


タブロスにも紅葉の便りの届く今日この頃。
君達はとある温泉旅館に滞在していた。
この温泉旅館一番の売りは、紅葉に染まる山を一望できる露天風呂。
本来ならば、この季節、
この露天風呂には全国各地からの旅行者が殺到して、まるで芋洗いのような様相を呈するのだが
そこんトコは、ウィンクルムとA.R.O.A.の何ちゃらとやらで、
何故かは知らぬが風呂に入っているのは君達だけだ。
目の前には見事な紅葉。
少々の話し声と、水音だけが聞こえる静かな露天風呂。
しかし、今ここに一つの不穏が生まれた。
不穏の発生源は、男湯。
程よい温度の湯につかっていた精霊は溜息をつく。
パートナーと二人。静かな温泉宿でしっぽりと……なーんて思いは遥か彼方。
湯煙を挟んで見つめあう相手の顔は、あぁ哀しいかな、自分と同じ野郎共。
つい立一枚隔てた向こうの女湯からは、何やら楽しげな会話が聞こえてくる。
きっと自分のパートナーと、コイツのパートナーが仲良く楽しくやっているのだろう。
どうせ見るなら紅葉の山じゃなく、あの娘の神秘の谷間(または絶壁)が見たい……。
もう何度目か分からぬ溜息をついた時、精霊達に悪魔がささやきかけた。
覗けばいいじゃないか!!!
そして男達は顔を見合わせ決起する。
女湯の覗きというロマンのために、共に手を取り戦うのだ!!!
一方の女湯。
何でかな。分かっちゃったのだ。男湯で生じた不穏な気配に。
だって、さっきまで聞こえていたカッポーンとかいう音が急に聞こえなくなっちゃったんだもの。
「これは……来るわね」
「えぇ、ただで済ませる訳にはいかないわね」
そして神人達は各々に武器を手にする。
不埒な野郎共(精霊)を迎撃するために。
君達は大事な事に気付いていない。
これがフィヨルネイジャが見せる白昼夢であることに……。


●概要
女湯を覗こうとする精霊達と、それを迎撃する神人達のバトルです
覗きが成功した場合、成功した精霊のパートナーが理不尽な理由で死亡し
防衛が成功した場合、覗きを阻止された精霊が理不尽な理由で死亡します
どちらが死亡するのかプランに明記してください
(死亡するのが神人か精霊か、ウィンクルムごとに異なっていても構いません)
●やること
神人:女湯を覗きに来る精霊達を容赦なく迎撃してください
精霊:命を懸けて女湯を覗きに行ってください
●武器
神人:強力水鉄砲(ライフル型)、桶、石鹸、掃除用のホースと水道、デッキブラシなど風呂場にありそうなもの
精霊:己の肉体、男の友情
●防具
神人:大判バスタオル
精霊:小さめのバスタオル
●フィールド
露天風呂
男湯と女湯を仕切る壁の高さは2.5mほど(壁を壊すことはできません)
水中も男湯と女湯で分かれています
風呂の前には幅5mほどの川で、その向こうは紅葉の綺麗な山です
●死因
覗きと防衛のプランから白羽瀬が勝手に決めます
間違いなく酷いことになります(例:神人の神秘の谷間を拝み鼻血を出したことによる失血死)
●注意事項
神人同士、精霊同士で協力はできますが
神人が防衛のために直接攻撃することができるのは、パートナーの精霊のみです
他のパートナーの神人、精霊を殺すことはできません
●成功条件
楽しくわちゃわちゃと殺りあっていれば成功です
●消費Jr
この後、みんなで日帰り温泉に入っていきました。
300Jrいただきます。
プロローグを読んで下さってありがとうございます。
ゆるっと連動《贄?》です。
要は「もしもパートナーが死んでしまったら?」のコメディ版です。
フィヨルネイジャの白昼夢での出来事なので現実ではありません。
ネタを出したのは自分なので、楽しく書けたらいいと思っています。
よろしくお願いします。


◆アクション・プラン
鞘奈(ミラドアルド)
