


世の中はバレンタインデーの余韻を残したままホワイトデーへ移ろうとしていた。
少し前までチョコレートの黒と白であふれていた売り場はキャンディやマシュマロで色とりどりに飾られお返しや想いを伝える為にお菓子を選ぶ男性の姿が多く目につく。
バレンタインデーよりは入りやすくなった売り場の横で貴方は足を止める。
「折角だからパートナーに何か贈ろうかな」
そう考えプレゼントになりそうなものを物色していると、その一角に花のアレンジメントコーナーがあるのに貴方は気がついた。
色々な種類の花の中で、ひときわ目につくのは色とりどりの薔薇。
「薔薇は色だけじゃなくて数にも意味があるんですよ」
にこやかな店員の声と共に一枚の紙が渡される。
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花言葉から考えるプレゼントにオススメの薔薇の色と数
・色
赤……愛情、貴方を愛しています
白……尊敬、私は貴方にふさわしい
青(紫)……奇跡、神の祝福、誇り
黄(オレンジ)……友情、信頼、献身、絆
ピンク……感謝、可愛い人、愛の誓い
・本数
1本……私には貴方しかいない
3本……愛しています
4本……この気持ちは死ぬまで変わらない
5本……貴方に出会えて心から嬉しい
8本……貴方の思いやりに感謝します
12本…私と付き合って下さい
13本…永遠の友情
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「1色でも綺麗ですし、何本か贈られるなら違う色でも綺麗ですよ。そのままでは気恥ずかしいからと、贈り物に添える方もいらっしゃいます」
店員に勧められ、贈り物とともに薔薇を買いパートナーの元へと足を向けた。


・概要
パートナーへ薔薇を添えたギフトを贈りましょう。
贈るのは神人様から、精霊様からどちらでも構いませんし、互いに贈りあうのも素敵だと思います。
ただし、薔薇や贈り物に込めた想いが混ざり合ってきちんとした形で届かないことを避ける為、2人で1つのギフトを選ぶ事はおやめ下さい。
エピソードの性質上、完全個別描写になります。
・プランについて
花束のみ、他の贈り物に添える等、色々なプレゼントの仕方があると思いますが、どういった形で贈るにせよ、何色の薔薇を何本贈ったのかは必ずお書き下さい。
・ジェールについて
1本目の薔薇にはラッピング代が含まれており必ず300jr発生致します。
また、2本目以降の花については1本当たり50jrが追加で発生します。
例えば
【神人様から赤い薔薇を2本、青い薔薇を1本贈る場合】
300jr+100jr(追加の薔薇2本分)で400jr
【神人様からピンクの薔薇を1本、精霊様から黄色の薔薇を2本贈りあう場合】
神人様300jr+精霊様350jr(ラッピングと追加の薔薇1本)で650jr
となります。
こんにちは。または初めまして。龍川那月と申します。
日本ではバレンタインデーに女性から男性へチョコレートを贈るのが一般的ですが、ヨーロッパでは男性から花を贈るのが一般的だそうです。
折角贈るなら気持ちが伝わる形を。と今回のエピソードをご用意致しました。
バレンタインコーナーではなくホワイトデーコーナーで贈り物をお選び頂くようになっておりますが、これはリザルトノベル公開時に時間軸を合わせてある為です。ご了承ください。


◆アクション・プラン
セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
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ラキアが花とても好きだからプレゼントしたくなって買ってみた。 今庭先に真っ赤な薔薇は無かった気がするし。 「あなたの気持ちを花に込めて贈りませんか」 なんで手書きのポップをみてたら、何だかそんな気になったんだよ。 我ながら単純だとも思う。しかし気持ちは事あるごとにちゃんと言葉と態度で示すべきだと思う! 思っているから伝わっているハズ、と思っていてはいけないのだ。 ラキアを大好きな気持ちはちゃんと示してあげたい。 真っ赤な薔薇を8本ラッピングしてもらうぜ。 末広がりでいいじゃん、と考えたが思いやりに感謝の意味もあるって聞いてさらにいいじゃん! 感謝と愛情を捧げるぜ。 帰宅を出迎えてくれたラキアへプレゼントするぞ。 |
