


ハロウィンを盛り上げるために建設された広大な『ジャック・オー・パーク』。
オーガに占拠されていた観覧車を解放した『あなた達』は、「折角だし」と顔を見合わせる。
デートをして、まだ残っているオーガの仕掛けた罠と瘴気を消し去ろうと言うのだ。
2人で見上げるは、『超巨大観覧車』。
地上に戻ってくるまでに30分はかかるだろう。
かなりの高さがあるから、パーク内とパークの外の景色も一望できそうだ。
だが、とあなたは思う。
こんな風に仮装もしているのだから、景色よりもパートナーを驚かせる事に重点を置きたい。
いや、悪戯されるのはご免だと、相手が困った顔で「降参」とばかりにお菓子を出してくる様を見てみたい。
あーん、とか、されたりもしたりして……!
想像だけで歓喜の声をあげそうになったあなたは、「いやいや落ち着こう」と首を振る。
1度、自分の仮装を見下ろしてから、相手に顔を向けた。
「Trick or Treat!」
さぁ! お菓子か悪戯か!
両手を広げ言ったあなたを、パートナーは小首を傾げるようにして見返す。そうして――。
「悪戯で」
あっさりと、そんな風に言った。
――ん? 意味を履き違えてしまったのかな?
気を取り直して、言い直してみる。
「お菓子くれなきゃ、悪戯するぞ!」
「どうぞ」
「え?」
そんな遣り取りをしている間に、巨大観覧車の前へと到着する。
「あー、時間は、この観覧車が頂上に着くまでな」
――時間にして、15分くらいか。
そう呟いたパートナーの声が変わっている事に、あなたは今更ながらに気付く。
「悪戯で俺が驚かなきゃ、お仕置きだな」
笑った相手の顔が、恐ろしい。
悲鳴をあげて逃げ出したくなったあなたの背に、相手の手が添えられた。
ポケットに入れてあるお菓子を片手で確認して、あなたはもう片方の手に力を入れる。
小刻みに震えている背中を、気付かぬ振りで押してやった。
お菓子を渡す前に、ちょっと揶揄ってやろう。
パートナーの背を押して観覧車に乗り込みながら、あなたは密かに肩を揺らす。


●目的
悪戯する側→仮装の特殊効果を使い、パートナーを驚かせようとする。(今回、仮装しているのは悪戯する側だけとなります)
悪戯される側→相手の『悪戯』に驚いていない振りを貫き、「お仕置き」する振りで相手を驚かせる。
※悪戯される側の目的が成功すれば、「成功判定」となります。
※「お仕置き」はあくまで「振り」です。ちなみに18禁行為(べ、別に期待している訳ではないですよ?)は描写致しません。本当です。
※アトラクションを思い切り楽しんでいただければ、罠と瘴気は自然消滅します。
●リザルトノベル
1.上昇する観覧車内。悪戯する側が驚かせようと奮闘する場面
2.てっぺんに着き下降する観覧車内。お仕置きの振りをした後、お菓子を渡す場面
上記の2部構成となります。
※時間帯は夜です。
●観覧車代として、1組につき400Jr戴きます。
●仮装の種類と特殊効果
【仮装】をしている悪戯する側は、特殊効果を利用できます。
・ゴースト
かわいいおばけの仮装です。
パートナーを驚かすことが得意となり、サプライズがとても上手になります。
(不器用なサプライズでもばれにくくなり、サプライズがしやすくなります)
・ドラキュラ
紳士を思わせるドラキュラの仮装です。
甘噛みされたパートナーがしばらく素直になります。
・ジャックオーランタン
オーガよりもとってもかわいいデザインの、ジャックオーランタンの仮装です。
気分が高揚し、普段言わないようなことなどを言いやすくなります。また、表情が豊かになりやすくなります。
(※ジャックオーランタン伝説の元になった方が、酒好きだったところから。お酒に気分よく酔っているイメージです)
・ウィッチ
魔女の、美しい仮装です。女装の形となります。
箒にまたがると、空を飛ぶことが出来ます。
(観覧車の外に出て飛ぶことになります)
※仮装は必ずしている事になります。が、特殊効果は使わなくても構いません。
皆様こんにちは、Motokiです。
どうぞよろしくお願い致します。
じ・ゅ・ん・す・い・に、楽しみです!
