


あなたは今、脱衣所に衣装を用意して、自宅のお風呂に入っている。
この後着替えて、相棒と合流し、ハロウィンパーティーに参加する予定だ。
選んだ衣装は、定番だが、吸血鬼。
待ち合わせの時刻までは時間があるから、まだ十分間に合うはず……と、思ったところで。
玄関のチャイムが鳴った。
「おーい、待ちきれなくて迎えに来ちゃったよ」
ドアが開く音と同時に、相棒の声が聞こえる。
「あれ? いないな……どこにいるの?」
リビング、寝室、キッチンと、おそらくは探し回っているのだろう。
ぱたぱたと廊下を歩く足音に、あなたは声を上げた。
「風呂入ってるんだよ! ちょっと待ってろ!」
もう少しゆっくりしたかったが、仕方がない。
あなたは、湯船の中に立ち上がり、洗い場を進んで扉を開けて、濡れた体のまま、脱衣所に向かう。
そしてタオルを手に取り、いざ体を拭こうとしたドアの向こうで、相棒の声が響いた。
「ねえねえ、なんの格好するの? もう着た? 見てもいい?」
「えっ、ちょっと待てよ、まだっ……」
とっさに裸の上に、吸血鬼のマントだけを羽織るあなた。
同時にドアが開き、相棒は、首から足首までがマントで覆われているあなたの姿を見て、にこりと笑った。
「なんだ、準備できてるじゃん。じゃあ早く行こうよ、ハロウィンパーティー」
場所はあなたの家の脱衣所付近。
マントの下は、ほんとは裸。
さて、どうしましょうか。


最初に、吸血鬼の衣装代として、300jrいただきます。ご了承ください。
吸血鬼のマントは、襟がついている長いやつ。
わりとイメージしやすい(と思う)あれです。
一応自宅という設定なので、間取りや周囲にあるものは、たいていの家にある感じ、というアバウトな設定でお願いします。
お風呂に入っているのは、神人でも精霊でも構いませんが、こちらは吸血鬼の格好です。
相棒の服装は特に決めていませんので、着せたいものを指定してください。
あと、このようなエピを出してはいるのですが、公序良俗に反する描写はできません。
アクションプランにのっても恥ずかしくないぞ、というレベルなら大丈夫……じゃないかな?
そのあたり、ふわっとお願いします。ふわっと。
PLさん信じてます。
お久しぶりです、瀬田です。
綺麗なエピソードが多い中、空気読まずにすみません。
一応コメディに指定しておりますが、どのようなプランでも大丈夫です。
また、ウィンクルムごとの描写になります。ご了承ください。
あ、アドリブNGな方は、プランの頭に×をお願いします。
何かしら入ります。たぶん。


◆アクション・プラン
セラフィム・ロイス(火山 タイガ)
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パーティか。お菓子は揃えたし、後は着替えてメイクして 上がり症は克服してきたけどうまくできるかなぁ。演技 タイガ?僕はここ。ちょっとまって (心配かけたかな、いつもなら部屋で待っててくれるのに。ああ両親が出かけてるって伝えてたから。え、嘘?何で開けるの!?) ・・・タイガはフランケンなんだ。本格的 じゃなくて失礼だよ、急に いくって!?ままま待って! 本当にできてないからお菓子はテーブルにあるから食べていいし待ってて うん。メイクとか小物もないし・・・(赤面 ・・・ 驚いた。早くしないと ■脱いだ所で硬直 ~タイガ!何考えてるの出てって! はあはあ両親がいなくて本当よかった。正直に言ってた方が余計な恥をかかなかったかも |
