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フェスティバルイベント

『瘴気に染まりし氷塔の浄化作戦』

リザルトページ


リザルトノベル【男性側】キャンドル・グランツ でデート!

チーム一覧

神人:カイエル・シェナー
精霊:イヴァエル
神人:萌葱
精霊:蘇芳
神人:ロキ・メティス
精霊:ローレンツ・クーデルベル
神人:ルゥ・ラーン
精霊:コーディ
神人:椎名 了
精霊:正宗 誠司
神人:柳 大樹
精霊:クラウディオ
神人:シムレス
精霊:ロックリーン
神人:ラティオ・ウィーウェレ
精霊:ノクス
神人:柳 恭樹
精霊:ハーランド
神人:ユズリノ
精霊:シャーマイン
神人:天宮・水生
精霊:コンラート
神人:天原 秋乃
精霊:イチカ・ククル
神人:セイリュー・グラシア
精霊:ラキア・ジェイドバイン
神人:初瀬=秀
精霊:イグニス=アルデバラン
神人:ハティ
精霊:ブリンド
神人:月影 優
精霊:陽光 烈

リザルトノベル

 オレンジ色の照明は控えめ。
 その中で、様々な色のキャンドルの炎が、ゆらゆらと温かな光を放っている。
 薄暗いホールの中、キャンドルの明かりが宝石みたいな輝きを見せていた。

 ──兄は苦手だ。
 グラスの中、ゆらゆらと揺れるキャンドルの炎を見つめ、カイエル・シェナーはちらりと隣を見た。
 兄であるイヴァエルは、ワイングラスをゆらゆらと揺らしている。
(兄は苦手だ。──それは変わらないものだとばかり思っていた)
 カイエルはゆっくりとグラスを傾ける。
 ノンアルコールのカクテルは、唯々甘かった。
 ──二度の戦闘で、弟は私の盾となった。
 イヴァエルはグラスを傾けるカイエルの横顔を見る。
『エンドウィザードは、戦場では必要不可欠だから』
 それがカイエルの主張だった。
 イヴァエルはそれに少し驚くと同時、弟から必要とされるのに悪い気はしなかった。
 戦場で共に往くカイエルの姿は、これまで知っていた弟の姿とは、少し違って見えたと、今になって思う。
「イヴァエル」
 名前を呼ばれ、イヴァエルはそちらを見遣った。
 カイエルが真っ直ぐにこちらを見ている。
「どうした? 料理に飽きたなら、テーブルを移動しようか──」
「これを、受け取って欲しい」
 カイエルの手に白い封筒を認めて、イヴァエルは瞬きする。
「私に?」
「ええ」
「今読んでも?」
「……ええ」
 イヴァエルはゆっくりと受け取った封筒を開いた。

『ありがとう、感謝している』

 顔を上げてカイエルを見れば、彼は僅かに頬を紅潮させていた。
 ──二度の戦闘を経て、カイエル自身が時間さえを稼げば、確実に兄が状況を打開してくれるという事実に気付いた。
(それはどれだけ心強い事だろう)
 きちんと感謝を伝えなくては。そう思って、この機会を借りて手紙を綴った。
「……」
 イヴァエルはふっと口の端を上げる。
 珍しく殊勝な弟の伝言。嬉しく感じない訳はなかった。
「どういたしまして」
 イヴァエルが手紙を掲げて微笑めば、カイエルは目を見開いて、それから俯いた。その顔はやっぱり赤かった。


 テーブルに並ぶ、ツリー型のチーズの噴水を見上げて、萌葱は瞳を輝かせた。
「蘇芳、凄いよ、チーズの滝だよ!」
「具材も滅茶苦茶いっぱいあるな……」
 蘇芳は所せましとテーブルに並ぶ、フォンデュ用の具材達を目を丸くしてみる。
 二人はまず定番のバゲットを、チーズの滝に潜らせて食べてみた。
「うん、美味しい」
「このパン焼きたてだ」
 二人はチーズの滝に、色んな具材を潜らせて楽しむ。
「──結局、あのユウキだっけ?の言い分理解できないや、僕」
 チーズを付けたアスパラを齧りながら、萌葱がそう呟いた。
「愛でも好きでも信頼でも良いけど……あんな風に押しつけられても困るよね」
 リーガルト・ベルドレットというマキナの抱えた苦悩、そしてユウキ・ミツルギの言う『愛』。
 彼らの口から語られた事は、萌葱には理解が及ばない思いだった──語られた内容だけが全てではないとしても。
「主張は好きにすれば良いが……巻き込まれるのは迷惑だよな」
 蘇芳は頷いて、ブロッコリーを口に運ぶ。
「気持ちの問題は誰かに強制されるもんじゃない」
 萌葱はじっと蘇芳を見つめた。
「……あのさ、僕も少しだけ不安なんだ」
「?」
 瞬きした蘇芳の前に、萌葱は封筒を差し出した。
「これは?」
「感謝の手紙。僕から蘇芳に」
 もう一度瞬きして、蘇芳は手紙を開く。