ギャグっぽくなさるのも、ハートフルになさるのも、ご参加下さる皆様次第です。
心理戦の要素を含んでみるのも、面白いかと。
PC様らしさ全開で参りましょう!
私も全力で挑ませて頂きます。
それでは。
皆様の素敵なプラン、お待ちしております!


◆アクション・プラン
蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
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仮装:ゴースト 悪戯する側 絶対にフィンをぎゃふんと言わせてやる…! 落ち着け 仮装効果で俺有利は揺らがない マジシャンズハット「ショータイム」と仮装効果で驚かす とはいえ、タイミングが難しいな まずは他愛ない会話で場を繋ごう 見ろよ、凄いなどんどん上昇して、パーク内が見渡せる 空に近くなって…いい景色だな フィンがリラックスしてきた所で、ハットからうさぎ(ぬいぐるみ)を出して驚かせる どうだ?驚いたか? う、全然驚かないだと…? 手品が子供っぽ過ぎたか …って、何する気だ…! 何だその手…ま、まさか擽る気か?(くすぐったいのに弱い) や、やめ…! …お菓子?お仕置きは…? 安堵と同時に羞恥が込み上げて、フィンの口に飴を放り込む |
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ゴーストの仮装 鴉さんが乗ってくれるとは思いませんでした。(嬉しい でも、どうしましょう。 驚くような悪戯が浮かびません。(人差し指を唇に当てる 「驚きは二の次で。悪戯されてくださいね」(にっこり そこまでひどいことはしない、ですよね?(少し不安 予備のリボン(青)で、鴉さんの髪をカチューシャ風に結んで。 持ってきた手鏡で見て貰います。 「一度してみたかったんです」(楽し気 (目を瞑る 「からふ(鴉)さん?」お仕置きってこれですか? 鴉さんがやってるのにひどいです。(本気で思ってはいない (物を見て、きょとりとしてから察する 「Trick or Treat」(目を合わせて微笑 「ありがとうございます」 (大事に胸の前で持つ |
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お仕置き・・・お仕置き、お仕置きって!?(赤面) そ、そんなの急に言われたって困りますよ! てゆうかこんな所で悪戯だなんて・・・。 仮装・ウィッチ(かぼちゃパンツ風半ズボンで、一見ボーイッシュな女の子風) ・ちなみに自分は好きでこんな格好をしているのではない、パークの人に勧められ仕方なしにしているのである 「僕もういい歳なのに・・・」 ・ふと、ウィッチの特殊効果を思い出す (そうだ、僕今飛べるんじゃん!) ・驚かせようと思いっきり観覧車から飛び出し特殊効果を使ったものの、予想以上の高さにビビる 「怖!思ったよりも怖!」 「く、クロさんヘルプ~!」 ・どうにかこうにか観覧車に戻る 「うう・・・無理・・・」 ※アドリブ可 |
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(パソコンの履歴見たから思惑は大体分かる) ※共用パソコンに関連サイトの履歴未消去 抜けてるっつーか…ま、可愛いからいいか 「何で、マントすっぽりなんだ?」 この前甘噛みしたし、ドラキュラか? ※EP22 って、ウィッチかよ …でかい以外無駄に似合うな ※驚かないので怒られた (格好が衝撃的過ぎたからだよ) 「外には出るなよ?」 危ないし寒いし観覧車停まる 「じゃ、お仕置きの時間だ」 鼻摘んで口開けた所に紅茶の飴を放り込む 「気が変わってな。俺の可愛い魔女にはこっちの方がいいだろ?」 あ、ピャアアアした (今回はレベル2か) 降りたら逃亡かよ 「来いよ、イェル」 手招きしたら戻ってきたから頭撫でる (ホント可愛い奴) ※喉鳴らして笑う |
