


『あなた』は、パートナーを捜していた。
今日は、半分だけ休日。
前日の任務が深夜に終わり、A.R.O.A.からも今日の夕方までにタブロスへ帰って任務終了報告をしてくれればいいと言われ、皆思い思いに時を過ごしている。
少しだけ別行動している間にそろそろタブロスへ発つ時間が近づいていることに気づいたのだ。
そういえば、どこへ行ったのだろう。
携帯へ連絡しても出ない。
周囲の平穏さから見て、突発的な事件が発生した訳ではないだろう。
となれば、携帯に気づいていない可能性が高い。
何もなければいいけれど、とパートナーを捜す『あなた』。
平穏が戻った町を暫く歩いていると、『あなた』はパートナーに気づいた。
パートナーは、寝息を立てている。
見ると、携帯はマナーモード。
昨日は任務だったし、疲れているから昼寝していたのだろう。
仕方がない、と笑みを零す『あなた』は、パートナーの寝顔をじっと見る。
そろそろ、タブロスへ発つ時間だと起こさなければならないけど。
寝顔を見る機会があまりないからか、パートナーの無防備な寝顔をもう少し見ていたいと思う。
今、パートナーがどんな夢を見ているのか分からないが、少なくとも悪夢を見ていないことだけは分かる。
起きたら、まず、何を言ってやろうか。
そうしたら、どんな顔をしてくれるだろうか。


●出来ること
ア:神人が寝ている、精霊が起こす
イ:精霊が寝ている、神人が起こす
どちらかが必ず起きていることになります。
パートナーが寝ている場所は、宿の中庭(木陰)・宿のロビー(ソファ部分)・宿の裏庭(木陰。猫の溜まり場)の3択。
●プランの書き方
寝ている側
→昼寝中。夢(基本的に楽しい夢。平和な夢としてください)を見ています。意識が覚醒に向かい、起きた後までをプランに書いてください。
起こす側
→昼寝を観察中。写メしたりスケッチしたりする程度なら弄ってOK。ただし、寝ている本人が起きる行為と判断される全般はNG。起きたパートナーへも言葉を掛けてあげてください。
●消費ジェール
・宿泊代金として、既に1組300jr支払っています。
●注意・補足事項
・同じ場所であっても、双方に絡みOKが確認出来なければ、ウィンクルム同士の絡みなく、単独描写となります。
(OKの場合、一緒に寝ている、一緒に観察、起こす形となります)
・夢の内容は平和なものであれば大体OKですが、公序良俗に反しているものに関しては明確な描写をいたしません。また、何の要素も絡まないただの夢ですので、それらが今後に重要な影響を及ぼすことはありません。
・宿の敷地内です。各所に従業員の方がおり、業務をされています。TPOにはくれぐれもご注意を。
こんにちは、真名木風由です。
今回は、日常の、ささやかな幸せの話です。
一緒にいれば、こうした光景に出会うこともあるでしょう。
ほのぼのいただければと思います。
それでは、お待ちしております。


◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
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☆裏庭の猫のたまり場で寝てる ◆行動 猫達と遊んでたら、皆、ネコミミの付いた人間になってた 夢の中なら化けれる?(へぇ レベル上がると現実でも化けてられる?(マジスカ! 猫達が懐いてきて地面に倒されてしまう なんで皆乗ってくるんだ(汗 俺と一緒だと猫レベルがあがる? ランス先輩にあやかる? えっ何?ランスってそういう謎生物? 重いけどもふもふ柔らかくて…一寸幸せ♪ !) なんだ夢か なんであんな夢見たか回り見て納得 何悪戯してんの(めっ 夢を思い出して まさかね… なあ、お前って昔、猫だったん? ああ…狼 って、まじ?! くす 「はい、大先輩に挨拶だにゃーん」 猫を抱き上げてランスに頬に猫すりすり そのまま2人で日が陰るまで猫と戯れたいな |
