので、二回頼むのなら200jrかかります。
利用するならば曲調について指定をお願いします。
●れっつぱーりぃ!
立食形式のパーティとなっております。
食事を無視して設定なりきりに専念されても全く問題はありません。
・レンタル衣装
貴族的な衣装からパンクっぽい衣装、はてはきぐるみまで幅広く取り揃えております。
つけ羽につけ尻尾、クラウンなどの小物もばっちりです。
メイク係もいますが意思疎通できるかは運次第です。
・食事
立食形式です。
こちらも種類は豊富です。
自慢はロースとビーフと、赤さに定評があるトマトジュースとブラッドオレンジジュースです
●大事なこと
例:
「力が……抑え、切れないっ!あああああああ!!」
すごい力を放出してる……ように見えるだけです。
「ぐっ……この風はっ!全てを吹き飛ばすつもりか!!」
恐ろしく強い風が吹き乱れてる……ように見えるだけです。
実際にはなーんにも起こってません。
演出は皆さんの心の中で。
ジョブスキル使用は言うまでもなくNGです。
●その他
今回のエピソードの性質上、ステータスでの口調はあまり反映いたしません。
誰にも聞こえないくらいの独り言、心の声などは勿論、通常口調で問題ありません。
パーティでどういうキャラとして動くか、またどういう口調になるかなどをプランにお書きください。
また、『俺はこーや色に染まるぜ!』という心意気を持たれる方は
豆腐
の二文字をウィッシュプランに入れて頂ければプランをベースに思いっきりやります。
さあ……来るがいい、勇者共よ。
ふっきん
私の 混沌 を、打ち破ることができるかな……?


◆アクション・プラン
逢坂 貴雅(ネスレル)
|
説明が下手なのと元ネタがあるのでそちらから。 元ネタは漫画(アニメでも可)「さよなら絶望先生」より糸色望こと絶望先生。 服装は小紋柄の着物に袴穿きという書生風で。 メタいんですが、A.R.O.A.の『お仕事の報酬』について騒ぎますよ。 (アドベンチャーエピソードで)命と体を張って約1000jrは低い気がするので。 保険とか、その他色々あっても天涯孤独の俺にとっては 死んだら元も子もないですしね。 「絶望した!!体を張ってまで頑張ったのに1000jrとか絶望した!!」 「下手したら土工の兄ちゃんより低い手取りですよ!?」 とにもかくにも、「豆腐」 もう、メチャクチャにして。 他の方の設定にですが、脱がされてもおkです |
|
一夜漬けで漫画と小説を読んできました (厨二を解ってないリア充) ベルたんは天使です 右目に眼帯、学生服を着て中学生(28)! 眼帯を外すと右目から青い炎が出て、スマホ型COMP『黒の書』に記されたオーガを召喚します パペットじゃなくてオーガです 春巻が好物の邪悪な人格『特異点』も出ます 彼が出たときは曲変えますか… 「くっ…今の僕に近づくと危険だ…!奴が…来る…にげて…く…れ… 『ははっ!やっと出られたぜぇ!オーガハンター?ハン!オレのオーガが相手してやるぜ!』」 こんな感じですかね?(春巻ムシャア) 参加者の半数が脱げたら空気を読んで私も脱ぎましょう 勿論下も…ベルたん?血相変えてどうし…(布でくるまれ封印) |
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「服装」 水兵の服にごつごつした砲塔等の艦装、ジェンガのようなミニチュアの艦橋 え、ええと…設定ですか? ごほん、私達はミットランドの大海原を守護する護衛艦の生まれ変わり、「艦漢」であります。 私はかつて「弩級戦艦ブルーホール」の名で戦場を駆っていたのですが…うっ、頭が…! すみません…そしてこの子(ジョルジオ)は 「駆逐艦フィールレイク」主に鼠輸送の任務に関わっていた子です。 初の抜錨に輸送任務中のこの子とぶつかってしまって… フィールレイクは真っ二つに割れてしまうし、私はあたふたしている時に艦橋を砲撃されてしまうわで…ウワァァ---。゚(゚´Д`゚)゚。---! 【弩級戦艦ブルーホール 精神的小破!】 |
