プロローグ
ついに切って落とされた、オーガ達との最終決戦――。もしかしたら、世界は滅び、ウィンクルムも命を落としてしまうかもしれません。
命を落としてしまう前に、悔いのないように。
A.R.O.A.はウィンクルムの正式な結婚を認める運びとなりました!
そして、ウィンクルム達がお互いの気持ちを、本心を曝け出す場を用意しようと、
A.R.O.A.がウィンクルム達に少しの休暇と、リゾート地を提供しました!
プロポーズの場としても、デートの場としても利用可能です!
人々は、ウィンクルム達が向かう最終決戦に向けて、少しでも手助けになればと、快くリゾート地などの開放を行ってくれました。
最終決戦であることもあり、これまで助力をしてくれたスポットは提供をしてくださっています!
行きたかったけど行けなかった、という場所に行くのも、同じ場所に行くのも、良いかもしれません!
リゾート地は、すべてウィンクルム達の貸切!(一部リゾートホテルなどはスタッフがいらっしゃいます)。
ウィンクルム達のゴールイン・ひと時は、一体どのようなものになるのでしょうか!
プラン
アクションプラン
鬼灯・千翡露 (スマラグド) |
|
24→18(夜に②へ) ▼24 ん~!(金魚のジェラートを舌で転がしご満悦) 前来た時もこれ気になってたから食べられて嬉しい ラグ君、連れてきてくれてありがと~(にっこにっこ) ん? 覚えてるよ?(SP1) ラグ君は、水の精霊の王子様みたいだって その印象は変わっていないけれど…… (アクアリウムを見渡し、徐にまっすぐ精霊を見つめ) でも今は、みたい、じゃなくて ラグ君は、私の王子様(にへ) ▼18 此処はいつ来ても変わらないねえ 空気も澄んで、清らかで、花がきらきらして、眩しくて…… ……(きょとん) や、ラグ君がそういう事言うの、珍しいなって ……そっかぁ(えへへ) (小箱を受け取り) (誓いの言葉の後、小箱を開けて) ……そうだね 私もラグ君も、二人で暮らしてはいるけど でもやっぱりまだまだ子供だもの それに戦いもまだ続くし でもね 私、待ってるから ラグ君、追いかけてきてくれるって言ったもんね だから、信じてるから(指輪を左手薬指へ) |
リザルトノベル
ふわふわ。ひらひら。尾びれを優雅に揺らしながら、金魚は水槽の中を舞う。
「ん~!」
金魚型のグミと、キラキラ煌めく氷の粒がトッピングされた金魚のジェラートを舌で転がしながら鬼灯・千翡露は目尻を下げて幸せそうな笑顔を見せた。ここはアートアクアリウム『遊魚』。テーブルについた千翡露の向かい側に座るスマラグドは、彼女のご満悦な表情をながめて彼もまた満足げに微笑む。
「前来た時もこれ気になってたから食べられて嬉しい! ラグ君、連れてきてくれてありがと~」
そう、以前は時間が足りなくてデザートを食べることはできなかったのだ。その時から、スマラグドは千翡露がこういったデザートを好むだろうという事を知っていた。だから、今回連れてきたのだ。――彼女の喜ぶ顔を見たくて。
「ん……その顔が見れたから俺は満足」
「へへ……」
「それに此処なら、俺はちひろの王子様になれるからさ」
冷たいジェラートを食べているのにとろけるような彼女の笑顔に、スマラグドはそんなことを言って少し恥ずかしげに視線を逸らす。
「はは、流石に覚えてない、か……」
きょとん、とした顔で彼女は答えた。
「ん? 覚えてるよ?」
「え」
「ラグ君は、水の精霊の王子様みたいだって」
(「なんだ、ほんとに覚えてたのか……」)
少し照れくさくて、苦笑するスマラグド。
「その印象は変わっていないけれど……」
ふわふわと舞う金魚の水槽を見渡し、その光を瞳に受けて千翡露は眩しそうに目を細める。そして、徐にスマラグドを振り返った。
「……?」
まっすぐに、彼のエメラルドの瞳を見つめた。
「でも今は、みたい、じゃなくて」
一拍おいて、続ける。
「ラグ君は、私の王子様」
真剣なまなざしが、一気ににへ、と緩む。
「……っ」
スマラグドの頬が、染まる。思わず赤面してしまったことが悔しくて、眉を寄せて少し口を尖らせるスマラグド。
「ちひろ、相変わらず不意打ちでそういう事言う」
「へへ」
「いつか絶対仕返ししてやるんだから、覚悟しておいてよ」
「んふふふふ」
それでも千翡露があまりにも楽しそうに、嬉しそうに笑うから。ついにはスマラグドもぷっと吹き出してしまった。苦笑する彼の瞳は、どこまでも優しい。