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神人=悪戯する ゴースト …なにってお化けさ。いや…ごーすと? …うん。この際なんだって構わない 可愛いだろう? どろんだよサフィニア、どろん ……これだとにんじゃ? ふむ………?(首傾げ ・わざと大人しくなり、精霊が気にし始めた頃に「ばあっ」と …何故、驚かないんだ。本にはこうしたら驚くと書いてあったのに… はっ……! 迫力かい? いや…もっと考える必要がある…(自問自答 僕の顔が怖ければ、悪戯は成功するのだろうか… うーん…もっと調べておけば良かった。誤算だった… ・頂上 …仕方ない。さぁ、切腹の覚悟はできている いつでも来るといい(ヤケ ……(お菓子を見て、きょとん …君の悪戯は変わっているね そうかい。ありがとう |
●可愛いウィッチの悪戯は
黒いマントで首から下を覆ったイェルク・グリューンをチラリと見た神人は、大観覧車へと乗り込みながら微かな溜め息を吐く。
(……パソコンの履歴見たから、思惑は大体分かってるんだよな)
自分と共用のパソコンなのだから、履歴が未消去であればどんなサイトを閲覧したのかが判るというもの。
抜けてるっつーかなんつーか、と1度窓から外へと視線を向けたカイン・モーントズィッヒェルは、自分と向かい合い座った精霊へと視線を戻す。
自信があるのか、先程から微笑を湛えたままの恋人を見て、座席へと深く凭れかけた。
――ま、可愛いからいいか。
「何で、マントすっぽりなんだ?」
この前甘噛みしたし、ドラキュラか?
問いかけながらも、ぼんやりとそんな風に予測する。
イェルクは、「さあ? 何ででしょう?」と笑みを深め、ただ誤魔化していた。
マントの中の箒がバレぬようにと注意を払い、仮装のお披露目も驚かせる手段の1つとタイミングを計る。
いつも翻弄されているのだ。サイトで見た通り全力で驚かせようと、玩具もしっかり仕込み済み。
動き出した観覧車に颯爽とマントを外せば、現れたのは露出は低いがレース多めな黒衣の魔女。
(って、ウィッチかよ)
一瞬だけ視線を逸らせて黒系統で纏められた魔女を改め見れば、その様子になんだか感心した。
……でかい以外無駄に似合うな。
思ったのは、そんなこと。
にっこり笑った魔女からそっと握らされたものを見れば、広げた掌の上で鎮座するゴムの蜘蛛。
続き両手で包むように隠し差し出してくるから視線を落とせば、蛙のオモチャが飛び出した。
ピョン。
掌で受けて、蜘蛛と蛙を自分の隣に座らせる。
次は何だと見返せば、目に入ったのは銃口。その向こうにある、緑色の瞳が自分を真っ直ぐ捕えていた。
ピュッ!
飛び出した水で濡れた片頬を、「ちょっと冷たい」とハンカチで拭う。
終いには。
「何で驚かないんですか……」
拗ねたように、怒られた。
そりゃあだって。
(……格好が、衝撃的過ぎたからだよ)
●可愛いゴーストのお悩みは
昇り始めた大観覧車。
サフィニアは向かいに座る神人を、「えーと」とパチパチ瞬きしつつ見つめていた。
「なにそれ、咲祈……?」
精霊の言葉に、神人は「なにって」と肩を竦める。
「お化けさ。いや……ごーすと?」
少しばかり思案するように視線を斜め上へと上げた咲祈は、改めて自分の姿を見下ろし「うん」と頷いた。
「……この際なんだって構わない。可愛いだろう? どろんだよサフィニア、どろん」
胸の前で垂らした両手をふりふりと揺らしてみせた咲祈に、思わず精霊か体を折り笑う。
「あはは、可愛いよ。だけどどろんだと忍者だ」
「……これだとにんじゃ? ふむ………?」
顔の前。両手で見よう見真似の印を結びながら、視線を上げて。
しばらく悩んだあとで、神人は不意におとなしくなる。
「…………」
段々と、視線と共に顔が俯いていって――動かなくなった。
あれ? とその様子を2度見したサフィニアが、心の中で呟く。
(咲祈が急に大人しく……今度はなにを企んでるんだろう?)
