悩め!弁当系男子!(らんちゃむ マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

●悩めるのは男子も同じ

「…また失敗しちゃったんです」
「あららー…茶色ね、茶色」
「茶色って言うより黒こげ茶っすよね」
「ばかたれ!」
「いてっ」


お昼時のA.R.O.A.本部。スタッフも休息を取り昼食をとっているようだ。
噴水前のベンチでうなだれる男性スタッフを挟むように、男女数人が座って昼食にしていた。

「カサダさんってコンビニ弁当嫌なんすか?」
「え?…いや、そうじゃないんだけど…今貯金してるの」
「へー、何かしたい事があるのか!偉い偉い」

カサダと呼ばれたこの男性スタッフ、見た目大人しく穏やかな男性。
裁縫や資料まとめ、本部にやってきた人に対しての接客など優れる事が多いと評判の男だ。
…だがそんな彼の膝の上にある弁当箱には、お世辞にも美味しそうとはいえない何かが詰められていた。

はあ、と深くため息を吐くカサダに、後輩の男が首を傾げる。
「そーいやカサダ先輩って彼女いましたよね」
「うん、いるよ」
「彼女に作って貰えばいいじゃないっすか」
「…彼女もお仕事してるから、僕の分を頼むわけにはいかないよ…それに彼女はコンビニ弁当みたいだし」

だから、とカサダは続ける。
もそもそと手を合わせ恥ずかしそうにする彼は、もはや恋する乙女に近い。
照れながら笑う彼は、仕事で頑張る恋人を思って微笑んだ。

「僕がお弁当作れるようになって、食べさせてあげるんだ」
「…カサダさん可愛い」
「えっ」
「先輩真顔で言っちゃダメっすよ!カサダさん仮にも男なんすから!」
「か、仮…?」

「…でも、これじゃあ食べたくならないよね」

しゅんとするカサダに一緒にいたスタッフは慌てた。
見た目はお世辞にも美味しそうとはいえない…が、きっと味は素晴らしいに違いない!
そう必死に言うと、女性スタッフの一人がカサダの弁当から一つ何かをつまんだ。
…何かは分からない。

「いただきます!…んぐ…もぐもぐ……」
「…お、おいしい?」
「……んーと、ササミ、ですか?」
「コロッケなんだけど…」

「…お、俺もください!…あぐ…ん…ちくわ?」
「それはかまぼこ?」
「かまぼこってこんな色なわけないじゃないっすか!しかも自分でも疑問形ってなんすか!」

想定外の答えに思わず大声を出す後輩スタッフ、カサダはますますしょぼくれた。
仕事で頑張る彼女の為に、栄養バランスを考えた物を作りたい。
そんな優しい気持ちで始めた弁当作りは、目の前でダメになりそうなのだ。

眉をますます下げるカサダに、女性スタッフは見ていられず言った。

「カサダさん!本部に調理できる場所あったハズだし…やりましょう!」
「え…でも、悪いよそんな」
「いーえ!そんな捨てられた子犬みたいなカサダさん見てられません!私達が!」
「…まあそうなるっすよね」

「いっそ男性ウィンクルムも巻き込んでお弁当講座でもしちゃえばいいんじゃないかな」
「そうっすね!俺友達のウィンクルムに声かけて来るっす」
「男性神人さんで悩んでるって話聞いたことあるな…うん、いけるかも」

その場にいたスタッフ達の、カサダを思う気持ちから、本部内でお弁当講座が行われる事となった。
料理を作りたい、でもできない。
そんな男性を救うべく、数人の女性スタッフとその後輩は立ち上がったのであった。


「…誰かと一緒なら、僕も頑張る」
「そのいきですカサダさん!」
「子犬からやる気のあるハムスターみたいになりましたよ!」

「…ハムスターってちっさすぎないっすか」

解説

●目的

お弁当を作れるようにする講座をしましょう。
参加側でも良し、女性スタッフと一緒に教える側になっても構いません。
女性に教わるよりも、同性に教わる方が緊張しないで済むかもしれませんね。

●お弁当について
好きなサイズのお弁当箱を持ってきて下さい。
お弁当の中身の具材一覧は以下になります。

厚焼き玉子セット 200Jr
唐揚げセット   500Jr
ポテトサラダセット 300Jr
たこさんカニさんウインナーセット 200Jr
おにぎりセット (おかずは好きなものを教えてくださいね) 300Jr