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何と興味深い宴でしょう…! 私は【老体でありながらこの世の全てを思うが侭にしてきた大陸の形すらも変えられる全能神】です 疑う余地などありません ディナスは【前世は全能神に仕える片翼の天使で、転生後、自分の死期を知りながらも麗しき勇者と讃えられた美女に仕える、テンペストダンサーとライフビショップを足してそのままにしたような聖騎士】…流石私の精霊です。これだけで私の出番の半分以上を埋め尽くしました…!これが若さ溢れる『ちゅうに!』 このままではいけません 私も本気を出して、この場で大陸さえ変動させた力を見せて差し上げましょう ふむっ! 筋肉で弾ける(ように見える)レンタル上半身紳士服 割れ罅光る(ように見える)床 |
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この依頼の事を話したら皆遠い目するから何かやばいのは分かるんだけどさ …ちゅうに、ってそもそも何? 青いコートを羽織り長剣「紅ウーマン」と拳銃「蒼トゲ」を装備(借りる オレは右手らへんに悪魔の力が宿ったオーガハンター オーガ退治を請負う店「Ogre May Cry(オーガメイクライ)」に、 この宴にオーガを召喚使役する男子中学生が出席していると情報が入った いくぜおっさん、オーガとダンスだ なんだ、こんなガキが相手なのか? 舐めプして攻撃をくらう 服を脱いでぼろぼろを演出 くぅっ…オレの右手らへんが暴走を…ッ! ソウルがシャウトする…もっとパワーを…! ぐああああッ オレはいいからあいつを! なんか ちゅうにって 楽しい |
●戦いは、すでに始まっていた
歳相応の落ち着きを見せてはいるものの、エルド・Y・ルークは数多くある衣装を熱心に眺めていた。
老体でありながらこの世の全てを思うが侭にしてきた大陸の形すらも変えられる全能神。
それが今宵の彼。
猛る心(+肉体)を抑え付け、選んだのは一見するとシンプルな紳士服。
羅紗特有の艶と仕立ての良さを除けば、これといって変わったところは無い。
しいていえば時々、ぽろりしそうなくらいに胸囲がぱっつんぱっつんなくらいだ。
対してディナス・フォーシスはとても華やかだ。
正面から見ればテンペストダンサーのように軽やかで。
後ろから見ればライフビショップのように尾を引いた長い上着。
露出させたへそが華やかさに拍車をかけている。
「『厨二』の精神にはへそ出しは欠かせません」
したり顔のエルド。
ああ、ミスター、僕の為に!愛がヘヴィです。
照明が当たっているわけでもないのに二人の周りはキラキラしていて眩しい。
この光で発電できる。(確信)
知らぬことならば自ら学び、それを良く知ろうとする姿勢。
本来なら間違いなく賞賛に値するものだ。
ただ、漫画と小説から一夜漬けの要領で『厨二』の精神を学ぶことは果たして良い行いと言えるのか。
アルクトゥルスは決して違えてはいけない、人生という名の道を踏み違えてしまったのではないか。
-そんな風に思う人間なんてこの宴には来てないから無問題なんだけどね!!
右目に革細工の眼帯を付けた中学二年生(成人男性・28歳)のアルクトゥルスは、生演奏を行ってくれる楽団との打ち合わせに余念が無い。
見守るベテルギウスは、背負った大きな白い翼が行き交う人々に接触する度に小さな声で謝っている。
『厨二』の精神を知らないベテルギウスに、アルクトゥルスは翼だけを指定していた。
ところが衣装を見ているうちに、上腕二頭筋と腹筋が露出した、ボディラインならぬ筋肉ラインが見事に出る衣装を発見した途端、アルクトゥルスが暴走(通常運行かもしれない)を始めた。
「ベルたぁぁぁん!お願いだから、これを、これをぉぉ!!」
鼻の下が伸びに伸びて、涎も出そうな勢いで迫られて拒否できる人はそういない。
だって怖いもんね。
勿論、ベテルギウスも例外ではなかった。
ああ、無情。
そしてこちらにも『厨二』の精神を知らぬ一人の若者。
名はティート。
彼には優秀すぎる指南役が付いていた。
赤いマントを翻し、右手に「エボシ」、左手に「アイダホ」を携えた梟は、ティートにそれらしい台詞やポーズを叩き込んでいる。
