氷と雪の中で遊ぼう!(星織遥 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

A.R.O.A本部の掲示板に貼られた1枚の紙。
その紙の前にウィンクルムたちが集まっていた。

***

【冬季限定開催・ウィンターパーク】
いつも「アクアリィランド」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
寒さが厳しくなるなか、皆様いかがお過ごしでしょうか。
当施設は寒い地域にあり、雪が降ることも珍しくありません。
その寒さを活かした季節限定のイベント「ウィンターパーク」を毎年開催しております。
今年も皆様のおかげで開催できますことをご報告させて頂きます。
こちらが今年の「ウィンターパーク」の内容です。

●氷の迷路
壁全部が氷で出来た迷路です。
迷路が透けたり反射する不思議な世界をお楽しみください。
所要時間:30分~1時間30分

●雪で自由創作
創作用に少し固めに加工した雪を用意させて頂きます。
皆様の発想力を如何なく発揮して、ご自由にお楽しみください。

●スケート体験
施設内に作られたスケートリンクを自由に滑ることができます。
広さはサッカーコート1面分ほど。
スケートシューズはこちらでお貸しします。

●かまくら作り
自分達でかまくらを作る経験ってなかなか無いですよね。
これを機に一度体験してみては如何でしょうか。
もちろんスタッフもお手伝いします。
おしるこを用意しますので、作ったかまくらの中で食べるおしるこを堪能してください。
所要時間:2時間~3時間

●さらわれた王女を救い出せ!
「アクアリィランド」には王子・アクアラミテスと王女・アクアミルティが居ます。
しかし王女が何者かに連れ去られてしまいました。王女を救出するためにいざ氷の洞窟へ!
様々な障害(ミニゲーム)を乗り越えて王女を助け出しましょう!
(ミニゲームの難易度は低めです)
所要時間:30分~1時間

●特別ディナーコース
このイベントの時期限定の料理やデザートを楽しめる特別コースです。
展望レストランから眺める景色と共にお楽しみください。
(こちらは事前にご予約をお願いします。1組様200Jrです。)

他にもフードコートでは温かい飲み物や食べ物を揃えてあります。
ですが飲食物の持ち込みは自由ですので
お弁当などを持参して、室内の自由広場でお召し上がり頂いても構いません。
また閉園2時間前からパレードと花火が始まります。
そちらも楽しんで頂けたら幸いです。

開園時間
午前11時~午後9時まで。

入場料金
1日フリーパスチケット 300Jr
こちらのチケットを使えば施設内のアトラクションはすべて遊べます。
(特別ディナーコースをご予約の方はこちらに加えて200Jr掛かります)

皆様のご来園、心からお待ちしております。

   ***

なにかと忙しい日々が続くウィンクルムの皆さん。
この機会に羽を伸ばすのはいかがでしょうか。

解説

冬の寒さを活かしたアトラクションや企画が楽しめます。
参加費:1日フリーパスチケット 300Jr
特別ディナーコースを予約する場合は300Jr + 200Jrで500Jrです。

特別ディナーコースの時間とパレード&花火は同じ時間帯です。
展望レストランからパレードや花火を眺めることができます。
パレードを間近で楽しみたい場合は
こちらの予約はせずに、パレードの開始をお待ちください。

アクションプランに訪れたいアトラクションやしてみたいこと、
特別ディナーコースの予約の有無をお願いします。


ゲームマスターより

星織遥です。
寒い日が続いております。
暖かくなってほしい反面、この時期だからこそ
楽しめることもあるのではないかと思い、今回の話を考えました。

楽しんでもらえたら嬉しいです。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)

  ☆心情
エミリオさんがデートに誘ってくれるなんて嬉しい!
季節限定のイベントだなんて、すごく楽しみだよ♪
せっかくのデートなんだからオシャレしなくちゃ(スキル:メイク使用)