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吸血鬼のマントだけを羽織る方 出掛ける前にシャワーなんて浴びるんじゃなかった 咄嗟に何でマントを羽織った俺…! マントの下が裸なんて…とてもじゃないが言えない ちょ、ちょっと待ってくれ、フィン その、と、トイレに行かせてくれ… フィンは先に玄関で待ってて よし、何とかフィンを玄関に行かせたぞ 後は何とか、フィンに気取られないように脱衣所に戻って衣装を… って、何で…玄関に行ったんじゃ… な、何も隠してない! 付いてくるな…! 慌てて自室へ逃げようとし、フィンに手首を掴まれて転倒 恥ずかし過ぎて何も言えない 大体、フィンが悪い! 俺の返事を碌に聞かずに入ってくるから… 誘ってないし、フィンの為でもないし! 何言ってるんだ、バカッ |
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仮装 おばけ プチクラス会兼ねている為浮かれ気味 故に気付けなかった 「会うの卒業以来なんだよなぁ 女子がお前に会いたがってるらしいぞ(笑 話をしながらじゃあ行こうかと玄関開けた所でがばりされ 腕が素肌で異変に気付く 「…おい 袖どうした? 腕から湯気が 背中が湿っぽい? マント上から触り愕然 今 全裸男に抱き付かれてる!? 「い 家に入れ! 動かない相棒と意識してしまう自分に超焦る うわっくっつくな何か当たる こんなとこ誰かに見られ…ぎゃーご近所さん マント掴み隠してやり 言葉に被せ 「は ハッピーハロウィン! こいつパーティで酔っ払っちゃって はは 恥かしいが仕方ない 「誰と会おうとお前以上に楽しめる奴はいないから! 家に一時撤退 少し遅刻した |
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心情 なんだか、触れられると安心するんだ なんでだろうね 行動 とりあえずマントは羽織ったけど、髪の毛はぐしゃぐしゃだし、濡れてるしですぐに気付かれた。 「ね、マオ、髪の毛拭いてー!」 って、甘えてみるね マオってば一緒にお風呂もはいってくれなくなったし、身支度も全部一人でしなさいっていうし、ちょっとさびしかったんだ 言われた通り目をつぶって、されるがままに 教育係な口調だけど、全部やってくれて、大満足! えへへ、マオは優しいね ん、ねぇ、まって。 (今のって……) 髪に触れたのは、ひょっとして…? 一緒に行こう、って言ってくれるマオをひっぱって、頬にお返しのキスを 僕の誕生日、エスコートしてね? さ、パーティー、行こう |
●吸血鬼の教育係
とりあえず、マントは羽織っている。
しかし乱れたままの雪の髪から、水滴が。
マオ・ローリゼンは、おそらくは裸身に布一枚を身につけただけのセツカ=ノートンから、わずかばかり視線を逸らした。
今、彼の素肌で見えているところといえば、首から上と、足首から下のみ。それなのに、どうしてこんなにいたたまれないと感じてしまうのか。
「セツカ」
名を呼んだのは、その空気を払しょくしたかったからだ。
小さな相棒は、そんなマオの心情に気付かずに「ばれちゃった?」と首を傾げた。
濡れ髪から、また、ぽたぽたと滴が落ちる。それが気になったのだろう。
「ね、マオ、髪の毛拭いてー!」
「かしこまりました。でも服を着ないと、風邪をひきますよ」
マオが教育係然として言えば、セツカは「ん!」と返事をした。直後、マントをパサリと落としてしまう。
大胆というか、なんというか。
なんにせよ、いつものマオならば、自分のことは自分で、と言うべきところだ。
でも、前までよくやってたし、今日は特別な日でもあるし。
もちろんこれですませる気はないけれど、洋服を着せてあげるくらいはいいだろう。
すっかり冷えてしまう前に、髪の水分を少しでも吸ってくれるように、とタオルを置いてから。
マオは、セツカのシャツを手に取った。