ティートが長剣「紅ウーマン」と拳銃「蒼トゲ」を交差させて構えれば
「Barbecue!」
右手を強調するように差し出し、剣を背へと回せば
「M(マジで)M(ミステリーな)R(ランク)!!」
といった具合に梟が評価を付けていく。
評価基準も評価の意味もはっきりいってよく分からないが、『厨二』なので仕方が無い。
余談だが、梟は古代語を話す古代兵器のメイク担当と会話はできなかった。
正確に言えば、会話をする必要が無かったのである。
あれだ、目とか背中とかで語り合うってやつだ、パネェ。
それをカッコいいとティートが思えたかどうかはお察しください。
古代(略)であるメイク担当は思案していた。
今、彼が見ている組は『我々と同じ精神』の持ち主なのかと。
水兵服を身に付け、ライフルなどを代用品として砲塔を作成、同じく小物で作成した艦橋らしきもので身を覆ったのはダニエレ・ディ・リエンツォ。
その隣でちょこんと立っているのはセーラーカラーのトップスに短パンで、ダニエレと同じように代用品の銃器を主砲と称するジョルジオ・ディ・リエンツォ。
ミットランドの大海原を守護する護衛艦「弩級戦艦ブルーホール」と「駆逐艦フィールレイク」が時を経て生まれ変わった存在、「艦漢(いくさぶねおとこ)」……らしい。
何も隠された力やそれに関わる者達だけが『同じ精神』の持ち主とは限らない、それは百も承知だがこれはどう見るべきか。
なによりもセーラー服の少年が「おとーさん」とダニエレの後をちょこちょこと付いて行く姿は……なんだ、その……倒錯的というか……こう、ね?
深い葛藤がメイク担当を襲う。
そんな彼の前を、別の組が通過しようとしていた。
和装の逢坂 貴雅とネスレルだ。
台詞などの打ち合わせをしている声が漏れ聞こえてくる。
メイク担当は戦慄き、震える手で二人を指差した。
「コレ・マ=ジデア・カン・ヤツヤアアアア!!!(訳:アウトオオオオ!!!)」
●お約束
ビームだとか炎だとか熱いパトスだとか吹雪だとかは、皆さまの心の目を通して再現されています。
ご理解とご了承をお願いいたします。
●今……目覚めの時
貴雅とネスレルが一行の前に戻ってきたのは、皆が会場に入って暫く立ってからだった。
貴雅は和のテイストを取り入れつつ、黒を基調とした長いマントや装飾品で。
ネスレルは黒と灰色の甲冑に、水色のマントを着用。
片や『絶望の魔王』、片や『絶望の祝福を受けし悪魔』……ということになって帰ってきた。
「身命を賭しているというのに、受け取る報酬の低さに俺は絶望している」
「実際の報酬から抜かれてるに違いない……!!」
その台詞、『厨二』テイストを加えても生々しくて周りの人が引いてますよ!
本心であろうが無かろうが、笑えない冗談はあるんですぜ!!
鋭い眼光で目標を探す二つの影。
オーガ退治を請け負う店「Ogre May Cry」に、もたらされた情報。
それはこの宴にオーガを召喚、使役する男子中学生が現れるというものだった。
ティートと梟は隙の無い足取りで進んでいく。
途中、梟は熟練のハンターらしい手つきでローストビーフをひょいと摘む。
電光石火の早技に、ティートは気付いていないようだ。
流石は悪魔の血を引く最強のハンター……ただし技術は適切なところで使うべきだと思う。
咀嚼していた梟の動きが刹那、止まる。
梟の様子に気付いたティートは全てを察した。
そう、目標を見つけたのだ。
「……いくぜ、おっさん、オーガとダンスだ」
青の男と赤の男は同時に風となって駆け抜けた。
アルクトゥルスは己を抑え込むことで必死だった。
顔を歪ませ、額には脂汗が浮んでいる。
眼帯をした右目が、疼く。
ついでに28歳になってなお中学二年生であるという事実も、胸を突き刺してくる。
「ぐっ……あっ……!」
疼きはどんどん激しさを増していき、アルクトゥルスは堪え切れず眼帯越しに右目を押さえつけた。
それでも止まぬ疼きと同じテンポで背中越しに聞こえてくる二つの足音。
「くっ……今の僕に近づくと危険だ……!奴が……来る……にげて……く……れ……」
「なんだ、こんなガキが相手なのか?」
苦悶の表情はそのままに、ぎこちない動きでアルクトゥルスが振り返る。
……ガキ?
