(イラスト:トキノユキ IL


アラノアのウィンクルム達のゴールイン!
蒼色クレヨン GM

プロローグ

 ついに切って落とされた、オーガ達との最終決戦――。
 もしかしたら、世界は滅び、ウィンクルムも命を落としてしまうかもしれません。

 命を落としてしまう前に、悔いのないように。
 A.R.O.A.はウィンクルムの正式な結婚を認める運びとなりました!

 そして、ウィンクルム達がお互いの気持ちを、本心を曝け出す場を用意しようと、
 A.R.O.A.がウィンクルム達に少しの休暇と、リゾート地を提供しました!
 プロポーズの場としても、デートの場としても利用可能です!

 人々は、ウィンクルム達が向かう最終決戦に向けて、少しでも手助けになればと、快くリゾート地などの開放を行ってくれました。
 最終決戦であることもあり、これまで助力をしてくれたスポットは提供をしてくださっています!
 行きたかったけど行けなかった、という場所に行くのも、同じ場所に行くのも、良いかもしれません!

 リゾート地は、すべてウィンクルム達の貸切!(一部リゾートホテルなどはスタッフがいらっしゃいます)。

 ウィンクルム達のゴールイン・ひと時は、一体どのようなものになるのでしょうか!


プラン

アクションプラン

アラノア
(ガルヴァン・ヴァールンガルド)
34
出かける前に何故か精霊宅へ呼ばれ
えっと…?
渡されたのは蝶モチーフのドレス風ワンピ
これ…どうしたの?

揃いの衣装まである用意周到ぶりに唖然
この人たまに自分勝手というか暴走気味になるというか…
駄目かと聞かれてもこれは是と答えるしかなく
96の時のように着替え一緒にお出掛け

2
わぁ…綺麗…
こんな幻想的な場所で一緒に過ごせるなんて、夢みたい
振り向くと彼が立ち尽くしていて疑問符

あ、そうだ(手をポン
ピクニックだからお弁当持って来たんだった(調理
ガルヴァンさん。先に食べてから散歩する?それとも後?

食べながら今後を想う

あ、ありがとう…
毎日…と考えると自然と行きつく未来


花畑の中ゆっくり散歩
摘まれる花は見ないふり


言葉を聞き届け
深呼吸
…私は、何度生まれ変わってもあなたの事を好きになると思う
でも私、自信が無いから…何度でもあなたを困らせると思う

それでもいいなら…私もあなたと一緒に生きたい(ブーケと指輪受取


ん…私も…

リザルトノベル

 当たり前のように日々を過ごす。
 当たり前のように隣りに在る。
 ウィンクルムである以上、いつしかそれは夢や幻に変わってしまう可能性を、大きな戦いが目前に迫る中で無意識に感じたのかもしれない。
 どちらからともなく、ある日ふと提案される。
 特別な遺跡へ足を向けてみないかと。
 あくまで、ピクニックにでもいかないかというような、そんな明るく自然な調子で ――

 今日がその決行日。
 直接すぐに遺跡へ向かうものだと思っていたアラノアは今、小首傾げながら大きな屋敷の中に居た。
 ここはパートナー、そして恋人であるガルヴァン・ヴァールンガルドの自宅。
 ここで過ごした日の事は未だ脳裏に鮮明によぎる為、あえてアラノアは周囲を見ない。
 見たが最後、思い出される事柄にあっという間に紅潮しのぼせてしまう自信があったから。
 そんなそわそわと落ち着かないアラノアの眼前に、ガルヴァンはいつも通りな淡々とした動向で紙袋を一つ差し出した。