なにを企んでいるのか、と思ってしまう処が気の毒のような気もするが、彼の性格を知っているだけに仕方がない。
こういう時、落ち込むより、お茶目になるのだ。
警戒せずに、と言えば嘘になる。
警戒しながら軽く顔を覗き込めば、「ばあっ」と咲祈が顔を上げた。
「…………」
目をぱちくりとさせて、相手を見つめて。
ある意味別の驚きが、湧き上がった。
(……もしかして、脅かそうとしてる……?)
そんなパートナーの反応に、咲祈は咲祈で衝撃を受けていた。
――何故、驚かないんだ。本にはこうしたら驚くと書いてあったのに……。
はっ! と、思い当たる。
「迫力かい? いや……もっと考える必要がある……」
顎に指をあてて考える。そんな自問自答は声となり、相手にも届いていた。
(確かに、迫力はいるかも)
そんな風に、サフィニアも心の中で同意する。
咲祈はひたすら可愛いばかりだ。それでも今のはちょっとびっくりしたけれど、相手に気付かれていなければこちらの勝ち。
「僕の顔が怖ければ、悪戯は成功するのだろうか……。うーん……もっと調べておけば良かった」
誤算だった、と頭を悩ます咲祈の、その言葉の方がよっぽどサフィニアを驚かす。
(こ、怖い顔……? 咲祈の顔がそんなんだったら俺、この子の保護者代わりとしてどうすれば……?)
――それでも。顔には出さないようにと懸命の努力を。
●ビビるウィッチの助け方
「お仕置き……お仕置き、お仕置きって!?」
かぼちゃパンツ風の、一見ボーイッシュにも見えるウィッチの仮装をしている永倉玲央は、そう言って顔を赤らめる。
「そ、そんなの急に言われたって困りますよ! てゆうかこんな所で悪戯だなんて……」
わたわたと焦りながら訴える神人に、その隣で精霊は「あ~、うっせえなあ」と面倒くさそうに顔を背けた。
「とりあえずお仕置きされたくなきゃ、俺を驚かせばいいんだよ」
煙草をすぱーと吸いながら、どうって事ないだろ、とでも言いたげな口調だ。
押し込むように玲央の背を押し観覧車へと乗せて、己も乗り込む。勿論、その前に吸っていた煙草は消したが。
「驚くって言ってもでかいリアクションとるのも面倒だしなー。そこまで冒険する気ねぇし」
座りながら頭を掻き、外へと視線を向けたクロウ・銀月に「あんたなー」とすぐさま玲央が突っ込む。
「どんだけ冒険したくねえんだよ! 実家から一歩たりとも出てねえよ!」
まったく、と溜め息混じりに呟いて、「あーもうどうすりゃいいんだ」と自分の格好を見下ろした。
「僕もういい歳なのに……」
好きでウィッチの格好をしているのではない。パークの人に勧められて、仕方なく、仕方なくなのだ。
そうしていれば、ふと、ウィッチの特殊効果を思い出した。
(そうだ、僕今飛べるんじゃん!)
