リザルトノベル
◆アクション・プラン
神木 悠夜(ヴェルデ・ヴィオーラ)
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[心情]
デミ・オーガだろうがなんだろうが、関係ない。
オーガに関わる連中は全て、根絶やしにしてやる。
絶対に、逃がすものか……!!
[行動]
商人のフリをして街道を行き、
敢えて荷を奪わせアジトに戻る所を付けていき場所を突き止め一気に殲滅する
奪わせる荷は何か適当な物(木箱に布を詰めた物等)を用意しておこう……出来ると良いんだが
商人のフリをしている間は手袋で文様を隠しておく
多少は誤魔化すべきだからな
戦闘では積極的に攻撃する
容赦?する訳がないだろう
怪我等は気にしない
僕は奴等を殺せればそれでいいんだ
自分の事なんか気に掛けていられるか
敵が逃げた場合は直ぐに追い、確実に始末しよう
無論仲間と連携して、な
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ルディ・レンテラー(レン・アストリカ)
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きっちり相談しきれなかったのが悔やまれるな……
状況に応じて、臨機応変に対応するよ。
悠夜が商人役をして敵を誘い出すのであれば、物影から
敵に見つからぬよう、神経を尖らせつつ様子を見守る。
俺が商人役をする場合は、荷物を持ってぼんやりと歩いているフリをする。
敵に荷物を奪わせることに成功したら、コッソリあとを追ってアジトを突き止める。
その後、依頼の荷物を俺の方で確保し、次いで敵を討伐。
敵が逃げた場合でも皆と協力して追跡し、仕留めたい。
「逃がさねーよ? お前ら全員……殲滅だ(にっと笑う)」
相反するプランがあれば、悠夜のプランを優先してくれ。
掲示板になかなか顔出しできなかったのは俺だからな。
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●釣り餌の役割
タブロス市近郊、とある街道にて。
神木悠夜は小柄な体に丁度収まる木箱を背に負い、ゆったりとした調子で歩いていた。
宝石の採れる村からの、依頼。デミ・コボルトに奪われた荷を取り戻してほしいとの、願い。
それは勿論頭の中には合ったけれど。悠夜にとってはそれ以上に強い願いが、あった。
(荷は、最悪他の仲間に任せてでも……)
オーガに関わる連中はすべて、根絶やしにしてやる――。
それはオーガという支配権の存在に、大切な物を奪われた故の感情。
(デミ・オーガだろうが何だろうが関係ない、絶対に、逃がすものか……!)
滲み出る殺意を自覚して、悠夜は一度歩を止め、ふるりと頭を振った。
皺の寄った眉間をそっと抑えるのは、神人である証の紋章を隠すために手袋をはめた、左手。
「まずは誘き寄せること。そうだ、まずは、そこからだ」
デミ・コボルト達にとっての格好の餌となるべく、努めてゆっくりと、悠夜は商人を振る舞い進んだ。
そんな彼を、パートナーであるヴェルデ・ヴィオーラは木陰からそっと、あくまでそっと、見守る。
ジャスト2メートルの長身に加えた華やかな風貌は、長閑で静かな森の風景にはとてもとても似つかわしくなかったが……彼は存外、隠れるのが上手かった。
手頃な木の後ろで、はらはら、ちらちら、悠夜の背を見つめていた。
「はぁ……ゆーちゃん、一人で大丈夫かしら」
依頼を持ち込んできた女性は、襲われていながら幸いにも怪我らしい怪我をしていなかったけれど。だからと言って、敵が全く攻撃してこないとは、限らない。
一人で囮役を担う悠夜が心配にならないわけが、無いのだ。
当の悠夜本人は、囮の間はそのでかい図体を隠しておけよときつい視線と口調で告げるばかりで、心配なんてして要らないといった体では、あったが。
「まぁ、タイミングとか、ちゃんと決めきれなかったのはちょっと痛いけど……大丈夫、なんとか、なるさ」
「そうですね。彼も私たちも、一人きりでは、ありませんから」
そわそわしているヴィオーラのさらに後ろに隠れながら、同じ依頼を受けたルディ・レンテラーと、そのパートナー精霊のレン・アストリカが静かに告げる。
穏やかに佇んでいるように見えて、揃ってぴりりと張りつめた神経は、敵が何処から現れようとも見つけてみせると、言葉なく告げているようで。