☆氷の迷路
エミリオさん、どっちが先にゴールできるか勝負しようよ!
先手必勝っ(精霊より先に駆け出す)
ど、どうしよう、道に迷っちゃった…。
…エミリオさん、もうゴールしてるのかな。
エミリオさん!?
わざわざ探しに来てくれたの?
どうもありがとう…心配かけてごめんなさい(精霊のコートを掴み)

☆特別ディナーコースに予約する
(食事を楽しんだ後、精霊に渡された小箱をあける)…エミリオさん、これ…(涙ぐむ)
凄く嬉しい…ありがとう大事にするね
大好きだよ


淡島 咲(イヴェリア・ルーツ)
  思いが伝わってからちゃんとした「デート」って言うのは初めてでその…照れちゃいますね。
でも今日は頑張って私からお誘いさせていただきました。デート楽しみましょうね。

氷の迷路に行ってみたいのですがいいですか?ありがとうございます…えっと迷子にならないように手、繋ぎませんか。ふふ、やっぱりイヴェさんの手、大きいですね。

最後はパレード観に行きましょう!
…今日はいっぱい付き合ってもらいましたね…その、お誕生日が近いと聞いてお誘いしたのですが。楽しんで頂けたでしょうか?これ、プレゼントです。時計なんですけど。私のおこずかいだと高価なものは買えませんがイヴェさんに似合うかなって気にいってもらえれば嬉しいです。


アマリリス(ヴェルナー)
  スケート体験
ディナー無

こういった所にくるのは子供の頃以来かしら
昔は家族で来たものですけど…
これはデートなのかしら

わたくしスケートがやりたいですわ

え、何?
あ、ああ…そういう事ですか(振り返り状況確認

そういえばわたくし達手を繋ぐのは初めてじゃなかったかしら…?
…いえ、何も言ってませんわ
あら、ごめんなさい、手が滑りましたわ
後ろを向いた所を力を込めて押す
まあ、無様ねヴェルナー

あれはノーカウントにしておきましょう
意思が伴った状態でないと認めませんわ

パレードと花火は間近で鑑賞
素敵ですわね…
あら、わたくしと花火とどっちが綺麗?
…まあ予想の範囲内の返答ですね

でもそういう所、嫌いではないですわ
最近はね


桜倉 歌菜(月成 羽純)
  まずは氷の迷路
壁の氷がキラキラしてて、凄く綺麗…!
それに照らされる羽純くんの横顔も、綺麗
え?手を…
うん。逸れないよう、握ってるね(嬉しくて堪らない

迷路を出たら、室内の自由広場でランチ
お弁当を作って来たの
から揚げ、卵焼き、タコさんウインナー、筑前煮、マカロニサラダ、おにぎり
デザートにフルーツ寒天
口に合うといいな…

かまくら作り!
初めて作るよ
ショベルで作業する羽純くんが素敵でドキドキする…
大変だけど頑張れるっ
立派なかまくらが出来ましたっ
やったね、羽純くん!
中で食べるおしるこは格別に甘くて美味しい♪

特別ディナーには行かず、間近でパレードと花火を見ます
見て、羽純くん!
凄く綺麗…
羽純くんと来れてよかった



●いざ「アクアリィランド」へ
 吐く息が白く染まる冷たい空気の中。『ミサ・フルール』と『エミリオ・シュトルツ』。『淡島咲』と『イヴェリア・ルーツ』。『アマリリス』と『ヴェルナー』。『桜倉歌菜』と『月成羽純』。4組のウィンクルム達がそれぞれ「アクアリィランド」へ向かっていた。目的は「アクアリィランド」で毎年開催されている冬季限定イベント「ウィンター・パーク」。様々な企画が用意されており、皆、心を躍らせていた。

