


◆よくある黄金週間空けの光景
「はぁ~……もう連休終わっちゃったよぉ~」
タブロス市内にある、とあるパン屋。
今年は実家に帰ろうと思い、休業日を設けてみた。
久々に満喫した三連休、実家の両親が出してくれるご飯は懐かしくもあり充実した三日間だった……
が、その反動はあまりにも大きかった。
「ちょっとあんた、今日からお店開けるんでしょ!?どうしてパンを焼いてないんだい!」
「……働きたくないよぉ~」
なんとパン屋は久々の連休を満喫したせいで、働く意欲が落ちてしまったのだ!
さらに恐ろしいことに……
「あなた、ラーメンの出前注文が来てるわよ?」
「おい、電車はどうしたんだ!?遅刻しちまうじゃねぇーか!!」
「先生、これ以上休載したらファンに怒られます!漫画を描いて下さい!」
市民の中に同じような症状が出ている者がいるのだッ!
普段から五月病状態の人が混ざってるって?気のせいだッ!!
とにかく、このままでは市民が怠惰にまみれて都市機能が停止してしまう!
停止してしまったときオーガが攻めてきたらどうなるか!?
『都 市 崩 壊』も現実味を帯びてきてしまうだろう。
ウィンクルムよッ、立ち上がれッ!!
今度は我らが市民を応援する時だッッ!!
市民のヤル気を復活させて、五月病を撲滅せよッ!!


目的:
五月病に負けそうな市民を応援しよう
ウィンクルム応援団:
全員に学ラン、白ハチマキ、白手袋の応援団セットが貸し出されます。
体格が良く見えるように普通以下の体型の人には肩パットがガッツリ入れられます。
応援が必要な人達:
場所のスペース的に全員が入ることは不可能です。
いずれかの場所に各員で向かいましょう。
▼パン屋
連休明けで全くパンを作っていません。
頑張って子供が登校しているだけに、奥さんも激おこぷんぷん丸です。
製造~販売まで、やる気が出るようにお店を盛り上げよう。
ドライイーストが足りなくなっているので買いに出るでしょう。
▼ラーメン屋
奥さんが頑張って下準備をしましたが出前に行く気力が出ません。
注文は全部で5件。
注文を全て確認させて持っていけるように盛り上げよう。
出前には何往復もバイクで出るようです。
▼電車の運転士
有給を使ってお休みしていたせいで
通勤ラッシュとかどうでも良くなっています。
効率よく運転させられるように盛り上げよう。
どうやら寄宿舎からまだ出ていないようです。
▼人気漫画家
爆発的人気が出たせいで時間と金をを持て余し中。
休載2年目に突入しつつネットゲームに没頭。
やる気に火をつけて連載を再開できるように盛り上げよう。
どうも画材道具が足りないので買いに出るでしょう。
応援ルール(?):
ウィンクルムは応援するだけです。
彼らの仕事や作業を手伝ってはいけません。
また、彼らがキチンと全てやり切るまで応援し続けなければなりません。
応援が無くなると五月病が再発して仕事を休んでしまいます。
彼らに仕事の達成感を味わわせてあげましょう。
最も重要なのは、動き回る彼らにどうやって追随して応援し続けるかです。
なお、A.R.O.A.職員も全面協力するので
移動手段については職員に協力を仰いでみましょう。
デコトラやリムジンなど物理的に小回りが効かなかったり、移動が困難な乗り物はNGです。
GW明けだよ!木乃です。
今回は市民に蔓延する五月病討伐です!
