


甘いお菓子でできているショコランド。
一歩足を踏み込むと、広がる世界はすべてがパステルカラーだ。
キャンディの家に、チョコレートの柱。
吹く風にも、どことなく甘い香りが含まれているような気がする。
そのショコランドに、シュガーレイクと呼ばれる湖がある。
この湖、水は砂糖水で、ソーダの川が流れ込んでいるという何ともおいしそうなものだ。
さて、その湖畔。
「ムイ?」
砂糖の花が咲く草原に、ぴょこりと飛び出る顔がひとつ。
ピンクの兎耳をふにふにと揺らし、ててて、と走ってくるのは砂糖菓子のアニマル、セタ・ラビットだ。
セタ・ラビットは小さな手で、あなたの服の裾を引いた。
「ムイ」
どうしたの、と声をかけると、つぶらな瞳が見つめてくる。
「ムイムイ」
指を差したのは、シュガーレイクである。
どうやら、水を飲ませてほしいようだ。
「わかったわかったから」
あなたは苦笑しながらセタ・ラビットと一緒に湖のそばに立った。
水を飲むラビットが水の中に落ちないように、体を支えてやる。
……と。
赤色半透明な魚と目が合った。鯛ではない。ゼリー魚だ。
きゅるん、と大きな瞳が愛らしい。あなたは魚に手を伸ばした――。
きらきら光るゼリー魚と、ちょこちょこ動き回るセタ・ラビット。
そこで持参のお弁当を相棒と、ぱくり。
シュガーレイクの畔でのんびりすごす一日は、なんて素敵なんだろう。


お菓子の国ショコランドのシュガーレイクの湖畔で、ピクニックをしましょう。
セタ・ラビットとゼリー魚(色は赤意外にもいます)がいますので、仲良く遊んであげてくださいね。
ショコランドまでの交通費として、各ウィンクルム300jrいただきます。
お弁当は持参です。
どんなお弁当を持って行くか、プランに記入願います。
文字数の関係で厳しければ、和風とか、お子様ランチ風とか、ふんわり雰囲気だけでも大丈夫です。
購入もできますが、お菓子のお弁当になりますのでご注意を。
こちら200jrになります。
中身はおにぎり型のおせんべいや、クロワッサン型のクッキーなど「こんなものがあったらいいな」的なものをプランに書いていただければと思います。
お任せの場合、こちらでなんとなく考えます。
女性側ではお久しぶりです。瀬田一稀です。
イラストの企画もでましたので、これまたお久しぶりのGMアニマルです。
みなさんでわいわいする場合は、会議室で相談を。
プランに記入がなければ、ウィンクルムごとの描写になります。
シュガーレイクで、自由に楽しい時間をお過ごしください。


◆アクション・プラン
夢路 希望(スノー・ラビット)
|
早起きして頑張ったお弁当 …喜んでもらえるかな 袖を引かれて振り返る …わぁ! セタ・ラビット、ですね 初めて見ました 愛らしい姿に破顔 どうしたの? 視線合わせて尋ね 指差す方へ 落ちないよう気を付けてくださいね 見守る傍ら 湖中にお魚見つけ 好奇心から手を伸ばし 感動していると視線に赤面 …そ、そろそろお昼にしましょうか 中身はリクエストのオムライス 彩りにブロッコリー等の野菜も添えてみました <調理 …ユキも? ハートのパンケーキに感動と照れ いただきます、とぱくり …とっても美味しいです 感想を聞いたら安堵 お料理のお勉強、続けて良かったです 笑顔にはドキドキ 後片付け後 遊ぶユキ達のもとへ …ふふ 何だか親子みたいです 返ってきた言葉には赤面 |
|
リヴィエラ: まぁっ、可愛いうさぎさんと、お魚さんがいますよ、ロジェ! うふふ、セタ・ラビットさんとゼリー魚さんと言うのですか? (喜びながらセタ・ラビットとゼリー魚にお弁当のお裾分けをすると 擦り寄ってくる) きゃっ、うふふ、くすぐったいですよ。 (楽しそうに2匹と遊んでいると、ロジェにヤキモチを妬かれる) ろ、ロジェ? どうなさったのですか? …はぐっ!? (口の中に弁当を入れられるが、その美味しさに顔がとろける) お、美味しい…じゃなくてっ! もう、ロジェったら、お返しです! (仕返しに、ロジェの口に弁当を入れる) (それにしても不思議です…このウサギさんのお陰で、ロジェと仲良くなれたような…) |
