


●休日前
君は、家路を急いでいる。
明日はなんといっても休みなのだ。しかも、君の精霊も同じく一日中休みである。
休日の前日の夜ほど心躍る時があるだろうか。
君は、明日やりたいことについて思いを巡らす。
晴れるだろうか、雨がふるだろうか。
天気予報は晴れだったけれど、最近あまり当たらないから、全面的に信頼はできない。
でもきっと……君の予感通りになるだろう。
そういえば、いろいろなイベントが紹介されていた。明日行けるものもあったはずだが……。
いや――何処にも行かないでおこう。
君はいろいろ考えた末、そんな結論に至った。
たまには、特別なイベントなどしない、穏やかな平凡な休暇もいいはずだ。
少し出たとしても、散歩や買い出し程度で、遠出は無しだ。
溜まった洗濯をする?
めったに掃除しない場所を掃除する?
腕によりをかけて、凝った料理をしてみる?
それとも惰眠を貪ろうか。
それとも長い長い風呂を楽しもうか。
だらだらお菓子を食べながら、テレビを見るのも楽しいだろう。
いつもは時間を気にしてしまうようなことも、一日を自由に使えるなら出来るはず。
晴れなら、ひなたぼっこもいいだろう。
雨なら、雨音を聞きながら読書もいいだろう。
明日は家にいよう、彼と一緒に。
なにも彼と同じことをすることはない。同じ時間、同じ場所を共有するだけでもいい。
彼は家にいると決めた休みは何をするのだろう。
君はいろいろと想像を巡らせては、口元をゆるめた。
明日の予定を決めた君の足取りはとても軽い。
大事な休みの日、平凡に過ごすのも、きっと贅沢。


●内容:休日を家で過ごす。
家で過ごすなら何をしても自由です。
相談期間が非常に短いのでご注意下さい。
●趣旨
ウィンクルムの皆様の日常を切り取るハピネスエピソードです。
自由設定に書ききれない「神人と精霊は、普段こんな風に休みを過ごしている」
を描写できればと思っていますので、気負わず自然体でどうぞ。
●注意
一つ屋根の下に神人と精霊が過ごすシチュエーションになります。
別居している場合は、どちらがどちらの家に訪問するか明記して下さい。
特に記述がない場合、同居しているという前提でリザルトを作成いたします。
お世話になっております、あき缶でございます。
おうちデートも立派なデート!
ゴロゴロ・ダラダラだって、立派な休日の過ごし方!
あき缶はそう主張したい! (引きこもり怠惰人間はかく語りき)
※出発日には十分ご注意下さい。


◆アクション・プラン
スウィン(イルド)
|
朝食(トースト・スクランブルエッグ・サラダ・牛乳) を作っていて、起きてきたイルドに 「おはよ~。朝食にする?シャワーにする? それともワ・タ・シ?」 ふざけて笑っている間に朝食完成 スウィン用のトーストは甘く、イルド用はがっつり系 一人分作るのも二人分作るのもあまり変わらないと よく作りに来ている 食事後はソファに座り スナック菓子を食べたりクッションを抱きしめたりしながら テレビを見る 内容はニュースを中心に幅広く 「ありゃ、明日は雨ね…」 筋トレを勧められたら 「休みの日まで疲れる事したくないわ~ ムキムキになんのはや~よ」 とブーブー言ったり 「夜は何が食べたい?」と聞いてみたりで ダラダラ一日が過ぎていく |
|
いつも来てもらってるのでタイガの家へ(初) お土産にメイド特製レモンパイ 老舗の菓子か迷ったけど手作りが心篭ってそうだし 僕の話は聞いてるだろうか !と突然お邪魔してしまって。神人のセラフィムです(鉢合わせに動揺) ■ アレで足りるかな …あ、ううん。隠れ家みたいで 確かにメイド達がみたら黙ってなさそうだ でも暖かくて、居心地よさそうだよね 膝枕?男の膝なんて固いと思うけど…いいよ。頑張ってくれてるお礼 タイガのこと話して 普段なにしてるか知りたいな 嫌じゃない。…嬉しいけど表し慣れてないんだよ(照) スキンシップなんて今までまともにした事なかったし …タイガの家に生まれればよかった ありがた迷惑(笑) タイガが寝付いて居眠り |
|
