泥沼ふんどしレスリング(木乃 マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

 バレンタイン地方のショコランド、冬の季節とあって粉砂糖の雪が降り積もる真っ白な景色はいかにも冬らしい。
「今年も栗きんとん沼にて、ふんどしレスリングを行う!」
 とある村では健康祈願と称して、神事として行っている競技があった。
 ――ふんどしレスリング。かつては泥んこ相撲と呼ばれていたのだが。
 栗きんとんの沼で互いのふんどしを取り合うという、なんともアレな行事である。

 ……そして招かれたウィンクルム達もふんどし姿にさせられている。この時点で色々お察しできるね、どうしてこうなった。
「今年はウィンクルムの皆さんも参加して下さることになった、ぜひ楽しんで頂けたら幸いだ」
 いやいやいやいや。
 肌色のインナーパンツを付けているとは言え、栗きんとんにまみれながらレスリングってどういうことだよ。
「ルールも非常に簡単ですぞ、相手のふんどしを奪取した者が勝利。インナーパンツまで取り上げてしまったら失格となるのでご注意めされよ」
 ご注意めされよじゃねーよ!! なにが悲しくて他人のふんどし引っペがさないといけないんだよ!?
 むしろふんどし引っペがして喜ぶ神様が居るのかよ!?

「今回は特別枠として、ウィンクルムの皆さん全員で栗きんとん沼に入り同時に取り合ってください。一番ふんどしを奪取していた者が優勝となりますぞ」
 つまり、同数の場合は複数人が優勝となる可能性もある。
 ……パートナーに協力してもらって優勝を狙うのも、有りかも知れない。
(オーガの姿が出たかもしれないから確認しに来て欲しいって依頼料も受け取ってるし、色々と厚意は受けている)
 このまま無碍にして帰るというのも気が進まない、この村の人々が神事として大事にしている行事であることは確かだ。
「行事が終わりましたら、美味しいお汁粉もご用意しておりますので是非是非召し上がっていってくだされ」

 悪意なき良心というものは非常に厄介だと痛感しながら、ふんどし姿のウィンクルム達が栗きんとんの沼へと足を踏み入れる。

解説

●目的
栗きんとんの沼でふんどしを取りあってください

●状況
ショコランドにオーガの姿を目撃したと聞いて向かったものの、いませんでした。
村人から御足労かけて申し訳ないと色々手厚く労ってもらっていたら
「せっかくなので村の行事に参加して欲しい」と熱心に誘われ……その結果がこれだよ!!

こんなんでもアドエピなのでジェール報酬は入ります。
というかもらってる事もあって断ることが困難な状況です。
全員強制参加だヨ!

●戦闘?エリア
栗きんとんの沼。
浅瀬になっているので溺れることはないですが、泥のように足を取られやすく動きにくいです。
精霊といえど人間と差がないほど、動きは遅くなるでしょう。
水温(?)はぬるま湯のようで、すこし暖かいので肌寒さは感じないです。

●ルール
・ふんどし1枚で1点、取った人からの横取りは不可
・取られた人はその時点で失格
・取られるまで獲得していた点数は、そのまま保持した扱い
(2枚取った時点で奪われても、2点保持したままになる)

・インナーパンツまで取ったら、取った人だけ失格
・殴る、蹴る、投げる、トランスしてジョブスキルを発動するのも失格
・沼から上がって逃亡するのも失格

※意欲的ではない方は自分から誰かにささっと取ってもらっても構いません

ふんどしレスリングの後はお手製おしるこを堪能出来ます。

●注意事項
・ぶっちゃけパンツレス●ングですが、スポーツマンシップに則って参加しましょう
・多くの方が読まれます、公序良俗に反する行動はお控えください
※ギャグだと判断できる内容はセーフ
・『肉』の1文字を文頭に入れるとアドリブを頑張ります

ゲームマスターより

木乃です、新年早々トチ狂ったエピソードでお送りいたします。

今回はアドベンチャーエピソードの皮をかぶった戦闘のないエピソードです。
全員でふんどしを取り合うサバイバルです。
パートナーに協力を持ちかけるもよし、むしろパートナーを出し抜いてしまうもよし。
ささっと取ってもらって戦線を離脱してしまっても良いです。

