


巨大な門を潜り、神殿風の建物の中に入ってみれば───
「想像と違う」
そんな感想が思わず口に出てしまうような、ショッピングモールのような中身。
それが、海底世界に在る『ブルーサンクチュアリ』という場所の感想だ。
人魚や魚人が暮らし、毎日のように宴が開かれている。
ここでは、美味しいシーフードが食べられたり、綺麗な真珠や珊瑚のアクセサリーが売られていたりするらしい。
大きく開いた貝の殻で作られたステージでは、イベントなども開かれるそうだ。
『アモルスィー』同様、海の神の魔法陣により空気が満ちているここへ、海底世界を知る一環として訪れた『あなた』達は、外観と内部のイメージのギャップに驚かざるを得ない。
入場料を払って入ったのだから、楽しく過ごしたいと思うのだが───
「お守り、作ってみませんか?」
声を掛けられて振り返ると、人魚の青年がにこにこ笑っていた。
ウィンクルム達に自分達の世界のものを知って貰う為、自分の店で珊瑚のお守り作成の体験教室をという話だ。
「手作りのものですし、今後役立つようなものではないと思いますが……お互いに贈り合ってはどうでしょうか」
人魚の青年が、珊瑚の効果を色々説明してくれる。
目に見えて分かるような効果を実感出来るかどうかは分からないし、今後に役立つお守りになるかと聞かれれば、勧めてくれる青年と同じ答えになるだろう。
でも───生命力を高めるならば。
魔除けとして、災いから守ってくれるなら。
心の安定を図ってくれるなら。
隣のパートナーの為に作るのも悪くない。
『あなた』達は、青年の店で互いの為のお守りを作ることにしたのだった。


●材料
・珊瑚
赤、白、ピンク、オレンジ、青の4種類ある模様。
宝石言葉や効能(色によって違います)を考慮して作ってもいいですし、それらを考えず相手に似合うように作ってもOKです。
●消費jr
・入場料と材料費合わせて、2人で400jr
●注意・補足事項
・お守り作成自体は教わりながら行いますので、該当スキルがない方も形になります。
(勿論、該当スキルを持っている方は持っていない方よりも仕上がりは綺麗です)
・上手下手より、一生懸命作ることが大事ですので、相手を想いながら作ってください。
・作ったお守りはアイテムとしての配布はありません。(想い出として家で大切に保管しておいてください)
こんにちは、真名木風由です。
今回は、お守りを作って交換っこすることになります。
実際に分かり易い効果がある訳ではなく、記念品としての色合いが強いものですが、相手を想って作ったお守りが、その相手の手に渡り、その心を守ることが出来るよう祈りを込めてください。
その想いが、今後その相手の心を支えるかもしれませんね。
それでは、お待ちしております。


◆アクション・プラン
アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)
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定番の赤…かな 来訪の記念品として考える俺達だ ロマンにときめく年でも女子でもないよ 効果が有ればラッキーと考えるドライ・キャッシュ 赤い珊瑚は値段も張る 海底世界に沢山珊瑚があるなら市場価格も変動したりするかもな 係員の指示に従い丁寧に作る 互いの出来を見せ合ったりもする 贈り合い? それは思ってなかった展開で ああそういえばそんな話を入口で聞いたっけ とたんに気恥ずかしくなる 願かけってのは性に合わないから約束で良いか? 「安全を心がける」 うん、こういう約束なら幾つしてもいい 叶えるのは自分だから 大人しくランスにつけられる 気持ちが嬉しいから 俺も返すよ さあここからが本番だ 海底都市を思う存分満喫しよう!(好奇心で勢いよく |
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赤色の珊瑚でお守りを作ろう。 オレ、お守りとかの効能は信じる事にしているんだ。 運よく護られるならラッキーじゃん? 命がけの行動の時とか、運の良し悪しは超大事だぜ。 キアの髪みたいに綺麗な赤い色のサンゴが良いな。 心身ともに健康健全とかいう話で、生命力を高めてくれるみたいだし。 『自制心に富む』とかいうのもラキアっぽくて良いな。 と効能を聞いた時に思ったから。 宝石言葉ってのは奥が深いぜ。 色別にも決まっているとかさ。 そういうのって花だけじゃないんだな。 身につける時、胸元に。心臓の近くにあるのがいいな。 きっと危ない時もラキアの生命を護ってくれる。 だからペンダントっぽく作りたい。 あいつの心も護ってくれると良いな。 |
