


「それでは、是非に!是非に!!……宜しくお願い申し上げます」
「は、はぁ……」
A.R.O.A.本部ではオーガ討伐には受付を通す必要がある。
その受付に、バトラーコートを着た初老の紳士が、緊迫した表情で受付嬢に念押ししていた。
受付嬢も思わず冷や汗が流れる。
「それでは、こちらが前金となります。後ほど依頼主をお連れしますので……直々に説明をさせて頂きます」
「え?ちょ、ちょっと……それは困ります!」
初老の紳士は問題の依頼人を連れてくるために、受付嬢の声に振り向かず
依頼料の前金を置いてそのまま立ち去っていった。
そう、『問題のある』依頼人を。
***
「あー……お前ら、よく来た。いや、『来ちまったか』って方が正しいか」
A.R.O.A.の若い男性職員が疲れ気味の表情でウィンクルム達を迎えた。
「今回の依頼なんだがぁ……」
「わたくしから説明させていただきますわっ!」
男性職員の隣に、可愛らしい少女が座っていた。
……どこから持ってきたのか、真っ赤なベロアの椅子に座って。
「こちらのお嬢さんは、ドロシー・ダウズウエル……さる貴族のお嬢様で、今回の依頼人だ」
「よきに計らいなさいませ、庶民の皆様」
ドロシーは蜂蜜色のウェーブ髪をしていて見た目は人形のように愛らしく、ベロアの椅子に座る姿も様になっている。
が、どうやら性格の方は少々問題があるようだ。
「ウィンクルムの皆様もお忙しいのでしょう?ですから、わたくしの訓練を指導して対等の力を身に付けさせて下さいませ」
「「……はぁ?」」
ウィンクルム達は一様に首をかしげた。
本来、オーガを倒すには神人と精霊……ウィンクルム達の愛の力が必要不可欠になる。
どちらか片方だけでは成立しないし、ましてや一般人が対等の力を身に付けることはできない。
「訓練する場所もしっかりご用意しておりましてよ、爺や!地図をもちなさい!!」
先程、受付に来ていた初老の紳士……爺やが黙々とホワイトボードに地図を広げる。
「場所はタブロス近郊に用意しました、お忙しい庶民の皆さまへの配慮もしっかりなさいましたでしょう?」
ドロシーはふふんと自慢げに鼻を鳴らした。
「アスレチックのスライダー、登り棒、平均台……グラウンドのサーキットもございましてよ」
郊外の森の拓けた場所に設置されているらしく、200mグラウンドの中心に3mの登り棒4本と5mの平均台3台。
グラウンドの傍らに50mのロープスライダーが設置されているようだ。
森の周辺は簡素な小屋が一軒建っており、ここは休憩用の施設らしい。
「ちょっと待って、さっきから聞いてると全くオーガと関係ないじゃない!」
一人の神人がドロシーのワガママに対して異を唱えた。
たしかに、ここまでの話を聞いている限りだとオーガはおろかゴブリンのゴの字も出ていない。
「ふふふ、わたくしを甘く見ないでくださいませ……施工業者が、周辺に角の生えたコボルトを見たそうですわ?」
不敵な笑みを浮かべるドロシーがオーガの出現を仄めかす。
「でも、それって又聞きでしょう?あなたの嘘かもしれないじゃない」
「なにをおっしゃいますの?!『少しでも可能性があるならば、それを調査・討伐するのがA.R.O.A.の仕事』でございましょう!?