栗きんとんにまみれながらお互いのふんどしを取りあってください。
こだわりのある方はデザインもプランに記入してくださいませ、特になければ白無地のふんどしになります。

それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)

 
ふんどし・紺の矢絣

沼には少しわくわく
美味いよな、栗きんとんって
…現実逃避してる場合じゃなかった

盾になるのはいいけど…それだと、フィンがピンチになるんじゃ?
…想像したら大変面白くなかった
ホンキで行かせて貰う
村の人達の好意に応える為にも

狙うはふんどしの紐
引っ張れば…剥ける!
これならインナーパンツにも手が掛からないだろう

深く考えるな…ふんどしと思うな
体育祭の鉢巻きのようなものだから、そうだったらそうだから

フィンの後ろから素早く飛び出て、狩る…!

勝っても負けてもどっと疲れた…
…でもまぁ、村が無事で村の人達が喜んでくれたのなら、よかった…かな
おしるこは凄く美味しいし

フィンもお疲れ
守ってくれて嬉しかった


スコット・アラガキ(イナフナイフ)
 

褌大使たるウィンクルムとしては断れない頼みだね
色は情熱の赤をチョイス!
返り血が目立たなくていいだろう?
神事にかこつけて日頃の鬱憤をぶつけてやる

狙うはピンク髪の首エフッエフッ…褌ただ一枚!
転ばないよう体勢を低くして追跡
「あはは!待て待て~♪」
楽しくって目が血走っちゃうかも!

他に仕掛けてくる人がいたら相手するよ
「フンドシップに則り、正々堂々と勝負!」
言ったそばから猫だまし
脇からがぶり寄って重心を崩し、その隙に褌ゲット
「こんな技もあるってことで」

「やっと追い詰めたぞ…」
ひぃ!?痛ぁい!?
「行司さぁん!反則だよねこれ!?」

神事の後はお汁粉をありがたく頂く
「鼻にあずき詰まれボケ(甘くておいしいねー)」


鳥飼(隼)
  ふんどし:赤地に白の牡丹柄

元々健康祈願の競技らしいですし、折角です頑張ります。
僕が囮で隼さんに相手のを取って貰えば、1つぐらい取れるでしょうか?
でも取れそうなら僕も取りに行きますね。

結構、動きづらい、です。転ばないように気をつけないと。
「ひぁっ!?」(滑った
あ、ありがとうございます。
これ、栗きんとんでふんどしを掴んでも滑りそうです。
ところで今更ですけど、引っ張ったぐらいでふんどしって取れるんでしょうか。

体中べたべたですね。
後でちゃんと拭わないと。(少し眉を下げる
でもお汁粉もおいしいですし。オーガも結局いませんでしたし。
何事もなくて良かったです。
隼さん?
何でしょう、恥ずかしいです。(若干赤くなる


咲祈(サフィニア)
 
サフィニア、気持ちは分からなくもない。だけどこれは楽しんだもの勝ちだと思う
…なにを言っているんだい?
こんな時だからポジティブに考えた方が良いに決まってる。楽しまないと損だろう(目キラキラ

そう?(まだ目キラキラ
ところでサフィニアは髪が長いしくくってあげるよ

開幕時
とりあえず、恥なんてものは記憶と共にどっか行ったきり戻って来ないのでやる気十分
なんだいサフィニア?
…全く、逃げるなんて卑怯だ。…仕方ない…サフィニアの分まで頑張るとしよう