中学生の形をしてるが、どうみても中学生じゃないしっていうかアルクトゥルス自身、中学生(28)としてるし。
えーっと……
A:気にせず続ける
B:訂正する
C:アドバイザーに助力を願う
……Cだな。
ティートは梟に視線を投げかけた。
力強く、梟は頷く。
細かいことはいいんだよと、力強い意思を込めて。
よし、じゃあガキということで。
ガキなら大した相手じゃない。
嬲るように浅く斬りつける。
何度も、何度も。
「見掛けに騙されるなよ、坊や」
「おっさんは黙ってろ」
梟が諌めるも、ティートは聞く耳を持たない。
「だ、駄目だ……止めてくれ……!」
ただ呻くだけのアルクトゥルスを、ティートは鼻で笑った。
ゆっくりと、見せ付けるように拳銃の銃口を向ける。
アルクトゥルスは苦しげな表情のまま、己に向けられた銃口を見た。
「いけない……頼む、離れ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
絶叫と共に、アルクトゥルスの右目から吹き上がる青い炎。
重々しく響く邪悪な音楽。
それは絶望への始まりの合図。
アルクトゥルスに隠されたもう一つの人格……『特異点』が出現したのだ。
なお、炎で吹き飛ばされてボロボロになったという演出の為に、せっせかティートさんは脱衣中。
ファンサービスってやつだね!
ついでに言えば、脱衣中のティートさんをダニエレがその肉体で隠してくれている。
ジョルジオも訳も分からないままサポート中。
そうだよね、柔肌は簡単には見せちゃいけないもんね!
護衛艦が守るのは大海原だけじゃ無かったということか。
素晴らしいご配慮ありがとうございます。
「一体、何が起きたというんだ……!?」
駆けつけた騎士、ディナスが叫ぶ。
(色んな意味で)悲惨な光景から、何が起きたのかは分からない。
辺り見回すディナス。
かつり、靴の音を鳴らして近づいてきたのは、特異点を抹殺すべく遣わされた天使、ベテルギウス。
左手に持っている枝豆の皿は見ない振りをしてあげてください、ビールが無い不満を解消するかのように黙々と料理を食べていたら出番のタイミングを逃しかけてしまっただけなんです。
許してあげて下さい。
それはさておき、近寄ってきたベテルギウスに、ディナスは怪訝な表情で「何か?」と問うものの答えはない。
ベテルギウスは下界に下りた時に力の半分を失い、そして声も失ってしまった為、返す言葉を持たないのだ。
そんな彼が取る意思疎通の手段。
それは―
バリィィィィイィィィィ!!!!
弾け飛ぶ留め具。
千切れる装飾品。
残された布と壊れた装飾品が、ベテルギウスの筋肉を彩る。
彼は己の肉体と肉体と肉体と肉体とあとジェスチャーだとか熱いパッションだとかでディナスに訴えかけたのだ。
ディナスも天使だったはずだと、その記憶を呼び起こす為に。
曝け出された大胸筋がぴくぴく揺れるにつれ、ディナスの記憶が……前世の記憶が蘇って来る。
一つ、一つと思い出す度にディナスは涙を流す。
それは感動の涙。
「ああ……前世ではあんなにも、神々しくも美しかった貴方がいまやこんな『筋肉』に!」
いい話になると思ったのにならなかったよ、どういうことだ。
ディナスは絶望の眼差しで、ベテルギウスを見つめていた。
「ははっ!やっと出られたぜぇ!オーガハンター?ハン!オレのオーガが相手してやるぜ!」
現れたアルクトゥルスのもう一つの人格……『特異点』は携帯端末「黒の書」を開いた。
そこからずんぐりむっくりしてて、しかもふかふかで可愛らしいパペット……じゃなかった、オーガを左手に装着、じゃない、えー、呼び出して見せたのだ。
そして『特異点』出現の曲が終わると同時に、近くのテーブルから春巻きを確保。
春巻きが好物らしい。
「ちっ、面倒なことになったな……」
「だから言っただろう、坊や。見かけに騙されるなと」
ボロボロになったティートの隣に梟が並び立つ。
二人が油断無くそれぞれの得物を構えたその時、声が響いた。
「今こそ、新たな絶望を贈ろう……」
「現場で働くオーガハンター達が苦労するように、ですね」
ネスレルを従えた貴雅は腕を徐々に持ち上げ、その指をティートに向ける。
にやり、ネスレルが哂った。
闇が、悪が、絶望がティートを襲う。
「くぅ……オレの右手らへんが暴走を……ッ!」
右手『らへん』らしい。
「ソウルがシャウトする……もっと、もっとパワーを……!