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ア:神人が寝ている、精霊が起こす れいぞうこのなかには れもんぱいがひとつ それをきれいによんとうぶん れもんぱいはとてもおおきいので よんとうぶんしてもけんかにはならない もうすぐおやつのじかんだから おさらと ふぉーくと こうちゃと ああ そのまえに よびにいかなくちゃ 報告までが任務です ……だから、眠るつもりなんてなかったのだけど。 木陰で休んでいたら瞼を閉じてしまったらしい 夢を見たような? よくわからない夢 何か食べ損ねた気がする 何か、甘いもの。 大好きな、甘い、 ――ゼクのばか。 起きるよ、そんなに見つめられたら。 撫でるのはやめたの? 逃げちゃった猫のかわりにされるのかと思った 報告終わったら甘いもの買ってよ うん、ホールで。 |
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イ ラキアの姿が見えなかったから、宿の裏庭に行ってみたんだ。 そうしたら、木陰でラキアがぐっすり寝ていてさ。その膝の上で子猫も一匹、丸くなって寝ている。 なんて羨ましい状態なんだ。 さては木陰で猫と遊んでいる間に2人とも電池切れ状態で寝ちゃったのか。 ラキアはあまりうたた寝とかしないから、ラキアの寝顔を堪能するチャンスだな。 子猫を起こしちゃうのも可哀想だし。 良く見たら他に猫がが何匹かいるじゃん。 猫とまったり過ごしてラキアが起きるのを待つか。 傍で見てたらそのうち起きるだろ。 猫を撫でつつ、ラキアを観察。 何か楽しいらしい。寝ながら笑顔だ。 さらに寝言。 あ、起きた。 「おはよ。夢の中でオレと何してたの?」 くす(笑。 |
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ア 宿のロビー(ソファ部分)で眠る 手には書き掛けの自作の歌の歌詞ノート 思い付いた事を書き付けようと一人になった所で、睡魔に負けた フィンが作ってくれるデザートを食べている夢 何故か執事なフィンに持て成されて 美味しいもの沢山で幸せ 美味しい… フィン…もう食べられない… もう、無理だって…フィン…(寝言) 起きたら隣にフィンが居てビックリ 俺…いつの間に寝て… !(手元にノートがあるのを確認) 見てない…よな?とフィンを観察 見てないようだと安堵 が、フィンの言葉に硬直 もしかしなくても寝言で何か言ってしまった? …って、何で写真撮ってるんだよ 消せ、今すぐ! 消さないなら、俺にも撮らせ…(と言い掛けて固まる。何言ってるんだ俺 |
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宿の裏庭の木陰で猫と戯れていたら、いつの間にか寝てしまった。 夢の中は、ふわふわとした場所だった。 あたたかくて、優しい場所。 自分はそこで大きなクッションに包まれ、その空間を楽しんでいた。 どこかで冷静に「これは夢だな」と理解していた。 夢の中に、自分以外に誰かがいた。 その人物の顔部分は逆光で見えなかった。 ただ、その手には見慣れた仮面があった。 「サウセ…?」 無意識に相棒の名を口にしていて、それがきっかけで目を覚ます。 サウセにおはようと言われ、おはようと返事する。 もうそんな時間なのか…。 どんな夢を見ていたか聞かれ、思い出そうとする。 だが、あまりよく覚えていない。 誰かと一緒にいた気がするのだが…。 |
●夢も現実も甘くて
「……気持ち良さそうに寝てるよね……」
フィン・ブラーシュは、ロビーの一角、日差しがあまり強くない場所で蒼崎 海十を見つけていた。
海十はソファの肘の部分に寄り掛かり、すやすや夢の中。
フィンが隣に腰を下ろしても、海十は起きない。
(……可愛いなぁ)
寝顔を見るのは初めてではない。
けれど、こんなに近くで見るのは初めてで。
思わず手を伸ばし、その髪を軽く払い、その顔を見る。
軽く顔のラインをなぞり、それから温もりを感じるように頬へ触れてみたけれど。
「ん……」
海十に起きる気配はなく、フィンは吐息を零すように微笑んだ。
(恋人の特権として……撮ってもいいよね?)
