菫 離々のウィンクルム達のゴールイン!
桂木京介 GM

プロローグ

 ついに切って落とされた、オーガ達との最終決戦――。
 もしかしたら、世界は滅び、ウィンクルムも命を落としてしまうかもしれません。

 命を落としてしまう前に、悔いのないように。
 A.R.O.A.はウィンクルムの正式な結婚を認める運びとなりました!

 そして、ウィンクルム達がお互いの気持ちを、本心を曝け出す場を用意しようと、
 A.R.O.A.がウィンクルム達に少しの休暇と、リゾート地を提供しました!
 プロポーズの場としても、デートの場としても利用可能です!

 人々は、ウィンクルム達が向かう最終決戦に向けて、少しでも手助けになればと、快くリゾート地などの開放を行ってくれました。
 最終決戦であることもあり、これまで助力をしてくれたスポットは提供をしてくださっています!
 行きたかったけど行けなかった、という場所に行くのも、同じ場所に行くのも、良いかもしれません!

 リゾート地は、すべてウィンクルム達の貸切!(一部リゾートホテルなどはスタッフがいらっしゃいます)。

 ウィンクルム達のゴールイン・ひと時は、一体どのようなものになるのでしょうか!


プラン

アクションプラン

菫 離々
(蓮)
スポット番号:25、28

夜景。美しいですねとハチさんに微笑み
答えて頂けたらすかさず
「ハチさんの美しさには負けますが」
良い雰囲気になったら
「実は部屋を取ってあるんです。否やはありませんね?」
畳み掛けます

ホテルへ移動。夕食は部屋で。
料理も片付いたら「ハチさん」と静かに呼び

「私と結婚してください」

おかしいですね
「プロポーズの仕方は勉強してきたのですが」
この後はアレをソレしてお楽しみはこれからだぜ
小バクちゃん、となる予定でした
「ではハチさんからお願いします。プロポーズ」

「父が縁談を持ってきたのですが、
私には心に決めた方がいるので少々急ですが求婚しました」
父は私に甘いのでご心配には及びません
何でしたら聞いてきますね、と立ち上がり

それで、お返事は?
いつからかと問われれば「最初から」
父がハチさんを拾ったと思われているようですが
最初に見つけたのは私で。
だから私の物なんです。

覚悟してくださいね
私のハチさん?

リザルトノベル

 スプーンで一口されたアイスのような、銀の斜面に星あかりが降りそそぐ。そのやわらかな光を吸って、雪は白みを増すかのようだ。
 ノースガルドの白馬岳、ホワイト・ヒルと呼ばれる尾根、展望台の手すりに左右の手をぺたんとそろえ、菫 離々は稜線を眺めている。若草色の瞳にも雪が映り込んでいた。
 やがて離々は、ため息をつくように視線を上げた。
「夜景、美しいですね」
 ふわりと微笑みが浮かんでいる。
 蓮は、手すりにかかった互いの手と手の近さを意識しつつも、
「空気も澄んでいて良い場所です」
 と返した。六月の夜なのに、尾根からの風には冬の涼やかさがある。
 すかさず離々が言葉をついだ。
「ハチさんの美しさには負けますが」
 このとき蓮も言いかけていたのだった。
「……お」
 具体的には、離々の「ハチさんの」と「美しさには」の中間あたりで。
「お、お嬢の美しさの前には霞みますが」
 と。
 ところが蓮が勇気を出して口走ったころにはすでに、離々は「負けますが」まで言い終えていたという次第。
 あうっ、と声が漏れてしまう。こめかみを指でかいて、いたずらを見破られた子どものように蓮は言った。
「って先を越されました」
「嬉しい言葉です……いささか気恥ずかしいですけれども。ありがとうございます」
 ぺこりと離々は頭を下げた。
「こちらこそ」
 蓮もならう。
 ふたりきりの展望台、銀嶺を背景にしてお辞儀しあっている――そのことに気付いて離々は、声を出して笑ってしまった。つられて蓮も笑った。
 ところで、と離々が言った。
「実は今夜」
「はい」
「部屋を取ってあるんです。否やはありませんね?」
「え? はい」
 蓮は首をかしげざるを得ない。
 離々の語尾にうっすらとだが、PK戦にのぞむサッカー選手のような、並々ならぬ決意らしきものを感じたからだ。