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ミラ…あんたはこういうことしないと思ってたわ …いえ、信じてた あんたは、紳士だって …でも本気でくるなら、私も容赦しないわ! (強力水鉄砲と石鹸装備) 全力で 殺 す 。 飛び出してきたら水鉄砲で応戦 体一つといっても、相手は男、接近戦に持ち込まれたら私が不利 隙を狙って石鹸を投げつける! 滑って死ね!(暴言 接近してきたらデッキブラシで応戦よ もうここまで来たら見られてるんだろうけど 谷間!は!死守!する!! ミラ、覚悟ォ!! デッキブラシで全力のフルスイング いつも私の拳をよけるミラに、その軌道は優しいもの…避けられた! その勢いではらり、とタオルが取れて─ 湯気に守られたシルエットを見られる… 私の……負けよ(ガクリ |
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不穏な気配がするな 年長者としては看過出来ん 皆それぞれ手を下したいだろうから、手出しはしないが、アドバイスがあればする 「そのようなことを考える場所がいけないので最後にこれで彼がそう考えた場所を冷やすといい」(冷水が入った桶を女子へ差し出す) 銀雪が確認出来ないが、乗らない訳がない 普段活かしていないが知性はある(活発・社交<知性)から安全確実な作戦で来るだろう なら、私も身を隠すか 水道の陰に隠れて様子を見ていたら、脱衣場からこっそり入って、桶の陰で私を捜しているのがいる 「ほーう、銀雪よ、大したものだ」 デッキブラシでフルボッコにしてやる 目覚めたら 「覗きとは姑息な」 「現実でやったら、死ぬまで殺す」 ※超笑顔 |
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の、覗きだなんて・・・くっ、なんて破廉恥な・・・! この様な蛮行・・・許しておくわけにはいかない! そこになおれ!今すぐに成敗してくれる! <行動> ・バスタオルを体にしっかり巻き付け、完全ガード(のつもり) ・ちなみにロングヘアはアップにしている ・周囲をくまなく警戒 (気配を探れ・・・負ければ一巻の終わりだ・・・!) ・まずは水鉄砲で遠距離攻撃、ハンティングスキル(レベル2)を使用(気分は狩人) ・石鹸を飛ばし、相手を転ばした隙に攻撃 ・接近に気付いた場合、武器をデッキブラシに持ち替え、見られる前にホームラン! ・精霊の姿を見た場合、小さめのバスタオル装備のほぼ裸姿を目にして赤面&大慌て ※アドリブOK! |
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アドリブ歓迎 覗きとか…………最低 きっと壁…上ってくる、よね…まさか川からとか…ないよね… (壁を見上げながら)…これ、登るとか…馬鹿なのかな…あ、馬鹿だった、あの人 壁に耳を当て、向こう側の動きを確認 おおよその位置を予測して、水道ホースを構えておく 少しでも姿が見えたら最大出力で噴射 なんか不穏な言葉が聞こえた気がする…それは、もう、覗きじゃない…! とりあえず桶投げとこう…当たった…? あたしはともかく…他の人、見られるのとか…絶対ダメ みんな美人だし、スタイルいいし…比べられるのとか嫌だし…(胸とか、ムネとか、むねとか 気にしてる、わけじゃないけど…人に言われると、とても、ムカツク… 『地獄に落ちろ』 |
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ふぅ…いいお湯ね 最近エーったら一緒にお風呂入りたがったり寝たがったり… もうっ…心の準備と覚悟と順序ってものがあるのに …湯に浸かりつつ小言を少々 皆の精霊もこんな感じなのかしら? もっとしっかり弁えている気がする 皆のお話を聞き話しながらエーの行動を振り返る (なんか視線を感じるような ……エー?(顔を出していた彼と目があう ちょっ!えっエー!何で覗いてるの?!この変態っ! 私だけじゃなくて、他の人もいるのにっ こんな事するとは思わなかったわ! 恥ずかしさで涙目 顔真っ赤にし桶や石鹸を投げる 好きだからって、やっていい事と悪い事があるの! 鼻血出して何いってるの、バカエー! 騒いでいたら、弾みでバスタオルが落ちる ……!? |