『神人としてまだまだな僕を支えてくれてありがとう。
 無二の相棒になれるよう頑張る!』

 じわりと胸の奥が温かくなる感覚を覚えながら、蘇芳は消え入りそうな声で呟く。
「……今でも十分あんたは俺の相棒だ」

「え? なに?」
 身を乗り出してくる萌葱の頭を、蘇芳は笑って撫でた。
「ありがとうって言ったんだ」
「……そっか」
 ほんのり萌葱の頬が染まる。
「ほら、あっちにチョコの滝もある。あんたが好きそうなデザートも。勿論食べるだろ?」
 蘇芳が手を引くのに、萌葱はうんと頷いて微笑んだ。


 ロキ・メティスは、カクテルグラスに盛りつけられたサラダを手に取った。
 グラスの中の野菜は、宝石のように輝いていて、見た目も華やかだ。
(いろいろあったがこうやってまた美味しいものを食べられるというのはありがたいことだ)
 しみじみとそう思っていると、横で嬉しそうな声が上がる。
「これもこれも美味しいね!」
 ローレンツ・クーデルベルは、色んな具材の乗った色鮮やかなカナッペを楽しげに見比べ食べていた。
 見た目からして、家庭料理とは一味違う。
「さすがに俺の料理レベルじゃ作れなさそう……」
 じーっと魅入って、無念そうに耳を揺らすローレンツに、ロキはふっと微笑んだ。
「何か飲むか?」
 尋ねれば、ローレンツはうんと頷いた。
 ドリンクを運んでいる給仕を呼び止め、ロキは二人分のグラスを受け取る。
 シャンパングラスに入った青く透明な色を、ローレンツは見つめた。
「ノンアルコールカクテルだそうだ」
「へえ……綺麗だね」
 カチンとグラスを合わせて乾杯する。
「うん、これも美味しい」
 嬉しそうにグラスに口を付けるローレンツを眺め、ロキは懐から手紙を取り出した。
「え?」
 差し出された手紙とロキの顔を、ローレンツは交互に見る。
「俺に?」
 ロキが頷いたのに、ローレンツは手紙を受け取りそっと封を開いた。

『いつもありがとう』

 シンプルな、でもだからこそ伝わる感謝の気持ちに、ローレンツは顔を上げてロキを見る。
「戦闘ではいつもローレンツに守って貰ってばかりだし、普段も俺の為に食事を作ってくれている……この機会に礼を言いたくてな」
 少し照れ臭そうに言うロキを見つめ、ローレンツの顔に笑みが広がった。
「……ロキにありがとうって言ってもらえて嬉しい」
 嬉しそうに手紙を抱き締めて、しかしローレンツはこればかりはとロキの目を見た。
「けれど、俺は俺がしたくてそうしてるだけだよ。ロキの事守りたいし、一緒にご飯を食べるのも好きだから」
「……そうか」
 照れ臭そうに泳ぐロキの視線と、その目元がうっすらと赤いのに、ローレンツは幸せそうに微笑んだのだった。


「これをあなたに」
 コーディは、手紙を差し出してくるルゥ・ラーンを、瞬きして見つめた。
「手紙?」
「はい。コーディへの気持ちを綴ってみました」
 にっこり微笑むルゥ・ラーンと手紙を順番に見遣り、コーディは手紙を受け取る。
「読んでも?」
「勿論です」
 コーディは長い指で手紙を開いた。

「あなたは私の導きの星、その輝きに私は寄り添いたい」

 便箋に書かれた文字を読むよりも早く、ルゥ・ラーンの唇がそれを読み上げる。
 コーディは、パチクリと大きく瞬きした。読む前に読まれてしまった。
「ふふ。私の率直な想いです」
 ルゥ・ラーンは楽し気に笑う。
「この邂逅の答えが楽しみなんです」
 踊るような手つきで、ルゥ・ラーンはコーディに手を翳した。
「そういう想いをしたためました」
 その指先とルゥ・ラーンの笑みを見て、コーディはもう一度手紙に視線を落とす。
「何となく高評価らしいのは分ったけど……」
 そこで言葉を止め、コーディの口の端が上がった。
「『寄り添いたい』ね。──ディアボロにそんな事言っちゃっていいの?」
 妖艶に彩られたコーディの笑みに、ルゥ・ラーンは鈴を転がすように笑った。
「言ったでしょう?率直な想いだと」
「ふーん」
 コーディは手紙を大事に畳み直して、ルゥ・ラーンの手元を見る。
「取りあえずはお互いをもっと知らないとね」
「ええ」
 ルゥ・ラーンも深く頷き、コーディの手元を見た。
「好物は分りました」
 ルゥ・ラーンの視線は、彼のしっかり盛られた鶏肉料理に向いている。
「そうだね」
 一方、ルゥ・ラーンの皿に盛られた魚料理を見て、コーディも深く頷いた。
「乾杯しませんか」
 ルゥ・ラーンがグラスを掲げて、コーディもグラスを上げる。
 グラスを触れ合わせカチンと鳴る音は、とても澄んでいて、楽しげに聞こえた。


