(イラスト:まるゆ IL


信城いつきのウィンクルム達のゴールイン!
錘里 GM

プロローグ

 ついに切って落とされた、オーガ達との最終決戦――。
 もしかしたら、世界は滅び、ウィンクルムも命を落としてしまうかもしれません。

 命を落としてしまう前に、悔いのないように。
 A.R.O.A.はウィンクルムの正式な結婚を認める運びとなりました!

 そして、ウィンクルム達がお互いの気持ちを、本心を曝け出す場を用意しようと、
 A.R.O.A.がウィンクルム達に少しの休暇と、リゾート地を提供しました!
 プロポーズの場としても、デートの場としても利用可能です!

 人々は、ウィンクルム達が向かう最終決戦に向けて、少しでも手助けになればと、快くリゾート地などの開放を行ってくれました。
 最終決戦であることもあり、これまで助力をしてくれたスポットは提供をしてくださっています!
 行きたかったけど行けなかった、という場所に行くのも、同じ場所に行くのも、良いかもしれません!

 リゾート地は、すべてウィンクルム達の貸切!(一部リゾートホテルなどはスタッフがいらっしゃいます)。

 ウィンクルム達のゴールイン・ひと時は、一体どのようなものになるのでしょうか!


プラン

アクションプラン

信城いつき
(レーゲン)
(ミカ)
スポット34
自宅でアクセサリー屋開店に向けての作戦会議
お店の名前とかどういう店にしたいか…大変だけどとっても楽しいよ

これも資料…じゃないのか。
「手の中の花火」そんな話したね。ねぇねぇできたら見せてね
……うーん、俺だったらどんなの作るかな?

レーゲン、時計とかの修理はするけどアクセサリーはしたことなかったよね?
指輪…ミカがつくったの?