それにわたくしは嘘など申しませんわ!!」
「落ち着け、依頼人の言っていることももっともだ」
神人の言い分に対して、ドロシーも言い返す。
これを見かねた精霊が神人をなだめる。
……可能性がゼロではない、A.R.O.A.が断れなかった理由もそこだろう。
「これだから庶民は嫌ですわ!それでは、私もご用意があるので失礼いたします……爺や!」
したり顔のドロシーはベロアの椅子(に見えたが足に車輪がついていた)を爺やに押させて部屋を出ていった。
***
「はぁ、ようやく帰ったか……まぁ、聞いての通りだ」
男性職員はうんざりした顔でもう一度ウィンクルムたちに向き直った。
「お前達なら解るだろうが、ウィンクルムでなければオーガは倒せん。一般人がどれだけ頑張ったところでな」
気を取り直した職員がウィンクルムに改めて伝える。
「あのお嬢様を諦めさせてくれ、納得させた上でな。『建前』については任せる」
建前……先ほどの『角の生えたコボルト』の目撃情報の又聞きのことだ。
職員は『依頼の口実』と思い込んでいるようだが、実際に調査しなければ解らない。
「ちなみにドロシーは今のところ神人としての適性もない、ホントの一般人だ。訓練するにしても加減は考えておけよ?」
男性職員は溜め息を吐きながら、同じく溜め息をつくウィンクルム達を見送った。


成功条件:
ドロシーを納得させて、諦めさせること
失敗条件:
ドロシーを納得させられない
ドロシー・ダウズウエルについて:
超がつくほどのワガママお嬢様、13歳。
神人の適性は今のところ無く、一般人。
運動神経も鈍く、頭もちょっと弱い。
性格が災いして、友達と呼べる人はいない。
かなりの負けず嫌いですが、裏を返すと頑張り屋です。
ムチばかりではなく、アメを与えるのも最善でしょう。
オーガについて:
ドロシーから又聞きのコボルト目撃情報がありますが
これは調査しなければ解かりません。
ドロシーの言葉を信じるか否かにかかっています。
真実を見抜けなければ、痛いしっぺ返しがあるかも……。
木乃です、これくらいクセの強いお嬢様の方が好きですね、はい。
今回はアドベンチャーの簡単な推理となっています。
ドロシーの性格は典型的なお嬢様タイプです、
そこから推理するとラクだと思います。
それでは、ご参加を楽しみにお待ちしております。

◆アクション・プラン
アガサ(ヘルゲ)
|
■オーガ調査側 まず施工業者にオーガを目撃した事が本当か確認 本当ならその時の詳しい状況を聞く 嘘であった場合でも一応周辺を探索 何も無ければそのまま訓練組と合流 訓練の様子を傍観 ■戦闘になった場合 戦闘:精霊に任せ気味 自分に向かってくる場合戦闘態勢は取るが回避に徹する 状況が悪い場合は一端引いて訓練組に応援を頼む オーガが出現下場合通信機にて連絡 なんらかのアクシデントで通信機が使えない場合かつ 訓練組と距離が近ければいつも首から下げている笛を ■心情 子供の相手は得意でないので調査側である事に少し安堵 精霊との距離感を掴みあぐねている ■持ち物 携帯医療セット 笛 通信機 |
|
ドロシーさんの訓練の方で頑張りたいと思います。 基本的にはドロシーさんに合わせて、 ついて来れる難易度の訓練を行います 上手くいけば一緒に喜んで見せますし、 ダメならしっかりアドバイスを。 用意された施設を主に使っていきます 私達にはできないこと(というか私にはできないこと) で彼女の得意なことがあれば 積極的に誉めます。 加えて、A.R.O.Aより先に角のあるコボルドの情報を得たことを例に、 情報面で戦えることを示してあげたいです 戦闘になったら、基本的には精霊より後ろに配置して ヒット&アウェイで戦局が見やすいように 危なそうなら積極的に声掛けを |
|
ドロシー、さん?(初対面の人にはさん付けしないとディエゴさんが怒る…)が嘘じゃないって言ってるから本当の事じゃないかな… コボルトが出るまでは…んー…訓練所の使い方を教えて欲しいな ごめんね…この棒とか、台とか、使い方覚えてないの。 指導というか、一緒に訓練をしていけば私もドロシー、さんも頑張れるんじゃないかな。 神人の適性が無いって言うからには、戦闘はさせちゃダメだよね。 ドロシー、さん、頑張り屋だから無理して突っ込んじゃうかも 訓練所を作ってくれて使い方まで教えてくれた良い人だから ドロシー、さんが怪我したら悲しいって気持ちを伝えよう。 一緒に戦えなくても、こうやって一緒に運動を頑張っていくは駄目かな…? |
|