相方が逃亡してもやっぱりやる気十分


シムレス(ソドリーン)
  ショコランドに来てみたくて受けた依頼なので目的は達成
なので状況には特に何も感じず

これ、渡しとく
自分のふんどし精霊に渡す
俺、見てるから
さっさとエリアから出てスタッフに上掛け要求する
無表情でさらり

目線は色んな場所観察
初めてのショコランド
見る物全てに実は興味深々

ふんどしレスリングも参加より
こうして見学する方が楽しい
…表情には出ないが

目の前で繰り広げられる
バトルに見入る
無意識に手に力入る

(外の世界はなんて活き活きしているんだろう
無表情で感動

おしるこも堪能
可能ならおかわりしたい

悪くない…
薄く笑む


●誰だよ、ご神体にしたの
 その村の神様は二体おり、筋骨隆々で、顔の彫りも深い益荒男を模した仁王像のような姿。
 固有の名は無く村では『守(もり)の妖精』と崇められ健康を司る神として祀られている。
 ――しかしなんでビキニパンツ姿なんですかねぇ?
 そして、この場に不幸な……もとい、神のイタズラによって招かれた10人の男達。
 目の前の栗きんとんの沼で村の若衆が一対一の真剣勝負を行っており、見物客や村人達が声援を送っている。
 和三盆の松に粉砂糖の雪で縁取った雪景色がなんとも風情のある光景である。
 ――そんな素晴らしい風景の中、栗きんとんで出来た沼で男がふんどしを取り合ってるっていうんだから世の中おかしいよね!!
(……これ、手渡しするのは無理だな)
 シムレスは早々にふんどしを渡して離脱してしまおうと思っていた。
 彼の目的は『ショコランドに来ること』だったので、本人の目的は一応達成されている。
 この状況にも異を唱えることなく、用意も済ませたが……参加したくないのに巻かされたら困るよね!!
 ところがどっこい、これは神事っ……!
 自ら外して辞退するという行為は『村人達にとって悪印象』を与えかねない。
 参加意欲が消極的な行動を見せては心証も宜しくない、チラリと相方のソドリーンに目を向ける。
 初任務と言うことで気合いを入れてきたものの、肩透かしだったことに四つん這いでうなだれていた。
 オーガが出た疑いがある、というだけで駆り出されることもままあるからね。しかたないね。
「くっそぉ、神事なら仕方ねぇ」
 村人の期待には応えよう、目的意識をもつことでやる気を奮い立たせる。
「……開始と同時に俺のふんどしを取れ」
「え?」
「俺、見てるから」
 シムレスから耳打ちされて呆気にとられたソドリーンだが、シムレスは用は済んだとばかりに沼に視線を戻す。
 ソドリーンと同様に、好意的ではない反応を示している者は他にもいる。
「マジかよ、嘘だろ……って、げふんげふんっ」
 白無地のふんどし姿で打ちひしがれるサフィニア。
 思わず口調が荒っぽくなってしまい、咳き込むフリして紛らわす。
 対照的に神人の咲祈は感情の見えない表情と違い、瞳をキラキラと輝かせていた。
「サフィニア、気持ちは分からなくもない。だけどこれは楽しんだもの勝ちだと思う」
「咲祈ってばなんでそんなに気合入ってんの……?」
「こんな時だからこそ、ポジティブに考えた方が良いに決まってる」
 楽しまなきゃ損だろう。
 力説する咲祈の様子を、信じられないモノを見るような目でサフィニアは見つめ返す。
 そりゃ栗きんとんにまみれながらふんどしを奪い合うことになるんだからね。しかたないね。
「……あ、サフィニアは髪が長いし、くくってあげるよ」
 ふと動きづらそうなのと、栗きんとんまみれになるだろうと思った咲祈は、サフィニアの髪をポニーテールに結い上げていく。
「元々健康祈願の競技らしいですし、折角です」
 赤地に白牡丹の鮮やかな柄のふんどしをまとう鳥飼が意気込む。
 隼も黒地に鯉柄の粋なデザインのふんどしを身に着け、腕組みして脇に控えていた。
「俺も興味は無いが、これも責務の一貫だ」
 男は黙ってなんとやら、隼はふんどしレスリングのルールを脳内で再確認。
(主を襲う輩のふんどしを奪えば良いらしい。これだけ聞くとただの変態だな)
 全くもって正論である。誰だよ、こんな酷い神事考えたやつ。
 主こと鳥飼がやる気なら最後まで付き合う所存という辺り、なかなかの男気っぷりだ。
「美味しいよな、栗きんとんって」
 蒼崎 海十も現実から逃避しかけており、美味しい栗きんとんの脳内イメージに目を向けていた。
 どろんこ相撲だと思えばちょっとわくわくするけど、なんでふんどし取り合うのかな? と至極真っ当な疑問が脳裏に浮かぶ。
 格好は紺地に矢絣柄のシンプルなオシャレふんどしでバッチリ決めている。
「ねー、栗きんとんは美味しいよね」
 相方のフィン・ブラーシュが現実逃避する恋人をなだめつつ、うんうんと同意して心を慰める。
 とはいえ、フィンの心中は色々と複雑だった。
(他の人にふんどしを捕られる姿、見たくないな……俺が頑張らないと)
 なんとしてでも死守せねば、フィンは密かに決意を固める……緑の青海波文様のふんどしをなびかせながら。
「褌大使たるウィンクルムとしては断れない頼みだね!」
 筋骨隆々な肉体に情熱の赤ふんどしが眩しいスコット・アラガキ、笑顔が非常に清々しい。
 色のチョイス? 返り血が目立たなくていいとか……そんなこと、思ってませんよ?(思ってないとは言っていない)
 神事にかこつけて日頃の鬱憤をぶつけるだなんて……そんなこと、ありませんよ?(あり得ないとは言っていない)
(初戦闘の意気込みを、せめて神人の神人(隠喩)を守ることにぶつけましょう)
 その防衛対象の神人から狙われるとは露とも知らぬ、イナフナイフは胸の内で溜め息を吐きながらゴリゴリと肩を鳴らす。
 おそらく開始数秒で防衛対象が自身の首に変わるだろう。
「あぁん!?」
「ホイホイチャハーン……!」
 逞しい肉体を誇示する村人達の攻防も終わり、いよいよ特別試合が開始する。

