


まさかこんな時期に――。
任務の帰り。
まさかこんなタイミングで雪が降るとは思わなかった。
初めこそ、珍しくて空を見上げてはしゃぎはしたけれど、時間を追うごとにその勢いを増していった。
「このまま進むのは危険だから」
雪の季節ならいざ知らず、今の時期、何か対策出来るものを持ち歩いているわけではない。
町まであと少しだが、ここは思い切って本格的に吹雪いてしまう前に、雪を凌げる場所を探すことにする。
はぐれすぎないように手分けして探していると、洞穴を見つけた。
一度確認をして、すぐさま身を潜める。
「こんな時期に雪とかありえない」
「すぐに止むといいんだけどね」
辺りが少しずつ暗さを増す。
明かりは、夜間の行動の妨げにならないように、とライトを一本持っている。
ライトを灯し、辺りを照らす。
先客の忘れ物だろうか、洞穴には毛布が一枚と、賞味期限がそろそろ切れそうな食料の入ったデイバック。
それだけしかないが、それがあれば一晩くらいは過ごせそうだ。
ほっと一息つく。
外は、白さを増し視界は最悪だ。早く見つけられてよかった。
「ねえ」
パートナーが、ぽつりと声をかけた。
「雪の思い出って、何かあったっけ?」
「うーん……あった、かなぁ」
考えて。
けれど。
「まあ、なければ今日が思い出になるのも、ありだよね」
あまり楽しい思い出にはできそうにないけれど。
「雪だるまくらいなら作れるかなぁ」
思い出を語るのも。
思い出を作るのも。
しばし、雪の気まぐれと戯れて――。


任務の帰りに季節外れの雪と遭遇したので、洞穴で待機中です。
雪の日の思い出を語るもよし。
今日をその思い出の日にしてしまうもよし。
こんな任務受けるからー! でもよしです。
デイバックには、アウトドアで使える道具がある程度揃っていますので、火を起こすこともできます。
食料を食べられる場合は、食材は自由に設定していただいて大丈夫です。まさかのターキーでも大丈夫です。何とかなります。
指定がなければ、果物の缶詰を食べて頂きます。勿論食べなくても問題ありません。
また、毛布は大き目のものが一枚、使えるものがあります。
ご自由にお使いください。
交通費として300Jrが必要です。
外を歩いていると、なんだかすごく暑かったです。
なので、涼しい気分になれないかなぁ、と考えてたら、こうなりました。
安直でした。
雪の日の思い出をぜひぜひ聞かせてください。


◆アクション・プラン
リチェルカーレ(シリウス)
|
作業の邪魔になるかと大人しく言われたとおりに ライトで彼の手もとを照らしながら 器用に火を熾す様を見つめる すごい 上手ね 今度教えてもらわなくっちゃ スープを素直に受け取ると 毛布を広げて当然のように彼を包む 慌てる様子に瞬き一つ 寒いでしょう 風邪ひいちゃう 拒否しようとするのに頬を膨らませる 手を重ねて彼の目を見つめ 少し強い口調 …シリウス きて 彼が座ったのにほっと笑顔 伝わる暖かさにクリスマスのことを思い出す 降り始めた雪をふたりで見たあの日 あの日も今も同じ シリウスと一緒なら寒くない だから ちらりと見えた苦し気な横顔に そっと彼の頭を抱きしめて 頬に軽くキス 良い夢が見られるおまじないよ いつもより幼く見える翡翠の瞳に微笑みを |
|
火の支度をする天藍に、頼りがいを感じる 手慣れてますよね こんな時にですけれど、天藍とならどんな所でも大丈夫な気がします 天藍もどうぞ 火の傍で羽織っていた毛布の片側差し出す 冬装備じゃないですし、冷えるでしょう? これなら2人とも暖かいって、確かにそうですけれど… 毛布を自分の体に回した天藍の腕の中に包まれ緊張 嫌か?と聞かれ首を横に振る…どうして良いか分からないです 耳元で囁かれる言葉に頬を染め首を捻り彼を見上げる どうしてそんな事さらりと言えてしまうんですか 更に返ってきた言葉に真っ赤 赤い顔を隠すように俯き天藍に背を預ける 恥ずかしくて言葉にできないけれど想う事は同じと知って欲しくて 包まれた手に指を絡め強く握る |