アートアクアリウムを出て二人がやってきたのは、マーメイド・レジェンディア。
「此処はいつ来ても変わらないねえ」
千翡露は楽しげに石畳の道を進む。宵の藍色の中に、真っ白な月光華が美しく咲き乱れて二人を歓迎している。
「空気も澄んで、清らかで、花がきらきらして、眩しくて……」
「そうだね、あの時のままだ」
彼女と歩幅を合わせて、同じ速度で歩くスマラグドは、そう言って千翡露の顔を覗き込んだ。
「ん?」
「でも、多分一人で見るよりずっときらきらしてるよ」
スマラグドの視界には、千翡露の後ろに広がる月光華の絨毯。ざぁん、ざぁん、と寄せてはかえす波の音に混じって、柔らかな歌声が聞こえたような気がした。
「ちひろがいるからね」
「……」
一瞬、時が止まったかのような。千翡露はきょとんとしてスマラグドを翡翠色の瞳をまんまるにして見つめる。
「……何、その顔」
王子様的な発言をしたという自覚がまるでないスマラグドに、千翡露は苦笑した。
「や、ラグ君がそういう事言うの、珍しいなって」
「ちひろのいる世界が綺麗なのは、俺にとっては当たり前だし」
当たり前。スマラグドは何も特別ではないというように、間を開けずさらりと告げた。
「……そっかぁ」
ほんのりと、わずかに千翡露の頬が染まった。へへへ、と擽ったそうに笑う千翡露。照れくさくて、しばらく星空と月光華を眺めて……それからスマラグドへと視線を戻すと、彼はいつになく真剣な眼差しで千翡露を見つめていた。
「だからね……ちひろを、独りにしない」
「ラグ、く……」
そっと、その手を包むように握る。まっすぐに見つめたその瞳は、決意に満ちていた。
「だけど今は、それだけじゃなくて。ちひろと、ちひろと俺がいる世界を、守ろうって」
それは、この後に控えている大きな戦いのこと。失う事を知り、失うことを恐れる彼女の過去を拭い去ることが出来ないのは、わかっている。否、その過去も含めて千翡露なのだ。それを受け止め、乗り越えて今の千翡露がいる。
だから、――だからこそ、これ以上彼女に辛い思いはさせない。スマラグドの決意は、固い。
「前は、ちひろが月と花に、誓いをかけてくれたから」
褐色の手のひらの上に、上品な装飾が施された小箱が置かれていた。
「今度は俺の番」
スマラグドは両手でその小箱を千翡露に差し出し、続ける。
「今は、鍍金がいいとこだけど……いつか、本物を渡すから」
ざざん、ざん……波の音だけが、あたりをつつむ。潮風が、千翡露の髪を優しく撫でて行った。スマラグドは高鳴る鼓動を落ち着けるようにゆっくりと息を吸い込み、そして吐き出す。そして。
「誓うよ、必ず」
その言葉に、千翡露は白い手でその小箱をそっと受け取る。
「だから、いつか家族として――ちひろを守らせてほしい」
ウィンクルムとして、パートナーとしてではなく、伴侶として。ただ一人、――夫として。
開けても良い? と千翡露は視線で問う。スマラグドはゆっくりと頷いた。その小箱をそっと開いてみると、そこには細身の金の婚約指輪。月の光を受け、きらりと輝いたのは、スマラグドの瞳の色と同じ小さなエメラルドの粒だった。
「……そうだね、私もラグ君も、二人で暮らしてはいるけど、でもやっぱりまだまだ子供だもの」
いつか本物を。そういったスマラグドの言葉を反芻するように、千翡露は頷く。
「それに戦いもまだ続くし……」
二人の前に立ちはだかるもの、大きな脅威。それに立ち向かっていかねばならない。だから、……まだ。スマラグドが、『いつか』と言ったのもそのためだ。二人はまだまだ幼い、と。それでも、千翡露は顔をあげて指輪からスマラグドへ視線を戻す。そして、まっすぐに見つめるのだった。
「でもね。私、待ってるから」
「うん」
「ラグ君、追いかけてきてくれるって言ったもんね」
「うん、必ず」
――絶対に、千翡露を独りにしない。その誓いは、今も変わらない。より強く、より優しく。
「だから、信じてるから」
月の光に白く浮かび上がる彼女の左手の甲が、ゆっくりとスマラグドに差し出された。何を意味しているかなんて、言わなくてもわかっている。スマラグドはその手をすくい上げるように自らの左手で取ると、リングを彼女の薬指へ嵌める。月の雫を受けるように、エメラルドはきらり、きらりと輝いた。スマラグドの瞳も、同じ輝きを放ちまっすぐに千翡露を見つめる。
「いつだって」
低く、優しい声。囁くように、けれど、まっすぐに伝わるように。
