お菓子作り体験をしよう!(織人文 マスター)

プロローグ

 ある日の昼下がり。
 新市街北部ビッグストリート区の一画にある通りに面したビルの前でのことだった。
「このビルに新しくできた料理教室の、オープンイベントで、お菓子作り体験をやります。詳しくは、こちらをどうぞ」
 女性が1人、そう言いながら道行く人々に手にしたチラシを渡している。
『ベラドンナ料理教室・オープニングイベント ペアでお菓子作り体験』
 その一番上には、でかでかとそんな文字が躍っていた。
『お友達や恋人、親子などペアで、お菓子作り体験をしませんか?
初心者はもちろん、料理の苦手な方も大歓迎です。どうぞ、ふるってご参加下さい』
 と書かれたその下には、体験教室の詳しい内容が書かれている。
 それによれば、どうやらコースは三つに分かれているらしい。
 それぞれが、『フルーツたっぷりパウンドケーキ』『オレンジのチーズケーキ』『西域風桜餅』を作るとある。
 開催は、明日の午後1時から。
 参加費用は、材料費の100ジェールのみ。
 材料などは、当然教室の方で用意してくれるようだが、エプロンだけは持参して来てほしいとの注意書きがあった。
 調理にかかる時間は、1時間から1時間15分ほどで、そのあとは教室で試食することもできるようだ。
 試食の際には、サービスでドリンクがつくとも書かれている。

 さて。
 あなたも精霊と共に、お菓子作りに挑戦してみませんか?

解説

 お菓子作りという共同作業を通して、親密度をアップするのが目的のエピソードです。

 三つのコースから、一つを選択して下さい。

 出来上がったお菓子は、教室で試食することもできますが、持ち帰って2人だけで食べることもできます。
 また、教室で試食して、残りを持ち帰って食べるという選択肢もOKです。
 教室で試食する際には、ドリンク(コーヒー、紅茶、緑茶)が無料で提供されます。また、ドリンクは三つの中からお好きなものをどうぞ。

ゲームマスターより

はじめまして。
新米マスターの織人文(おりじん あや)です。
プロローグを閲覧いただき、ありがとうございます。
少しでも、楽しんでいただけるよう、がんばりますので、よろしくお願いいたします。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

あみ

  お菓子作り体験
お菓子作り、楽しみ~♪フルーツたっぷりパウンドケーキのコースにしよう!
エプロンも忘れず持ったし、大丈夫かな。
よし!一生懸命頑張ろう!
話しかけるの緊張するけど、分からないことは料理教室の先生にちゃんと聞こう。
「ヴォルフガングさん、よろしくお願いしますね!」
う~、ヴォルフガングさんに見られてると、緊張する~
「ここで砂糖を…えっ!?塩?あわわ…ホントだ。ヴォルフガングさん教えてくださってありがとうございます~」

終了後
ヴォルフガングさん、人が多いの苦手だから…
「あの…ヴォルフガングさん、ケーキ持って帰って食べませんか?」
2人で食べるの緊張するけど、話ができるチャンスだよね!


フィロメナ・フェルディナンド
  ●思考
「お菓子作りなんてしたことないけど、体験を申し込んだのは気まぐれと偶然の結果。
そういえばヒューくんの好みなんて知らないな、と思って。お互いのことを知るのは、悪い事じゃないでしょう?」
●行動
チーズケーキを選択
料理はあまりやったことがない。慣れない手つきでエプロンをつける。まったく見えないが割とはしゃいでいる。
レシピをメモしつつ精霊と一緒に料理。たまにレシピに気を取られる。
出来上がったお菓子は二人で外で食べる。できれば緑のあるところで、途中で温かい飲み物を買って、お互い今日の感想を言い合う
●台詞例
「凄い。小麦粉と卵があればなんでも作れる気がする」
「最初に料理という行為をした人を尊敬するわ」