|
☆スキル・調理 ☆弁当 だし巻き卵 照り焼きチキン ポテトサラダ 豚肉の野菜巻 漬物 五目ご飯 スイカ ☆心情 「大げさじゃね?(苦笑 まぁ最近穏やかで過ごすのは久々かも知れねぇけど… おう(微笑」 ☆湖畔 (少し散歩後お弁当を広げる) 「ははっありがと(微笑 朝早く起きて作った甲斐があったぜ♪ 五目ご飯のおこげは炊飯器でも作れるんだぜ! それとデザートはスイカな! ん?可愛いから兎と金魚連れて来た♪ あっスイカ食べるかな? それもそっか(微笑ながら兎撫でる お粗末様でした 眠いなら寝るか? 膝枕してやっても良いぞ 毎日頑張ってるご褒美ってもう寝てる(苦笑 オルクお疲れ様(口にキス 二人共この事は秘密、な?(腕に抱いた兎と金魚を撫でながら微笑」 |
|
でっかいキノックマの大暴れを宥めてみたり、オトーフにパンツ見られたり… 色々あったけど、今回は普通そうね。安心できそう お弁当は普通に持参しましょ。ハムとレタスのシンプルなサンドイッチにしとくわね …でも、お菓子のお弁当も凄く気になる。おやつ代わりに買って行ってもいいかしら セタラビット、シュガーレイクの水が好きみたいだけど、普通のご飯は食べるのかしら お菓子弁当とどっちが好き?(両方出しておいでおいで) 湖の淵に寝そべってゼリー魚とも戯れたい この子はご飯は食べないわよね… あ、このおかずゼリーで出来てる。これならどう?(千切ってぱらぱら) ムイムイー。アゴー。ふふ、甘い匂いで一杯 咲姫ー、あたし達もご飯食べよ |
|
◯お弁当対決 おほほ、たまには清楚にピクニックと洒落込みますわ。 シュガーレイクって本当に甘いのかしら? ゲフン、宏介、毒味してみろしぃ! ってアレ、宏介聞いてるぅ? ちょっとぉ!? 事前に作っておいたお弁当で勝負だしぃ! アタイの弁当食ってみろぉ! …宏介の弁当普通にうまいしぃ…。 案の定デザートのプチタルト超美味しいしぃ…。 ぶっちゃけお弁当本体より力入ってるしぃ…。 ◯精霊へ 最近考えてたんだけどさぁ。 ウチラってウィンクルムじゃん? 愛の力でドッカーンて オーガをやっつけるイメージだったんだけどさぁ。 …宏介、全然王子様じゃないしときめかない。 例えばさぁ、宏介はアタイと恋愛してみたい? プッ、バカ眼鏡らしい答えだねぇ。 |
●眼鏡と眼鏡
草原には甘い香りが漂っていた。それはここがお菓子の国ショコランドであり、すぐ近くにある湖が砂糖水をたたえたシュガーレイクであるからだ。
「おほほ、たまには清楚にピクニックと洒落込みますわ」
笑ったのは名生 佳代。彼女はサクサクと土を踏み、湖へと向かっていった。その後ろで、花木 宏介はため息をついている。あのノリは一体……。
「清楚ってなんなんだ」
帰ったら国語辞典を開いてみるべきか。いやしかし、過去に何度も調べたことがある。
佳代は湖を覗き込んでいる。
「シュガーレイクって本当に甘いのかしら?」
名前にシュガーと入っているくらいだし甘いんじゃないか……とは言わず。宏介はのんびりした空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
「まあ最近はゆっくりもしていなかったから……たまにはいいか」
と、佳代が振り返る。
「宏介、毒味してみろしぃ!」
……っておい、本気で清楚はどこに行った。
そう実際に口にしようとした宏介の前に、不意にピンク色のウサギが顔を出した。ぽよぽよと揺れる耳と、なんとも間抜けな表情が愛らしい。セタ・ラビットだ。
「ムイ?」
「ってアレ、宏介聞いてる? ちょっとぉ!?」
「……あー、佳代に比べたら、ウサギは大人しくて可愛らしいな。ひょっとしてウサギの方が女子力高いんじゃないか」