このままオーガに攻め込まれたら大変だからね、仕方ないね。
討伐的なモノは一切ございませんので精霊と協力して友情とか親密度とか深めて下さい。
テンション高めなエピソードですので存分にはっちゃけてしまいましょう。
つられて市民が良いリアクションを返してくれます。
キャラ口調のプランや台詞を入れて頂けますと
よりキャラクターの個性が反映しやすいかと思います。
文字数に余裕があったり、余ってしまったらぜひ盛り込んでみて下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。


◆アクション・プラン
神居(夢霧)
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漫画家先生の応援をしまーす。 「僕、先生漫画のファンなんだー!」 と・・・いうのは嘘でー 読んだ事ないんだよね。 2年前の漫画なんて古いもん。 でも、やっぱり褒めるのがいいのかな? 先生に漫画借りて、夢霧と一緒に勉強会するね。 「ねー! この続きどうなるの? ねぇねぇねぇ!」 画材足りないのなら買ってくるよ。 お金は夢霧に渡してね。 一緒に買ってくるから。 あと、元気になるにはお菓子だよね。 いっぱい買ってくるね。 セラフィムさんたちも呼んでお菓子パーティーできないかな? 一緒に食べよう!(全部食べる勢い) |
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紅茶むせ)ごほごほ…ゲームか漫画でもみて影響されたか…?ロマンはわかるが どうも…タイガも熱血主人公みたいで格好いいよ 応援団を見た事もないしお手本がほしい 団長お願いします (よっぽどやりたかったのか。笑顔みてるだけで効果ありそう) !?それは組体操だろ!僕はそんなこと…わああ やるのか本当にやるのか…ええい! タイガ中心。自転車の後ろでエールや『頑張れ!』と旗を振り あなたのパンを求めてお客様がきてくれる 開店させたあの時の気持ちを思い出して パンの素晴らしさを広める夢があるでしょう タイガそれ応援か(くすっ ◆大の字で寝転び 息も絶え絶え)…こんな日もいいな 疲れたけど充実していて…初めて男児らしい青春を送れたかも |
◆集え!応援団
セラフィム・ロイスはA.R.O.A.本部の資料室で最近の報告書に目を通していた。
汚さないように細心の注意を払いつつティーカップに手を伸ばす。
「ふぅ……やっぱり、オーガの動きは活発化してるようだな」
憂鬱さを湛えた瞳を上げて紅茶を飲んでいると騒がしい足音が聞こえる。
『……セぇーラぁー……!!』
「?」
「セラー!!!」
バターン!と大きな音を立てて扉を突き破る勢いで入ってきたのは火山タイガだ。
セラフィムの名を元気よく大声で叫びながらタイガは駆け寄ってくる。
「どうしたんだ?タイ……」
タイガの服装はいつものモノと違っていた。
頭には長い白ハチマキ。
手にはまっさらな白手袋。
そして、服装は裾の長い漆黒の学ラン服だった。
体格が逞しく見えるようにと肩パットが入っているようで、
鍛えられて細く引き締まっているタイガの体はいつも以上に逞しく見える。
「セラ!応援団になろ!」
「……ブッ!?」
唐突なタイガの申し出にセラフィムは飲んでいた紅茶を吹き出してしまう。
「ゲームか漫画でも見て影響されたか……?ロマンはわかるが」
「違う違う!今さ、タブロス市民が五月病で大変なことになってるんだって!」
タイガの申し出にセラフィムは顔を引きつらせているとタイガは大きく首を横に振る。
タブロス市民が五月病でふせっていることで市内が大変になっていると一生懸命にセラフィムへ伝えた。
「それで、応援団?」
「おう!今、社会に必要なのはやる気!引き出すには応援。応援団しかねぇって思ってさ。男のロマン!だからさ、セラもこれ着て一緒に応援しようぜ」
タイガは満面の笑みを浮かべてもう一着学ランを見せる。