●フルーツたっぷりパウンドケーキ
 お菓子作り体験当日。
(お菓子作り、楽しみ。エプロンも忘れずに持って来たし……。よし、一生懸命がんばろう)
 あみは、胸に呟きながら、精霊のヴォルフガングと共に教室へと足を踏み入れた。
 彼女が選んだのは、『フルーツたっぷりパウンドケーキ』のコースだ。
 中にはすでに、他の参加者たちもいて、にぎやかだった。
 教室には、流しの付いた調理台がいくつか並び、その上にはケーキの材料や調理器具が置かれている。調理台は二組で一つを使うよう、受付で説明を受けている。
 教室の後ろに並ぶロッカーにバッグを入れると、持って来たエプロンを身に着ける。
 食べることは好きだが、料理の腕はイマイチの彼女は、少し緊張して空いている調理台へと向かった。同じくエプロンをつけたヴォルフガングが、黙って隣に並ぶ。
 やがて、講師が入って来て、他の参加者たちもそれぞれ、調理台の前へと移動した。
 あみたちの調理台は、彼女たち一組だけだ。
 講師が、参加者たちを見回し、ケーキの材料と作り方の説明を始める。
 さすがに初心者や料理が苦手な人の参加を歓迎するだけあって、ケーキはそれほどむずかしくはなさそうだった。
 講師は、説明の最後に言った。
「ケーキに限らずお菓子は、材料を必要な分だけきっちりと計量し、手順どおりにおちついて進めれば、誰でも簡単に美味しくきれいなものが作れます。ですから、初心者の方も、料理が苦手だと思っている方も、安心して慌てずおちついて進めて下さい。それと、わからないことがあれば、なんでも質問して下さいね。……それでは、始めて下さい」
 講師の言葉に、あみは小さく息をつくと、ヴォルフガングに声をかける。
「ヴォルフガングさん、よろしくお願いしますね」
「ああ」
 彼がうなずくのを見やって、計量スプーンを手に取った。
 まずは、薄力粉にアーモンドパウダー、ベーキングパウダーなどの粉類を必要な分量だけ測って、ふるうことから始める。
 型にクッキングシートを敷いたり、オーブンを予熱しておいたりするのは、ヴォルフガングがやってくれたので、あみは粉類をふるう方に集中した。
 それが終わると、今度はボウルにバターを入れて、泡立て器で混ぜて行く。
(クリーム状って……こんな感じでいいのかしら)
 ボウルの中身を見やって、彼女は小さく首をかしげた。
 慣れない相手に話しかけるのは緊張するが、ここは講師に尋ねる方が、失敗する確率は低いだろうと判断した。
「あ、あの。すみません」
 手を止めて、調理台の間をゆっくりと見て回っている講師に、声をかける。
「はい、なんでしょう」
 歩み寄って来た講師に、ボウルの中身を見せて、尋ねた。
「クリーム状って、こんな感じでいいんでしょうか」
「はい。……ちょうどいい状態になっていますよ。次の過程に進んで、大丈夫ですよ」
 講師はうなずくと、微笑んで答える。
「ありがとうございます」
 あみはホッとして礼を言うと、調理台の上に手を伸ばした。次はこれに、砂糖を入れて、白っぽくなるまで混ぜるのだ。
「……あみ……それはベーキングパウダーだ……」
 横から、ぼそりとヴォルフガングが告げる。
「えっ?! あわわ! ……ホントだ」
 あみは、自分が手にしたビンのラベルを見て、声を上げる。たしかにそれは、ベーキングパウダーだった。ここで間違えては、これまでの努力が水の泡だ。
「ヴォルフガングさん、教えて下さってありがとうございます~」
「大丈夫。おちついてやればいい……」
 慌てて礼を言う彼女に、ヴォルフガングは静かに返した。
「は、はい」
 うなずいて、あみは小さく深呼吸する。そして、今度はラベルをたしかめながら砂糖のビンを手にすると、必要な分量を測り、ボウルの中へと投入した。それを再び泡だて器で混ぜながら、彼女は自分に言い聞かせる。
(ヴォルフガングさんや先生の言うとおり、おついてやれば、大丈夫)
 大丈夫、大丈夫と心に呟きながら混ぜるうち、緊張もずいぶんとほぐれて来たようだった。

