


「暑いね……」
「そうだね……」
タブロス某所、公園のベンチに腰かけて。
あなたとパートナーは、青い空をぼんやりと見上げていた。
ふわふわ流れる白い雲は、まるで平和を象徴しているかのようだ。
「ソフトクリームが食べたくなっちゃった」
「食べに行く?」
「行こうか」
言ってあなたは、立ち上がる。
任務から戻り、思うところはたしかにあった。
でもどんなときにも、日々は続いていく、というのは当然のことで。
戦いで傷を負った者は、それを癒し。
空腹を抱えている人は、たくさん食べて。
疲れ切っている人は、ぐっすり眠る。
パートナーの大切さに気付いた人は、絆を深めようとするかもしれない。
もしかしたら、なんの気負いもなく、するっと普段の暮らしに戻る人も、いたりして。
「あー……でも、かき氷の方がいいなあ。そっちの方が冷たいもん」
「じゃあさ、かき氷にソフトクリームのせればいいじゃん」
「それ名案だね!」
真夏の道を歩きながら、あなたはぼんやり考える。
(この先、僕たちは、どんな未来を進んでいくんだろう)
「俺、ブルーハワイにしようかな。お前は?」
「あー、イチゴかメロンか悩むな」
こうした普通の日々の続きにある未来。
あなたとパートナーだからできること。望むもの。
未来の話を、しませんか。


あなたとパートナーの、現在から未来に続く話です。
もちろん「こうなる」という確定ではなく、あくまであなたが、あるいは二人が望むシーンを描きます。
大きな戦いを終えたあなた達が、目指す未来とは?
求める日常とは?
らぶてぃめ世界にのっとっていれば、特に制限はございません。
自由に考えてみてください。
かき氷&ソフトクリーム、買いました。300Jrいただきます。
(大人な事情ですので、プランには組み込まなくて大丈夫です)
シチュノベで大満足!な方も多いと思うのですが、どうしてもやってみたかったんです。
あなたと、あなたのパートナーの未来の話です。
たぶん、これがらぶてぃめでの、瀬田のラストエピソードになるかと思います。
(入ってくださる方がいれば、女性側にも同じ内容のものをなげるかもしれませんが)
ご縁があれば、嬉しいです。


◆アクション・プラン
信城いつき(レーゲン)
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ついにお酒の飲める歳になった! 以前約束してたレーゲンとお酒を飲みに行こう! なのになんでご近所さん達がいっぱいいるの? お祝いって、嘘だー絶対飲みたいだけだー! え、えーと俺の生まれたのは日付変わるギリギリだから、それまではダメっ! 無理矢理に理由をつけてお酒をつがれる前に先につぐ! この場は飲まないけど折角だから楽しむ! なんとか日付が変わるまでに自宅にもどろう 楽しいし嬉しかったよ、でも初めてのお酒はレーゲンと飲みたかったんだ わずかだけど二人で乾杯 あの時から少しは成長できたかな? ……「こいびとどうし」ぐらいには なれてるかな? もう少し飲みたかったなー !? (びっくりした…よく分かんないけどびっくりした) |
