


●困惑
私、メリッサ・フェアチャイルド。16歳。お父さんのパン屋さんを手伝う、普通の女の子だった……つい、この間までは。けど、3日前に現われた男の人と会ってから、私は家に籠るようになってしまったの。だってあの人、ずーっとお店の前をウロウロしてるんだもの。
「こらぁ! 商売の邪魔だ、店の前をウロウロするな!」
「し、しかし! 私と娘さんは宿命の……」
あー、またやってる。お父さんと例の彼だ。
そう、初めてあの人と会った時、あの人はいきなり私の手を握って『やはり!』と言っていた。彼が見ていた私の左の手の甲には、いつの間にか浮かび上がっていた紋章のようなものがあるの。洗っても落ちないし、そんなタトゥーを入れた覚えもない。でも痛みは無いし、お仕事に影響は無いからそのままにしてたの。でも、それを見付けた日から間もなく、あの人が現れたの。あの人はしきりに『契約を』とか『神人』とか言って来るんだけど、私には何が何だか分からなかった。そのうちに怖くなって、お店の中に駆け込んだの。それ以来、私は店先にも出られなくなったわ。だって、あの人が見張ってるんだもの。
私たちの住んでいる世界に、精霊が住んでいる事は知ってる。彼が精霊だって事もすぐに分かった。だって帽子を取ったら、犬のような耳が出て来たんですもの。でも、別にそこに驚いている訳じゃ無いの。私と『契約』するとか、私が『神人』という特別な存在だとか……もう理解の範疇を超えていたわ。だから怖くなって、部屋に閉じ籠るようになっちゃったの。
……でも、かなりカッコ良かったのは確かね。人間のボーイフレンドはそれなりに居るけど、容姿では彼がダントツだった。ちょっと……いや、かなり惜しいけど、お近付きになったらいけない気がするの。変な宗教のお誘いだったら困るし。
●手紙
窓の隙間から、一通の手紙が部屋に押し込まれたのに気付いたのは、5日目の朝を迎えた時だった。カーテンを開けたら、その手紙が窓に挟まっていたの。差出人が例の彼だという事は直ぐに分かったわ。差出人の名前以外は書いてなかったけど、この部屋は二階にある。しかも足掛かりになる物は何もない。そんな場所に外から手紙を放り込めるなんて、人間業じゃないもの。
ちょっと怖かったけど、私はその手紙を開封して目を通した。そこにはテーマパーク 『マーメイド・レジェンディア』の優待チケットと、彼からのお誘いメッセージが入っていた。契約とか抜きで、純粋に楽しみたい……そう結ばれて。
彼が言っていた『A.R.O.A.』という組織の事は一応知っている。でも、名前を聞いた事があるぐらいで詳しくは知らない。いや、正確に言うと、お父さんから『関わってはいけない』って止められてたの。だから詳しく知ろうとしなかった。お父さんは何かを知っているみたいだけど、怖くて訊けなかった。
その手紙に信憑性は無かった、しかし私の心は揺れ動いた。だって彼が必死なのは見て分かるんだもの。でもお父さんが許してくれる筈は無いし、『A.R.O.A.』という組織の秘密も怖い。だから私はその手紙をそっと引き出しに仕舞い、見なかった事にしたの。でも、その日から何日経っても、彼は……アルフォンスはずっと、私の部屋に熱い視線を送り続けている。雨の日も、風の日もずっと。そのうち、私は気が付いてしまった。いつの間にか、彼を目で追ってしまっている自分に……
●不屈
彼は今日も、メリッサの家の近くに陣取って、彼女が出て来るのを待っていた。だが、昼を過ぎても、日が暮れかけても彼女は外に出て来ない。やがて薄暮の空に星が瞬き始めると、彼は『今日もダメだったか』と諦めて帰ろうとした。すると、意外な人物が背後から声を掛けて来た。メリッサだ。
「……お手紙、ありがとう……あ、あの……で、デートするだけなら……契約とか、そういうの無しで良いなら、私……」
「本当!?」
「シーっ! お父さんに見付かったら大変! ナイショで出て来たの」
「……キミがデートに応じてくれる、それだけで満足さ」
パチッとウインクをすると、彼はデートの日取りと待ち合わせ場所・時刻を決め、OKを貰うとスッと背を向けた。
日取りは明後日、日曜日の午前10時。場所は『マーメイド・レジェンディア』正面ゲート前。但し彼の友人を含むカップルを伴っての合同デート、お弁当は各自持参というのが条件となっていた。この時点で、アルは第一関門を突破していたのだった。
●思索
「おススメはシアター・メリーゴーランドにムーンライト・ロードか。ムードを高めるには最適だろうな。レストランはあるけど、高いからな。弁当持参は正解だな。で、ラストは観覧車、ブルーム・フィールで夜景をバックに……いける!」
アルはガイドブックと首ったけで当日のプランを練っていた。彼にとっても初となるデートなので、念入りにアトラクションや食事の場などをチェックしていたのだ。
「彼女、どんな格好をしてくるかなぁ……」
メリッサを誘えた、その喜びだけでアルは頭が一杯だった。だが彼は大事な事を失念していた。そう、メリッサは厳しい父に常に監視されているのだという事を。そして、メリッサが未だ全面的には彼を信頼していないという事を。
「合同デートにせざるを得ないのが癪だけど、仕方が無いよな。リードの仕方やムードアップのコツなんか分からないし、もし話題に詰まったらそこで終わりだ。だから彼らにお手本を頼んだんだからな」
そう、アルはまだ女の子をリードする自信が無い。だから友人たちに声を掛け、集団デートを頼んだのだ。少しだけ先を行く先輩にアドバイスを貰いながら、さり気なく異性の気を惹くにはどうすれば良いかを体得する為に。
「とにかく、15時のティータイムまでにムードを作っておいて、そこでパートナーになってくれと頼むのがベストだ。先輩達には、契約は怖くないという事を仄めかして貰うよう、フォローを頼んである。そして全ての懸念をクリアした後、夜景を観ながら余韻を楽しんで……ラブラブの仲間入りをするんだ! そうすればA.R.O.A.の仕事も貰えるようになる! 完璧だ!」
……それが彼のプランの全容だった。午前中で打ち解けて、昼食は手作りのお弁当、午後は更に話しやすい雰囲気を作って、勢いに乗ってパートナーになってもらう、というものである。よって、彼にとっての最重要ミッションはオープンテラスで予定しているティータイムである。ここで失敗したらその日のミッションは失敗と考えても過言ではないだろう。
●父親
「お父さん、今度の日曜日、お友達と遊びに行っても良い?」
「……女の子か?」
背を向けたまま目線だけを此方に向け、短く答えた父の言に、メリッサはやや萎縮しながらも懸命に嘘を吐いた。
「そ、そうだよ! 皆で『マーメイド・レジェンディア』に行くの!」
「……日暮れまでには帰って来なさい、夜遊びは許さん」
短く言葉を切ると、父は再びフイと目線を逸らしてしまった。
「ねぇ、お父さん……『A.R.O.A.』って何なの?」
「!! ……命を大事にしたいなら、近寄ってはいけない所だ……」
父親は右脚に装着された義足に目をやりながら、そう答えただけだった。
そんな父の姿を見て、メリッサはそれ以上追及する事は出来なかった……