●女湯の絶景
「ふぅ……いいお湯ね」
湯に浸かったアンジェローゼが満足げな溜息をついた。
貴族の令嬢らしい白くなめらかな肌が乳白色の湯の中で艶めきを増している。
「紅葉も綺麗だし、いい時期に来ることができたな」
頷くのはリオ・クライン。
プラチナ色の長い髪をアップにしてあらわになった細いうなじが、リオの生真面目な表情とは対照的な繊細な色気をかもし出していた。
「たまにはこういうのも良いものだわ」
少々そっけなく感じる口調ながらも、その瞳には見事な紅葉に対する賞賛の色を浮かべつつ頷く鞘奈。
どこかモノトーンを感じさせるクールな佇まいが、風呂を包む紅葉の中で、はっとするような美しさを放つ。
「せっかくだから、ゆっくり楽しんでいきたいものだな」
リーヴェ・アレクシアが大きな伸びをした。
平和で色気の溢れる女子露天風呂。
黙って湯に浸かっている和泉 羽海も、言葉には出さずとも湯の心地よさを楽しんではいるようだった。
●男湯の残念な景色
「恋人なのに一緒に入浴したり一緒に寝たり出来ないなんて!」
顎まで湯に浸かったエーが不満げな顔でボヤく。
「裸の付き合いだって絆を深める為に必要だよロゼちゃん!」
その言葉を受け、妙にキリっとした表情で言い切る銀雪・レクアイア。
「四の五の言わない。俺は、リーヴェの裸を確認したい。……もとい覗きたい」
口を開くと残念なイケメンとはこのことか。
「覗きなんて最低だ」
煩悩まみれな男二人にそう言い放ったのはセララだったが……。
「でも好きな女の子の入浴シーンとか見たいと思うのは仕方ないよね。だって、オレ男の子だもん!」
綺麗なキメ顔から飛び出す残念発言。
そしてミラドアルドがザバリと湯から立ち上がった。
「生半可な覚悟ではいけないんだ!これは戦争だ」
その勝利条件はズバリ『鞘奈のボディランを確認すること!』
「クク……あえて危ない橋を渡るのが男ってもんだ」
ニヒルに笑うアモン・イシュタール。ただし渡ろうとしている橋のレベルはとことん低い。
そうして男達は団結した。
「一言言っておく……男なら一度自分の欲望に素直になれ!」
アモンの言葉に男達は決意のみなぎる瞳で頷きあった。
●再びの絶景
一方、まだ平和な女湯ではアンジェローゼがぼやいていた。
「最近エーったら一緒にお風呂入りたがったり寝たがったりするのよね」
順序ってものがあるのに……とアンジェローゼは他のメンバーの顔を見回す。
「皆の精霊もこんな感じなのかしら?」
「そうね……」
口を開いたのは鞘奈だった。
「私は信じてるけど?ミラは紳士だって」
信じる、そう断言することができるのは日頃の行いがあるからだろう。
それに比べてエーは……とアンジェローゼが溜息をついた時だ。
「不穏な気配がするな」
リーヴェが不意に湯の中から立ち上がった。乳白色の湯が豊穣の双丘の谷間を流れ落ちてゆく。
「不穏?」
訊ねるアンジェローゼに、リーヴェが身体にバスタオルを巻きつけつつ短く告げた。
「覗きだ」
「の、覗きだなんて……なんて破廉恥な!」
事態を悟ったリオが憤怒の形相で立ち上がる。
「この様な蛮行……許しておくわけにはいかない!」
殺気立つ彼女達に混ざって黙々と迎撃準備を進める羽海。
(覗きとか……)
「……最っっ低」
声のない口元の動きだけではあったが、羽海は確実にそう吐き捨てた。
●先鋒:アモン・イシュタール
戦いの火蓋を切ったのは、男湯側から川伝いにやってきたアモンであった。
かつては来るもの拒まず去るもの追わずの荒れた男女関係に身を置いていたアモンにとって、女性の裸体などめずらしいものではない。
