


A.R.O.A.本部の近くにあるとあるカフェ。
『あなた』は、パートナーと共に来た。
用事を済ませてやってきたここで、一息つこうという話である。
初めてここへ精霊と来た時は契約を済ませ、A.R.O.A.で諸々の手続きを済ませた直後だ。
元々の面識があったかどうかはそれぞれの物語になるが、契約直後初めて共に過ごす時間である。
それが過ぎ去りし日々なのか、或いは、今この瞬間であるかは、『あなた』達次第だ。
過ぎ去りし日々であれば、既に契約して日数が経過している。
当時を懐かしく振り返ってもいいだろう。
その時と同じメニューを頼んでもいいかもしれない。
今この瞬間であれば、正に契約直後の話だ。
これから、時として任務を共にするパートナーとどのように言葉を交わすだろうか。
互いに頼んだメニューについて話をしてもいいかもしれない。
恋の道を歩む者もいるだろう。
だが、愛の形はひとつではなく、恋以外の愛を寄せ、絆を結ぶ者達もいるだろう。
恋愛も友愛も親愛も敬愛も───どのような形であれ、愛に変わりはない。
これから築き上げる絆に名をつけるとしたら、どのような愛になるかなんて、誰が予想出来るだろう。
明日の今頃を、誰もが確かなものとして言えないように。
自分達の今後を、誰も明言することは出来ない。
けれど、契約は成された。
『あなた』は、目の前のパートナーをじっと見つめる。
パートナーは、今、何を思っているだろう?


●現在地、時間帯
・A.R.O.A.本部付近にあるとあるカフェ
・午後3時頃
オープンテラスもあるカフェで、少し広め。
ゆったりとした時間を過ごすことが出来るよう配慮されています。
●状況
・初めて契約された精霊と共に参加された場合
既に過ぎ去った契約直後の当時を振り返ります。
手続きが終わった後、何となく入ったカフェで今と同じように過ごした形となっており、その時のことや初対面の印象などが主な話題となります。
・追加精霊と共に参加された場合
エピソード初参加の場合→契約直後の話となります。
契約した直後、職員の勧めもあってカフェに入った形です。
初対面の印象やこれから任務を共にする相手を知る会話となります。
エピソードに既に参加されている場合→こちらも当時を振り返る形となります。初精霊の方と同じです。
●消費ジェール
・サンドイッチセット(コーヒーまたは紅茶) 300jr
・ケーキセット(紅茶1ポット) 350jr
・ケーキセット(ホットコーヒーお替り自由) 300jr
上記セットメニューのみの対応となります。
●注意・補足事項
・ほぼ個別の描写となります。
・公共の場で、ウィンクルム以外の方も多くいます。TPOにはご注意ください。
・A.R.O.A.本部で契約、諸手続きを終えた直後となっております。ワールドガイドに反する形で契約が成されている自由設定・プランであった場合、契約関連の描写は大幅に暈され、馴染みない相手と共に過ごす時間が主体となります。
・それ以外であっても、ワールドガイドに反する設定から来る会話は暈されます。
・追加精霊と契約されている方に関しては、参加されている精霊と今後どのような絆を結びたいか忘れずに。恋愛方向であるなら「1」、恋愛以外の方向なら「2」、今後の展開次第なら「3」をウィッシュプランに添えてください。
・愛の形がひとつではないように、精霊との間柄は恋愛が全てではありません。
こんにちは、真名木風由です。
契約時のエピソード……と言いたい所ですが、契約の瞬間ではなく、契約直後初めて過ごす時、過ごした時間を振り返るエピソードです。
当時を振り返り、今はこういう絆を築き上げていると懐かしくなってもいいですし、これから仲良くなろうと2人で過ごすのもいいです。
いずれにせよ、ワールドガイドに反している内容全般は採用が難しいので、プラン作成の際はいつも以上に注意してください。
これからを思うか懐かしく振り返るかは皆様次第。
それでは、お待ちしております。


◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
|
