【バレンタイン】小さ町のチョコフェスタ(高峰 マスター)

プロローグ


2月14日前夜。
バレンタイン城より訪れるカカオの精。
かれらが届けるのは、恋するココロへの希望……大切な人へと贈るチョコレート。
そのチョコレートには、二人の愛情を深める不思議な力が宿るという。


タブロス近郊の小さな町、ラベリア。
ここではそんなバレンタインのお話にあやかろうと、毎年チョコレートフェスタが開催されていた。
町全体がハートとピンク色で装飾され、観光客や商人で溢れにぎわっている。

メインストリートには美味しそうなチョコのお菓子が売られる屋台が並ぶ。
チョコそのものは勿論、チョコクッキーや、チョコ饅頭、フルーツにチョコをつけたものまで。
ずらりと屋台を見ながら、様々なチョコレート菓子の食べ歩きができるだろう。

その先にあるお洒落なカフェ。
そこでは座って一息つきながら、チョコレートのデザートが楽しめる。
中でも、この時期しか売られないホットチョコレートが一番の人気らしい。
甘さが苦手な人用にとビター風味のホットチョコレートも用意されている。
他にも様々なケーキが、ショーケースに並んでいる。
オープンテラスで町の賑わいを眺めつつ楽しむのもいい。

メインストリートをさらに歩いていけば、ちょっとした広場に着く。
円形状の広場の中心には、ある言い伝えのある大きな噴水。
その噴水の前で贈り物を渡すと、その思いが相手に届き一層仲良くなれるとか……

メインストリートの屋台やカフェ、噴水広場。
この町で過ごす特別な一日。
どうかあなたの思いが、大切な人へと届きますように……

解説


舞台はタブロス郊外にある小さな町。
普段は観光客は訪れないような静かな町ですが、この時期のチョコレートのお祭りには特に力をいれているようです。
できる事は主にこの3つ
いくつか選んでいただいても大丈夫ですので、どう過ごされるかの参考にしてください。

1.メインストリートを挟むように並ぶ屋台を見てまわる
2.メインストリートや噴水広場の見えるカフェでのんびり
3.噴水広場で贈り物を渡す

※言い伝えのある噴水広場ですが、もちろん他の場所でチョコレートを渡していただいても構いません。

描写の時間帯は昼から夕方にかけてとなります。

●プラン
アクションプランへ、どのタイミングで、どうやって精霊へチョコを渡すのかをお書きください。
カカオの精にもらったチョコレートでも構いませんし、この町で新しく買っていただいても大丈夫です。

ゲームマスターより

はじめまして、高峰と申します。
ほのぼの、コメディ方面の描写を好んで書きます。
この度はじめてのシナリオとなりますが、
ご縁ありましたらば、どうぞよろしくお願い致します!


バレンタイン向けのハピネスシナリオ。
大切な精霊さんにプレゼントを渡すお手伝いをさせていただければと思います。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

アルヴィン=ハーヴェイ(リディオ=ファヴァレット)

 
バレンタイン…かぁ。
普段だったら意識しないんだけど、今回は特別…かな。
カカオの精からチョコ、貰ったし。リディに渡しておきたいな。

…何だかドキドキして落ち着かないしカフェでのんびりしてから、噴水広場でチョコを渡す事にしようっと。
言い伝えがホントかどうか分からないけど、その方が良いかもだし。
夕方になって渡せば大丈夫、かな。渡す時に顔が赤くなってたりしたら格好悪いし…。

渡す時にはちゃんと気持ちを伝えないとね。改めて口に出すとちょっと照れるけど。
あの時助けてくれて有難う、出会えたのがリディで良かったって。
…あと、これからもよろしくねって言っておかなきゃ。



信城いつき(レーゲン)
  レーゲンのやつ、最近仕事で内にこもって
ろくに睡眠も食事もしてやしない
なのでバレンタインフェスタに誘って外に引っ張り出そう

でもこんな状態でいきなりチョコとか食べたら胃に悪そうだ
まずは何か食べるもの……といってもやっぱりチョコ関係多いな
あ、フルーツのチョコがけあった。これならいいかな

バレンタインな雰囲気を期待されてたようだけど
確かにせっかくのイベントだけど、
俺はお前の体調の方が大事なの!
でも、カカオの精からからもらったチョコは持ってきてるから
ちゃんと食事したら渡すよ

噴水のとこで渡したら、もっと仲良くなれるみたいだから
そこ行こう

知り合って間もないけど、せっかく契約したんだ
これからもよろしく


ルイード・エスピナル(ドルチェ・ヴィータ)
  【2】
(余裕があればその後【3】)