服越しにも分かるリオのスレンダーな肢体など、今更どうというものでもなかったのだが……。
「なのに……なんでこんなに見たい衝動に駆られる!?」
アモンは川の水をザバザバと蹴立てつつ、真っ直ぐに女湯へと向かった。
「来たか、アモン!そこになおれ!今すぐに成敗してくれる!」
いち早くアモンの姿を発見したリオが、露天風呂のふちに仁王立ちになって宣言する。
リオは手にした強力水鉄砲を容赦なくアモンに向かって発射した。その姿はまるで獣を狩るハンターのようだ。
……いや、これは例えではない。リオは今、雄の本能という獣を狩るハンターなのだ。
次々と水を打ち込んでくるリオと、持ち前の運動神経を発揮して逃げ回るアモン。
一歩も譲らぬ両者の均衡はしかし、意外なところから崩れた。
「……くっ、弾切れか?!」
手ごたえのなくなった引き金を引きながらリオが歯噛みする。
「もらった……!」
獣そのものの笑みを口元に浮かべたアモンが、ここぞとばかりにリオに向かって突進する。
だがリオとて、それなりに戦闘の経験も積んでいる神人だ。
すばやく強力水鉄砲を手放し、デッキブラシと石鹸を掴む。
「破廉恥男め、思い知れ!!」
リオは、まるで野球練習のノックのような要領で、石鹸を身体の前方に軽く投げ上げる。
そしてすかさず両手に持ち直したデッキブラシで石鹸を打ち据えた。
渾身のフルスイングをくらった石鹸は白い弾丸となって一直線にアモンに向かう。
「何っ……そんな手が?!」
思わず呻いたアモンだったが、その一言がアモンにとって命取りとなった。
『そんな手が』の『が』の形に開かれたアモンの口に、リオが打った石鹸が飛び込む。
ズボッ!!
固形の石鹸というものは水気をまとうと実によく滑る。そして口の中というのは基本的に常に湿っている。
アモンの口の中にホールインワンした石鹸は、その勢いを殺すことなくアモンの喉へと達し気道を塞いだ。
「……!!」
引きつった顔で喉に手をやるアモンの口から、石鹸の泡がぷくぷくと湧き上がる。
そしてアモンは力を失い川へと倒れこんだ。一匹目の獣はリオの正義により沢ガニに変わった。
●次鋒:ミラドアルド
「僕のことはいい、先に神人たちの元へ!」
ミラドアルドはあえて一番目立つ川からのルートを選択した。
囮となる覚悟は、戦友アモンが散ろうとも揺るがない。
「アモン……仇は僕が必ずっ!」
一方、鞘奈はそんなミラドアルドの姿を女湯のふちから憐れむような目で見据えていた。
「ミラ。あんたはこういうことしないと思ってたわ」
ショットガン型水鉄砲のポンプをガチャリとスライドさせる鞘奈。
「けど本気でくるなら、私も容赦しないわ!」
裏切りの代償は死あるのみ。そして鞘奈は無表情に引き金を引いた。
「……!!」
反射的に飛びのいたミラドアルドがそれまで立っていた場所を水の弾が穿つ。
容赦なく降り注ぐ水の弾を前に防戦一方で逃げ惑っていたミラドアルドだったが、そこに一筋の光を見つけた。
誰かが投げたのか、或いは戦いの中で弾き飛ばされて飛んできたのか、少し大きめの手桶が川の中に転がっていたのである。
「これだっ!」
ミラドアルドは、桶を拾いまるで盾のように掲げ頭を守りながら進んだ。
「往生際が悪いわよ!」
接近戦に持ち込まれたら不利と鞘奈は躍起になって撃つが、ミラドアルドの歩みは止まらない。
その時、ミラドアルドは見た。
男湯の壁際で、セララの上に乗ったエーが今にも衝立の上から顔を出そうとしている。
「僕達の勝利は近い!!」
勇気を得て加速するミラドアルドの歩み。目指す鞘奈に向け一直線に進む。
「くっ……もうここまで来たら見られてるんだろうけど」
タオルを巻いているとはいえ裸身を見られる屈辱に歯噛みする鞘奈。
「谷間、だけは! 死守! する!!」
腹を決めた鞘奈はリオが持っていたデッキブラシに手を伸ばした。こうなったら、肉を切らせて骨を断つ!