思い立ち、相手の様子を窺う。煙草も吸えず暇そうにしているクロウに、今だ、と立ち上がった。
箒にまたがると、「どりゃ!」とばかりに扉を開けて勢いよく飛び出す。
ヒュー! と。まず感じたのは冷たい風。そして突然心許無くなった足元に視線を向ければ、予想以上の高さがあった。
――あ、あんなに、歩く人が小さく……。
「怖! 思ったよりも怖!」
動揺は、容赦なく箒へとダイレクトに伝わる。
上に下に、右に左にと、仮装を靡かせ飛びながら、観覧車へと叫んだ。
開いた扉に、飛び出して行った玲央に、クロウが取った行動は「さぶ……」と扉を閉める事。
「く、クロさんヘルプ~!」
聞こえてきた叫び声には、「えー」と観覧車の中、面倒くさそうに洩らしていた。
仕方ねぇな、と頭を掻いて、扉を開ける。
「手ぇ伸ばせ。それじゃ箒も掴めねーよ」
枠を片手で掴み、身を乗り出して。もう片方の手を玲央へとめいっぱい伸ばした。
どうにかこうにか観覧車へと戻れた玲央は、ハァハァと肩で息をする。
「うう……無理……」
床へと崩れ落ち、そう、両手を付いた。
●悪戯ゴーストの決意
(絶対にフィンをぎゃふんと言わせてやる……!)
ゴーストの仮装姿で拳を握る蒼崎海十は、気合充分に向かい合って座る精霊を見つめていた。
しかしまずは深く息を吸って、落ち着け、と己へと言い聞かせる事にする。
――仮装効果で、俺有利は揺らがない。
柔らかな微笑を浮かべたままでその強い視線を受け留めるフィン・ブラーシュは、心の中では冷静に恋人の取るだろう行動を分析していた。
――海十、負けず嫌いだし、本気で驚かせにくるだろうな。
しかし、そんな所が可愛いんだけど、なんて。思った事は内緒だ。
きっとまた、「フィンの年上の余裕が……」と、可愛く怒り出すに違いないから。
「見ろよ、凄いなどんどん上昇して、パーク内が見渡せる」
振った他愛ない話は、難しいタイミングを計るためのもの。
そうではないかと気付きながらも、フィンはその話題に乗っていた。
「広がる地上の景色が、おもちゃみたいに見えるよね」
「空に近くなって……いい景色だな」
言って夜空に輝く星を見上げる瞳は、ただ騙す為のものとは思えない。
「うん。世界の中、海十と2人きりになった気分だ」
同じように夜空へと青い瞳を向けたフィンに、海十はそっと、マジシャンズハット『ショータイム』を取り出す。
トンッとツバを叩く音にフィンが視線を落とせば、海十の持つハットからはうさぎのぬいぐるみが飛び出していた。
反射的に、白いぬいぐるみを受け留めて。「おお」と口角を上げる。
「手品ときましたか」
「どうだ? 驚いたか?」
相手がリラックスしたタイミングで出したのだ。ゴーストの特殊効果も加わって、充分、驚いてくれて良い。
それにはにっこり笑って、フィンはフリフリと両手で持つうさぎのぬいぐるみを揺らした。
「でも……驚くよりも可愛いと思う気持ちが先に出ちゃうよね」
――うん、これはもう仕方ない。
フィンの手の中でヒョコヒョコ長い耳を揺らすうさぎも頷いて、言葉に同意した。
「う、全然驚かないだと……?」
それどころか、うさぎも使い感想を伝えてくる程の余裕っぷり。
ちぇーっ、と拗ねる海十は頬杖を付きなから視線を横へと向け、自分なりの分析をする。
――手品が、子供っぽ過ぎたか?
●嬉しいゴーストの悪戯は
「鴉さんが乗ってくれるとは思いませんでした」
大観覧車へと乗り込みながら、鳥飼は嬉しげに笑う。
「今までから判り切ってましたが、主殿が行事に便乗しないはずがありませんからね。置いて私だけ戻るわけには参りませんし。仕方なく乗ってあげますよ」
言いながらもその内で、鴉は密かに笑う。
(偶には、意趣返しも良いでしょう)
そんな精霊の心も知らぬ神人は、でもどうしましょう、と首を傾げていた。
(驚くような悪戯が浮かびません……)
人差し指を唇にあてながら、考え込む。
そうして導き出した、結論は――。
「驚きは二の次で。悪戯されてくださいね」
にっこり笑うその様子に、笑みを貼り付けたままの鴉が僅かに瞼を揺らした。
「潔いですね、主殿」
しかし――。
「二の次とは、堂々というものじゃありませんよ?」
前提条件だというのに……。
「悪戯されると言ったからには、受けますけどね」
一刻も消えぬ微笑が、今日はなんだかやけに恐ろしく見える。
――そこまでひどいことはしない、ですよね?
