リザルトノベル【女性側】ボッカ親衛隊討伐部隊
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リザルトノベル
『チョコレイトグラッチェ』は、バレンタイン城から少し離れた、郊外寄りに位置する公園の内の一つである。
チョコレートで出来た樹木に岩石、水あめの池。
甘いもので溢れた平和な自然豊かな公園は、現在は異様な空気に包まれていた。
「ボッカ様も自由だよねー」
園内中心の巨大な木の下で、マントを風に揺らしながら青年がぼやくように呟いた。
ボブカットの水色の髪は緩くウェーブを描き、存在を主張する三本の角を無視すれば、一見すると美少女にしか見えない容姿。
ボッカ親衛隊隊員のセンである。
「まあ、そこがボッカ様の良い所だろうが」
短い赤髪を揺らし、筋肉質で精悍な青年が笑った。彼の頭にも角が二本ある。
ボッカ親衛隊隊員、デクニーだ。
「私達はボッカ様の意に従うだけです。今のボッカ様に敵は居ないでしょう、多分」
長い深緑の髪を掻き上げ、優雅に微笑むのは、ボッカ親衛隊隊員のスガート。
彼も中性的な美青年だが、頭の一本角が彼はただの青年ではない事を示していた。
「それにしても、この公園、甘い匂いしかしない~」
センは腰掛けたベンチを撫でた。木製と思いきや、これもチョコレートで出来ているらしい。
「この水も甘いぜ。飲んでみるか?」
水あめの池を覗き込んだデクニーは、両手で水を掬って飲んでしまった。
「ちょっと~池の水を飲むのは汚いんじゃない~」
「わはは、ベタベタするぜ!」
思い切り顔を顰めるセンに、デクニーは己の手を舐めて豪快に笑っている。
「その手で俺に触らないでよね~」
「仕方ないですね、このハンカチを使ってください、デクニー」
「おお、悪ィな!」
スガートが差し出したハンカチで、デクニーは手を拭く。
スガートは空を見上げた。
今頃、彼らの主であるイヌティリ・ボッカは、バレンタイン城に乗り込んでいる筈だ。
頃合いを見て、ここで暴れてウィンクルム達の戦力を分断する。それが彼らボッカ親衛隊で決めた作戦だった。
同時刻、公園の南側入り口に、ウィンクルム達は居た。
Aスケールオーガが潜んでいるとの情報を得て急行した彼らは、人気のない公園を入り口から窺う。
チョコレートの銅像が鎮座している入り口付近では、特に異常は見当たらないようだった。
銅像の影に隠れて、ウィンクルム達は今度の行動について話し合う。
「まずは、敵を探さなきゃね」
出石 香奈の言葉に、レムレース・エーヴィヒカイトは頷く。
「敵に見つからないよう、慎重に行こう」
「どうする? 手分けするか?」
豊村 刹那が一同を見渡すと、瀬谷 瑞希が口元に手を当てて思案する表情で口を開く。
「大人数での移動は見つかりやすいかと思います」
「そうですね。それに手分けした方が早く見つけられるかと」
ニーナ・ルアルディがこくこくと頷いた。
「隠密行動は少人数が良いだろ」
「手分けした方が良さそうだね」
グレン・カーヴェルとフェルン・ミュラーが同意を示し、逆月がA.R.O.A.から支給されたインカムを確認した。
「では、発見次第、皆に連絡を入れる事にしよう」
そこで、ずっと考え込む表情だったアラノアが顔を上げる。
「敵は三人と聞いています。優先順位を付けて対処するのが良いと思うのですが……」
「遠距離攻撃役や回復役を先に倒したい所だ」
ガルヴァン・ヴァールンガルドが補足するように言えば、一同は頷いた。
「一つ提案したい作戦があるのですが」
シルキア・スーが、真剣な瞳で仲間達を見る。
「作戦?」
瞬きする一同に、クラウスは懐から写真を取り出す──そこには、ボッカが映っていた。
数分後。
作戦相談を終えたウィンクルム達は、それぞれインスパイア・スペルを響かせる。