「ミラ!覚悟ォォォ!!」
黒曜石の瞳に殺意だけを映し、鞘奈がミラドアルドに向かってデッキブラシを振り下ろす。
「……!!」
しかしミラドアルドはその渾身の一撃を難なくかわした。
「くっ……」
口惜しげに睨む鞘奈。そしてミラドアルドが最後の一歩を踏み出す……。
「ぬぉっ!?」
意外にも、ミラドアルドの口から漏れたのは酷く間の抜けた声だった。
足元に転がっていた石鹸を思い切り踏みつけてしまったのだ。
つるん、すってん。そんな表現がぴったりの見事な転倒。
「あぁぁ」
川の中へと落ちてゆくミラドアルド。そしてその後頭部が川の中の大きな石に激突する。
ドクドクと生暖かいものが流れ出し、ミラドアルドの意識が遠のいてゆく。
白く染まる視界の中、ミラドアルドは鞘奈のバスタオルがハラリと落ちる幻覚を見た。
(僕は……僕達は成し遂げたんだ)
これぞサンクチュアリ。
空に向かって親指を立てたミラドアルドの腕が力を失って川の中に落ちた。
●中堅:エー
周りの女性陣がドタバタと精霊達の迎撃に動いている中、アンジェローゼは身体にバスタオルを巻きつけたまま湯の中に浸かっていた。
突然のことに戸惑いつつも、乳白色の湯の中ならば全ては見えないだろうと考えたためである。
隣には同じように湯の中に身を隠している羽海。
「こ……困りましたね」
アンジェローゼの言葉に、羽海がこっくりと頷く。
その時だ、アンジェローゼはふと誰かの視線を感じた
ほんのりと嫌な予感を胸に抱きつつ視線の来る方、すなわち女湯と男湯を隔てる壁の上へと目をやるアンジェローゼ。
「……エー?」
そこには、何だかとっても幸せそうなエーの顔があった。
時刻はほんの少しだけ前にさかのぼる。
アモンとミラドアルドが川の中から女湯に特攻し、アモンが散っていった頃のことだ。
「こんな壁に仲を裂かれる僕らじゃない……乗り越えてみせる」
手を添えて壁を見上げつつ言うエー。
その真摯な表情は、捕らわれた姫を助けようとする騎士のようだったが、残念なことに目指しているのはアンジェローゼの裸体だ。
エーの隣にはセララ。
「とりあえず、この壁を登ろう。誰か足場にして、あとは気合と根性で……」
じっと見つめあうエーとセララ。
「……」
すっとエーが優美な仕草で床を示す。無言の「どうぞ?」
「オレ? やだよ、男に踏まれる趣味とかないし!」
エーは何も言わない。ただ柔和な微笑みを浮かべるばかりだ。
「わ……分かったよ! オレが足場になります!」
とはいえ壁の高さはおよそ2.5m。四つんばいになった上に乗るのでは高さが足りない。
仕方なくセララはエーに背中を向けて屈みこんだ。
「ほら、肩車」
セララの肩の上にエーの太ももが乗る。
首の後ろにぶつかる男ならではの感触に、とっても残念な気持ちになりつつもセララはよいしょと立ち上がった。
このあたりでミラドアルドが儚く勝利を確信していたのだが、エーとセララは知る由もない。
そしてようやくエーの頭が壁の上に出た。
(少し見るくらいなら許されるはず)
そーっとそーっと壁の向こうを覗き込むエー。
愛しのアンジェローゼが少し不機嫌そうな顔で湯の中に浸かっている。
(ああもう可愛いなぁ……。綺麗だ、抱き締めたい)
エーが居心地悪そうに少し身じろぎしたが、エーはお構いなしだ。
(あの谷間にそっと指を差し入れてみたい)
うっとりと変態じみた事を考えるエーは、いつの間にか赤い液体が両の鼻の穴からドロドロと流れ出していることに気付いていなかった。
と、その時だ。
視線を感じて壁の上を見たアンジェローゼがエーの姿に気付く。