契約したてで来て以来、だな 2人共サンドセット注文 ◆ 予定外な契約だったから(顕現するなんて思ってなかったから)、人生を狂わさせられた感が強くてさ ランスにその責任は無いのは頭では分かってたけど、ついキツイ態度をとらせてた 殊更事務的に返答したりさ ランスが垣根を払おうとして一生懸命に話題を振ってると途中から気付いた 大人げない自分を一寸反省して「その中だと動物園かな」と返事 笑顔がぎこちなかったろ? 正直だな(はうー 美味しそうに食べるランスと目が合ったとき、 心臓がドキリと跳ねたのを覚えてるよ 黄金の光が心に射したようで…(恥かしいから言わない) その時の言葉に「うん」と素直に返事する力があった 何故なんだろうな… |
|
ゼクファルさん、飲み物はコーヒーで大丈夫? そんな訝しげな目で見ないでよ 何も企んでないよ いつも通りの注文をするゼクを見ながら懐かしくなって。 ゼク、と呼んで向いた顔に、首傾げてにっこりと 自分的に一番可愛かろうと思われるスマイルをプレゼント あ、眉間の皺が増えた。これ身構えてる時の顔。 ひどいにゃー。昔は面白いぐらい動揺してくれたのに あの時はさ、ゼク、だんまりなんだもん 店員さん困ってたから僕が注文して。 その顔で甘い物好きも想像しづらくて サンドイッチセット頼んであげたよね ねえ。 やっぱり可愛く良い子の直香くん、がよかった? べつに知ろうとしなくて、いいけど。 だって、初めてなんだよ このままの僕でいいっていうひと |
|
(契約自体の話はエピ101にあり) あの時と同じ、ハムサンドとコーヒー頼む。 ラキアに「あの時もラキアのメニュー見てやっぱ女の子みたいだ、と実は思った」と笑顔。 「紋章でたのが襲われてる時だったし。その時助けてもらったし、同じ様に出来るとなったら早く誰かを助けに行きたかったんだ」と膨れる。 「まさか『回復スキルまだないから』と言われるとは思わなかったけど!」(当時なかった) オレは危ない事は自覚して任務にあたってるぜ。だから怪我しないよう、常に全力。 オレに何かあったらラキアの心に償いきれない傷を与える事になるって思ってるから。 「それは今でも気を付けてるぜ!ラキアを泣かせたくないからさ」と真剣な顔。 |
|
ケーキセット(ホットコーヒーお替り自由) 懐かしいな、ここ あの時は…フィンの品定めをしてたんだ、俺は 第一印象は美形で優男 ちゃんと一緒に戦ってくれるのだろうか? 憎いオーガを倒せるのだろうか? 随分とあからさまに態度は悪かったと思う フィンが行く所がないから部屋に泊めてくれと言った時は驚いた …良く一緒に住もうとか思ったよな… どうしてだ? 厚かましくて変な奴だと思ったけれど 受け入れたのは… 外面を取り繕わず思うまま言葉を紡げば、大抵皆嫌な顔をする。両親も例外じゃない。のにフィンは違った 変な奴だけど…彼となら上手くやっていける気がした …思えば、初めから素のままで接してた 最初から特別だったのかな… フィンで良かった |
|
初参加/絆:2(家族・兄弟)/サンドイッチセット一つ 契約…やっと終わった こんなに時間がかかるなんて(ぐったり) レーゲンとは幼い頃からの知り合いって言ってたし、 顔合わせの時ににっこり笑いかけられたから、似たような性格かなと思ったけど ふたを開けたら逆だった! 契約の口づけは、文様じゃなくて変なところにしようとするし インスパイアスペルは早口言葉にしようとするし! 職員さん怒る寸前だったよ ほんと疲れた、やっとこれでお昼食べられる あ、俺のサンドイッチ!何勝手に食べてるの!? 最後の一個はあげない!へへっ残念でした…えええっ 飴ありがと…って、俺の昼食食べたくせにっ! うー、その笑顔が怖い。これから大丈夫かなぁ |
●波乱(?)のスタート
信城いつきは、深い溜め息と共にカフェのドアを開けた。
「契約……やっと終わった。こんなに時間がかかるなんて……」
ぐったりとした視線の先にいるのは、ミカ。
新たに契約した精霊───そう、まさに彼らはA.R.O.A.の本部で契約を交わしたばかりだ。
「こんなに逆だと思わなかったよ……」