宏介がウサギの頭をわしゃわしゃ撫ぜる。完全にスルーされている佳代としては、あまり面白くはない。持って来たお弁当を取り出すと、それをウサギに夢中の宏介の前につきだした。
「このお弁当で勝負だしぃ! アタイの弁当食ってみろぉ!」
「じゃあ佳代、俺のも食べるか」
宏介はセタ・ラビットを撫ぜるのをやめて、荷物の中から弁当箱を取り出した。ラビットが覗き込むのを横目に見つつ、その場に座ってランチタイムである。
まずは相棒のものを一口。宏介は佳代が作った卵焼きを食べると、厚くまかれた黄色をじっと見つめた。
「……普段料理しない割にはうまくできているな」
そこで、佳代の顔をちらり。
佳代はもぐもぐと宏介が作った弁当を食べている。その目が最初は喜びに輝き、少し後には悔しそうに曇っていった。
「……宏介の弁当普通に美味いしぃ……デザートのプチタルト、超美味しいしぃ……ぶっちゃけお弁当本体より力入ってるしぃ……」
「そりゃ普段料理担当が俺なら、俺の方がうまいだろう」
佳代の良い点は、性格は少々いろいろあるけれど、こうして良いところは良いとちゃんと認めてくれるところではないか……と宏介は思う。もちろんそれを言葉にはしない。言えばきっとツンデレ的な被害が訪れるとわかっているからだ。
宏介は黙ったまま自分の分のタルトを取ると、それをずっと隣にいるセタ・ラビットへと渡してやった。
「ムイ!」
ぺこりと頭を下げて、タルトにかじりつくウサギ。この子にとってもタルトは美味いものであるらしい。俺もなかなかかもしれないなと内心で喜んでいると、すべてを食べ終えた佳代がぽつりと口にした。
「最近考えてたんだけどさぁ。ウチラってウィンクルムじゃん? 愛の力でドッカーンてオーガをやっつけるイメージだったんだけどさあ。……宏介、全然王子様じゃないしときめかない。例えばさぁ、宏介はアタイと恋愛してみたい?」
「お前、ときめかないと言った相手に……」
宏介は嘆息した。しかしふむ、と考える。……恋愛か、と。
「経験がないし、本を読んでもわからない。万が一佳代に……」
そこまで言ってみたものの、目の前の彼女と、と思うと想像はつかなかった。どうしてこんなことを言いだしたのか、真意は掴めぬまま。
「その時が来たら……考えるさ」
その言葉に佳代がプッと吹きだす。
「バカ眼鏡らしい答えだねぇ」
「……そうか?」
しかし佳代は、それ以上は言葉を重ねない。
セタ・ラビットは笑った佳代を、不思議そうに見ていた。
●妹と兄
「でっかいキノックマの大暴れを宥めてみたり、オトーフにパンツ見られたり……色々あったけど今回は普通そうね。安心できそう」
シュガーレイクの湖畔。草の上にお弁当の入ったバスケットを置いて、紫月 彩夢はうーんと体を伸ばした。周囲に満ちる甘い空気、そして風に揺れる緑の木々に、きらきら輝くシュガーレイクの水面。なんて美しい場所なんだろう。
ここに来るまでの間に、ショコランド製のお菓子のお弁当を購入している。持参したものはハムとレタスのサンドイッチでお昼用。買ったものはおやつようだ。
「さてと……まずは動物たちと遊びたいわよね。あたしは行くけど、咲姫はどうする?」
そう言って、彩夢は紫月 咲姫を見やる。咲姫は草むらの中にちょこんと腰を下ろした。
「私はここでお弁当の番をしてるわ」
「……つまみ食いしないでね」
「しないわよ。彩夢ちゃんと一緒が良いもの」
彩夢は湖の近くへと歩いていき、適当なところでしゃがみ込んだ。低い目線で草原を見渡すのは、ここにいるというセタ・ラビットを探すためである。案の定、ウサギはすぐに見つかった。低木の間から、砂糖の体を覗かせたのだ。
「ムイ?」
きょんと首を傾げて、こちらを見ているセタ・ラビット。
「ふふ、見つけた」
彩夢が手を伸ばしても、ウサギは逃げない。それを良いことに、甘い香りのする体を抱き上げた。セタ・ラビットはふんふんと鼻を鳴らし、彩夢の胸に顔を押し付ける。
「か、可愛い……!」
そんな彩夢を、咲姫は遠くから見ている。