少しの不安。そう、確認したくもなるのだが……。
鳥飼は予備に持つ青色のリボンを取り出す。「失礼します」と精霊の黒髪をリボンと共に丁寧に編んでいった。
出来上がったその髪型に満足げに笑って、持ってきていた手鏡で鴉にも確認してもらう。
「どうぞ?」
その言葉に手鏡を覗き込めば、髪がリボンと共にカチューシャ風に結ばれている。
「これはどうかと……」
鏡に映る、見た事もない自分を眺めながら、溜め息混じりに鴉が呟いた。
「1度してみたかったんです」
それでも鳥飼は、楽しげに笑う。
もう1度、溜め息を吐いて。はい、と手鏡を返した。
「驚く以前の問題ですよ、まったく」
そう零す精霊をちろりと上目遣いに見て。
相手が本気で怒っていない事に、神人は楽しそうにクスクスと笑った。
●ピャアアア2の甘さを
「外には出るなよ?」
危ないし寒いし、観覧車停まるかもしれないだろ。
下降し始める観覧車の中、箒を手に僅かに思案したイェルクは、その言葉に同意して逃亡は諦める。が、少し視線は恨めしげだったかもしれない。
「じゃ、お仕置きの時間だ」
口角を上げたカインに、軽く肩を竦めた。
「約束ですし、ね」
大人しく目を閉じて待てば、鼻をつままれる。
しばらく我慢して、しかし一向に放してくれない指に苦しくなって口を開けた。
空気と共に、ぽいっと口内に入ってきたのは、飴。
放り込まれたそれに目を開けて、間近の相手を見返した。
「な、に、を……」
言えばカインは相好を崩す。
「気が変わってな。俺の可愛い魔女にはこっちの方がいいだろ?」
目を瞠って、赤面したイェルクの口内でカランと飴が鳴った。
俺の可愛いって、あなたはまた、そういうことを……。
恥じらっているとカインに気付かれる程、精霊は顔に手をあて照れている。
体が熱い。味も分からぬ飴が、舌の上で存在だけを主張していた。
きっと甘いに、違いないのだけれど。
観覧車が地上に戻った途端、魔女が飛び出す。
続いて降りたカインが、「おいおい」と夜空を見上げた。
――降りたら逃亡かよ。
夜風に黒きスカートを靡かせる優雅な姿を、暫し、眺めて。
「来いよ、イェル」
声をかければ、「知りません」と星の夜空を背景にして飛び回る。
しかし手招きする神人に気付くと、ふわり、ふわりと少しずつ高度を下げた。
不満そうにしながらも律儀に己の前へと立つイェルクの頭に、掌を乗せる。
(……ホント、可愛い奴)
頭を撫でながら、そうカインは喉を鳴らし、笑っていた。
●時間が来たら
観覧車か頂上に着けば、サフィニアが笑みを深くする。
「さーきちゃんっ時間だよ」
一瞬相方を警戒するように見た咲祈は、彼のズレた言い回しにも気付かない。
だって今はそれよりももっと、心を支配するものがあるから。
溜め息ひとつ吐いて。背凭れへと体を投げ出すように預けた。
「……仕方ない。さぁ、切腹の覚悟はできている。いつでも来るといい」
潔いようで、ただのヤケ。
何をしてくるのかと好奇心も微かに覗かせた、金色の瞳は嫌いじゃない。だが、この場合は――。
手を伸ばして。ほっぺたをつねる――と見せかけて、相方が目を閉じてかーらーの……。
椅子に投げ出されている掌へと、お菓子を握らせた。
「…………?」
ちろり、片目を開けた咲祈がお菓子を見て、きょとん、と首を傾げる。
「……君の悪戯は変わっているね」
ぼんやり呟かれたそれは、心に浮かんだままの言葉のようだ。
「頑張ったご褒美だと思ってくれれば」
言いながら笑ったサフィニアに、「そうかい」と瞼を閉じて微笑を浮かべる。
「ありがとう」