……明らかに肩パットが3枚くらい入っていて肉襦袢的な何かも入ってるように見えるのは目の錯覚でも疲れ目のせいでもなさそうだ。
「ほら、早く早く!」
「それを着るの……?」
タイガの押しに負けてセラフィムは肩パッド増量+肉襦袢入り学ランを着ることになった。
***
「夢霧―!たいへんたいへん!」
「どうかしたのかい、神居」
場所は変わってこちらは神居と夢霧。
神居もタイガと同様、タブロス市内が五月病により都市機能が著しく低下し、このままでは大変なことになると聞きつけたようだ。
神居は夢霧を見つけると早速かくかくしかじかと伝え始める。
「っていうことなんだよ」
「五月病、実際怖いね」
神居の説明を聞いて夢霧は額から冷や汗をかく。
まさか都市機能に影響が出るようなレベルで蔓延しているとは思わなかったようだ。
「それでね、A.R.O.A.でもこのままだとオーガに攻めてきたら大変だから市民を元気づけようって!」
「そうは言ってもね、何をするんだい?」
「これを着て応援するんだよ!」
ババーン!という謎の効果音と共に神居が取り出したのは先ほどタイガが身につけていたタイプと同じ学ランだ。
神居に合うサイズのモノがなかったのか、明らかに神居の背丈と同じくらいの着丈をした学ランに
肩パッドや肉襦袢がモリモリ詰め込まれているのは気のせいだろうか。
着たら明らかに『学ランに着せられている』ような状態になるだろう……
もう一方の夢霧用のモノと思われる学ランも神居と同じくらいの着丈の学ランで肩パッドと肉襦袢が詰められているのだが、
夢霧の細い体格を誇張できるように施したのか、明らかに神居用の学ランより盛り方が異常に多い。
むしろそれ着ぐるみじゃね?着ぐるみだよね?アメフトの防具じゃないよね?
「それ、着ないといけないのかい……?」
「まずは形から入らないとだよ!」
もはや『学ラン』と呼称してもいいのか怪しい物体に顔面を蒼白にする夢霧の正論も虚しく、
神居は準備を整えようと夢霧の服を引っ張って準備を進めるのだった。
◆飛び出せ!応援団
セラフィム組と神居組は会議室へ集まっていた。
職員の方から著しく影響が出ていると思しき市民について説明を受けていたのだ。
全員、学ランに着替えているのだが……4人中3人の着せられている感がハンパない。
うち2名は小柄なせいで『頭が乗っている』ように見えなくもない、どうしてこうなった。
「パン屋にラーメン屋……それに車掌と、休載中の人気漫画家か。というかこの人五月病じゃなくてやる気の問題じゃ」
「2年前の漫画でしょ?僕知らないや」
着せられてる人・その1のセラフィムはリストを確認して正論というべき疑問を口に出している。
学ランに着替えたセラフィムは肩パッドと肉襦袢の補正で着せられてる感が出てしまっているが、
元々の落ち着いた雰囲気もあってか、学ランはセラフィムの雰囲気によく似合う。
着せられてる人・その2の神居も肩パッドと肉襦袢でモリモリした体型になっている。
小学生低学年程度の身長に、肩パッドと肉襦袢を各5枚も入れているせいで完全にショルダーアーマーを付けているような状態だ。
もう少し身長に恵まれていればタイガのように違和感なく着こなせただろう。
「へー!シガトユーキってまだ漫画家やってんだなぁ。少年漫画とかよく描いてたぜ!」
「うん、名前だけなら聞いたことあるね……あとこれすごい窮屈なのだが」
唯一、着こなせているタイガは人気漫画家の名前を見て『そういえばそんな人も居たなぁ』と思い出していた。
シガトユーキはそこそこ経歴の長い漫画家だったようで、それだけ休んでいても問題がないだけの印税が舞い込んでくるのだろう。
そして、着せられている人・その3である夢霧。
小学生低学年程度の身長に細い体の大きさを補おうと肩パッドと肉襦袢を各8枚も詰め込んでいる。
もはや完全にアメフトの防具状態である。
『お前のような肩をした人間がいるか!』と言わざるを得ない。
「して、どこへ行くかね?」