それを目の前の細い肩に、丁寧に羽織らせる。
マオの指先が自身の肌に触れる感覚に、セツカは笑みを浮かべていた。
……実は、最近。
マオってば一緒にお風呂はいってくれなくなったし、身支度も全部一人でしなさいっていうし、ちょっとさびしかったんだ。
でも、今日はそのマオが、世話を焼いてくれている。
一方マオは、セツカのそんな思いを知る由もなく、手早く服を着せながら、その細く白い身体に目を向けていた。
あまり身長は変わってないみたい。
怪我もしてないね、良かった。
シャツを着せ終え、ボタンも閉めて、マオはセツカの足元にしゃがみ込む。
「セツカ、足を上げてください」
まるで幼児にするように、ズボンをはかせるべく言えば、子供特有のしなやかな足が、すっと持ちあがった。
自身の肩にわずかに重みを感じるのは、セツカがそこに、手を置いているから。
転ばないようにだとは、わかっている。だが、着替えを手伝うのはなんでもないのに、こうして、セツカから触れられると。
――理性を、試されてる気がする。
一瞬、逞しい体の筋肉に力が入ったことを、セツカは見逃さなかった。
「マオ?」
ズボンをはかせてもらいつつ、彼の様子を気にするも、俯いているマオの表情は見えない。
たしかに今日はちょっと甘えちゃってるけど、それほどいけないことはしてないと思うんだけどなあ……。
再び首をひねると、頭に載せていたタオルが、ぱさりと足元に落ちた。
マオがそれを拾って、顔を上げる。
「さて、髪の毛はじっくりやらせてもらおうか」
そう言った彼は、もうすっかりいつものマオだった。
「セツカ、ちょっと目を閉じてね」
言われた通り目をつぶり、セツカはすべてをマオに任せることにした。
痛くないように注意した、適度な力で、タオル越しに頭を撫ぜられる。
その大きな手の感触が、最近構ってもらえなかった時間を埋めてくれるようで、嬉しかった。
タオルがどいたら、今度は髪を指ですいてくれる。セツカの髪はそれほど長くはないから、解けないほどに絡んでしまうことはないのだけれど、それでもマオの指先は、とても優しく、丁寧に動いた。
「痛くないですか?」
「熱くないですか?」
問われる言葉に、「大丈夫」「平気だよ」と返しながら、セツカの心は喜びに満ちている。
教育係な口調だけど、こうして全部やってくれるのが、嬉しい。
頬にあたる横髪が、すっかり乾いてしまう頃。いつもの自分の完成だ……と、思いきや。
「……え?」
髪に、何かが押しあてられたような感じがした。
しかし問う間はなく、届いたのは、マオの声。
「さて、準備もできたね。パーティーへ行こうか」
「ねえ、まって」
セツカは思わず、ドライヤーを片付けるマオの手をとった。
今のって……。髪に触れたのは、ひょっとして……?
思うけれどはっきり聞けないでいるうちに、マオは静かに、セツカの手をほどく。
「どうしたの? ほら、一緒に行こうよ」
セツカはもう一度、今度はマオの腕を、両手でぎゅっと握った。それを思い切り引っ張ると、そんなことでは足が揺らぐはずもないマオが、腰を曲げてくれる。
その優しさに気を良くして、さっきの、おそらくはキスにお返しを。
背伸びをして、マオの頬に唇を押し付ける。
「セッ……」
自分だってさっき似たようなことをしたくせに、驚くマオが、面白い。
セツカはマオから両手を話すと、にこりと微笑み、マオを見つめた。
「僕の誕生日、エスコートしてね? さ、パーティー、行こう」
●おばけを捕まえろ
白いポンチョは、付属のフードを深く被り、指先が袋状になった袖に手を通せば、あっという間におばけになれる。簡単なコスプレだ。
これを自ら選んで身につけた李月はご機嫌で、ゼノアス・グールンの頭に、シルクハットを載せた。
「おい、リツキ」
「ん? 準備できてるんだろう?」