「ちょっ! えっエー! 何で覗いてるの、この変態っ!」
一気にゆでだこよりも赤くなったアンジェローゼが、その辺にあった石鹸やら手桶やらを手当たり次第に投げつける。
自分だけでなく他の女性もいる前でエーがこんな蛮行に及ぶとは思っておらず、
恥かしいやら情けないやらでアンジェローゼの目には涙が浮かんでいた。
「好きだからって、やっていい事と悪い事があるの!」
「ご、誤解だよ! 僕は覗いてなんか……」
いえ。どう考えても覗いてます。
そしてエーは(真っ赤な顔も可愛いな)などと不遜な事を思いつつ言い放った。
「アンジェローゼが好きだ! だから、生まれたままの姿だってみたいんだ!」
「……」
突然の愛の言葉にアンジェローゼは一瞬、虚を突かれたように動きを止める。
だがそれも、形の良い鼻から2本の赤い筋を滴らせているエーの顔を見た瞬間に瓦解した。
「鼻血出してるクセに何いってるの!バカエー!」
怒りに任せて桶を放るアンジェローゼ。
そして硬い木桶の底面がエーの顔面にクリーンヒットした。
スッコーーン!
衝撃に押されたエーが後ろ向きに傾き、下にいるセララもまたつられてバランスを崩す。
それはいわゆる肩車式バックドロップ。
後頭部と背中を男湯の硬い床にしたたかに打ちつけ、エーは一瞬で息絶えた。
壁の向こうでは、桶を投げた拍子にバスタオルが落ちてしまったアンジェローゼが慌てている。
しかしエーの瞳は、その様子を映すことはできなかった。
●副将:セララ
図らずもエーをバックドロップすることになってしまったセララ。
「ゴメンな……」
エーのまぶたに手を添え、見開かれたままの目を閉じてやるとセララは立ち上がって壁を見上げる。
「お、オレだってやる時はやるんだから!」
セララは男湯にある椅子という椅子をかき集めてくると、壁の下にピラミッド状に積み上げた。
4段ほど積み上げ1m程度の高さになったピラミッドに登れば、セララの顔は壁の上に出るはずである。
そしてセララは不安定なピラミッドに慎重に足を乗せた。
一方その頃の羽海は相変わらず湯に浸かったまま、壁を見上げていた。
(きっと壁……上ってくる、よね)
羽海の隣では、たった今エーを撃退したアンジェローゼがブツブツ文句を言いながらバスタオルを巻きなおしている。
(それにしてもこれ、登るとか……馬鹿なのかな……)
そうこうしているうちに、壁の上部で馴染みのある金色の髪が揺れるのが見えた。
(……あ、馬鹿だった、あの人)
壁を上ってくるだけでなく、こうも簡単に察知されるとは。
羽海は溜息をつきながら立ち上がると、近くにあったホースを手に取り水道の栓に手をかけた。
壁の上にセララの顔が出てきた瞬間、その顔面に容赦なく冷水をぶっかける羽海。当然のことながらホースも水道も最大出力である。
「ぅわっ……ぶはっ!」
ガラガラと木の椅子の山が崩れる音と共にセララの姿が壁の向こうに消えた。
(あたしはともかく……他の人、見られるのとか…絶対ダメ)
何とか皆を守ることができたと、羽海は女湯の他のメンバーを見回す。
(みんな美人だし、スタイルいいし。……比べられるのとか嫌だし)
羽海の脳裏に浮かぶのは、先ほど湯から立ち上がった時のリーヴェの姿。
成熟した大人の女性を絵にしたような姿は、嫌でも羽海のコンプレックスを刺激した。
そんな羽海の複雑な心中を他所に、壁の向こうではセララが散乱した椅子の上に引っくり返って空を見ている。
(要するにコソコソするから迎撃されるんだよね)
羽海にバカと評された頭をフル稼働させるセララ。
「もういっそ堂々と正面の入口から行ったらいいんじゃないかな!」