●インナーパンツはジェンマの加護がついてるので意図的に外そうとしなければ取れません
 10人の男達がふんどし(肌色のインナーパンツ着用)姿で栗きんとん沼に足を踏み入れる。
 深さは膝より少し上。
 従来の栗きんとんより粘り気があるようで、素早く動こうにも足をもつれさせてしまう恐れがあり、神人も精霊も関係なく身動きは取りづらい。
 まとわりつく生温い感触に眉を顰める者、早々に離脱を図ろうと画策する者、神事に真面目に取り組もうと気合を入れる者。
 各々の思惑が交錯する中、白旗を手に村長が沼の淵に立つ。
「それでは、始めィッ!!」
 バサッ! と白旗が振り下ろされ、ふんどしレスリングの特別試合が開始。
「ソドリーン」
「わぁってるよ」
 シムレスは適当に間合いを測ろうとする振りを見せながら、ソドリーンに背後を取らせ、わざと緩めておいた自身のふんどしを取らせる。
 早速ソドリーンが1枚獲得する。
「引き上げてくれ、足も洗いたい」
 悪びれた様子もなくシムレスは早々に引き上げてもらうと、栗きんとんまみれの両足を洗い始める。
(雪は粉砂糖で、松も砂糖細工みたいになってるんだな)
 シムレスは視線ををキョロキョロと周囲に向ける。
 お菓子で世界が出来ているショコランド、見るもの全てが興味深い。
 ソドリーンは相方の様子に溜め息を吐いて、他の8人に視線を戻す。
「海十、オニーサンを存分に盾にするといいよ」
 フィンは自分が囮になるので狙われた隙に、背後を取ってふんどしを取るよう海十に提案する。
 しかし海十は眉をひそめた。
「盾になるのはいいけど……それだと、フィンがピンチになるんじゃ?」
「大丈夫、心配しないで」
(そう、これは絶対に負けられない戦い!)
 協力体制をとることで互いの防衛ラインも確保できると想定していた。
 ……海十もフィンのふんどしを取られてしまう情景をイメージ。
(面白くない、フィンに恥をかかせられない)
「わかった、俺もホンキで行かせてもらう」
 キッと表情を引き締めた海十はフィンの後方に立ち、狙う者はいないかと見定める。(競技はふんどしの取り合い) 
「あはは! 待て待て~♪」
 愉快そうな笑顔に反して血走った眼のスコットは重心を低めに構え、転ばぬようにイナフナイフを追跡する。
 狙うはピンク髪の首……もとい、褌ただ一枚!
(あかん、これ褌ごとタマ(命)もがれる奴や)
 よもや露骨に殺気を出して追走してくるとは思わず、イナフナイフは顔面蒼白で逃げおおせる。
 ――イナフナイフが目を付けたのは、棒立ち状態だったサフィニア。
(あーもう……本当に無理)
 サフィニアの脳裏によぎる、真っ赤なぱんつを寒風の中で着用させられた記憶。
 なんであんな寒々しい中でぱんつのファッションショーなんてやるんだよ、と遠いお空に意識を飛ばしていた。
「助けてください! 殺される!!」
「ふぇ!?」
 意識が逸れている間に、背後に縋りつかれたサフィニアは何事かとキョロキョロと視線を巡らせ……目の前には、凄まじい眼光で迫り来るスコットの姿。
「ちょ、眼つき悪すぎィ!?」
 恐怖でおののいている隙に、サフィニアのふんどしをイナフナイフが掴み取る。
「ジャパアアアンツ!!」
 エキゾチック☆パンツ(ふんどし)を勢いよく奪取すると、追い回してくる自身の神人から再び逃亡しようと離れていく。
 イナフナイフ、不意を突いて1枚獲得。
「サフィニア、大丈夫か?」
「ああ……お母さん、陰で応援してるから」
 咲祈が心配して声をかけてみると、返されたのは満面の笑み。
「後は任せた!」
 ぐっと力強く親指を立てるサフィニアはすたこらさっさとその場を逃げ出した。
「……まったく、逃げるなんて卑怯だ」
 仕方ないのでサフィニアの分まで頑張るとしよう。
 やる気十分な咲祈がターゲットを見定めていると、慎重に身動きをとる鳥飼の姿が視界に入る。
「結構、動きづらい、です」
 転ばないようにせねば、と注意を払うが慣れない足場にぐらりとバランスが崩れてしまう。
「ひぁっ!?」
(よし、今なら取れるかも)
 盛大に転んで栗きんとん沼に背面ダイブを決める鳥飼に、咲祈はチャンスだと詰め寄っていく。
 ――しかしやる気だけでは、戦略を練った者に対し対抗しきれない。
 鳥飼の間近まで迫る咲祈の背後に、隼の姿。
「悪く思うなよ」
 沼の動きづらさに対し、摺り足で移動しようと思いついた隼は鳥飼を狙う者に対して狙いを定めていたのだ。
 咲祈が気づいたときには、すでに隼の手に真っ白なふんどしが握られていた。
 隼がここで1枚獲得。
「……残念」
 心なしかしょんぼりした様子の咲祈は先に離脱していたサフィニアの元へ向かおうと、ゆっくりと淵へ向かっていく。
「あ、ありがとうございます」
「礼には及ばない」
 黄色い泥のような栗きんとんにまみれる鳥飼を隼は引き起こし、へばりついた栗きんとんを払い落とす。
 間近で見ると、改めて鳥飼の細い体躯に隼は驚かされた。
(こうして見るとやはり細い、簡単に折れそうだ)
 怪我さえしなければ良いのだが、と頭の片隅で思いながら再び構えをとる。
 沼の中に残るは、あと7人。