別にそーいうアレじゃないんだけどな、今後一緒に戦っていくパートナー?ですし?親睦を深めるのは大事だろうよ!
等と言い聞かせつつドルチェをカフェに誘う

慣れない店の雰囲気に始終そわそわしっぱなしですが
甘党なので頼んだホットチョコとガトーショコラに超ご機嫌
この風習考えた人天才じゃねーの?
まあ貰った事は無いんだが
お前は毎年一杯貰ってそうだよな…いや、別に嫉妬とかじゃねーし

(可能なら噴水前に移動した後/店内でも可)
ほらよ(シンプルなラッピングのチョコを相手に投げて寄こす)
一応オレからも…その、なんだ…これからよろしく的な意味を込めてだな…(ごにょごにょ
い、いらんなら返せ!



ランスロット・イングリス(リンドグレーン)
  【時間帯】

昼間:1.メインストリートを挟むように並ぶ屋台を見てまわる

夕方:3.噴水広場で贈り物を渡す


【感情】:
噴水広場でチョコレートを渡そうと考えているので、少し緊張気味だが屋台はそれなりに楽しんでいる



【チョコレート】:
(カカオの精にもらったチョコ)

タイミング→噴水広場で


「一応、パートナーだから」「少しはイベントに則ってもいいと思っただけ」と色々言い訳をしながら渡すが最後に「信頼している」と小さい声で呟く


●ランスとリンド
タブロス近郊の小さな町ラベリア、そのメインストリートへと続く道。
チョコフェスタの最中はたくさんのチョコ商品屋台がならんでいる。
活気溢れるその賑やかさに我慢できないのか、一人の青年がメインストリートの入口へと駆け出していた。

「見ろよランス!いろいろあるぜー」

「ああ」

入口に立ち止まり並ぶ屋台を眺め、瞳を輝かせたリンドグレーンが振り返り声をあげる。
少し後方を歩いていたランスロット・イングリスがやや呆れつつも頷けば、リンドグレーンは嬉しそうにその場で飛び跳ねた。

「もー、美味いもんが売り切れちゃうぜ」
ランスロットが来るのを待ってから、唇を咎らせ遅いぞと抗議するリンドグレーン。
肩を並べ一緒に進みながらも、ランスロットは前をむいたまま口を開く。

「売り切れはしないだろ」

「わかんないぜー!」

はあ…、とリンドグレーンを一瞥したランスロットといえば、彼も自分なりに屋台を楽しんでいた。
リンドグレーンのように屋台へと駆けていって目を輝かせる、なんて事はしないが……
と、横にいるはずのリンドグレーンを見やれば、すでにそこにはいない。
少し後ろの屋台で立ち止まり、熱心に中を覗いているようだ。
また一つため息を零しつつも、ランスロットはその屋台へとむかうのだった。

リンドグレーンが立ち止まっていた屋台には『名物チョコ饅頭』の文字が書かれていた。

「あ、ランス」

「何してるんだ」

「これこれ!うまそうだよな。食べたくないか?」
リンドグレーンの言葉に彼が指差したチョコ饅頭を見る。
確かに美味しそうだ……
しかしこれからリンドへとチョコを渡すことを考えると、とても喉を通りそうにない。
じぃー、とチョコ饅頭を数秒見つめた後、ランスロットは呟くように言った。

「いらん」

「えー美味そうだぜー」

つっけんどんに返しつつも、チョコ饅頭を見つめるリンドグレーンの姿を見ていてふと思い至る。

「……キミが食べたいんだろう」

「ばれたか!」

「まったく……」

ランスロットの言葉に歯を見せ笑い、また次の屋台へと駆けるリンドグレーン。

「こっちも美味そうだな。あ、あっちも」

はしゃぎながら屋台を見て回る姿に今日何度目かのため息ををつく。
確かに様々な屋台があり珍しいものには目も奪われる。
街中では見ないようなかわった料理も並んでいた。
だがしかし、あれでは迷子になってしまうぞ……とリンドグレーンを探せば遥か前方に姿が見える。
やれやれ、とランスロットは静かに街の空気を楽しみながらリンドグレーンの後を追うのだった。



一通りメインストリートの屋台を見て周り、ランスロットとリンドグレーンがやってきたのは噴水広場。
リンドグレーンに付き合い、何往復がしたのでもう辺りはすっかり夕方になっていた。
噴水も、夕日をあびてキラキラと光っている。