今回は簡単なものをピックアップしました!
…た、たべたいものが無くても怒っちゃダメですよ。

●スタッフカサダ
優しくおっとりした男性で、仕事で栄養バランスが取れていない彼女の為に弁当を作り始める事に。
ですが黒こげ茶なお弁当になってしまいすぐにしょぼくれてしまうようです。
一緒に調理する事なりますので、よろしくお願いします。

ゲームマスターより

らんちゃむです。
高校の頃、のりを切ってご飯に乗せる簡易型キャラ弁にハマってた時期がありまして。
お昼になって開けたら目がフタにくっつくわ口が歪んでるわで謎のホラー体験をしました。

お弁当作り頑張ってください!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

木之下若葉(アクア・グレイ)

  アクアが張り切ってるね
…ただ待っているのもアレだし
付いて行ってみようかな

お弁当箱は普通の四角いやつ
具材はウインナーでいいか。楽だし
あー…教えるってほど上手くは無いけれど一緒に作る?
(周り眺めながら)

まず三等分にして、っと
タコの方は両端部分を使って切れ込み入れて足に
カニの方はツメ。ん、足?だから真ん中部分を使って両サイドに切れ込み

後はフライパンで炒めれば出来あがり
足がくるんってしたら火が通ってるよ。多分
強火でやりすぎなければ焦げないし作りやすいんじゃない?

学生の頃自分で弁当作ってたしね
そのなごりと言うか何と言うか

大丈夫。オイシクナーレって思えば大抵美味しいよ
自分で食べるのも
人に食べさせるのも、ね



逢坂 貴雅(ネスレル)
  ダニーの兄貴(ダニエレ・ディ・リエンツォ)と一緒にお弁当を作ります

プランはたこさんカニさんウインナーセットとおにぎりセット(具は筋子、梅干、焼き鮭)で。

ダニーの兄貴はこういうの不器用そうだから所々フォローして、美味しく作れるように協力しますよ。
まぁ、俺じゃなくても職員の皆さんが教えてくれるんでしょうが。誘った手前・・・ね。

料理好きとして普通に作っても面白くないんで、おにぎりの海苔を使ってキャラ弁にします。

キャラは最近小さい子に人気の妖怪のやつでいいかな?
余った海苔で小さいの作ってダニーの兄貴の作ってるのに仕込んどこう。

美味しく出来たらみんなでワイワイ食べたいですね。





柳 大樹(クラウディオ)
  厚焼き玉子セット
弁当箱:ステンレス1段 800ml
エプロン紺

弁当なんて初めて作るわ。
ってか料理自体、ほぼ初めてみたいなもんだし。
小さい頃に皮むき手伝ったくらい?
あ、調理実習したことあったっけ。
米炊くのと、洗いもんなら任せてよ。

おっと、クロちゃん。
料理の際はまずその暑苦しいフードを取るべき。
そしてエプロンを着用。
これ使いなよ。持ってないと思って持ってきた。

えーと、厚焼き玉子ってどうやるの?
まず卵割って。溶いて。
こっからわかんないや。
ちょっと、誰か教えてくれない?

ありゃ、真っ黒って程じゃないけど。ちょっと焦げが酷いね。
クロちゃんはどんな感じー?
……俺より上手だね。

あー……、なら遠慮無くいただくよ。



ダニエレ・ディ・リエンツォ(ジョルジオ・ディ・リエンツォ)
  たこさんカニさんウインナーセット 200Jr
お弁当箱は大きめ

「プラン」
ジョルジオの為に弁当の講義を受けます
彼の弁当を作ったこと自体はあるのですが
冷凍ものばかりで…
ジョルジオはこれから成長期、冷凍ものばかりだと栄養も偏りますし…私が管理せねば

女性スタッフよりは、貴雅くんの方が聞きやすいですね…
彼は料理が趣味だと聞きましたし、邪魔にならない程度に
彼から教わりましょう

…この時間、ジョルジオは落ち着かないようです
料理の過程に興味津々でしたが、集中力が続かないようです
…だからといってつまみ食いはいけません。

ジョル…メモ帳貸してあげるからお絵かきでもしてなさい!