「へぇ……美味そうなもん沢山あるッスね」
 椎名 了は、テーブルに並ぶ料理を興味深く見渡した。
 一口サイズで食べやすそうなカナッペ、ピザ、タコス、何故かたこ焼きといった親しみやすいメニューまで並んでいて、目移ししてしまう。
「フレンチか……良いよねぇ」
 一方、正宗 誠司は、スズキのパイ包みに見惚れていた。
 パイの出来が兎に角素晴らしいのだ。
 スズキの鱗をパイで完璧に表現しており、その細かい職人芸には感嘆の溜息が出る。
「オニーサン、まずは乾杯からしませんか?」
 了がそう提案すれば、そうだねと誠司は微笑む。
「姫君はノンルコールだよ」
「わかってるッスよ」
 誠司が給仕を呼び止め、それぞれカクテルのグラスを受け取った。
 了は青色のノンアルコールカクテル。
 誠司は緑色のカクテルだ。
「乾杯ッス」
「乾杯」
 カチンとグラスを鳴らして、カクテルに口を付ける。
「んー甘くて美味しいッス」
「口当たりが優しいね」
 二人でほっこりと微笑んでから、了はハッと思い出した。
「そうだ。先にこれをオニーサンに渡しておかないと……」
 ごそごそとポケットを探って了が取り出したのは、一通の手紙。
「感謝の気持ち……オレはいつも伝えてるつもりッスけど、改めて書いたッスよ!」
「そうだね、姫君からはいつも感謝されてる気がする」
 ふふっと微笑んで、誠司は手紙を受け取った。
「でも改めて別の形で言われると違ったものを感じるよ」
 封を開けば、了の文字が視界に飛び込んでくる。

『オニーサンがオレの精霊で良かったッス』

 誠司は嬉しそうに瞳を細めた。
「ありがとう、姫君」
「どういたしましてッス。これからも……誘惑頑張るッスからね!」
 怪しく微笑む了を見つめ、誠司は余裕のある笑顔を見せた。
「……誘惑、かい?ふふ。どんな形で誘惑してくるのか、楽しみにしているよ」
「余裕面してられるのも、今の内ッス!」
 了はふふんと胸を張って、更に誠司は笑みを深めたのだった。


 クラウディオは、薄暗いホールを見渡した。
 彼の斜め前には、料理人が切り分けているローストビーフを眺めている柳 大樹が居る。
(非常時の誘導灯は……あそこ)
 脱出経路を確認し、クラウディオは一つ頷いた。
 会場内にはウィンクルム以外にも、料理人や給仕など一般の人も居る──念には念を入れておく必要があった。
「クロちゃん」
 大樹の声に視線を前に戻せば、彼はローストビーフの乗った皿を持っていた。
 ん、と皿を差し出され、クラウディオは瞬きする。
「折角なんだし、少しくらいは食べてもいいんじゃない?」
 参加者として自然に振る舞うには、大樹の言う通り多少は何か口にした方が良いのかもしれない。
 素直に皿を受け取ったクラウディオに、大樹はふっと微かに息を吐く。
「あ、飲み物ください」
 グラスを乗せた盆を持つ給仕に、大樹が声を掛け、グラスを二つ受け取った。
「はい、クロちゃん」
 大樹に渡されたグラスを、クラウディオは少し迷う目線で見る。両手が塞がってしまう。
「乾杯、まだでしょ」
 クラウディオは一旦皿を置いてから、大樹からグラスを受け取った。
「じゃ、乾杯」
 グラスが触れ合えば、大樹はぐいと呷る。爽やかな炭酸が喉を刺激して気持ち良かった。
 それから、大樹は懐から封筒を取り出して、クラウディオに差し出した。
 クラウディオは小さく瞬きして、受け取れとばかりに出された手紙を手に取る。
 ──読め、という事なのだろうか?
 大樹は視線を合わせてこない。
 その事を不思議に思いながら、クラウディオは手紙を開く。

『どうしようもない俺についてくる。どうしようもないあんたに、感謝しなくもない』

 差出人も宛名も、書かれていない手紙。
 それでも、誰が誰に宛てた手紙なのかは分かる。
 クラウディオは、その文面を何度も読んで記憶する。──覚えていたかった。心の中に広がる感情の名は、きっと喜び。
 大樹は動かないクラウディオを見た。その表情は、さっきと全く変わらなくて何を考えているのかは読めないけれど。
「見たらさっさと飾りなよ」
(くっそ。むず痒い)
 視線を逸らしてグラスに口を付ければ、クラウディオがこちらを見たのが分かった。