「うーん……じゃあ、パン屋さんにいこうか。お店の商品自体がないのはまずいんじゃないかな?」
夢霧がリストから顔を上げると全員の顔を見渡す。
セラフィムはパン屋の状況が気になるのか、パン屋へ行くようだ。
タイガも「頑張って応援しような!」と元気よく応える。
「神居、どこ行くかね?」
「人気漫画家のところいこうか!タダで漫画読めそうだもん」
夢霧は神居に相談するとすぐに人気漫画家の名を出した、やや動機が不謹慎な気もするが気のせいだろう。
「ん、じゃあシガトユーキのとこ行こうか」
「しゅっぱーつ!」
かくして、ウィンクルム応援団は出発していった。
一人はパン屋へ、一人は人気漫画家の自宅へ。
◆それいけ!応援団
セラフィムとタイガはパン屋に向かっていた。
本部から歩いて30分程度の場所にあるようで、本部から借りた自転車で目指していた。
「そういえばタイガ、さっき言い忘れてたんだけど」
「ん?なんだ??」
セラフィムはタイガの運転する自転車の荷台に乗っていた、いわゆる『にけつ』の状態である。
肩口から覗き込むように声をかけるとタイガもセラフィムに返事を返す。
「なんかさ、熱血主人公っていう感じでかっこいいよ」
「そ、そっかな?」
セラフィムの言葉に少しだけ顔が熱くなる感覚を覚える、セラフィムには気づかれなかったようだ。
「で、でもさ。セラも侍みてぇだよな!」
「え、あ……ああ、ありがとう」
セラフィムもタイガの言葉に少しだけ頬が赤くなる、当然前を向いているタイガには見えない。
「なぁ!行く前にちょっと練習したいことがあるんだけどいいか?」
「れ、練習したいこと?」
「ああ!出来たらすっげぇカッコイイぞ!」
セラフィムはタイガの言葉に首を傾げるがタイガは笑みを浮かべるばかり。
二人は一旦、練習しようと公園に赴くのであった。
***
一方、神居と夢霧はというと。
人気漫画家・シガトユーキの自宅兼アトリエであるマンションに来ていた。
先に電話で連絡して取り次いでもらおうと連絡したところ、
管理人はA.R.O.A.の名前を出すとすぐにシガトユーキと取り次いでくれた、
シガトも渋々ではあるが了承してくれたようだ。
「とりあえず褒めておけばいいかなー?」
「褒めるのと応援するのは違うと思うのだが」
神居は向かう途中にどうすればヤル気に火がつくかと思案していた。
夢霧の言う通り、褒めるのと応援するのは別物であり一時でも時の人となった人物である。
褒められた所でシガトの実績を顧みるに、効果は期待できないだろう。
「うーん、じゃあ画材を買ったほうがいいのかなぁ?」
「本人の為にならないではないか?あくまで己の意思で『描きたい』と思わせるような応援が必要だと思うのだが……
それに、我々が手伝ってしまったら終わった時にまたやる気をなくしてしまうのではないかね」
2年も創作活動を休止していればダメになってしまったインクやスクリーントーンなど、画材道具はあるかもしれないが
シガトも使い慣れた道具があるのを考えると無闇に購入してきても意味がない。
そしてなにより、シガト本人にやる気を起こす起爆剤になるかと言ったら、そうでもない。
神居は首を傾げるばかりだ。
「むーっ!じゃあ元気が出る忍法とかないの?」
「忍法はそこまで便利なものではないのだが……まず、シガトユーキについて知らないといけないな。本人に頼んで色々見せてもらおう」
かなり前途多難な様子だが……どうなる!?
◆響くぜ!応援団
「働きたくないよぉ~……」
「いい加減にしなよ、恥ずかしくないのかい!」
パン屋夫婦の押し問答は続いていた。5月病でぐーたらしている亭主に女将がケツを引っぱたくが
痛みを表現することすら億劫なようだ。
「全く……どうすりゃいいのさ!?」
『僕達に』
『任せてくれ!』
女将の叫びに呼応するように店のドアを勢いよく開け放ったのはセラフィムとタイガである。
公園の練習で着いたのか、土埃や若干のかすり傷が。
そして心なしか眉が太くなって顔が濃くなってるのは気のせいだろうか。いや、気のせいだ!