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フィンの為に作る 宝石言葉や効能を店員さんに聞いて選んだ色は赤 身体を強く保つとか、運気アップの意味が含まれてるらしい 戦いの時、どうしてもフィンは俺より危険な目に会いやすい。直ぐに俺を庇うし 怪我なく、健康で元気で居て欲しい …面と向かってはなかなか言えない 言えば、フィンは俺の為に更に無茶するって、学習したから だから、そっと祈りを込めて …まぁ、フィンもお守り作ってるし、意味はバレバレだろうけども …考えたら穴を掘って入りたくなるから、考えないように 出来上がったお守りをフィンに差し出す …黙ってないで受け取れよ フィンの為に作ったんだから え?フィンも俺の為に? …有難う 選んだ色が同じで、何だか嬉しく 大切にする |
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赤とピンクしか知らなかったけど。 「結構色があるね」(珊瑚を眺め クロちゃんに、ねえ? ピンクとオレンジは似合わないだろうから却下。 青も、なんか違うか。 となると白か赤だけど。赤かな。 想いか。そういうの苦手なんだけどね。(頭を軽く掻く (任務以外にも目を向け……、ってこれじゃ俺の願いか) あー。(真面目過ぎて、痛い目見る事がなければ良い) くそ真面目なのはムカつく事もあるけど。 そこを気に入ってもいるし。 初めてだとこんなもんか。 「クロちゃん、手ぇ出して」(手に落とす 何眺めてるんだか。大した出来でも無いのに。 「はいはい、ありがと」(受け取る 青珊瑚かー。ほんと青い。(しげしげ (財布に入れる ※お守りは財布に入れる派 |
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いちにあげるのなら、白にします。 なんか、いちって何者にも染まってないって気がするんですよね。 なんででしょう、まっすぐだからかな。 って、いちはクマにあげるつもりなんですね。 まあいいです。あの子が笑っていてくれればそれが一番。 作業は丁寧に進めます。 普段クマの洋服を作る手伝いをしていますから、平均くらいにはできるといいなと。 いち、そっちはどうですか? なんで隠すんですか。いいじゃないですか、見るくらい。 失敗? わかりませんよ。上手にできています。 え、僕に? そんなこと言わないで、ね? (お守りを取る) いちには僕のあげますから。 夕飯なんでもつくりますし! ふふ、ありがとうございます。大事にしますね。 |
●素直の攻防戦
アオイと一太が店へ入ると、他のウィンクルム達の姿も見えた。
「どの色で作られますか?」
「いちにあげるのなら、白にします」
アオイは一太を見、そう答えた。
何にも染まっていない白が、よく似合う気がする。
まっすぐな気質がそうさせるのかもしれない。
「俺は、あげないからな! 俺はクマにあげるんだし!」
一太は愛用のぬいぐるみに贈るつもりだったらしい。
「いいですよ。いちが楽しいのが1番です」
「~~っ!! 俺はあっちで作るからな!!」
怒る一太は、違うスペースへ行ってしまった。
けれど、アオイにはその姿も微笑ましく映ってしまうのだけど。
スペースを移動した一太は、珊瑚の実物を見せて貰っていた。
「どの珊瑚も綺麗だな! が、クマに似合うのはピンクだよな」
ピンクの珊瑚のお守りを着けるクマを想像し、一太はうんと頷いた。
「それなら、ピンクでいいですか?」
「あ、いや……」
一太は、ふと青の珊瑚を見る。
その青は───
「……やっぱ、青にする」
「お連れ様の瞳の色のようですね」
「そんなこと考えてねえからな!!」
一太は何気なく言われた一言に思わず大きな声を出すが、アオイまでこちらを見ていることに気づき、咳払い。
「そんなこと考えてねえから、教えろ」
「はい」
目の前に、青の珊瑚が置かれる。