そそくさと携帯電話を出し、その寝顔をパチリ。
(俺だけの海十の寝顔写真……なーんてね。大事に保存しとこ)
そう思っているフィンへ、海十が無防備な笑みを口元に作る。
フィンは、海十の頬をつついた。
「今、どんな夢を見てるんだろ」
目の前には、沢山のスイーツが広がっている。
優しいバニラの香りに目を向けた先には、シンプルなミルフィーユ。
が、パイとクリームのバランスが絶妙で美味しい。
「美味しい……」
「ケーキだけじゃないよ、海十」
顔を上げれば、何故か執事姿のフィンがいる。
「ほら」と促されてテーブルに視線を戻すと、クレームブリュレが置いてある。
が、クレームブリュレではなかった。
オレンジピールやシナモンの風味がするこのスイーツは、クレマカタラーナというらしい。
「キャンディフォンデュもあるよ」
「何それ」
今度はフルーツに熱く融けたキャンディ、氷水がある。
フィンがイチゴを手にすると、キャンディを潜らせ、氷水で冷やす。
「はい、あーん」
「えっ」
「2人きりならいいんだよね?」
微笑まれ、海十は「誰も見てないならな」と言ってイチゴを食べる。
キャラメリゼされたイチゴの瑞々しさが口の中へ広がっていると、フィンが手を伸ばし、優しく頬に触れてきた。
「美味しい?」
「あ、ああ。美味しいよ」
「良かった。まだあるからね」
スイーツより甘いフィン。
でも、2人きりだし、いいか。
色々なスイーツが魔法のように現れるけれど。
「……もう食べられない……お腹一杯……」
フィン……ちょっと眠く……
ガバッと身を起こした海十は、青空色の瞳とぶつかった。
「え、フィン……?」
「おはよ。よく眠ってたね」
ビックリしている海十に対し、フィンは何故か口元を押さえている。
(収まれ、口元)
眠っている海十から零れた自分の名。
ビックリしたけど、嬉しくて顔がにやけてしまって……ちょっと見せられない。
「俺……いつの間に寝て……は!?」
海十は自身の手にノートがちゃんとあるかどうか確認する。
このノートは、ただのノートではない。
書き掛けの作詞ノート。
思いついたことを紡ごうと1人試行錯誤していたら、いつの間にか眠っていたのだ。
「見てない……よな?」
「何が?」
「いや、いい」
海十は確認したが、フィンの答えに安堵する。
「そろそろ時間だから、海十行こう?」
「あ、ああ」
フィンに促され、海十はソファを立つ。
(ごめんね。見たよ)
海十の手から零れ落ちたノート。
何気なく見た歌詞は自意識過剰じゃなければ、自分のこと。
(あの歌の続きかな)
風薫る
盛夏の足音
アルカディア
仰ぎ見焦がれる
愛しき青空
「何見てるんだよ」
「帰ったら、美味しいもの作ってあげようと思って」
「楽しみにしてる」
「やっぱり起きてる海十はいいな」
途端に海十が硬直する。
「まさか」
寝言で何か───
「俺の言葉に反応してくれる海十がいい」
「何で写真撮ってるんだよ」
真っ赤な海十をフィンが携帯電話で撮影していると、海十は携帯電話へ手を伸ばす。
「消せ、今すぐ!」
「やだ」
「消さないなら、俺にも撮らせ……」
言い掛け、自分の言動に気づいて海十は固まった。
(何を言ってるんだ、俺)
「いいよ。綺麗に撮ってね」
フィンは笑ってそう言い、海十は携帯電話にノートの中の青空を映すこととなった。
●尋ね神人の甘え方
ゼク=ファルは、柊崎 直香の姿を捜して裏庭まで来てしまった。
ガサッという音の方向に目を向けてみれば、猫が日陰でのんびり過ごしている。
(……近づくと、逃げてしまうだろうか)
敷地が広く、宿の主も咎めないことより、猫の姿も多い宿。
実は猫が好きというのを最近カミングアウトしたからか、無関心な振りが前より出来てない。
(遠目なら……いや、それより尋ね神人を……)
って、ちょっと待った。
ゼクは、猫の中心にいるやけに大きいのに目を移す。
どう見ても尋ね神人である。
「直香?」
反応がない。
猫達に断りながら近づいてみると───寝ていた。
(余程疲れていたのか)
寝顔自体は、直香が朝弱いこともあり見慣れている。
遅く起きてきて食事を作らせた為に慌てて家を出る羽目になったり(しかもその後雨に降られて迎えに来ていただいたおまけ付)とか珍しくないし、寝姿でときめくということはない。
が、任務は真剣に取り組む性質で、報告まで任務と考える直香がここで無防備晒しているのは珍しい。
(毎度思うが、口を開きさえしなければまだ可愛げが……いや、行動も問題だな。動かなければ、か?)