●歪みねぇ漢達の戦い・イン・ショコランド
「アカンアカン、あぶないあぶない!!」
 イナフナイフは満面の笑み(目は笑っていない)マッチョ神人に追われ続けて息も絶え絶えだが、
 立ち止まっては栗きんとんで窒息させられかねないと肌で感じ、足を止めることもできない。
「あはははははは! 大人しく沈めぇっ!!」
 高笑いをあげるスコットもタマ(命)を取る心積もりで迫っていることもあり、文字通り鬼気迫るものを感じさせる。
 ――そんな意識を一点集中しているスコットに対し、乱戦する様子を一歩離れて見ていたソドリーンが狙いをつけた。
(さっさと奪って、とっとと終わらせる!!)
 イナフナイフとの間に割り込み、すり抜ける瞬間奪ってしまおうと立ちはだかる。
「へぇ……フンドシップに則り、正々堂々と勝負!」
 ニカッと快活な笑みを浮かべて、スコットはソドリーンに一旦意識を向けた。
 ソドリーンも勢いよく突っ込んでくる相手に向かって、姿勢を低くしながら利き手を伸ばす。
(一騎打ちか)
 早々に抜けていたシムレスも、目の前で繰り広げられるバトルに思わず力が入る。
 しかし、予想外な行動にソドリーンは動きを止めてしまった。
 ――バチーンッ!!
 眼前で大きな音を立ててきたのだ、俗にいう『ねこだまし』である。
「なっ!?」
 驚いた拍子に姿勢を保とうと踏ん張りを利かせるソドリーン、無防備な立ち姿の脇からがぶり寄ったスコットが重心を崩しにかかる。
「こんな技もあるってことで」
 倒した隙にふんどしを奪取し、スコットは一枚獲得した。
「よ、ようやく終わった……」
 ボソリと呟きながらソドリーンは心の中で礼を告げ、さっさとエリア外に出ようと全身まっ黄色にしながら歩いていく。
 人型の栗きんとん状態で、なかなかシュールな立ち姿である。
「もろたでぇぇっ!!」
 攻防している隙に背後に回り込んだイナフナイフは、スコットの背後に立つと足に組み付いて転ばせにかかる。
 そしてバック(立ち位置)を奪った勢いのまま尻を叩き始める。
「そぉれスパァンツ! スパァアアンツ!!」
「ひぃ!? 痛ぁい!?」
 (羞恥的な意味で)公開処刑と言っても差し支えのない、ケツドラムショーを始めるイナフナイフの行動にスコットはジタバタと暴れる。
「村長さぁん! 反則だよねこれ!?」
「うん」
 イナフナイフ、ここでまさかの失格。
「こういう競技だと思ってました! 実にすみません!」
 口では謝罪しているが手を止める気配が全くないイナフナイフであった。あぁん、ひどぅい……!
「すごい音だね、サフィニア」
「あれ本気で叩いてるんじゃ……」
 興味深そうに観戦している咲祈とサフィニアも、まさかの失格者に驚きを隠せず。