もう1度視線を落として、面白そうにサフィニアが用意したお菓子を眺めた。
口へと含めば、ひたすら広がった甘い味。
1つを掌から摘まんで差し出して、頑張った相方へも、甘い味のお裾分け。
●期待は甘く、裏切られる
ポン、と肩へと置かれた手に、床に手を付いたままの玲央は顔を上げる。
「クロさん……」
心配してくれたのか、慰めてくれるのか、と見上げれば、精霊はニヤリと口角を上げていた。
「自分から仕掛けてきておいて、今更引くなんて言えないよなあ、玲央子ちゃん?」
「誰が玲央子ちゃんだ、コラぁ!」
思わず突っ込んで。しかし蒼褪めたくなるその台詞で、観覧車が頂上へと着いた事に気付く。
「そ、そんな……」
扉の窓へと貼り付いて外を見れば、確かに下降して行っている。
絶望にも似た気持ちで扉に凭れるように座り込めば、トンッとクロウの掌が背後の扉へと付かれた。
見返せば、クロウの顔がゆっくりと近付いてくる。
「目、つぶってろ」
囁くような低いその声は、いつもの煙草の匂いを運んできて。
(ま、まさか……)
――キス!?
玲央が顔を赤らめ目を閉じて、フルフルと体を震わす姿をクロウは見届ける。そうして唇へと、お菓子を突っ込んだ。
舌の上で甘さを確認して、玲央が驚き目を開ける。
「まあ、それなりにウケたし? よくできました~」
ククッと肩を震わせて。
笑いながら頭を撫でてくるクロウに、玲央はギリッ、とお菓子を噛み締める。
(こいつ、マジムカつく!)
●くすぐったい程の甘さを
「それじゃ、お仕置きだ」
この時ばかりは、フィンの目が弓形になっている気がした。
「……って、何する気だ……!」
両手をわきわきとする相手に、海十は目に見えて蒼褪める。
「何だその手……ま、まさか擽る気か?」
くすぐったいのに弱いと知っていて、その仕打ちと!?
うそだろっ、と叫びたい声も喉で詰まる。ずりずりと、隅っこの方へと体をずらしていった。
「逃げられないよ、ここには俺と海十しか居ないんだから……」
わきわき、わきわき。
目が、本気だった――。
「や、やめ……!」
ずいっと近寄って来たフィンに、海十は両手を前で交差させ、ぎゅっ、と目を瞑る。
「…………」
ほんの、一瞬の沈黙。
体に触れたのは、擽る手では無くて、軽いもの。
目を開ければ、降り注いでいるお菓子たち。
思わず両手で幾つかを受け留めて、視線を上げれば両手を掲げたフィンの姿があった。
「――お菓子? お仕置きは……?」
「びっくりした? お仕置きなんてする訳ないじゃない」
そう微笑む顔は、憎たらしいほど綺麗で。
目が離せぬままでいれば、顔が近付いてくる。
「……可愛かったよ」
耳元へと寄せられた唇が、そう囁いた。
その途端、お仕置きされない安堵よりも、羞恥が込み上げてくる。照れ隠しに、相手の口へと飴を放り込んだ。
コロ、と。フィンの口の中で、飴が転がる。
「うん、海十みたいに甘くて美味し……痛!」
最後まで言わせて貰えずに、可愛らしく顔を真っ赤にした恋人に、殴られた。
●それはカラフルな、もう1度の魔法
「時間切れです」
目を細めたまま言った鴉に、鳥飼は少しつまらなそうな顔をしてから外を見る。
夜空に、最も近い場所。
それもほんのひと時で、そこからまた離れて行くのを確かめると、「残念ですね」と大人しく座り直した。
――では、お仕置きという事で。
「目を瞑ってください」
そう言われて、素直に従った。
「………………?」
まだですか? とそう、聞きそうになる程度は焦らされて。
瞼を閉じたままのその顔の、右の頬を摘まれた。
「からふさん?」
――お仕置きってこれですか?