ドロシーさんは、お体を鍛えたらオーガを倒せると信じているようです。 本当なら間違っているとお伝えしたい。 ですけど、ここは1つ彼女の訓練法にお付き合いしましょう。 脚力と持久力を鍛えて下さいね。 彼女には登り棒に2mほど登った後、10秒間しがみついていただきます。地面から30cmに赤いテープを貼ってますから、ここから下がっちゃいけませんよ。 でも本当にオーガを退治したいなら、これぐらいドロシーさんにもできるはずです。 休憩はしたい分だけ、させます。安心して下さい。 万が一、オーガの情報を聞いたら、現場にかけつけます。 持ち物:通信機、携帯医療セット、ペン付きメモ帳。 |
| 名前:葵 呼び名:葵さん |
名前:レント 呼び名:レント君 |
| 名前:ハロルド 呼び名:ハリー又はハル |
名前:ディエゴ・ルナ・クィンテロ 呼び名:ディエゴさん |

エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 木乃 |
| エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
| 男性用or女性用 | 女性のみ |
| エピソードジャンル | 推理 |
| エピソードタイプ | ショート |
| 難易度 | 簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 4 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | 通常 |
| リリース日 | 02月28日 |
| 出発日 | 03月09日 00:00 |
| 納品日 | 03月15日 |

2014/03/08-23:44
通信機、携帯医療セット……確か3つまででしたね。
残り1つはペン付きメモにしましょうか……。
2014/03/08-23:38
狼煙は…すぐに用意出来るかどうか微妙だし通信機かしら
調査場所と訓練場の位置関係がよくわからないけれど、もし近場なら
メガホンや笛を吹いて知らせるのでもいいかもね
とりあえず通信機は持って行く事にするわ
2014/03/08-23:32
そうですね。
携帯医療セットに加えて、通信機(トランシーバーなど)も全員持った方がいいかもしれません。
出現した事を知らせる方法は……そうですね……。
先程言った通信機か、のろし、メガホンを勧めています。
2014/03/08-23:25
文字数制限で入らなかったわ
持ち物は怪我をした場合の事を考えて携帯医療セットを。
それと、確かに訓練場に出現する可能性もあるわね。
出現した事を知らせる方法とか決めた方がいいかしら。
2014/03/08-23:21
シエテ>
進行ありがとう、出発時間が近いから急がないとね
オーガの目撃情報調査に関して今の所私がしようと思う事は
■まず施工業者に真偽を確かめる。
→本当にオーガを見たという場合:出来れば調査グループ側で穏便に片したいけれども
危険な場合は訓練組に応援を頼もうと思う。オーガを見たと言ってもデミ・オーガである
可能性もなきにしもあらずだから、デミ・オーガであった場合は速やかに片づけるわ。
→オーガを見ていないという場合:それでも一応周辺を調べて何もいない事を確認したら
訓練組に合流しようと思うわ。そこで何かと遭遇して戦闘になるような事があった場合は
同上の対応で。
2014/03/08-23:08
二重投稿になります、ごめんなさいね。
私はドロシーさんとの訓練にお付き合いしたいと思います。
ハロルドさんはよろしければ、アガサさんと調査の方に回っていただけませんか?
勝手に仕切ってしまい、ご不満に感じているかもしれませんが、
あと53分で出発してしまいますので何かありましたら、早めにご意見を下さると助かります。
2014/03/08-22:50
アガサさん>
調査の方ですね、よろしくお願いします。
どういった方法をとるかは、アガサさんのお考えに任せたいと思います。
葵さん>
訓練の方ですね、了解です。具体的な内容は葵さんの自由で構いませんのでよろしくお願いします。
ハロルドさん>
そうですね。
言い分を信じて訓練するのに、裏側で調査をするのは、一見矛盾してるかもしれません。
でも、オーガを目撃したとはいえ、正直いろいろな面で漠然としています。
なので出現する時間帯や時期、単体で出るか群れで出るか絞り込みたいのです。
もしかしたら、ドロシーさんの訓練施設にオーガが出る可能性もありますから。
ところでハロルドさんは、調査と訓練、どちらに回りますか?
