初瀬=秀の『ウィンクルムだらけのサマードリーム!』
錘里 GM

プラン

アクションプラン

初瀬=秀
(イグニス=アルデバラン)
番号:9
……なんだかんだで押し切られて結局今年は水着で海水浴なんだが
ええいなんなんだそのこの世の春のような表情は!(照れ隠しの八つ当たり)
こんなん見ても楽しくないだろうに……いやいい、わかってるから反論はいい
やるかそんなん!つうか古いな!?

そんなこんなで夜
ようやく落ち着いたか(浜辺に並んで座り)
うん?何だ急に
うお!?(反射的に後方を振り返り)
いやそんな奇跡的な確率で見えるか流れ星?お前どんだけ強運……
――あぁ、もう
どこまでも王子様だなお前は
何だよ流れ星って
いや、そうじゃないな、あー、ちょっと待て(深呼吸)
……本気か、なんて今更確認するまでもないよな
ありがとう。
ここまで随分待たせちまったけど。
最期まで、一緒に。歩いていこう。よろしくな?

いやそこまで頑張らんでも……ってうお!?
は、ま、ちょ、待て待て展開が早い!心の準備が!(一気に赤面)
あーくそ、覚えてろよ!
(抵抗空しくコテージへ連行され)

リザルトノベル

 青い空、白い雲。晴れやかなまでの夏の空に、澄み渡る海は鮮やかなグラデーションを描く。
 海水浴を楽しむ観光客のはしゃいだ声が遠くから聞こえてくるけれど、初瀬=秀は思わずため息をついていた。
 本日のお出かけコンセプトである海もキャンプも嫌いではない。ちゃんと楽しめる。
 しかしそこに一つ憂鬱を挿し込むのが、己の格好である。
(……なんだかんだで押し切られたな……)
 我が身を覆うのは頼りない腰の布切れ一枚。要するに、水着だ。
 パーカーに袖くらいは通しているが、あってないような気になるのは、多分、傍らの精霊の表情のせい。
「ようやく願いが叶いました! やっぱり水着も素敵ですよ秀様!」
 全力の笑顔を湛えているイグニス=アルデバランは、表情どころか全身で喜びを主張している。
「ええいなんなんだそのこの世の春のような表情は!」
 口ばかりの文句は、照れ隠しの八つ当たり。ニコニコしているイグニスは全てお見通しだと言わんばかりで、頬の熱は加速する一方だ。
「第一、こんなん見ても楽しくないだろうに……いやいい、わかってるから反論はいい」
 40超えたおっさんの水着とかどこに需要があるんだか。なんて言ったところで、力一杯の「楽しいです」やら「ここにあります」が返ってくるに決まっているから、ぴっ、と手で制した。
 照れくさいし恥ずかしくはあるが、彼がそうやって喜んでくれることは、素直に嬉しくも、あって……。
「そして折角のビーチですしここは追いかけっこを! ウフフ捕まえてごらんなさーいのあれを!」
「やるかそんなん! つうか古いな!?」
 ゴールドビーチは本日も晴れやかで賑やかで、そしてお熱いご様子でした。

 ビーチで年甲斐もなくはしゃいでみたり、借りた浮き輪で少し沖を漂ってみたり。
 誰も彼もが開放的に満喫していた昼の海は、夜になればひっそりと静まり、真っ黒な中に点々と星の光を映す水面は、どこか厳かで幻想的ですらある。
 その頃になれば、流石にイグニスのテンションも落ち着いていた。
 ようやくか、と肩を竦めるようにして笑った秀は、微笑ましげな顔をして、空を見上げるイグニスの横顔を眺めていた。
 コテージでのバーベキューを楽しんでいる者が多いのだろうか。並んで座った浜辺は、貸し切りのプラネタリウムのように、静かだった。
「星が降ってきそうですねえ」
 感嘆は、無邪気に響く。
 そうだな、と返る秀の相槌は、適当なものではないと、なんとなく声音から感じ取れる。
 星空を見てあれこれ講釈できるほどの星座知識なんて、ないけれど。
 綺麗だと思う感情は、きっと同じなのだろう。
「さて、と……」
 秀と同じ星空を楽しんだイグニスは、改まったように秀へと向き直る。
「うん? 何だ急に」
 そんなイグニスの行動に、空を見上げていた視線を下ろして微かに首を傾げる秀だが、訝るでもなく、促すように見つめた。
「秀様秀様、今日はお渡ししたいものがあるんですよ。それはですねー……」
 にこにこと、いつもと同じ朗らかな笑顔で秀を見つめていたイグニスは、ふと、何かに気が付いたように顔を上げ、秀の後方の空を指差した。
「あ、流れ星!」
「うお!?」
 反射的に後方を振り返る秀だが、流れ星など一瞬のもの。背後のそれに出遅れ気味に振り返った秀がそれを確かめることなど出来なくて、きらきらと星が瞬くばかりの空をしばし眺めた後、小さく息を吐いた。
「いやそんな奇跡的な確率で見えるか流れ星? お前どんだけ強運……」
 そもそも本当にあったのか。見間違いか何かではないかという呆れも滲む顔に、そんなことはないとイグニスが食い下がる。
「ほんとですよーだって私ちゃんと捕まえましたもの」
 頬を膨らませそうな、拗ねたような口ぶりでいるけれど。
 真正面に見つめた彼は、いつも以上に殊更美しく、見えた。
 にこり。目が合って、微笑んだイグニスは、秀にも見えるように、握りしめていた手のひらを開いた。
 ――おほしさまをつかまえました。
 そんな、童話のような台詞が似合う彼の手には、銀色の煌めき。
 くるりとシンプルな円を描くだけの指輪が、そこに、あった。
「秀様」
 改まったようにその人を呼ぶ声は、愛おしさにあふれて、優しくて幸せで、そして、真剣だった。
「何度だって言いますよ。貴方を、世界で一番幸せにします」
 その言葉は何度も聞いた台詞のはずなのに、全く新しい物のように、深く深く、染み入る。
 銀環が、彼の手の中で瞬いたような、そんな錯覚。
 そうさせているのは、夜闇の中でなお煌めいて見える、微笑みのせい。
「ですからこの流れ星、受け取って頂けませんか?」
 我が愛しの姫君よ。
 貴方を幸せにするために生まれた私に、どうか、愛を。