 ホイホイチャハーンなやりとりと対照的に、真剣勝負を繰り広げているのは協力体制で臨む鳥飼組と海十組。
 海十組はフィンが一人で前衛に立っていることもあり、同時に狙いをつけている鳥飼と隼を警戒するあまりに慎重にならざるを得なかった。
(俺のふんどしを取られたら、失格になって海十を守れない……!)
 取るよりも取られることを警戒して、フィンはなかなか一歩を踏み出せない。
 後ろには心強いパートナーもついていることもあり、前面に集中できることが救いだろうか。
(深く考えるな、ふんどしと思うな。これは体育祭の騎馬戦で奪い合う鉢巻のようなものだから、そうだったらそうだから)
 当の海十はふんどしの奪い合いに対し、自己暗示をかけて抵抗感を無くそうと必死である。
「弱りました、ね」
 対する鳥飼組も、実はかなり保守的な作戦であった。
 囮の鳥飼がふんどしを奪われる恐れがある可能性が発生して、初めて隼は行動を起こすのだ。
(……隼さんを信じて動きましょう)
 最初に行動を起こしたのは、鳥飼だった。
 矢面に立つフィンに向かって真っ向から挑むが、体勢を維持しようとするあまりに進行速度は遅い。
「ごめんよ、今日ばかりは俺も譲れないんだ!」
 可愛い恋人のあられもない姿を衆目にさらすことはできない!
 漢、フィン・ブラーシュ――気合を込めてダイビング・ふんどし・奪取に挑む。
「……!」
 勢いよく飛び込むフィンに向かって、隼も鳥飼(のふんどし)を防衛しようと落着した瞬間を狙って動きだす。
(フィンの後ろから素早く飛び出て、狩る……!)
 海十も隼が動いた瞬間を目敏く見つけると、フィン(のふんどし)を守るべく一気に踏み出していく。
 4人が一斉に動き出すと観衆が一気に息を呑んだ。
「――もらった!」
 真っ先に拳をあげたのは海十だった。
 掲げられた手には黒地に鯉柄の、隼が着用していたふんどしが握られている。
 ――しかし、もう一方では予想外の事態が起きていた。
「え、えぇっ!?」
「……と、取れちゃいました」
 フィンと鳥飼、手には互いのふんどしが握られていた。
 ……全員の視線が、行司も兼ねる村長に集中する。
「ほぼ同時でしたな」
 既存のルールに則って双方に1点ずつ付与することが宣言された。
「あいつ絶対許さな……あれ?」
 村人にイナフナイフを引っぺがされるまで尻を叩き続けられていたスコットがようやく解放されると、戦況が大きく動いていたことに気づく。
 ――残るはスコットと海十の2人。
(……外の世界はなんて活き活きしているんだろう)
 熱戦を前に無表情で感動しているシムレスは、胸の熱くなるような展開の数々に打ち震えていた。
 何度も言いますが、ふんどしを奪い合ってるだけです!
「くっ、フィンのふんどしが奪われるなんて……!」
 己の失態にギリと歯噛みする海十だが、ここまでくれば腹を括ろうと前を見据える。
(村の人達の好意に応える為にも、華々しく最後を飾ってやる)
 スコットは自分が最後まで残るとは思わず、栗きんとんまみれの頭をボリボリ掻いた。
 お尻は真っ赤な紅葉だらけでお猿さんのよう、今年の干支らしくて縁起がいいね!
(俺の目的、果たせなかったんだよね)
 狙っていたピンク頭はまさかの失格、しかも公衆の面前で尻を叩かれまくるという失態まで晒される始末。
(でも、負け姿をあいつの前で晒すのも癪に障る)
「ちゃちゃっと終わらせるね♪」
「……勝負だ」
 朗らかな笑みを浮かべ肩を回すスコットと、対照的に真剣な表情を浮かべ身構える海十。
 ――同時に踏み出し、スコットが先ほどと同様にねこだましで不意を突こうと試みる。
「これも作戦だよ!」
 パァンッ!
 破裂音に似た大きな音がさく裂し、動揺した海十だが引けぬ状況に博打勝負を打って出る。
(紐に指が引っかかれば!)
 力任せに引いたとしても、これならインナーパンツに手が掛からないハズ。
 視界を閉ざしたまま、勢いよく手を伸ばすと――指に引っかかる感触。
「あっ」
 回り込もうと踏み込んだスコットの情熱の赤ふんどしが引き剥がされた。
 ――特別試合は2枚奪取した蒼崎 海十の勝利で幕を閉じる。