「あー……セタ・ラビットを抱っこしてる彩夢ちゃんが可愛い……。写真撮ったり絵を描いたりするのが得意なら、間違いなく残すのに」
そう思いながら見つめていると、彩夢はラビットを下ろして立ち上がり、手を招いて、咲姫を呼び寄せようとしている。
「あら、どうしたのかしら」
お弁当の入ったバスケットを持って、咲姫が早足で寄っていく。
「どうしたの、彩夢ちゃん」
「なんかね、この子お腹すいてるみたいなの。セタ・ラビット、シュガーレイクの水が好きらしいけど、水じゃお腹はいっぱいにならないでしょう? 普通のご飯も食べるのかしらと思って」
彩夢はバスケットの中から、サンドイッチとお菓子のお弁当を取り出した。それを並べて草の上に置き、ウサギにおいでおいでと、手をひらひら。
「ねえウサギさん。どっちが好き?」
「ムイー!」
セタ・ラビットは迷わずお菓子を選んだ。
「やっぱり甘いほうがいいのね」
彩夢が笑う。そのときふと水の弾ける音がした。湖に目を向けると、中には輝くゼリー魚の姿が見える。
「わあ……綺麗。でもこの子はご飯食べないわよね……」
どうしようかとお菓子のお弁当を見、その中のひとつがゼリーでできていることに気付いた。
「これならどうかしら?」
彩夢はそのゼリーを細かくちぎって湖面へ投げ入れた。広がる波紋。集まるゼリー魚。魚たちは小さな口で、ゼリーをつんつんとついばんでいる。
草原に腹這いになりそれを見つめる彩夢はご機嫌だ。それを咲姫は満足げに眺める。なんて可愛らしい私の妹。しかし傍らで「ムイムイ」と声が聞こえ、視線を向けた。
「ん? なあに? 私とも遊んでくれるの? そうね。彩夢ちゃんがゼリー魚に夢中な間は、私と遊んであげて」
セタ・ラビットの頬にそっと顔を寄せる咲姫。
「砂糖菓子の甘い匂いがする……耳の先を舐めてみたくなっちゃう」
そう言うと、セタ・ラビットは驚いたようにぴくりと耳を揺らした。
「ふふ、しないわよ。安心してちょうだい」
咲姫がくすくすと笑う。ウサギはまだ不安そうにしていたが、すぐ近くに咲いている花を手折って差し出すと、それをちょいちょいと突いて遊びだした。
「そうだ、この子を彩夢ちゃんの背中にのせちゃおうかしら」
咲姫は花を手にしたラビットを抱き上げる。しかしその子を背中に置こうとした瞬間。
「ムイムイ―、アゴ―。ふふ、可愛い。甘い匂いで一杯ね」
「かわっ……彩夢ちゃんがぎゃわいい」
聞こえてしまった独り言に、思わずセタ・ラビットを抱きしめて悶絶してしまった。人がいる気配を感じたのか、彩夢が顔を上げる。
「咲姫―、あたし達もご飯食べよ」
「え、うん、そうね」
しれっといつも通りの顔をしている彩夢と咲姫。咲姫はセタ・ラビットの長い耳にそっと囁く。
「聞いたのは内緒ね、内緒」
●彼女と彼
「……喜んでもらえるかな」
夢路 希望は、両手に持ったバスケットを見つめていた。中身は相棒であるスノー・ラビットリクエストのお弁当。今日のピクニックのために、早起きして作ったものだ。頑張ったし、上手にもできた。きっとユキなら喜んでくれるとは思う。だけど、これでいいのかな……と。ちょっとだけ心配になってしまう。
――だってユキ、楽しみだって言ってくれてたから……。
どうしようと俯いている希望の横で、ユキは広い草原に目をやっている。ちょうどぐるりと後ろを向いたとき、視線の先にピンクの長い耳が見えた。
「……ん? ピンク色の……ウサギ?」
ユキの声に呼ばれたように、姿を現したのはセタ・ラビット。
「わっ、見て」
ユキは希望の袖を引いた。これを見れば、ノゾミさんはきっと笑ってくれるはず。希望は呼ばれるままに振り返り「……わぁ!」と声を上げて破顔する。
「セタ・ラビット、ですね。始めて見ました」
「ムイムイ、ムイ!」
ラビットは小さな手で、ユキの耳を指し示している。
「そうだね、長い耳が一緒だ。君のハートの尻尾もかわいいね」
ユキはラビットの頭をそっと撫ぜた。しかしラビットは彼を相手にすることはなく、すぐに湖の方を向いてしまった。