手順を聞くと、お守りと言っても裁縫のようなものではないようで、普段頑張っている分野とは勝手が異なるようだ。
それでも、手先は不器用な方ではないと思うし、変なことにはならないと思うが。
(丁寧に作るか)
普段、丁寧さを心掛けて裁縫をしているように。
「お上手ですね」
「教えていただき、ありがとうございました」
アオイがお守りを作り上げると、人魚の青年から褒められた。
クマの洋服製作を手伝うような丁寧さを心掛けたとは言え、教えて貰わなければ出来なかっただろう。
見ると、一太はまだお守りを作っているようだ。
「いち、そっちはどうですか?」
「わっ!?」
アオイが声を掛けると、集中してアオイに気づいていなかった一太はビックリした声を上げた。
「驚かせてしまいましたか。すみません」
「おい、アオイ! 言いながら勝手に見るなよ!」
一太は、覗き込むアオイから逃れるように作り途中のお守りを隠す。
何故隠すのか、アオイにはちょっと分からない。
「いいじゃないですか、見る位」
「そんなの理由になんね……くそ! お前の所為で曲がったじゃねえかっ! あっち行け!」
手の中のお守りが少し曲がったらしく、一太はぷんぷん怒ってアオイを追い払う。
アオイは仕方なく近くに腰を下ろし、一太の出来上がりを待つことにした。
(……出来上がったようですね)
表情の輝きで出来上がりを察したアオイは、一太へ再び声を掛けた。
が、一太は「アオイの所為で失敗した」と顔をぷいっと背ける。
「失敗、ですか? 上手に出来ていると思いますが」
「上手に出来てる? お前よく見ろよ、ここが……って、いいよもう、俺の拘りだよ」
アオイが一太の手の中にあった青の珊瑚のお守りの出来をそう言うと、一太は口の中でぶつぶつ言い出す。
「お前に変な物つけさせられねえだろ……」
「え、僕に?」
「って、今のなし! やっぱこれはクマにやることにする!」
一太は顔を真っ赤にさせ、お守りを仕舞おうとする。
が、それもアオイの動きの方が素早かった。
「そんなこと言わないで、ね? いちには僕のあげますから」
「おい、勝手に持ってくな!」
白の珊瑚のお守りは受け取りつつ、アオイの手から青の珊瑚のお守りを奪おうとする一太。
が、アオイは譲ってくれそうにない。
「夕飯は、いちの好きなものにしましょう!」
「……旗立てろよ」
説得するようなアオイへ一太が呻くように言った。
「ハンバーグ! 旗立てろよ!」
「ふふ、ありがとうございます。大事にしますね」
くれるという意味を理解し、アオイが笑うと。
「クマの土産探す!」
一太は、アオイを置いて店を出て行く。
嬉しそうなアオイが続いたのは、言うまでもない。
●言葉はなく傍に
賑やかに店を出て行くアオイと一太を見ていた柳 大樹とクラウディオも店の中へ入った。
彼ら以外にもウィンクルムの姿があり、見知った顔もある。
が、邪魔しては悪いと挨拶程度にしておき、案内されたスペースにそれぞれ腰を落ち着ける。
「結構色があるね」
提示された珊瑚を見て、大樹が呟く。
(大樹に作るのであれば、何の色がいいだろうか)
クラウディオは、大樹の為になるのなら作ることに問題を感じていない。
が、作る以上、彼の為になればと思っている。
先程、人魚の青年から珊瑚の説明は受けた
色合いひとつで意味合いが違ってくるというのも奥が深いと思うが、選ぶとするならば───
(青珊瑚の説明が、最も良かった)
色々な力を秘めているようだが、他の色の効能より、この色の効能の説明が1番良かったように思う。
青を好んでいるように見えるし、ちょうどいいだろう。
(瞳の色と同じ珊瑚があれば、それも良かっただろうが。リストにはない)
クラウディオは、人魚の青年に何の珊瑚を使うかを指し示す。
自分でもよく分からないが、出来上がるまで大樹に何の色の珊瑚を使うかは教えずに作ろうと思ったのだ。
察してくれたらしい人魚の青年が、まだ珊瑚を選んでいる大樹に気づかれないよう青の珊瑚を持ってきた。
お守りを、作ろう。
(クロちゃんに、ピンクとオレンジはきつい)
大樹は、ピンクとオレンジの珊瑚は候補から外す。
世の中には、イメージというものもある。
クラウディオが、ピンクやオレンジの珊瑚のお守り(しかも自分が作ったの)を持っているというのは、何か違う。
残りは、赤、白、青。
(青……青、でもない気がする。赤か白?)