 弁当講座当日、各自弁当箱を持参した一同は全員本部内にある調理が可能な部屋へ通された。
…と言っても、そこはどことなく懐かしい…家庭科室のような部屋だった。
「それじゃあま手を洗ってエプロンつけましょう!」
既に着用し部屋で待っていた女性スタッフの指示に従う…各々エプロンは持参してきたようだ。

「ちょっと待ったクロちゃん」
柳大樹がパートナーに声をかける…彼はエプロンを持ち合わせておらず、そのままで挑もうとしていたらしい。
…だがそれも、柳にとっては『想定の範囲内』のようで、カバンからソレを出し、パートナーへと差し出す。
「これ使いなよ、持ってないと思って持ってきて正解だったね」
「…分かった」
小さく首を縦に振ると、クラウディオはすっと袖を通して、柳が差し出した【エプロン】を着用した。
「料理の際はまずその暑苦しいフードを取るべき…って、おおー…」
「大樹、これはエプロンなのか?」
フードを指示した柳の言葉をうけ、フードを外したクラウディオを見て柳は声が出た。
白いそれはどことなく懐かしいエプロン…もとい、割烹着で。
なかなか似合っているのだ、遠くにいたスタッフが、クラウディオを見て似合っていると小声で呟く。
「大丈夫、準備OK」
指で輪を作りOKとサインするパートナーに、クラウディオはそれならいいと手を洗い始めた。

「おとーさん何するの?」
エプロンを着用したダニエレ・ディ・リエンツォの周りを回るように歩く彼は、普段あまり見ない彼の服装に興味を示した。
「お料理しますよ」
そう答え彼の頭を撫でてあげれば、ジョルジオ・ディ・リエンツォはキラキラと目を輝かせた。
何を作るのか楽しみ!そうはしゃぐ彼に「危ないからおとなしくするように」とダニエレは約束を交わした。
手を上に上げ、元気よく返事をするジョルジオはこれから始まるであろう料理を見るのが楽しみなようだ。

「…大丈夫そう?」
隣にいた 逢坂貴雅は、足元ではしゃぐジョルジオを見てダニエレに声をかける。
ダニエレはにこりと笑い、ポケットを軽く叩いてみせた。
「一応対策は整えてありますよ」
「そりゃよかった、じゃあ大丈夫だね」
少しだけ、不安そうに見えるダニエレに、逢坂は彼の肩を叩く。
「戦いに挑むわけじゃないから…もう少し肩の力抜いてください、リラックスリラックス」

始まる前、彼の言葉に少しだけ肩の力が抜けたダニエレだった。


「はーい!それじゃあ講師側の方はバッチつけてくださーい!」
 スタッフの声が調理場に響く。
教わる側と教える側との区別がつくように、手渡されたのは赤いバッチ…中央には「講師」とマジックで書いてあった。
大きめのバッチを各自胸元へつけると…結構わかりやすくなった。

「結構講師さん多いですね」
「よかったー…あたし達だけで切り盛りできる自信無かった」
ホッとする女性スタッフに、アクア・グレイはぐっと腕をまくって笑ってみせた。
「頑張ります!」
「よろしくお願いしますね!」
教える側の目的は、『美味しく食べれるお弁当作り』と『あわよくば料理好きになってもらう』の二つである。
目的が同じ側なせいか、スタッフとアクアでグッとガッツポーズをしてみせた。
「ちょっと、まだ始まってないでしょ?」
「ありゃ、えへへ…失礼しました」
後から来たスタッフに呼ばれ、恥ずかしそうにアクアの前から去っていった。
そして彼は、隣にいるであろうパートナーに声をかけようとする…が。
「どうしたのワカバさ…ん?」
無表情で横を見る彼の頬から、少しだけ汗が流れているのが見える…多分嫌な汗だろう。
少しだけ、ほんの少しだけ目元の痙攣が見えたアクアは、木之下若葉の見ていた視線へと目を向ける。
ビクリと跳ねて固まるアクア…の先にいたのは、紫がかった黒いオーラを滲み出しているスタッフのようだった。
……遠目から見れば、まるで幽霊のようだ。

「ちょっとカサダさん!お葬式じゃないんだからもうちょっと笑って笑って!」
「む、難しいです」
「普段のペースどこ行っちゃったの!?」
カサダと呼ばれたその男はA.R.O.A.本部のスタッフのようだ、何度か見かけた事がある二人は「あ」と声を出した。
見かけた時の彼はとても穏やかで優しいスタッフ……のはずなんだが。