頭に過ぎる直香の所業。
ワサビクリーム塗れ、悟って冊子をそっと閉じたこともあった、ヘソ出し衣装でヒーロー強要されたこともあった、あと俺のパン泥疑惑とか……。
(直香が眠っている時、俺にとって1番平和のような気がしてきた)
ゼクは、最近だけでこんなにあるのかと軽く絶望した。
れいぞうこのなかには。
れもんぱいがひとつ。
レモンパイは、甘酸っぱくて懐かしい味。
シンプルだけど、贅沢な味。
程よい焦げ目がついたメレンゲの下には、甘酸っぱいレモンクリーム。
パイ生地は、メレンゲとは違うサクサク感。
それをきれいによんとうぶん。
れもんぱいはとてもおおきいので、よんとうぶんしてもけんかにはならない。
誰と?
もうすぐおやつのじかん。
おさらとふぉーくとこうちゃと……
ああ、そのまえによびにいかなくちゃ。
誰を?
だれ?
そんなのきまってる。
顔を向けた先には───
「ゼクのばか」
直香の視線の先には、手が引っ込めたゼクがいた。
「起きてたのならそう言え」
「起きるよ、そんなに見つめられたら。……で? 撫でるのはやめたの?」
触られた感触はないから、撫でていないのだろう。
周囲を見回すと、木陰で休んだ時にはいた猫達の姿はない。
そのつもりはなかったのに眠ってしまった間に場所を変えたと言うより、ゼクが来たから場所を変えたのだろうと思う。
そうでなければ、猫の代わりにしようなんて思わないだろうし。
(寝てるなら、少し位撫でてもと思ったが……)
やっぱり寝ている時が1番平和かもしれない。
起きたら、コレだし。
「戻るぞ。……直香?」
「報告終わったら、任務終わりでしょ。甘いもの買ってよ」
直香が立ち上がり、ゼクを見上げる。
「甘いもの? ケーキでも買って帰るか」
「うん。ホールで」
覚えてないけど、夢を見たような気がするから。
何か食べ損ねた気がして。
多分、何か、甘いもの。
大好きな、甘い───
「季節的に、レモンパイがいいと思うがどうだ?」
直香は、ゼクの声で我に返った。
レモンパイ……。
よく分からないけれど、これが食べたかった気がする。
それをゼクが言い当てたのは偶然だろうけど。
でも───
「美味しいお店にしてよ。メレンゲサクサク、レモンクリームは甘酸っぱく、タルトはメレンゲとは違うサクサクのお店がいい」
「美味しい店は幾つかあるが……」
「じゃ、全部」
直香が機嫌良く歩き出す。
「全部って……冷蔵庫に入りきらないぞ」
ゼクは呆れたように言いながらも、直香の後を追う。
平和ではないから、どのレモンケーキがいいかを真剣に悩めるおかしさを自覚しつつ。
れもんぱいがひとつ。
よんとうぶんではなく、にとうぶん。
おおきくてもちいさくてもけんかにならない。
おさらとふぉーくとこうちゃをじゅんびしてもらったら。
いっしょにたべよう。
●手を伸ばす先
サウセは、フラルを捜し歩いていた。
ロビーと中庭にいなかったから、もしかしてと裏庭へ行ってみれば、フラルは猫達と一緒に眠っていた。
(そういえば、寝顔をあまり見たことがない)
風邪を引いてお粥を作った時は、フラルが早く良くなってほしいという思いで一杯だったから、寝顔をじっと見るということはしていなかった。
(寝ると、少し幼く見えて可愛らしい)
そう言ったら、凛々しい性格が雰囲気にも出ている彼は怒るかもしれないけれど。
サウセは、フラルの前に膝を着く。
もうすぐ出発の時間だから、起こさないといけないのだけど。
でも、起こすのも悪い気がして。
(少しだけ見たい……)
一緒に寝ている猫達の寝顔も愛らしいから、この空間に癒されたい。
(多分……これは夢だな)
フラルは、足元を見た。
足元は、地面ではない。
さっきまで木陰で猫と遊んでいたから、いつの間にか眠ってしまったのだろう。
頭の片隅で冷静に理解しつつ、倒れ込んでみる。
予想通り、ふわふわしていた足元は大きなクッションのようにフラルを優しく受け止め、包み込む。
(暖かいな……)
柔らかなクッションは、まるで誰かの体温のような温もりに満ちていた。
ふわふわした感触とその温もりは、優しくてとても安心出来る。
ふと、誰かが自分を呼んでいるような気がして、フラルは顔を上げた。
誰かが、いる。
けれど、逆光で顔が良く見えない。
(誰だ……?)
