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フェスティバルイベント

『瘴気に染まりし氷塔の浄化作戦』

リザルトページ


リザルトノベル【男性側】セイント・チャペル でデート!

チーム一覧

神人:西園寺優純絆
精霊:十六夜和翔
神人:新月・やよい
精霊:バルト
神人:ヴァレリアーノ・アレンスキー
精霊:イサーク
神人:李月
精霊:ゼノアス・グールン
神人:鳥飼
精霊:鴉
神人:信城いつき
精霊:レーゲン
神人:スコール
精霊:ネロ
神人:アキ・セイジ
精霊:ヴェルトール・ランス

リザルトノベル

 『ホワイト・ヒル大教会』の屋上は、とても静かだった。
 夜空には宝石のような星々が明るく輝き、眼下に広がる町並みは白の雪の世界。
 温かく灯る町の明かりが人々の息遣いのように、柔らかく雪の世界の中、光っていた。

「わぁ! カズちゃん、すっごく綺麗だねぇ!」
 西園寺優純絆は、屋上から見える、御伽噺の世界を思わせる光景に瞳を輝かせた。
「あぁ凄く綺麗な景色だな」
 嬉しそうな優純絆の横顔を見つめながら、十六夜和翔は白い息を吐く。
「ユズ、こんな綺麗な景色初めて見たのだよ♪」
 ふふっと頬を染める優純絆の周囲を、白い粉雪が舞った。
 優純絆の柔らかい金の髪が星明りに輝いて、白い雪がまるで髪を彩る宝石のように見える。
 夜空の星よりも、地上の明かりよりも、和翔は優純絆を見ていたいと思った。
(まぁユズの方が綺麗だけど……なんて言えっか!)
 自らの独白にツッコミを入れて、和翔はちらりと優純絆を見た。
 幸い、こちらの葛藤には気付かず景色に夢中なようで、寂しいようなホッとしたような複雑な感情が沸き起こる。
 小さく首を振って、和翔は軽く咳払いした。
「ところで……願い事は考えてきたのかよ?」
「もっちろん!」
 優純絆は蒼眼を煌めかせ振り返ってくる。
「願い事はね……『これからもずっとずっとずーっと!パパとカズちゃんと一緒に居られます様に』!」
 両手を広げて歌うように言われた言葉に、和翔は瞬きした。
 己の名前がそこにある事に、胸が熱くなる。
「ふはっ、ユズらしいじゃねぇか」
 歓喜を押し込めながら、ニカッと笑ってみせれば、優純絆も嬉しそうに微笑んだ。
「でしょ?」
「じゃあ、一緒に鐘を鳴らすぜ」
「うん!」
 和翔が『セイント・チャペル』の紐を手に取って、優純絆へ手を差し伸べた。
 優純絆が手を重ねて、二人は一緒に紐を持つ。
「行くぜ!」
 和翔の合図で紐を引いた。

『これからもずっとずっとずーっと!パパとカズちゃんと一緒に居られます様に』

 願いの言葉と、鐘の音が、澄んだ夜空に響き渡る。
「これで、願い事、叶うかなぁ……」
 夜空を見上げる優純絆に横顔を見て、和翔はぐっと拳を握った。
「まっ、そんなに言うなら俺様が絶対に叶えてやるよ!」
 拳を突き上げて宣言する。
「本当? それなら約束だよカズちゃん!」
 優純絆と和翔は小指を重ねて約束する。