「これを、お前に渡そうと思ってな」
「えっと……?」

 何故出掛ける前に荷物が?
 そんな疑問浮かべて、そっと中を覗き込んだ朱殷の中にアンティークデザインのドレス風ワンピースが映る。

「これ……どうしたの?」
「先払いで母さんに発注していた物が先日納品されたんだ。揃いの服もあるぞ」

 紙袋の中へ自身の手をがさりと入れれば、ワンピースの下にも丁寧に畳まれたタキシード風衣装があることを、ガルヴァンは見せてやる。

「今日はこれを着て出掛けたい……駄目か?」

 まだ呆気にとられた表情浮かべる彼女へ、今度はガルヴァンが首を傾いだ。
 ―― この人たまに自分勝手というか暴走気味になるというか……
 ああでも普段大人な人の真っ直ぐ自分に向けてくる子供みたいな問いかけなにそれかわ……っ。
 用意周到ぶりに一言くらい突っ込もうと思った口が、駄目かと聞かれた瞬間くすぐったい気持ちに言葉が押しやられた。
 アラノアの口が(悶えを一心に隠そうと微かプルプル震えながら)是と動けば、嬉しそうな表情と共に意気揚々となったガルヴァンに、着替え部屋へと連行されるアラノアがいた。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

「わぁ……綺麗……」
「見事だな」

 同時に感嘆の声が漏れる。
 いざ遺跡に到着した瞬間、先刻までのちょっとしたすったもんだな出来事どころか、日常のささやかな憂いすら吹き飛ばす程の幻想的な光景が二人の前に広がった。
 
「こんな幻想的な場所で一緒に過ごせるなんて、夢みたい」

 天井の至る所から筋のように光が差し込んでいるのを見上げ呟いた後、花たちを傷つけないよう静かに、それでもどこか浮足立ってアラノアは歩き出した。
 日の光の角度によって様々に鮮やかな花弁を揺らす夢想花の花畑へ、心躍らせ先をゆく彼女の後を邪魔しないよう、ゆっくりとガルヴァンもついていく。
 時折感動を共感しようと笑顔で振り返るアラノアへ、頷いて見せながら。
 ―― ああ……本当に、夢のような光景だな……。
 自分が贈ったワンピースの裾を翻すその姿。
 蝶の刺繍が踊るようにふわりとなびき、それと同時にみせる微笑み。
 光の筋降る花畑に立つアラノアは、ガルヴァンの琥珀には舞い降りた天使の如く映り込む。
 目が眩む感覚に、一度深く息を吐いて瞬きをした。
 ―― 確かに自信を持てとは思っているが……無自覚に日に日に美しくなっている気がして、それはそれで困るな……。
 『宝石の価値は箱では当てられない』
 父からもらった言葉がふと過ぎる。
 元々備わっていた内面の美しさが、あまりの自信の無さから自らベールを被って、その美しさを表面に表すのを隠していたような彼女だったが。
 内面は言わずもがなとして……箱すら宝石の価値通りに形作られていく確信を持った場合、どうしたらいいでしょうか父さん……。
 独り占めしたい、誰にも見せず大切に押し込めておきたい、そんな衝動すら湧けば思わず人生の師でもある父へ心の中で語り掛けたり。
 とはいえその父であっても、また勝手に彼女に触れようとするならば再び会わせるかは躊躇われるところだが。

 複雑な男心と対話中でいつの間にか足を止めていたガルヴァンに、ふとアラノアが気付いてこちらも足を止めた。
 何だか難しい顔をしている気がする、けど……?

「あ、そうだ」

 僅か逡巡してから思い出したように手をぽんっとして、アラノアは自身の手提げ鞄へ目をやった。そして、

「ガルヴァンさーん。先に食べてから散歩する? それとも後?」

 元々がピクニックのつもりで、お弁当をこさえてきていたのだ。
 ガルヴァンの表情とお弁当の存在とがマッチすれば、アラノアの思考は『お腹すいちゃってたのかな』とこうなった次第。
 当のガルヴァン、幻想的な光景と淡く募る想いとの間で自問自答していたところへ、急な生活感溢れる発言を耳にすれば現実へ引き戻され少々遠い目である。
 しかし、その全くもって無自覚なマイペースさが大変アラノアらしい、と至れば小さく笑って返答した。