この指輪、石を俺とレーゲンの瞳の色にしてるんでしょ?
まだ出会ってなかったけど、俺祝福されてたんだね。

指輪貸して。俺からレーゲンにはめさせて。
えっと「ずっとそばにいて、くれますか?」
※以前硝子の礼拝堂でレーゲンから言われた

手の中の花火、俺にとってはこれかも
これがあったから俺は

そうだ、お店の名前これにしようかな。「手の中の花火」
小さなものだけど同じものはない、1人1人の手の中で輝く物がきっとあるんだ、
そんな風に出会いを繋げたいな

リザルトノベル

 定例作戦会議を初めます。
 なんて厳かなノリではないながらも、真面目な相談会が不定期に開かれるようになったのは、信城いつきの自宅リビング。
 進行役のいつきの代わりにお昼ご飯の材料を揃えたレーゲンは、お茶を運び、頑張ってるねと微笑むと、再びキッチンに引っ込んだ。
 テーブルの上に広がるのは、様々な資料や見積もり表。
 土地や貸店舗の一覧から、インテリアカタログ、看板やパンフレット類の印刷所などが所狭しと並んでいる。
 そう、これはいつきとレーゲン、そしてミカの三人で開くアクセサリーショップの開店準備会議であった。
「お店の名前がないと始まらないよね、あとは内装とかも含めてどういうお店にしたいかっていうのも……」
 あれやこれやと決め事を挙げては書き出して行くいつきに合わせるように、資料を抜き差し入れ替えて纏めていたミカは、ふ、と小さく息をつく。
(周囲は大事だってのにここは資料や見積もり広げて何やってんだか)
 近くにギルティとの決戦が控えていることは、ウィンクルムである自分たちも勿論把握していることだ。
 だというのにその備えをしないでいるとはもしかして不謹慎ではなかろうか、なんて思いがほんの一瞬ミカに過る。
 だが、本当に一瞬だった。
「わー、決めること一杯だー」
 泣き言のような台詞だけれど、その表情は笑顔満面。大変だけれど楽しいのだというのが、ありありと伝わってくる。
(まぁ楽しそうなオーラが充満してるし、俺も楽しいことは楽しいが)
 いつきの中には、決戦如何で開店が絶望的な状況になるという発想がこれっぽっちもないのだ。
 勝利を信じて、成功を信じて、やれることを全力でやっている、それだけ。
 そんないつきを信じて支えるレーゲンの姿も並べば、眩しいくらいに微笑ましくて。ミカの口元に自然と笑みが浮かぶ。
 と、不意に資料を探していたいつきの手が、一つの紙束を捕まえて拾い上げたのを見つけて、おっと、とミカの手がすぃと伸びる。
「えーっとこれも資料……」
「あ、この資料は別」
「……じゃないのか」
 すぐさま取り上げられた束は一体何の資料なのだろうか。小首を傾げたいつきに、ミカはちらりと紙面に視線を落としてから、答える。
「以前工芸茶飲みにいった時、チビが言ってただろ『手の中の花火』みたいだって」
 それはとある秋の初めの記憶。
 透明な硝子カップの中で、月の光を浴びて咲く花を浮かべたお茶を飲みながらの台詞。青い花弁を広げる花を見ながら、いつきはそれを『手の中の花火』と称した。
 それはその瞬間のいつきだけが感じたものだったけれど、それに共感したミカは、アクセサリーとして形にしたいと、永く思っていた。
 自然の美しさとはまた違う、アクセサリーだからこその表現で。
「最近イメージが浮かんできてな」
 ぽん、と資料を小突くミカの表情は、どことなく誇らしげで、嬉しそうで。
 記憶をたどり、二人でした会話を思い起こしていたいつきもまた、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「そんな話したね。ねぇねぇできたら見せてね」
 にこにことねだるいつきに返すのは是。そのためにももっと具体的に仕上げなければと思案するミカに、いつきはあの時に見た花の姿を思い浮かべながら、自分ならどんな形を作るだろうと考えた。
 花火というからにはやっぱり華やかな方が良いのだろうか。花そのものとは趣が違うことも踏まえていなければなるまい。
 そもそも形状は何が良いのだろう。ネックレス、イヤリング、ブローチ……どれも良いもののようで、しっくり来るわけでもない。
 うーん、とつい深く考え込んだいつきだが、ちらりと横目に見たミカは、そのイメージが浮かんできていると言う。
(やっぱりミカはすごいなぁ)
 自分はまだ技術不足だと言うが、今まさに、いつきにできないことをしようとしているのだ。
 素直な感嘆に、自然と笑みが溢れる。
「綺麗なアクセサリーができそうだね」
 暫しの思案で作戦会議が一息ついたタイミングで、二人の話を聞きながら作業していたレーゲンが昼食を手に戻ってきた。
 今日のメニューはサンドイッチ。たくさんの資料が広がる中でも手軽に食べられるものを選んでいる。
「わぁ、レーゲンありがとう、いただきます!」
 腹が減ってはなんとやら、と喜んで手を伸ばしたいつきは、レーゲンが纏めている資料の内容をちらりと目に留め、そのまま覗き込むようにして確かめた。
 彼の手元にあったのは、アクセサリーの修理に関するものだった。
「レーゲン、時計とかの修理はするけどアクセサリーはしたことなかったよね?」
「うん、でも、自分がお店で協力できるならやはり修理かなって思って、勉強中」
 物が違えば勝手も違う。思ったより簡単な部分もあれば、難解な部分もあり、資料だけでは不明瞭なことも多い。
 技術を要する部分は何度も練習するしかなく、一朝一夕では行かないことを痛感したが、専門的な知識を仕入れることは楽しくもあるのか、レーゲンの顔には笑みが浮かんでいる。
「勉ぶ事は多々あるけど、まず最初にこれを扱ってみたんだ」
 そう言ってレーゲンが取り出したのは、指輪だった。
 それを見て、いつきはきょとんと首を傾げ、ミカは一瞬ぎょっとしたような、苦い顔をした。
「まだ持ってたのかそれ……」
「勿論」
 にっこりと微笑むレーゲンに、ミカは盛大な溜息をつく。
 呆れたような素振りは、照れ隠しだということは、すぐに気取れる。なにせ頬が赤いのだから。
「デザインとか技術とかムチャクチャなのに」
 渋い顔のまま、気恥ずかしげにそっぽを向いてしまったミカと、大切そうに指輪を取り扱うレーゲンとを交互に見て、いつきにも合点がいった。