ラキアの家に遊びに行く。 自然たっぷりの庭先でゆっくり寛ごうと思って。 ラキアのお気に入りの店で買ったケーキを持って行くぜ。 「手伝ってくれる?」って笑顔で言われたら手伝うしかないじゃん。 いいぜ、体動かす事好きだし。 草花の手入れなんて楽々だぜ、と思ったけど意外とハード。 鉢植え運んだり、土を運んだり、鉢から植木を外したり。 ラキアに色々と教わりながら作業する。 案外力仕事が多いんだな。 他に庭の雑草取ったり花柄摘んだり。 気が付いたら一日ラキアの庭でアレコレ作業してた。 ラキア、結構人使いが上手い。 いつの間にか乗せられていた(苦笑。 労働の後のケーキとハーブティが美味しいなぁ。 お互いの理解が深まった気がするぜ。 |
|
ラーヤラーヤラヤ、ウィンクルムー♪(ご機嫌 朝ごはんを食べ終わってウルに話しかける えへへ、お家でのんびり久しぶりだね 何する何する何して遊ぶー? えーひまだよーひまー…むぅ 構ってくれないからむすっとしてウルのお腹をべしっと叩いてテレビを見に行く 30分位したら暇で眠くなってとぼとぼ戻ってくる ラヤも寝るー… ウルの腕を枕にしてウルの方を向いて目を閉じる ウルの手あったかいー… ずっと前にこうして撫でてくれた人は死んじゃった でも悲しくないんだ なんでなのかな ウルが守るって言ってくれたの…うれしかった… …うー…?ウルうるさぁーいー タオルケットに包まり二度寝ミノムシの構え 引っぺがされて目を擦りながら起きる ふぇーい… |
●だらだらと朝
休みの日は目覚ましが鳴らない。
体が欲するだけ眠って、好きなときに起きるのは、休日だけの贅沢だ。
外が明るいのには気づいていたが、イルドはもそもそと体の向きを変え、もう一度深く眠ろうとしたが……。
物音に妨げられた。
眉根を寄せて、イルドは不承不承覚醒することにした。のっそりと起き上がり、声の方――つまりキッチンへと向かう。
案の定スウィンがキッチンでフライパンをかき回していた。鼻歌交じりで、朝から上機嫌である。
彼は同じマンションの隣の部屋に住んでいるが、鍵は渡してあるので、不法侵入ではない。もちろんイルドもスウィンの部屋の鍵を持っているが、もっぱらスウィンが訪問してくる。
家主の視線を受け、スウィンは爽やか笑顔で問うた。
「おはよ~。朝食にする? シャワーにする? それともワ・タ・シ?」
イルドは、これしきの言葉にうろたえはしない。なぜなら日常茶飯事だからだ。
「……飯」
とぶっきらぼうに答え、イルドは着替えるべく自室へ戻っていった。
着替えたイルドが戻ってくると、ダイニングテーブルには湯気がたつ食事がちゃんと揃っていた。
「冷めないうちに食べましょ~」
とスウィンはいそいそと席に着き、二人のグラスにミルクを注ぐ。
一人分も二人分も手間は同じ、とスウィンが率先して世話を焼きに来てくれるのは、ありがたい。
イルドはトロリと溶けたチーズがかかったピザトースト、スウィンはたっぷりのバターの上に砂糖をかけたシュガートースト。サラダにスクランブルエッグはお揃い。
「いただきます」
淡々とした食事が進む。それでも一人で食べるよりはずっと良い。
「ごちそーさん」
イルドは空になった皿をシンクに持って行きながら、まんざらでもないと思うのだった。
皿を洗うのはイルドの仕事だ。その間に、スウィンは勝手知ったる他人の家とばかりに、リビングへと移動し、ソファに座ってテレビをつける。
背中でテレビの音を聞きながら、コロコロチャンネルを変えながらも結局ニュースになるのはオッサンだからか、とイルドは内心で笑った。
「……おい。さっき朝飯食べたとこだろ」
皿をきちんと棚にしまって皿洗いを終えたイルドは、ソファのスウィンを見て呆れたように言う。
「えー? お菓子は別腹よ~」
ぼりぼりとポテトチップスを噛み砕きながら、ハート型のクッションを抱きしめたままスウィンは顔だけイルドに向けて言い返す。
クッションも菓子もスウィンがイルド宅に持ち込んだ、彼の私物ではあるが……。
私物は他にも歯ブラシやらオーディオソフトやら箸やらいろいろだ。
(……俺の家、おっさんに侵略されてないか?)