 ◇ ◇ ◇

 リゾートホテル『そらのにわ』は和風の造りだ。詫びのあるたたずまいだがくすんではおらず、檜の香りが心地よい。狭すぎず広すぎず、露天風呂から白馬の峰を一望できるなど、心づかいも行き届いている。
 文豪が、霊感を求め籠もった宿を思わせるではないか。蓮はたちまち、ネクタイを緩めたようなくつろぎを覚えていた。
 湯を堪能し室内着姿で、離々と差し向かい夕餉の膳につく。
 まだ温泉に入っているような気分、蓮の目尻は眠たげだが、それはすでに夢見心地だからだ。木目のある食卓を眺めて言う。
「内装も料理も凝ってますね」
 ふたりの前にひろがっているのは、山海の食材をふんだんに用いた懐石だった。ただ切っただけ、並べただけ、というのとはちがう。いずれも一工夫こらしてあって、目にも楽しい装いとなっていた。
 夏野菜のサラダにはサーモンとパプリカが添えてあり、ややもすると主張が強くなる緑の色を、さりげなくやわらげている。氷の皿に盛られたイワナの刺身は、昆布でうっすらと味つけがしてあり、ワラビをくるんだ蒸し玉子の小皿を、山椒の葉がきりりとひきしめている。兎型に加工した人参が、お新香の皿に華やぎを加えていた。山菜の天麩羅と蕎麦を、同時にいただくという嬉しさもある。そしてメインは、鍋ではなく陶板で霜降り牛を少々、焼きながらいただくという贅沢な構えなのだった。
「デザートも美味い。三皿ぐらいいけそうです」
 甘夏はちみつのゼリーを口に運びながら、蓮は目を細めている。
 ところが離々のほうは気もそぞろの様子で、ええ、とか、そうですね、と短く相槌を打つばかりだった。
 膳が下げられても、離々は立ち上がらなかった。
 そればかりかいくらか唐突に、
「ハチさん」
 静かに蓮に呼びかけた。
 ただならぬ様子に蓮は緊張気味に返事し、青さの残る畳に正座する。
 膝をつき合わせたまま、数秒が流れた。
 沈黙を破ったのも離々だった。
 彼女は唐突に、

「私と結婚してください」

 と、言ったのだった。

 ――は?