 新月・やよいは、巻かれた包帯を眉を下げて見つめた。
 負った傷は既に癒えているというのに、几帳面に巻かれているそれは。
(約束だから文句は言いませんが……)
 すっと差し出された手に、新月は隣に立つバルトを見た。
「行こう」
(やっぱり、恥ずかしいです……)
 促してくるバルトに、やよいは眉を下げ、ほんのり目元を赤く染めながらその手に己の手を重ねる。
 バルトのエスコートで歩き出す──『ホワイト・ヒル大教会』の屋上へ向けて。
 ゆっくり歩を進めながら、バルトはやよいの横顔を盗み見た。
 色白の肌がほんのりと赤い──恥ずかしいのだろう。
(過保護と言われないようにしていたが……)
 今日ばかりは新月をたっぷり介護してやろう。そうバルトは決めていた。
(コレが俺の甘え方)
 何時までも屋上に辿り着かなければよいのに……そう思いながら、歩く。
 やがて扉が見えて来て、バルトはそれを押し開けた。
 ひんやりと冷たい空気が頬を撫でる。
 粉雪が舞う中、二人は絶景に息を飲んだ。
 瞬く星達はまるで宝石のように、町の明かりは温かなキャンドルの灯のように。
 降り注ぐ雪が幻想的な光景を彩っている。
 暫く二人は無言でこの風景を眺めた。
「……願い事、どうしますか?」
 『セイント・チャペル』を見上げ、ゆっくりとやよいが尋ねる。
 バルトはやよいを見遣って、同じようにチャペルを見上げると口を開いた。
「──ユウキ達が過去を許せますように」
 やよいは大きく瞬きし、バルトを見る。
 彼の横顔に迷いは見えなかった。
 やよいはふわりと微笑んだ。
「大概、俺もお人よしなのかもな」
 小さく呟いたバルトの手を、やよいはきゅっと握る。
「今回の戦いといい……君がいてくれて、本当に嬉しいです」
 今度はバルトの目が見開かれ、やよいに向けられる。
「ありがとう」
「……ん。お互い様だな」
 クスッと二人は笑い合って、チャペルの紐を共に手に取る。

『ユウキ達が過去を許せますように』

 柔らかな願いは、柔らかな鐘の音と一緒に、夜空に響いた。


 舞い降りる雪は、故郷を思い出す。
 この教会の静謐な空気も。
 ヴァレリアーノ・アレンスキーは、『ホワイト・ヒル大教会』の屋上に立っていた。
 雪風が銀髪を揺らし、ヴァレリアーノの右手が右瞼から頬へ残る傷痕に触れる。
 瞳を閉じれば、瞼に向日葵が揺れる──今はもう遠い、温かな記憶。
 温かな記憶はやがて真っ赤に染まり──ヴァレリアーノは瞳を開いた。
 じくじくと赤の爆ぜる世界は、今もヴァレリアーノの中から消え去ってはいない。
 ひらりひらりと、降りて来た雪結晶をヴァレリアーノは握った。
 唇を開く。

「世界が平和になり、無駄な血が流れず、争いなど無くなります様に。
 ──大切な人が傷つき、誰かが涙する姿は見たくない」

 願いは切実な祈りに似ていて。
 イサークは、ヴァレリアーノの後ろ姿をじっと見つめていた。
(坊やの願い……信念は分かってるヨ)
 一歩踏み出す。
 ヴァレリアーノの元へ、一歩ずつ。
「今はまだ夢物語かもしれない。
 ケレド……いつか本当にその日が訪れるまで」
 ヴァレリアーノの隣で、同じ景色を見る。
 粉雪舞う、煌めく星空を。
 雪が降り注ぐ、人々が暮らす大地を。

 やがて二人は『セイント・チャペル』の紐を共に持った。
 鐘を、鳴らす。
 鐘の音が、夜の空気を震わせて、遠く遠く響いていく。

 ヴァレリアーノが白い息を一つ吐いた。
 その紫の瞳に光が宿るのを、イサークは見た。
(一段落ついたがまだだ。
 終わりからの始まりに過ぎない──これは俺の贖いだ)
 イサークはふわりと手を伸ばした。
 ヴァレリアーノの服のフードを彼の頭に被せると、そのまま後ろから包み込むように抱き締める。
 驚いたようにヴァレリアーノは身動ぎしたが、その手を振り解くことはなかった。
 イサークは言う。フード越しにその耳元に唇を寄せて。
「その願いはアイツじゃなくてボクが叶えるカラ」
(──として)
 密やかな囁きは、雪の中へと溶けて行ったのだった。


