プラン
アクションプラン
イザベラ (ディノ) |
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◆心霊スポット『タブロス病練』(スポット番号:12) 休暇に訪れていた地で廃病院の噂を聞き、悪霊退治だと意欲的に現地へと向かう。 拳を鳴らしながら入場。 「ふん、悪霊か…紛うこと無く邪悪だな、退治しなくては」 「我等は霊能者ではない。しかし、だからと言って悪を前にして弱者を見捨てるなど、正義の行いでは無い!行くぞ!」 明かりを手に、怖がる精霊を庇う様にして先を歩く。精霊とは対極に、怖がる様子は全く無し。 「私の後ろへ、ディノ」 「大丈夫だ、お前は私が守る」 アトラクションである事には全く気付いていない。仮に説明されても理解・納得もしない。 「出たな悪霊共!一匹残らず成仏(物理)させてやる!!」 「何故止める、ディノ!…ハッ…さては取り憑かれたか!?このクソ悪霊め!私のディノから出て行け!!(躊躇のないフック)」 精霊共々、アドリブ・改変・大幅ボツ・キャラ崩壊大歓迎。 |
リザルトノベル
このような話を聞いたことがあるだろうか。
そんな、ありきたりであまりに軽率な語り出しから紡がれるのは、とある怪異の一端。
とある廃病院に、所謂悪霊と言うものが現れるのだそう。
その現象は様々で、悲鳴だの啜り泣く声だの白い影だの盛り沢山で、統一感にはやや欠ける。
だが、その噂を口にする者は皆最後にはこういうのだ。
『タブロス病練』には、近づかない方がいいと――。
「――ここか」
いかにもな雰囲気を醸し出している、かつては白亜だっただろう薄汚れた建物を見上げて、静かな声が確かめるように呟く。
後頭部で綺麗に纏められた紺の髪と真っ直ぐに見据えるアイスブルーの瞳は、その人の凛々しさを象徴するようで、威圧するような建物の空気を真っ向から押しのけている。
凛と佇むイザベラは、ふん、と一つ鼻を鳴らして、躊躇なく進む。
「悪霊か……紛うことなく邪悪だな、退治しなくては」
迷いのない声に、しかし賛同は返らない。それどころか、びくついた声を吐く腕が、引き止めるように縋り付いてくる。
「や、やっぱり止めましょうよ、イザベラさん……。大体、こういうのは専門の人達に任せた方が……」
薄暗い辺りをひたすらきょろきょろと見回しながら、すっかり及び腰でイザベラに張り付いているのは、彼女の精霊であるディノ。
無骨な雰囲気で綺麗に鍛えられた体躯を持ちつつも、隠すことも出来ないほどビビっているさまは、夢見る乙女なら呆れや落胆を覚えるところだろうが、イザベラはそんな彼を振り返るでもなく、言い切る。
「我等は霊能者ではない。しかし、だからと言って悪を前にして弱者を見捨てるなど、正義の行いでは無い! 行くぞ!」
相変わらず躊躇のない歩みに、ディノは慌てて付き従う。
彼らがこの場所――タブロス病練に居るのは、休暇で訪れた折に噂を聞きつけたという、ただそれだけのこと。
心霊スポットとして名高いこの場所に踏み入ったのが興味本位でないことはイザベラを見れば察せることだが、特に何の算段もなく明かりと己の拳のみを頼りに突入していることも、以下同文である。
ぱきりと音を立てる硝子を踏み、入り口から奥、それから左右に伸びる廊下を順に照らしていけば、荒れ果てたロビーの壁に得体の知れない黒い影が染み付いて見えて、早々にディノの肩が跳ね上がる。
そんな彼を一度振り返って、イザベラは一歩、彼らを脅かさんとする悪霊へと立ちはだかるように歩み出て。
「私の後ろへ、ディノ」
凛とした声は宣誓のように。
それでいながら、安堵させるように優しく、ディノへと向けて紡がれる。
「大丈夫だ、お前は私が守る」
惚れざるを得ない。
(やだ……かっこいい……)
元々イザベラに助けられたことで彼女へ一目惚れをしているディノだ。今なお強く美しい精神の彼女を前にしてときめきを抑えられるものか。
例え男女の一般的かつ客観的な立場から見ると逆だろうとしか思えなくても。
紛いなりにも精霊である身で神人に守られるのはどうだろうとか思わなくもないけど。
けど!