眩しいと思いながら見ると、その人物の手には見慣れた仮面があった。
その仮面は───
「サウセ……?」
蘇るのは、好きなだけ泣いて良いと彼の頭を撫でた時のこと。
無意識にその名を口にして手を伸ばし───目が覚めた。
「フラルさん……?」
フラルが瞼を開けると、サウセがそこにいた。
「寝てたみたいだな」
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
妙なデジャヴを感じつつフラルはサウセにそう返し、身を起こす。
すると、フラルが身体を動かしたからか、眠っていた猫達も目を覚ました。
「あ、悪い。起こしたか」
が、猫達は完全には起きておらず、大欠伸を繰り返している。
きっとまた、眠りに落ちるだろうとフラルが笑みを零していると、「もうすぐ出発の時間ですよ」とサウセに言われ、時間を確認した。
「もうそんな時間になってたのか……」
フラルが立ち上がるのに合わせ、サウセも立ち上がる。
眠っていた時の様子とは異なる毅然とした立ち居振る舞いは、見ていて眩しい。
が、サウセは気になることがあった。
(フラルさん、何の夢を見ていたのだろう……)
目覚める直前、フラルは自分の名を口にした。
あの時は驚いたけれど、起きた今、思い出してドキドキしている。
「あの、フラルさん……」
「どうした、サウセ」
「どんな夢を見ていましたか?」
サウセは、思い切って尋ねてみた。
自分の名を口にして目覚めるまで、フラルはどこか楽しそうな表情をしているように見えたから、余計に聞きたくて。
「夢……」
フラルが、顎に指を添える。
あまり覚えていないのか、思い出そうとしているようだ。
「よく思い出せないんだが……誰かと一緒にいた気がする……」
サウセは、フラルが自分の名を呼んで目が覚めた自覚がないことに気づいた。
どんな夢だったのか分からないのが少し寂しいが、夢を見ていた時のフラルの表情を考えれば、悪い夢でなかったことは分かる。
もし、その誰かが名を呼んでくれた自分だったのなら……。
サウセはフラルの表情を思い出し、胸の中が一杯になる。
「そういえば、よくここが分かったな」
「ロビーと中庭も捜しましたよ?」
「それは悪かった」
フラルに話を向けられ、サウセが答える。
すると、フラルはサウセに手を伸ばし、頭を撫でた。
「どうかしました?」
「いや。……よく分からないが、しっかり撫でておこうと思った」
割としっかり撫でられているサウセが問うと、フラルは自分でもよく分かっていない様子でそう言った。
その理由は、夢の中の彼らだけが知っている。
●寝ても覚めても猫がいる
「ラキア、どこ行ったんだろ」
セイリュー・グラシアは、ラキア・ジェイドバインを捜し歩いていた。
ロビー、中庭と捜してもおらず、従業員に聞いても見ていないと言う。
「裏庭とかか?」
セイリューが捜していない唯一の場所へ足を運ぶと……見つかった。
が、セイリューは半歩後退、戦慄いている。
「ラキア……何て羨ましい状態なんだ……!」
木に背を預ける形で寝息を立てているラキアの膝には、子猫が1匹丸くなって寝ている。
うちの子達より少し幼いか……とセイリューが羨ましさにぐらぐら揺れていた。
基本的に、猫好きは自分の家の猫を最上としつつも他の猫も等しく愛し、絶妙のタイミングで出会う為、猫を人々の元へ派遣する地下組織があるのではと噂される位なのだ。
「この木陰で猫と遊んでいる間に電池切れ状態で寝ちゃったっぽいな」
セイリューはラキアと子猫を観察し、何となく察する。
ラキアはあまり転寝しない為、寝顔を堪能するチャンスだとセイリューは近づき、気づいた。
「あ、複数いた」
親猫のような猫と兄弟と思われる猫が数匹、ラキアの陰で寝ている。
起こすのも可哀想だと思っていると、親猫だけ起きた。
顔立ちを見るに、母親のようだ。
セイリューは口元を指に当て、静かにというジェスチャーをすると、セイリューの様子を伺っていた母猫がセイリューを見上げ、前足でぽんぽんとセイリューの足を叩いた。