「どうしたんでしょう?」
「……お水が飲みたいのかな?」
ムイムイ言いながら歩き始めたセタ・ラビットの後ろを、ユキと希望がついていく。案の状、ラビットは湖のふちぎりぎりのところで足を止めた。そのまま水に顔を近づけようとする体を、ユキが支えてやる。
「落ちないよう、気を付けてくださいね」
そう言いながら、二人を和やかに見守る希望。と、そのとき、水の中にいる美しい魚に気付いた。思わず水面に手を伸ばすと、魚は透明な尾ひれを揺らし、希望を歓迎しているよう。希望の唇には自然と微笑が浮かんだ。それを見、ユキは目を細める。こんな彼女を見られるのならば、一緒に来てよかった。
声にはなにも出さなかったはずなのに、希望はユキを振り向いた。ぱっと赤くなる頬が愛らしい。彼女は少しだけ目を逸らし、たどたどしく呟く。
「……そ、そろそろお昼にしましょうか」
「うん、そうだね。実は僕も作ってきたんだ」
「……ユキも?」
草原の上に並んで座り、二人は同時にお弁当箱を開いた。希望が作ったものはオムライス。そしてユキが持ってきたものはパンケーキだ。
「彩りにお野菜も添えてみました」
「食塩バターとジャムがあるから、ご飯にもおやつにもできるよ」
お互いに自分のお弁当を紹介し、相手の作ったものに感嘆の声を漏らしたところで、それぞれ半分こして食べることになった。
希望はユキが焼いたハート形のパンケーキを、ユキは希望が作ったふわふわオムライスをぱくり。
「……美味しい」
「……とっても美味しいです」
見つめ合い、にっこり微笑。その笑顔に、ユキは安堵の息をつき、希望は胸を高鳴らせる。
後片付けの後、ユキの周りにはセタ・ラビットが集まった。どうにも彼の兎耳が気になるようだ。ムイムイと騒いでズボンのすそを引っ張ったり、足にすり寄ったりしている。
「じゃあ追いかけっこしようか」
ラビットたちと駆け回るユキを、ノゾミは目で追った。
「……ふふ、何だか親子みたいです」
小声で言ったはずの言葉は、それでもユキの耳にしっかり届いていたらしい。ユキはピンクのウサギを抱きしめながら、ノゾミを振り返った。
「僕がお父さん? ならノゾミさんはお母さんだね」
「えっ……あ、あの」
希望の頬が朱に染まる。恥ずかしがって俯いてしまった彼女に、ユキは優しい微笑みを向けた。そして、足元のウサギへ一言。
「ふふ、お母さんは恥ずかしがり屋だね。セタ・ラビット」
●相愛の恋人たち
草原の上を、リヴィエラが走っている。向かう先にはピンクのウサギ。それはハートの尻尾を揺らして、ムイムイとリヴィエラに手を振っていた。
「可愛いウサギさんのほかに、お魚さんもいますよ、ロジェ! セタ・ラビットさんと、ゼリー魚さんです」
風に髪をなびかせて笑顔を見せるリヴィエラに、ロジェは優しく目を細める。
「セタ・ラビットとゼリー魚か……ここには珍しい動物がいるんだな」
リヴィエラはセタ・ラビットを撫ぜ、ゼリー魚のいる湖面に手を浸した。穏やかな自然と、愛らしい少女と動物たち。なんとも心和む光景に、ロジェはすぐに彼女の元へと向かおうとする。しかしそこで、手に持ったバスケットの存在を思いだした。あまり急いではせっかく作った弁当が崩れてしまう。中に詰めてきたのは、チキンライスやハンバーグ、スパゲティなどがメインのお子様ランチ風のメニューだ。ちゃんと旗もついている。これらはすべて、壊滅的に料理が下手なリヴィエラではなく、ロジェが作ったものだ。
「きゃっ、うふふ、くすぐったいですよ」
リヴィエラはセタ・ラビットを膝に乗せていた。ぴよぴよと動く長い耳が、彼女の顎をちょうどくすぐっているらしい。くすくすと楽しそうに笑っている。
「あそこならば、動物たちも一緒に食事を楽しめるか」
ロジェはゆっくりとその場に向かい、リヴィエラの隣でランチの準備を開始した。笑うリヴィエラは喜びに満ち、見ているロジェも幸せな気分になった……のは、最初だけ。
――リヴィーの奴、全然こちらを向かないじゃないか。