 薄暗いホールの中で、ロックリーンは肩を落としていた。
 今のこの薄暗さは、彼の心情に合わせたようだと思う。
 煌びやかな照明が、眩し過ぎて視線を上げる事ができない。
 カッと杖の音に、視線を向ければ、彼のパートナー、シムレスがこちらに歩み寄って来ていた。
 濃い青の真っ直ぐな髪が、キャンドルの灯にキラキラと輝いて、赤紫の瞳がロックリーンを心配げに見ている。
 普段、余り表情を変える事のない彼だけれども、この瞬間は己を心配してくれている色を感じて、ロックリーンは胸が痛くなるのを感じた。
「どうした?」
 ゆっくりとシムレスが問い掛ける。
 ロックリーンは黙って首を振った。彼に迷惑を掛けたくはない。
「いいから……話してみるといい」
 シムレスの優しい手がロックリーンの背中を撫でる。ロックリーンの胸に熱いものが込み上げた。
「思っていた様に、戦場で動けなくて……」
 口に出せば、ロックリーンは大きく溜息を吐き出す。
「自分が情けない……」
「……そうか」
 黙って彼の話を聞いていたシムレスは、瞳を伏せた。そして、ロックリーンの頭へと手を伸ばした。
 ふわりと髪を撫でる優しい感触に、ロックリーンは思わず顔を上げる。
 頭を撫でる染み入るようなシムレスの手の温かさに、ロックリーンの視界が滲んでいく。
「……これを」
 シムレスが懐から封筒を取り出して、ロックリーンに差し出した。
「手紙……?」
 ごしごしと目元を擦りながら尋ねれば、シムレスは頷く。
 ロックリーンはゆっくりと手紙を開いた。

『いつもその暖かな眼差しに救われた。大切な友よ、感謝は尽きない。ありがとう』

 拭った筈の涙が、再び頬を濡らす。
「すまない」
 シムレスは、ロックリーンの頬を伝い落ちる涙に触れた。
「これまで戦場を共にしたんだ、あんたにだって癒しが必要だった筈なのに」
 ロックリーンが首を振る。
「ゆっくり休もう。お返しをさせてくれ」
 シムレスがその涙を拭ってやると、ロックリーンは微笑んだ。
 流れているのは、苦しみの涙ではなく、喜びの涙だった。


 会場内は、人々の笑い声に満ちている。
(人の多い……。どうにも落ち着かん)
 ノクスは、煌びやかな照明の中を行き交う人々を見るとはなしに見ながら、げんなりとグラスを傾けた。
 唯一の救いは、出される飲み物も食事も美味いという事。しかし──。
(このような事で浄化が本当に可能なのか?)
 思わず半眼になっていると、隣でラティオ・ウィーウェレが小さく伸びをした。
「僕はマナーとか苦手なんだけれどもね」
 そう言いながら、ラティオは気軽に摘まめるカナッペを口に運ぶ。
「こういう場所は慣れないな。あ、このマッシュポテト凄く美味しい」
「その意見には同意する。……これが美味いのか?」
 深く頷きながら、ノクスはラティオの食べているカナッペに手を伸ばした。
「ふむ……」
 確かにマッシュポテトの口どけが素晴らしく美味い。
「こっちのキッシュも美味しいよ」
 ラティオは、ほうれん草とベーコンのキッシュをもぐもぐ食べ、ノクスにも勧めた。
「生地がサクサクしていて美味いな」
「でしょ?」
 ノクスが味わって食べる様子にラティオは微笑む。
「ああ、そうだ」
 ふと思い出した顔で、ラティオはポケットに手を入れた。
「ノクス。これを渡しておくよ」
 差し出された白い封筒を、ノクスは訝し気に見る。
「なんだこれは」
「感謝の手紙ってやつだね」
 ラティオはにっこり笑った。
「感謝?」
 目を丸くして、ノクスは手紙を受け取る。
 ラティオの視線を感じながら、ゆっくりと手紙を開けば──。

『助けてくれてありがとう』

(……何を)
 思わず僅かに手が震えた。
「……傷が残る程の怪我を、我は防ぐ事が出来なかったというに」
 絞り出すような声で、思わず口に出していた。
 ラティオが瞬きする。
「うん、でもさ。ウィンクルムならこれぐらいあることだろうさ」
 はは、と彼はどうという事はないと微笑む。
「生きてるだけ感謝だよ」
「能天気めが……」
 ノクスの小さな声が、人々の笑い声の中に溶けた。