説明された青の効能を考慮すると、大樹の中でしっくり来ない。
残る赤と白の効能を思い浮かべ……赤の珊瑚を選ぶことにした。
(嫌いじゃないから、あんまりそういうのは)
頭に過ぎったのは、白の珊瑚には奉仕的な、犠牲の優しさがあるということ。
そういうのを望んでいる訳ではない。
(任務以外にも目を向け……ってこれじゃ俺の願いか)
想いとかそういうの、苦手だと大樹は頭を軽く掻く。
「あー……」
大樹は、真面目な様子で製作開始しているクラウディオを見て溜め息。
くそ真面目過ぎてむかつくこともあるけど、気に入っている部分でもあり……痛い目見ることがないなと思う程度には、嫌いじゃないから色々思うこともある。
(大樹も作り始めたか)
クラウディオがちらりと見た先、大樹がお守りを作っている。
角度の問題で何の色の珊瑚を作っているかは分からないが……。
(大樹は、恐らく肝心な言葉を出していない。誰かに話すことが出来れば、少しは気が紛れるのではないだろうか)
誰かに話すことで楽になることもある。
口にすることで今の自分自身の考えを知り、整理することも出来る。
その一助になればと青の珊瑚に目を落とす。
(誰かが、私である必要はないが)
心なしか、胸が痛んだ。
やがて、それぞれの珊瑚のお守りが出来上がった。
「初めてだとこんなもんだな。───クロちゃん、手ぇ出して」
大樹がクラウディオの手に赤の珊瑚のお守りを落とした。
アクセサリーを作る技能こそないものの、そのデザインは自身のセンスを活かしたものであるようだ。
(大樹が、私に)
本当に作ってくれたとじっと見る。
そして、ふと気づく。
(嬉しい、のだろうか)
さっきまで心なしか痛かった胸は、今異なる方向に騒いでいる。
(何眺めてるんだか、大した出来でもないのに)
「大樹、これを」
クラウディオの様子を眺めていた大樹へ、クラウディオが作ったお守りが差し出された。
人魚の青年の説明をきちんと記憶したらしく、初めてにしては出来がいいらしい。
「はいはい、ありがと。この珊瑚、本当に青いわ」
受け取った大樹は、お守りを財布の中へ入れた。
持ち歩く無言を感じたからだろうか、クラウディオは、大樹を好ましく思っているという自身の感情がいつもより他人事ではなく感じた。
●その手を引けば
大樹の挨拶に軽く手を挙げて応じたアキ・セイジとヴェルトール・ランスも、人魚の青年に声を掛けられたクチだ。
「来訪の記念になればいい。効果があればラッキーだと思うし」
「即物的な効果、というものではないと思いますよ」
珊瑚を選ぶアキへ人魚の青年が微笑んだ。
「エネルギーは持っていますが、それらが直接何かを起こす訳ではありません。強いて言うなら、そのエネルギーが心にあるものを引き出し、それによって自身が、というものでしょうね。心理的にも、持っている事実が安定や心強さを生むこともあるでしょうし」
「あくまで補助、思い描く効果を成し得るのは、最終的には自分自身ということか」
人魚の青年の説明に、アキはなるほどと頷いた。
ロマンチック的なものと思っていたが、案外現実に即した考えが根付いているようだ。
「なら、定番の赤かな……」
赤は珊瑚の中でも定番の色だし、高いものは高い。
ここは海底世界である為、地上の価値とは異なるかもしれないが。
(ロマンにときめく年齢でも女子でもないが)
丁寧に作ろう、とアキは製作を開始した。
アキが製作を開始した隣では、ヴェルトールがオレンジの珊瑚を手にしていた。
「セイジの珊瑚は、セイジの瞳の色みたいだな」
「なっ……」