ランチボックスを開いても、彼女はセタ・ラビットとゼリー魚に夢中だ。ご機嫌で可愛らしい彼女を見ることができたとしても、相手にしてもらえないのではつまらない。それでもロジェはしばらくは耐えていた。しかしセタ・ラビットとゼリー魚にお弁当をおすそわけするリヴィエラを見た時に、彼はいよいよ大きな声を出した。
「おい、リヴィー! 君の方が全然弁当を食べていないだろう! 俺が作ったんだから、美味い筈だぞ!」
「ろ、ロジェ? どうなさったのですか?」
リヴィエラは驚いているが、構うものか。ロジェはフォークで卵焼きをさすと、それをリヴィエラの口に押し込んだ。
「……はぐっ!」
突然口の中に入ってきた甘い物体に、リヴィエラは驚く。しかしその優しい味に、頬は自然とほころんだ。
「お、美味しい……じゃなくてっ! もう、ロジェったら、お返しです!」
「むぐっ……」
口の中にはリヴィエラが突っ込んだハンバーグ。それをもぐもぐと咀嚼して、ごくりと飲み込む。リヴィエラは目の前でしてやったりとでもいうように、にこにこ笑っている。それを見れば、ロジェに文句が言えるはずもない。セタ・ラビットでもゼリー魚でもなく、彼女は今、ロジェだけに注意を向けているのだから。
「……たまにはこういう、のんびりしたのも良いな」
リヴィエラが自分を見つめているだけで、心の靄が晴れていく。ロジェは向かいあっていた位置からリヴィエラの隣へと移動し腰を下ろすと、彼女の青い髪にそっと触れた。滑らかな流れを撫ぜるうちに、彼女を愛おしいと思う気持ちが膨れ上がっていく。それはとても大らかな、優しい感情だ。その頃になると、ロジェは傍らにいるセタ・ラビットの背中に手を置いていた。
甘い空気が、二人の胸にも満ちていく。
不思議ですね……このウサギさんのお蔭で、ロジェと仲良くなれたような……。
不思議だな。このウサギのお蔭でリヴィーと……。
「ムイムイ」
セタ・ラビットがロジェの手から抜け出し、草原を駆け回る。それを二人は、肩を寄せて目で追っていた。
●もはや夫婦
「クーとピクニック……! しかもクーの手作り弁当まで!! 今日は良い日だ!」
ショコランドへ出掛けるという日、オルクスは叫んだ。クロスはそんな彼に苦笑する。
「大げさじゃね? まあ最近穏やかに過ごすのは久々かもしれねぇけど……」
しかしオルクスは首を振った。曰く、大げさでもないさ! と。
「兎に角、ゆっくり過ごそうな!」
「おう」
互いに微笑を交わし、二人はシュガーレイクへと向かう。
そして、昼のこと。
しばし湖畔の散策を楽しんだ二人は、草原の上に持参したレジャーシートを広げた。その上に並んで座り、クロスが、保冷バックから取り出した弁当箱を広げる。その中に詰まったメニューは、ふわふわの出し巻き卵に、見事な照りの照り焼きチキン、濃厚な味のポテトサラダに、こんがり焼かれた豚肉の野菜巻き。別の入れ物には、漬物に五目御飯という、とても手の込んだものだった。
「おぉー! めっちゃ美味そう!」
シートの上で見るには豪華すぎる料理の数々に、オルクスは声を上げた。
「ははっ、ありがと。朝早く起きて作った甲斐があったぜ」
クロスは照れくさそうに笑いながら、五目御飯をオルクスに差し出した。
「五目御飯のおこげは炊飯器でも作れるんだぜ!」
「へえ、そうなのか!」
感心しながら、オルクスは手を合わせる。
「んじゃ食おう! いっただきまーす!」
「……美味ぇ! 流石クーだな!」
オルクスは舌鼓を打った。
「このだし巻き卵も丁度良い味だし、漬物もほど良い塩加減で、五目御飯はおこげ付き!」
どれを食べても満足で、オルクスの舌は蕩けてしまいそうだ。クロスはそんな彼を嬉しそうに見ていたが、突然思いだしたように保冷バックの蓋を開けた。中から取り出したのは、保冷材に包まれた小さな入れ物だ。その蓋を開けて、クロスが言う。
「それと、デザートはスイカな!」
「甘くて美味しそうだ」
デザートまで揃ってるなんて、クーの気配りはすげえな。