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5年ぐらい後。 外見25歳。実際の年齢より若く見られる。 や、子供っぽいとかじゃなくてだ。常に少年の心を忘れないと言ってくれ。 今までとほぼ同じ生活をしてるぞ。 ラキアと一緒に暮らして、レカーロや猫達と一緒。 スポーツインストラクターとしてジムに勤める。 ラキアがジムに通うようになってくれて嬉しい。 そーだろ、やっぱ体動かすのはいいし、いざって時の対応のために体力づくりは大事。 時折、ボランティアで災害対応やその事後処理の手伝いもしている。 海や山で行方不明者出た時の捜索とか。 野生動物が人里に出で来た時の対処とか。 困っている人見ると放っておけないし今までの経験が生きるじゃん? 対処出来る能力は活かしていこうぜ! |
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建築現場で親方の作業開始の号令が響く オーガとの戦闘でボロボロになった街の復興の為に僕とゼノはここにいる 大工として家を建て直すのが仕事だ 僕は正月に相棒の故郷でデンジャラスな成人の儀を受け乗り越えた それ以来僕の野生が目覚めた様な アクティブに汗を振り切って生きたくなった ゼノは僕がいないと何しでかすか分らない奴で2人で出来る事を探してた 大工はうってつけだと思った 僕は繊細な作業が得意 体力も付けた 相棒のバカ力とタフさも大工仕事にはもってこい 2人で生きる為に選んだ 復興に携わっている事も誇らしい オーガと戦う事がなくなっても2人でいる為に選んだ道だ 現実に戻り 確定ロールかますんじゃない(赤面 おらっ弁当食うぞゼノ! |
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昼過ぎ紫陽花園を散策中 東屋に寄り途中移動販売車で買ったソフトクリーム乗ったかき氷で一休み さっきのアイス屋さん可愛い車だったね うん もし…もしね 自分のお店を持てるとしたらああいう形がいいのかも…なんて 促してくれるからちょっと照れつつ話す あれならどこでだってお店が出せるから色んな場所で色んな人にお菓子を食べて貰えるなぁ…て それで僕のお菓子で笑顔になってくれたら…幸せ う うん…そうなったらいいなぁとぼんやり(赤面 ●ここから2人の想像 僕が作った沢山のお菓子を載せて各地を走る僕等の可愛い移動販売車 次の目的地まで海沿いをドライブ 楽しいおしゃべり 指には結婚指輪がキラリ 今日はオーガに傷ついた村のお祭り |
●信城いつきとレーゲンの未来
7月7日。夜の始まりの空の下。
信城いつきとレーゲンは、いつも通りの服装で、慣れた道を歩いていた。
いつきの顔は、満面の笑み。
「そんなに嬉しい?」
「当たり前だよ!」
いつきは傍らのパートナーを振り仰いだ。
「だってついに、お酒の飲める歳になったんだから」
「うん、お誕生日おめでとう、いつき」
「ありがとう、レーゲン」
今日、何度目になるかわからないやり取りを繰り返し。
二人は近所の小料理屋を訪れた。
なるべく堅苦しくないように、気楽にお酒が飲めるようにと、相談して決めた店だった……のだが。
「おお、いつき。誕生日だろう? おめでとう!」
がらりと戸を開けて店内へ。席に座るなり、知り合いが声をかけてきた。
「ちょっとなんでみんな、テーブルくっつけてるの?」
「そりゃあ、いつきを祝うためだろ。祝いとくれば宴会だ、なあ?」
――結果。
酔っぱらった男たちは、自由気ままに、やりたい放題。
「お祝いって嘘だー! 絶対飲みたいだけだー!」
「それでも、誕生日を祝ってくれるのは良いことだよ」
隣で微笑むレーゲンを、いつきはつんと睨みつける。
(レーゲンは全然わかってないっ! 俺がどんな気持ちで、今日を迎えたか……っ!)
