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フェスティバルイベント

『瘴気に染まりし氷塔の浄化作戦』

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リザルトノベル【男性側】アピアチューレ・ホール でデート!

チーム一覧

神人:エルド・Y・ルーク
精霊:ディナス・フォーシス
神人:俊・ブルックス
精霊:ネカット・グラキエス
神人:セラフィム・ロイス
精霊:火山 タイガ
神人:蒼崎 海十
精霊:フィン・ブラーシュ
神人:瑪瑙 瑠璃
精霊:瑪瑙 珊瑚

リザルトノベル

 スポットライトが純白の大理石と琥珀を照らし、煌びやかに輝かせていた。
 一万人程度が収容できる観客席は超満員状態。ケミカルライトを手にした人々が興奮に瞳を輝かせながら、ステージに登場するウィンクルム達を待っている。
 ここは、『アピアチューレ・ホール』。
 今からウィンクルム達によるパフォーマンスが披露されるのだ。


 テクノ風の音楽が流れ始める。
 軽快なリズムのその音に乗って、キラキラ金色に光るスーツに身を包んだ二人の青年がステージに姿を現した。
 観客席からは、『ネカザイルーッ!!』と大きな歓声とウェーブが起こる。
 『ラブ★ネカザイル』と書かれた横断幕まであって、俊・ブルックスはタラリと冷汗が出るのを感じていた。
「ネカザイルのネカ太郎です☆」
 きゃぴっと小指を立て、ネカット・グラキエスがマイクを持ち自己紹介すれば、観客席から『ネカ太郎』コールが巻き起こった。
「今日はネカザイルの新曲を披露しますよー!」
 ネカットが手を振れば、拍手が鳴り響く。
(毎度のことながら……慣れ過ぎだろ、ネカは)
 俊はそっと溜息を吐きながら、用意したフリップを持ち、ネカットの斜め後ろに立った。
「それでは、聴いてください☆」
 ネカットがパチンと指を鳴らせば、音楽が切り替わる。
 テクノ調の耳に残るリズミカルな音。ネカットが表情豊かに、コミカルな振り付けでステップを踏む。
『鉛筆とりんご』
 俊の持つフリップにそう曲名が現れた。
 音に合わせて、ネカットが右手を前に出す。身振り手振りでそれが鉛筆である事が伝わってくる。
 続けて、ネカットは左手を前に出した。今度はりんごが手に乗っているというジェスチャー。
 俊は、無表情でネカットの動きをそのままトレースし、一緒に踊る。
 ポンポン☆
 音が鳴ると、ネカットは再びフリップを捲って掲げて見せた。
『右手の鉛筆、左手のりんご──これを合体させて。』
 ポンポン☆
 鉛筆に刺さったりんごをネカットがコミカルに振り回せば、大歓声が上がった。
『皆さん、ご一緒に』
 俊がフリップを大きく振り回せば、観客席が一斉にネカットを真似て両手を上げる。
 ポンポン☆
 ネカットの動きを真似て、観客達が右手に鉛筆、左手にペンを持った。
 俊はわざとワンテンポずらして、同じようにネカットの動きをトレースする。
 ポンポン☆
 鉛筆に刺さったりんごをコミカルに一回転。
 観客達のテンションも最高潮だ。
(しかし後ろから見るとシュールだな……まあ受けりゃ何でもいいか)
 ポンポン☆
 最後、皆で決めポーズを決めれば、観客席から割れんばかりの拍手が響き渡ったのだった。