●お汁粉はお手製ですのでご安心ください
 咲祈達は汚れた体を洗い、着替えを済ませると屋外に用意されたストーブを囲んでお汁粉を堪能していた。
「あんこにお餅。定番の組み合わせだけどこういう食べ方もあるんだね」
 どうやって作るのだろうと咲祈は首を傾げながら、ほくほくと口に運ぶ。
「サフィニア、お汁粉作ってよ。レシピ調べておくから」
「……俺が一番手間のかかる作業をしないといけないんだね、相棒?」
 咲祈も悪びれて言っている訳ではないとサフィニアも理解しているが、レシピ通りとなると色々材料やら手順がある訳で。
「お汁粉のパウチじゃダメ?」
「ダメ、だって気になるんだもの」
 そう言って頑なに譲らない咲祈であった。
「ふむ」
 お汁粉をすするシムレスは変わらず無表情。
(栗きんとんのせいでお汁粉の味がよく解らねぇ)
 全身にまみれていたこともあり、嗅覚が一時的に麻痺してしまったのだろう。
 シムレスも終始、退屈していたように感じられてチラリと横目で見やる。
「悪くない」
 ほんの僅かに表情を綻ばせたシムレスにソドリーンもこっそり苦笑をこぼす。
 シムレスは気に入ったのか、お汁粉のお代わりをもらおうと村人の元へ向かう。
「まだべたべたしてるような気がします」
 鳥飼は眉を下げながら、長い髪の隙間に栗きんとんが残っていないか確かめる。
 念入りに洗ったものの生温い感触のインパクトが強すぎた。
「でもお汁粉も美味しいですし、オーガも結局いませんでしたし……何事もなくてよかったです」
 一息吐く鳥飼の隣で隼も黙々とお汁粉を口にしていたが、ふと鳥飼に視線を向ける、
「隼さん?」
 ――不意に鳥飼の口元を拭った隼の指先に、あんこが少し。そしてそれを、ぱくり。
「は、恥ずかしい、です」
 顔を赤く染める鳥飼の様子を気にすることなく、隼は自身のお汁粉をすすり始める。
「つ、疲れた」
 海十は一気に湧いてきた疲労感にげんなりしており、フィンも苦笑いを浮かべる。
「まさかの相討ちで退場しちゃったけど、海十と一緒に戦えて心強かったよ」
「フィンもお疲れ。村の人達が喜んでくれたのなら、よかった……かな」
 村人の作ってくれたお汁粉も、体の芯まで温めてくれるような優しい甘さがあり非常に美味しい。
「……守ってくれて、嬉しかったし」
 ぽつりと呟かれた海十の言葉に、フィンはニッコリと笑顔で答えた。
「鼻にあずき詰まれボケ(甘くておいしいねー)」
「アラガキさん、めっちゃ心の声出てますよ」
 スコットは大恥をかかされたと内心では怒り心頭である。
 この場に仲間がいなければリアルファイトも辞さなかっただろう。
「きんとんバスター見たかったわぁ」
「勝手に喰らってろ(お餅がすごいもちもちだー!)」
「だから心の声出てますって」
 スコットの抱える怨恨はさらに根深くなりそうだ。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 木乃
エピソードの種類 アドベンチャーエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル 日常
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 少し
リリース日 01月07日
出発日 01月14日 00:00
予定納品日 01月24日