 薄暗い会場の中を、柳 恭樹は見渡す。
 キャンドルの炎が揺らめく会場内は、華やかで温かな空気に満ちていた。
 フレンチ中心ではあるが、無国籍に並ぶ料理達は、目にも鮮やかな盛り付け。
 様々な酒やソフトドリンク、お茶やミネラルウォーターまで、ウィンクルム達の好みに合わせて様々なものが用意されているようだ。
(浄化か)
 恭樹は『ギルティ・シード』に思いを巡らせる。
 集まってしまった瘴気を浄化させる事が先決なのは分かる。しかし……。
(これ程に大規模なパーティーをしないと難しいものなのか?)
 腕組みする恭樹の隣で、感嘆の声が上がった。
「あのツリーに飾る事になるのか。流石の大きさだな」
 恭樹は、瞳を輝かせるハーランドを横目に見る。
 彼の視線は窓の外に向いていた。
 『スノーウッドの森』で一際大きな姿を見せる『メリーツリー』。
 何でもパートナーへ感謝の気持ちを伝える手紙を、この『メリーツリー』に吊るすのだという。
 そうする事で、『メリーツリー』へ愛の力を供給できるのだと聞いているが……。
(本当に、そんな手紙なんかで木に力を与えられるのか?)
 更に恭樹の瞳が険しさを増してきた所で、ぽんと肩を叩かれる。
 すっとハーランドが自然な動きで手紙を差し出してきた。
「恭樹、私から此方を贈ろう」
「……」
 恭樹はまじまじと手紙を見て、それから受け取った。
「変な事を書いてないだろうな」
「読んで確かめてみるといい」
 無表情に封筒を開く恭樹を、ハーランドはにこやかな笑顔で見守る。
(さて、これを読んでどのような顔をするか)
 恭樹は折りたたまれた手紙を広げた。

『貴殿と出会い契約した。其の事実と奇跡に感謝しよう』

「……」
 真顔で手紙を読み終え、恭樹は丁寧に手紙を畳み直した。
「後で吊るしに行く。取り敢えず、何か食べるか」
 平常と変わらぬ声と態度で、恭樹は給仕を呼び止めドリンクを貰う。
(一見無反応に見えるが……少し耳が赤いようだ)
 恭樹の後ろ姿にクスッと笑みを深め、ハーランドは自分もドリンクを貰うべく一歩踏み出した。


「わああ……!」
 ユズリノは、テーブルの上に並ぶ、煌びやかな料理達に瞳を輝かせた。
 スライスしたパンの上にカラフルな具材を乗せたタルティーヌ。ケーキのようにデコレーションされたサンドイッチ。
 花が開いたようなオニオンブロッサム。ソーセージのパイ包み。フォアグラのテリーヌ。
 数えきれない程の色鮮やかな料理達が、テーブルに犇めいている。
「宝石みたいに綺麗ー」
 ユズリノはチーズとベーコンの乗ったタルティーヌを口に運んだ。
「美味しー」
 頬に手を当ててうっとりするユズリノを見つめ、シャーマンは微笑んだ。
「これ、ワインにもとっても合うよ」
 シャーマンの手には、赤ワインの入ったグラス。
 彼はワインを含みながら料理を楽しんでいる。
「食べたい物がいっぱいで、悩んじゃうよね」
 ユズリノはふわふわと幸せそうに微笑んだ。シャーマンはそんなユズリノに目を細める。
(可愛いな)
「あ、これも凄く綺麗」
 ユズリノはケーキのようにデコレーションされたサンドイッチに手を伸ばした。
 見た目は完全にケーキ。しかし口に運べば……。
「! これ、パンだ。具は……何だろう?」
 知らない味だ。
(調味料何だろう)
 もぐもぐと味わって、ユズリノは考える。
「プロの味から学んでるのか?」
 シャーマンが尋ねると、ユズリノは頬を染めて頷いた。
 そんな彼の目を見て、シャーマンは懐から手紙を取り出す。
「これ、書いた」
 ユズリノが大きく瞬きした。
「僕に!?」
「うん」
 ユズリノは胸がドキドキと早鐘を打つのを感じながら、受け取った手紙を開く。

『家庭料理の良さを知ったのはリノのお陰。サンキュ』

 ユズリノの瞳がみるみる見開かれ、頬が紅潮した。
「ぼ 僕のご飯?」
 ふるふると震えるその耳元に、シャーマンは唇を寄せる。
「今は家に帰って、リノのご飯食べて眠りたい気分」
「!?」
 ユズリノはびくっと肩を跳ね上げてから、真っ赤な顔で微笑んだ。
「ご馳走に囲まれてるのに」
「うん」
「お茶漬けでいい?」
「勿論」
 二人は顔を見合わせて、クスクスと笑い合った。