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この時期、こんなに雪が降るなんて珍しいですね …くしゅんっ あ、ありがとうございます 温かい… けど、スノーくんは? …心配してくれるのはとても嬉しいです だけど同じだけ、私もスノーくんが心配なんです 大切な…こ、こい…恋人です、から 後半につれて小声 赤面しつつ勇気振り絞り だから、この毛布は…一緒に、使いませんか? その方がもっと温まると思います 毛布に包まればさっきの寒気が嘘みたい ぎゅってされれぱ熱を分けるように手を重ね 視線合って照れ笑い 吹雪きは困る事もありますが 私、雪の日って好きです…何だかわくわくして スノーくんと出会ってからは…スノーくんを思い出して 明日はきっと銀世界 …少しならいいでしょうか 雪兎作りたいです |
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こっちでもこんなに降るなんて思わなかったわ 早くやむといいのだけど オリヴァーくんは大丈夫?寒くない? 私は寒さに慣れてるもの、これぐらいなら全然大丈夫よ 年上ぶってやせ我慢 未だに白い外を眺め でも何だか懐かしいわ ここにきたのは最近のはずなのにすごく久々に見た気分よ 故郷のことを思い出し少しセンチメンタル ううん、懐かしいなって思うことはあるけれど やりたい事とかいっぱいあるし、ここにはオリヴァーくんもいるもの だって私達友達でしょう?これからも仲良くしてね いつか私の故郷にも遊びにきてね とても素敵な所なのよ、きっとオリヴァーくんも気に入ると思うわ ふふ、楽し、み… きた場合実家がばれるのではと気づき、はっとする |
|
季節外れのお天気で帰れない、ですね… ふと、自分はまだカイのことなにも知らないと思い、口を開く あ、あの カイさんって、雪に思い出とか…ありますか…? あなたのことよく知らないなって… (悪いこと訊いちゃった、かな…?) …小さい頃、雪の日に父のお休みが久しぶりにとれて 星座盤で星のこと色々教えてくれたんです 少し、だけ 転がっていた枝で十字を描く くしゅんっ(くしゃみ カイさんが風邪引いちゃいます…! 気にしますっ 相方に距離を詰め毛布を自分と相方の肩にかける っ! す…すみませんっ…! えっ? あ…白鳥座です …なんでって言われても… 相方の返答に苦笑 首を傾げ思案してる様子の相方につい笑みが零れる す、すみません…! へっ!? 驚く |
●
酷い吹雪だ。
外を眺めて天埼 美琴が呟く。
「季節外れのお天気で帰れない、ですね……」
まさかこの時期に雪が降るなど思ってもいなかった。
「ああ……」
美琴の言葉に、カイはそっけなく返す。
容易く訪れる沈黙に、美琴は二の句を継げないでいた。
何を話せばいいのかもわからない。何が好きで、何が嫌いなのか。逡巡して、ふと思う。
(そういえば、カイさんのこと何も知らない……)
ちらりとカイに視線を向けて。
「あ、あの」
美琴が口を開く。
「カイさんって、雪に思い出とか……ありますか……?」
「雪に思い出? それがなんだ」
それがなんだと言われてしまうと、閉口したくなる。けれど、美琴は食い下がった。
「あなたのことよく知らないなって……」
「……さあ? 別にない」
ふっとカイの視線が外に向けられる。まるで、会話に興味がないような素振りだ。
(悪いこと訊いちゃった、かな……?)