(何かもうどうでも良い……好き……)
かくして、頼もしいパートナーと共に、タブロス病練の探索開始と相成った。
早々に現れたのは、まるで二人を導くように点々と続く血痕。明かりで照らしながらたどり着いた扉は立て付けが悪いのか軋んだ音を立てて開き、紛れるようにしてくすくすと響く、笑い声。
棚から滑り落ち、雑多にばら撒かれたカルテを足で退けながら奥へと侵入していけば、がさがさという音の中にがたがたと棚の揺れる音が混ざり。
しかし振り返り見渡しても何も居ない。立ち止まれば静寂が、歩みだせば自分たちが発するものとは明らかに異なる音が生じた。
思わずイザベラに縋る指の力を強めるディノとは対照的に、イザベラは音の出処を探るように更に奥へと踏み込んで。
「ひぃ!?」
照らし出された明かりの先、壁一面にべったりと染み付いた真新しくも見える血に、ディノは大げさに飛び退いた。
途端、はしゃぐようなからかうような笑い声が爆ぜて、一瞬で消える。
「ふん……脅しのつもりか。小賢しいな」
それ以上の収穫を見込めぬと見るや踵を返すイザベラは、扉を出た瞬間、廊下の奥へと消える白い影を目撃して、目を爛々と輝かせた。
「出たな悪霊共! 一匹残らず成仏させてやる!!」
成仏、括弧物理だろうなって、ディノは知っている。
霊をどうやって払うとか全く考えていない顔で駆け出すイザベラに、ひぇっ、と息を呑みつつも慌てて後を追うディノ。
しかし白い影はどこへ消えたか。見失って舌打ちするイザベラは、手近な押し戸を勢い良く開く。
ボロボロのカーテンスクリーンの向こうでゆらゆらと揺れる明かり。
煤けた寝台の上に、かつては何だったかをありありと思い起こさせる形状の物体が横たわり、得体の知れない黒い液体を滴らせる。
できるだけ近づかないようにしながら、部屋を探索するイザベラに続いていたディノは、ふと、その物体のポッカリと開いた空洞――眼窩の奥から何かが自分を見つめているような気がして……。
(……あれ?)
おっかなびっくり振り返ったディノは、気がついた。
なんとなく、どことなく、その物体が作り物っぽく見えるぞ、と。
触れて確かめるような度胸はなかったし、イザベラの探索速度が早すぎてゆっくり観察するとかもできなかったが。
しかし『もしかして』がよぎったディノは、改めて冷静に辺りを見渡してみる。
所々に散った血痕は、新しくも見えるのに血の匂いが全くしない。
明滅する明かりとは別に、しっかりと足元を照らすのは非常灯。
割れた硝子片などが散乱しているように見えて、角が微妙に処理されている。
(これって、もしかして……)
廃病院の噂から、全て、アトラクションの一環なのでは。
そんな発想に至ったディノによぎったのは、一瞬の安堵と、それから、血気盛んな神人による『器物損害』からの『損害賠償』のパーフェクト過ぎる流れ。
血の気が引いて真っ青になっているディノを『怖がっている』と受け止めて慮るイザベラは相変わらず胸キュン物の格好良さだが、それはそれで、これはこれ。
物陰からの音を追い、ついにイザベラは対峙してしまったのだ。悪霊と。
――もとい、悪霊的な物によるポルターガイストを想定した、布の塊と。
迷いなく向かっていこうとするイザベラを、ディノは止めた。必死に止めた。
「止めて下さい、イザベラさん! 暴力はダメです!」
「何故止める、ディノ!」
しがみつくようなディノに止められている間も、布はひらひらと揺れ動き、ばちばちと音を立てる明かりを一層明滅させる。
その情景に、イザベラが思い至ったのは『悪霊=取り憑くもの』という方程式。
「……ハッ……さては取り憑かれたか!? このクソ悪霊め! 私のディノから出て行け!!」
「私の……!」
キュン。
「……って違う! 痛い! 俺は正気です!」
所有物的な主張に胸キュンしてる場合じゃない。除霊(物理)を敢行すべくディノに躊躇なくフックを仕掛けるイザベラに、暴力反対を再び訴えながら、イザベラをガッシと掴んだ。
「俺達はこのまま何もせず、ただキャーキャー言いながら通り過ぎてれば良いんです! 皆それを望んでるんです!」
「何を言っているんだ、悪霊退治こそ望まれるものだろう!」
「第一どうやって倒すんです!」
「殴って」
ですよね!