●ミサ&エミリオ
 ミサとエミリオは「アクアリィランド」を目指して歩く。
「エミリオさんがデートに誘ってくれるなんて嬉しい!それに季節限定のイベントだなんて、すごく楽しみだよ♪」
 ミサは本当に楽しみといった様子で歩いている。今日は折角のデートなので、オシャレには普段以上に気を配ってメイクもばっちり。
「喜んでくれたみたいで嬉しいよ」
 そんなミサのエミリオも微笑みを浮かべた。そっと自分のコートのポケットに手を入れる。
(今日のデートでミサに指輪を渡そうと思う。喜んでくれるといいな…… )
 指輪の箱があるのを改めて確認するとミサのほうに向き直った。しばらく歩くと2人の視線の先に「アクアリィランド」の入り口が見えてきた。マスコットキャラクター達が2人を迎えている。
「エミリオさん!行こっ!」
「ああ」
 2人は大きな門をくぐると「アクアリィランド」へ足を踏み入れた。

 門の先には、水を中心にイメージされた世界が広がっていた。「ウィンター・パーク」の開催中だからか、氷をモチーフにしたものも見られる。2人はイベント掲示板を見ながら行き先を考える。その中で、ふと「氷の迷路」というのが目に入った。それを2人で指差しながら、お互いを見て頷いた。
 歩いて15分ほど掛けて「氷の迷路」の入り口に到着した。入り口は1つで、外側は覆われているので中の様子は分からない。看板の説明によると出口は1つのようだ。ここでミサがふと思いついたことを口にする。
「エミリオさん、どっちが先にゴールできるか勝負しようよ!」
「え?勝負?」
「先手必勝っ!」
 そう言うとミサは迷路に向かって駆け出した。
「ミサ、転ばないでよ」
 大丈夫、と返事だけ残してミサは迷路の中へ消えていった。ミサの様子に微笑ましさを感じながら、エミリオも迷路の中へ入っていく。氷の迷路は壁が全て透明度の高い氷で作られている。それを天井と床からライトが照らしている。その光が反射して氷の壁がまるで鏡のように感じられたり、そこに壁が無いようにさえ思えるほどだった。幻想的な迷路をおよそ4、50分掛けてエミリオは出口にたどり着いた。
「思ったより時間の掛かる迷路だった……。ミサはまだ出てきていないのか?」
 ゴール付近を見回すが、ミサの姿が見当たらない。どうやら先にゴールしたのはエミリオだったようだ。彼はその場でミサが出てくるのを待つことにした。しかしなかなか出てこない。迷路脱出の目安時間から考えてもかなり遅い。
(もしかして……迷路の中で迷子になっているのか……?)
 心配になったエミリオは迷路の中へミサを探すために引き返した。

「……ど、どうしよう、道に迷っちゃった……」
 その頃、ミサはエミリオの予想通り迷路の中で迷子になっていた。特に目印の無いこの迷路は、構造自体はそこまで複雑ではないが、光の反射で道が分かりにくい。
「……エミリオさん、もうゴールしてるのかな……」
 不安に駆られながらも出口を目指して歩き続けるミサ。すると正面から見覚えのある男性がやってきた。
「……エミリオさん!?」
「見つけた。心配したよ」
 エミリオはそう言いながらミサに近づくとそっと抱きしめる。氷で冷えた空気の中、2人の間だけ温かさが広がる。
「わざわざ探しに来てくれたの?」
「ああ、迷路の出口で待っていたんだけど、ミサがなかなか出てこないから……」
「どうもありがとう……心配かけてごめんなさい」
 そう言うとミサはエミリオのコートを掴んだ。その様子から不安だったことも伝わった。
「大丈夫。俺はお前がどこにいたって見つけられる自信があるよ」
「エミリオさん……」
 2人は互いに見つめあい、その存在に改めて安心感を覚えた。そっと手を取り合うと迷路の出口へと進んだ。

●咲&イヴェリア
 咲とイヴェリアは白い息を吐きながら目的地に向かって進む。
「今日は頑張って私からお誘いさせていただきました」
「サクから誘ってもらえるとは……嬉しいな」
 咲の笑顔にイヴェリアも笑顔で返す。
「思いが伝わってからちゃんとした『デート』って言うのは初めてでその……照れちゃいますね。デート楽しみましょうね」
「そうか『デート』か……あぁ、そうだな。デートを楽しもう」
 嬉しさと照れの込められた表情を浮かべながら、2人は「アクアリィランド」の門をくぐった。