おばけのくせに生き生きと。
李月は、差し入れのオードブルを手に持って、足取り軽やかに玄関に向かって行く。
「皆に会うの、卒業以来なんだよなぁ」
浮かれた声。だがゼノアスは、その場を動かない。
ったく、何でこんな気持ち。
……なんとかしなければいけないとわかってはいるのだ。
だって、李月は、プチクラス会を兼ねているこの日を、それは心待ちにしていたんだ。
だからこそ、当日の今日、元気なお化けとなって、吸血鬼の自分とともに、パーティーに参加しようとしている。
……でも、やっぱり面白くはない。
「なんか、女子がお前に会いたがってるらしいぞ」
李月はいよいよ、玄関に到着した。
後ろにゼノアスがくっついてきていないことなんて、まったく気付いていない。
そしてそのまま、おばけのくせに靴を履いてドアを開き、「じゃあ行こうか」と外に一歩踏み出そうとするから――。
短い距離を走り、ゼノアスは、李月の背中を抱きしめた。
「他の奴なんて知るか。オレはオマエがいればいいんだよ」
布に覆われていない腕に、力強く拘束され、李月は思わず、動きを止める。
「…おい、袖どうした?」
白い素肌をさらした腕は、ほかほかと湯気を立てているよう。
そしてゼノアスがぴったりと胸をくっつけている背中は、心なしか湿っぽく感じた。
「オマエの手料理はオレのモンなのに」
李月の荷物にゼノアスの目が向いて、拘束がさらにきつくなる。
だが李月は、それでもなんとか手を伸ばし、ゼノアスの腰や背中に触れてみた。じんわりしみる体温……はいいとして。
やっぱりこれ絶対濡れてる、間違いない!
もしかして、今、全裸男に抱き付かれてる!?
「い、家に入れ!」
振り返って自分のものより厚い胸を押してやりたいが、そうすることは叶わぬこの状態。
腕の中で焦り始めた李月に、ゼノアスはそっと目を伏せた。
オレの行動が、大事なリツキを困らせてる。
わかっているのに、ここから逃したくない。
もっと近くに、と思ってぎゅうっと腕に力を込めると、李月はいっきに身を硬くした。
なんだこれ、なんでこんなことになってるんだ……!
今までには、ありえないくらいの力で、抱きしめられている。
首筋に当たるゼノアスの湿った髪が冷たくて、肌をかすめる呼吸がくすぐったくて。
そして、他の部分は……。
「くっつくな何か当たる、こんなとこ誰かに見られ……」
逃げるべく身をよじるも、それで余計に感覚が露骨になった。それなのにゼノアスは、そんなことはお構いなし。
いや、構えないというべきか。
「そんなにアイツ等に会うのが楽しみか!」
もっとオレを見ろ、オレだけを。
惚れてると口にしてから、どうにも気持ちが抑えられなくなっている。
だから声音も必死になるけれど、李月だって、必死にならざるを得ない。
なぜなら、彼の肩に顔を埋めているゼノアスには見えないだろうが、李月の眼鏡越しの瞳には、見慣れた道が映っているのだから。
そして不幸なことに、少し先の曲がり角から、人影が。
30メートル、15メートル、5メートル――。
やばい、まずい。
「だから離せって、ちょっと待……ぎゃー、ご近所さん!」
李月はとっさに、ゼノアスのマントを引いて、自分の身体ごとくるまった。
きっとこれが、一番手っ取り早く、いろいろ隠せる方法なのだから仕方がない。
それなのにゼノアスはやっぱり、ご近所さんに気付かずに。
「オレといるよりも……」
なんて言いかけるものだから、李月は作り笑いを浮かべ、わざと大きな声を出した。
「は、ハッピーハロウィン! こいつパーティーで酔っぱらっちゃって、はは」
カボチャの帽子をかぶった猫を抱き、可愛らしい魔女に扮したご近所さんは、大きな目をぱちぱちと。
その後「大変ですね」と苦笑して、その場を立ち去って行った。
大人の対応、ありがとう!