美琴なりに、勇気を出して聞いてみたのだが、カイのこの様子では触れられたくなかったのかもしれない。
少し、気持ちが萎んでいく。
「お前は?」
「え?」
「ないのか? 雪の思い出」
例えば、外に目を向けたカイの行動が、記憶を探る行動であったとしても、それを瞬時に察するほど、美琴はカイのことを知らず。
美琴はひとつ、瞬きをして。
「……小さい頃、雪の日に父のお休みが久しぶりに取れて、星座盤で星のこと、いろいろ教えてくれたんです」
「星?」
意外そうにカイが訊ねる。
「詳しいのか? 星のこと」
「少し、だけ」
転がっていた枝を手に、地面に十字を描く。
父に教わった星座。カイにも知ってほしくて描いた、その星座――。
カイの視線が、そこに向けられていることに微かな喜びが芽生える。興味を持ってくれることは嬉しい。
「……くしゅんっ」
ぞわりと寒気がして、くしゃみをすると、間髪を入れずにカイが毛布を肩にかけてくれた。
毛布は確か、一枚しかなかったはずだ。それをかけてしまったら。
「カイさんが風邪引いちゃいます……!」
「俺は別にいい。気にすんな。第一お前に風邪なんか引かれちゃ夢見悪い」
「気にしますっ」
距離を詰めてカイの側に近づくと、毛布の片側をカイの肩にかける。
だが、カイが何とも言えない顔をした。
「……それ、まさかの無自覚か?」
「……?」
言われて、その距離の近さに、はっとして、距離を取ろうと身を引く。
「っ! す……すみませんっ……!」
「いや、別にいい。だから離れようとすんな」
カイが美琴を制すると、相変わらずぶっきらぼうに、
「言っただろ、守るって。だから逃げるな」
風邪引くだろ、と付け加える。
こう言われてしまうと気恥ずかしくなるもので、美琴はおとなしく座ってはいるものの、先ほどより縮こまってしまっている。
「……で?」
「え?」
「お前が描いたそれ、なんだ……?」
十字を示してカイが問う。
「あ……白鳥座です」
「はく、ちょう……? これがなんで?」
「……なんでっていわれても……」
苦笑いを浮かべる。
カイは十字をまじまじと見つめて首を傾げている。思わず、小さく声が漏れてしまう。
「なに笑ってんだよ」
「す、すみません……!」
むすっとしたような声のカイに、咄嗟に言葉がついて出た。
「謝るな」
けれど、カイは別に怒っているわけではなくて。
「……お前は笑ってる顔が一番良い、な」
「へっ!?」
その言葉に心臓が跳ねた。
●
毛布の埃を払い、かのんに手渡す。
「火を起こすからちょっと待ってろ」
天藍は、デイバックの中身を確認して、慣れた手つきで火を起こす。
突然のことだったから、焦りがまるでなかったかと言われれば、否だ。だからこそ、天藍の姿をかのんは頼もしく思う。
「手慣れてますよね」
ぽつりと落とした言葉に、天藍は笑うだけだ。
「野外の活動が多いからそれなりにな」
レンジャーをしている天藍にとって、この程度は日常と変わらない。当たり前のように動いて、当たり前のように準備をする。それだけのことだ。
「こんな時にですけれど」
と断った上で、かのんは言葉を続ける。
「天藍とならどんなところでも大丈夫な気がします」
その言葉に、天藍は頷いて見せる。
「食用薬用、植物のフォローはかのんに頼めるし、無人島でもなんとかなるかな」
植物に精通したかのんと、野外活動を身近にしている天藍。文明の利器などなくとも困らないな、と笑い合う。
火を起こし終えると、天藍はかのんに手を差し出す。
「ほら、体を冷やすといけないから」
距離を詰めたかのんが、毛布の片側を差し出す。
「天藍もどうぞ」
「いや、俺は大丈夫だ」
「冬装備じゃないですし、冷えるでしょう?」
心配そうに天藍を見つめる。
そんな様子で見られては、天藍も無碍に断り続けることもできない。
それなら、とかのんの背後に回って、その身体をすっぽりと包み込む。
「これなら、二人とも暖かいだろ」
「……確かにそうですけれど……」
そっと回される天藍の腕に、かのんは緊張を隠せない。身を固くしたのが伝わったのか。
「嫌か?」
天藍が問うが、かのんは首を横に振る。