 イベント掲示板の前まで来ると、2人は一通り「ウィンター・パーク」の内容を確認する。すると咲が一点を指差した。
「この氷の迷路に行ってみたいのですが、いいですか?」
「氷の迷路……サクはこういうの好きそうだな。いいよ、行こうか」
「ありがとうございます」
 2人はほどなくして「氷の迷路」の前までやってきた。ここで咲がある提案をする。
「……えっと迷子にならないように手、繋ぎませんか」
「ん……手を?いいよ」
「ありがとうございます。ふふ、やっぱりイヴェさんの手、大きいですね」
 繋いだ手を軽く握り、その大きさを実感する咲。
(俺は嬉しいが、サクはいつも照れるから……それが可愛いところでもあるんだが。サクの手は小さいな……守っていきたいって思うよ)
 2人は迷路の中へと進んでいき、氷の壁と光の反射で演出された幻想的な世界を楽しんだ。

●アマリリス&ヴェルナー
 アマリリスとヴェルナーは「アクアリィランド」の門をくぐる。
「わたくしはこういった所にくるのは子供の頃以来かしら。昔は家族で来たものですけど……」
「私はこういった所に来るのは初めてです」
 昔を振り返るように話すアマリリスとは対照的に、ヴェルナーは園内を見回し、その人の多さに感心しているようだった。
(家族で来たことはありましたけど……これはデートなのかしら……)
 ふとそんなことを思い、ヴェルナーに視線を向ける。しかしヴェルナーはそういった認識をもっているようには見えなかった。アマリリスはそれ以上深く追求するのを止めた。イベント掲示板の前まで来てアマリリスは一通り内容を確認すると
「わたくし、スケートがやりたいですわ」
 とヴェルナーに提案した。ヴェルナーはこれを了承すると2人はスケートリンクへと移動した。

 ほどなくしてスケートリンクに到着。サッカーコートほどの広さに氷が張られている。他にも何人かスケートを楽しんでいる人達の姿も見える。2人はスケートシューズをレンタルすると早速コート内に入る。初めは少しぎこちなかったが、体の動かし方を覚えると2人はコートの上を自由に滑る。ヴェルナーは滑りながら、スケートをしている人が最初に来たときよりも増えている、と感じていた。すると不意にアマリリスに対して向かってくる人影が見えた。アマリリスからは死角になっていて気づいていないようだ。このままではぶつかると思ったヴェルナーは咄嗟に、アマリリスの手を掴んで引き寄せる。
「え、何?」
 突然手を引かれ驚くアマリリス。
「ぶつかりそうだったので……大丈夫ですか?」
 ヴェルナーはそう確認をしつつ手を離す。
「あ、ああ……そういう事ですか」
 アマリリスが周囲を確認するとスケートリンクに入った時よりも人が増えていることに気付いた。きっと死角から誰かが迫っていたのだろうと推察できた。ヴェルナーは場所を移動した方がいいかな、と周囲の様子を確認する。
「……そういえばわたくし達手を繋ぐのは初めてじゃなかったかしら……?」
「……?何か言いましたか?」
 状況確認をしていたヴェルナーはアマリリスの言葉を聞き逃してしまったようだ。
「……いえ、何も言ってませんわ」
 アマリリスはそう言うとヴェルターに手を向けて押す。ヴェルナーはその勢いで思わず転んでしまった。
「あら、ごめんなさい、手が滑りましたら。それにしても……まあ、無様ねヴェルナー」
 そう言い残すとアマリリスはスケートリンクの出口へと向かっていった。取り残されたヴェルナーは去っていくアマリリスの様子をみて、楽しそうだなと感じたようで、転ばされたことはあまり気にしていないようだ。
(あれはノーカウントにしておきましょう。意思が伴った状態でないと認めませんわ)
 リンクを去るアマリリスの胸中は複雑であった。