「な、なんなんだい!?」
「俺達、ウィンクルム応援団!」
「パン屋の旦那さんを応援に来ました」
狼狽する女将に熱く力強く宣言するタイガと冷静かつ簡潔に理由を述べるセラフィム、
動静ハッキリしたコンビだけに期待値は高まる。
「そ、そうかい。あたしじゃ発破かけても全然なんだよ!あんた達、任せたよ」
堂々とした立ち居振る舞いに女将はなんとなしに『頼れる!』と感じて、ぐーたら店主を任せて店の奥に下がっていった。
「……なんなんだぁ、あんたらは?」
「本当にそれでいいのだろうか」
訝しげに見つめる店主にセラフィムは凛とした表情で見つめる。
「あなたのパンを求めてお客様がきてくれる……開店させたあの時の気持ちを思い出して、パンの素晴らしさを広める夢があるでしょう?」
セラフィムの真摯な態度にピクリと反応する、店主の脳内に回想がよぎる!
『初めて食べたメロンパンの感動、あれこそ全ての始まりだった』
『高校まで進学して、諦めきれずに親の反対を押し切ってパン屋に弟子入りしたっけ……師匠は元気にしてるかな』
『自分の作ったパンを店頭に並べてもらった時の感動、だが思い出のメロンパンの味が出せずに悩んでたっけ……』
『そして独立して、自分の店が構えられるようになって……!』
店主の中で沈んでいた情熱が、再び燃え上がるッ!
「う……うおおぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおおおッッ!!!」
(よし、このまま一気にいこう)
(おっしゃ!ワクワクしてきたぜっ)
情熱を燃え上がらせ目と背後から炎を吹き上げさせる(イメージ映像)で店主は作業に取り掛かろうとする。
が、ここで気づく。
「しまったぁぁぁっ!?ドライイーストがぁぁぁあっ!!」
連休前に注文したつもりが忘れていたようだ。しかしここで諦める応援団ではない!
「だったら買いに行けばいいだろ!」
「ハッ……そ、そうだ、買いに行ってくるぞぉッッ」
「僕らも店主さんが達成できるように追いかけよう」
気合で燃える店主は経費の入ったガマ口を手に店を飛び出していった。
セラフィムとタイガは再び自転車に乗り込んで店主のやる気を消さないように応援を続けて追いかけていった。
***
「あたしんち、託児所じゃないんだけどなー」
タイガ達が白熱した応援をして店主のやる気を燃焼させているころ。
神居と夢霧は『シガトユーキ』の自宅兼アトリエに到着していた。
中から出てきたのは20代後半くらいの女性、赤縁眼鏡+タンクトップにスキニーパンツと
伸びた髪をクリップでまとめた姿でズボラ系女子のテンプレートのような人物だった。
(ま、まさか女性だったとは思わなかったね)
夢霧は人気漫画家の正体が女性であったとは思わず、僅かに狼狽していた。
神居は漫画家のアトリエとあって物珍しそうにキョロキョロと見ていた。
漫画制作用のデスクには画材が綺麗に置かれており、長い間使われていないことが伺える。
違うデスクの上にはパソコンが置かれており、その周りにコンビニ弁当などの大きめのゴミが置いてある辺り、
「僕先生の漫画のファンなんだー!」
「へぇ、そうなの?作品だとなにが好きなのかな」
「え」
神居はシガトの興味をひこうとファンであることを伝えたが、どの作品が好きなのかと聞かれて言葉が詰まる。
ファンだというのならすぐに『作品名が出てきて、どのシーンが好きで』とまくし立てるようにしていてもおかしくないが