「キャンドルってわくわくする!」
 天宮・水生は、キャンドルに灯る炎をじっと魅入った。
 ゆらゆら揺れる炎は生き物のように揺れて、薄暗い会場内を明るく照らす。
「生き物みたいだ……綺麗だなぁ……!」
 瞳を輝かせて炎を見つめる水生の背後で、クスリと笑う声がした。
 水生は肩を震わせてから、慌てて振り返る。
 そこには、こちらを見下ろすコンラートの姿があった。
「相変わらずお子様だな」
 クスクス笑いながら言われた言葉に、水生はむっと眉を寄せる。
 べーっと、思い切り舌を出せば、コンラートが眉を下げた。
「どうせ子どもですよ」
 ぷいっと顔を背ける水生に、コンラートは穏やかな笑顔を向ける。
「ごめん」
 ぽんと水生の肩を叩いた。
「向こうに大きなチョコフォンデュタワーがあったよ。行ってみよう」
 ね?と首を傾けるコンラートに、水生はちらっと彼を見上げ、こくんと小さく頷く。
 コンラートの後に続き、水生は会場内を歩いた。
 会場内には色んなウィンクルムが居るが、皆、大人に見える。
「ミナギは、ジュースでいいかな?」
 立ち止まったコンラートにそう尋ねられ、水生は頷いた。
 コンラート自身は給仕からワインを受け取り、水生にジュースの入ったグラスを差し出してくる。
 水生は神妙な表情でコンラートを見上げた。
「ミナギ?」
「……これ」
 水生はポケットから手紙を取り出し、コンラートに差し出した。
 コンラートは大きく瞬きして、水生と手紙を交互に見る。
「俺に?」
 水生が頷くのに、コンラートは彼から手紙を受け取った。
 封筒を開けば、中にはカードがある。

『いつもありがとう』

 コンラートがそのメッセージに瞳を細め、水生を見れば、彼は唇を噛み締めていた。
「早く大人になって、一緒に戦えるようになるから……待ってて」
 真剣に告げられた言葉に、コンラートは膝を折って水生と視線を合わせる。
「……急ぐことはない。ゆっくり大人になりなさい」
 ポンと優しい手が水生の頭を撫でた。
「保護者の立場も気に入ってるんだ」
 柔らかいコンラートの笑顔に、水生はうんと頷いたのだった。


 天原 秋乃は、固まっていた。
 キャンドルの炎は幻想的に辺りを照らしていたし、テーブルの上には豪華な料理。
(場違い感、ハンパない……)
 右、左と秋乃は視線を彷徨わせ、ハァと息を吐き出した。
 落ち着かない。
(取り敢えず……食うか)
 秋乃は目の前のテーブルを見た。
「これは……何だ?」
 美しい紫色のナニカ。リンゴが混じっているのは分かった。けれど、これが何味なのか想像がつかない。
「秋乃、食べないの?」
 躊躇していると、横からひょいと手が伸びて、その紫色のナニカを掬った。
「イチカ」
 イチカ・ククルは、ぱくっと紫色のナニカを口に運ぶ。
 秋乃はじっと彼の反応を窺った。
 イチカはうんと一つ頷くと、にこにこ笑顔でおかわりを自分の皿に取る。
 ──美味い……のか?
 もぐもぐ食べるイチカが感想を口にしないのに、秋乃はついに自ら尋ねた。
「どんな味?」
「……味?」
 イチカはうーんと天井を見上げる。
「リンゴの味がする」
「リンゴ入ってるもんな」
「おしまい」
「……って」
 その時、秋乃は気付いた。イチカの顔が笑っている。これは確実にからかわれている……!
「あはは、あきのんも食べてみればわかるよ」
 イチカは問答無用で秋乃の皿に紫色のナニカを入れる。
 秋乃は眉間に皺を寄せながら、それを食べてみた。
「……美味い。この紫、キャベツだったのか」
 謎の料理──紫キャベツのラペは、歯ごたえが良くさっぱりとした味だった。
 頷きながら料理に手を付け始めた秋乃に微笑んで、イチカは懐から手紙を取り出した。
「はい、秋乃」
「手紙?」
 秋乃は目を丸くしてから、イチカから渡された手紙を開く。

『こんな僕と一緒にいてくれてありがとう』

 みるみる顔を赤くさせる秋乃を見つめ、イチカはそっと微笑んだ。
(僕と契約してくれたのが秋乃で、よかったと思ってる。
 ……これは嘘じゃない)
「あー……その、なんだ」
 ウィンクルムだから当たり前──そう言い掛けて、秋乃は言葉を止めた。
 その代わりに出た言葉は──。
「あんたがいてくれないと、困る。……深い意味はないからな」
 ない……と思う。
 秋乃が視線を向ければ、イチカが嬉しそうに笑った。