●目的
プロローグ本文で察しが付くかとは存じますが、アル君とメリッサのデートを成功させ、二人をウィンクルムにしてあげるのが最終目標となります。アドバイスをしたり具体的なお手本を見せたりして、未熟……と云うか不慣れなアル君を手ほどきしつつ、良い雰囲気にしてあげてください。その際、PC各位も自分たちのデートを楽しみ、親密度をアップさせてください。アル君はそれを見て真似をする筈です。
なお、15時にオープンテラスでティータイムを取る予定ですが、そこでアル君はメリッサにパートナーになって貰うよう頼む予定でいます。PC各位はその際、A.R.O.A.は怖いところじゃないよ、とフォローを入れて、アル君を援護してあげてください。尚、お勧めメニューの価格は下記の通り。
・珈琲 40ジェール
・紅茶 40ジェール
・生ジュース 45ジェール
・シャンメリー(ボトル) 100ジェール
・ケーキ(ショート) 50ジェール
・ケーキ(5号ホール) 300ジェール
●売店
テーマパークの各所には売店があり、ジュースや軽食が買えます。
・ジュース 15ジェール
・アイスクリーム 25ジェール
・チュロス 20ジェール
・ドーナツ 20ジェール
●門限
さて、アル君は門限の事を意識しておりません。たぶんメリッサは雰囲気に流され、言い出す事が出来ないでしょう。なので、PCの方が察して、さり気なくフォローして下さると助かります。因みに、帰宅には徒歩で30分を要します。
●お父さん
最後に、お父さんをどうするかです。お父さんは過去にオーガに襲撃され掛けたところをウィンクルムによって助けられていますが、その際に脚を失う大怪我をしています。ウィンクルムが悪いのではないと理解はしていますが、どうしても納得できないようなのです。お父さんに内緒でウィンクルムになるか、アル君が男になるか……それを一緒に考えてあげては貰えないでしょうか。
はじめまして! 県 裕樹(あがた ゆうき)と申します。ゲームマスター歴1年チョイの、新人に毛が生えた程度のペーペーですが、宜しくお願いします!
さて、このたびハピネスエピソードとしてご用意させて頂きましたこの作品、精霊のアルフォンス君は男性ですが、メリッサが怖がるといけないので、女性PC限定のコースを選ばせて頂きました。
デート未経験の二人にアドバイスしつつ自分達もデートを楽しむという、少々忙しいストーリーとなりますが、ある程度アル君たちが良い雰囲気になったなと判断したら、自分たちのデートに専念しちゃっていいと思います。
だって、このゲームの主役は皆様なのですからね^^
あ、でも! 15時のティータイムは忘れないであげてくださいね。では、お楽しみ頂ける事をお祈りしています!