参加者

会議室

  • [11]蒼崎 海十

    2016/01/13-22:55 

  • [10]蒼崎 海十

    2016/01/13-22:55 

    フィン:
    ギリギリの返答になってごめんね!

    勿論、俺と海十も「PC的には遺恨ができてもPL的には遺恨残さず」だよ!
    折角だし、楽しまなきゃ損だよね♪

    さて、プランは提出したけど、どうなるか楽しみだ…!

  • [9]咲祈

    2016/01/13-20:35 

    >ソドリーンさん
    俺もプランに記載しない限りはそんな大変な事態は起こったりしないと思うよ。
    アドリブで剥ぎ取りの描写がある、とは考えにくいし。
     うん、俺もイナフナイフさんやソドリーンさんと同じ腹積もり。
    あ、プランはできてるよ。

    …でもなんで咲祈あんなに生き生きしてるんだろ(頭抱え

  • [8]スコット・アラガキ

    2016/01/13-19:28 

    イナフナイフ:
    プランは提出済みです。皆さんよろしくお願いします。

    >「PC的には遺恨ができてもPL的には遺恨残さず」
    インナーすっぽんは…どうなんでしょうね?
    プランで言及しない限り、そうそう起きない珍事態だと予想していますが。

    しかし心積もりは僕もソドリーンさんと一緒ですよ。
    楽しく剥いだり剥がれたりしましょう。

  • [7]シムレス

    2016/01/13-04:52 

    ソドリーン:
    俺は初心者だからよ気になっちまったんだが
    この状況はあれだろ、PvPってやつ
    で、故意か事故かインナーまで剥ぎ取られる可能性がある。

    で、参加してる奴らって「PC的には遺恨ができてもPL的には遺恨残さず」っつう腹積もりで参加してると思っていいのか?
    俺の後ろはその腹積もりだ。
    だから俺の剥ぎ取った奴がいてもそこんとこは大丈夫だと言っておく。
    あー、ちなみに神人は開始早々退散するそうだ。
    プランは出してるぜ。

  • [6]蒼崎 海十

    2016/01/13-00:22 

  • [5]蒼崎 海十

    2016/01/13-00:22 

    海十:
    滑り込み参加、失礼します。
    蒼崎海十です。
    パートナーはフィン。
    皆様、宜しくお願い致します。

    新年一発目の任務が…これ(遠い目)

    フィン:
    楽しそうだね!(ぐっ

  • [4]咲祈

    2016/01/12-11:48 

    オーガだと思えば違ったようだ?
    咲祈とサフィニアだ。よろしくね。
     ふむ、なるほど…これは楽しそうだ。

    サフィニア:え、楽しそう!?

  • [3]シムレス

    2016/01/12-08:03 

    ソドリーン:
    ソドリーンと神人のシムレスだ
    はじめまして‥だ

    初任務がこれとはウィンクルムとは何なんだろうかと頭抱えちまったぜ
    まぁ神事なら真面目に取り組まねぇとな‥はぁ

  • [2]鳥飼

    2016/01/10-18:13 

    スコットさん、イナフナイフさん初めまして。
    僕は鳥飼と呼ばれてます。こちらは隼さんです。(隣を手で示す
    どうぞよろしくお願いします。(お辞儀

    えーと、隼さんと協力して頑張りたいと思います。(ぐっと両手で拳を作る

  • [1]スコット・アラガキ

    2016/01/10-16:38 

    イナフナイフ:

    はじめてのオーガ退治に張り切って向かった結果がこれやで。
    イナフナイフです。本年もよろしくお願いします。


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