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バレンタインにフィンが花のチョコをプレゼントしてくれた そのお返しがしたい 赤1、白1、青1、ピンク1の4本 一緒にカードを添え渡す カードには、薔薇の花に託した俺の気持ちを記す 赤い色は、フィンへの俺の気持ち『愛してる』 白い色は、俺の願望『俺はフィンに相応しい人でありたい』 青い色は、俺達が出会えた『奇跡』に感謝と、これから俺達に『神の祝福』がありますように願いを込め ピンクの色は、フィンへの『感謝』と、俺の『愛の誓い』 そして、『この気持ちは死ぬまで変わらない』 贅沢に俺の気持ちを詰め込んだ花束 …恥ずかしいから、何か感想を言えよ ああ、フィンには敵わない 当たり前だ 浮気なんてしたら、許さないからな 有難う、フィン |
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ミカほらほら見て。買ったんだこれ(得意げにペンダントを見せる) ダメ。俺が買ってでも欲しいと思ったんだから、 それだけの価値があるって思ったんだから。 だから手に入って嬉しいんだ 遅くなったけど今日はミカへVDのプレゼントを渡そうと ……?もうもらった? えっとVD当日はミカが仕事忙しかったから 昼ご飯作っただけだけど…そんなに美味しかったのかな? いいの?……うん、ありがと ピンクの意味……そうきたかっ 包装は自宅用だけど、よく見ると下の方にリボンが巻いてある 相変わらず分かりづらいなぁ(苦笑い) 13本…仲良しって事だよね。永遠…うん、ずっとだよ!(8本・5本の事は気付いてない) |
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昼過ぎ 彼が訪ねてきてくれた 顔が見られて嬉しい 玄関で会話 「最近は落ち着いています あなたのお陰です」 実はこれから伺おうと思っていたんですよと話せばじゃあおいでという事で彼の家へ 彼の家 「日頃お世話になっているお礼です 良ろしければ」 「『ピンクの薔薇』を 『1』 輪と 『ピンクの薔薇』の形のクッキーです」 「はい ではあなたは7個 私は 『3』 個頂きますね」 和やかに一時を過ごしお暇させて頂いた 帰り際 もう帰るの? と声を掛けられたので 「クイズを仕掛けておきました」 にっこり笑って帰宅 彼に夕飯のお鍋に招待された 「解けましたか?」 「落ちて下さいますか? ふふ」 「でも1つ 答えが出てませんね」 「最終的に受け取った 薔薇の総数」 にこり |
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「…………家には来るな」休みだから良いものを。 前回といい今回といい。唐突過ぎる。 喫茶店に着けば、既に席を確保していた。 「今度は何の用だ」問いかけ、折角来たのだからブラックコーヒーを注文する。 それが一体なんだ。(胡乱気な視線 「………………おい、どこに脈絡があった」(考えたが不明だった 「知るか」というか、折りにつけ毎度贈り物などされて堪るか。 俺に、花?(眉間に皺 「いらん」 仮に受け取ったとして、『贈り物』をぞんざいに扱えるか。 だからといって家族に見られたくもない。 「……やはりいらん」(熟考後の回答 妥協案だ。(溜息 スマホで花束を撮影し保存する。 「ロックした。実物は持ち帰れ」(証拠にスマホの画面を見せる |
●想いと数(ルゥ・ラーン&コーディ 編)
コーディがルゥ・ラーンの長屋の扉を叩いたのはまだ日が高い昼過ぎのことだった。
「様子を見に来たよ」
「最近は落ち着いています あなたのお陰です」
「ならいいけど …確かに前より空気が軽いかも」
最近は怪現象も落ち着いている。というもののやはり……。
(まだ入れる気がしない)
玄関から奥へ足は動いてくれないようである。話を聞けばこれから家へ向かおうとしていたとのこと。
「じゃあおいで」
コーディの声に連れられルゥは彼の家へと向かった。
「日頃お世話になっているお礼です よろしければ」
コーディが入れた紅茶を前にルゥがすっと差し出したのは、
「『ピンクの薔薇』を 『1』 輪と 『ピンクの薔薇』の形のクッキーです」
「僕の髪の色?」
思いがけないプレゼントにくすっと笑みが漏れる。
嫌がる理由も断る理由もない。どうも。と薔薇を受け取るとクッキーを置く為に小さなお皿を持ってくる。
「君もクッキーどうぞ」
「はい。ではあなたは7個 私は 『3』 個頂きますね」
ルゥの指がクッキーを皿に分けていくのを見ながらコーディは内心首を傾げていた。何か強調された気がしたのだ。しかし、目の前で動く指に変わったところは見受けられない。
(気のせいかな)
二人きりのティータイムは和やかなまま何も起こることなく流れていく。
「そろそろお暇させて頂きますね」
「もう帰るの?」
今日は休みだからもっといても構わないのに。そう言うコーディにルゥの笑顔が答える。
「クイズを仕掛けておきました」
(クイズ?何がクイズなんだろう?)