◆アクション・プラン
ペスカトーレ・ベローチェ(ヴィーグル)
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雰囲気としてはアリッサとアル君とベローチェとヴィーグルのWデートみたいな感じで ベローチェはお茶会の際にフォローを入れる役割に回る |
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アルが席を外している間にメリッサに仕事道具の『恋人』のタロットカードを渡す。 恋人のカードは、選択の時という意味合いもあるのです。 本当は来るのも不安だったでしょ?それでもがんばって向き合うことを選択したキミへ、今日一日のお守り。 大丈夫、ボク達もアルもキミを進んで危険なところに向かわせたいわけじゃないのです。 ふあ、一仕事したら眠くなってきちゃった。ベンチで休憩ー… 平気、ティータイムの時間までにはちゃんと起きるです。 …いつもありがとね、ニコ。 あ、ニコ。ニコ。そのチェロスボクにも一口頂戴ーですー(無自覚) ほんとはもっといたいけど、もう少ししたら暗くなるから戻らないとね。家まで結構かかるです? |

エピソード情報 |
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|---|---|
| マスター | 県 裕樹 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 女性のみ |
| エピソードジャンル | イベント |
| エピソードタイプ | ショート |
| 難易度 | 難しい |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 2 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 02月16日 |
| 出発日 | 02月24日 00:00 |
| 納品日 | 03月05日 |

2014/02/21-17:27
チャオ~ こちらこそよろしく~
とりあえず~ アルくんとメリッサお姉ちゃんのサポートしながらいちゃつこうよ!
2014/02/20-12:37
ちょっと遅れたけど挨拶!よろしくお願いしますーですっ
んん、こうしたいってのはできてるけど、門限のことまで入れて文字数足りるか微妙…汗