ぐああああああああああああああああああああッ!!!」
ティートの右手らへんから力が解き放たれる。
その余波から逃れようとする梟をアルクトゥルスのオーガが襲う。
「おいおい、逃げるなんて無しだぜぇ!?」
背後からは衝撃波が、正面からはオーガが。
最強のオーガハンターに訪れる危機……それを救う者がいた。
二隻の艦から放たれる主砲が、梟への追撃を阻止する。
腕を組んで仁王立ちするダニエレ、いや、弩級戦艦ブルーホール。
そしてその隣でもっしゃもっしゃと小さな体に見合わない食欲を見せている、ジョルジオこと駆逐艦フィールレイクだった。
再び二隻が轟音と共にオーガめがけて主砲を撃ったその隙に、梟は離脱する。
「さあ、フィールレイク。移動しま……」
目測を誤ってしまったのか、ダニエレはジョルジオにぶつかってしまった。
呼び起こされる忌まわしい記憶。
前世でジョルジオが初めて任務に付いたとき……その時もダニエレはぶつかってしまった。
ジョルジオは悲惨な姿に、そしてダニエレはあたふたしている間に敵の砲撃で艦橋を破壊され……。
―弩級戦艦ブルーホール 精神的小破!―
どばぁっとジョルジオの眼から溢れる涙。
人の目からこれだけの水分って出せるんだなと感心したくなる量で、もはや滝と言ってもいいのかもしれない。
「おとーさん?」
「……失礼、なんでもないですよ。
ジョルジ……いや、フィールレイク。沢山食べるのは良い事ですが、好き嫌いはいけません。
そうでないと私のように大きくなれませんよ。
生まれ変わりの「艦漢」とはいえ、まだ私達にはミットラントを守るという使命が……
「おとーさん、なにいってるの?へんなの!」
―弩級戦艦ブルーホール 精神的大破!―
なぜか派手にセーラー服が破れ、その肉体が露になる。
露出した前鋸筋が眩しい。
―弩級戦艦ブルーホール 脱衣的大破!―
●ありがとう、そしてさようなら
二隻の支援により難を逃れた梟だが、状況は未だ、悪いままだ。
「チッ、坊やの右手らへんの暴走を止めるにはこのHAMATOを右手らへんに突き刺すしかないっていうのに」
どこからとも無く取り出した魔の力を抑える刀が鈍く光るが、アルクトゥルスからの攻撃を掻い潜ってティートに近づくのは至難と言えるだろう。
どうする……!?
焦る梟を見て、貴雅とネスレルは愉快そうに笑う。
彼らがもたらした絶望が場を支配していく様子が愉しくて仕方が無い。
貴雅はくるりとフォークに巻きつけたウニのクリームスパゲティを口へ運ぶ。
濃厚なウニの香りが口いっぱいに広がる。
絶望を司る魔王だが、食事では絶望したくは無い――が。
がり。
貴雅の時が止まった。
……何があったかはお察しください。
この瞬間、絶望がこの場を完全に支配した。
成す術はないのかと希望を失いかけた皆の前に、一人の筋肉質な男が姿を現した。
「貴方様は……!」
すかさずディナスとベテルギウスが男の前に駆け寄る。
そう、この男こそが全能神エルド。
むきーんとベテルギウスがポージングすると、それで全てを理解したようだ。
これも神の偉大さゆえです。
「ふむ、このままではいけません。
私も本気を出して、この場で大陸さえ変動させた力を見せて差し上げましょう」
エルドは両の拳を強く握り締める。
「ふぅぅぅぅぅむっ!!!!!」
拳を始点に、全身に力を入れれば弾ける紳士服。
エルドの肉体が神々しく輝き、床石が光を照り返す。
その瞬間、アルクトゥルスの青い炎が、オーガが、ティートの右手らへんが、鎮まる。
「これが、神の力……!」
「ほっほっほ、これでも完全なものではありませんよ。さあ、早くHAMATOを」
「感謝する」
梟が握るHAMATOは、狙い違わずだいたい右手らへんを突き刺した。
暴走の反動の為か、崩れ落ちるティートを梟が抱きとめる。
ところがティートが握っていた紅ウーマンが、何故か梟の腰のベルトに引っかかり、そして、あれやそれやが滑り落ちかけたまさにその時!