(――あぁ、もう)

 たまらない。歯の浮くような台詞も、大仰な仕込みも、何もかもがイグニスを引き立てるばかりで。
 迷いのない愛が、眩しいくらい。
「どこまでも王子様だなお前は」
 何だよ流れ星って。夜風がやたらと冷たく感じるほどに頬を熱くさせながら、するりと視線を背けて呟こうとした台詞が、口元で押し留められる。
(……いや、そうじゃないな)
 告げるべきは、照れ隠しではなくて。
「あー、ちょっと待て」
 理解はしていても、気恥かしさと緊張に震えだしそうになるのを、深呼吸で諌める。
 じっと待つ彼は、急かすような期待を見せるでもなく、ただ静かに微笑んでいる。
 微笑んで、待ってくれている。
 ――長く、長く、待たせてしまったものだ。
 この期に及んでこれ以上を引き伸ばすことなど、してたまるか。
「……本気か、なんて今更確認するまでもないよな」
 いつだって全力なのがイグニスだ。
 大きくて人懐こい犬のようで愛らしく思ったこともあるくらい、真っ直ぐな愛は、いつだって心地よかった。
「ありがとう」
 紡ぎ出した声は、自分で思っていたよりもずっと、柔らかい声。
 震えてしまうかと思ったけれど。イグニスに、応える。それだけを思えば、すんなりと告げられた。
「ここまで随分待たせちまったけど。最期まで、一緒に。歩いていこう。よろしくな?」
 秀の微笑みに、イグニスはほんの少し眉を下げて、嬉しそうに、噛みしめるように唇を結んで。
 それから、いつもの、陽の元でこそ映える満面の笑顔を、湛えた。
「ふふ、こちらこそ!」
 秀の左手を取り、薬指に銀環を通す。ほんの少し冷えた指先を愛おしげに撫でて、握った。
「おはようからおやすみ、ゆりかごから墓場まで24時間365日全力で臨ませて頂きますよ!」
「いやそこまで頑張らんでも……」
「という事で」
「ってうお!?」
 握られた手がなんだかくすぐったいなんて思っている場合ではなかった。
 ぐいと引かれ、そのまま軽々と抱き上げられて、思わず上がった声にロマンスムードが掻き消える。
 お姫様は勿論横抱き。覗き込んでくるイグニスは、変わらずきらきらとした笑顔である。
「新婚! 初夜だと!! 思うのですよ! ハネムーン!」
 コテージですし?
 温泉もありますし?
 何も問題ありませんよね!
 邪気のない笑顔が投下した爆弾こそが何よりの問題なのは、一気に赤面した秀を見れば分かることで。
「は、ま、ちょ、待て待て展開が早い! 心の準備が!」
 押しのけようともがくが、痛い痛いと喚きながらもしっかりと秀を抱きかかえているイグニスは決してめげない。
 こうなっては、勝てないのだ。いつだっていつだって、イグニスは秀に合わせてくれていただけなのだから。
「あーくそ、覚えてろよ!」
 観念したように顔を覆った秀だったけれど。
 いやだ、とは。一度も言わなかった。
 流されたわけではないことを、主張するかのように。

 ――おうじさまはおほしさまをつかまえました。
 飛び切りの、愛しい愛しい一等星を。




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 錘里 GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:初瀬=秀
精霊:イグニス=アルデバラン
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2017年5月13日

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