「そうではないのですけれど……どうしていいか分からないです」
すると、天藍はさらに強くかのんを抱きしめた。
「こんな天気も、人目を気にせずかのんを抱きしめられるなら悪くない」
耳元に囁かれる言葉に、かのんは頬を染める。そして、天藍を見上げて、
「どうしてそんなこと、さらりと言えてしまうんですか」
「どうしてって、本音だから、かな」
一瞬でも詰まれば、あるいはかのんも違った反応をできたのかもしれない。けれど、淀みなく、迷いなく言われ、顔が熱くなるのが分かった。
「時と場所とかのんが許してくれるなら、いつでもかのんに触れていたい」
天藍にとってそれは、偽りのない言葉。
けれど、あまりに真っ直ぐで、かのんはますますどうしていいか分からなくなる。
それに反して、顔はどんどんと火照るように熱くなっていく。
恐らく、目に見えて赤くなっていると、自分でもわかる。
思わず隠すように俯き、天藍に背を預ける。
そんな恥じらう様子を見せるかのんの両手を包み込む。
「想いを言葉で伝えるだけでは足りないと思ってしまうから――」
溢れて、零れて、それでも言葉などでは到底足りないほどの愛しい想い。
伝えて、それでも足りないのなら、寄り添っていることが一番伝わる。だから。
「今はこのままでいさせて欲しい」
もっと近くでその温もりを感じられるように。
かのんが包み込まれた手を握り、指を絡ませる。
恥ずかしさに、言葉にはできないけれど。同じ想いを知ってほしい。そう願って。
天藍が微笑んだのが分かる。
愛しいほど募る、切ない想い――。
●
随分と冷える。
毛布を渡すと、慌てた様子を見せるリチェルカーレにシリウスは肩を竦める。
「羽織っていろ」
そう伝えると、リチェルカーレが大人しく毛布を羽織る。
「今、火を熾す。……灯りを頼む」
シリウスはライトをリチェルカーレに渡し、手元を照らすように伝える。
慣れた手つきで火を灯し、デイバックの中身を確認する。
一応の食料はあるが、できれば体を温められるものがいいと、見付けた固形スープを温める。
「すごい、上手ね」
シリウスの迷いのない動きに、リチェルカーレが感嘆を漏らす。
「野営には慣れているから」
「今度教えてもらわなくっちゃ」
シリウスは敢えて返事を避け、温まったスープを手渡し、リチェルカーレの隣に腰を下ろす。
受け取ったスープを、一度脇に置いて、リチェルカーレが毛布をふわりと広げてシリウスを包み込んだ。
「――!」
「……?」
驚いたシリウスと、驚いたシリウスに不思議そうな目を向けるリチェルカーレが、沈黙の中見つめ合う。
ひとつ、瞬きをしてリチェルカーレが口を開いた。
「寒いでしょう。風邪ひいちゃう」
言わんとすることは分かる。
気遣ってもらっていることも分かる。
それが彼女の優しであることなど、分かり切っている。
だが、シリウスの思考は一瞬でこそあったが、完全に止まっていた。
「いや、俺は……」
辛うじて戻った思考の中、その言葉を絞り出すのが精一杯だった。
けれど、リチェルカーレが頬を膨らませ、シリウスの態度に不満そうだ。
手を重ね、シリウスの目を見つめる。シリウスはやんわりと身を引こうとするが、
「シリウス」
少し強い口調で呼び止められる。
そして。
「――きて」
一瞬の間。そして、シリウスは頭を抱えた。
リチェルカーレにはおそらく、他意はない。分かってはいるのだ。だが。
「……頼むから、もう少し自覚してくれ」
切なげな吐息と共に吐き出された言葉は、ほとんど聞き取れない。
頑なに拒み続ければ、悪意のない無自覚な殺し文句で、シリウスは真綿で首を絞められる感覚に見舞われるのだろう。
だから、拒むことを諦めてシリウスは大人しく座った。そんな様子に、リチェルカーレが笑顔を見せる。
リチェルカーレは伝わる温かさに、クリスマスを思い出す。
あの日も、雪が舞い散り、二人でそんな景色を眺めた。
寒くないかと尋ねられて、その時も今も同じように思った。
(シリウスと一緒なら、寒くない)
傍にあるシリウスの温もりにリチェルカーレは安堵する。
そんなリチェルカーレの傍で、シリウスも彼女の温もりを感じていた。
だからか。