●オレンジのチーズケーキ
 一方。
 フィロメナ・フェルデナンドとヒューゴ・ハーディの2人が選んだのは、『オレンジのチーズケーキ』のコースだった。
 ちなみに、彼女がこの体験に参加を決めたのは、気まぐれのようなものだった。
 ふと、ヒューゴの好みなんて知らないな、と思ったのがきっかけとも言える。お互いのことを知るために、こういう体験も悪くないと考えたのだ。
 だから、ヒューゴにチラシを見せて、言った。
「ヒューくんは甘いもの、好き? 料理できる? 得意? 暇で、面倒くさくなかったら、お菓子作りにつきあって。……ペアで参加だから、ヒューくんが来なかったら、私1人で寂しくお菓子を作ることになるわ」
 対してヒューゴは、「誘い文句が若干、脅迫じみてるなあ」などと思いつつも、その誘いに乗った。彼女から、仕事以外の話題をふられるのは珍しかったし、甘いものも嫌いじゃなかったからだ。
 こちらのコースも、教室内はパウンドケーキの方と同じで、流しの付いた調理台がいくつか並び、その上には材料と調理器具が並んでいる。
 ただ、このコースはパウンドケーキほど人気がないのか、参加者の数は少なく、調理台は1台1組でも充分なようだった。
 フィロメナは、後ろのロッカーに荷物を置くと、慣れない手つきでエプロンを着けた。
(このエプロン、おかしくないわよね。……この材料を、どんなふうにしたら、ケーキになるの?)
 外側からは到底そうは見えないが、内心は遠足前日の子供のように、そわそわとおちつきがない。
 そこへ講師が入って来て、さっそく材料と手順の説明が始まった。
 フィロメナは、せっせとそれを持参して来たメモ帳に書き写す。
 やがて説明が終わり、お菓子作りが始まった。
 まず最初にするのは、袋に入れた10枚のビスケットを、麺棒で叩いて粉々にする作業だ。時間のかかる土台の生地作りの作業を簡素化するため、ビスケットを使うのだ。
 フィロメナは、黙々とそれをこなす。
「次はバターを溶かして……それから……」
 時々、メモを見ながら呟く彼女に、ヒューゴは小さく苦笑する。
「メモだけじゃなくて、やりながら覚えなきゃ。ほら」
 言って彼は、オレンジの皮を剥き始めた。
 彼の方は、お菓子作りは初めてなものの、多少は料理の心得もあるので、調理器具や食材の扱いにも、手慣れている。
「あ……。そうね、次はそのオレンジの皮を剥いて、果肉を粗みじんに切るのよね。……粗みじんって、どんなの?」
「粗いみじん切りのことだね。……こんな感じだよ」
 彼女の発言に、呆れるそぶりも見せず、ヒューゴは中の皮も取った果肉を、包丁で手際よく刻んでみせる。
「こんなふう?」
 フィロメナも、見よう見まねでオレンジの果肉を刻む。
「そうそう。上手だよ」
 その手元を見て、彼はうなずいた。そして、刻む方は任せても良さそうだと判断すると、オレンジの皮を剥く作業に戻る。
 それを尻目にフィロメナは、黙々と果肉を刻む作業を続けていた。
(この果肉は、土台のすぐ上と、チーズケーキ本体の上のトッピングに使うのよね。……それって、出来上がったら、どんなふうになるのかしら)
 面には現れないものの、わくわくと高ぶる気持ちを抑えつつ、彼女は胸に呟く。
 そのあとも、時々メモを見ながら調理を続けるフィロメナを、ヒューゴが補佐する形で、お菓子作りは続いた。