「何処にいたって、独りにはしない。……信じて」
「……うん」
リングを嵌めた千翡露の手を、優しく包むように握る。悲しかった過去も、楽しかった過去も、全てを抱きしめて前へ進んでいく千翡露を、ずっとずっと傍で守るから。いつぞやのように、不意打ちではなく、ゆっくりと誓いを込めて、その唇を重ねた。
――ちひろ。一緒に、未来を描こう。
もう一度唇が触れてしまいそうなほどに近くで、そう囁く。胸がいっぱいで、切なさや嬉しさ、たくさんの想いが綯交ぜになって溢れ出す。
諦めた『これから』をくれたひと。立ち止まっていたその体、その背を優しく支えてくれたひと。未来を預け合い、歩んでいく。その約束は、薬指に。その約束は、強く、二人の心に。
月明かりの下、重なる二人の影。波の音だけが、響いていた。
「ん~!」
金魚型のグミと、キラキラ煌めく氷の粒がトッピングされた金魚のジェラートを舌で転がしながら鬼灯・千翡露は目尻を下げて幸せそうな笑顔を見せた。ここはアートアクアリウム『遊魚』。テーブルについた千翡露の向かい側に座るスマラグドは、彼女のご満悦な表情をながめて彼もまた満足げに微笑む。
「前来た時もこれ気になってたから食べられて嬉しい! ラグ君、連れてきてくれてありがと~」
そう、以前は時間が足りなくてデザートを食べることはできなかったのだ。その時から、スマラグドは千翡露がこういったデザートを好むだろうという事を知っていた。だから、今回連れてきたのだ。――彼女の喜ぶ顔を見たくて。
「ん……その顔が見れたから俺は満足」
「へへ……」
「それに此処なら、俺はちひろの王子様になれるからさ」
冷たいジェラートを食べているのにとろけるような彼女の笑顔に、スマラグドはそんなことを言って少し恥ずかしげに視線を逸らす。
「はは、流石に覚えてない、か……」
きょとん、とした顔で彼女は答えた。
「ん? 覚えてるよ?」
「え」
「ラグ君は、水の精霊の王子様みたいだって」
(「なんだ、ほんとに覚えてたのか……」)
少し照れくさくて、苦笑するスマラグド。
「その印象は変わっていないけれど……」
ふわふわと舞う金魚の水槽を見渡し、その光を瞳に受けて千翡露は眩しそうに目を細める。そして、徐にスマラグドを振り返った。
「……?」
まっすぐに、彼のエメラルドの瞳を見つめた。
「でも今は、みたい、じゃなくて」
一拍おいて、続ける。
「ラグ君は、私の王子様」
真剣なまなざしが、一気ににへ、と緩む。
「……っ」
スマラグドの頬が、染まる。思わず赤面してしまったことが悔しくて、眉を寄せて少し口を尖らせるスマラグド。
「ちひろ、相変わらず不意打ちでそういう事言う」
「へへ」
「いつか絶対仕返ししてやるんだから、覚悟しておいてよ」
「んふふふふ」
それでも千翡露があまりにも楽しそうに、嬉しそうに笑うから。ついにはスマラグドもぷっと吹き出してしまった。苦笑する彼の瞳は、どこまでも優しい。
アートアクアリウムを出て二人がやってきたのは、マーメイド・レジェンディア。
「此処はいつ来ても変わらないねえ」
千翡露は楽しげに石畳の道を進む。宵の藍色の中に、真っ白な月光華が美しく咲き乱れて二人を歓迎している。
「空気も澄んで、清らかで、花がきらきらして、眩しくて……」
「そうだね、あの時のままだ」
彼女と歩幅を合わせて、同じ速度で歩くスマラグドは、そう言って千翡露の顔を覗き込んだ。
「ん?」
「でも、多分一人で見るよりずっときらきらしてるよ」
スマラグドの視界には、千翡露の後ろに広がる月光華の絨毯。ざぁん、ざぁん、と寄せてはかえす波の音に混じって、柔らかな歌声が聞こえたような気がした。
「ちひろがいるからね」
「……」
一瞬、時が止まったかのような。千翡露はきょとんとしてスマラグドを翡翠色の瞳をまんまるにして見つめる。
「……何、その顔」
王子様的な発言をしたという自覚がまるでないスマラグドに、千翡露は苦笑した。
「や、ラグ君がそういう事言うの、珍しいなって」
「ちひろのいる世界が綺麗なのは、俺にとっては当たり前だし」
当たり前。スマラグドは何も特別ではないというように、間を開けずさらりと告げた。
「……そっかぁ」
ほんのりと、わずかに千翡露の頬が染まった。へへへ、と擽ったそうに笑う千翡露。照れくさくて、しばらく星空と月光華を眺めて……それからスマラグドへと視線を戻すと、彼はいつになく真剣な眼差しで千翡露を見つめていた。