そう、ミカはいつきが初めて契約し、そして今は大切な恋人となっている彼とは幼い頃からの知り合いらしいのだ。
兄弟のように育ったとも聞いていたし、初めて出会った瞬間はにっこり笑い掛けられたから、彼と似た性格なのかと思ったら───いつきは深い溜め息を吐く。
蘇るのは、契約に至るまでのすったもんだ。
「契約の口づけは文様じゃなくて変な所にしようとするし、インスパイアスペルは早口言葉にしようとするし! ……とりあえず今日は契約だけしておきましょうって言った職員さん、多分怒ってたよね」
怒りが表に出る寸前だっただろうといつきは思う。
職員のこめかみがひくひくしていたのをいつきは見逃していない。
「あぁ……悪かったな、チビちゃん。小さいからどこに文様あるか分からなくて」
やっと言葉を発したミカはやたら楽しそうだが、いつきはぎぎぎとミカを見上げるように顔を動かす。
「ここだと思ったら耳だったんだ」
ミカがどさくさに紛れて息も吹きかけてそう言うと、いつきは床から3cm飛び上がった。
悲鳴を堪えたのは、ここがA.R.O.A.の本部ではなく、カフェという公共の場であるからだろう。
「いやー、凄かったな、あの悲鳴と逃げっぷり。再現出来なくて残念」
思い出して笑うミカにいつきは深く溜め息。
案内された席に腰を落ち着けると、遅いお昼を注文した。
やってきたのは、スモークサーモンとクリームチーズ、それに野菜たっぷりのサンドイッチ。
食べやすい大きさのものを彩り良く盛り付けられた皿、そして、爽やかな印象のアイスレモンティー。
「ホント疲れた……。やっとお昼……」
が、色々あって喉が渇いたいつきはアイスレモンティーを先に手を伸ばす。
ストローで飲むと、爽やかな味わいが口の中に広がる。
(こんなに違うと思ってなかったなぁ……)
頭に過ぎるのは、かつて恋人と契約した時のこと。
あの時とは何もかも違う。
違う者と契約しているのだからそうだと言えばそうだが、違い過ぎる。
「って! 俺のサンドイッチ! 何勝手に食べてるの!?」
少しだけ物思いに耽っていたいつきは、ミカがいつきの頼んだサンドイッチへ手を伸ばしていることにやっと気づいた。
「疲れてるようだから、食欲ないのかと思って。美味しい」
ミカはそう言いながらもサンドイッチをぱくぱく。
皿にはもう、残り1つしかなく。
いつきはミカが咀嚼している間に慌ててサンドイッチへ手を伸ばした。
「最後の1つはあげない! 俺のなんだし! へへっ、残念でした!」
「おやおや」
ちょっと得意そうないつきを見て、ミカは瞳を細める。
(死守したつもりになってるようだが……)
そういうことをすると、余計にからかいたくなるんだよな。
ミカはいつきの手首へ手を伸ばすと、引き寄せて、手の中のサンドイッチをぱくりと食べた。
「えええっ!?」
「油断大敵。さっさと食べれば良かったのにね?」
食べ終わるのなんて待たなければいいのに。
笑う先には、しょんぼりのいつき。
「残念賞の飴やるよ」
「ありがと……って、俺の昼食食べたのはそっちだろっ!」
いつきは、ミカからしっかり受け取った飴を口の中に放り込む。
「飽きないなぁ」
怒ったり驚いたり。
得意げになったかと思ったら、急直下でしょんぼりする。
やることひとつひとつに反応するから、楽しい。
「うー、その笑顔が怖い」
「そんなに警戒するなって。これから長い付き合いになるんだし、仲良くやろうな」
これから大丈夫かという眼差しのいつきへミカがにやっと笑う。
とりあえず、ミカにぎゃふんと言わせるのが今後重要な要素になりそうだ。
●情熱的な愛の始まり
「ここへ来るのは、契約した日以来だな」
「メニューも同じだしな」
アキ・セイジとヴェルトール・ランスは、懐かしそうに笑う。
クロックムッシュにコーヒーのアキ。
クラブハウスサンドに紅茶のヴェルトール。
同じサンドイッチのセットでも全く違う。
契約の後、ヴェルトールの提案で入ったのはこのカフェだ。
本当は契約前に人となりを知っておきたかったが、叶わなかったので、このカフェのひと時が2人で過ごした初めての時間だ。
「正直、顕現するなんて思ってなくて……契約なんて予定外だった。人生を狂わさせられた感が強くてさ」