そんな疑問がイルドの脳裏を掠めるも、まぁいいかで済まされるあたり、結構イルドもこの生活に馴染んでいるようだ。
「イルドも食べる~?」
「いらない」
ソファの裏側で腹筋を始めた精霊に、神人は一応尋ねてみるも、予想通りの返答が戻る。
イルドは菓子をあまり好まない。この家にあるお菓子類は全てスウィンの持込品だ。
「おっさんこそ、一緒に鍛えるか?」
腹筋をしながら、後ろを振り向いているスウィンを誘ってみるも、やはり予想通りの返答が戻った。
「休みの日まで疲れることしたくないわ~。ムキムキになんのはや~よ」
テレビの音と、運動時の小さな呼吸音。
たまに、
「ありゃ、明日は雨ね……」
というスウィンの呟きや、ダンベルを持ち上げる回数を数えるイルドの声が混じる。
「ねー、夜は何が食べたいー? ピザ?」
「まだ昼も食ってねーよ。つーか、さっきのCMの影響モロに受けてんじゃねえ」
「ばれた」
「そもそも、俺の朝飯ピザトーストだったんだけど」
●せっせと昼
新緑の季節、風は爽やかに坂を駆け降りて、街路樹の葉をくすぐっていく。
さんさんと日光を浴びて、緑を深くしようとする木々に囲まれた家を目指し、セイリュー・グラシアは、木漏れ日の下で坂を上っていた。
あの小さな森のような家が、セイリューの精霊ラキア・ジェイドバインの住処なのだ。
セイリューは、手に小さな紙袋を提げている。中には、保冷剤に守られたケーキの箱が鎮座している。ラキアが気に入っていると前に話していた、坂のふもとにあるパティスリーでみつくろったものだ。
ラキア家の門の前に客人がたどり着き、さあ呼び鈴を鳴らそうとしたとき、門から赤い髪が覗く。
「あ、セイリュー」
「うわ、あの」
いきなりすぎて、慌ててしまい、セイリューはもごもごと、挨拶の言葉を口の中で転がした。
「ようこそ」
門を開けたラキアは園芸用の手袋にエプロン姿。ガーデニング装備で固めている。
「ちょうど良かった。今日は庭の手入れをしようと思っていたんだ。手伝ってくれる?」
そんな笑顔を向けられたら、断りようがない。
「いいぜ。体動かす事好きだし」
でもその前にケーキだけは冷蔵庫に退避させてくれ、とセイリューは袋を掲げてみせる。
袋に印字された店の名前を見て、ラキアはもっと相好を崩した。
「よっと……とと」
土の入った袋の移動は中々骨が折れる。
よろよろと袋を運ぶ神人を見て、肥料の準備を整えていたラキアは心配そうに声をかけた。
「ああ、ちゃんと腰を入れてもたないと、痛めてしまうよ」
「大丈夫大丈夫っ……と! ふぅ」
どすっと音を立てて土を指定の位置に下ろし、セイリューは息を吐いた。
朝飯前だと思っていたが、なかなかどうしてハードな仕事だ。
(案外、草花の手入れって力仕事が多いんだな)
一見女性かと思う程線の細いファータのラキアは、こんな重労働を涼しい顔で……いや楽しそうにやっているのだと思うと、元々彼の趣味が園芸だとは知っていたが、なんだか新しい一面を知った気がした。
「セイリュー、この鉢一緒に動かして」
「オッケー!」
次々とラキアの頼みに応じるセイリューは、まるで独楽鼠のようだ。
「セイリューが来てくれたから、大き目の鉢植えの植え替えも出来るね。助かるよ」
ラキアはとても嬉しそうに言い、鉢から慎重に植木を抜いていく。
「これどうするんだ?」
どうすればいいのか分からないセイリューは、素直にラキアの指示通り動きながらも尋ねた。
「根が詰まっているから、一回り大きな鉢に植え替えるんだよ……これ、結構技量が必要で……」
根を傷つけてしまってはいけない。ラキアの真剣な表情を見て、セイリューはしばらく静かに見守ることにした。
ようやく鉢から木を抜いたラキアは、セイリューに手伝ってもらいながらようやく植え替えを成功させた。
「ふぅー。ありがとう、おかげで俺もこの子も助かったよ」
窮屈な思いをさせたね、と植木に話しかけたラキアに、セイリューは言う。
「これくらいどうでもないぜ」