いつきは仲間によって、今まさに酒が注がれようとしていたグラスを、すっと持ち上げた。
「俺が生まれたのは日付変わるギリギリだから、それまではダメっ!」
「え~、酒飲みに来たんだろ?」
当然のごとく言われるが、頑なに「今は飲まない」と繰り返す。
「それよりさ、俺が注いであげるから!」
その後、いつきはジュースを飲みながら、レーゲンもお酒の類は口にせず。
ケーキはないけど、とラストに出てきたアイスまで、和気あいあいと食事を楽しんだ。
結局、店を出たのは夜11時だ。
「ああ、もうお腹がいっぱいだよ。見て、これ!」
服の上から膨れた胃を叩くいつきの姿に、レーゲンは苦笑した。
「みんな、いろいろ勧めてくれたからねえ。今日は、いい誕生日になってよかったね」
「うん。楽しいし嬉しかったよ、でも……」
いつきが、レーゲンを見上げる。
「初めてのお酒はレーゲンと飲みたかったんだ」
「……うん」
レーゲンは、頷いた。
生まれた時間にこだわって断るなんて、普段のいつきならしなかったはず。
それを見たとき、ピンときたのだ。
(ああ、いつきは、私と二人だけで飲みたいんだな)
だからレーゲンも、あの場ではアルコールを口にしなかった。
「お酒、少しなら家にあるから、それで乾杯しよう」
※
「いつきの、誕生日に」
――乾杯、と。
重ねたグラスを、唇に寄せて。いつきは、初めてのお酒を飲み込んだ。
「……美味しい……けど、口が熱い」
グラスにあるのは、レーゲンならば、たった数口で飲み終える程度の量。
それをちびちび飲みながら、いつきは、懐かし気に目を細めた。
「思い出すなあ。昔、ホテルのカフェバーに行ったときのこと」
「プールサイドの?」
「うん。あの時から少しは成長できたかな? ……『こいびとどうし』ぐらいには……」
「なれてると、思うけどね」
レーゲンは、いつきが膝の上に置いたままにしている左手に、そっと手を添えた。
「これが『こいびとどうし』?」
ふふふ、と楽しそうに笑ういつきの無邪気な表情に、レーゲンの胸がきゅっと鳴る。
こいびとどうし、のかわいい響きもいいけれど。
(そうだ、いつきも大人になったんだ……だったら)
――本気のキスをしても、いいんじゃないか……。
「レーゲン、どうしたの?」
黙るレーゲンに問うのは、穏やかな声。
レーゲンはいつきの手から、そっとグラスを抜き去った。
それをテーブルに置き――。
「ねえ、いつき。入学試験をしようか」
「入学、試験?」
「そう。『恋人』になるための、試験」
驚くいつきの視線の先で。
レーゲンは、自身のグラスに残ったお酒を一口、口に含んだ。
空になったものはテーブルへ。あいた手で、いつきの後頭部を引き寄せる。
「レー……」
ふわり、触れたレーゲンの唇は、優しく甘く、いつきの唇を食んだ。
角度を変えて、深く重なった二度目には、お酒の香りもついてくる。
「……『恋人』に、なれそう?」
吐息がかかる距離でささやかれ、いつきは驚き顔で、瞬いた。
レーゲンは笑って、いつきの耳朶に、唇を寄せる。
「生まれてきてくれてありがとう。……大好きだよ、いつき」
「お、俺もっ! レーゲンのことっ……」
唇と、耳元と。
三度のキスに、いつきの頭はすっかり真っ白になっている。
それでも気持ちを言おうとしたら、声が裏返って、笑われた。
「もう、レーゲンったら……笑わなくたって」
(……これ以上はまだ刺激が強いかな)
思いつつレーゲンは、肩を落とすいつきの頬に、ごめんねと、唇で触れる。
「これからゆっくり『恋人』になっていこう、先は長いからね」
いつきは頷き、うっとりと目を閉じたのだった。
●ユズリノとシャーマインの未来
昼過ぎ、ユズリノとシャーマインは、紫陽花が咲く花園を散策していた。
さきほどまで降っていた雨が、二人が過ごす東屋の軒先や、紫の花弁に滴となって、残っている。