睡魔がゆっくりと足音を忍ばせて近づいてくる。
首を振って、それを払い除けようとするが、じわりと脂汗が浮かぶ。
――眠りたくない。
眠ってしまったら、あの光景を再び見てしまう。あの、紅い記憶を――。
そっと、触れる感触があった。髪を撫で、そのまま抱き締める温もり。頬に触れる柔らかな感触。
「良い夢が見られるおまじないよ」
リチェルカーレの甘い香りと温かさに、眩暈がする。
世界が歪むような感覚の中、視界に映る優しい笑顔。じっと見つめて、痛みを堪えたように微笑む。
とん、とリチェルカーレの肩口に額を預け、柔らかな存在を感じならがシリウスは目を閉じた。
●
「落ち着ける場所があってよかったね」
スノー・ラビットは肩に落ちる雪を払いながら、夢路 希望に微笑みかける。
「この時期、こんなに雪が降るなんて珍しいですね」
季節外れに降る雪は稀にあることだが、吹雪くことは本当に珍しい。
希望も雪を払いつつ、洞窟の少し奥へと入る。少しくらいなら吹雪いても入り込んでは来ないだろう。
しかし――冷える。
夏の足音も聞こえて来そうな頃合いなのに。
「……くしゅんっ」
希望がふるりと身体を震わせ、くしゃみをすると、スノーが慌てて自分の上着を希望の肩にかける。
先程見回したときに見付けた毛布を取り上げ、それも希望に羽織らせる。
「これで少しは温かい、かな」
「あ、ありがとうございます。温かい……。けど、スノーくんは?」
着ていた上着を脱いで、毛布も希望にかければ、自然と薄着になる。
寒くないはずはないのだが、スノーは柔らかく笑顔を作る。
「僕なら大丈夫だよ」
隙間がなくなるように、丁寧に毛布を掛け直しながらスノーは希望の顔を覗き込む。
「ノゾミさんこそ……」
大丈夫?
言いかけて。
「くしゅんっ」
小さく掻き消えてしまいそうなスノーのくしゃみに、希望はスノーの手を取る。
「……心配してくれるのはとても嬉しいです」
冷たい指先。
少しどころか、相当寒いのだろう。
「だけど、同じだけ、私もスノーくんが心配なんです」
気遣ってもらえることは何よりも嬉しいし、ありがたいことだと思う。
けれど、心配もさせて欲しい。なぜなら――。
「大切な……こ、こい……恋人、ですから」
だんだん小さくなっていく声。
頬を赤らめ、懸命に言葉を紡ぎ出す希望に、スノーは強く抱きしめたい衝動に駆られる。
けれど、今はその衝動を押し留めて、小さく苦笑いを漏らす。
「……最近、心配かけてばかりだね」
眉尻を下げて、申し訳なさげに微笑む。
「だから……」
希望が先ほどより一層頬を顔を赤く染めて、言葉を探す。
「この毛布は……一緒に、使いませんか?」
片側をスノーに差し出す。
「その方がもっと温まると思います」
懸命に、勇気を振り絞って伝えてくれるその気持ちがたまらなく愛しい。
「……うん。一緒に使わせてもらってもいいかな?」
希望の勇気を無駄にしないためにも、彼女を後ろから抱き締め、一緒に毛布に包まる。
毛布は温かったけれど、希望はそれでも寒さを感じていた。スノーの体温を近くに感じ、嘘のようにその寒気が消えて行く。
スノーがぎゅっと希望を抱きしめる。手を重ねると、視線が絡んで、照れたように笑う。
しばらく互いの熱を分け合って、少し温まったところで希望が口を開いた。
「吹雪は困ることもありますが、私、雪の日って好きです……。なんだか、わくわくして」
雪の日特有の、胸の躍る感覚。
――雪の日はお友達をたくさん作れるけれど……。
寒くても寄り添って温めてくれる人はいなかった。
友達の雪兎がたくさん作れても、胸にある冷たさはどうしようもなかった。
――でも、今はノゾミさんがいる。
寄り添って、温め合える人がいる。だから、大好きになった雪の日。
「スノーくんと出会ってからは……スノーくんを思い出して」
希望の髪に埋めるように顔を伏せて。
「明日はきっと銀世界ですね」
「うん。落ち着いたら、少しだけでも遊べるといいね」
「……少しならいいでしょうか」
雪兎、作りたいです――。
●
真っ白に包まれる外を眺めて、オリヴァー・エリッドは小さくため息を吐いた。
「本当についていませんね」