だから、頭ではわかっていたが、ヴェルトールへの態度はいいものだったとは思っていない。
殊更事務的に返したりもした。
(……それはあまり思ってなかったな)
ヴェルトールは契約したあの日を思い返し、今更だがと謝罪するアキを見て思う。
元々恋愛対象が男性だった自分は、特に本人に対して言えないが、アキはタイプだった。
挙げたらキリがないが、ヴェルトールはこのクールビューティー系の攻略ポイントはどうすべきかと考えたものだ。
「けど、ランスが垣根を払おうとして一生懸命話題を振ってくれてるって途中から気づいた」
反省した、と笑うアキは、コーヒーカップに口をつける。
「だって知り合いたいじゃん? なら、話すのが1番だと思って、色々話を振ったよな」
ヴェルトールは笑いながら、クラブハウスサンドをぱくつく。
「ランス、顔にソースついてるぞ」
「マジ? セイジ、どこ?」
「……そこじゃない。ここだ」
それに気づいたアキがそう言うも、ヴェルトールは明後日の方向に拭く。
やれやれと溜め息を吐くアキがカフェ備え付けのペーパーナプキンでヴェルトールの口元のソースを拭ってやった。
(クールビューティーだけど、セイジは何だかんだで甘いよな)
例えば、泣き落とし使ってみたら、契約の後食べて帰るのに応じてくれたりとか。
今みたいに、口元を拭ってくれたりとか。
「あの時は、出かけようって話したよな。映画館でも動物園でも遊園地でもって」
「それで、その中なら動物園だなって返したな。ランスが俺も動物が好きだって嬉しそうだったのを憶えている」
「嬉しかったからな」
ヴェルトールはそう言って、またクラブハウスサンドをぱくり。
出会った時と同じ姿に、自身の感情が蘇る。
(あの時、美味しそうに食べるなって思った。それで目が合って……心臓がドキリと跳ねたんだよな)
「セイジ? 何笑ってるの?」
「内緒だ」
アキはヴェルトールにそう言って、クロックムッシュを食べる。
(……ランスの瞳が太陽みたいで、その黄金の光が心にまで射したような気がした)
あの瞬間が、アキにとっての始まりだったかもしれない。
「最初、笑顔ぎこちなかっただろ」
アキが話題を変えるようにヴェルトールへ話を振った。
紅茶を飲みながら、ヴェルトールは想いを馳せるように首を傾げ、それから笑う。
「嬉しかったことしか憶えてない」
「正直だな」
何度言ったか分からないその言葉は、今は苦笑の意味で紡がれた。
『最初は仕事に必要なことを教え合うだけでいいよ。焦らなくていいしさ』
『正直だな』
『嘘言っても始まらないし?』
呆れたようなアキへ笑ってそう言ったヴェルトールは、ふとその笑顔を消してこう言った。
『2人で少しだけ頑張ってみないか? 俺達にはオーガと戦える力がある。契約した俺達にしか出来ないことがある。大多数の力を持たない人を救う力……そうだろ?』
『……ああ』
反論を考える間もなく、アキは素直に頷いた。
(抗う間もなく頷けたのは……何故だろうな)
いや、答えは解っている。
「懐かしい思い出話に花も咲いたし、これからの輝いた未来の話として……セイジ、動物園へはいつ遊びに行こうか」
(ランスがランスだからだろうな)
アキは、そう心の中で呟いた。
心を重ね合わせることが出来る愛しい人。
共に未来を歩けることが嬉しい。
幸せだよ、ありがとう。
●きっと大切な人になるから
セイリュー・グラシアは、本日のケーキを確認してきたラキア・ジェイドバインへ声を掛けた。
「ラキア、決まった?」
「うん。セイリューは?」
「オレは、サンドイッチセット。あの日と同じハムサンドとコーヒーにする」
「偶然って怖いね。俺もあの日と同じで、チーズケーキと紅茶」
あの日と違うのは、ラキアはメニューを覗いて、ケーキがあるショーケースには歩いて行かなかったこと。店員に見に行ってもいいと言われてから、結構悩んで決めていたことだ。
「ここのチーズケーキ、そんなにウマイの?」
「俺は好みかな。ここのチーズケーキはガーゼで水分を取る製法を使ってるんだけど、ふわっとした雪みたいなチーズケーキの中にミックスベリーのソースが入ってて、それがいいバランス良くて」