『やってやろうじゃない』
『光と風、交わり紡ぐ先へ』
『打ち払う』
『盲亀の浮木、優曇華の花』
『皆を、護って』
『持てる力の全てを託す』
聖なる光に包まれたウィンクルム達は、不気味な静けさの公園の中へ入っていった。
チョコレートの木々の甘い香りを感じながら、そっと地面に『アヒル特務隊「オーガ・ダソーダ」』を放った。
人工的に擬似的な瘴気を帯びた特別なぜんまい仕掛けのアヒルには、小型カメラが搭載されている。
ガルヴァンは『叛逆ノ黒外套』が知らせる殺気を見逃さないよう、集中した。
アラノアとガルヴァンは、アヒルを先行させながら木々の間を歩いて行く。
アラノア達とは逆方向を進む刹那も、『アヒル特務隊「オーガ・ナノーカ」』と『アヒル特務隊「オーガ・ダソーダ」』を先行させていた。
二匹のアヒルが映す映像を二人で確認しながら、チョコレートの木や岩の陰に隠れて進む。
瑞希は全身で周囲を警戒し、フェルンと一緒に歩いていた。
僅かな物音にも注意して、不意打ちに備える。
『叛逆ノ黒外套』を身に纏ったシルキアは、外套が感じ取る殺気に即座に対応できるよう、慎重に歩を進めていた。
一方、クラウスは敵の姿を探しながらも、作戦の決行に相応しい場所の物色も同時に行う。
香奈もまた、『叛逆ノ黒外套』で殺気を探り公園の奥を目指している。
レムレースはそんな彼女の隣で、油断なく周囲を観察していた。
ニーナとグレンは、足音にさえ注意して歩いていた。公園内は不気味に静かで、互いの息遣いすらやけに響く。
敵に先に見つかるのは、作戦上、絶対に避けたい。二人の歩みは慎重を極めた。
そして、彼らの姿を一番に捉えたのは、刹那が放った『アヒル特務隊「オーガ・ダソーダ」』だった。
公園の中央にある、一際大きなチョコレートの木の下で、三人の青年達が寛いでいる。
その頭部に禍々しい角さえなければ、公園で憩いのひと時を過ごす人達に見えたかもしれない。
刹那と逆月は、声を潜めてインカムで仲間達に場所を伝える。
数分後には、ウィンクルム達は集合していた。
「池も大木もある。ここで仕掛けるのが良いだろう」
クラウスの言葉に一同は頷く。
香奈は、レムレースの手の甲に浮かぶ文様に口づけをし、上位トランス『ハイトランス・ジェミニ』を発動する。玉鋼色が濃く強くなった。
ニーナとグレンは、一際大きな木の影に身を潜める。作戦成功まで、二人は身を隠すのだ。
静かに逆月が『強弓「狐狸鬼宿し」』を構えた。矢じりにはボッカの写真が括り付けられている。
ヒュッ。
風を切る音と共に、水あめの池に矢と写真が落ちた。
「ん? 何だ?」
デクニーがベンチから立ち上がり、池を覗き込む。
「あれは……ボッカ様!?」
デクニーの目の色が変わった。
「何でボッカ様の写真が……!」
慌てて写真を取りに池に入ろうとするデクニーのマントを、センが掴む。
「ちょっと、これ絶対おかしいって~」
「敵ですね、多分──」
スガートが言い終わる前に、強力な獣の怪の気配を宿した矢が、スガートの胸を目掛けて飛んでくる。
「はっ!」
スガートの手刀が矢を叩き落とした。
「ウィンクルム……!」
忌々し気に顔を歪めるセンへ、レムレースが叫ぶ。
「お前の相手は俺だ!」
ロイヤルナイトの言葉には、敵を引き寄せる力がある。レムレースの体から立ち上るオーラに、センは好戦的に口の端を上げた。
「あんた、馬鹿でしょ? 早死にしたいなら、願いを叶えてあげるよ……!!」
センの懐から、無数のタロットカードが飛び出し、生き物のようにレムレースに襲い掛かる。
レムレースは即座に『フォトンサークル』で聖域を造り出し、『ディアモンテスクード』でタロットを弾き返した。
「はぁあ!」
レムレースへ真っ直ぐ向かうセンの脇腹を狙い、横から香奈が『スカルナイトナックル』に包まれた拳を叩き込む。
ギィン!