 白い雪が落ちて来るのを見上げて、李月は瞬きした。
 雪と星、混じり合う夜空はとても綺麗だ。
 そして、その中で鈍く光る大きなチャペル──『セイント・チャペル』に視線を遣り、李月は傍らのパートナーへ顔を向けた。
「何か願い事あるか?」
 その問い掛けに、ゼノアス・グールンの黒角がぴくっと揺れる。
「おう!」
 キラーンと輝くゼノアスの瞳に、李月は不穏な言葉が彼から出てくるのを察知した。
「オレは、リツキとキス──……」
「せ、世界が愛で包まれます様に!」
 ゼノアスの言葉を遮り、李月は大声で叫んだ。
 声がエコーとなって夜空に響く。
「言わせてくれねーのかよ」
 ぶーぶーと、ゼノアスが唇を尖らせて抗議の眼差しを向ける。
「こ、こういう時に個人的な願いはどうかと思うよ」
 そう言い返しながら、李月はカーッと顔が熱くなるのを感じた。
 咄嗟にとはいえ、『愛』などと勢いで恥かしい事を言ってしまった。仕方ないけれど。
 ゼノアスは赤く染まる李月の顔をじーっと見てから、にっこりと微笑む。
「『愛』ね、いいぜ」
「え? いいの?」
「ほら、一緒に鳴らそうぜ」
 ゼノアスは李月の手を引いて、チャペルの紐を掴む。
「せーので、な」
「わかった」
 手を重ねて、二人は鐘を鳴らす。

『世界が愛で包まれます様に!』

 リンゴーン……!
 二人の声と鐘の音が辺りに響いて行った。

「綺麗な音色だね……」
 李月は鐘の音に耳を澄ませ、夜空を見て、それから町の明かりに瞳を向ける。
 眼下に広がる町並みは、雪化粧の中、人々の生活の灯が燈っている。
 この地で生きている人々の命そのもののような、そんな明るい光。
 李月はそこにノースガルドの人々の力強さを感じ、魅入った。
「……」
 ゼノアスはその横顔を見て、徐にその肩を抱き寄せる。
 驚いたように目を丸くする李月に、ゼノアスはぐっと顔を寄せた。
「オレを忘れんじゃねーよ」
 そこに分かりやすい嫉妬を見て、李月は眉を下げて微笑む。
 そっとゼノアスの腰に手を回して、二人は同じ景色を眺めた。


 鳥飼は、満天の星空を見上げた。
 煌めく星の中を、雪の結晶が舞っている。
 そっと掌に落ちた結晶に、鳥飼は瞳を細めた。
 そんな鳥飼の様子を、鴉は隣で見つめている。
 この場所はとても静かで、今は鳥飼と鴉の息遣いしか聴こえて来ない。
 暫く雪の結晶と星を眺めていた鳥飼が、ゆっくりと白い息を吐いた。
「僕が願うのは……」
 鴉はその声に耳を澄ませる。
「僕が願うのは、『平和でありますように』です」
 そう言って、鳥飼は『セイント・チャペル』を見上げる。大きな鐘は星明りに光っていた。
「『平和』ですか……平和は次の戦いへの準備期間とも言いますがね」
 鴉の声に、鳥飼は彼を見る。
 鴉は柔和な笑みで鳥飼を見つめ返した。
「例えそうだとしても、平和な時間って何事にも代えがたいと思います」
 鳥飼の瞳が揺るがない光を宿しているのに、鴉は一つ瞬きする。
「そうですか」
 ふわりと雪風が、鳥飼の髪と鴉の髪を揺らした。
「束の間の平和だろうと、あなたは必要だと。そういうのですね」
 鴉の問い掛けに、鳥飼は微笑む。少し悪戯っぽくも見える笑顔で。
「少しでも安らぐ時間がなければ、疲れて倒れちゃいますから」
 ──何とも、主殿らしい。
 鴉は口元にうっすらと笑みを浮かべた。
「張り過ぎた弦が切れ易い事は、確かに否定できませんね」
 夜空を見上げれば、キラキラと、一つとして同じ形のない雪の結晶が輝いている。
「一緒に鐘を鳴らしてくれます? 鴉さん」
 チャペルの紐を手に取って、鳥飼が首を傾けた。
 真っ直ぐ見つめて来る薄青の瞳を、鴉は見返す。
「元よりその為にいるのですよ? 主殿」
 花が咲くように笑う鳥飼を眺め、鴉は共にチャペルの紐を持った。
 すぅと鳥飼が息を吸う。
 彼が願いを口にするのに合わせて、一緒に鐘を鳴らす。