 柔道の達人にぽーんと投げられた気分、蓮は目を丸くするほかない。
 ぷろぽーず?
 なんとか理解はできた。
 返答を求められている、という状況であることも。
「それはもう喜ん……」
 いやいや、にわかに正気に戻る。
 これではまるで目次をめくった先が、いきなり結末部という小説ではないか。いくらなんでも斬新すぎる。
「……あの、せめて、もう少し話をしませんか?」
 蓮は半身を乗り出していた。
 相手の反応に戸惑っているのは離々も同じだ。
 おかしいですね、と大きな目をぱちくりする。
「プロポーズの仕方は勉強してきたのですが」
 なお離々の脳内スケジュールでは、相撲の行司が軍配を上げるみたいに蓮がOK回答をして取引(?)はスピード成立、この後はアレをソレしてお楽しみはこれからだぜ小バクちゃん! ……となるはずであった。
 恐る恐る蓮は言う。
「どちらかと言えばそういうのは、俺からするものでは――?」
 なるほど、離々はポンと手を打った。それならそれでイージーだ。
「ではハチさんからお願いします。プロポーズ」
「あ、はい。では俺と結婚し」
 いやいやいや、これも違うぞ! 今度はもっと早く蓮は正気に戻っている。
「とりあえずお嬢。理由を聞かせてください」
 うん、そうだ。こう言いたかったのだ。
 コホンと空咳すると、離々は居ずまいを正した。
 言いにくそうに告げる。
「先日、父が縁談を持ってきたのです」
「縁談!?」
 蓮は正座したまま飛び上がりそうになった。
 心のほうはもっと忙しい。
 相手はどこのどいつだ!
 と叫びたい。クワーと口を四角形にして。
 家柄は!?
 これも叫びたい。でも、
 家柄は……しっかりしてるんでしょうが……っ!
 まるで砲丸投げだ。だんだん勢いが減じていく。
 彼女のお父上のことだ。財閥や大政治家の跡継ぎ、はたまた貴族の御曹司、あるいは逆に、ちょっとおおっぴらにしづらい勢力の二代目など、そうそうたる候補を連れてきたことだろう。とてもではないが自分のような、元風来坊の元行き倒れ、現・絵本作家志望の夢追い人がかなう相手ではあるまい。蓮はまるで、数日経った切り花みたいにしおれてしまいそうになる。
「ご立派なお相手なのでしょうね……」
「どんな御方であろうと興味はありません。ですから、ですね」
 彼の手を取らんばかりにして離々は言った。
「私には心に決めた方がいるので、少々急ですが求婚しました」
「心に決めた相手ですって……?」
 蓮は息を吹き返す。闘志に火が付いたのだ。
「お嬢をたぶらかしやがって、四十発ぐらい軽く殴りたい」
 つい口に出してしまった。
「おやおや」
 ふふふと離々は笑った。喜怒哀楽くるくるめぐる蓮の様子が、あんまりにもおかしくて、愛らしくて。
「ご自分を折檻するおつもりで?」
「ええそうです! 俺をボコボコにしちゃいます! 俺め、お嬢に求婚されやがって……!」
 あっ! と蓮はのけぞった。
「そうでした求婚されてるの俺でした」
「そうですよハチさん」
 バケツ一杯に満たした氷水を、ざんぶと頭からかぶった気分だった。
 急激に冷めたと思ったら、体中がカッカとしてくるあたりもそっくりだ。
「俺なんぞがお嬢とけっここんんん?」
 声が裏返る。
「釣り合わないにも程がありますし」
 そもそもですね、と言った拍子に蓮の正座は崩れ、変則的に尻餅をつくような格好となっている。
「親父さんに今度こそ消されません?」
 そのことなら、と離々は立ち上がる。
「父は私に甘いのでご心配には及びません。何でしたら聞いてきますね」
「えっ電話でなくなぜ立ち上がるんです?」
「ちょっと実家に戻り聞いてこようかと。ご心配なく翌朝までには戻りますから」
 ずざっとスライディングして蓮は離々の袖を引いた。
「結構です。結構ですからっ」
 そうですか、と離々は座り直した。
「それで、お返事は?」
 正面切って問われると、蓮はつい視線を落としてしまうのだった。
「だいたい、お嬢が俺を好いてくれてるとしていつから――」
 すると軽いサーブに全力スマッシュで応じるがごとく、離々はコンマ数秒も考えず答えた。
「最初から」
 そして破顔する。
「ご存じでしたか? 父がハチさんを拾ったと思われているようですが、実は、最初に見つけたのは私なんです。だからハチさんは私のものなんです」
 私のもの――。
 胸がキュンとするという表現は、ありきたりの比喩かもしれない。
 しかしそのありきたりは、ごくまれにだが、比喩の範囲を飛び出し現実となる。
 このとき蓮に起こったのは、そのごくまれな事態だった。
 たしかに蓮の心臓は止まったのである。ほんの一秒かそこら。
 離々は蓮に手を伸ばした。
「覚悟してくださいね。私のハチさん?」
 蓮は顔から火が出そうだ。手も震えている。
「覚悟なんて」
 でも揺るがないものもある。
「そんなもの、とっくに」
 しっかりと蓮は、離々の手を両手で握った。
 初めて彼女に逢ったときから、この返事を用意していたような気がする――。




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 桂木京介 GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:菫 離々
精霊:
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2018年5月26日

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