微笑んで話すラキアと、あの日のラキアが重なる。
「あの時も、今みたいなラキアを見て、やっぱり女の子みたいだ、と実は思った」
「あ、酷いな、それは」
セイリューの笑顔にラキアが苦笑する。
あの時もそうだった。
神人は女性と思って面会したら、スポーツが得意そうなセイリューが部屋にはいて。
契約はスムーズだったが、セイリューも自分を女性だと勘違いしたみたいで。
猪突猛進な性質みたいだから自分がしっかりしないと、と脱力した頭で思っていたら、自分はささっと切り替えて、明るい顔でその手を差し出してきた。
その後、このカフェで色々話したのだが、セイリューはブレない。
黙っていれば知られないことも、隠さず話してくれる。
「今にして思うと、話す時間があって良かったよね。セイリューって最初から危険な任務行きそうだったというか……あの日に任務行きますって言いそうだったというか」
その日は、職員の機転もあったかもしれないが、今の所任務はないので帰宅していいと言われた為に出来た時間。
ラキアはそういう時間が持てたことに感謝したいとセイリューを見る。
「顕現したのが襲われてる時だったし、その時助けてもらったから。だから、同じになったら、早く誰かを助けに行きたかったんだよ」
「セイリューらしい」
頬を膨らませて拗ねてみせたセイリューがそう言うと、彼らしい行動理由にラキアがくすくす笑う。
セイリューは、その力があるのに黙ってそこで立っているようなことなど出来ない。
きっと、誰よりも無茶をする。
「けど、まさか、瞬時に怪我は治せないからって言われるとは思わなかった!」
「俺だってセイリューと初めて契約するんだよ? 最初から怪我を癒す手段なんて持ってないし、それだって、瞬時に何もかも治る訳じゃないし、怪我が治るからいいっていう問題でもないでしょ?」
治癒手段を頼りに危険なことをすれば、いつか命を落とす。
セイリューは、それを心配していた。
何故なら───
「今正直に言うと、ちょっと先行き不安だったから。いつ君が大怪我したり死んじゃったりするんじゃないかって。危険なことやらかしそうだったんだもの」
「オレは危険承知で任務に向かうつもりだったし、今もそうだぜ?」
「当時は君を知らなかったしね。俺は、俺に生命を預けるって何の疑いもなく手を差し出してきた人がなす術もなく死んで平然とはしてられないし」
だが、セイリューはラキアの想像の遙か上を行った。
タフな精神を持つセイリューはラキアに対して本当に気を配っていたのだ。
最初は分からなかったラキアは色々心配だったが、気づいた時、セイリューは自分の心までも護ろうとしていることに気づいた。
セイリューは怪我しないよう、常に全力だ。
「今も昔もこれからも気をつけるぜ? オレに何かあったら、ラキアが傷つく。その方がイヤだ」
癒えることのない傷で苦しめてしまうなんて出来ない。
「ラキアを、泣かせたくないからさ」
「君をとても誇りに思っているよ」
ラキアが、くすりと笑う。
今は誰よりも頼りになる相棒が、ちょうど運ばれてきたサンドイッチセットに目を輝かせるのを見ながら。
●君で良かった
蒼崎 海十とフィン・ブラーシュの目の前にそれぞれ、ケーキセットが置かれた。
「懐かしいな、ここ」
「あの時もケーキセット注文したっけ」
「そう、コーヒーも同じ。ケーキは……違うな」
海十が応じるフィンに答えながら、ケーキを見る。
自身のケーキは、洋梨のミルフィーユ。
フィンのケーキは、栗をふんだんに使ったモンブラン。
「遅れた交換っこだよね」
「……美味しそうだったから」
フィンがあの時互いに頼んでいたものを今自分達が頼んでいると笑うと、海十は真っ赤な顔で洋梨のミルフィーユを食べ始める。
「あ、美味しい。多分種類が違う栗が使われてるよね。中のカスタードも程よい甘さだし。海十、あの時ほっこりしてなかった?」
「してない」
美味しそうに食べるフィンへ海十は苦笑する。
あの時はそんな余裕なかった。
海十は、フィンを品定めしていたから。
憎いオーガを倒すパートナーとなる存在……この優男は綺麗な顔に傷がつくと戦いを拒否したりしないだろうか?