「…もしかして結構プレッシャーに弱い…?」
「……かもしれない」
近くにいる二人の声すら届かない程、彼は緊張と不安でいっぱいのようだった。

「それじゃあ始めましょうか!」
「皆さん独断で行動をしないでくださいねー!分からなかったら私達に声をかけてくださーい」
「よーい、スタート!」

女性スタッフの号令で、壮絶な予感のするお弁当講座が始まりを迎えた。



「こんなに小さいのですね……」
 子供用のウインナーを眺め眉間にシワを寄せるダニエレを、逢坂は心配そうに横で見ていた。
包丁を持つ彼の手は、うっかり自らの指を切ってしまいそうな程プルプルと震えているのだ……。
「待ってダニーの兄貴…これは、包丁の全体を使わないで、先だけで切るといいよ」
逢坂は手本を見せるように、横でタコさんウインナーを作る手順を再現してみせた。
彼の動きに合わせ、見よう見まねで切込みを入れていく…。
「ねーねー何つくってるのー?」
「今二人は、タコさん作っているんですよ」
ネスレルがジョルジオにそう答えると、ジョルジオは首を傾げた。
「タコさんじゃないよ?」
「ふふ、もうちょっと待ってましょうね」


「カサダさん、指をカニさんウインナーにしないでね」
「ひぃ!」
「…ワカバさん、もうちょっとフォロー!もうちょっと!」
 少し離れたテーブルでも、ウインナーに苦戦する男がいた。
木之下とアクアに挟まれるようにして見られているカサダ…彼はカニさんウインナーにチャレンジしているようだ。
「両端に切り込みを入れてくよ…こう」
「な、なるほど…」
「頑張ってカサダさん!大丈夫だから!」
「…っ、頑張るよ!」
上ずった震え声でそう返事するカサダに、二人はなんとも言い難い不安を覚えたのは口にしなかった。


「…へー」
「これでカニさんの足と手ができるんです!あ、ついでに中央部分に薄く×の切り込みを入れて…」
 柳とクラウディオは、通りかかった女性スタッフに声をかけ、ウインナーの切り方について聞いた。
説明を終えたスタッフが、大丈夫そうですか?とクラウディオに目を向ければ、彼は手元にあった包丁を持った。
「少し待って欲しい」
「は、はい…?」
そう言った彼は、手に持った包丁の柄を何度か握り、重さやつかみ具合を確認しているようだった。

(わー、なんだろうあの職人魂!重さまでチェックするなんてこの人…もしや料理好きを超えたプロ!)
 チェック具合に感動したスタッフをよそに、クラウディオは人のいない方向へ包丁を向けた。
そして…くるり、持ち方を変え数回振って見せる。
「!?」
「把握した…続けてくれ」
(プロはプロだけど…あれだ、捌くものが食べ物じゃないパティーンの奴かしら…)
「…大丈夫ですか?」
少しだけ顔が青くなる女性スタッフに、柳は背中に手を差し出した。
「どうした大樹」
「いや、このスタッフさんぶっ倒れそう」
「ま、まだやれます…まだ戦えます」
「料理教えて下さいね、俺達料理しに来たんで」
青白いスタッフを、慌てて別のスタッフが叩き落とし、調理が再開となった。


「あとは焼くだけだね」
「結構集中力がいりますね…」
 逢坂とダニエレは、切り終えたウインナーにほっとため息を吐いた。
ジョルジオはと言うと、調理に集中する二人に飽きてしまい、女性スタッフと一緒に遊んでいた。
それに気づき、慌ててスタッフに謝罪をすれば、女性スタッフは大丈夫だと答える。
「こういう助け合いも込みでお弁当講座ですから!」
そう微笑んだ女性スタッフに、少しだけダニエレの肩の荷が下りたような気がした。
ポケットからメモ帳とペンを出すと、それをジョルジオに渡す。
「お絵かきをして、もう少し待ってなさい」
「はーい」
つまならそうに返事をするも、女性スタッフの隣で絵を書き始めるジョルジオは楽しそうだった。
ふっと息を吐いたダニエレに逢坂はまだだと続ける。
「あとは焦がさないように焼かなきゃ…頑張ろう」