アキは、ヴェルトールの不意打ちの一言に思わず手を止める。
対するヴェルトールは珊瑚を選んでいたアキを見て、ほっこりしていたようだ。
「俺はロマンよりマロンが好きだな」
「ランスも、早く作った方がいいぞ」
アキはそれだけ言い、作業に集中してしまった。
が、不意打ちだったからか、照れているというのは、横顔を見れば分かる。
(皆がいる時は、の話だったんだけど)
ここで付け加えることでもないけど。
「そういえば、オレンジの珊瑚も地上とどの位差がある?」
「地上のことはよく……。我々が地上へ接触したのも、つい最近のことですし」
「それもそっか。地上の価値が分からなかったら、分からないよな」
ヴェルトールが尋ねてみると、人魚の青年は少し苦笑した。
地上の市場価格が分かればその差を答えられるだろうが、この人魚の青年は海底世界の市場価格しか分からない為、寧ろウィンクルム達へ聞いてみたい位なのだろう。
この接触を切っ掛けに地上へ海底世界の珊瑚が出荷されれば、市場価格が変わることもありえるだろうが、今は現実的な話とは言えない。
(セイジの目……珊瑚以上に綺麗な赤だな……)
怜悧なのに、情熱的。
透き通った炎のようだ。
「俺も頑張らないと」
壊れたりしないよう頑丈さを心掛け、作ろう。
ヴェルトールは説明を聞きながら、一生懸命作ることにした。
「出来た」
「お互い、上手く出来たようだな」
ヴェルトールが出来上がった時には、アキはお守りを作り終えていた。
「はい、セイジ。俺のオレンジ」
「え」
「贈り合うって話だっただろ?」
目を瞬かせるアキへヴェルトールがニッと笑う。
作業に集中してそのことを隅に追いやっていたアキも思い出し、気恥ずかしさを覚えた表情に変わっていく。
「着けてやるよ」
「それなら、俺も。……あ」
アキが作ったお守りをヴェルトールに着けようとし、こう提案した。
「さっきの説明もあったが、最終的には自分自身で成し得るなら、約束がいい」
「だな。その方が俺達らしい」
安全を心掛けるのも元気でいるのも……全て自分達次第。
こういう約束なら、幾つしたっていい。
(何より大事なのは、ランスの気持ちだし)
「セイジの瞳、いただきぃ」
アキは、ヴェルトールの言葉で我に返った。
作ったお守りは、落ちないように着けられている。
「……なら、そろそろ本番だ。ブルーサンクチュアリを見て回ろう」
人魚の青年に礼を言ったアキが、ヴェルトールの手を引いて走り出す。
笑って送り出す彼へ会釈したヴェルトールは、アキの行動が照れ隠しであることには気づいている。
(大人しく手を引かれてやるよ)
後で、ロマンとマロンの違いを教えてやるけど。
●互いを護りたくて
ヴェルトールの手を引いて店を出るアキを見送ったのは、人魚の青年だけではない。
彼らの友人であるセイリュー・グラシアとラキア・ジェイドバインもだ。
見送った彼らも顔を見合わせ、お守り作り再開。
(運よく護られるならラッキーじゃん?)
セイリューは、お守りの効能は信じることにしている。
命懸けの局面においては、運の良し悪しも明暗を分けるものだ。
(この珊瑚、ラキアの髪の色みたいだな)
手元にある珊瑚の色は、赤。
ラキアと同じ髪の色の珊瑚は、心身共に健康健全を保ち、生命力を高めてくれるらしい。
『自制心に富む』というのも、ラキアらしいと思う。
ラキアに贈るものだから、ラキアに合うものをと選んだのだ。
(しかし、こういうのは奥が深いぜ。花もそうだけど、色で意味や力が違うなんてさ)
色で集めるエネルギーでも違うのだろうか?