今にして思えば、あからさまに態度は悪かっただろうと思う。
けれど、フィンは何も言わなかった。
ただ、覚悟は出来ているのか聞いてきたのを憶えている。
『覚悟? ……違う、これは誓いだ。全てのオーガを駆逐したい』
『……そっか。なら、いいんだ』
(してないのは知ってるよ。俺を品定めしていたからね)
綺麗な瞳の向こうにある昏さが、恐らくそうさせている。
皮肉にも、自身の生い立ちのお陰で自分に向けられる視線の類程度は選別出来るから、フィンはそれを聞いたのだ。
その回答に、指先が冷たくなったのを覚えている。
この子は、過去の俺かもしれない。
オーガに人生を狂わされた過去に囚われた、かつての俺。
(放っておけないって思ったんだよな)
自分は、随分荒れた。
取り戻すのに数年掛かったが、それは旅をしたからだと思う。
何も知らない人々の温かさだけじゃない、言葉では言い表せない自然の雄大さを目にしたこともある。
自分は生きている、まだ生きているのだと実感させてくれたあの旅がなかったら、今も過去に囚われているかもしれない。
この子は、何を抱えているのだろう。
この子の瞳にある昏さ、闇の理由を知りたい。
かつて俺が多くの人に救われたように、俺にも何か出来ることがあるかもしれない。
(思えば、あの時にはもう海十の夜空に捉まってたのかも)
理由つけても、気になって仕方がなかったに落ち着くなら、そういうことだとフィンはモンブランを食べつつ思う。
だから、気にしていないという意味でさっきの話題という訳だ。
何も、悪いことはしていないよ。
だから、申し訳なく思わなくていい。
「フィンだって洋梨のコンポートの甘さの絶妙さに和んでただろ」
海十が食べながら、そう言い返す。
「和んだよ? 美味しかったもの。海十、食べてて分かるでしょ?」
「分かるから言ってるんだよ」
フィンが笑ってそう言うから、海十は笑った。
海十も、フィンが気づいていることに気づいている。
そして、彼が気にしないでいいという意味で話を振っていることも。
(思えば、フィンは最初から特別だったのかもしれない)
最初から素で接していたが、フィンは嫌な顔をしなかった。
外面を取り繕わず、思うまま言葉を紡げば、大抵は……そう、両親すら例外なく、皆嫌な顔をするのに、フィンは違ったのだ。
だから、フィンとなら上手くやっていけるような気がした。
(まぁ、行く所がないから部屋に泊めてくれって言ってきたのは驚いたな。一緒に住めるのかって思ったし)
どうしてだろう、という理由は、フィンがフィンだからとしか説明出来ないかもしれない。
「あ、海十? オニーサンの顔を見て何を笑ってるのかな?」
「フィン、頬にカスタードクリームがついてる」
「え、本当? なら……海十にあげる」
「……そういうのは、家以外では」
海十は、厚かましくて変な奴と思った今は大切な恋人の頬のカスタードクリームをペーパーナプキンで拭き取って上げた。
●仮の未来はそこになく
「ゼクファルさん、飲み物はコーヒーで大丈夫?」
「コーヒーにするが、その呼び方は何だ」
柊崎 直香の問いに対し、周囲を見回していたゼク=ファルは彼へと視線を戻した。
ゼクは、カフェに怪しい所がないか確認していたのだ。
そんな確認をしている辺りに、ゼクの日常が垣間見える。
(メニューも不審なものはない)
「本日のケーキ早く決めてよ」
メニューが摩り替わっている可能性も考慮してメニューチェックしていると、直香が急かしてくる。
(早く決めるか)
ゼクが心の中で呟いていると、
「ゼク」
呼ばれて直香に顔を向けたら、直香は首を傾げてにっこりと笑った。
この笑顔の先に、どんな無茶振りがあるというのだろう。
「…………」
「ひどいにゃー、そんな訝しげな目で見ないでよ。何も企んでないよ」
思い切り警戒するゼクへ直香は眉間の皺が増えたと笑いつつ、安心させてやる。
ただし、心の中で(今はね)と付け足したことは教えてやらない。
「あの時を思い出して、それがつい懐かしくなっちゃったんだけど」
だから、プレゼントしたのに。
直香がそう言うと、ゼクが違う色の不審さを顔に浮かべる。
「昔? 以前、このカフェに足を運んだことがあったか?」
「契約した直後に来たよ? あの時、ゼク、だんまりなんだもん。店員さんが困ってたから僕が注文したんだし」