●歌菜&羽純
 マスコットキャラクター達が出迎える「アクアリィランド」へと入場する歌菜と羽純。イベント掲示板の前まで来ると2人は相談を始めた。
「私は氷の迷路と……かまくら作りやってみたい!」
「氷の迷路にかまくらか……いいな、そうしよう」
 2人はまず「氷の迷路」へと向かう。歩いて15分ほどでたどり着いた。わくわくした気持ちを胸に2人は迷路の中へと入っていった。
「壁の氷がキラキラしてて、凄く綺麗……!」
 歌菜が感動しながらそう漏らす。氷で出来た壁で作られた迷路はライトアップされて、透明な輝きを一層強めていた。
(それに照らされる羽純くんの横顔も、綺麗……)
 視線を羽純に向けると、その表情にうっとりとした様子を浮かべる歌菜。
(はしゃぐ歌菜が少し眩しい)
 羽純も喜びながらはしゃぐ歌菜の様子を、微笑ましく思いながら眺めている。
「……余りはしゃぎすぎて逸れるなよ?ほら」
 そう言いながら手を差し出す羽純。
「え?手を……?うん。逸れないよう、握ってるね」
 歌菜はとても嬉しそうな様子で羽純の手を握った。2人は手をしっかり繋いだまま迷路を出た。

 迷路を無事に抜けた2人は、かまくら作りに行く前にランチを食べることにした。外は寒いので室内の自由広場へと移動した。
「今日はね、お弁当を作ってきたの」
 歌菜は自分の鞄から弁当箱を取り出す。中にはから揚げ、卵焼き、タコさんウインナー、筑前煮、マカロニサラダ、おにぎりが入っている。
「口に合うといいんだけど……デザートにフルーツ寒天もあるよ」
「わざわざ弁当を作ってきたのか……サンキュ。美味そうだな、いただきます」
 弁当箱に箸をのばす羽純。丁寧に調理されたものを1つずつ口に運ぶ。その様子を歌菜はじっと見つめる。
「……そんなにじっと見るな。食べづらいだろ?」
「あ、ごめん……。味、どうかな?」
「……美味いよ」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
 そう言って羽純は微笑みながら歌菜の髪を撫でた。歌菜も嬉しそうに微笑み返した。

 ランチを終えた2人はかまくら作りの会場へと移動する。
「初めてのかまくら作り、楽しみ」
「そうだな」
 現地に到着するとスタッフからシャベルを手渡された。指定された場所に雪を積み上げていく。その上にスタッフが乗り、踏み固めていく。それを何度も繰り返していく。
「かまくら作りは重労働だな。まぁ、良い運動にはなる」
(シャベルで作業する羽純くんが素敵でドキドキする……)
 雪を積み上げる羽純の姿を見て、大変ながらも頑張る歌菜。その様子に思わず笑う羽純。そして長い時間の作業が終わり、ついにかまくらが完成した。スタッフから振舞われたおしるこを、その中で食べる。寒さに耐えた後のおしるこは、内側から染み渡るように体を温めていく。2人はおしるこの味を堪能した。

●それぞれの夜
 それぞれの時間が流れ、夜を迎える。日が暮れて「アクアリィランド」も景色が変わる。園内の照明は自己主張をせず、通路を薄く、導くように照らしている。それが幻想的な風景を作り出していた。