「綺麗な噴水だな」
リンドグレーンが噴水の縁に手をかけ見上げながら、すげーなあと感嘆の声をあげる。
そんな彼に、ランスロットは後ろから声をかけた。

「おい」

リンドグレーンがこちらを向くのを確認し、ランスロットはチョコレートを差し出す。

「……一応、パートナーだから」

「チョコ?」

「少しはイベントに則ってもいいと思っただけだ」

そんな言い訳交じりにチョコを渡すランスロットに少し笑いながらも、リンドグレーンは嬉しさを隠さずにチョコレートを受け取った。

「やった!いいのか?」

「ああ…………信頼している」

チョコが手を離れる間際小さな声で呟いたが、チョコに夢中なリンドグレーンには聞こえていないようだ。

「ありがとな、ランス!」

べつに、とランスロットはそっけなく返すがリンドグレーンは満面の笑顔で嬉しそうだ。
言葉は聞こえていなくても、気持ちはきっと届いている。
大事にそうにチョコを抱えるリンドグレーンは当分の間、機嫌が良かったらしい。


●いつきとレーゲン
最近仕事で部屋にこもっているため睡眠も食事もろくにしていないだろうと、信城いつきはレーゲンをバレンタインフェスタへと誘いだした。
それもこれも、レーゲンとしてはこうして今日休めるようにと前倒しで働いてたのが理由だったのだが……
レーゲンは働いた甲斐があった、と嬉しそうに微笑み二人で街へと繰り出した。

やってきたのは様々なチョコ商品の屋台が並ぶメインストリート。
いつきは何かを探しているようで、並ぶ屋台をきょろきょろと見ながら歩いていた。

「うーん」

「何か食べたいの?」

悩んでいる様子のいつきに、レーゲンが声をかける。

「いや、ちょっと………あ!」

いつきが何か食べたい訳ではないらしい。
レーゲンが不思議に思い首を傾げていると、気になる何かを見つけたらしいいつきが一件の屋台へと走っていった。
慌ててレーゲンも後を追う。

「よし、これならいいかな」

その屋台では何種類かのフルーツに、チョコをかけたスイーツが売られていた。
どうやらいつきはそれを買うらしい。

「フルーツのチョコがけ?」

「うん、美味しそうだろ」

「ああ、そうだね」

いつきは満足気に頷いて2人分注文する。

「そこのテーブルで食べていいみたいだからさ、一緒に食べよう」

「それじゃあテーブル、ふいておくね」

「ああ、頼む」

屋台脇の小さなテーブル。
そこに二人並んで食べる事にする。
いつきから受け取ったフルーツを食べているレーゲンが、ふと顔をあげぽつりと呟いた。

「少しは期待したんだけど……」

なんてね、と付け足しレーゲンはフォークを刺したフルーツを一つ口にいれる。
確かに、いつきの行動はバレンタインの空気を感じさせないものだった。
その言葉に、いつきはレーゲンをまっすぐ見つめて言う。

「確かにせっかくのイベントだけど、お前の体調の方が大事なの!」

ろくに食事をとっていない状態で、いきなりチョコを食べるのは胃に悪い。
そう思ったいつきは、屋台の中から食べ易そうなものを探してくれていたらしい。

「私を心配してくれたの?……ありがとう」

思いもよらないその答えに、レーゲンは嬉しそうに微笑む。
だからさっきチョコレートが少ない方をくれたのか、と一人納得。

「ああ、だからちゃんと食事しろよ」

カカオの精からもらったチョコだって、ちゃんと持ってきている。
食事したら渡すから、とのいつきの言葉にレーゲンも大きく頷いてフルーツを食べ進めるのだった。



噴水広場の前で渡せば、もっと仲良くなれる。
そう聞いてやってきた、大きな噴水の前……

「なあレーゲン、ちょっといいか?」

「うん、どうしたの」

並んで歩いていたが、立ち止まって声をかけるいつき。

「知り合って間もないけど、せっかく契約したんだ」

明るく笑いながらカカオの精からもらったチョコを取り出し、レーゲンへと手渡す。

「これからもよろしく」

「ありがとう……ああ、こちらこそよろしくね」

仲良くなりたいといういつきの気持ちを嬉しく思い、レーゲンはにっこりと微笑みながらチョコを受け取った。

「せっかくだし二人で食べようか」

チョコにむいていた視線に気づいたレーゲンは、そう声をかける。
いつきは一瞬ビックリした顔をするも、すぐに嬉しそうな笑顔を見せた。

「いいのか?ちょっと興味あったんだ」

「うん、そうかなと思ってね」

噴水の縁に二人で座り、カカオの精がくれたチョコを一口。
甘いチョコレートに、思わず笑みがこぼれ二人笑い合う。
仲良くチョコを食べきった後も、仲良くフェスタを見て回るのだった。