「カサダさん頑張ろう!あと一回切り込み入れるだけだから!」
「こ、こここわいです切り落としそうです…」
「…大丈夫だから、力まないでゆっくりね?そーっと…」
 二人の応援の効果あって、カサダはなんとかカニさんウインナーとタコさんウインナーの切り込みを終えていた。
最後の切れ込みに緊張するカサダに、二人は大丈夫大丈夫と応援する…すっと入った最後の切れ込みは、無事にタコ足を完成させていた。
「や、やったぁぁ…」
泣きそうなカサダに、二人は肩をポンと叩く。
足の太さや本数がバラバラなものの、あとは焼けば形になる…少しだけだが成長したようにも見えた。


「さあ あとは焼くだけだ」



「まずは綺麗にタマゴをといて…箸で白身を切っていくんだ」
 厚焼き玉子の準備を始めたアクアは丁寧に説明をしていく、タマゴの量やときかた…綺麗な黄色にする方法。
横で眺めるカサダに、わかりやすいようにゆっくりやって見せる。
「こ、こう…ですね」
「そうそう!上手ですよカサダさん」
厚焼き玉子用のフライパンを取り出したアクアは、にっこりと笑ってみせた。
フライパンを見て、顔が引きつったカサダをよそに。


「フライパンって…これっぽいよね」
「こっちの方が小さめなので、やりやすいと思いますよ」
 スタッフが差し出したフライパンを受け取ると、柳はコンロの上にフライパンを置いた。
油を少量敷いて、タマゴを入れようとするも、スタッフの手が彼のタマゴ投入を阻止する。
「え?」
「ふ、フライパン温まってからですよ…!」
「ありゃ、そうなんだ」
まんべんなく油がフライパンに回るようにと、くるくる油を回していく柳。
それを見ていたクラウディオが、ハッと何かを思い出した。
「大樹…タマゴは少量ずつ、そして火加減は強火ではいけない」
「……クロちゃん詳しいね」
「初心者の料理本というのに目を通したが…確かそう書いてあった」
 間違っているかとスタッフに問いかけたクラウディオに、スタッフは指で丸を作って正解です、と答えた。
事前の勉強とは良い事ですね、と言ったスタッフに、ふいと視線を逸らすクラウディオ。
「…ありがとうでいいんじゃない?」
「もう少し勉強の必要がある」
柳は目を逸らす彼が、褒められて少し嬉しそうに見えた気がした。
(多分気のせいかな…?)


「厚焼き玉子組みは大変そうだなー」
 逢坂が遠目で見ながら応援していると、ダニエレが首を傾げて逢坂が作るソレを見た。
「…それは何でしょう?」
「キャラ弁だよ?」
おにぎりを作りながら様子を見ていた逢坂だが、手元においてあった皿には可愛らしいおにぎりが置いてあった。
クマや猫…犬などを作ってあったり、おにぎりにのりで可愛らしい顔をつけてあったりと、バリエーション豊かだ。
「…これもできるようになったらいいですねえ」
「大丈夫ですよ、きっとできますって」
尊敬の眼差しで見られている事に気づき、少し気恥ずかしい逢坂。
自分もできるようになりたいと言ったダニエレに、ネスレルは一緒に頑張ろうと声をかける。

「…ところで、随分食べるんですね?」
「ん?…あぁ、まあね」
くすりと笑った逢坂の笑った意味を、ダニエレはまだ知らない。


「そうそう!上手ですよ!」
「で、でもグチャグチャになってしまいました…」
あまりにも不格好なタマゴを見て、カサダは情けない顔をしていた。
アクアは今にも泣きそうなカサダに、大丈夫と微笑みかける。
「これは中身になる部分なので、多少焦げたり崩れちゃっても大丈夫です」
「そ、そうなんですか?」
「これを上まで運んで…開いた所に残りのタマゴを入れましょう」
指示通りにフライパンにタマゴを入れていけば、熱ですぐにタマゴはかたくなっていく。
弱火にした状態で、ゆっくりタマゴを返していく…。
慎重に進められる作業を、アクアと木之下は見守っていた。

「…で、できた…!」
「おー」
「おめでとうございますカサダさん!」
 パチパチと拍手をするアクアの音に気づき、女性スタッフが駆け寄ってきた。
綺麗な色で出来上がった厚焼き玉子を見てスタッフも喜びを見せる。
…何より、調理した本人がホッとしていた。
「で、でも美味しく出来たかな…」
心配性のカサダに、木之下がカサダの肩を叩く。
手本用にアクアが作った厚焼き玉子を持つと、木之下は人差し指をくるくると回し、タマゴを指さした。
「オイシクナーレ オイシクナーレ」
「……き、木之下君?」
「大丈夫。オイシクナーレって思えば大抵美味しいよ」
そう言った彼に、そういうものなのかと困惑するカサダ。
だが彼は、カサダの絆創膏でボロボロになって手を指さして、言った。