夕食の買物に外へ出かけている間も頭の中は去り際の言葉でいっぱいだった。
「もし良ければどうぞ」
花のアレンジメントコーナーで店員が配っていた紙を手にし、そういえばホワイトデーが近いのだと気付く。見回した店内にもホワイトデーの文字がたくさん踊っている。
「あ」
紙を見た瞬間、ルゥが言っていたクイズの意味とその答えが一気に頭の中で解けていく。
「どうかしました?」
「あ、いえ」
紙をしまった後、近くの椅子に座り手で顔を覆うコーディにその姿に体調が悪いのかと通りすがりの客が声をかけた。照れの重圧に耐えながら大丈夫だと告げるが、隠しきれず、照れたような雰囲気が出てしまう。
夕方、夕食に招待されたルゥは白い湯気を立てる鍋を前に口を開いた。
「解けましたか?」
「まあね」
したり顔で紙をぴらりと見せるコーディ。花言葉が書かれたその紙の何か所かを指差す。
――――――
ピンク……感謝、可愛い人、愛の誓い
1本……私には貴方しかいない
3本……愛しています
――――――
「僕を落しに来てるの?」
「落ちて下さいますか?」
「さてね」
ふふっと微笑むルゥに余裕の笑みを浮かべるコーディ。
「でも一つ、答えが出てませんね」
〆も終わり食後のお茶を飲みながらルゥが思い出したようにそう言った。
「え?」
記憶を辿るがそんなはずはない。薔薇の色、本数ともに見落としはない、はずだ。
「最終的に受け取った 薔薇の総数」
思い当たらない。そう顔に出ていたのか、にこりとルゥが微笑む。
(受け取った薔薇の総数?)
そのヒントに紙を見直した後は赤くなっていく顔を手で覆い照れを隠すしか出来なかった。以前より友好的な関係になったとはいえ照れるものは照れる。なんとか口から出せたのは短いお礼の言葉。
「……どうも」
―――――
『8本……貴方の思いやりに感謝します』
―――――
●隠した想い(信城いつき&ミカ 編)
「ミカ、ほらほら見て。買ったんだこれ」
信城いつきが得意げにペンダントを見せる。
「そのペンダント俺が店に卸してるやつだろ、言えば作ってやったのに」
彼の精霊、ミカのそんな言葉にいつきが口をとがらせた。
「ダメ。俺が買ってでも欲しいと思ったんだから」
頼めば作ってくれる。それはいつきにも分かっている。そうしなかったのは、それだけの価値があると思ったからだ。価値のあるものを自分の手で手に入れる。だからこそ手に入ったことがとても嬉しいのだ。
(……まったく。そんな満面の笑みで言うな)
いつきの笑顔にそういうものか?と首をかしげるミカだったがその言葉を素直にうれしいと感じていた。それを伝えられるかといえば照れくさすぎて出来ないのだが。
「遅くなったけど今日はミカへバレンタインデーのプレゼントを渡そうと……?」
いつきの言葉とミカが花束を差し出すタイミングはほぼ同時だった。
「はい、可愛いチビちゃんへ。小さくてチビっこで可愛らしーいチビちゃんへ。ほらやるよ」
「いいの?……うん、ありがと」
にやりと片側の口角を上げるミカから、なにもあげてないのに。と少し戸惑いながらもいつきは花束を受け取る。
「いいんだ俺はもうもらったから。お返し」
「もうもらった?」
ミカはそう言うがいつきにはあげた覚えがない。あの日仕事で忙しいミカのためにお昼ご飯を作った。それはしっかり覚えているが……。ミカがもらったと言っているのはそのことだろうか。
(……そんなに美味しかったのかな?)