2014/03/08-20:28
私もオーガの話は信じる事にしているわ。
何もなくて無駄足でも出ない方がいいに越したことはないわ
2014/03/08-20:10
あ、私は、はい、全面的に信じてますー
それに、何もなかったらその方が良いにきまってますし
それを確かめるためにも調査は必要だと思います
2014/03/08-19:40
相談に乗り遅れてすみません!
こちらは言い分を信じて訓練をする、という方針だったのですが大丈夫でしょうか?
2014/03/08-19:12
私はじゃあ、訓練のほうでいきますね
確かに負けず嫌いに火をつけないほうが良いですし、
ついていけそうな訓練で誉めていこうと思います
2014/03/08-17:55
ドロシーのご機嫌をとるなら、実戦を見せてハードルを上げると
負けず嫌いだし余計に燃え上がってしまわないか少し不安があるわね…
シエテや葵の言う通り、基本的にはおだててご機嫌を伺いつつ、
彼女の得意そうな事を見つけてあげる事かしら。
それと訓練は彼女でもついていける程度に手加減をしてあげて、
でも手加減していると悟られないようにしたほうがいいんじゃない?
手加減されているとわかったら彼女、怒ってしまいそうだし。
私も私の精霊も、そうやっておだてたりご機嫌を伺うのはあまり
得意では無いから別れて行動するなら出来ればオーガの目撃情報の調査に行きたいわ。
2014/03/08-07:11
そしたら、ドロシーさんの訓練にお付き合いする方と、オーガの目撃情報を調査する方。
2人ずつに別れます。
ドロシーさんの訓練にお付き合いする方は、彼女のご機嫌を損ねないよう発言や態度に気をつけて、ご協力お願いします。アガサさんが仰るように、一定の実力がついたら、その実力を他の事にも生かせないか、彼女に持ちかける方がいいと思います。
オーガの目撃情報を調査する方は、施工業者の方に尋ねるのが一番早いですが、出来るようでしたら周辺の住人に尋ねたりなどして情報を聞き出して下さい。オーガが出現する時間帯や時期(昼夜など)を絞り込む為でもあります。
2014/03/07-22:23
はじめまして、葵っていいます。
よろしくお願いしますね。
わたしも、ドロシーさんの言い分に乗って
一度訓練をしてみるのは良いと思います。
施工業者さんからスムーズに話を聞くためにも
ドロシーさんの協力は得たいですし、
いっそ探索もウィンクルムの大事な能力、とかで
聞き込みに同行してもらったりは…
ダメですかね。
実戦を見せてハードル高くして、
それ以外の所で私たちより優れてる所を見出してあげれないかなーとか
2014/03/07-16:35
初めまして、アガサよ。
今回の依頼はよろしくね。
この手のわがままお嬢さんは頭ごなしに言うのはあまりおすすめ出来ないわね。
負けず嫌いだけど頑張りやなら、少し持ち上げてあげた後に
別の可能性を示唆してあげて、努力する方向を逸らしてみるのはどうかしら。
オーガの目撃情報についても調べないとだし、
二手に別れる方がいいかもしれないわ。
2014/03/07-01:07
理解……ですか……。
私でしたら、ドロシーさんの言い分を否定せず、一度信じようと思いますね。
あの子は、訓練をすればオーガを倒せると思い込んでいますから、彼女の訓練法に付き合う事が彼女を理解する事になるからです。
とはいえ、オーガの目撃情報は気になりますから、近隣の方にもお話を聞きたいと思います。
どちらかがドロシーさんの訓練に付き合い、もう一方がオーガの調査をする事になるかもしれません……。
2014/03/06-23:16
はじめまして、ハロルドです
んー…推理は苦手なのですが、とりあえずドロシー、さんの事を理解した上で納得させるのが後味もいいかなとか思います。
2014/03/06-22:38
はじめまして、七草・シエテ・イルゴです。
今回がオーガ討伐初になりますが、皆様、どうぞ、よろしくお願いします。
コボルトの目撃情報がとても気になりますが、近くの住人達に話を聞いたり、私達が現場に行くしかなさそうです。
また、そのコボルトが現れたら、ドロシーさんには体感してもらわないと。
普通の人ではオーガを倒せないという事を。
あ、ごめんなさい! 私とした事がっ……つい先走ってしまいした。