●ティータイム
 室内には、紅茶の香りと、焼き立てのケーキの甘い匂いが漂っていた。
 円形の木のテーブルの上には、切り分けられたパウンドケーキと紅茶のカップが二つ、置かれている。
 あみとヴォルフガングは、テーブルを挟んで向かい合わせに座っていた。
 ここは、ヴォルフガングの作業場の一画である。
 お菓子作りは終了した。
 教室で、さっそくケーキを切り分けて試食する参加者たちもいる中、あみは。
「あの……ヴォルフガングさん、ケーキ、持って帰って食べませんか?」
 そう提案した。
 人の多いのが苦手な彼を、気遣ってのことだ。もちろん、2人きりで話す機会ができるという思いもあってのことだったけれど。
「ああ」
 対して、ヴォルフガングの方も、反対しなかった。
 それで、ケーキを持ち帰り、今こうしているのだった。
 ちなみに紅茶は、ヴォルフガングが入れてくれたものだ。
「あの……先に、食べてみて下さい」
 切り分けたパウンドケーキを示して、あみは言う。計量も手順も、教えられたとおりにきっちりやった。焼き上がりもいい感じだとは、自分でも思う。それでも、少しだけ自信がなくて、それを口にする勇気がなかった。
 そんな彼女を、ヴォルフガングは黙って見やる。ややあってうなずくと、パウンドケーキに手を伸ばした。
 黙々と一切れをたいらげたあと、口を開く。
「……美味かった」
「ほ、本当ですか?」
 半ば、判決をでも待つかのような気分で、彼が食べるのを見守っていたあみは、思わずうわずった声を上げた。
「俺は、嘘なんか言わない」
 それへ言って、ヴォルフガングは食べてみろと言いたげに、テーブルの上のケーキを示す。
 あみは、慌ててそれを一切れ取った。口に入れ、噛みしめる。
 しっとりとした食感に、甘い香りが口の中に広がった。
「ホントだ。……美味しい……」
 思わず呟き、彼女は大きく安堵の息をつく。
「よかった~」
 思わず椅子にへたり込んで、声を上げた。
「そんなに、不安だったのか? 計量も手順も、ちゃんとできてたじゃないか」
 言われて彼女は、だって……と思わずうなだれる。
「今まで、上手にできたこととか、あまりなかったですから……」
「それは、今日みたいにちゃんと教えてもらったり、誰かに手伝ってもらったりしたことが、なかったからだろう」
 少し考えて、ヴォルフガングが言った。
「そう……でしょうか」
 自信なげに呟いたものの、彼の言い分にも一理あるとあみは思う。
「俺なら、いつでも手伝うから……また、こういうの作ってくれ」
「あ、ありがとうございます」
 思わず礼を言いつつ、あみは紅茶のカップを手にする。口に含んだそれは、舌に心地よく、ケーキの甘さにほどよく馴染んだ。
「美味しい……」
 思わず出た呟きに、ヴォルフガングがわずかに目元をほころばせる。
「ありがとう」
 言って、彼も自分のカップを持ち上げた。
 その姿に、あみは心の中が温かくなるのを感じた。
(ずっと緊張しっぱなしだったけど……お菓子作り、参加してよかった)
 ふと胸に呟く。
(ケーキのおかげで、ヴォルフガングさんともこうやって、お話できたし……。料理は苦手だって思っていたけど、少しだけ自信がついた気がするし)
 もう一口、紅茶を飲んで、あみはケーキに手を伸ばした。
 このケーキと紅茶がなくなるまで、こうして彼と2人、たわいのない会話を交わしながら、ゆったりと過ごすのも悪くないと感じる。
 ふと見やれば、ヴォルフガングもまたカップを置いて、ケーキの方へ手を伸ばそうとしていた。視線が合って、目元で笑いかけて来る。
 それへ微笑み返して、あみは手にしたケーキを口元へと運ぶのだった――。