「気持ちが篭ってるものは…美味しいよ、自分で食べるのも人に食べさせるのも、ね」
「…わ、ワカバさん…っでも真顔です!オイシクナーレは笑顔でしましょう?!」


「…オイシクナーレかあ」
 隣のテーブルで行われた一連の流れを柳は見ていた。
何処かの絵本にも、おいしくな~れと言って作った食べ物は美味しくなると書いてあったのを思い出す。
…絵本に描かれていた食べ物は、不思議と美味しそうに見えたものだ。
フライパンを見ながら、小さい声で呟いてみる。
「……オイシクナーレ」
「何か言ったか?大樹」
「魔法の呪文」
そう答えたパートナーに、料理には呪文が必要なのかと頭を悩ませるクラウディオだった。
器用にくるりと回した厚焼き玉子は、焦げ目がついたものの綺麗に完成した。
「んー…焦げちゃったけど上出来かな」
「黒い焦げ目じゃないですし、大丈夫ですよ!完成おめでとうございます」
最後まで付き添ってくれたスタッフに、二人はありがとうございましたと頭を下げた。
スタッフは柳に目を向けると、またにっこりと笑った。
「魔法の呪文はもう少し笑顔で言うと効果倍増ですよ」
そう言ったスタッフに、少しだけ頬が熱くなった柳であった。
( 聞かれた )



「はーい!皆さんお疲れ様でした、無事お弁当のおかずは完成したようですね!」
 女性スタッフの声に全員が視線を向ければ、スタッフの数人が各自にタッパーを差し出す。
なんだろうと思えば、その答えはスタッフが出した。
開けられたタッパーには、代表的なお弁当のおかずが詰め込まれている。
「私達でお弁当に詰める具材を増やしてみました、よかったらご一緒に入れて下さい」
「それじゃあ皆さん、盛り付け開始してくださーい!」

 タッパーに入っていたおかずは代表的なからあげやコロッケなど、お弁当に入れやすいように小さく作られていた。
…といっても主役は各々が作ったおかず、なのでスタッフが作った具材は小さめに作られていた。
盛り付けをああでもないこうでもないと話す…和気あいあいとした声が調理室に響く。

「できるだけ色合いが良いと美味しそうに見えますよ、赤ならトマトとか…あとは可愛いピンを使ってみたり」
参加者が中央のテーブルに集まり、皆でいろいろ話しながらお弁当を詰めていった。
特に悩まずに詰めた者もいれば、悩みすぎてまだ何も入れてない者も…様々だった。

「あ、ダニーの兄貴待って」
「はい?」
蓋を閉めようとしたダニエレを逢坂が止める。
どうしたのかと聞いたダニエレに、逢坂はにやりと笑った。
「隙間を野菜で埋めようって魂胆が見えると子供は嫌がるよ?」
「そ、そうなんですね…いや、野菜は食べてもらいたいのですが」
「主役は兄貴のタコとカニ、今回は野菜の出番は少なくていいんだよ」
ちょっといじらせてね、とダニエレからお弁当箱を受け取った逢坂は、詰めてあった野菜を数個外し…【ソレ】を入れた。
何を入れたか見えなかったダニエレだが、閉められてしまった弁当箱を差し出される。
「…まあ、いいでしょう」
「おとーさんできたの?」
「ええ、出来上がりましたよ」
待ってましたと言わんばかりに、ジョルジオは両手を上げて喜んだ。