「紫陽花、綺麗だな」
「うん、雨粒もキラキラ輝いてる」
並んで座ったベンチから、陽光はじくそれを見、ユズリノは微笑んだ。
その手には、ソフトクリームがのったかき氷。涼しげな色につられて、シロップはブルーハワイを選んだ。
「ほら、早く食わないとアイスが溶けるぞ」
「あっ、ほんとだ」
ユズリノがソフトクリームのてっぺんにぱくりと喰いつく。スプーンですくっていたら溶けるスピードに間に合わない、と思ってのことだが――。
「リノ、クリームがついてる」
唇の端に残った白を指先で拭われ、かっと顔が熱くなった。
「……シャミィも早く食べなよ」
ありがとう、ではなく、ついそんなことを言ってしまうのは照れくささから。
指先をぺろりと舐めてから。
シャーマインは、メロン味の氷にのったアイスをスプーンですくって、口に入れた。
「お、なかなかうまいな」
「えっ、いいな~。メロンも食べてみたい」
「じゃあ一口交換するか」
互いのアイスを食べあって、二人はご満悦。
半分ほど食べ進んだときに、ユズリノが、そういえば、と口を開いた。
「さっきのアイス屋さん、カラフルで遊園地とかにありそうな感じで……かき氷もいろいろな味があるし、なんていうか、車と合ってたよね」
「そういえば、興味深そうに見ていたな」
シャーマインは、移動販売車を見つけたときのユズリノの様子を思い出した。
「あ、見てシャミィ! かわいい車がある!」
そう言って彼は、車に走り寄っていった。
「ねえ、ソフトクリームがのったかき氷だって。食べてみようよ」
笑顔で、振り返る。
それは満開の紫陽花よりも華やかで、陽光をはじく雨粒よりも、きらきらと輝いていた――。
「もし……もしね。自分のお店を持てるとしたらああいう形がいいのかも……なんて」
スプーンで、さくさくとかき氷を崩していた手を止めて、ユズリノがはにかんだ。
「ああいう形って、移動販売ってことか?」
ユズリノが、照れくさそうに、こくりと頷く。
しかし自ら先を続ける決心がつかないのか。唇はむずむずと動いているのに、言葉が出ない。
「なあ、聞かせてくれよ。リノの描く未来を、俺に教えてくれ」
シャーマインは、ユズリノを真っすぐに見つめて、そう口にした。
「……笑わない?」
「笑うわけないだろう」
かき氷を一口食べて、ユズリノは語り始める。
「さっきの車みたいのがいいなあって言ったのは、あれならどこでだってお店が出せるからだよ。色んな場所で色んな人にお菓子を食べて貰えるなぁ……って。僕のお菓子で、みんな笑顔になってくれたら……幸せ」
ほわりと微笑むユズリノに、シャーマインは「なるほど」と呟いた。
「いいなそれ。俺も噛める要素がある」
その言葉に、ユズリノの肩がピクリと揺れる。
――が、先を語るシャーマインは気づかない。
彼は言う。
「車ならドライバーが必要だ。その車の整備にも俺はうってつけの人材だと思うが?」
そこでぱちりとウインクされて、ユズリノは頬を染めた。
「う、うん……そうなったらいいなぁと」
もしかして、とシャーマインは、隣に座るユズリノに、手を伸ばした。
肩を抱きよせ、耳元に。
「……それって、俺込みで描いてくれた未来図なのか?」
ユズリノは、恥ずかしそうにャーマインを見上げた。
「そうだ……って言ったら?」
「はは、大歓迎だ」
シャーマインが、破顔する。
おもちゃの車のような、愛らしい移動販売車が走るのは、潮風の吹く海沿いの道。
「次は……村のお祭りだね。お客さん、いっぱい来てくれるかな」
「もちろん来るだろ。リノの作る菓子は美味いから」
そう言いながらハンドルを握るシャーマインの指には、結婚指輪が輝いている。
――もちろん、ユズリノの左手にも、同じものが。
オーガによって破壊され、復興を遂げた村には、多くの子供が成長していた。