一隻の護衛艦が、まさに梟の主砲(意味深)をその身で隠し切った。
「ミットランドの平和は、私達が守ります!!」
すげぇ、頼もしい。
でもその前に自分の肌を守ろうよ。
「現れたか、全能神」
「魔王が動くのならば、私も動く、それが道理です」
「違いない」
ぶつかる黒と茶の眼光。
全てのものが確信した。
この勝負は、一瞬で決まると。
皆が手にジュースやらご飯やらを持って見守る。
ネスレルがクロワッサンを千切ったのと、二人が動いたのは同時だった。
「はあああああああああ!!!
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!!!」
ぶつかり合う力と力。
二つの力は拮抗し、どちらも退くことは無い。
「あ、痛」
貴雅の力が僅かに緩んだ。
きっとさっき噛んだところが痛かったのだろう。
エルドは機を逃してはなるものかと、全ての力を注ぎ込んだ。
崩れた拮抗は奔流となり、貴雅へと襲い掛かる。
「う、うわああああああああああああああ!!??」
響いた貴雅の悲鳴はその身に受けた衝撃だけが原因ではない。
今回、みんな脱いでるし!とネスレルが負傷の演出の為に脱がせにかかったこともその一つだ。
「貴雅様!!」
心配する振りをしてますが、ネスレルさん、あなた、その物騒な気配隠しきれてませんよ。
にやけてるのばれてます!
「……ここは退きましょう。けれど、次こそは陛下が勝ちます!!」
貴雅を抱き起こし去っていくネスレル。
残された者達は、色んな意味で貴雅を心配した。
「元なる我が全能神……」
ディナスがエルドの前に跪く。
エルドは全能ゆえの自愛の眼差しで、ディナスを見つめる。
「久しぶりですね、ディナスさん」
「すみません、元なる我が全能神よ……私にはもう命を賭して守るべき麗しき主がいるのです……!」
「自らの道を選んだので
「前世の記憶を取り戻せど、貴方の元へと戻る事は出来ません」
「いいのですよ、それが
「尚も戻れと仰せでしたら……この命散るまで……戦ってでも、抗うまで!」
ねぇ、ちょっとは聞いてあげて。
「受けてください!EFB(エターナル略)の更なる進化を!」
容赦無しかよ。
「ブラッディ・フォース・ブリザード!!」
いかなるものをも凍らせる血吹雪が降りしきる。
『特異点』が鎮まったアルクトゥルスの元にも、例外は無い。
青い炎も、オーガを操る術も封じられた今の彼では抗うことなどできないのだ。
だからアルクトゥルスは、脱いだ。
「自分は攻撃を受けましたよー」の合図的なノリで。
シャツを投げ捨て次は下をというギリギリのタイミングで現れる二人のセキュリティ。
ダニエレが主砲と己の肉体美でアルクトゥルスを隠している間に、ベテルギウスが鮮やかな手つきで布に包む。
ナイスコンビネーション。
危なかった、危機は去ったのだ。
ダニエレとベテルギウスが安堵した時、ジョルジオの軽やかな声が響いた。
「おとーさん、どうしてみんな、服を脱いでるの?」
ぴきり、凍りつく男達。
純真さは時に最強の魔法になり得る。
この瞬間、誰しもがそのことを思い知った。
「ねぇ、どうして?どうしてみんな、変なの?」
大人たちの悲鳴が木霊した。
それは絶望の調べ。
この日、高尚なる宴は絶望の宴と化した。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | こーや |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | コメディ |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 07月17日 |
| 出発日 | 07月23日 00:00 |
| 予定納品日 | 08月02日 |

2014/07/21-07:44
豆腐は冷奴が好きだ…(同じく豆腐設置)
梟:あぁそうだ、(アルクトゥルスの方を向き)
お前さんとの戦いの最中に坊やの悪魔の血が暴走する予定だ
その時は俺がHAMATO(破魔刀:魔の力を抑え付ける刀)で坊やを貫いて悪魔の力を抑え付ける
他の奴もティートの動きを抑えるために手伝ってくれていいぞ?
ティート:えっ
2014/07/21-02:50
楽しい宴とは思っていましたが、
自分より、精霊がノリノリだとは思いませんでした……!