ちらり、そんな二人を振り返り見つめ、ヴィオーラはにこりと微笑んだ。
「ええ、頼もしい二人の事、頼りにしてる」
そう言って、微笑み合うのと、ぴくり、精霊二人が何かを気取ったのは、ほぼ同時。
数瞬の後に、街道脇の森から、人の形をした影が三つ、飛び出してきた。
人の形をしているけれど、見上げた悠夜と目の合った顔は、人のそれとは違うもの。
「コボルト……!」
怯えた、演技を――。
咄嗟に自信を庇うように頭を抱えて蹲った悠夜に、コボルトらは各々に手にした武器を振り翳しはするものの、それをぶつける気配はなく、彼が背に負った荷を強引に奪って、そのまま森へと引き返して行った。
去り際に上げられた奇声は、嘲笑うかのようで。
ぎり、と抑えきれぬ感情に表情を歪めた悠夜の傍らを、二つの影が横切って行く。
「怪我は、ないな。追うぞ」
「一足先に、行かせて頂きますね」
即座に駆けだしたルディとレンに続き駆け寄った、ヴィオーラが、傍らに膝をついて悠夜を覗き込む。
「ゆーちゃん、大丈夫?」
「っ、余計な世話だ! 僕の事に構ってないで、さっさと追えよ!」
押しのけて、立ち上がって。ようやく見上げる形になった悠夜を、緩やかに瞳を細めて見つめるヴィオーラ。
自分の感情に忠実に、それでも役目を全うしようとする強気な少年を微笑ましげに見た視線は、一瞬。すぐに表情を引き締めて、先に駆けたルディらを、悠夜と共に追いかけた。
●森の中、にて
まんまと人間から荷を奪う事が出来て上機嫌なのか。デミ・コボルトのトリオは後をつけられているとは微塵も思っていない揚々とした足取りで、アジトにしている小屋へと戻っていく。
それは廃墟と言うに相応しい、小さな小屋。割れた窓の付近に、盗品と思しき物品が幾つか詰まれているのが見て取れる。
決して広くは見えず、依頼の荷を含めた物が中にあるとなれば、思い切り戦闘ができるようには、思えない。
「窓からも簡単に入れそうだし、先に荷物の方を確保したいな」
「荷はお前たちに任せる。僕は奴らを殺せればそれで良い」
木陰から様子を伺いつつ告げるルディへ、悠夜は淡々と返し、ちらりとヴィオーラを振り返る。
「逃げた場合でも追いかけるから、その時はお前もついて来い」
告げて、けれどほんの少しの間を置いてから、言い直す。
「別に僕の指示に従う必要はないが、奴らを逃がす事だけは、してくれるなよ。僕らの迷惑にならず且つ相手を逃がす事をしなければもう何をしていても構わん」
相談をしている時点から、きつい物言いをする少年だとは思っていたが、と。ルディは小さく肩を竦める。
けれど、言われた方であるヴィオーラは、にこにこと頷くだけだ。別段気にしていないのか、あるいは、これが――。
「……頼りにはしているけど、な」
所謂、ツンデレという奴だと、理解しているからか。
ぷい、とそっぽを向き、ぼそりと零された悠夜の台詞に、後者であることを納得したルディも、思わず微笑ましい顔をしてしまった。
「っ、いいか! 僕は断じてお前の性格やら何やらを認めてる訳じゃないからな!」
「うん」
「お前に力があるから、役に立つから許容してやってるだけだ! 勘違いするなよこのウドの大木!」
「うん、判ってるわよぅ。だからゆーちゃん、しーっ」
口元で人差し指を立てて、ほんの少し眉を提げたヴィオーラに、はっとしたように口を押え、小屋の様子を伺い見る悠夜。
大丈夫。中で何事か騒いでいる様子は窺えるが、十分に距離を取っているため、気付かれては居なかった。
微笑ましげな顔を、コホン、と咳払い一つで切り替えて、ルディはレンを見やる。
「戦闘になったら、俺が正面から挑発するから、レンはその隙に、背後から攻撃してくれ。悠夜達も一緒だから、心配はいらねーぞ」
こくり。頷いたレンは、穏やかに微笑んでいる。
適合者として相対した時から、妙に冷静で、何を考えているのかが今一つ読めない、とは思っていた。
年上としてしっかりリードしなければと常々思うが、空回りばかり。
こうして作戦の確認がてら指示のようなものをしてみたところで、レンは特に言われるまでもなく、最善を理解しているのだろうとも、思う。
ぽり、と。頬を掻いて。くるりと巡らせた思考を口にするでもなく、ルディは自身の武器を握り直して、頷いた。
「何かあれば、従うからな。お前の思うように……そんで、きっちり成功させようぜ」