「ほんと? じゃあ、庭のお手入れも一緒にやってくれないかな」
「勿論!」
草を抜きながら、庭の植物についての話も弾み、庭がすっかり綺麗になった頃には、日が傾き始めていた。
初夏の夕暮れらしい涼しい風を感じ、ラキアは我に返ったかのように、セイリューに困り顔を向けた。
「ごめん……調子に乗って色々とお願いしちゃったね」
だが、こんなに落ち着いて庭と向き合えたのは『何もしない』休日だからこそ。声は申し訳なさそうなラキアだが、すがすがしい気分で顔が輝いている。
「いや。でも、いつの間にか乗せられちゃってたな」
それを見てしまったセイリューは、苦笑を返す。確かに慣れない土いじりは疲れたが、心地良い疲労だ。
「お茶にしようか。君からいただいたケーキで。……ハーブティがあるよ」
と家に戻ろうとするラキアを、セイリューも追う。
「お、労働の後の甘いものか。楽しみだな」
笑顔のセイリューに、ラキアの顔もほころぶ。
「せっかくだから、晩御飯も食べてって」
●ほのぼのと夕
セラフィム・ロイスは呆然としていた。
目の前の小屋――金持ちの子であるセラフィムの家の物置より小さいかもしれない――木の家は、喧騒に包まれていたのだ。
どうすればいいのやら、手土産のレモンパイの籠を抱えたまま、途方にくれていたセラフィムは、唐突に。
「あーお客さんだー!」
と小さな子供に指をさされて、びくりと肩を揺らした。
「こら、人を指差すんじゃない! いらっしゃーい、どちらさま?」
大柄な男が子供を追いかけてきて、しかりながら抱き上げ、爽やかな笑顔をセラフィムに向けた。
「! と、突然お邪魔してしまってすみません。神人のセラフィム、です……」
押され気味に名乗る。たしか、自分の精霊は男兄弟の末っ子だったか。ならば、彼は兄で、子供は兄弟の子だろう。
「ああ、タイガのね。入って入って。……タイガー!! お客さんー!!」
家人を呼ぶ大声にも、大声に慣れないセラフィムはいちいちビクビクしてしまう。勢いが凄い。メイドがしずしずと取り次ぐロイス家ではありえない情景だ。
すぐに家から、セラフィムの精霊である火山 タイガが出てくる。
「あーもう! うるさいな! ……セラ、よく来たな。狭いし騒がしいけど入って」
タイガに先導されて、ようやくセラフィムは火山に入った。
「うん。あ、これ、お土産」
「お、サンキュー。でもさ、そこは否定してくれよなー」
カラカラ笑われ、セラフィムは慌てて言葉を継ぐ。
「確かにメイドたちが見たら黙ってなさそうだけど。でも、温かくて居心地よさそうだよね。隠れ家みたいで……」
ここは狭いが、寂しくはない。多忙なために不在がちなためにガランとした自宅と比べ、セラフィムは憧れめいた気持ちをこの家に抱いた。
タイガは適当な椅子をパタパタはたいてから、客人に勧める。
そして、ずーっと興味津々という風に覗いてくる家族達に吠えた。
「あーもう! 菓子でも食ってろ!」
とパイの籠を押し付け、野次馬達を追い払った。
「悪り」
「いや……アレで足りるかな。次はもう少し大きく焼かせるよ」
「手作り?」
「メイドのね。老舗の菓子と迷ったけれど、手作りの方が心がこもって……」
とまでセラフィムが語るのを、覆い被せるように、
「タイガー、俺ら出かけてくるわー!!」
ドアの向こう側から男の怒鳴り声。
タイガもドアに向かって、
「いってらっしゃい! しばらく空けてていいぞ!」
と怒鳴り返すと、
「神人さん、美味いパイごちそうさんでしたー! ごゆっくりぃー!」
という怒鳴り声の後、気配が遠ざかっていく。
タイガは、足音が遠ざかるのを確認し、両手を合わせながらセラフィムに向き直った。
「ほんと騒がしくて悪ぃ。……で、なんだっけ?」
「いや、いい……」
とセラフィムは言いつつ、あのレモンパイが一瞬でなくなったのかと火山家の健啖ぶりに舌を巻くのであった。
「はぁ。……オレの部屋でも行く? ここよりはくつろぐと思うし」
とタイガが誘い、セラフィムは諾々と従う。
なんだか振り回されっぱなしだ。