――――つまるところ、神居はシガトの漫画を読んだことがないのである。
「予想通りだけどさぁ、大人として言うけど嘘を吐くのは良くないわよ?あなたの信頼がなくなるだけだからね」
シガトは落胆したような、呆れたような目で神居をジトリと睨む。
「じゃ、あたしゲームで職チェンしたばっかだからレベル上げで忙しいのよね、帰るときは声をかけてちょうだい」
シガトは『もう帰っていいわよ』と言った対応で、再びパソコンのあるデスクに向かってヘッドホンを身に付ける。
シガトのぞんざいな対応にむーっとむくれる神居だがそこでくじける神居ではなかった。
部屋をもう一度よく見てみると……『アンカー×アンカー シガトユーキ』と書かれた単行本を見つける。
どうやらシガトの書いた漫画のようだが、巻数が本棚3段を締めているのをみると結構な話数があるようだ。
「ねぇねぇ、先生の漫画読んでもいーい?」
「……あんたら何しに来たの?まぁ、いいけど」
面倒だとすら言いたげな視線をシガトは神居達に向けるが、気が済むならいいと思ったのかとりあえずは許可を出してくれた。
「アリガトーおばちゃん!」
「次、その単語出したらその口縫い合わせるから」
***
「うおぉぉぉぉっ!!」
場所は戻ってパン屋の厨房。
店主はやる気の火種を絶やすことなく、パン作りに励んでいた。
様子を見ていた市民も驚きながらも声援を送ってくれた効果もあるのだろう。
「フレー!フレー!おっちゃん!今だ、今頑張ればいい!遅い事なんてない!」
タイガもセラフィムとともに自転車で追走しながら応援し、疲労が出始めているがそれでもパン打ちの音が響く厨房に負けじと声を張り上げる。
「今一杯の精一杯をぶつければ、清々しいおてんとさんを拝めるんだ!明日の自分への力になる!できる!やれる!」
「うぉぉぉぉぉッ!できるッ、今ならあの味を再現出来る気がするぞぉぉぉぉッ!!」
タイガの声援に更にヒートアップする店主、パン打ちしていた生地を寝かせるための保管庫に華麗にすべり込ませると
最初に焼いていたメロンパンの焼き上がりを『キュピーン!』と感じて取り出す。
応援効果か、もはや新人類の仲間入りをしている気がするが……気のせいだ。ただのパン屋である!
二人は気づいていないが、店頭には先ほどの追走劇とダダ漏れる気迫を感じた市民が『なんだなんだ?』と様子を伺っている。
「どうだっ、俺の渾身のメロンパンッ!!」
店主は焼きたての、まだホカホカと熱気の感じさせるメロンパンをセラフィム達に差し出す。
ほんのりと漂う、香ばしくも甘いバターの香り。
ふわふわとしたパン生地の上に薄いキツネ色のクッキー生地。
そして、三本線でメロンの縫い目を表現する可愛らしい形が言いようもしれない食欲をそそる!
程よい疲労感と空腹を感じるタイガには極上のご馳走を錯覚させるには充分だった。
迷いなく手に取って口にすると……
「んまぁーい!」
タイガは口の中に広がる甘みと食感、鼻腔を抜ける芳ばしい香りに思わず声を上げる。
この世にこんな美味いメロンパンがあったのか……!と思わず涙ぐむ。
その間も店主は生地を練って、寝かせて、焼いて、店頭に並べる作業を続ける。
「あんたッ、遅くなったけど開店するよ!」
「あいよぉッ!!」
様子を見ていた女将も感化されたのか、気合を入れてお店のブラインドを上げる。
そこには引き寄せられたお客さんが所狭しと並んでいた!