特に味付けを変えたわけでもないし、いつも通りに作ったつもりだけど。と首を傾げるいつきを兄のような気持ちでミカは見つめる。
「チビには分からないだろうな」
(作った物を喜んでくれる事が何より嬉しい贈り物なんだって)
「でもどうしてピンク?ピンクの意味……。そうきたかっ」
プレゼント用じゃないんだなぁと眺めていると下の方にリボンが二本巻いてあるのに気が付く。ちゃんとプレゼント用なのだと分かり、いつきは余計に嬉しくなった。
(相変わらず分かりづらいなぁ)
にくい演出に苦笑いが浮かぶ。
「一,二,三……十三本だから仲良しって事だよね。永遠……うん、ずっとだよ!」
「ピンクの薔薇十三本。贈り物じゃなくて自宅用でお願いします。……あ、八本と五本に分けてもらえますか。そう、茎の下の方をリボンでそれぞれ結ぶ感じで。リボンは包装で隠して下さい」
二人が会う少し前、そうフラワーコーナーの店員にお願いするミカの姿があった。プレゼントだが仰々しくしたくないという彼の気持ちが伝わったのか、花は自宅用にもプチギフトにも見えるようラッピングされた。
それはいつきへの大きな感謝に他の意味が隠されているのと同じように、それぞれを結ぶリボンもうまく隠されてる。
「これなら気が付かないだろうな」
その言葉はリボン自体のことなのか、分かれた花の意味なのか、この花束に込められた想いなのかはミカの心の中にそっとしまわれて誰にも分からなかった。
●想いの伝え時(セイリュー・グラシア&ラキア・ジェイドバイン 編)
セイリュー・グラシアと彼の契約精霊ラキア・ジェイドバインはバレンタインデーにお互いにプレゼントを贈り合った。
「感謝は感じた時にすぐ示してもいいよね」
贈りあったのだからお返しはなし。その方が気兼ねしなくていいかもしれないと考えなくもないが、やはりお返しをしたい気持ちが勝ちあまり相手が気負わないで想いが伝わるお返しの品を探していた。
そんな折、庭先で育てていた薔薇が綺麗に咲いた。これなら。とラッピング用のペーパーやリボンを買い出しに行く。
渡すなら信頼と絆の花言葉があるオレンジの薔薇がいい。そう考えラキアが選んだのはセイリューの瞳と同じ紫のペーパーと彼が好んで着る服と同じ青のリボン。厳選して切り取ると薔薇とペーパー、リボンのどれもが引き立つようにラッピングを施した。
「綺麗におめかし出来たね」
満足そうに微笑むとキッチンへ入っていった。
一方、セイリューは家への道を歩いていた。
あちらこちらでホワイトデーのポスターやポップが目に入るが、バレンタインデーにプレゼントを贈り合ったばかり。短い間に何度もあげてはラキアも気にしてしまうかもしれない。と流し見だけに留めていた彼の足を一枚のポップが止める。
【あなたの気持ちを花に込めて贈りませんか】
ラキアの花好きはセイリューも十分すぎるほどに知っている。我ながら単純だとも思うが、
「気持ちは事あるごとにちゃんと言葉と態度で示すべきだよな」
そう頷き、花を選び始める。
ラキアの喜ぶ顔を思い浮かべながらどの花がいいか吟味していると、真っ赤な薔薇が目に付いた。明るめのその色はラキアの髪の色を思わせる。しっかりと覚えているわけではないが、庭に赤い薔薇はなかった気もする。
「確か今つけてる髪飾りも薔薇だったし、この薔薇にしよう」
「いらっしゃいませ。もし良ければこちらをどうぞ」
店員が差し出した一枚の紙を見てセイリューは口角を上げ本数を指定した。
「お帰り」
玄関を開けるとエプロン姿のラキアが出迎えてくれた。
「ただいま」
差し出した花束には八本の赤い薔薇。
「八って末広がりでいいだろ?それに感謝って意味もあるって聞いてさらに良いなって思ってラキアにあげたくなったんだ」
驚きでキョトンとしていたラキアが破顔する。
「ありがとう。すごく嬉しい」
薔薇を抱く様にしながら微笑むラキアにやっぱり贈ってよかったという気持ちと大好きだという想いが強くなるセイリュー。