●ルイードとドルチェ
小さな街のチョコフェスタに来た二人はひとまず、メインストリートを歩いていた。
ルイード・エスピナルはその眠たげな瞳を自らのパートナーに向け口を開く。

「おい、いくぞ」

「いきなりだね」

誘い出しチャレンジ一回目、失敗。
ドルチェ・ヴィータは、突然なんだ?というような顔でルイードを見下ろしてくる。
別にそーいうアレじゃないんだけどな、今後一緒に戦うパートナー?ですし?
親睦を深めるのは大事だろうよ!!と必死に自身に言い聞かせ、隣に立つドルチェを見上げた。
くそう、身長が妬ましい……等と思ったか思わなかったかはひとまず置いておく。

「……カ、カフェに行きましょう」

「ま、構わないけどね」

誘い出しチャレンジ二回目、成功!
よくわからない達成感を得つつ、二人一緒にカフェへと足を向ける。
ドルチェがぽつりと及第点かな、と呟いていたのはルイードの耳には入らなかったようだ。

慣れない店の雰囲気に始終そわそわしっぱなしのルイード。
対してドルチェの方といえば、さすがの大人の余裕で、自然に馴染んでいる。
さすがイケメンだな……と、背の高い彼を見るとなんだか負けのような気がする。
ボウヤはウブでかわいいねー、などとドルチェが棒読みで言えば、ルイードは唇を尖らせ眉間に皺を寄せた。

「お待たせしましたー」

そんな中、ウェイトレスが注文の品をもってやってくる。
ルイードはホットチョコとガトーショコラ、ドルチェはビターのホットチョコを頼んでいた。
甘党なルイードは、まずホットチョコを一口飲む。

「!」

美味しい!ルイードに口に笑みが浮かぶ。
これはガトーショコラにも期待せざるを得ない。
ルイードはフォークで一口の大きさに切って、口に運ぶと……

「!!!」

ルイードは目を見開いた。
このしっとり感、口どけ……最高だ!
言い知れぬ感動を覚え目を閉じ、しっかりと味わう。

そんな様子の一部始終を目の前で見ていたドルチェ。
ケーキとホットチョコでそんなに喜んだり、感動して……
一口食べ、飲むごとに更に幸せそうな顔をするルイードをドルチェは面白そうに眺めていた。

「バレンタインって風習考えた人、天才じゃねーの?」

まあオレは貰った事はないんだけど……
小さく付け足しつつ、ガトーショコラからドルチェに目を向けるルイード。

「お前は毎年一杯貰ってそうだよな…いや、別に嫉妬とかじゃねーし」

「まあ、割と貰った方かもね」

口の端にガトーショコラの欠片がついているのは見なかった事にして、笑顔で答えるドルチェ。
フーンと興味なさそうに言って、ルイードは再びガトーショコラへと目を向ける。

ルイードが食べ終わると、ドルチェのビターホットチョコはまだ半分飲っていた。
実は甘い物は余り得意ではなかったりするのだ。

「これ、飲む?」

「い、いいのか?!」

ドルチェは頷くと、カップをルイードへと手渡した。
普通のホットチョコ程甘くはないが、もっと深みのある……大人の味わいだ!
ルイードはさらに感動をしつつ、嬉しそうに味わって飲む。

(ボクも飲み切れなかったし、面白いものも見れたし、一石二鳥だよね)

ドルチェはそんな風に思いながら、ルイードが飲み終わるのを待つのだった。


ケーキとホットチョコを食べ終え、二人はカフェを出る。
向かうのは噴水広場だ。
甘い物で上機嫌のルイードだったが、噴水が近づくにつれ口数が減っていく。
そんなルイードを不思議に思いながらも特に気にせず、ドルチェはついて行った。
丁度、噴水の前に移動した所でルイードがドルチェの方へと向き直る。

「ほらよ」

「っ!」

「一応オレからも……その、なんだ……」

ルイードがドルチェへ、投げて寄こしたのはシンプルなラッピングのチョコ。
ドルチェは不意に手に収まった、期待していなかったチョコに、一瞬だけ本気の驚いた表情がのぞく。
……しかしそれは本当に一瞬で、気取られないようすぐに取り繕った上っ面の笑顔をみせた。