にこにこ笑っているオルクスの前で、しかし、クロスは急に立ち上がった。
「どうしたんだ?」と聞くも「まあまあ」と返されてしまう。歩き始めたクロスの手には、空になった保冷バック。
何があるのかと食べる手を止めて、オルクスはクロスを目線で追う。……と、彼女は腕にピンク色のウサギを抱えて戻ってきた。空だった袋には、おそらく持参したのであろう。ビニール袋が敷かれ、水の中を半透明の魚が泳いでいる。
「可愛いから連れてきた。実は、散策したときから気になってたんだ」
そう言って笑う彼女に、戦いの中での厳しさは欠片もない。
オルクスから見れば、クロスと動物スリーショットは奇跡にも等しい愛らしさである。クロスはセタ・ラビットを膝の上にのせたまま、デザートのスイカを手に取る。
「スイカ、食べるかな?」
「どうだろうな、食べたかったら食うだろ」
冷静ぶって言ったオルクス。しかし内心はこんなに落ち着いてはいない。動物とクーのコラボ可愛すぎだろと悶えまくっている。表には出さなかったのは、なぜかセタ・ラビットが警戒しているように見えたからだ。驚かせてクロスの腕の中から逃げでもしたら、素敵コラボが見られなくなってしまう。
ごちそうさん、お粗末さまでしたという会話を交わし、ウサギと魚とクロスとの交流を静かに楽しもうとしたオルクスだったが、見事な料理に腹がいっぱいになったからだろう。次第にまぶたが重くなってきた。
だめだ、俺はクーを見るんだ……と思うも、どうしたって体が重い。
「眠いなら寝るか? 膝枕ならしてやっても良いぞ」
クロスが自分の膝をとんとんと叩く。
「マジか! んじゃ遠慮なく! うん、ちょうどいい感じ……」
「毎日頑張ってるご褒美……って、もう寝てる」
転がるなり寝息を立て始めたオルクスの頭に、クロスはそっと手を置いた。
「ふふ、お疲れ様」
背中を丸め、静かに唇を寄せていく。吐息が唇に触れるのがくすぐったいと感じるのは一瞬だった。しっとりと触れるだけのキスをして、クロスはオルクスの髪を撫ぜた。隣にいるセタ・ラビットと、ランチボックスの中で泳ぐゼリー魚に目線を向けて。
「二人共、この事は秘密、な?」
「ムイ」
「アゴ―」
わかっているのかいないのか。セタ・ラビットはぴょんと耳を揺らし、ゼリー魚は背びれをゆらゆらと揺らした。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 瀬田一稀 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 女性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 06月26日 |
| 出発日 | 07月03日 00:00 |
| 予定納品日 | 07月13日 |

2015/07/02-22:37
2015/07/01-18:38
紫月彩夢と、姉の咲姫よ。
えっと……多分、ちょっとずつだけど、皆お出かけの時とかに会ってるわよね。
クロスさん達と夢路さん達は、お仕事の時、以来かな…お久しぶり。
オトーフ以外のショコランドの生き物と関わるのって初めてかもしれない。
可愛い兎とお魚…?と戯れつつ、のんびりピクニックを楽しむつもり。
……わいわい、じゃなくて、個人個人になると思ってて、良いのかしら。
2015/07/01-00:59
おほほ、清楚ピクニックをしますわよ。…ゲフンッ名生佳代だしぃ!
「なんだその訳の分からない行楽は。花木宏介だ」
あっ、クロス姐さんとオルクス兄さんだぁ!久しぶりぃ!
希望姐さんとスノー兄さん、リヴィエラ姐さんとロジェ兄さんははじめまして、よろしくねぇ!
ウサギはかわいいねぇ。宏介も癒やされているみたい。
ウチラはお弁当持参するよぉ!
宏介と料理勝負だしぃ!
2015/06/29-22:17
2015/06/29-00:35
2015/06/29-00:23