重く硬い感触。センを包む『絶望色のオーラ』に阻まれたと気付き、香奈は即座に身を引いた。
センはそんな香奈へトランプを投擲するが、それらは飛び込んできたガルヴァンの『エビルゴートアックス』が弾く。
アラノアはガルヴァンの背後から、センの動きに注視した。庇う場所に『黄金の鱗』がある筈だ。
フェルンは、『プロテクション』を発動し、デクニーと向かい合った。
「さあ、いつでもどうぞ」
静かにしかし力のある言葉を紡げば、デクニーはもうフェルンを無視出来なくなる。
「そんな風に誘われたら……滾るだろうが!」
斧を構え、不敵に微笑むデクニーに、スガートは瞳を細めた。
「デクニー」
「分かってるって!」
そんな二人のやり取りに、瑞希は瞬きする。デクニーはスガートの近くを離れないようにしているように見えた。
(フェルンさん)
瑞希の視線に、全てを理解したフェルンは頷く。
瑞希は続けて刹那と逆月に視線を向けた。二人も目線で頷いて、逆月が弓を放ち、刹那が飛び出した。
デクニーとスガートの間を割くように。
(鱗を壊すまで、まともな防御は行わないと見る)
逆月は連続で矢を放った。狙いはすべて違う所。
(避けるか防御する場所が鱗の在りかだろう)
スガートが手刀で迫る矢を叩き落としていく。逆月は瞳を細めた。相手もその点は考えているようだ。
シルキアは密かに大木の下へと移動していた。
クラウスが注意深く周囲を見渡す。
ロイヤルナイトの二人を中心に、ボッカ親衛隊を引き付けてくれている。シルキアとクラウスの動きに気付いている者は居ない。
木の影に隠れているニーナとグレンも、注意深く親衛隊の様子を窺い、クラウスとシルキアにハンドサインを送った。
『決行は今』。
クラウスが頷き、シルキアは封樹の杖を構えた。
──どうか、応えて。
チョコレートの大木が、仄かに光り始める。
クラウスはICレコーダを取り出し、スイッチを押した。
コケッコッコー!
それが、合図。
「何?」
「何だ?」
「この音って……」
ボッカ親衛隊の三人が音に反応する。
鶏の鳴き声は、主が忌み嫌う音。
親衛隊と交戦していたウィンクルムは、打ち合わせ通り距離を取った。
(ここだ……!)