「これからよろしく的な意味をこめてだな……」

ごにょごにょと言うルイードに、くすりと笑いの出るドルチェ。

「い、いらんなら返せ!」

「勇気を振り絞って渡してくれたんだろうし、受け取ってあげるよ。アリガト」

「……いちいち上から目線なヤツだぜ」

礼を言って受け取りつつ、軽口を言っておくのも忘れないドルチェ。
受け取った事に安堵しつつ、軽く睨んでおくのも忘れないルイード。
二人が恐ろしくて、口にだす人間はいないが、なかなか良いコンビなのかもしれない……


●アルヴィンとリディオ
普段はそこまでバレンタインを意識しないアルヴィン=ハーヴェイだが、今回は特別。
せっかくカカオの精から貰ったチョコだ、ぜひとも自身のパートナーであるリディオ=ファブレットに渡しておきたい。
そんな風に考えていると、何だかドキドキして落ち着かなくなってしまう。
なので、カフェでのんびりしてから噴水広場に誘い出し、チョコを渡そうと決めていた。
二人で街へ出て少し歩いてから、アルヴィンはリディオをカフェに誘う。

「リディ、よかったらカフェに行かない?」

「うん、いいね。僕、喉乾いちゃったなあ」

カフェを訪れた二人は、風当りの良いテラス席に案内された。
頬を撫でるさわやかな風に、アルヴィンの気分も落ち着いてくる。
すると、少ししてからウェイトレスがメニューを聞きにやってきた。

「ご注文は?」

「リディ、好きなの頼みなよ」

ホットチョコレート、有名みたいだし……
アルヴィンがちらりと見て言えば、リディオは少し考える様な素振りをしてから口を開く。

「いや……僕はストレートの、暖かい紅茶をもらおうかな。アルはどうする?」

リディオの注文に、アルヴィンはひそかに胸を撫で下ろす。
やはり今日は自分のプレゼントしたチョコを食べてほしい。乙女みたいな思考回路だけど……!
そう思っていたアルヴィンは安堵し、安心したように笑って答えた。

「うーん、オレもそうするよ」

「それじゃあ、スコーンとのセットにしようか。」

景色も良いしのんびりと過ごせるよ、とリディオは微笑む。

「うん。そうしよう!」

かくして、二人の優雅なティータイムがはじまったのだった。



夕方になり、日が暮れてきたのを見計らいアルヴィンがリディオに声をかける。

「リディ、せっかくだし噴水広場に行こうよ」

「ああ、噴水が綺麗なんだってね。いこういこう」

腹ごなししないとねえ、なんて話をしながら二人で噴水広場へと向かう。
カフェによってお茶をして、少し気分は落ち着いた。
けれど、やっぱりドキドキするものはしてしまうのだ。
広場の中央にある噴水。

「あのさ、リディ」

その手前で、アルヴィンがリディオの前を行き振り返った。

「ちょっと照れるけど……」

そう言うと、チョコレートを取り出した。

「あの時助けてくれて有難う、出会えたのがリディで良かった」

なれない言葉に、頬が熱くなるのがわかる。
しかし辺りは夕方だ。赤い顔も隠してくれているだろう。
アルヴィンは気持ちを言葉にして、ゆっくりとリディオに伝えた。

「はい、俺の気持ちだよ」

手を離れる際に穏やかに微笑みながら言うアルヴィン。
そんな彼に、リディオも嬉しそうに微笑みを返しながらチョコを受け取った。

「こちらこそ、ありがとう。」

もらえるんじゃないかと期待していたけど、まさかこんな風にもらえるなんてね。
と、悪戯っぽく笑うリディオもまた、頬が赤くなっていたのだが……
夕日色に染まっていたので、お互いに気付かない。

「あと、これからもよろしくね」

「もちろん、僕の方こそこれからもよろしくだよ!」

もらったチョコを大事そうにしまって、大きく頷くリディオ。
お互いに、どうぞよろしく、と握手をして微笑み合う。
二人とも、気持ちは同じだ。

「あ、そうだアル。ちょっと屋台を見て回ろうか?」

「うん、遠回りして帰ろう」

「はは、それはいいねえ」

仲良くメインストリートに寄り道。
屋台で見てまわり、たくさん食べて、お土産も買って……
二人でいろいろな事を話しながら家路についたのだった。


●ハッピーバレンタイン!
二人を見守っていた噴水は、今日も静かに佇んでいる。
大切なパートナーとの、大事なバレンタイン。
それぞれの思い、相手へと届いた事だろう。
また来年も、共に幸せに過ごせますように……!




依頼結果:大成功
MVP

名前:アルヴィン=ハーヴェイ
呼び名:アル
  名前:リディオ=ファヴァレット
呼び名:リディ

 

エピソード情報

マスター 高峰
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 02月16日
出発日 02月24日 00:00
納品日 03月05日

 

参加者

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