「もう! ……もう! 貴方という人は!! どうしてそう脳筋なんです!?」
びくびくしていたばかりの精霊の突然の主張にイザベラは困惑するどころか憤るばかりだったが、ついには泣き出しかねないディノの様子に、アトラクションスタッフ側が空気を読んだ。
揺れ動いていた布の塊は大人しくなり、部屋の外から、誘うような歌声が響けば、イザベラはすぐさまそれを追う。
そのまま、順路通りに怪しい音が響くばかりで決して現物が出てこない雰囲気満喫アトラクションと化した『タブロス病練』を一通り駆け回った二人は、最終的にはすっかり静まり返ったロビーにたどり着く。
出口はこちらと言わんばかりに、白い影が扉をくぐって――消える。
そうして、腑に落ちない顔をしているイザベラと、何を壊すこともせずに済んだ安堵に目一杯満たされているディノは帰路につくのであった。
スタッフは思ったかもしれない。
ちゃんと最初にアトラクションって言おう。と――。
そんな、ありきたりであまりに軽率な語り出しから紡がれるのは、とある怪異の一端。
とある廃病院に、所謂悪霊と言うものが現れるのだそう。
その現象は様々で、悲鳴だの啜り泣く声だの白い影だの盛り沢山で、統一感にはやや欠ける。
だが、その噂を口にする者は皆最後にはこういうのだ。
『タブロス病練』には、近づかない方がいいと――。
「――ここか」
いかにもな雰囲気を醸し出している、かつては白亜だっただろう薄汚れた建物を見上げて、静かな声が確かめるように呟く。
後頭部で綺麗に纏められた紺の髪と真っ直ぐに見据えるアイスブルーの瞳は、その人の凛々しさを象徴するようで、威圧するような建物の空気を真っ向から押しのけている。
凛と佇むイザベラは、ふん、と一つ鼻を鳴らして、躊躇なく進む。
「悪霊か……紛うことなく邪悪だな、退治しなくては」
迷いのない声に、しかし賛同は返らない。それどころか、びくついた声を吐く腕が、引き止めるように縋り付いてくる。
「や、やっぱり止めましょうよ、イザベラさん……。大体、こういうのは専門の人達に任せた方が……」
薄暗い辺りをひたすらきょろきょろと見回しながら、すっかり及び腰でイザベラに張り付いているのは、彼女の精霊であるディノ。
無骨な雰囲気で綺麗に鍛えられた体躯を持ちつつも、隠すことも出来ないほどビビっているさまは、夢見る乙女なら呆れや落胆を覚えるところだろうが、イザベラはそんな彼を振り返るでもなく、言い切る。
「我等は霊能者ではない。しかし、だからと言って悪を前にして弱者を見捨てるなど、正義の行いでは無い! 行くぞ!」
相変わらず躊躇のない歩みに、ディノは慌てて付き従う。
彼らがこの場所――タブロス病練に居るのは、休暇で訪れた折に噂を聞きつけたという、ただそれだけのこと。
心霊スポットとして名高いこの場所に踏み入ったのが興味本位でないことはイザベラを見れば察せることだが、特に何の算段もなく明かりと己の拳のみを頼りに突入していることも、以下同文である。
ぱきりと音を立てる硝子を踏み、入り口から奥、それから左右に伸びる廊下を順に照らしていけば、荒れ果てたロビーの壁に得体の知れない黒い影が染み付いて見えて、早々にディノの肩が跳ね上がる。
そんな彼を一度振り返って、イザベラは一歩、彼らを脅かさんとする悪霊へと立ちはだかるように歩み出て。
「私の後ろへ、ディノ」
凛とした声は宣誓のように。
それでいながら、安堵させるように優しく、ディノへと向けて紡がれる。
「大丈夫だ、お前は私が守る」
惚れざるを得ない。
(やだ……かっこいい……)
元々イザベラに助けられたことで彼女へ一目惚れをしているディノだ。今なお強く美しい精神の彼女を前にしてときめきを抑えられるものか。
例え男女の一般的かつ客観的な立場から見ると逆だろうとしか思えなくても。
紛いなりにも精霊である身で神人に守られるのはどうだろうとか思わなくもないけど。
けど!
(何かもうどうでも良い……好き……)
かくして、頼もしいパートナーと共に、タブロス病練の探索開始と相成った。
早々に現れたのは、まるで二人を導くように点々と続く血痕。明かりで照らしながらたどり着いた扉は立て付けが悪いのか軋んだ音を立てて開き、紛れるようにしてくすくすと響く、笑い声。
棚から滑り落ち、雑多にばら撒かれたカルテを足で退けながら奥へと侵入していけば、がさがさという音の中にがたがたと棚の揺れる音が混ざり。
しかし振り返り見渡しても何も居ない。立ち止まれば静寂が、歩みだせば自分たちが発するものとは明らかに異なる音が生じた。
思わずイザベラに縋る指の力を強めるディノとは対照的に、イザベラは音の出処を探るように更に奥へと踏み込んで。
「ひぃ!?」
照らし出された明かりの先、壁一面にべったりと染み付いた真新しくも見える血に、ディノは大げさに飛び退いた。
途端、はしゃぐようなからかうような笑い声が爆ぜて、一瞬で消える。
「ふん……脅しのつもりか。小賢しいな」
それ以上の収穫を見込めぬと見るや踵を返すイザベラは、扉を出た瞬間、廊下の奥へと消える白い影を目撃して、目を爛々と輝かせた。
「出たな悪霊共! 一匹残らず成仏させてやる!!」
成仏、括弧物理だろうなって、ディノは知っている。
霊をどうやって払うとか全く考えていない顔で駆け出すイザベラに、ひぇっ、と息を呑みつつも慌てて後を追うディノ。
しかし白い影はどこへ消えたか。見失って舌打ちするイザベラは、手近な押し戸を勢い良く開く。
ボロボロのカーテンスクリーンの向こうでゆらゆらと揺れる明かり。
煤けた寝台の上に、かつては何だったかをありありと思い起こさせる形状の物体が横たわり、得体の知れない黒い液体を滴らせる。
できるだけ近づかないようにしながら、部屋を探索するイザベラに続いていたディノは、ふと、その物体のポッカリと開いた空洞――眼窩の奥から何かが自分を見つめているような気がして……。
(……あれ?)