 ミサとエミリオは展望台のエレベーターに乗り、最上階にあるレストランへ向かう。レンストランに到着し、予約してある旨を伝えると窓際の席に案内され、2人は椅子に腰掛ける。彩りの鮮やかな前菜、野菜をベースにしたスープ、魚料理に肉料理と続き、最後にデザート。どれも美味しく、また今回のイベントにちなんだ盛り付けや飾りつけが美しく、目でも楽しめる料理に仕上がっていた。それら1つ1つに感嘆の声をあげながら2人は食事を満喫する。食後に提供されたコーヒーで一息つくと、今日の出来事を振り返る。その様子はとても楽しそうだ。窓の外では花火とパレードが華やかに咲いていた。
 コーヒーも少なくなり会話が落ち着いた頃、エミリオがポケットに手を入れながら、こう切り出した。
「ミサに渡したいものがあるんだ」
 ポケットから小さな箱を取り出すと、ミサに手渡す。それを開けると中には指輪が入っている。
「 ……エミリオさん、これ……」
 ミサは涙ぐみながら答える。
「この指輪は『カントゥース』といって、季節によって色が変わる特殊な宝石で作ったものらしいんだ。俺はお前のこと、何よりも大切に思ってる」
「凄く嬉しい……ありがとう、大事にするね 」
 そう答えるとミサは自身の薬指に嵌めようとする。するとエミリオがそれを止める。
「あ、まだその指にはつけないで」
「?」
 エミリオは、疑問符を浮かべるミサの手を取るとその左手の薬指にキスをした。
「いつか全ての問題が解決したら、ここにちゃんとした指輪をつけてあげる……約束するよ」
「……ありがとう、大好きだよ」
 互いの想いを言葉にしたことで、より理解を深めた2人。
 テーブルを灯すキャンドルが2人を包み込むように優しく揺らめいていた。

 咲とイヴェリアはパレードを楽しんでいた。マスコットキャラクター達が煌びやかな衣装に身を包み、移動型のステージの上から観客達に向けて手を振っている。その雰囲気とは裏腹に、イヴェリアはサクの表情が気になっていた。どこが不安げに感じられるサクに声をかける。
「サク、今日は少し変だ。俺は嬉しいんだが……無理をしてるんじゃないか?そうだったら無理しないでほしい。俺はサクが楽しめないんじゃ意味がない」
 咲は少し躊躇いを見せた後、こう伝えた。
「……今日はいっぱい付き合ってもらいましたね……。その、お誕生日が近いと聞いてお誘いしたのですが。楽しんで頂けたでしょうか?」
 心配そうに尋ねるサクにイヴェリアは申し訳なさそうに返した。
「あぁ……すまない……すっかり自分の誕生日の事なんて忘れてたな、そうか、それでサクはいろいろ頑張ってくれたんだな。ありがとう」
「あの、それで……これ、プレゼントです。時計なんですけど、私のおこづかいだと高価なものは買えませんが、イヴェさんに似合うかなって……。気にいってもらえれば嬉しいです」
「……ありがとう、プレゼント大事にする」
 そう言うところが可愛くて仕方ない、と思いながらイヴェリアはその時計を大切にしまった。ふと視線を上げればパレードや花火が彩る世界。2人の間に流れる想いはこの華やかさに負けないほど美しかった。

 アマリリスとヴェルナーはパレードと花火を楽しんでいた。花火がよく見える場所を見つけることが出来たおかげで、花火が空に咲く姿を惜しみなく堪能していた。
「素敵ですわね……」
「そうですね」
「あら、わたくしと花火とどっちが綺麗?」
 アマリリスの問いかけにヴェルナーは少し考えたあと、こう答えた。
「物と人では比較対象にならないのではないでしょうか?」
「……まあ予想の範囲内の返答ですね。でもそういう所、嫌いではないですわ 。最近はね」
 微笑みながらそう答えるアマリリス。ヴェルナーは、貴方の方が綺麗です、というのは当たり前だと思い口には出さなかった。花火が2人を照らす中、それぞれの気持ちが親密に紡がれたように思えた。

 歌菜と羽純はパレードを見るためにその通過ルート付近へやってきた。逸れないように手を繋いで。華やかな照明とともにパレードの列が2人の前を通過していく。それに彩りを添えるように花火が打ちあがる。
「見て羽純くん!凄く綺麗……」
「そうだな、綺麗だ」
「今日は 羽純くんと来れてよかった」
「俺も……歌菜と来れてよかった。何だ?驚いた顔して。ホラ花火、見なくていいのか?」
 促され、空を見上げる歌菜。時折羽純の横顔を見ては静かに微笑んだ。

 華やかさを散りばめたパレードと花火も終わり、「アクアリィランド」は閉園時間を迎えた。
 ここで過ごした1日は、それぞれの心に残る特別な思い出となった。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 星織遥
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 01月14日
出発日 01月22日 00:00
予定納品日 02月01日

参加者

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