何故その残念な結論をわざわざ口に出すのか。
(……それは、もう、覗きじゃないし)
不穏な言葉が聞こえてしまった羽海は頭痛をこらえるように頭を一つ振ると、近くにあった木桶を取った。
するとその時である。壁の向こうから再びセララの声が聞こえてきた。
「ちなみに、あるに越したことはないけど女の子は胸じゃないよ」
(気にしてる、わけじゃないけど……人に言われると、とても……ムカツク)
怒りに震える羽海の手。しかしセララは火に油どころかガソリンを注ぐ。
「絶壁とか、まな板どころか洗濯板だってオレ全然気にしないし! 」
『地獄に落ちろ』
羽海は口の動きと共に、絶大なる恨みを込めた木桶を男湯に向かってブン投げた。
呪詛をまとい、黒い彗星と化した木桶が真っ直ぐにセララ目掛けて落ちてゆく。
「揉めば大きくな……」
ゴスっ!!
木桶の角で眉間を打ちぬかれ、セララは言葉を続けることができなかった。
薄れてゆく意識の中、セララは思う。
(この距離で飛んでくるなんて……愛の力だね)
幸せな錯覚の中でセララは息絶えた。
●大将:銀雪
(普通は衝立から覗くと思うよね。あと川も警戒する……)
川に飛び出して行ったアモンとミラドアルドに、壁を越えようとしているエーとセララ。
銀雪は彼らの様子を冷静に見つめつつ思案を巡らせていた。
(安全に見るなら、これもアリだよね)
風呂出て脱衣所に向かう銀雪。
腰に巻いたバスタオル一丁という少し情けない格好のまま脱衣所を通り抜けて廊下に出、女湯の脱衣所に滑り込む。
それはもはや覗きというより不法侵入。ウィンクルム貸切だったからできた荒業だ。
無人の女湯脱衣所。男湯とは違う雰囲気に胸を高鳴らせつつ、銀雪は露天風呂への扉に手を掛ける。
一方そのころリーヴェもまた女湯の騒乱を観察しつつ思案していた。
(銀雪の姿が確認出来ないな……。だが乗らない訳がない)
このような不届きな真似には参加するものの、リーヴェは銀雪を知性の勝るタイプだと理解している。
残念ながらその知性は、リーヴェの前では活かされていないようではあるが……。
リーヴェは、銀雪は安全確実な作戦で来るだろうと判断した。
(なら、私も身を隠すか)
水道の陰に滑り込み、リーヴェは静かに周囲の様子を伺う。
そしてアモンとミラドアルド、エーが倒れ、羽海とセララの攻防が始まる頃、リーヴェが待っていた瞬間はやってきた。
無人のはずの脱衣所に繋がる扉が控えめに開かれ、誰かが女湯に侵入してくる。
潜んでいる場所からは銀色の髪しか見えなかったが、リーヴェはそれを銀雪のものだと確信した。
やがてリーヴェの予想通り姿を現した銀雪は、積み上げられた桶のそばに身を寄せると、そっと女湯の方を覗き見る。
その姿は湯船のある方から見れば隠れているのだろうが、残念なことにリーヴェのいる水道の陰からは丸見えだった。
(あれ、リーヴェがいない)
騒ぎが続く女湯を見回していた銀雪が首を傾げた時だ。
「……!!」
冷たい水のような殺気を感じて振り返った銀雪。
「ほーう、銀雪よ、大したものだ」
バスタオル一枚で身体を隠したリーヴェが、デッキブラシを手にイイ笑顔で仁王立ちになっていた。
秋の日に透ける金の髪、バスタオル越しにもはっきりと分かる見事なプロポーション。
思わず見惚れていた銀雪は、はっと我に返って弁明の言葉を口にする。
「わ、ごめんなさい、魔が差し……」
だが時すでに遅し、後悔は先には立たない。
リーヴェが振り下ろすデッキブラシが、容赦なく銀雪を襲った。
「うわあああぁぁぁ……」
ものの見事なフルボッコ。
腰にタオルを巻いただけの情けない姿のまま、銀雪は為す術もなく撲殺される。