「……先にいただこう」

 空いた場所を見繕って座れば、花の色に引けを取らぬ色鮮やかなお弁当たちが並べられた。
 おにぎり、野菜の煮物、唐揚げ、だし巻き卵等、一口サイズで食べやすい定番なおかずたちの他に、瑞々しい果物も綺麗に小分けされている。
 身に付いた綺麗な所作にて箸で口に運ぶガルヴァンの一挙一動を、アラノアがどこか緊張顔で見つめていたり。
 ―― いつもながら美味いな……安心する。
 心の内で呟いてから注がれる視線とかち合えば、ガルヴァンは微笑と共に改めて言葉にする。

「毎日でも食べられる味だ」
「あ、ありがとう……」

 ホッと胸を撫で下ろすと同時に、今言われた言葉が脳裏で反芻される。
 毎日……。
 恋人同士ともなれば当然行き着く未来の想像に、赤く染まりそうになる顔を隠すようにして自らもお弁当を頬張るアラノアがいた。

 食事後、それぞれが食休みがてら思い思いに花畑の中を散策する。
 しかしアラノアはどこか落ち着かない様子で、ガルヴァンが歩いて行く方向をチラチラと気にしては、どこか見ないフリな仕草。
 アラノアに背を向けて、ガルヴァンはその手の中に夢想花を一輪、また一輪と摘んでいるふうなのである。
 互いの関係を考えれば、どこか期待しそうになる自身の胸をアラノアは無意識に抑えた。
 あの人なら、と信じられる部分は勿論ある。しかし心にセーブをかけてしまうこれは、もはやアラノアにとって根が深い性分なのだ。
 
「……アラノア」

 高鳴る鼓動を落ち着かせようと瞳閉じていた彼女へ、温かな声色が届く。
 開いた視界に、自分を正面から見つめる存在を映せばアラノアは何でもないふうを装って、なに? と笑顔で返す。
 すると、タキシードの胸元から何やら取り出されるのを、きょとんと見つめ。
 次にはその朱殷の瞳が、こぼれ落ちそうな程大きく開かれた。
 ガルヴァンが取り出したのはリングケース。
 そっと自らその上蓋を開けば、そこにおさまっていたのは紛れもなく指輪だった。
 一見シンプルに見えるそのリングには、互いの絆がこれからも一層繋がり絡まり合うのを望むかのような、二本の蔦が繊細に彫り込まれている。
 
「……俺は、お前が思っているほど優しくはない。
 この先何度転生しようとも、例え拒まれようが俺は必ずお前を見つけ出す。
 それでも……俺を好きでいてくれるか? ……俺と、共に生きてくれるか……?」

 アラノアの目の前に、真摯な言葉と共に指輪が、そして夢想花のブーケが差し出された。
 呼吸の音すら聞こえるか聞こえないかの静寂の中。
 レース施されたワンピースの胸元が、一際大きく上下した。
 深呼吸の後、アラノアの唇が控えめに、しかし震えることなくしっかりと言葉を紡ぎ出す。

「……私は、何度生まれ変わってもあなたの事を好きになると思う。
 でも私、自信が無いから……何度でもあなたを困らせると思う」

 どうしたって不安は生まれるけれど。
 それを受け止めた強さを表情に浮かべ、決して目を逸らすことなくアラノアは告げた。

「それでもいいなら……私もあなたと一緒に生きたい」

 きっともっと自分のことも好きになっていける。
 そう信じさせてくれたあなたが傍にいれば。
 熱い想いを込めた言の葉と瞳。そして己よりずっと小さな掌が差し出した指輪とブーケを受け取る様子を、どこか夢を客観的に見つめるふうに琥珀の瞳は暫し見守ってから。
 そうするのが当然のように、
 そうされるのが分かっていたように、
 ガルヴァンの伸ばされた腕の中に、アラノアの身体が包み込まれた。
 出会いは盲亀の浮木。
 心通わせたるは優曇華の花。

「ありがとう……愛している……」

 抱擁の中で聞こえた愛しい声音へ、『……私も……』と応えが響くと同時に、アラノアの頬を温かい雫が一滴つたっていった。




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 蒼色クレヨン GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:アラノア
精霊:ガルヴァン・ヴァールンガルド
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2018年5月26日

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