詳しくはないけど、どれでもいい、ではなく、相手に合うのはどれかと悩めるのはいいことだと思う。
悩んだ分だけ、ラキアに届く。
そのラキアは、青の珊瑚を選んで作っていた。
(青の珊瑚の効能は、セイリューみたいだから)
思考と行動に混じりけなく、ピュアでシンプル。
そこには、小細工も駆け引きもない。
確かな信念を、あるがまま実行に移すその様を思い出せば、選ぶ色は青しかなかった。
(身を護る幸運は、欲しいよね)
鉱物ではなく生物由来だからか、珊瑚にはどこかに生命を感じ、暖かみがある。
その暖かみが、彼を護ってくれたらいい。
(しかし、思っていたより難しい)
セイリューは、赤の珊瑚のお守りを作りながら呟く。
教えて貰っているが、アクセサリー作りに馴染みがある訳ではないから、やはり難しく感じる。
けれど、巧い下手を気にしている場合ではない。
大事なのは、ラキアを護って欲しいという想いの方だ。
(心臓の近くに身に着けて貰えるように)
そうすれば、ラキアの生命を護ってくれる。
ラキアはライフビショップだから、守りの要……優先的に狙われることもあるだろう。
その前に護るつもりだけど、紙一重の時に護って貰えるように。
何より───
(あいつの心も、護りたいから)
「出来た!」
「お疲れ様、セイリュー」
セイリューが声を上げると、既に作り終えていたラキアが労いの言葉を投げてくれた。
「ラキア、これ」
「これって、ペンダントトップ?」
セイリューが差し出したお守りを、ラキアが意外そうに見た。
お守りっぽいが、他のネックレスやペンダントに添えて欲しいかのような作りを見れば、そう思うのは不思議ではない。
「心臓に近い位置で、護って欲しいからさ」
セイリューが、屈託なく笑った。
赤の珊瑚よりも、セイリューのこの想いこそが心臓も心も護ってくれるとラキアは思う。
「俺は、青を選んだよ。セイリューに似合うと思って」
セイリューは『誰かが傷つかないよう脅威に立ち向かう』信念があるから、敵に向かって行く。
口にされて言われた訳ではないが、争いが苦手な自分を想うが故の部分もあると思う。
(だから、災いや争いごとが、彼を傷つけたりしないように)
セイリューの信念を止めることは出来ないが、このお守りに想いを籠めて、セイリューを護ることは出来る。
勿論、お守りはお守り。
力添えにばかり期待してはいけない。
お守りも自ら努力しない者へ力添えをしたりはしないだろう。
(セイリューが俺を護ってくれるなら。俺はセイリューを支えるよ)
君と俺は、だからここにいると思う。
それぞれお守りを交換し合い、セイリューとラキアも店を出る。
「そういえば、お土産どうしようか」
「クロウリーとトラヴァースのお気に召すものが、ここにあればいいんだけどね」
セイリューが話を振ると、ラキアが軽く肩を竦めて笑う。
「なら、探すか。店は色々あるみたいだし、探せばあるかもしれないぜ」
「そうだね。まだ時間に余裕がある。ゆっくり探そうか」
帰る彼らの手に、お土産があるかどうか。
それは、彼ら自身に聞いてみるといい。
●祈り託された赤
蒼崎 海十とフィン・ブラーシュは、店の入り口で偶然出会ったセイリューとラキアから楽しい体験教室だったと聞いてから、それぞれ腰を落ち着けた。
贈り合う楽しみとして、別々に教わろうというのが趣旨だ。
「どれにしますか?」
「この中なら、赤……かな」
海十は、赤の珊瑚でお守りを作ることにした。
同じように説明を受けるフィンを盗み見て、赤の珊瑚を選んだ理由を思う。
(身体を強く保つとか、運気アップの意味もあるみたいだから)
如何にフィンがプレストガンナーで、最前線というよりは一歩後ろの中衛に立った方が効果を発揮しやすいジョブとは言え、自分よりは確実に危険な目に遭う。
今の自分には戦闘で決定的な一撃は放てず、ディスペンサで彼に力を渡す位が精々だ。
(それに、すぐに俺を庇うし)
眉間の皺を感じながら、海十は心の中で溜め息。
怪我なく、健康で元気でいてほしい。笑っていてほしい。
面と向かって言えない理由は、分かってる。
(言ったら、フィンは俺の為にもっと無茶するから)
同じことは、繰り返さない。
フィンは、作業に集中している様子の海十を見ていた。