痛くはないが、喋り辛い。
摘む相手の左手から、微笑を浮かべているだろう気配が伝わってくる。
「発音が間抜けですね」
笑いを含むその声に、鴉さんがやってるのにひどいです……なんて。
本気で思っている訳でもないのだが――。
それは相手にも伝わっているようで、しばらくは摘まれたままだった。
「まあ、遊ぶのはこの辺にしましょうか」
離れた鴉の指が少し赤くなった頬を触れるかどうかの距離で微かに撫でてから、隠し持っていた飴玉入りの小瓶をポケットから取り出す。そうして目を開けた鳥飼へと、差し出した。
「もう1度どうぞ?」
カラフルな飴がたくさん入ったそれに、きょとりとしてから少しの間を置いて察する。
胡散臭い笑みの鴉を見上げると、鳥飼は目を合わせて微笑を浮かべた。
「Trick or Treat」
「Treatで」
意外にも、優しい声が応えて。小瓶がそっと渡される。
両手で受け取り、カラフルな飴の中に紫色の飴玉を見つけた。
濃い色のそれは、まるで彼の瞳のようで。一見黒くも見えるが、こんなにも綺麗な色をしている。
お菓子を、こうして用意してくれていた事が素直に嬉しい。
「ありがとうございます」
礼を伝えて。また少し仲良くなれた事が嬉しくて、大事に胸の前で小瓶を持った。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | Motoki |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | イベント |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | 簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 10月31日 |
| 出発日 | 11月07日 00:00 |
| 予定納品日 | 11月17日 |

2015/11/06-21:26
2015/11/06-18:00
2015/11/06-18:00
時間制限されたり、事前にバレてたり、決意疑惑……思惑様々だな……。
とりあえず、頑張って驚かせたり、驚く振りして、観覧車を楽しく過ごそうや。
しっかし、ここの大観覧車って30分掛かるとは驚きだ。
普通15分~20分程度だよな、何度か他のに乗ったことあるが、大体その位だったと思う。
ってことは、随分でかいし、高い所まで行くのかもな。
俺は高い所平気だから問題ねぇけど、上の方は風凄そうだな。
んじゃ、ま…
2015/11/06-01:08
2015/11/05-22:31
みなさん、こんにちはー。
はじめましての方ははじめまして、永倉玲央です。
まさかのいたずら希望!?
何をたくらんでるんだ、あの人・・・?
2015/11/05-15:09
僕は鳥飼と呼ばれてます。よろしくお願いしますね。
鴉さんを脅かそうとしたら制限時間付きにされちゃいました。むぅ。
どんなことしたら驚いてくるんでしょう。(考え込む
2015/11/04-22:37
2015/11/04-22:37
蒼崎海十です。
パートナーはフィン。
俺が驚かす側なんですが……フィンの奴、余裕だな…(むむむ)
絶対、驚かせてやる…!(拳ぎゅ)
皆様、宜しくお願い致します!
2015/11/04-15:49
サフィニアだよ、どうぞよろしくね。
咲祈ってばなに企んでるんだろう(痛む胃を押え
……まあ、内緒で脅かそうとしてるんだろう、けど!
咲祈ちゃん、脅かすならそれに関する本はちゃんとしまおう?(にこり
2015/11/03-21:31
2015/11/03-21:31
カインだ。
パートナーは、イェルク・グリューン。
イェルが俺に内緒で驚かせるつもりっぽい。
パソコンの履歴、消しとけよって感じだが、まぁ、最終的に何やるかまでは分からねぇから、いいか。
何やるんだかなぁ……。