かくして5人の残念な精霊達は不埒な欲望ごと粉々に砕け散っていった。
●おはようございます
フィヨルネイジャで目覚めた彼らは、それが白昼夢の中の出来事であった事を知った。
信じていたのに裏切られたり、案の定覗かれたり、余計な一言でコンプレックスを刺激されたり……。
各々思うところはあったものの、最終的に辿りついた結論は一つだった。
「なんかどっと疲れたな……」
呟いたリオの言葉に全員が頷く。
「どっかの日帰り温泉でも入って帰ろうぜ」
アモンが言い、同意した彼らはフィヨルネイジャを後にする。
そのしんがりを歩きながら、リーヴェはかたわらの銀雪を横目で見た。
「しかし夢の中とはいえ、覗きとは姑息な……」
「なら、堂々と行……」
ジロリと睨むリーヴェの視線に、銀雪は夢の中の殺気を思い出して身を震わせる。
「ごめんなさい」
夢の中で見た超イイ笑顔そのまま、リーヴェが笑って言った。
「現実でやったら、死ぬまで殺す」
| 名前:リーヴェ・アレクシア 呼び名:リーヴェ |
名前:銀雪・レクアイア 呼び名:銀雪 |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 白羽瀬 理宇 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 女性のみ |
| エピソードジャンル | コメディ |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | とても簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 11月04日 |
| 出発日 | 11月11日 00:00 |
| 予定納品日 | 11月21日 |

2015/11/10-20:02
>アモン
なるほど…
僕は、まだ甘かったということか…。
そう、僕は鞘奈のスタイルをみたい!(アップ
2015/11/08-23:48
>アモンさん
そうだよね!!
素直になるって大事だよね!!
俺、リーヴェのスタイル、ちゃんと確かめるんだ……(真顔)※フラグ
2015/11/08-22:26
アモン・イシュタールだ、よろしく頼むぜ。
まずは一言言っておく・・・。
男なら一度自分の欲望に素直になれ。
2015/11/08-12:29
精霊のミラドアルドというよ。どうぞよろしく。
…別に見たいわけじゃないんだ。
けど、どうしても見なきゃいけないというか。
力を合わせて、がんばろう(キリッ
2015/11/07-00:48
アンジェローゼの精霊のエーです
皆さんよろしくお願いします。
恋人なのに、肌も見た事がないなんて……っ
ちょっとくらいいいじゃないですか…!
ええ、ええ!皆さん。力を合わせて頑張りましょうっ!
2015/11/07-00:34
はろはろ~セララ君と可愛い羽海ちゃんだよ~
最低なことをしている自覚はある・・・嫌われてしまうかもしれない・・・
でも、これだけは言っておきたい。
オレも全力で覗きたい!!(キリッ
というわけで、みんなよろしくね~
2015/11/07-00:23
……リーヴェだ。
男湯から不穏当な気配を感じる。
…………(深い溜め息)
銀雪、私がちゃんと引導を渡すから安心しろ(えがお)
という訳で、よろしくな。
2015/11/07-00:22
銀雪・レクアイアだよ。
パートナーはリーヴェ・アレクシア。
ここはストレートに言うべきだと思う。
皆、力を合わせて覗こう(キリッ)