「ふん……オーガの成り損ない如きに後れを取る気はないさ。まぁ、万が一僕が奴らを追って、戻ってこなかった時は……」
「おーっとそれは言わない約束だ」
お互い、知る由もないが、オーガに何かを奪われた者同士。
大小の差こそあれ、憎しみも怨みも等しく持ち合わせた彼らは当然、もう一つ。失くすことをしたくないと、思っている。
「じゃ、行くか」
初めましてに宜しくと。重ねた『仲間』にささやかな信頼を寄せて。
四人は小屋へと忍び寄った。
悠夜とヴィオーラは早々に正面へ。窓の下で身を屈めたルディとレンは、離れた彼らに暫しの待機を促してから、互いに頷き合う。
中から聞こえてくるのは奇声じみた声。人の言葉とは異なるものではあるが、それが笑う声に聞こえるのは、先ほど街道で見た嘲るような表情を覚えているからだろう。
嫌悪感に眉を寄せて。けれど一息吐く間を挟んでから、二人は割れた窓をそろりと開け放ち、侵入した。
ギィ、と。突然現れた人影に驚きを見せ、即座に振り返るコボルト達。
だが、相手が二人の人間――片割れが精霊であることは理解しているだろうが――と見るや、握ったナイフを振り上げて憤る。
それと、同時に。正面の扉を勢いよく開け放ち、もう二人、突入してきた。
三対、四。いかにコボルトの知性が犬並みでも、自分たちより数の多い相手に突然取り囲まれれば、当然、動揺する。
キィキィ、ギィギィ。不愉快な声をあげながら、闇雲に襲い掛かってきた。
目配せ一つ。作戦通りに背後へと展開しようとするレンを補佐しようと、ルディは足元やや後方に積まれた幾つもの荷物を護るべく、武器を構えて応じる。
「壊れ物なんて、ない事を祈るぞー……」
折角討伐に成功したところで、荷が台無しになって弁償、なんてことになったら、笑えないのだから。
「言っただろう。オーガの成り損ない如きに、後れを取る気はない!」
殺意を抑える必要は、もう無い。
片手できつく握った剣に対の手を添えて、悠夜は振り下ろされたナイフを受け止め、きつい眼差しで睨み据える。
しかし、意志と意識の強さは人一倍だとて、彼はまだ、十五の少年。細い腕にはまだ、その一撃は重かった。
踏みしめた足が傾ぐのを自覚して、小さく舌打ちするけれど。
(退いて、たまるか!)
怪我などを、省みる気はそもそもなかった。それは先の囮の際にヴィオーラに言い放った一言が物語っている。
オーガと、オーガに関わる全てを殲滅できれば、ただ、それで、それでいい。
「ゆーちゃんに、傷なんか似合わないんだからねっ!」
ひゅん――。ここ最近で聞き馴染んだ声と、空を裂く音が、アンバランスに響く。
大柄な体躯から繰り出される剣戟は、鮮やかに翻り、コボルトを切り裂いた。
至近距離で散る飛沫から悠夜を庇おうかと手を伸ばしかけたヴィオーラだが、視線が合えば、要らぬことを悟る。
ヴィオーラによって弾き飛ばされたナイフ。軽くなった腕に握る剣を、真横に薙いで。
「ギイイィ!」
耳障りな断末魔に、薄く瞳を細めながら、その命が散るのを見届けた。
足りぬと言わんばかりに、念入りな止めを刺そうとするのを、ヴィオーラが今度こそ手を伸ばし、止める。
「ゆーちゃん」
「っ、次だ!」
まだ、敵は二体残っているから。気は抜かない。
決して、決して、心配そうなヴィオーラの声を遮りたかったわけでも、その視線を外させたかったわけでも、無い。
(余計なお世話だって、言ってるのに)
一目惚れだと公言して、何かとべたべたしてくる彼の、その言葉が実は結構浅い意味合いであることは、何となく察しているつもりだった。
悠夜にとってはオーガを殲滅するために都合のいい存在。
ヴィオーラにとっては、適合したから傍にいるだけの存在。
それで、十分。
必要以上の干渉は、お互い、あるべきではなく、あっても意味のない事。
――割り切りたい感情を、その心配じみた顔と、時折見せる微笑ましい表情が邪魔をする。
(冗談じゃない。ヴィオーラは、僕が、使ってやるんだ)
思考は、極々短い時間だけ。仲間の絶命に動揺している一匹を睨み据えて、ゆらり、悠夜は間合いを詰めた。
狭い小屋の中では挟撃はなかなかに難しい。
目配せを、もう一つ。無理に動く必要はないと言葉なく伝えれば、レンは好きなく身構えながら、視線を右へ、左へ。二体のコボルトをそれぞれに見やってから、魔物を呼び寄せ、憑依させる。
「君は、そこを動かない方が良いですよ」
「おー、多分その方が良いと俺も思ってる」
後ろの盗品を気にかけていたら、攻撃を弾き返すので精一杯。