『平和でありますように』

 高めの澄んだ音色が、願いと共に雪の結晶の中を飛んでいく。
 鴉は鳥飼と一緒に、暫くその様子に耳を澄ませ、夜空を見上げたのだった。


「レーゲン! 凄く綺麗だよっ」
 声に感動を滲ませて、信城いつきは教会の屋上から見える光景に瞳を輝かせた。
「いつき、そんなに身を乗り出したら危ないよ」
 レーゲンはハラハラした様子で、景色に夢中になるいつきに声を掛ける。
「景色が綺麗で嬉しいのは分かるけど、お願いだから身を乗り出さないで」
 切実なレーゲンの声に、いつきは彼を振り返った。
「大丈夫だよ、レーゲン。ちゃんと気を付けるから。レーゲンも一緒に見ようよ」
 こんな景色、一人で見るなんて勿体ない!
 袖を引いてくるいつきに、レーゲンは表情を緩めて、足元に注意を払いながら彼の視線の先を追った。
 一言で言えば、まるで絵本の中の世界。
 夜空には宝石の星々。その夜空から舞い落ちる雪は、雪の結晶となって地上に降り注いでいる。
 地上の町並みは、降り注ぐ雪で白く染まり、その白を人々の生活の灯が、明るく照らしていた。
「綺麗だ……」
「でしょ?」
 景色に魅入るレーゲンの横顔に、いつきは嬉しそうに笑った。
「ねぇ、レーゲン」
 いつきは町の明かりを見つめ、口を開く。
「以前にさ、『めでたしめでたしな未来』を望んだよね」
「そうだったね……」
 レーゲンは頷いた。脳裏には、懐かしい記憶が蘇っている。
 『シルバームーン・オーク』の植林を共に行ったあの時。
 植えた木がやがてトレントになって、遠い未来の人達に『めでたしめでたし』な昔話を語れるようになったらいい──そう、いつきは言った。
「ずいぶん昔のように思えるよ」
 微笑むレーゲンの瞳を、いつきは覗き込んだ。
「俺の記憶も戻ったし、いろいろ状況も変わってしまったけど……それでも諦めたくないよ」
 逸らさず、真っ直ぐに。いつきは言った。
 その強さに、レーゲンは小さく目を見開く。
「これからも頑張ろう、一緒に、ね」
 いつきの手が、レーゲンの手に重なって、ぎゅっと握った。
「うん。いつきと一緒なら、私も願いと共にいるよ」
 レーゲンがいつきの手を握り返す。重なる温もりに、二人で微笑みを交した。
 いつきとレーゲンは、『セイント・チャペル』の紐を手に取る。
 同じ思い、同じ願いを、鐘の音に重ねて。