「一緒に歌おう」
 きっぱりそう誘われて、フィン・ブラーシュは大きく瞬きして蒼崎 海十を見つめた。
「……俺も一緒に?」
 思わず己を指差して尋ねれば、海十は大きく頷く。
「けど……」
 フィンは俯いた。
 海十の歌は皆に聴いて欲しい。心からそう思う。普段から海十のバンド、海十のファンとしても。
 けれど……自分が一緒に歌えば、海十の足を引っ張ってしまうのは想像に難くない。
「海十、俺は……」
「上手い下手は関係ない」
 その言葉を遮って、海十はひたとフィンの青の瞳を見た。
「俺はフィンと歌う歌なら、きっと温かく響くと思うんだ」
 確信めいた口調で言い切り、海十はフィンの手を掴む。
「何より、俺がフィンと歌いたい気分」
 そう言って微笑む海十に、フィンは返す言葉を失った。
「四の五の言わず、行くぞ!」
 ぐいっとフィンを引っ張って、海十はステージへと躍り出た。
 大きな大きな歓声が、ステージの中央にやって来た二人を包む。
 フィンと手を繋いだまま、海十は一礼した。フィンもそれに合わせて一礼する。
 ピアノの柔らかな前奏が始まり、海十が口を開いた。
 歌声が、響く。
 海十が歌うのは、愛の歌。
 高らかに愛を歌い、観客達は一瞬でその歌に魅了される。
 海十がフィンを見た。一緒に歌おうと、視線が訴えて来る。
 フィンはその手を握り返して、海十の歌に自分の歌を重ねた。
 二人の声が重なって、更に深い愛の歌を奏で出す。
(──海十の歌は不思議)
 フィンは心地良い歌に身を任せた。
(俺を引っ張ってくれて……心地良い。本当に楽しい)
 テクニックなんて関係ない。気付けば、フィンは心から歌っていた。
(力強く響け、俺達の愛の歌……!)
 海十は力強くフィンをリードし、歌声を響かせる。
(この幸せな気持ちが歌に乗って世界に届きますように)
 フィンの想いは歌に乗って、観客達は美しいハーモニーに、ほぅと吐息を吐き出した。
 やがて歌が終わると、観客席からは大きな歓声と拍手が鳴り響く。
 海十がフィンを見つめて微笑む。
「楽しかった、有難う」
「こちらこそ」
 フィンも笑う。
 二人は手を取り合って、観客席に深々と一礼した。


 セラフィム・ロイスは、少し緊張した面持ちで、スポットライトの輝くステージに立った。
 彼の手には、愛用の銀オカリナが光る。
 今は幕が閉まっているが、この幕の先には、沢山の観客達がセラフィム達を待っているのだ。
(舞台での挫折から趣味の音楽。挑みたくなった)
 そのセラフィムの隣で、瑪瑙 瑠璃がエレキベースのチューニングを行っている。
 瑪瑙 珊瑚も、アコースティックギターの弦を調整し、正しい音程へ合わせていた。
 瑠璃と珊瑚の表情には緊張の色が見えない。
 セラフィムは頼もしい気持ちで二人を見て、己の緊張も少し和らぐのを感じる。
(……そうだ、タイガは……)
 セラフィムが視線を回した先では、火山 タイガがハンドベルの並びの最終確認を行っていた。
 セラフィムの視線に気付けば、タイガはぴっと親指を立てて笑顔を見せる。
(今日は精一杯、セラを応援するからな)
 タイガの眼差しに、セラフィムは更に心が落ち着くのを感じた。
 スタッフが、もうすぐ幕が上がりますと合図してくる。
「よし」
「リッカ!(行こう)」
 瑠璃と珊瑚が視線を合わせて、軽く手を叩き合った。
 セラフィムとタイガも頷き合う。
「『銀ノ翼』の皆さんです!」
 司会の声が大きく響き渡ると同時、幕が上がった。
 眩い光。そして観客達の大歓声。
 瑠璃の合図で、四人は観客達へ深く一礼した。
 ゆっくりとセラフィムがオカリナに口を付ける。
 澄んだ音色がオカリナから響き出す。
(セラの音だ……)
 タイガはその音に頬を緩め、ゆっくりとハンドベルを手に取る。
 チリンと、オカリナの音に合わせて、煌びやかなハンドベルが響いた。
 ピストルを打つような構えで、瑠璃がエレキベースの弦を叩くように弾く。
 重低音のベースが、リズミカルに音に深みを持たせた。
(瑠璃の奴……)
 難しい奏法で、巧みにエレキベースを操る瑠璃に、メラッと珊瑚の対抗心が燃える。
 アコースティックギターが華やかに力強く、ベースに音を重ねた。
(珊瑚もやるな)
 瑠璃と珊瑚の視線が絡み合い、二人はぴったり息を合わせて、セラフィムに主旋律に副旋律で寄り添っていく。
 それはまるで、合唱のような音の重なり合い。
 優しいオカリナの音色を中心に、賑やかなクリスマスソングが流れ出した。
 親しみのある温かな音楽に、観客達から笑顔と溜息が零れる。
 タイガがハンドベルを賑やかに鳴らし、観客達に手拍子を促した。
 観客達はそれに答えて、手拍子を始める。
「トー!(よし)」
 珊瑚は観客を煽って、ギターを掻き鳴らした。
 勿論、主旋律を乱さない程度を心掛ける。
「もっと……!」
 珊瑚に合わせて、瑠璃がベースのリズムを上げた。
 わっと観客席からの手拍子が速くなる。
(凄く楽しい……!)
 熱くなるステージを感じて、セラフィムはより感情を込めてオカリナを吹いた。
(あ……)
 どんどん速くなるリズムに、タイガのハンドベルが僅かに音をずらす。
(タイガ)
 ハッとしてセラフィム、瑠璃と珊瑚が視線を向けるが、タイガは余裕の笑顔だった。
 セラフィムにパチンと片目を閉じて見せると、アドリブを交えたハンドベル演奏で、たちまち軌道修正してしまう。
(肝据わってない?……初めてなのに戦いの場数かな)
 ハプニングさえも楽しい──そんな彼の様子に、セラフィムの顔にも笑顔が広がった。
(初心者だけど要は気持ちだ)
 タイガは観客達へ力強くベルを振る。
(セラや皆と演奏できる日が来たんだ、楽しもうぜ!)
 そんなタイガに、瑠璃と珊瑚のギターも熱を増した。
 観客席と一体になって、リズムを取り、皆と合わせる喜びを、楽しさを歌い上げる。
 楽しい時間は瞬く間に過ぎ去った。
 最後の音が鳴り終わると、観客席からは、大きな大きな拍手が上がった。
 ブラボー!と、声が響く。
 セラフィムとタイガ、瑠璃と珊瑚は顔を見合わせ、四人で手を取り合い、観客席に深く深く一礼した。
「皆、今日はありがとう……」
 セラフィムの感謝の言葉に、瑠璃は頷き、珊瑚はぐっと拳を握って、タイガが満面の笑顔を見せたのだった。