クラウスの手の中で、『片手本「カ・ギヅメ」』が光り輝き、爆発するようにその光が広がっていく。
セン、デクニー、スガート、三人がその眩い光に視界を奪われた。
「今です……!」
シルキアの声と共に、大木の枝が大きくしなり、まるで巨大な腕でラリアットをするように、ボッカ親衛隊の三人へ襲い掛かる。
三人は避ける事も出来ず、大木に体を押されるように、水あめの池へ落下した。
水あめは三人の体に纏わり付き、彼らの動きを鈍らせる。
インスパイアスペルを口に、ニーナがグレンの手の甲に浮かぶ文様に口づける。
纏うオーラを濃くさせて、グレンは飛び出した。
手の中の『エスグリミドール』が赤く輝き、低く構えたその大剣で、地面を抉るような一撃が叩き込まれる。
地面ごと敵を攻撃する強烈な技。無数の地面の破片がボッカ親衛隊の三人へ激しくぶつかる。
──不意打ちを喰らった時、無意識に弱点を庇う動きをする筈。
グレンのその目論見は見事に功をなす。
三人は一斉に、マントに隠れた背中を庇うような動きをしたのだ。
「そこね……!」
香奈は力強く地面を蹴って、センの背中目掛けて跳躍する。
「くっ!?」
センはタロットカードを投げ、無数のカードが肌を切り裂くも、彼女は構わず拳を繰り出した。
「やあああ!」
香奈の拳がセンの背中に沈む。
「ガァアアアッ!!」
センの口から初めて苦痛の声が漏れた。
パリンッと何かが弾ける音と共に、センを覆っていたオーラが消え失せる。
センは追撃しようとする香奈を、力をふり絞り舞い上がらせたトランプで何とか弾き飛ばした。
「香奈!」
水あめの中に沈みそうになる香奈の体をレムレースが抱き留める。
距離を、距離を取らなくては──。
荒い息を吐き、水あめの纏わりつく体でセンが動こうとした。
しかし、その時には香奈の動きに合わせるようにして、距離を詰めていたガルヴァンが居る。
「逃がさん……!」
斧が正確にセンの背中を捉えた。
「ガッ……!」
ガクンとセンの体が傾く。
「セン!!」
デクニーが叫んだ。
「てめぇら……それ以上はやらせねぇ!!」
斧を振り被るデクニーの前にフェルンが立ち塞がる。
「退け!!」
「くッ……!」
重い一撃を『輝く昼下がり』が受け止め、フェルンの足が地面に食い込んだ。
力任せの斧撃を一身に受け止め、盾は凹み、フェルンの手に血が滲む。
「砕けやがれッ!!」
デクニーが力を溜めるよう大きく腕を上げた瞬間、フェルンが微笑んだ。
「はああ!」
デクニーの背後に回っていた瑞希が、その背中へ『愛の女神のワンド「ジェンマ」』を突き立てていたからである。
「ぐおおお!?」
デクニーの口からも苦痛の声が上がった。
体を覆うオーラが霧散し、膝を付く。
「下がりなさい! 二人とも!」
スガートが叫び、二人の前に出ようとするも、彼の鼻先を氷の結晶が舞った。
「悪いが、行かせない……!」
刹那の『氷の剣「ブリザートデビル」』が、優美な曲線を描いてスガートに斬り付ける。
「……おのれ……!」
スガートの手刀が空を裂く音がした。
「……くッ……!」
刹那は『【式占盾】六壬式盤』でそれを受けるも、受けきれなかった追撃の瘴気が、肩を切り裂く。
「これで終わりです!」
盾を支える刹那の腕の力が弱まったのを見て、スガートが踏み込んで来た。
これでいい──。
刹那は不敵に微笑む。
「なッ……!?」
スガートの動きが停止した。
目を見開き、苦痛に歪む顔で、スガートは背中に手を伸ばす。
背には、深々と矢が刺さっていた。
刹那の後方で、逆月が二射目を既に構えている。
オーラが消え失せたスガートの背中へ、逆月の放った矢が更に突き刺さった。
「ぎゃああああ!」
スガートから絶叫が迸る。
「くそ! くそ! くそくそくそくそ!!」
センががむしゃらにトランプを投げた。カードが蝶のように舞い上がるも、ニーナが『魔守のオーブ』を盾にしてそれを防いだ。
「ほらよッ!」
その隙にグレンが大剣を一閃させる──相手の装甲を砕き、防御力を下げる一撃は、センの纏うマントを引き裂いた。