「今、パンケーキ焼いてるから荷物を置いたらおいでよ」
「わかった」
パンケーキが焼けるまでラキアは自分が用意した花束を撫でた。用意した薔薇は五本。
「俺は君と出会えてとても嬉しい。君への信頼と絆を表そうと思ってオレンジにしたけど、同じタイミングで贈り合うことになるなんて。気持ちまで繋がっているみたい」
もらった赤い薔薇を花瓶に生けて、パンケーキにはオレンジの花束を添えて。お互いの気持ちを話すのも良いかもしれない。そんなことを思いながらラキアは口を開いた。
「出来たよ。冷めないうちに食べよう」
●想いの受け取り方(柳 恭樹&ハーランド 編)
「私が貴殿の住まいへ行くのと、貴殿が私の呼び出しに応じる事のどちらを選ぶ?」
「……家には来るな」
しばらくの沈黙の後、柳 恭樹が選択したのは呼び出しに応じることだった。
(休みだから良いものを)
いつも突然やってくるハーランドの誘いに恭樹は深く息を吐き、指定された喫茶店へと向かった。
「今度は何の用だ」
優雅に紅茶を飲みながら席を確保していたハーランドはちらりと時計に目をやる。
(予想より早いな)
「バレンタインも過ぎ。店先はホワイトデー一色な訳だが」
恭樹の前にブラックコーヒーを置いた店員が席を離れてから口を開けば、それがどうした。と少し混乱気味の視線が返される。
話を視線で返すことの多いこの神人の感情は視線などに宿ることが多いが、中でも負の感情は実に分かりやすい。反応に一定の満足を得たハーランドの口元に薄く笑みが浮かぶ。
「それで恭樹に贈り物をするのも良いと思ってな」
どんな反応をするのか楽しむように恭樹を見つめハーランドは言葉を続けた。
「……おい、どこに脈絡があった」
脈略を考えていたが見つけられなかったのか一分程の間の後恭樹の声が返ってくる。
「あるだろう。唯一の契約者だ。折りにつけ贈り物の一つや二つ」
「知るか」
(折りにつけ毎度贈り物などされて堪るか)
恭樹は心からそう思う。
彼とどうこうなるつもりはない。そもそも贈り物は大切な相手にするものだろうと考えている恭樹には、契約しただけの関係である自分に贈り物を贈るというハーランドの考えがよく分からない。
「まあ、そういうな」
なだめる様にそう言って薔薇の花束を恭樹へと差し出す。
大人っぽいラッピングをされたそれは紫が四本、ピンクが一本の計五本。
「俺に、花?」
「ああ、恭樹への贈り物だ。受け取った後は好きにして構わんぞ? それこそ、焼くなり捨てるなりな」
相手を間違えたか贈り物を間違えたのかと言う可能性を考えが確認するが間違いではないらしい。蜂蜜色の瞳が鋭くしたまま言い放つ。
「いらん」
出かける時に持っていなかった花束を持って帰宅すれば家族に何かしら思われる可能性が高い。だが、持って帰れないからといって『贈り物』をぞんざいには扱えない。
「……やはりいらん」
無下に断るのも失礼かと思い家族に見られずにすむ方法を熟考するがはやり答えは変わらない。
「それでは私の立つ瀬がないとは思わんか」
ハーランドが言うのも道理。贈り物を受け取らないと言うのはそこに込められた相手の気持ちを拒絶する行為にも思える。眉を寄せながら沈黙すること数分。
「妥協案だ」
スマートフォンを取り出し撮影すると保存するとその画面を突きつける。
「ロックした。実物は持ち帰れ」
(そう来るとは)
恭樹の予想外の行動にくつくつとハーランドの喉が震える。
到着の時もそうだ。真面目な恭樹のことだ、そこまで待たされるとも思っていなかったが、あんなに早いとも予想していなかった。
(意味はわかっていない様だが、面白い反応が見れただけ良いとしよう)
愛の誓い、可愛い人、感謝を表すピンクが一本。奇跡と神の祝福の花言葉を持つ紫が四本の五本で作られた花束に込めた、私には貴方しかいない。貴方に出会えて心から嬉しい。この気持ちは死ぬまで変わらない。そんな思いに彼はきっと気がついていないだろう。