「大丈夫。起きるの待つから」
セイリューは膝を落とし、母猫の顎を撫でる。
ゴロゴロ喉を鳴らす母猫に小さく笑みを零し、セイリューはラキアを見る。
傍で見ていれば、その内起きるだろうが───
(何か楽しそうだな)
寝ながら笑ってる。貴重だ。
まったり過ごしながら眺めていよう。
木陰には、沢山の猫がいる。
疲れてしまわないよう激しい遊びではなく、けれど興味を失わないように。
ボールを使って遊んだり、疲れている子は休ませて喉元を撫でてあげたり寝かしつけたり。
愛らしい猫は見ていて飽きが来ない。
「サビの君は大人しい女の子なんだね。うん、可愛い。黒白の君は、のんびり屋さんかな? 可愛い。サバトラの君もこっちにおいで」
様子を伺うサバトラの子猫もそろそろ近づき、ラキアを見ている。
可愛いとサビの子も黒白の子もサバトラの子も抱き上げ、それぞれ頬ずりしていると、隣に誰かが座った。
「猫ばっかり構ってズルイぞ。オレもかまえ、かまえ」
セイリューが子猫のように甘えて擦り寄ってくる。
それが何だか可愛らしくて───
「やだなもう、セイリューまで猫みたいにー」
ってあれ?
ラキアは、目が覚めた。
その視界には、セイリューがしっかり収まっている。
何度か目を瞬かせ、ラキアは自分が寝ていたことに気づいた。
「おはよ。夢の中でオレと何してたの?」
セイリューのニヨニヨしている表情を見る限り、寝言を言っていたようだ。
実際に声を発したから、目覚めたのだろう。
答えられないような夢ではないし、とラキアは微笑んでセイリューへ手を伸ばした。
「何って、猫と一緒に遊んでいたら君が乱入してきたよ」
夢の延長のつもりだったからか、それとも夢で出来なかったからか。
セイリューの頭を優しく撫でる。
つい、という感覚で、少し気恥ずかしさを覚えていると、セイリューがくすりと笑った。
「にゃーん」
甘えるように擦り寄る姿は、ちょっと嬉しそう。
すると、膝の上の子猫がズルイと不服そうに鳴き、起きた他の子猫もラキアへ擦り寄ってくる。
母猫が、セイリューを諭すように前足でぽんぽん叩く。
「だーめっ!」
セイリューがラキアに抱きつき、猫達でも譲らないと言う。
苦笑し、セイリューの頭を撫でていたラキアはふと気づく。
「そういえば、そろそろ出発の時間?」
「あ、そうそう。それで捜してたんだぜ?」
なら、そろそろ猫達ともお別れの時間だ。
猫達を一通り撫でて、2人は立ち上がる。
「またね?」
「じゃあな!」
2人は、猫達に別れを告げてその場を後にした。
●遅刻に気をつけて
「ちぇ……幸せそうな顔しちゃって」
ヴェルトール・ランスは、木陰で猫達と共に眠るアキ・セイジを見た。
眠っている猫達の状態を見ると、宿の主は咎めないだけでなく健康状態や必要に応じた最低限の医療は受けさせているらしい。
(地域猫的なものなのかもしれないけどな)
宿側が猫の健康管理の一環として、宿泊客は猫に餌をあげないでほしいという注意を出しているのもこういう側面からだろう。
(まぁ、そうだよな)
ヴェルトール自身は知識がある為に猫の害になるようなものを与えることはしないが、無知な宿泊客などが不用意に与えた食べ物が猫の死に繋がることもある。一律で禁止という判断は正当だろう。
寝ていない猫が近寄ってきたので、背中から尻尾の付け根を撫でて喜ばしてやっていると、他の猫もやってきた。
「まだ起きない……。起こすの可哀想だしな……」
起きる様子がないアキを見て、ヴェルトールは思いついた。
アキの周囲で気持ち良さそうに眠っている猫を抱き上げる。
寝ぼけ眼の猫をそっとアキの膝の上へ乗せると、猫は再び夢の中へ入っていく。
「猫は体温や誰かの横だと安心すっしな」
同じように猫を抱え上げ、アキへ移動。
すると、先程まで撫でて遊んでいた猫達が空気を読んだのかアキの足の上へ移動して丸くなった。
「猫布団ってな♪ 仕上げは───」
隣に俺!