背中にある黄金の鱗が露わになる。
「負けられねぇ……こんな所で、負けられねぇ……!」
デクニーの斧から力強さは既に失われていた。
クラウスの光輪が攻撃を反射し、フェルンの前方に出現したバリア『チャージフィールド』に押され、デクニーは更にボッカ親衛隊の仲間達から離されていく。
「……ボッカ様……」
センとデクニーの様子を横目に、スガートは深く息を吐き出した。背中には無数の矢が刺さっており、彼は自分の命が尽きる直前である事を理解している。
──侮っていた。
ウィンクルム達の力を見誤っていた。
ボッカの傍を離れるべきでは無かった。
「ボッカ様に勝利を……」
ならばせめて──一命を賭して、この場に居るウィンクルムをせめて道連れに。
気を抜くと遠ざかりそうな意識を繋ぎ止めながら、スガートは前を見据えた。
刹那と逆月が身構える。
『光と風、交わり紡ぐ先へ』
その時、触神の言霊が響いた。
シルキアとクラウスの声だ。
クラウスがシルキアの手の甲の文様に口づけた瞬間、シルキアの背中に光の翼が現れる。
『セイクリッド・トランス』──神人の能力を爆発的に飛躍させるトランス。
シルキアはスガートの前に立つ。これまでにない力が込み上げるのを彼女は感じていた。
「ウィンクルム!!」
スガートが手刀を繰り出すのと、シルキアが杖を振るうのは同時。
「見事……」
咳込んだスガートの唇から血が滴った。空を見上げ、手を差し伸べる。
「ボッカ様……申し訳ありませ……」
どさり。
スガートは倒れ、動かなくなった。
「ボッカ様に、栄光を!」
センが叫び、ありったけのカードを宙に放つ。
「……させない!」
アラノアは『【呪符】五行連環』の力を開放した。
符の力がセンを包み込み、センはカードを思うように操れず動きを止める。
黄金の鱗へ、香奈の拳、グレンの剣、そしてガルヴァンの斧が撃ち込まれた。
「……ボッカ様……ごめんなさ……」
力を無くしたセンは、その場へ崩れ落ちる。
「うおおおおお!!」
吼えたデクニーは、最期の力で斧を振り翳した。
「ぐっ……!」
クラウスは光輪でこれを受けたが、殺しきれなかった威力に吹き飛ばされる。
クラウスの後ろからフェルンが飛び出し、デクニーとすれ違い様、『【聖斧】レジスタブロウ』を背中へと叩き込んだ。
「……ボッカ様……すまねぇ……」
ゆっくりとデクニーの体が倒れ込む。
──そして、公園に静寂が訪れた。
「シルキア!」
力を使い果たし倒れるシルキアを、クラウスが抱き留めた。
「……大丈夫」
心配げに見つめるクラウスに、シルキアは力を振り絞って微笑んで見せる。
「香奈、直ぐに止血する……!」
レムレースは、無数の切り傷を負った香奈の腕を取った。
「ありがとう、レム。大丈夫よ」
香奈はレムレースに寄り添って、笑顔を浮かべる。
一方、血の気の引いた刹那の体を抱き寄せて、逆月もその傷口を急いで止血した。
「……刹那」
「平気だから」
刹那は動く手で、ぽんぽんと逆月の頭を撫でる。
「アラノア、怪我は?」
「私は大丈夫。それよりガルヴァンさんの方が……」
「大した事はない。そんな顔をするな」
ガルヴァンの微笑みに偽りの影はなく、アラノアはほっと安堵の息を吐いた。
「フェルンさん、手を出してください」
瑞希は、血が滴るフェルンの手の傷を確認して止血を施す。
「有難う、瑞希。楽になったよ」
フェルンは笑顔で礼を言ってから、今度は自分が瑞希の手を取り、彼女に怪我がない事を確認した。
「怪我はないかよ」
グレンがニーナを、頭の天辺から足の爪先まで観察した。
「平気です。グレンは?」
「問題ねぇ」
グレンの返事に、ニーナは安心した笑みを見せて、それから後ろを見る。
Aスケールオーガ。ボッカ親衛隊。
恐ろしい敵であると同時に、とても人間味のある敵だった。
ニーナはそっと瞳を閉じる。
鎮魂の祈りは、静かに空気に解けた。
(執筆GM:
雪花菜 凛 GM)
戦闘判定:大成功