彼らは、チョコバナナの進化形スイーツを食べながら、二人を取り囲んだ。
「ねえ、お兄さんたちウィンクルムっていう人達だったの?」
「昔、悪い敵を退治してくれた人達だって、パパが言ってた!」
「その人達は、愛し合って、結婚した人もいっぱいいるって!」
「あ、愛……」
無邪気な子供のセリフに、ユズリノの頬がかっと赤くなる。
極めつけは、おしゃまな女の子の言葉だった。
「うちのお隣には、昔ウィンクルムをしていたお兄さんがいて、子供もいるのよ! お兄さんたちにもいる?」
「えっ……!?」
そこに、どーんと、花火が上がった。
「あっ!」
子供たちが、一斉に空を見る。
が、ユズリノとシャーマインは……。
「……子供……だって」
「俺としては当分、リノを独占していたいな」
「僕も……シャミィを……」
空に輝く華の下。
二人は互いに見つめあい、そっと唇を重ねたのだった。
●セイリュー・グラシアとラキア・ジェイドバインの未来
山道それた、崖の下。
「セイリュー!」
ラキア・ジェイドバインの声に、セイリュー・グラシアははっと顔を上げた。
腕の中には。
「お兄ちゃぁん……」
大きな瞳にたくさんの涙をためた、少年がいる。
「ごめんなさい、ぼくが、ひとりで、こんなところにきたから……」
「気にするなって。謝るのは後で、親御さんにな! それより足、もう少し我慢してくれよ」
セイリューは小さな体を抱き上げたまま、立ち上がった。
――キャンプの途中に、男の子がいなくなった。探してほしい。
そう言われ、仲間と共に散策し、見つけた少年だ。
これまで窮地を渡ってきたセイリューも、崖の下に横たわった彼を見つけたときは、さすがに胆が冷えた。
が、飛び出た岩や木の根っこをつたって向かってみれば、足を怪我しているものの、命に別状はない。
「セイリュー、今行くから!」
「ああ、気をつけろよ!」
相棒を見上げ、セイリューが声を張り上げる。
ラキアは一緒にやって来た仲間に、少年の治療のため、自分が下りることを説明しているようだ。
(まあ、オレとラキアだけなら、こんなの簡単に上れるもんな)
※
それから数日後、セイリューがスポーツインストラクターを務めるジムでのこと。
「にしても、あれから5年か。早いものだね」
首筋の汗をぬぐいながら、ラキアははっと息を吐いた。
「そうか、5年かぁ……。にしても、ラキアは見た目、ほとんど変わんないな」
「セイリューだって、実年齢よりは若く見えるよ?」
言って、ラキアがくすくすと笑う。
「今朝猫たちにのりかかられていたところなんか、昔とまるで変わらなくて、子供っぽいっていうか……」
「や、常に少年の心を忘れないと言ってくれ」
セイリューは、きりっとした口調でそう言い切った。
が、猫たちに足に纏わりつかれて、転んだところを見ているラキアには、どうにも彼は、少年にしか見えないのだ。
(まあ、当時より筋肉はついたかもしれないけどね……)
それはセイリューが、ジムのインストラクターという仕事をしているからというのもあるだろう。
でも一番は、彼が、今でも人助けをしていることが関係していると、ラキアは思っている。
(本当に、息をするように人助けに飛び出していく性格は、ぜんぜん変わっていないんだから)
なぜだか苦笑しているラキアを見、セイリューは目を瞬かせた。
正直に言えば、ジムのインストラクターを始めたときは、まさかラキアが、通ってくれるとは思わなかった。
オーガの脅威が去った今、その時間があるなら、家でガーデニングしたり、料理したりするほうが、いいと言うだろうと考えたのだ。
(でもラキアは、オレと一緒に活動してくれて……。体を作らなきゃって、ここに来てくれてるんだよな)
――最低限の体力筋力は維持しなきゃ、自分の身を守れないしね。
ラキアが、そう言うから。