「こっちでもこんなに降るなんて思わなかったわ。早くやむといいのだけど」
雪を見慣れているルイーゼ・ラーシェリマですら、こんなにも吹雪くなんて、と零すほどの雪だ。
「そうですね」
季節外れにも程がある。
「オリヴァーくんは大丈夫? 寒くない?」
ルイーゼがオリヴァーを気遣ってそう声をかける。
「はい、大丈夫ですよ。ルイーゼさんこそ、寒くないですか?」
「私は寒さに慣れてるもの。これぐらいなら全然大丈夫よ」
これは、強がりだ。
オリヴァーがすぐさまそう察すると、少し寒そうにしているルイーゼの肩に毛布を掛ける。
驚いたようにルイーゼがオリヴァーに目を向けた。
「俺は大丈夫なので、これを使ってください」
言えば、素直に毛布を羽織って包まっている。
やはり強がっていたのかと、ルイーゼには分からないように苦笑いを漏らす。
「ルイーゼさん、もう少し奥に入りましょう。風が強くなってきましたし」
「ええ、そうね」
風が吹き込まない辺りまで移動して、並んで座り込む。
ルイーゼは白く吹雪く外を眺めてぽつりと呟く。
「でもなんだか懐かしいわ」
「懐かしい?」
「ええ。ここに来たのは最近のはずなのに、すごく久々に見た気分よ」
雪を見て、その先に何かを見ているようで。
それが郷里のことかな、と何となく察せてしまったから、オリヴァーは静かにルイーゼの話に耳を傾ける。
「雪なんて、見飽きたと思っていたけど」
離れてみて気付く。
目の前に当たり前にあった景色が、こんなにも懐かしく思えるのだ。
しかも、ほんのつい先日まで見ていた景色なのに。
毛布にルイーゼが顔を埋める。
辺りを包む沈黙と、吹き荒ぶ風の音。
頃合いを見計らって、
「帰りたいですか?」
オリヴァーは、懐かしそうに目を向けるルイーゼに問う。
故郷に。家に。けれど、ルイーゼは迷うことなく首を横に振った。
「ううん。懐かしいなって思うことはあるけれど、やりたいこととかいっぱいあるし」
膝を抱えて、ルイーゼはオリヴァーを覗き込む。
「ここにはオリヴァーくんもいるもの」
真っ直ぐに向けられる瞳に、それは偽りのない素直な気持ちからくる言葉なのだと感じる。
先程のような、強がった言葉ではない。
「だって私達、友達でしょう? これからも仲良くしてね」
一人だったなら、あるいは寂しいと思ったかもしれないけれど。
オリヴァーは双眸を眇めてゆっくりと微笑む。
「ええ、勿論です」
ルイーゼが、にこりと嬉しそうな笑顔を見せる。
「いつか私の故郷にも遊びに来てね」
その誘いに、頷く。
「ルイーゼさんが育ったところなら、きっと素敵な町なんでしょうね」
「とても素敵なところなのよ。きっとオリヴァーくんも気に入ると思うわ」
郷里の話をするルイーゼは、とても楽しそうで。
だから自然とその景色を思い描く。
行ってみたい、見てみたいと思わせる。
「はい、いつか行ってみたいです」
「ふふ、楽し、み……」
笑顔だったルイーゼが、突然表情を固めたかと思うと、そわそわとし始めた。
オリヴァーは首を傾げるだけだったが、
(来たら実家がばれ……る……かも……)
笑顔がぺったりと張り付いて、暫くルイーゼの表情が動かなくなった。



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 真崎 華凪 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 女性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 04月28日 |
| 出発日 | 05月05日 00:00 |
| 予定納品日 | 05月15日 |

2016/05/04-22:41
2016/05/04-21:59
2016/05/04-19:44
2016/05/04-09:39
こんにちは。私はルイーゼ。
どうぞよろしくね。
2016/05/01-19:25
2016/05/01-16:46
天埼美琴…ですよろしくお願いします
えと、困り…ましたね…
2016/05/01-12:28