「セイリューは絶対ここを選ぶと思ったよ」
 微笑みを浮かべたラキア・ジェイドバインの言葉に、セイリュー・グラシアはニッと笑った。
「ウマい物食べると幸せになれるじゃん?」
 セイリューは、テーブルの上の料理を輝く瞳で見つめる。
「伊勢海老やカニが旬だし。肉もガッツリ食べたいし」
 伊勢海老のテルミドールが香ばしい香りを放っていた。
 カニのクリームスープはほかほかと湯気を上げているし、牛フィレ肉のステーキは肉厚なボディを見せつけている。
「だから、ぜーんぶ、いただきますっ!」
 セイリューはきちんと一礼してから、伊勢海老のテルミドールを皿に取った。
「うまー!」
 ホワイトソースとチーズのコクと香ばしさ、海老の甘さが口の中で蕩ける。
「伊勢海老の旨味が堪らないね」
 ラキアも一口食べると頬を緩ませた。
「次はカニだー!」
 カニの殻も脚も細かく叩き潰して煮込まれたスープは、なめらかで濃厚。
「うまー!」
 セイリューは身体全身でカニを感じた。
 有難うカニ、美味しいよカニ!
「手間暇かけて作られてるスープだね。凄く上品で美味しいよ」
 ラキアもカニを深く味わう。
「次は肉ー!」
「君、ちゃんとお野菜も食べてよね」
 ラキアがにっこり微笑めば、セイリューはぐっと親指を立てた。
「ほら、フィレ肉ステーキには、ちゃんと温野菜添えてるし」
 ラキアはセイリューの皿を確認して、うんと頷く。
「このサンドイッチも美味しいよ」
 さりげなく、野菜たっぷりのサンドイッチを取り分けるあたり、ラキアには隙が無かった。
 最後のデザートはアイスクリーム。
「あまー!うまー!」
「ちょっぴり大人な味で美味しいね」
 カクテルグラスに乗せられたアイスは、洋酒が入っていて濃厚だった。
「ラキア」
 食後のコーヒーを楽しんでいると、セイリューが懐から手紙を取り出す。
「オレからラキアへ」

『愛するラキア、毎日ありがと!』

 手紙を読んで、ラキアは幸福感に包まれるのを感じた。
 凄くストレートな表現が彼らしくて、嬉しい。
「こちらこそ、有難う、セイリュー」
 ラキアの微笑みに、セイリューもまた幸せそうに笑ったのだった。


 イグニス=アルデバランはとても忙しかった。
 彼の瞳は、美味しそうな料理を見逃さない。
「あ、秀様これ美味しいですよ」
 柔らかなローストポークを、ささっと初瀬=秀の皿に取り分ける。
「……ありがとう」
 秀は目を丸くして、それを有難くいただく。リンゴの香り、そして甘みが染みた肉は口の中で溶けるようだ。
「こちらも美味しいです」
 秀がローストポークを味わっていると、新たにフランスパンのカナッペが皿に置かれた。
 スモークサーモンとクリームチーズが目にも鮮やかでお洒落だ。
「こちらも是非!」
 続けて人参のグラッセが置かれた所で、秀は慌てて口を開く。
「いや自分でとってこれるから……」
「秀様、飲み物にワインは如何ですか?」
 ワイングラスを差し出されて、秀は言葉に詰まり、
「……まあありがとう」
 取り敢えずお礼を言った。
 イグニスは嬉しそうに微笑む。
「秀様、乾杯しましょう」
「ああ」
 ワイングラスを互いに持ち、カチンと音を鳴らした。ワインを飲めば、コクと甘みが口の中に美味しく広がる。
 二人で暫くワインと料理を味わった後、
「そうそう、こちらを」
 そう言ってイグニスが手紙を差し出してきた。秀は瞬きする。
「ん、手紙?」
「はい!」
 頷くイグニスに、秀は手紙を受け取って、開いた。

「……『今を生きてくれて、ありがとう』?」

 手紙を読み上げた秀に、イグニスは大きく頷いた。
「ミラス様に話してたじゃないですか、『前世じゃなく今を見ろ』と」
 イグニスの言葉に、秀は先日の戦闘を思い出す。
「そう思えるようになってくれたのが嬉しかったんです!」
 ぐっと拳を握って身を乗り出すイグニスの本当に嬉しそうな顔を見て、秀は眉を下げた。
「とっさに出た言葉だが……」
 そう言って、秀は顎に手を添える。
「とっさに出たという事は……まあつまりは本心、か」
 イグニスが『そのとおりです!』とばかりに大きく頷いた。秀はふっと息を吐き出し、穏やかにイグニスを見つめる。
「そう思えるようになったのもお前のおかげなんだぜ?」
「……秀様」
 イグニスがうるっと瞳を潤ませ、そしてわっと抱き着いてくるのに、秀は大きく蹈鞴を踏んだ。
 ぎゅうと密着する身体が温かい。
 秀は小さく息を吐き出すと、イグニスの背中をぽんぽんと叩いたのだった。