『めでたしめでたしな未来を掴めますように』

 二人の願いは、空高く響き渡った。


「スコール、どこへ行く」
 ネロの問い掛けに、スコールは一瞬足を止めて彼を振り返った。
 彼の向かう先には、教会の屋上へ続く階段がある。
「願い事か?」
 重ねて尋ねれば、スコールはひらっと手を振った。
「や、ないんすけど」
 ──では何故?
 訝しげな表情になるネロから視線を外して、スコールは歩き出す。
「このへん一望出来るって聞いたんで」
 そんな事を言いながらも、何か思案する表情のスコールに、ネロはそれ以上は何も訊かず、黙って彼の後ろを追い掛けた。
 長い長い階段を上って、固い扉を開けば、室内とは異なる冷たい風が吹き抜けた。
 ぶるっと身体を震わせながらも、スコールは屋上へと足を踏み入れる。
 雪が降っていた。
 星々と雪と、重なる幻想的な光景に、スコールは瞬きする。
 そして、そんな夜空に、そのチャペルは静かに佇んでいた。
 スコールはチャペルを見上げて止まったのに、ネロも歩みを止めて、彼の後ろ姿を見守る。
 静寂が辺りを包んだ。
 どれくらいの間、そうしていたのか──沈黙を破ったのは、スコールだった。
「決めた」
 振り返らず、彼は白い息を吐く。
「オレ、この仕事続けるから……付き合ってよ、ネロさん」
 ネロは僅かに瞬きした。
 ゆっくりとスコールがこちらを振り返ってくる。
「好き勝手言われねーようにしてくのが、未来の後輩の為に出来る事かなって……」
 そう続けた彼の顔は、僅かに赤くなっていた。
「……なんとか言ってくださいよ」
 ネロは無言でスコールに歩み寄った。
 彼の目の前にある、チャペルの紐を手に取る。
「それは願い事か?」
「や、願い事っつーか……」
 首を傾けるスコールに、ネロは紐を持つように促した。
 戸惑いながらスコールが紐を持てば、その手にネロの手が重なり、紐を引く。

 静かな空気を鐘の音が揺らした。

「そうだな。俺も他の要因でお前が振り回されるのは面白くない」
 ネロがそう言ってスコールを見る。
 スコールは大きく瞬きした。
「自分が振り回すなら構わねーみたいな口ぶりっすね」
 冗談混じりに尋ねれば、ネロは沈黙する。
「……否定しねーのかよ!」
 スコールのツッコミが、夜空を賑やかに震わせた。


 白いお揃いのタキシードに、ヴェルトール・ランスの頬は緩んでいた。
(結婚式みてぇだ♪)
 隣に立つアキ・セイジの身を包む純白。
 教会という場所も相まって、二人だけの結婚式のようで、どうしても表情筋が緩んでしまう。
「ランス」
 名前を呼ばれて、ランスは咄嗟に表情を引き締めた。
 セイジの赤い瞳が真っ直ぐにこちらを見つめている。
「ありがとう」
 彼の唇が感謝を紡ぐのに、ランスは瞬きした。
「今回の決戦でランスが果たした役割は大きい。その分、ランスには負担を掛けてしまったと思うが……本当に感謝している」
 セイジは言葉を切って、少し照れ臭そうに微笑んだ。
「俺から褒められても妙な気持ちかもだが」
「何言ってんだ」
 ランスはじっとセイジの目を見た。
「2人で1つだろ。俺は当たり前の事をしただけだ。だから、俺を褒めるならセイジの事も褒めないと」
 にっとランスは白い歯を見せて笑うと、セイジの頭を撫でた。
「セイジもありがとう。セイジが傍に居てくれたから、俺は戦えたんだ」
「ランス……」
 瞬きして、セイジは赤い顔で瞳を伏せる。
「ランスのさ、願い事はなんだ?」
「願い事?」
 ランスは躊躇せずに答えた。
「セイジとずっと一緒に、かな」
 ランスと視線が合わせられないまま、更にセイジの顔が赤く染まる。
「お前の願いこそなんだよ」
 目を見てとばかりに、ランスがセイジの顔を覗き込んだ。
「……ランスの願いをかなえるのが俺の願い」
 精一杯の想いをセイジが口に出せば、ランスは満面の笑みを浮かべた。
「……言わせんなよ、ばか」
 拗ねた口調でセイジがチャペルの紐を持つ。視線で鳴らすぞと言えば、ランスは微笑んだ。
「ああ、鳴らそう」

「セイジと」「ランスと」
『ずっと一緒に』

 鐘の音と二人の声が、ゆっくりと美しい夜空に上っていく。
 微笑んで夜空を見上げるセイジの身体を、ランスは強く抱き寄せた。

(俺はお前を忘れたりオーガに墜ちたりしねぇ。
 世の中に絶対は無いけど俺の中にはある)

 心で誓いながら、ランスはセイジの唇に己の唇を重ねたのだった。


 この夜、ウィンクルム達によって鳴らされたチャペルの音は、町中に響き渡り、その愛の力は瘴気を消滅させていったのだった。

(執筆GM:雪花菜 凛 GM)

戦闘判定:大成功

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