そこで李月は、後ろに足を蹴り上げて、おそらく裸の、ゼノアスの脛を蹴る。
「ちょっと、力緩めろよ!」
「でも」
「いいから!」
解放された身体を反転し、ゼノアスを見上げて。
いつもの余裕はどこへやら、拗ねた顔の相棒に、普段なら言わない言葉を投げる。
「誰と会おうと、お前以上に楽しめる奴はいないから!」
断言した直後、ぼっと顔が熱くなったけど、仕方がないじゃないか。ゼノが、こんなに静かになっちゃってるんだから。
ほら、さっさと部屋に入ってと、胸を押されてゼノアスは、やっと落ち着きを取り戻し。
「そういやマッパだった、すまね……ぶえっくしょい!」
ちなみにパーティーは遅刻した。
●デビルは悪魔
咄嗟に何でマントを羽織った俺……!
脱衣所のドアを開けたところで。
蒼崎 海十はマントが開かないように内側から押さえながら、フィン・ブラーシュを振り返った。
仕事の急用で外に出ていた彼は、今は戻り、デビルの仮装をしている。
基本は黒のスーツ姿なのだが、金髪の間から尖った角が伸び、腿には同じく、尖った尻尾が絡みついていた。そして黒光りする靴の先も鋭角。さらに一番目立つのは、背中についている小さな黒い羽である。
かっこいいのかお茶目なのか、よくわからない優美なデビル。
だが今の海十は、普段ならば見惚れたであろうその格好にも、心を惹かれる余裕がない。
なにせ、自分はマント以外、どんな布も身につけていないのだから。
ああ、出掛ける前にシャワーなんて浴びるんじゃなかった。
この下が裸なんて……とてもじゃないが言えない。
「海十、待たせてごめんね」
フィンはいつもどおり見事な微笑みで、海十の顔を見て、それから全身に視線を巡らせた。
「吸血鬼か」
黒いマント以外なにも見えないはずなのに、一瞬にしてわかってくれるあたりは、さすがというべきか。
「うん、海十の黒い髪と黒い目に、凄く似合う。かっこいいよ」
フィンは納得したようにうなずいて、海十に手を差し出してきた。
「さ、時間も押しちゃったし、出掛けようか」
まるでエスコートするような仕草だが、当然海十は、その手を取るわけにはいかない。
腕を持ち上げるかわりに、焦って口を開く。
「ちょ、ちょっと待ってくれフィン。その、と、トイレに行かせてくれ……」
今、深い理由を述べずに一人になれそうな場所が、とっさにそこしか思いつかなかった。
だから海十はそう言ったのだけれど、フィンは怪訝な顔をする。
「トイレ? いいけど……」
「じゃあ、フィンは先に玄関で待ってて」
ほらほらと、追いやるように肩を押され、フィンは海十に背を向けた。背後では、海十がトイレに向かって歩き始める気配がする。
だが、このまま大人しく玄関に向かっていいものか。
どこが、とははっきり言えない。でも、海十の様子がおかしい気がするのだ。
……もしかして具合でも悪いのかな? たとえば、お風呂で湯あたりしたとか。
それが当たっていようと違っていようと、小さな不安の種に気付けば、放っておけるフィンではない。
「海十!」
大きな声で名前を呼んで、フィンは海十がいるであろう、トイレへと向かった。
「よし、なんとかフィンを玄関に行かせたぞ」
海十は、トイレへ向かうふりをして、その途中で足を止めた。
後は何とか、フィンに気取られないように脱衣所に戻って、衣装に着替えなくてはならない。くるりと振り返る。――と。
フィンが呼ぶ声、そして。
「って、何で……玄関に行ったんじゃ……」
目の前に現れた恋人の姿に、海十は思わず、一歩、後退った。
それを見て、フィンは確信する。やっぱり、今日の海十はおかしい。
調子が悪いというより、俺から……逃げようとしてる?