「そういや、セラがウチに来るのって初めてだよな」
「いつも来てもらってるから……」
と言いながら歩く廊下もあっという間にどん詰まり。タイガがドアを開くと、机とベッドがぎゅうぎゅう詰めになった部屋が現れる。
「ここが俺の部屋」
ちょっと汚いけど、と照れるタイガ。狭い故に収納が足りないから仕方がない部分もあるだろうが、確かにあまり整理はされていない。
セラフィムが座るところがないのでベッドに腰掛けると、タイガも隣に座ってきた。
「あ、膝枕やって欲しい!」
「え? 男の膝なんて硬いと思うけど……」
突然のお願いに、一瞬戸惑うもののセラフィムは微笑んだ。
「いいよ。頑張ってくれてるお礼」
ベッドの上に正座し、タイガの頭を受け入れるが、温かい重みを感じた瞬間すこし体がこわばった。
「……セラって触られるの嫌?」
敏感に彼の反応に気づいたタイガが、心配そうな顔で尋ねてくる。見上げてくる視線を受け止めながら、セラフィムはそっと首を横に振った。
「嫌じゃない。……うれしいけど、表し慣れてないんだよ。スキンシップなんて今までまともにした事なかったし……」
「……今があるじゃん。よし、もっとしてやろっか?」
「ありがた迷惑」
そんなじゃれあいのような会話の後、セラフィムは静かにねだった。
「タイガのこと、話して」
「いいけど……どんなことを?」
「普段何してるか知りたいな」
タイガはそんな面白いことはしていないけれど、と前置きしてから日常について話しだす。
狩りへ行ったり、工事現場で働いたり、男所帯を支えるために色々とタイガが肉体労働をしている話は、病弱かつ所謂上流階級で育ったセラフィムには新鮮な話だった。
いつの間にか、二人とも眠っていたらしい。
「ん……?」
ふとタイガは目覚めるも、起き上がるのはやめた。
視界一杯に、膝枕をしたまま、舟をこぐセラフィムがいる。
(美形だよな)
このまま上体を上げれば、彼の唇に触れることができるだろう。
(今なら……いいかな……? オレからならトランスにならないし……)
どきどきとタイガが葛藤している間に。
「おーい、かえったぞーー!!!」
空気の読めない家人が帰宅を告げ、
「うわあ!」
すさまじく驚いたタイガに、
「えっ!? うわっ!? あ……!」
驚愕したセラフィムがとっさに立ち上がろうとするも、足が痺れきっているのでベッドに倒れこむ。
一拍後、顔を見合わせて二人で同時に吹き出した。
●気がつくと夜
最後の一口の紅茶を喉に流し込む。ごくんと飲み込んだら、朝ごはんはおしまい。
「ごちそーさまでした。ね、ウル、お家でのんびり久しぶりだね」
えへへと笑いながら、ラヤは後片付けを始めたウルリヒ=フリーゼに話しかけた。
「そうだね。ウィンクルムになってから色んな手続きで忙しかったからね。ラヤもお疲れ様」
鹿耳をぴるりと動かし、ウルリヒは笑顔を返す。
するとラヤはニパッと笑った。
「何する何する何して遊ぶー?」
「……」
ウルリヒは笑顔を引っ込めた。嫌な予感がする。
流石十歳児、元気だ……。そもそもラヤは色々あって、一般の十歳よりも心が幼い。
ラヤの言うままに遊びに付き合ったら、体がいくつあっても足りない……とまでは言いすぎだが、たまの休みが超ハードになることは必至だ。
ウルリヒは食器を片付けたあと、静かに寝室へと向かった。
「ウルー?」
不思議そうに彼の後を追うラヤ。
「ウルリヒさんは疲れたので、ゆっくりしたいでーす」
どさっ。
ウルリヒはベッドに横になった。もぞもぞと布団もかぶる。
「えー!?」
当然ながらラヤは不満である。
布団を引っ剥ぎ、ゆさゆさウルリヒの体を揺らす。
「えーひまだよーひまーーひーーまーーー!」
だが梃子でも動かない覚悟のウルリヒ、わざとらしくいびきまでかいて、徹底抗戦の構え。
「…………むぅ。もういい!」
ぺしっとウルリヒの腹を叩き、ラヤは不満げにわざと足音を高らかに鳴らしながら、寝室から出て行った。
(よそよし、どっかいったな……)