ヴェルトールは確保していたアキの隣へ腰を下ろした。
何ということでしょう!
アキが遊んでいた猫達は、気づけば人型になっていた。
「耳や尻尾はあるけど、人間になった!? いや、この場合テイルスへの進化か……」
「修行を積むと、猫も人間に化けられるにゃー」
「そうなのか」
夢なのか、夢だろうなと思いながらも、アキは感嘆の息を吐く。
が、見透かされていたのか、彼らは尻尾をちっちっちっと指を振るように左右へ揺らす。
「修行が足りないにゃー。この修行、積めば積む程技量が上がって……現実でも人間に化けられるにゃー」
「そう、なのか?」
マジスカという感情が思わず声にも乗る。
気がつくと、普通の猫達が足元に沢山いて、アキに沢山しがみついてきた。
「え、何で皆乗ってくるんだ、ちょっと待てっ」
重さに耐えられず尻餅をつくが、猫はまだ乗ってきて、地面に倒される形になる。
すると、化けられた猫達がアキの顔を覗き込んできた。
「修行を積むには、セイジと一緒がいいのにゃー。ランス先輩に肖るにゃー」
「えっ、何? ランスって謎生物なのか?」
でも、待てよ。
俺がレベルアップに最適みたいな位置づけじゃないか?
「皆、ランス先輩目指して、続くにゃー」
「お、重い……」
でも、もふもふ柔らかくて……ちょっと幸せ♪
が───
「俺もセイジに乗るー♪」
「待て、ランス! お前は乗るな!」
ヴェルトールの声に慌てたアキは───
「何だ、夢か……って、これは……」
アキは、視線を動かして原因を見る。
ニヤニヤしているヴェルトールが隣にはちゃんとおり、アキはその頭へ軽くチョップした。
「何悪戯してんの。ここは起こす所だろう」
「オハヨー」
半分起きた様子の猫を抱き上げ、可愛い声色(ヴェルトールの声の範囲)でヴェルトールが挨拶をしてくる。
「なぁ、ランス。お前って、昔猫だったん?」
夢の内容を話し出すアキは、大変真面目な様子。
それが可愛いので、ヴェルトールはつい乗る。
「俺は猫じゃなく狼」
「ああ……狼か。ってマジ!?」
「人間に化けるまでにはムッチャ苦労したんだぜ」
ヴェルトールがうんうん頷いて語ったすぐ後、「なーんてなっ」と明るく笑うから、アキの口元にも笑みが浮かぶ。
「はい、大先輩に挨拶だにゃーん」
抱え上げた猫をヴェルトールの頬にぴとっと当てたその時だ。
ヴェルトールの携帯電話が鳴った。
「あ、そういや、もうそろそろ出発の時間だった」
「そういうことは忘れるな!」
ヴェルトールが携帯電話に応答している間にアキが猫を穏便に退かして立ち上がった。
目覚めれば、リアルな現実が待っている。
| 名前:アキ・セイジ 呼び名:セイジ |
名前:ヴェルトール・ランス 呼び名:ランス |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 真名木風由 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 07月23日 |
| 出発日 | 07月29日 00:00 |
| 予定納品日 | 08月08日 |

2015/07/28-22:22
2015/07/28-00:19
2015/07/28-00:19
フィン:
フィン・ブラーシュです。
パートナーの海十共々、どうぞよろしくね♪
こっちは海十が行方不明…
どこ行っちゃったんだろうね。
宿のロビーを探してみるつもりだよ。
2015/07/26-09:48
2015/07/26-07:12
サウセ:
サウセと申します。神人はフラルさんです。
よろしくお願いいたします。
先程からフラルさんの姿が見えないですね…。
どこにいらっしゃるのでしょう…。
2015/07/26-01:08
ゼク:
クキザキ・タダカとゼク=ファルだ。よろしく頼む。
とは言え任務は終了したし、あとは帰るだけなのだが。
……うちの神人はどこへ行ったのか。
(※宿の裏庭に直香転がしておく予定ですー。)
2015/07/26-00:15