――そーだろ、やっぱ体動かすのはいいし、いざって時の対応のために体力づくりは大事。
なんて返したりもしたけれど。
(あの男の子を治療して、泣き止ませてくれたのは、ラキアだ。ラキアは、言ったこと以上のことを、してくれてる)
――ラキアと出会えて、パートナーになれて、家族になれてよかった。
そう思うと、セイリューの唇が、自然とほころんでいく。
その笑顔を見ながら。
ラキアは、今の仲間が、セイリューを勧誘に来たときのことを思い出していた。
※
「困っている人見ると放っておけないし今までの経験が生きるじゃん? 対処出来る能力は活かしていこうぜ!」
戦いから、あるいは人を護ることから離れるウィンクルムも多い中、彼はそう言い放ち。
「――セイリューなら、そう言うと思った」
だったら俺も、とラキアもグループの活動に参加することにしたのだ。
それをセイリューは、喜んでくれたし、先の少年を助けたときも、治療をしたラキアに感謝をしてくれた、けれど。
「君と出会わなければ、こんな活動してないよ。君のお蔭で色々と人生変わった感じ」
ラキアはセイリューに、そう伝えていた。
「オレのせい?」
きょとりと首をかしげるセイリューに、「君のおかげ」ともう一度。
「ガーデニングも紅茶も料理も好きだし、レカーロや猫たちとのんびりするのもいいけれど、こういう――人助けとかする生活も、悪くないでしょ」
「ああ、悪くない――。いや、最高だな」
破顔するセイリューは、まさに少年のような純粋さで――。
※
ジムのフロアに立つセイリューに、改めて、ラキアはこう口にする。
「……本当に、君といると全く違う世界に連れていかれるね。凄いよ」
突然の話の展開がつかめなかったのだろう。
セイリューは一瞬目を見開いた。
だが、驚き顔は、すぐに笑顔に変わる。
そして、言うのだ。
「一緒に来てくれるラキアも、凄いよ。いつも、ありがとな」
●李月とゼノアス・グールンの未来
「作業は安全第一!」
うだるような暑さの中の、建築現場。
黄色いヘルメットをかぶった親方の声に、働く者はみな、背筋を伸ばした。
その中には、かつてウィンクルムとして活躍した、李月とゼノアス・グールンの姿がある。
「ゼノ、今日も頑張ろうね」
李月は、ウィンクルム時代から変わらず隣にいる、ゼノアスを見やった。
「ああ! しっかり働いて、うまい飯食おうぜ!」
にやりと笑う顔は、いつもと同じ。
炎天下で働いているにもかかわらず白いままの肌も、陽光をはじく白髪も、昨日と同じだ。
でも、ふと。
(……綺麗だな)
見惚れ、李月は目を細める。
――と。
「ほら、なーにぼんやりしてるんだよ!」
伸びてきたゼノアスの手が、李月の頬の肉を掴み、にょーんと伸ばした。
「痛い、痛いって!」
「ぼーっとしてる李月が悪いっ!」
李月は呻きながら、作業場に向かって足を進めるゼノアスの後に続く。
(――ずっと、この背を追ってきた)
強くなりたいと、願っていた。それが叶ったのは、正月のこと。
ゼノアスの故郷の、デンジャラスな成人の儀を受けてからだ。
獣のいる谷へ向かうのは恐ろしかったし、光茸は簡単にとることはできなかったけれど、それでもなんとかクリアして。
(あれ以来、僕の野生が目覚めたような気がする)
アクティブに汗を振り切って、生きたくなった。
かーんかーんと、金づちで木材を叩く音が響く。
「李月の作業は丁寧だな。釘はまっすぐ、1ミリの誤差もない」
親方の言葉に、周囲の若手大工が、おおお、と低い声を上げた。
(さすがリツキ! オレだってやってやるぜ!)
ゼノアスは材木を肩に抱えると、ひょいひょいっと上の段まで、一気にすべてを運んでいった。
運動感覚もバランス感覚も優れている彼だからこその行動に、周囲からはまたも「おおお!」と声が上がる。
(どうだリツキ!)