「お、時間も良い頃ですね…それじゃあ皆さんお弁当食べに外行きましょうか」
そう言ったスタッフに、全員は返事をした。



 日の当たる中庭、昼食を取っているスタッフがいるそこで一同は食事をする事となった。
各自弁当箱の中身を知っているも、自分で開けるのに少しだけドキドキしているのが分かった。
「わー!」
そんな空気を取り払ったのは、ジョルジオの声だった。
何だ何だと全員の視線がジョルジオに向けば、彼の目は大きく開かれ、目をキラキラと光らせている。
「見て!見て!これテレビで出てたやつだー!」
お弁当をその場にいた全員に店に回ったジョルジオ。
中には今こども達に人気のアニメキャラクターの形をしたおにぎりが入っていたのだ。
そのクオリティーの高さに、見せられた一同はおぉー…と声が上がる。
「ありがとうおとーさん!」
「え、え?あ……貴雅くん」
嬉しさのあまりに抱きつくジョルジオを受け止めたダニエレだが…入っていたソレを見て隣の人物の名を呼んだ。
逢坂が少し多めに作っていたキャラクター型のおにぎりは、ダニエレの作っていたお弁当に忍ばせる為のものだったのだ。
やられました、と言ったダニエレに逢坂は満足な表情を浮かべお弁当を食べ始める。
「よかったねえジョルジオ君」
「うん!あ、たこさんお目目ある!」
「ふふ、そうだねー…交換する?」
ネスレルの弁当箱に入ったタコさんウインナーと目があったジョルジオはまた嬉しそうに微笑む。
ごまでつくられた愛らしい目元をじいっと見つめる彼と、ネスレルはおかず交換を楽しんだ。

「結構綺麗に足広がったね」
クラウディオの作ったカニさんウインナーを見て柳は驚いていた。
切り方のコツなど聞いていない、どう切ればを聞いただけ…だが完成したそれは、どこかの料理本に写ってそうな愛らしさだった。
「…食べるといい、上手くできている」
「え?…じゃあ遠慮無く」
ひょいとつまんだカニさんウインナーは、不思議と食べるのがもったいないという気分にさせる。
くるんと広がった手足は、今にも動き出しそうだなんて思えた。
(…変なの)
不思議な気持ちに、柳はクラウディオの作ったカニさんウインナーを口に放り込んだ。
「…クロちゃんにもあげるよ、厚焼き玉子」
「いいのか…では」

 思った以上に、お弁当講座は成功した。
楽しそうに笑う声や、おかず交換をする姿を遠目に見るスタッフ達は、やってよかったね、と笑う。
「教える側がいてくれたからだよ、ホントありがとうございます」
感謝するスタッフ達に、アクアと木之下は首を横に振った。
全員頑張っていたから最後が楽しいんだと思うと答える二人は、ふと後ろを振り返る。
…先程から一言も喋らないカサダが、まだお弁当を食べていなかったのだ。
「カサダさん、美味しくなってますよ!」
「…大丈夫だから、ほら」
不味かったどうしよう…折角教えて貰ったのに失敗したら。
不安でぐるぐると回っていた何かから抜け出せるように、二人がカサダの型を叩く。

「…い、いただきます」
綺麗に作る事ができた、厚焼き玉子を一口。
伏目がちな瞳は、ハッと驚くように開かれ…そして。
「凄い、美味しい…!」

カサダに笑顔を呼んだ。
「オイシクナーレの魔法凄いよ!…ありがとう二人共」
嬉しそうに笑うカサダに、二人はハイタッチをした。


日の当たる昼下がり、男達はお弁当作りを成功する事ができた。
美味しいと笑う声がA.R.O.A.本部に広がっていった……。



依頼結果:成功
MVP
名前:木之下若葉
呼び名:ワカバさん
  名前:アクア・グレイ
呼び名:アクア

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター らんちゃむ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 07月10日
出発日 07月16日 00:00
予定納品日 07月26日

参加者

会議室

  • [4]柳 大樹

    2014/07/15-19:27 

    飛び入りで失礼するよ。
    柳大樹です、よろしくー。

    今時男も料理できた方がいいでしょ、ってことで参加させて貰うわ。
    俺もクロちゃんも料理初心者なんで、まあ。
    食えるもん作れたら上出来ってことで。

  • [3]木之下若葉

    2014/07/14-19:45 

    木之下若葉とパートナーのアクアだよ。
    宜しくお願い致します、だね。

    アクアが教える側に近い方で厚焼き卵作ってるみたいだから、
    俺はその付添みたいなものかな。
    一応、かにタコウインナー作ってるけれど。

    だね。美味しく作れると嬉しくなるよね。お弁当って。

  • [2]逢坂 貴雅

    2014/07/13-10:11 

    逢坂貴雅です。よろしくお願いしますね。
    俺は料理が趣味ですので参加させていただきました。

    ・・・お弁当、美味しく作れるといいですよね。

  • ダニエレ・ディ・リエンツォです、宜しくお願い致します。
    パートナーであり、息子であるジョルジオに手作りの弁当を作ってあげたいと思ってます。


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