教える人魚の青年越しである為、海十の手元はよく見えない。
けれど、その真剣な表情を見れば、それだけで胸が温かくなる。
(海十が、病気せず元気で健康にいられますように)
その願いを込め、選んだ赤の珊瑚でお守りを作っていく。
海十は、実は結構忙しい。
ウィンクルムとしての任務がない日は、学校に行っているし、その合間を縫ってプロを目指すインディーズバンドのボーカルとして歌っていることもある。
(でも、疲れてるとか言わないよね。辛いとか弱音を吐かないよね)
意地っ張りにも思える海十が、それでも自分には甘えてくれる。
この存在を必要とし、寄りかかってくれる。
それが、どんなに嬉しいことか。
(海十はきっと知らないと思うけど、俺はそれだけですごく満たされてる)
共に幸せを探す人、2人で幸せになりたい人。
海十の全てに似合う赤の珊瑚に想いを込めて、丁寧に作ろう。
「出来上がりましたね。ほぼ同じタイミングで」
海十が顔を上げた時、人魚の青年がそう微笑んだ。
振り返ると、フィンも同じことを言われたらしく、こちらを見ている。
「フィン、これ」
出来上がったお守りを差し出すと、フィンは青空の瞳を瞬かせた。
じっと見られていることが恥ずかしくて、そっと込めた祈りがやっぱりお見通しなのかと考えないようにしていたことが頭に過ぎり、恥ずかしくなった顔を背ける。
「……黙ってないで受け取れよ。フィンの為に作ったんだから」
「いや、すごく嬉しくて。言葉にならないって、こういうこと言うのかな」
俺も同じだから。
その言葉と共に差し出されたのは、赤の珊瑚で出来たお守り。
今度は、海十が夜空のような瞳を瞬かせることとなった。
「え? フィンも同じ色を?」
「うん。だから、同じですごく嬉しい」
「……俺も」
フィンの嬉しそうな笑みに海十も同じ笑みを返す。
互いに差し出したお守りを受け取れば。
「ありがとう、大切にする」
「俺もずっと大切にする。ありがとう」
互いの想いが満たされて、フィンが「もう効果が出たみたい」と笑う。
お守りを渡したいのは、口に出さない祈りをそこに籠めたいから。
その祈りが、愛しい人の力になり、護るものであってほしいから。
そして、幸せに笑ってほしいからだ。
大切にしたいのはお守りそのものではなく、お守りに祈りを籠めてくれた愛しい人自身。
それこそ、お守りが望んでいることだと思う。
「そういえば、ステージではイベントがあるらしいね。海底世界の歌、聴きに行こう」
「そうだな。ジャンルは違うかもしれないけど、いい刺激になるかもな」
店を出て行く2人は、笑い合って店を出て行く。
互いが互いを必要とし、2人で幸せをと未来を願って歩き続けるならば、赤の珊瑚のお守りはいつか、きっと彼らを手助けするだろう。
その祈りは、愛しき人を想う心の輝き。
あなたを、護りますように。
| 名前:セイリュー・グラシア 呼び名:セイリュー |
名前:ラキア・ジェイドバイン 呼び名:ラキア |
| 名前:蒼崎 海十 呼び名:海十 |
名前:フィン・ブラーシュ 呼び名:フィン |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 真名木風由 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 07月13日 |
| 出発日 | 07月19日 00:00 |
| 予定納品日 | 07月29日 |

2015/07/18-23:50
2015/07/18-23:50
あらためまして、蒼崎海十です。パートナーはフィン。
皆様、よろしくお願いいたします!
手作りのお守り…素敵ですね。
どんなお守りができるのか、楽しみです。
2015/07/17-12:44
柳大樹でーす。
アオイさんは初めましてー。
皆よろしく。(右手をひらひら振る
はあ、お守りねえ。
珊瑚って結構色の種類あるんだね。(しげしげ
2015/07/16-11:49
アキさん、セイリューさんはこんにちは。
蒼崎さん、柳さんは始めまして。
アオイと申します。
皆さんそれぞれ、素敵なお守りができますように。
2015/07/16-06:37
2015/07/16-00:15
2015/07/16-00:15