「海十、どうかした? 何か隠してない?」
フィンは、ことさら穏やかな声で問いかけた。
やろうと思えば、海十を手放したくないと、力づくで抱きしめることだってできる。でもその前に、理由を聞かなければ。
それなのに、海十はぶんぶんと首を振る。
「な、何も隠してない!」
焦った声で言い放ち、慌てて向かうは、彼の部屋。
「待って……!」
フィンは思わず、その手首をとった、のだが。
「うわっ!」
「海十!」
勢いあまった海十が、バランスを崩して床に倒れ込む。フィンはその体の両側に手をついて、覆いかぶさる格好だ。
まあ、体勢は問題ない。それより重大なのは、すっかり開いてしまった、マントの下。
「……海十、それっ……!」
海十の顔が、いや、首筋までもが、いっきに赤く、染まっていく。
「大体、フィンが悪い! 俺の返事を録に聞かずに、入ってくるから……」
なんとも不条理な発言を、しかしフィンは聞いていなかった。
だって、今目の前に、海十の肌がある。
黒いマントと白い肢体、そして染まった頬のコントラストは、それはもう、なかなかのインパクトで。
「ねえ……俺を誘ってる?」
気付けばフィンは、そう口にしていた。
驚いたのは、羞恥に全身を染めていた海十である。
「誘ってないし、フィンのためでもないし!」
「……でも誘われちゃったから、この後の予定はキャンセル。いいね?」
「よ、よくない! 何言ってるんだ、バカッ!」
なんとかこの場から抜け出そうと、マントで体を包もうとするも、フィンの手がそれを邪魔している。
海十はうう、と呻いて目をつぶった。自らを捕えているフィンの青い瞳から、視線を逸らして、一言。
「悪魔め……」
「今日の俺には、似合いの言葉だね」
フィンは口角を上げ、ゆっくりと、自らの体重を支えている腕を曲げていった。
●明朗フランケン
軽くジャンプして枝を握り、幹に足をつける。腕力と脚力で体を引き上げ、足が枝を踏むようになれば、進むのは簡単だ。
火山 タイガは長身としなやかな筋肉を生かして、すいすいと木を登って行った。最後は枝が通じる屋根に降り、見慣れた窓の、ガラスをノックする。
一度、二度。軽く拳で叩いたところで、首を傾げた。いつもならすぐに返事があることが多いのに、何の物音もしないとは。
ガラス越しから見える場所には、人の姿はない。
タイガはがしゃりと遠慮なく窓を開け、部屋の中に身を滑り込ませた。
「セラ! パーティー行く用意できたかー!」
これならこの部屋のどこにいても聞こえるだろう、という音量の声を張り上げる。
「タイガ?」
セラフィム・ロイスは、浴室の中でその声を聞いた。
今日はタイガと一緒に、ハロウィンパーティーに出掛ける予定だ。
お菓子はもう揃えてあるから、後は着替えてメイクをすればいい。そう思っていたので、ちょっとゆっくりしすぎたらしい。
まあ中で、今日の演技について心配していたからでもあるのだけれど。
上がり症は克服してきているとはいえ、人の多いパーティーだ、緊張しないわけがない。
それにしてもタイガ、ちょっと来るの早すぎじゃないかな。
「いねえ。どこだセラー!」
先ほどにも勝る大音声が耳に届き、セラフィムは、湯船の中で立ちあがった。
いつもは部屋で待っていてくれる彼だが、一度目の呼びかけで返事をしなかったことで、心配させたのかもしれない。
それとも、ああそうか。両親が出掛けてるって、伝えていたからか。
「僕はここ、ちょっと待って」
セラフィムにしては、大きめの声で答え、風呂場のドアを開ける。さっさとタオルで体を拭いて、着替えをすませてしまわなくては。
一方タイガは、虎耳を揺らしながら、長い廊下を歩いていた。
たぶん、セラフィムの声が聞こえたのはこの辺……。
「そこか!」
あたりを付けたドアを開けるべく視線を向けて、そこが風呂場だと気付く。
しかし。
覗いても入っても、恋人の特権だからいいよな!