おっかなびっくり振り返ったディノは、気がついた。
なんとなく、どことなく、その物体が作り物っぽく見えるぞ、と。
触れて確かめるような度胸はなかったし、イザベラの探索速度が早すぎてゆっくり観察するとかもできなかったが。
しかし『もしかして』がよぎったディノは、改めて冷静に辺りを見渡してみる。
所々に散った血痕は、新しくも見えるのに血の匂いが全くしない。
明滅する明かりとは別に、しっかりと足元を照らすのは非常灯。
割れた硝子片などが散乱しているように見えて、角が微妙に処理されている。
(これって、もしかして……)
廃病院の噂から、全て、アトラクションの一環なのでは。
そんな発想に至ったディノによぎったのは、一瞬の安堵と、それから、血気盛んな神人による『器物損害』からの『損害賠償』のパーフェクト過ぎる流れ。
血の気が引いて真っ青になっているディノを『怖がっている』と受け止めて慮るイザベラは相変わらず胸キュン物の格好良さだが、それはそれで、これはこれ。
物陰からの音を追い、ついにイザベラは対峙してしまったのだ。悪霊と。
――もとい、悪霊的な物によるポルターガイストを想定した、布の塊と。
迷いなく向かっていこうとするイザベラを、ディノは止めた。必死に止めた。
「止めて下さい、イザベラさん! 暴力はダメです!」
「何故止める、ディノ!」
しがみつくようなディノに止められている間も、布はひらひらと揺れ動き、ばちばちと音を立てる明かりを一層明滅させる。
その情景に、イザベラが思い至ったのは『悪霊=取り憑くもの』という方程式。
「……ハッ……さては取り憑かれたか!? このクソ悪霊め! 私のディノから出て行け!!」
「私の……!」
キュン。
「……って違う! 痛い! 俺は正気です!」
所有物的な主張に胸キュンしてる場合じゃない。除霊(物理)を敢行すべくディノに躊躇なくフックを仕掛けるイザベラに、暴力反対を再び訴えながら、イザベラをガッシと掴んだ。
「俺達はこのまま何もせず、ただキャーキャー言いながら通り過ぎてれば良いんです! 皆それを望んでるんです!」
「何を言っているんだ、悪霊退治こそ望まれるものだろう!」
「第一どうやって倒すんです!」
「殴って」
ですよね!
「もう! ……もう! 貴方という人は!! どうしてそう脳筋なんです!?」
びくびくしていたばかりの精霊の突然の主張にイザベラは困惑するどころか憤るばかりだったが、ついには泣き出しかねないディノの様子に、アトラクションスタッフ側が空気を読んだ。
揺れ動いていた布の塊は大人しくなり、部屋の外から、誘うような歌声が響けば、イザベラはすぐさまそれを追う。
そのまま、順路通りに怪しい音が響くばかりで決して現物が出てこない雰囲気満喫アトラクションと化した『タブロス病練』を一通り駆け回った二人は、最終的にはすっかり静まり返ったロビーにたどり着く。
出口はこちらと言わんばかりに、白い影が扉をくぐって――消える。
そうして、腑に落ちない顔をしているイザベラと、何を壊すこともせずに済んだ安堵に目一杯満たされているディノは帰路につくのであった。
スタッフは思ったかもしれない。
ちゃんと最初にアトラクションって言おう。と――。
依頼結果:大成功
エピソード情報 | ||||||
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リザルト筆記GM | 錘里 GM | 参加者一覧 | ||||
プロローグ筆記GM | なし |
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エピソードの種類 | ハピネスエピソード | ||
対象神人 | 個別 | |||||
ジャンル | イベント | |||||
タイプ | イベント | |||||
難易度 | 特殊 | |||||
報酬 | 特殊 | |||||
出発日 | 2017年5月13日 |