「だからね……ちひろを、独りにしない」
「ラグ、く……」
そっと、その手を包むように握る。まっすぐに見つめたその瞳は、決意に満ちていた。
「だけど今は、それだけじゃなくて。ちひろと、ちひろと俺がいる世界を、守ろうって」
それは、この後に控えている大きな戦いのこと。失う事を知り、失うことを恐れる彼女の過去を拭い去ることが出来ないのは、わかっている。否、その過去も含めて千翡露なのだ。それを受け止め、乗り越えて今の千翡露がいる。
だから、――だからこそ、これ以上彼女に辛い思いはさせない。スマラグドの決意は、固い。
「前は、ちひろが月と花に、誓いをかけてくれたから」
褐色の手のひらの上に、上品な装飾が施された小箱が置かれていた。
「今度は俺の番」
スマラグドは両手でその小箱を千翡露に差し出し、続ける。
「今は、鍍金がいいとこだけど……いつか、本物を渡すから」
ざざん、ざん……波の音だけが、あたりをつつむ。潮風が、千翡露の髪を優しく撫でて行った。スマラグドは高鳴る鼓動を落ち着けるようにゆっくりと息を吸い込み、そして吐き出す。そして。
「誓うよ、必ず」
その言葉に、千翡露は白い手でその小箱をそっと受け取る。
「だから、いつか家族として――ちひろを守らせてほしい」
ウィンクルムとして、パートナーとしてではなく、伴侶として。ただ一人、――夫として。
開けても良い? と千翡露は視線で問う。スマラグドはゆっくりと頷いた。その小箱をそっと開いてみると、そこには細身の金の婚約指輪。月の光を受け、きらりと輝いたのは、スマラグドの瞳の色と同じ小さなエメラルドの粒だった。
「……そうだね、私もラグ君も、二人で暮らしてはいるけど、でもやっぱりまだまだ子供だもの」
いつか本物を。そういったスマラグドの言葉を反芻するように、千翡露は頷く。
「それに戦いもまだ続くし……」
二人の前に立ちはだかるもの、大きな脅威。それに立ち向かっていかねばならない。だから、……まだ。スマラグドが、『いつか』と言ったのもそのためだ。二人はまだまだ幼い、と。それでも、千翡露は顔をあげて指輪からスマラグドへ視線を戻す。そして、まっすぐに見つめるのだった。
「でもね。私、待ってるから」
「うん」
「ラグ君、追いかけてきてくれるって言ったもんね」
「うん、必ず」
――絶対に、千翡露を独りにしない。その誓いは、今も変わらない。より強く、より優しく。
「だから、信じてるから」
月の光に白く浮かび上がる彼女の左手の甲が、ゆっくりとスマラグドに差し出された。何を意味しているかなんて、言わなくてもわかっている。スマラグドはその手をすくい上げるように自らの左手で取ると、リングを彼女の薬指へ嵌める。月の雫を受けるように、エメラルドはきらり、きらりと輝いた。スマラグドの瞳も、同じ輝きを放ちまっすぐに千翡露を見つめる。
「いつだって」
低く、優しい声。囁くように、けれど、まっすぐに伝わるように。
「何処にいたって、独りにはしない。……信じて」
「……うん」
リングを嵌めた千翡露の手を、優しく包むように握る。悲しかった過去も、楽しかった過去も、全てを抱きしめて前へ進んでいく千翡露を、ずっとずっと傍で守るから。いつぞやのように、不意打ちではなく、ゆっくりと誓いを込めて、その唇を重ねた。
――ちひろ。一緒に、未来を描こう。
もう一度唇が触れてしまいそうなほどに近くで、そう囁く。胸がいっぱいで、切なさや嬉しさ、たくさんの想いが綯交ぜになって溢れ出す。
諦めた『これから』をくれたひと。立ち止まっていたその体、その背を優しく支えてくれたひと。未来を預け合い、歩んでいく。その約束は、薬指に。その約束は、強く、二人の心に。
月明かりの下、重なる二人の影。波の音だけが、響いていた。
依頼結果:大成功
エピソード情報 | ||||||
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リザルト筆記GM | 寿ゆかり GM | 参加者一覧 | ||||
プロローグ筆記GM | なし |
|
エピソードの種類 | ハピネスエピソード | ||
対象神人 | 個別 | |||||
ジャンル | イベント | |||||
タイプ | イベント | |||||
難易度 | 特殊 | |||||
報酬 | 特殊 | |||||
出発日 | 2018年5月26日 |