タイガはあっさりと結論を出し、2人を遮るドアの取っ手に、手を伸ばした。ひねる前に、一瞬だけ、どうかなー? と思ったけれど、深くは気にしない方向で。
「セラ―!」
ご機嫌な声とともに、がちゃり、と開いたドアに、焦ったのはセラフィムだ。
え、嘘? なんで開けるの!? と思ったけれど、もう止める間なんてありはしない。とっさにマントを羽織り、肌を隠すことには成功した、けれど。
当然、緊張はしてしまう。
しかしタイガは、やっと恋人を見つけられた喜びで、そんなことは察せない。
「あーっ……セラは吸血鬼か」
「……タイガはフランケンなんだ」
セラフィムは、マントが肌蹴ないように身を硬くして、満面の笑みのタイガを見やった。
ちゃんとこめかみにネジ……と言えばいいのだろうか。金属が刺さっているふうだが、あれはどうなっているのだろう。
「本格的」
思わず呟けば、タイガは「おう!」と寄ってきた。
「俺は兄貴に手伝ってもらったんだ! この金具なんかリアルだろ」
にこにこと頭のものを指して言う。
セラフィムは頷きつつも、あえて厳しい声を出した。
「じゃなくて、失礼だよ急に」
自分がちゃんと着替えられていたら、脱衣所に入ってこられたところで、気にしない。でも今ばかりは、これ以上近付かれては困るのだ。
だがタイガは「まーまー」と軽く受け流し、こともあろうか、セラフィムの手首を掴んでくる。
「準備済んだんなら行こうぜ! 早く行って去年より菓子集めたいしさ」
「行くって!? ままま待って!」
このまま引かれたら、腕が持ちあがり、マントの中が丸見えだ。それはなんたる大参事。
タイガが「へ?」と動きを止める。
「準備、できたんだろ?」
「ううん、まだできてないから! お菓子はテーブルにあるから食べていいし、待ってて」
「……髪型変えたり? そういや、風呂から上がったばかりで濡れてるな」
「うん。メイクとか小物もないし……」
返事をしながら、セラフィムの顔はだんだん赤くなっている。
狭い空間に二人きり。自分はこんな恰好で、本当のことは言えなくて。なんか急に、恥ずかしくなってきた。
だが、細かいところを気にしない、素直な性格が長所のタイガは、「わーった待ってる」と、セラフィムの手を離してくれた。
脱衣所を出て行く背中を見送って、セラフィムはほっと一息。
安心したの、だが。
数分後。
「美味いな……。なあセラ、これもっとねぇかな、皆に配りて―んだけど」
突如開いたドアに、セラフィムは呼吸も忘れ、固まった。
足元に、たった今脱いだばかりのマントが、パサリと落ちる。
脱衣所の明かりの下。
白く、細いセラフィムの身体は、タイガの目には、眩しいほどで。
「なんで裸……? 俺へのご褒美?」
ぽろりと漏れた言葉に、セラフィムの大声が重なった。
「タイガ! 何考えてるの出てって!」
ドアを挟んで、二人は互いに考える。
「両親がいなくて、本当よかった。正直に言ってた方が、余計な恥をかかなかったかも」
「なんで……ああ元から下は裸だったのか。だから照れて。恋人だし堂々としてもいいのに」
そして、どちらも二人、思うのは。
「でも、見られたのがタイガで、まだ良かった……のかも」
「まあ、恥じらうのがセラ、ではあるだろうな」
ウィンクルムそれぞれ、今宵はパーティー。
ハッピーハロウィン!



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 瀬田一稀 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | コメディ |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 4 / 3 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 10月19日 |
| 出発日 | 10月26日 00:00 |
| 予定納品日 | 11月05日 |

2016/10/25-01:03
蒼崎海十です。
パートナーはフィン。
皆様、よろしくお願いいたします!
…どうしてこうなった(頭を抱えつつ)
なんとか…なんとか切り抜けたいです…!
2016/10/24-23:48
どうも、僕セラフィム。と相棒のタイガだよ。よろしくね
・・・パーティで浮かれるのはわかるけどせっかち(?) な相棒もつと苦労するよね(苦笑)
皆の健闘も祈ってるよ
2016/10/24-20:12
セツカと、マオです。
宜しくお願いします。
2016/10/24-10:49
李月と相棒ゼノアスです。
どうぞよろしくお願いします。
2016/10/23-00:51