音が漏れてくるので、テレビを見ていることは分かる。勝手に外に出て行くなど、危ない行動はしないようだ。
「少し眠るか……」
寝たふりをしていたら、本当に眠たくなってきた。あくび一つ、ウルリヒはまどろむ程度の眠りについた。
「……つまんない……」
テレビはいつまでも子供向け番組ばかりはしてくれない。時間が昼に近づくにつれ、ラヤにはつまらない番組ばかりになってきた。
ふわあとあくびも漏れる。
「ラヤも寝るー……」
とぼとぼと向かうはウルリヒのベッドだ。
(戻ってきたな)
足音で目が覚めたウルリヒは、目を擦りながら近寄ってくる神人に優しい声をかける。
「ラヤ、寝るの?」
「んー」
むずがるように頷き、ラヤはウルリヒの隣に滑り込むと、彼の方を向いてすやすやと眠りだした。
「寝つきがいいなぁ」
さすが子供……とまで考えて、ウルリヒは真剣な顔つきになった。
(そうだ、ラヤはまだ子供なんだ。出来れば学校もいかせたいし)
ラヤは孤児だ。目の前でオーガに両親を殺されたショックで、心も傷ついた子供だ。
(この子にはもう俺しか居ないんだよな……しっかりしないと)
ぽんぽんとラヤの背を叩き、寝かしつけている間に、ウルリヒ自身も真剣に眠たくなってきたらしい。
「ぐー」
とうとうウルリヒは、完全に熟睡してしまった。
温かい手にあやされて、ラヤは夢うつつに考える。
昔、こうしてくれた人はもう居ない。
――でも、なんでかな。悲しくないんだ……。
「ウル……」
彼が精霊としてラヤを守ってくれる話を聞いた時、ラヤは嬉しかった。
その温かい気持ちのまま、ラヤは夢の中へと沈んでいく。
「はっ!?」
がばあっと身を起こし、ウルリヒは愕然とした。
周囲が真っ暗だ。
「今、何時だ!?」
枕もとの時計を引っ掴んで確認すると、すでに夕方と言うよりは夜の時間帯である。
「うわーーーー……もったいない……」
一日寝て過ごしたに近い。ウルリヒは布団に突っ伏し、とてつもなく一日を浪費したと悔やむも、すぐに気を取り直す。
「……まぁ、こんな休日があってもいいか……」
こんなに寝てしまうとは、よほど疲れていたのだろう。明日からまた頑張れば良いのだ。休養の日と書いて、休日なのだから。
うんと伸びをしたウルリヒは、
「ウル、うるさぁーい……むにゃむにゃ」
未だ眠りのふちを彷徨うべく、布団に包まりなおそうとするラヤを揺り起こす。
「ラヤー起きろー。昼兼晩御飯作るぞー」
「ふぇーい……」
まだ二人の暮らしは慣れないけれど、穏やかに一日は過ぎていく――。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | あき缶 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 4 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 06月20日 |
| 出発日 | 06月25日 00:00 |
| 予定納品日 | 07月05日 |

2014/06/24-00:57
どうもセラフィムとタイガだ
僕はタイガの家で一緒に一時を過ごす予定
ラヤは初めましてになるな。リザルトでは遭遇は難しいと思うけれど
はじめましてもいつもの面子もよろしく頼む
すでに〆切一日前だしプランは提出済みだ
2014/06/24-00:20
セイリュー・グラシアだ。
ややハードな日々が続いたので
のんびり過ごすつもりさ。
皆、良い休日を過ごそうぜ。
2014/06/23-19:41
こんばんはっ!ラヤだよ~♪
ウィンクルムになってからずっとばたばたしてたから、お家でゆっくり楽しみ!
ウルでいっぱい遊ぶーんだー(*´∀`)
ウルリヒ:…ちょっとまってラヤくん、「で」じゃない。
せめて「と」にして。
2014/06/23-01:29
ばんわ、スウィンよ。折角の休みだからダラダラ過ごすわ~。
イルドはあんまりダラダラってわけでもないけどね。皆、いい休日を♪