それでもレンと同じように、視線を二体のコボルトへ……ついでに悠夜が相手にしている三体目へも移してから、目の前へ戻した。
大丈夫、なるようになるし、するしかない。
威嚇するようにナイフを振り回しているコボルトの切っ先を軽くいなして叩き伏せるレンを見ていると、何の心配も湧かなかった。
「本気で、頼もしいな……」
常に薄く微笑んでいるその顔の裏側で、何を考えているのかは今一つ分からない。
だけれど、彼には目的があって、その為にいつだって真剣なのは、知っていたから。
強い眼差しの持つ横顔を見つめる時には、疑念も不満も無く、ただ信頼だけが、じわり、胸中を占めるのを自覚していた。
「ルディ君」
声と、視線が向けられて。攻撃を受けた一体が、ふらりと背を向けようとしているのが、目に留まった。
「おう」
頷き一つで、応えて。踏み込む
「逃がさねーよ? お前ら全員……殲滅だ」
口角を上げ、歯を見せて笑ったのは、一瞬。唇を引き結ぶと同時に振り下ろした剣は、コボルトを深く切り捌く。
「ギ、キィ!」
悠夜の手で一体。ルディの手でもう一体。立て続けに切り捨てられた同胞の仇を取ろうとも、もはや思えぬのだろう。
動揺していた最後の一体が、狂ったように突き出したナイフが、かすか、一番近い位置に居たレンの腕を掠める。
「レン!」
じわりと血がにじむ程度の傷に、ぴくり、顔をしかめたのと、ルディが声をあげるのは、ほぼ同時で。
聞き留めたレンは、薄ら、すぐさま笑みを浮かべて肩を竦める。
「全く……君も、大概、お人好しですね」
あるいは、心配性なのでしょうか。冗談めかして続けられた台詞に、ルディよりも先に悠夜が反応する。
「……お前も、な」
ヴィオーラへと向けられた小さな一言に、彼は「あら」と心外そうに笑った。
「言ったじゃない? ゆーちゃんに傷なんて、似合わないって」
軽やかな切っ先は、ころころと笑うヴィオーラの表情に似つかわしく、鮮やかに。
淡々としたレンの攻撃は、ただ無機質に敵へと向けられて。
神人二人が、小さくため息をついたのは、なかなか自由に我が道を行くそれぞれの精霊への、軽い、呆れ。
四人の一斉攻撃を受けたコボルトは、逃げようとする思考を広げる暇さえ与えられず、呆気なく、果てる。
全てのデミ・コボルトを仕留めたことを確認して、お疲れ様ですなどと交し合っている精霊たちを見つめて、悠夜とルディは、もう一度、揃ってため息をついた。
「オーガを殲滅するためには仕方がないけど……」
「結構、先が思いやられるなぁ……」
●お疲れ様でした。
「ありがとうございます、本当に、何とお礼を言ったら良いか……」
「良いんですよ。オーガの関わっていた事ですから、元々私たちの領分です」
努めて穏やかに、紳士的に。
タブロス市内へ戻り、運び出した盗品の中から見つけた件の依頼品を村人の女性に手渡しながら、レンはA.R.O.A.職員顔負けの事務対応をしていた。
「ねぇ、残りの盗品はどうするの?」
「俺達でどうにもできないだろうし、警察とかに預けりゃいいんじゃねーか?」
「その辺の事はお前たちに任せる。僕は、早く次の情報を聞きに行きたいからな」
大き目のリヤカーに積み込まれた品々を前にヴィオーラが首を傾げれば、同じような所作で提案するルディ。
それを聞きながらも、早々に踵を返した悠夜に気が付いて、ヴィオーラは長い腕で後ろから悠夜を包むように抱きしめた。
「もー、ゆーちゃんってば、そんなに慌てなくても、まずはちゃんと一回休むところからにしましょ?」
「だから、それが、余計な世話だって……この、べたべたするな!」
喚く悠夜と微笑ましげなヴィオーラとを、仲が良いなぁと言わんばかりの顔で見ていると、とん、と肩に手を置かれた。
「終わりましたよ、ルディ君。報酬も少しですが、頂きました」
「ん。ありがとな、レン」
掠めただけのレンの傷口は、もうすっかり血も止まっている。
お人好しと言い放った本人は、気にも留めていないのだろうが、ウィンクルムとして活動する以上、これからもこういった傷は、避けられないのだろう。
「レン、俺、頑張るからな」
「はい、よく判りませんが、ぜひ」
一言余計だなぁ、と、胸中で呟き笑いながら。
「っ、いい加減離れろ、このウドの大木が!」
賑やかな喚き声が響くのを、聞き留めて。
束の間の仲間たちが描いた一幕は、穏やかに幕を下ろした。
依頼結果:大成功
MVP:なし