すると、ゼクは記憶を手繰り寄せるような表情をした。
彼の中で覚束ないのだろうか、少々沈黙してから、思い当たったような表情を浮かべる。
「思い出すのに時間が掛かるなんて、ゼク、ちょっとボケた?」
「違う」
表情を読み取った直香がからかうように笑うと、ゼクは即否定した。
「実は、よく憶えていない。顔合わせから契約までのこと……」
「頭でも打った?」
「今まで一緒にいてそんなことなかっただろうが」
ゼクはボケてないならと言い出してきた直香にツッコミしつつ、よく憶えていない理由を明かした。
「……多分、緊張してた所為だと思うんだが」
「え、見えなかった」
直香は当時を思い出して、容赦ない言葉を返す。
「元からこういう顔だ」
「そうか、僕もゼク初心者だったってことだね」
ゼクが見えなかっただけだと言うと、直香も修行不足だったかと妙な方向の納得をする。
「だから、あの時、サンドイッチセットを頼んでしまった訳だ。今にして思えば、BLTサンドよりも僕のケーキへ目を向けていた意味がよく分かったよ。ゼクファルさんはその顔で甘い物好きでした、と」
「…………」
ゼクは、口ではどうしても直香には勝てない。
ああ、いつか白馬で迎えに行こうと思っていた少女神人は、男でした。
割と純情だったりするゼクを見、直香は笑う。
「ねえ。やっぱり可愛く良い子の直香くん、がよかった?」
それは、何度となく投げられた問い。
ゼクの本心を試すかのようなその問いへ、ゼクは何度でも同じ答えを返す。
「猫被ったままのお前は確かに扱い易いだろうが、それだけならドライな関係に終始してただろ。ここまでお前を知ろうとは思わなかっただろう」
「別に知ろうとしなくて、いいけど」
直香がゼクの言葉にそう言う。
笑顔を向け、かつては面白い位動揺してくれたゼクも今は眉間に皺を増やして身構える。
身構えるのに、『可愛く良い子の直香くん』でなくていいと言う。
(だって、初めてなんだよ。このままの僕でいいって言う人)
ゼクは嘘を言える程器用じゃないと分かってる。
それでも、彼に指摘される程何度も同じようなことを聞いてしまう。
理由は、きっと───
「今日のケーキは……レモンパイにするか」
「じゃあ、僕はブルーベリーチーズタルト」
初めてゼクと過ごしたあの時と同じケーキにしよう。
『僕』でなければ、今はないと言ってくれるから。
そう言える君は面白いから、僕も君で良かったと思う。
でも、今がいいから、君には教えてあげない。
初めてのひと時。
誰もが過ごしたその時は、自分達の原点。
これからも、折に触れて振り返っていこう。
| 名前:柊崎 直香 呼び名:直香 |
名前:ゼク=ファル 呼び名:ゼク |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 真名木風由 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 08月25日 |
| 出発日 | 08月31日 00:00 |
| 予定納品日 | 09月10日 |

2015/08/30-23:08
ミカ:
挨拶が遅れてすまない。改めて初めまして。
新しくこのチ…いつきと契約したライフビショップのミカだ。どうぞよろしく。
こちらもプラン提出完了したところだ。
いつき:(今、チビって言おうとしたなっ)
なんとか契約は終わったけど……おかしいなぁ、契約ってこんなに疲れるものだっけ?
みんなは楽しい時間過ごせるといいね。俺の所は……が、頑張ってくる
2015/08/30-22:51
プラン提出できたー。
あの後色々な任務を受けたなぁ(しみじみ、しじみ)。
これからもオレ達生命の預け合いを続けるんだよな(更にしみじみ)。
よし、頑張っていこう。
皆もいいひと時がすごせますように。
2015/08/30-14:33
プランは提出できているよ。なつかしい気持ちになったよ。
ま、そんな気持ちで振り返れるってことは、今が幸せなんだろうな。
2015/08/30-00:18
2015/08/30-00:17
2015/08/28-16:50
2015/08/28-06:19
2015/08/28-00:16
2015/08/28-00:05