●緑の中で
 一方。
 フィロメナとヒューゴの2人は、料理教室が入っているビルの、屋上にいた。
 そこは、緑の木々と花々に囲まれた庭園である。
 庭園のあちこちには、ベンチやテーブル、椅子などが何ヶ所かに据えられ、中には屋根のある東屋もあった。
 2人がいるのは、その東屋の一つである。
 白く塗られた木製の屋根の下に、同じく白く塗られた四角い木のテーブルと、椅子が据えられていて、2人はテーブルを挟んで向かい合うように座していた。
 お菓子作りは終了した。
 教室で試食することもできたのだが、フィロメナは。
「天気もいいし、外で食べたいわ」
 と、言い出した。
「なら、ここの屋上でどう? 玄関の案内板に、屋上は庭園になってるって書いてあったよ」
 ヒューゴがふと思い出して、提案する。
「いいわね。なら、そこにしましょう」
 フィロメナもうなずき、さっそく2人は出来上がったばかりのケーキを切り分け、教室でもらった箱に詰めて、ここに移動したのだった。
 テーブルの上には、チーズケーキと途中にあった自販機で買った温かい飲み物の缶が、それぞれ置かれている。
 フィロメナのはブラックコーヒーだ。
「チーズケーキって、飲み物は何が合うのかしら」
 自販機の前で、無表情に呟くフィロメナに、ヒューゴが勧めたものだった。
 もっとも、ヒューゴ自身は、ミルクティーを買ったのだけれども。
「どうして、あなたはそれにしたの」
「ミルクティーもチーズケーキに合うって、聞いたことがあったから。ただ、今まで試したことがなかったんだよね」
 問われて返すと、彼は食べようと促して、チーズケーキに手を伸ばす。
 教室でもらった箱には、紙ナプキンが2枚と、プラスチックのフォークが2本つけられていたので、彼は紙ナプキンを皿がわりにケーキを置いて、フォークの1本を手にする。
「……うん。なかなか行けるよ、これ」
 一口食べて、満面の笑顔でうなずいた。
「そう」
 うなずき返して、フィロメナも同じ要領で一切れを取り、フォークですくったかけらを口にする。
「たしかに、悪くないわね」
 言って、彼女はもう一切れケーキをすくい、口に入れた。
「最初に、料理という行為をした人を、尊敬するわ」
「そうだね。おかげで、オレたちはこんな美味しいものが、食べられる」
 ヒューゴが、くすくすと笑って相槌を打つ。そして訊いた。
「ところで、今日のお菓子作りはどう? 楽しかった?」
「ええ」
 うなずいて彼女は、テーブルに乗っているチーズケーキを見やる。
「たったあれだけの材料と手順で、こんなのができるというのが、不思議な気がするわ」
「味だけじゃなく、見た目もきれいだからね」
 ヒューゴも手を止めて、チーズケーキに目をやった。
 チーズケーキは、ビスケットを砕いて溶かしたバターと混ぜた土台の上に、刻んだオレンジの果肉と白いチーズケーキの本体が乗り、更にその上に刻んだオレンジの果肉とミントの葉がトッピングされている。
 白とオレンジ色、そして少しの緑がなんとも鮮やかなハーモニーを生み出していて、目でも楽しめるものになっていた。
「お菓子は、目でも楽しめるものだってことだね」
「そうね」
 うなずくと、フィロメナはケーキをもう一口食べてから、缶コーヒーのプルトップを開ける。中身を口にして、軽く目をしばたたく。
「あなたの言ったとおりね。チーズケーキと合うわ」
「それはよかった」
 笑ってうなずき、ヒューゴもミルクティーのプルトップを開けた。一口飲んで、「これも合うね」と呟く。フィロメナの方に向き直り、彼は楽しげに笑いかけた。
「ところで、どう? これからも、時々、お菓子を作ってみるっていうのは。1人で作るのがイヤなら、オレも手伝うから」
「……考えておくわ」
 ややあって答える彼女に、「期待してるよ」と言いつつヒューゴは思う。
(本以外のものを持ってるフィロメナが見られたのは、貴重だったってことかな~)
 それとも、これは、気が向いたらまた作るということなのだろうか。
 ヒューゴは彼女の気持ちを測ろうと、そちらに視線を向ける。だが、彼女は相変わらず内心の伺えない顔で、ただ黙々とチーズケーキを口に運んでいるばかりだ。
「何?」
「いや、なんでもないよ」
 問われて、慌ててかぶりをふって答えつつ、彼はまた一緒に何かを作ったり、こうして食べたりする機会があればいいと考えるのだった――。



依頼結果:大成功
MVP:なし

エピソード情報

マスター 織人文
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 2 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 03月08日
出発日 03月16日 00:00
納品日 03月21日

 

参加者

会議室

  • [4]あみ

    2014/03/15-18:50 

    気付かなくって、遅くなってごめんなさい~!
    一応、パウンドケーキにしようかなって思ってたんですが、なんとなくなんで、特に目当てのお菓子はありません~。

    フェロメナさんはどうされますか?一緒の作ってみます?

  • 出発まであと3日ほどだけれど、このままだと2組でプラン提出になるのかしら。
    せっかくコースが3つあるから、それぞれバラバラのお菓子を作るか、それとも同じお菓子をチャレンジするかとか、決めた方がいいのかなって。

    ・・・あみさんはお目当てのお菓子とかある?

  • はじめまして。フィロメナ・フェルディナンドというわ。

    私もお菓子作りはもとより料理もほとんどやったことないの。
    今回のお菓子作りの申し込みは、ほんの気まぐれでだけど、
    でも、楽しいものになるといいな、って思ってる。

    それでは、よろしくおねがいします(ぺこり)

  • [1]あみ

    2014/03/11-01:24 

    は、はじめまして~!あみと言います。よろしくお願いしますね。
    一緒にお菓子作りに参加できるの楽しみにしてます。

    わ、私、料理があまり得意ではないんですが…
    ひとまず、形にはなるように頑張ろうと思います。
    皆様、お菓子作りがんばりましょうね!


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