「いらっしゃいッ!どんどん買っていきな!」
疾走するバッファローの群れのように流れ込むお客を女将は難なくいなしてお会計を済ませていく。
店主はその間も追加するパンを焼き続けており、セラフィムとタイガも応援を続けていた。
***
「ねー! この続きどうなるの? ねぇねぇねぇ!」
最新刊まで読み終えた神居はレベル上げに励むシガトの周りで声をかけ続けていた。
「急に上がり込んでくつろいだと思ったら、今度は執筆の催促?」
モニターに映る自身のキャラ操作に励んでいたシガトだったが、完全に訝しんだ目で神居を睨みつけていた。
すぐに追い出さなれなかっただけでも幸運だろうが、その幸運は活かされていない。
シガトもそろそろ我慢の限界に来ていたようだ。
「だって気になるんだもん!続き描いてよ」
「……」
「美味しいお菓子もいっぱい用意してきたよ!元気になるにはやっぱりお菓子……」
「神居、ストップ」
シガトの様子を気にせず催促を続ける神居だったが、夢霧の声で言葉を止めてシガトの様子を見ると
わなわなと肩を震わせていた。
「……帰って。あんた達、人ん家にくつろぎに来ただけじゃない。あたし、忙しいから。お菓子もいらないから早く帰ってちょうだい」
落ち着いた口調だが、完全に怒らせてしまったようでシガトは二人の首根っこを掴むとそのまま引きずって玄関前の廊下に放り出した。
最大の敗因は勘違いしてしまったことであろう。
彼女を応援しやる気を出させるのが目的であり、彼女のやる気を出すための応援だったのだ。
シガトはじゃあねと一言残してドアを勢いよく閉めた、すぐにカチャリと金属音が聞こえる。
「おばちゃんのケチ!」
「ここにいても邪魔になるだけだよ……帰ろう」
固く閉ざされたドアに向かって神居は憤慨をぶつけるが夢霧はなだめて本部へと帰っていった。
◆帰還!応援団
2組のウィンクルムは応援を終えて本部の会議室に帰ってきた。
「やったなー!店主のおっちゃん、めっちゃ喜んでくれた!」
タイガは喜びのあまりセラフィムに抱きつく、驚いたセラフィムは慌てて支えようと背中に手を回す。
「っとと」
「今日は誘ってくれてありがとう……疲れたけど充実していて……初めて男児らしい青春を送れたかも」
「!……へへっ、そうだなセラ!」
セラフィムはいつもは感じることのない心地よい疲労感と達成感に笑みを浮かべる。
タイガも驚いたが、セラフィムの笑顔に確信を感じた。
「こちらはうまくいかなかったね」
「漫画の続き、すごく気になるよね!それに買ってきたお菓子余っちゃった」
対照的に表情を曇らせる神居と夢霧、人気漫画家の話は予想以上に面白かったのか神居はすでに続きが気になるようだ。
「こっちもメロンパンもらってきたんだ、一緒に食べる?」
セラフィムは抱えていた紙袋から大量のメロンパンを見せる、店主が感謝の気持ちに2人にくれたのだ。
甘い匂いに神居と夢霧も「おぉー」と感心した様子を見せる。
「お菓子も勿体ないからね、一緒に食べようか」
「よっしゃ!一杯動いた後はなんでも美味しいよな!」
夢霧の言葉にタイガも嬉しそうに笑みを浮かべる。
こうして、ちょっと変わった任務を終えた4人は仲良くお菓子とメロンパンをほおばる。
頑張ったご褒美は、格別に美味しかった。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 木乃 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | コメディ |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | 普通 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 2 / 2 ~ 4 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 05月07日 |
| 出発日 | 05月15日 00:00 |
| 予定納品日 | 05月25日 |

2014/05/14-21:17
こんにちわー! こんばんわぁ?
はじめまして!
頑張って応援するよー!
漫画家さんところ行こうかな? 僕ファンなんだー!
みんなよろしくね!
2014/05/13-19:43
あ、僕はセラフィムで相棒はタイガだ。
パン屋でプランは書かせてもらった。出発できるといいんだけどな・・・
(ごろごろしてるタイガを見守りつつ)
2014/05/12-18:39
最低参加人数がかなうことを願って。ふらり
タイガがとてもやりたいらしくてね
『コメディいいじゃないか!コメディに応援団!某ゲーもごもご』(口ふさぎ)
・・・変り種好きだよね