「僕は頑張りましたよ! ミスター!」
 輝くような笑顔で胸を張るディナス・フォーシスに、エルド・Y・ルークは穏やかに笑みを湛えた。
 今夜、ディナスにエルドに遠慮する気持ちは影を潜めている。
 今夜だけは、思う存分に誇りたかった。
(謙遜はしません。僕は頑張りました)
 胸を張り、エルドを見つめれば、彼の手が伸びて来てその金の髪を優しく撫でる。
「ミスター……」
 大きく温かな手。
 この手にこうして貰えるだけで、ディナスの中の負の感情は洗い流されて、喜びが胸を満たしていく。
「ミスター」
 呼び掛ければ、エルドは何ですか?と首を傾けた。
「だから、次に行くバーは、ミスターの奢りでお願いします」
「おや」
 そう来ましたかと、エルドは楽し気に笑う。
「勿論です。ただし、飲み過ぎないようにお願いしますよ」
「ええ」
 頷いて、エルドは顔を上げた。ふわっと金の髪が揺れる。
「では、失礼して……僕は行ってきます」
「楽しみにしてますよ」
「はい、見ていて下さいね、ミスター」
 ディナスはエルドの元を離れて、ステージへと向かった。

 スポットライトの照らすステージには、グランドピアノが一つ。
 ディナスはピアノの前に歩み寄ると、観客席を見渡して一礼した。
 温かい拍手が響く中、その中にエルドの姿を見付けて、ディナスは笑みを深める。
 椅子に座れば、小さく深呼吸してから、鍵盤に指を乗せる。
 強弱を付けて、軽やかにディナスの指が鍵盤を滑った。
 ディナスが紡ぎ出すのは、クリスマスソングのアレンジ。
 明るい音色は高らかに響き渡り、その楽しい音色に観客席に笑顔が溢れる。
(こんなにも明るく楽しく弾けるのですね、ディナスは)
 ディナスの楽しそうな横顔にエルドは瞳を細めた。
 やがて観客達から手拍子が始まり、エルドも一緒に手拍子をしながら、楽しい音に身を任せる。
 演奏が終わると、ディナスは深々と観客達にお辞儀した。
 拍手と歓声が響き渡り、ディナスは胸に手を当てて笑みを浮かべた。
 エルドも力強く惜しみない拍手を彼に送ったのだった。


 ウィンクルム達によるパフォーマンスは、大いに会場を沸かし、史上最高のテレビ視聴率を叩き出したのだった。

(執筆GM:雪花菜 凛 GM)

戦闘判定:大成功

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