「お疲れ様」
 ハティが差し出したグラスを見て、ブリンドは己のグラスをそれに重ねた。
 カチンと、澄んだ音が二人の間を繋ぐ。
 薄暗いホールは談笑の声に溢れていたが、不思議と二人の周囲だけ外の音が遠く聞こえるような気がする。
 目の前に並ぶ料理の鮮やかさを見つめながら、ハティはゆっくりと口を開いた。
「運命だと、ウィンクルムだからと……そんな話を沢山聞いたが……」
 ブリンドがこちらを見る。
「アンタは考えることあるか?」
 ハティが見返せば、二人の視線が絡んだ。
 ブリンドは手の中のグラスを軽く揺する。カランと氷の音が響いた。
「俺が付き合ってるのはリン」
 ハティは彼の返事を待たず、続ける。
「アンタだから」
 ブリンドの眼鏡の奥、銀色の瞳には、今ハティが映っていた。それを見ながらハティは言った。
「他に理由を探す気はない」
 そこまで口にして、ハティは小さく息を吐き出す。
 窓の外を見た。
 『スノーウッドの森』には『メリーツリー』がある。
「……それでだな。よければリンに手紙を書きたいんだが……」
「手紙ってこれか?」
 ひらりと、目の前にちらつく封筒。ハティは瞬きした。
「え」
 手紙の主であるブリンドと、彼の顔を交互に見る。
 ブリンドはニヤリと口の端を上げた。
「『御陰様』で考える事ねえ」
(お前の殺し文句にも多少耐性ついたな、俺も)
 ブリンドはじっとハティの瞳を見る。
「が、何だ恋人にしてくれって話か?」
「え?」
 ガタッと、ハティが身体を揺らして動揺したのを、ブリンドは見た。
 取り敢えず落ち着こうとしたのか、ハティはぐいとグラスを煽るもほとんどが口の端から零れる。
 慌ててぐいと口元を拭う彼へ、ブリンドはハンカチと手紙を一緒に差し出した。
「ほらよ」
「……」
 まずハンカチで丁寧に顔と手を拭いて。それから、至極大事そうにハティは手紙を開いた。

『御陰様』

 ハティが瞳を細める。
 ブリンドはその耳元に囁いてやった。
「その手紙、持ち帰れねぇからな?」
「!」
 ハッとして、とても残念そうに手紙を見つめるハティに、ブリンドは今度こそ声を出して笑ったのだった。


「こないに豪華な料理は久しぶりや……」
 陽光 烈は感動していた。
 今、彼の目の前には、これまでの人生で見た事のない量の、豪華な料理が並んでいる。
 料理の名前は知らなくても、それが美味であることは、匂いで分かった。
(ここしばらく、もやし生活やったからな……)
 昨日の食卓を思い出し、心でそっと涙を流す。
 しかし今日は、今日だけは!
 烈はぐっと拳を握った。
「今日は食べまくるで!」
 腕まくりすると、ナイフとフォークを掴んだ。まず狙うのは、肉厚のステーキだ!
(困りましたね……)
 月影 優は困っていた。
 彼の隣では、パートナーの烈が、猛烈な勢いで料理を平らげている。
(食事に夢中で伝えるタイミングがありません……)
 優は懐に忍ばせた手紙にそっと触れた。
「烈くん、お行儀が悪いですよ」
 そんなにがっつかなくても……と、優が声を掛ければ、
「……うっ」
 一度に料理を詰め込み過ぎて喉に詰まらせた様子で、烈が苦しそうな声を上げた。
「あ……もう」
 優は眉を下げて、彼に水の入ったグラスを差し出す。
 烈はそれを受け取ると、ごくごくと一気に飲み干していった。優はその背中を摩ってやる。
「……ぷはぁ!」
 すべて飲み切って、烈は大きく息を吐いた。
「気を付けてくださいね、烈さん」
「すまんすまん、助かったわ」
 烈は心配げにこちらを見て来る優に、両手を合わせる。
「ありがとぉな」
 にっこりと笑った烈に、優はふふっと笑みを零した。
「どういたしまして」
 それから、優は懐に隠していた手紙を取り出す。
「先に言われてしまいましたが……こちらこそ」
 すっと差し出された手紙に、烈は目を丸くした。
「俺に?」
 烈は緊張した面持ちで手紙を開き、それから破顔する。

『いつもありがとう』

 優らしい優しい文面だった。
「おうっ」
 烈は一言そう照れ臭そうに答えて、二人は顔を見合わせて笑い合ったのだった。


 この日、ウィンクルム達が贈った感謝の手紙は、『スノーウッドの森』にある『メリーツリー』に飾られ、その手紙に込められた愛の力は、『メリーツリー』に力を与えたのだった。

(執筆GM:雪花菜 凛 GM)

戦闘判定:大成功

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