どうやら天使繋がりとの事でベテルギウスさんに絡む予定だとか。
これは予想外ですねぇ。
ふふ、やはりアルクトゥルスさんも罪作りですが、ベテルギウスさんも罪作りなお方ですねぇ。うちの精霊が自分から絡みにいくとは、誠に羨ましいかぎりです。
(豆腐設置完了済み)
2014/07/21-00:58
ネスレル様の妄想の形、是非とも楽しみにしております。
艦漢…。素晴らしい響きですね。
ティート様
私がオーガを召喚?そんなことできませ…(脇腹をつつかれ)
あ、できるんでしたっけ。
ティート様は私の敵となるのですね。梟様とティート様の筋肉…もとい厨二を拝見いたしましょう…!召喚したオーガにて出迎えて差し上げます(マッチョポーズ)
ふふふ…ベルたんからも狙われて、罪な男となってしまいますね…
2014/07/20-23:51
(若干回復して戻ってきた)
…みんな設定出揃ったみたいだな。
他の人の設定にも乗らないといけないらしいから…(きょろ
オーガを召喚するアルクトゥルスさんを倒す依頼を受けこの宴に来た、って設定にしようと思う
もちろんオレ達への絡みも歓迎だ。ていうか絡んでくれ、正気を保てなさそうだから!
2014/07/20-14:41
はじめまして、逢坂貴雅です。
よろしく。
俺はとりあえず、現状に絶望して、なんか叫んでます。
相方であるネスレは・・・なんか、勝手に妄想してとんでもないこと言ってるみたいですね。
2014/07/20-14:34
ベテルギウス「…ッス…」
(走り書いたメモ)
自分は天使ベテルギウスだそうです。
特異点であり『黒の書』でオーガを召喚使役する男子中学生アルクトゥルスを抹殺するために下界に降りてきたことにします。
下界に降りたときに声を失って力も半分しか出ないので、自分は喋りません。力を取り戻すために下界の食物からエネルギーをもらってます。
天使に乗っ取られてるので自分で考えたんじゃないです本当です
好き勝手してるアルクさんのことは煮るなり焼くなり好きにしてください><
(再び遠い目をして現実から目をそらしている)
2014/07/20-13:58
はじめまして、ダニエレ・ディ・リエンツォです
よろしくお願いします。
えーと・・・私達は
ミットランドの海を守護する護衛艦の生まれ変わり
その名も「艦漢」、っていう設定です(照)
2014/07/20-04:00
初めまして。エルド・Y・ルークと申します。
アルクトゥルスさんはお久しぶりです。いやはや見事な肉体美などお恥ずかしい限りです。
しかし、噂に名高いこの宴に参加できるとは私も考えもしませんでした。
精一杯努めさせていただきますよ。
私は【老体でありながらこの世の全てを思うが侭にしてきた大陸の形すらも変えられる全能神】
精霊は【前世は片翼の天使で、転生後、自分の死期を知りながらも美しい勇者と讃えられた美女に仕える、テンペストダンサーとライフビショップを足してそのままにしたような騎士】がやりたいそうですよ。
全能神と言えど、プラン時では、誰かに設定を押しつけるような事はいたしませんから安心いただければ幸いです。
さて、どうなりますかねぇ。今からとても楽しみです。ほっほっほ……
2014/07/20-03:10
ミスター・ルークは先日見事な肉体美を拝見させていただきましたね。
逢坂様、ネスレル様、ティート様、梟様はお初にお目にかかります。
アルクトゥルスと申します。こちらは筋肉天使のベルたんことベテルギウス。
以後お見知り置きを
ベテルギウス「」(遠い目をしている)
何やら楽しげな催しですね。私、黒歴史や厨二にあたる経験はしたことはございませんが、漫画や小説にて知見を広げておきます。
(リア充かつ体育会系)
ベルたんは勿論天使だよぉv
ボクは…(軽く検索)
眼帯を着けた二重人格の特殊能力を持つ特異点の中学生にしようかな
2014/07/20-02:24
よう、俺は梟。相方はティートだ、遠い目しながらどっか行っちまったが(くつくつ笑い
とりあえず今のところみんなはじめましてだな?よろしくな
いやぁそれにしても面白そうな宴だねぇ!
俺は気にしないが坊やには黒歴史になりそうだ
俺たちは悪魔の血を引くオーガハンターって設定でいくつもりだよ
坊やは生き別れた双子の兄の子供だが、捨て子だったから坊やは親が誰か分からない設定。忘れ形見だな
そんで便利屋「Ogre May Cry(オーガメイクライ)」を坊やと二人で経営してる
Ogre May Cryは表向き『何でも屋』だが、その正体はオーガ退治を専門とするオーガハンター
…と、こんな感じだな。みんなはどんな設定なんだ?