「これは……屋敷に飾るか」
●想いは寄り添いあい(蒼崎 海十&フィン・ブラーシュ 編)
ある日、蒼崎 海十はバレンタインデーのお返しの品を探しに特設売り場へとやってきていた。彼の相棒、フィン・ブラーシュがくれたのは花のチョコレート。そのお返しならやはり花がいい。
と思うものの、花の形をした食べ物や花びらの入った酒、はたまた花をあしらったグッズ。どれもピンと来ない。そんな時、店員から渡されたのが薔薇の色と本数にまつわる知識が書かれた紙。
それを見ながら海十は同じ色の中でも一番綺麗な薔薇を選んでいく。これならきっと喜んでくれるだろう。
「それと、それと、これと……それからこのメッセージカードも」
丁寧にラッピングされていく花を横目にどうか自分の気持ちが伝わるように、そう願いを込めながらカードにペンを走らせた。
海十が売り場を去ってから少し後、たまたまフィンがその売り場を通りすがる。何の気なしに売り場に視線を投げれば、綺麗な薔薇に目を奪われ思わず足を止めていた。
「これ、一本もらえますか?」
包装紙に丁寧にくるまれた中で綺麗に咲く赤い薔薇を片手にフィンは考える。
(海十はこの薔薇の意味を知っているかな?)
たとえ知らなくても海十との想い出の花である薔薇を渡すことに迷いは微塵もない。急にこんなものを渡したらどんな顔をするだろうか。
そんなことを思いながら自宅へ帰宅したフィンを待っていたのは薔薇の花束を差し出す海十の姿。
赤、白、青、ピンクの薔薇が一本ずつ。
(まさか海十も買っていたなんて……)
驚く顔が見られるかもしれない。そう思っていたフィン。まさか自分が驚かされるとは思わなかったと、目を何度か瞬かせた。この本数の意味をフィンは知っている。
―――――
赤い色は、フィンへの俺の気持ち『愛してる』
白い色は、俺の願望『俺はフィンに相応しい人でありたい』
青い色は、俺達が出会えた『奇跡』に感謝と、これから俺達に『神の祝福』がありますように願いを込め
ピンクの色は、フィンへの『感謝』と、俺の『愛の誓い』
そして、『この気持ちは死ぬまで変わらない』
―――――
その傍らに添えられたメッセージカードに記されている文字を目で追えば追うほど幸せな気持ちが溢れフィンから言葉を奪っていく。
(……ああ、もう。やっぱり海十は俺を幸せにする天才だ)
「……恥ずかしいから、何か感想を言えよ」
贅沢に気持ちを詰め込んだ花束ではあるし、表情や態度を見れば喜んでくれているのもわかる。でも、いや、だからこそずっと無言が続くのはなんだかくすぐったく海十は照れ隠しの言葉を発した。
フィンは花束から恋人へ視線を移しその黒い瞳を真っすぐ見ながら隠し持っていた薔薇をそっと差し出した。
「愛してる。俺には海十しか居ない」
(ああ、フィンには敵わない)
「当たり前だ。浮気なんてしたら、許さないからな」
「うん、ずっと海十だけ見てるよ」
「有難う、フィン」
お互いの想いがつまった5本の薔薇は寄り添いあうように同じ花瓶に入れられすぐリビングへと飾られた。
その花が終わってもこの五色の薔薇は心にずっと咲き続けているだろう。そんな話をしながら二人は幸せそうに微笑むのだった.



エピソード情報 |
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|---|---|
| マスター | 龍川 那月 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ビギナー |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 02月11日 |
| 出発日 | 02月16日 00:00 |
| 予定納品日 | 02月26日 |