「指輪……ミカがつくったの?」
 問えば、レーゲンから肯定が返される。石留めをなおしたり、サイズを変えたりはしたけれど、デザインや石はそのまま。
「いつきに渡そうと思ってたけど、その前にあの事件が起こって渡せずじまいだったんだ」
「そう、だったんだ……」
 伴う思い出は、きらきらと美しいものでは、なかった。だけれど、こうして今も大切に取り扱うほど、レーゲンにとっては価値のあるものなのだ。
 しみじみとしたような顔で、まじまじと見られることが耐えられなかったのか、そっぽを向いたままだったミカがぽつりと呟く。
「普段物に執着しないレーゲンが「好きな子ができたから指輪が欲しい」って言ったからちょっと作っただけだ」
「うん、数日寝ずに作ってくれるほどの「ちょっと」だったけどね」
 くすくすと笑うレーゲンに、ミカはうぐと唸る。
 ただでさえ技術不足の品を取り出される恥ずかしさがあると言うのに、そんなエピソードまで付け加えられてしまうと、気恥ずかしさに頭を抱えてしまいそうになる。
 そんなミカを見つめて、レーゲンは懐かしむように瞳を細めた。
「でもあの指輪が、臆病だった私を後押ししてくれたんだよ。もしあれを受け取ってなければ、今いつきのそばにいられなかったかも知れない」
 大きな怪我をして、大好きで大切だった存在を手にかけて、耐えかねて記憶を消してしまったいつき。
 病室でレーゲンのことさえも忘れてしまったいつきを見た時の絶望は、計り知れなかった。
 何もかも忘れて、それでいつきが幸せになれるのならそれでいいと受け止めながらも、嘘を塗り固めたような絆を重ねていくことに罪悪感もあった。
 自分の存在がいつかいつきの忌まわしい記憶を呼び戻してしまうのではないかという恐れも、少なからずあった。
 それでもいつきのそばに居続けられたのは、この指輪があったからだ。
 記憶を辿るレーゲンの横顔に、感謝という言葉では足りない親愛が滲むのを認めながら、いつきはまた指輪を見る。
 二色並んだ宝石は、パッと見ただけではまだ種類までは判別できなかったけれど、その色が何を表しているのかは、すぐに分かった。
「この指輪、石を俺とレーゲンの瞳の色にしてるんでしょ?」
 問う声に、ミカは答えてくれなかったけれど、だからこそそうだろうという確信がいつきに湧いて。
 きらきらと輝く二つの宝石が、寄り添い合っているようにも、見つめ合っているようにも見えるデザインに、頬がゆるむ。
「まだ出会ってなかったけど、俺祝福されてたんだね」
 嬉しそうに顔を綻ばせるのを、レーゲンが愛おしげに見つめて頷いた。
 ――そんな彼らの……レーゲンの喜ぶ顔が、ミカをアクセサリー作りに意欲的にさせた切っ掛けだった。
 自分の作ったアクセサリーが、精一杯込めた祝福が、信頼が、彼の手の中で喜びに変わり、笑顔を生んだ。
 そんな力を持つちっぽけな飾りに、ミカは自分の道を見出したのだ。
 それを思えば、気恥ずかしさはいつの間にか消えていて。いつの間にか、笑い合う二人を微笑ましげに見つめていた。
「ねぇ、指輪貸して。俺からレーゲンにはめさせて」
 両手を差し出してねだるいつきに、レーゲンは一瞬きょとんとするが、素直に差し出す。
(私からはめたかったけど……)
 今日は、いつきのさせたいように。
 だって、彼から指輪をはめてもらうのも、この上なく嬉しいことなのだから。
 受け取った指輪を一度大切そうに両手で包み込んでから、そっとレーゲンの指に指輪を通すと、いつきはその顔を見上げる。
「えっと……『ずっとそばにいて、くれますか?』」
 告げた言葉は、硝子の礼拝堂でレーゲンから告げられたのと同じ言葉。
 二人で重ねてきた時間に、もう一つ支えがあったことを噛み締めながらの言葉に、レーゲンは心から幸せそうに微笑んで頷いた。
「やっとあの時の願いが叶ったよ」
 渡せなかった指輪が、いつきの気持ちを上乗せして自分の指にある。
 その現実に、泣きたいくらいの嬉しさが湧いたけれど、目の奥が熱くなるばかりで、涙は滲まなかった。
 変わりに、溢れんばかりの愛おしさが胸中に湧く。
 今度は、自分の気持を乗せていつきの指にはめてあげよう。
 けれど今は、愛おしげに指輪をなぞるその手に、されるがまま。
「手の中の花火、俺にとってはこれかも。これがあったから俺は――」
 独りじゃないと、信じられた。
 胸中で呟いてから、いつきはハッとしたように顔を上げる。
「そうだ、お店の名前これにしようかな」
 『手の中の花火』。もう一度繰り返せば、その言葉に煌めきが過った気がして。
 うん、と頷いたいつきは、きゅ、とレーゲンの手を握り、レーゲンとミカとを交互に見て、湧いた閃きを広げていく。
「小さなものだけど同じものはない、1人1人の手の中で輝く物がきっとあるんだ」
 その煌めきは手のひらに収まる物だけど、願いや記憶や思い出を幾つも幾つも抱き込んで、いつの日か心の中に大輪を咲かせる。
「そんな風に出会いを繋げたいな」
 そう語るいつきの言葉は、いつかの雨降りに告げられた、彼の野望そのもので。
 精霊たちは、己の手の中に色違いの花火が咲くのを、不思議と感じ取ったような気がした。
「店の名前……チビらしい考え方だな。いいんじゃないか」
「まず1つ、大事なことが決まったね」
 広げた紙に、さらさらと綺麗な文字が綴られる。
 抱いた野望が、ほんの少し前進した瞬間に、三人は顔を見合わせて笑った。
 作戦会議は、まだまだ続く。
 三人で紡ぎ合う時間は、熱を持ち、華やかに彩られ、日常に咲く大輪となるのだろう。
 ――だけれどそれは、彼らを見つめる誰かにだけ見える、特別な花火。




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 錘里 GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:信城いつき
精霊:レーゲン
精霊:ミカ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2018年5月26日

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