視線を下げれば、見上げる彼と、目が合った。
昔ならば「すごいなあ!」と純粋に感心していたはずの眼差しは、今は「僕も負けないよ!」とでもいうように、向けられている。
(本当に、リツキは変わったよな……)
前みたいに少々頼りないのも可愛かった。が、こうしてともに肩を並べていけるのは、また別の喜びがある。
ゼノアスが押さえる材木に、李月が釘を打つ。
リズムよく響く金づちの音。力を込めても材木は動くことなく、正しい場所にあり続ける。
そして李月が打ちこんだ釘は、今度も寸分の狂いもない。
「コンビネーションばっちりだぜ」
作業を終えたゼノアスは、李月に向けて、ウインクひとつ。
「当たり前だよっ」
李月は、金づちを腰につけた袋にしまい、立ち上がろうとした。
が、その手をゼノアスが掴む。
「ちょっと、ゼノ――!」
咎める言葉は、続かない。
ゼノアスが李月の唇に、かすめるように、キスをしたからだ。
「……こんな、ところで!」
「大丈夫だって、誰も見てない」
「そういう問題じゃないよっ!」
仲間の注目を集めないよう、小さな声だがきつい口調で、李月が言う。
だがこんなゼノアスだからこそ、李月は思うのだ。
やっぱり、二人一緒にできる仕事を選んでよかった、と。
「ゼノは僕がいないと何しでかすかわからないからなあ」
ウィンクルムとしての活動を終えた後。
李月はゼノアスと同居する家で、そう呟いていた。
ともに夕食を終え、ゼノアスが入浴しているときである。
「ゼノの長所は、バカ力とタフさだよね。僕は繊細な作業が得意だから――」
力と体力と細かな仕事。
すべてを備えていて、男二人でできる職業はなにかと模索して、やっと見つけたのが、大工という仕事だった。
「うん、これなら僕が体力をつければ問題はないし、復興に関われるのも、誇らしいよね」
オーガと戦うことのなくなった世界で、二人で生きることとは、つまり、ともに働き、食事をし、眠ること。
互いに相手を支え慈しみ、守っていくことは、ウィンクルムだった頃と、変わらない。
※
――というのは、まだ来ない未来の話。
「なにうっとりした顔してるんだよ。確定ロールかますんじゃない」
完熟トマトのように赤く顔を染め、李月はゼノアスの頭をぺしりと叩いた。
そんな相棒を振り仰ぐゼノアスは、当然のごとく不満顔。
「痛っ! いいじゃねーか、想像の中くらいさせろよ」
白髪頭を撫ぜながら、つんと唇を尖らせる。
――その赤に。
一瞬、李月の目がとまった。
(って、見ちゃだめだ、僕っ!)
李月は手に持つ特大おにぎり弁当を、ゼノアスに押しつける。
「おらっ弁当食うぞゼノ!」
「おう、いただきますっ!」
二人、今はまだまだ。見習い大工。
「でも、想像の様にはいかねーが、未来は現実になるからな」
ひとつめのおにぎりを食べきって、ゼノアスは李月を見やった。
「オレ達は、ずっと一緒だ」
「僕もそのつもりだよ」
おにぎりを三分の二ほど食べ終えた李月が微笑む。
新人がくつろげるのはあと少し。
でも二つ目のおにぎりを、並んで食べるには、十分だ。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 瀬田一稀 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 4 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 07月01日 |
| 出発日 | 07月09日 00:00 |
| 予定納品日 | 07月19日 |

2018/07/08-23:20
2018/07/08-23:15
李月と相棒ゼノアスです。
よろしくお願いします。
2018/07/07-23:46
無事プラン提出できたよー。
みんなの未来の話も楽しみにしてるね!
2018/07/07-23:45
2018/07/06-02:48
ユズリノとシャーマインだ、よろしく。
未来の話大歓迎だ。
さて、どんな話をするかな(幸せいっぱいの顔)

