プラン
アクションプラン
セイリュー・グラシア (ラキア・ジェイドバイン) |
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アウトドア大好きなオレと、植物大好きなラキアが一緒に遊びに行くとなれば、ここだ。 8.森林公園「安らぎの森」で森林浴キャンプだー!! キャンプ場に着いたら、陽のある間に1回蒸気機関車に乗ろうぜ。 キャンプ場の全容を先ず把握して、だ。 何処を攻めるべきか、吟味せねば(キリッ。 ぐるっと一巡したら、ラキアのアドバイスに従い、釣りから始める。 今夜の晩御飯がコレで決まるぞ(サバイバルだー! ふふ、オレの釣りスキルが炸裂するぞ。 釣りは魚との静かな戦い。 思ったより駆け引きがあって面白いんだぜ。 立った魚はラキアと一緒に調理。 ラキアは料理上手だから美味しく食べちゃうぞ。ウマー。 日が暮れたらもう一回機関車に乗ろう。昼と雰囲気結構違ってイイじゃん? ふわふわっと光が漂ってる。アレは蛍かな? 夜の森に昆虫採取も行くぜ。カブトムシがオレを待つ! 虫の集まる木(クヌギとか)のトコへ行って、採るぞ。 すっかり童心にかえって。超楽しい。 |
リザルトノベル
青々と緑が生い茂っている。
吸い込む空気は、何処までも澄んでいて美味しい。
「森林浴キャンプだー!!」
セイリュー・グラシアは、満面の笑みで拳を振り上げた。
森林公園に、その声が木霊する。
「空気が美味しいね」
子供のように瞳をキラキラさせるパートナーに、ラキア・ジェイドバインはクスリと笑みを零した。
かく言うラキアの胸も期待に満ちている。
(森でキャンプってあまりした事無いよね。ふふふ、楽しみ!!)
ここに来るまで何度も眺めた森林公園の地図の内容が、すっかり頭に記憶される程には。
頬を緩めるラキアの顔を見て、セイリューは心の中でガッツポーズをした。
(アウトドア大好きなオレと、植物大好きなラキアが一緒に遊びに行くとなれば、ここだ!と。オレの判断に間違いはなかったぜ……!)
二人の眼前には、緑に囲まれた湖。その周囲に立ち並ぶロッジやバンガローに、檜風呂の温泉、炊事釜・調理台・水道・流し台を備えた炊事棟。
そして、このキャンプ場の目玉の一つである、蒸気機関車の停留場がある。
蒸気機関車の重厚感のあるボディが、太陽の光にキラキラ光った。
「まずは、蒸気機関車に乗ろうぜ!」
機関車を指差すセイリューに、ラキアは小首を傾げる。
「その心は?」
「まずは、キャンプ場の全容を先ず把握して、だ」
セイリューの瞳がキラリと光った。
「何処を攻めるべきか、吟味せねば」
顎に手を当て、キリッと表情を引き締めたセイリューを見て、ラキアは笑う。
「攻める=ドコから遊ぶか、だね」
「そういう事!」
丁度発車間際だった機関車は、セイリューとラキアが乗り込むと、汽笛を上げ走り出した。
黒い煙を吐いて、キャンプ場を巡っていく。
サービスで配られたラムネを手に、セイリューとラキアは窓の外の景色に見入った。
ロッジやバンガローの建つ場所を過ぎると、湖の周囲の遊歩道、それを取り囲む緑が広がっている。
緑の中には、二本の川が流れていた。
「昆虫採集は外せないよな! で、晩御飯も確保しないとだし」
「昆虫採集は夜が良いから、日が暮れる前に釣りとか良いかもね」
二人は地図を拡げて、行動する順番を決めていった。
「ラムネ、ウマー!」
「よく冷えてるね」
それから二人は爽やかなラムネの味を堪能し、蒸気機関車は緑の中を走り抜け、元の停留場へと戻ってくる。
機関車を降りた二人は、コテージで装備を整えてから、早速川へと繰り出した。
初夏とはいえ、強めの日差しの中、川辺はひんやりとした空気に満ちている。
釣り竿を手に、セイリューは川を観察した。
今夜の晩御飯がコレで決まる──サバイバルだ!
(ふふ、オレの釣りスキルが炸裂するぞ)
何処から攻めるか。セイリューは川面を離れた位置から観察する。
「どうして近付いて見ないの?」
ラキアの問い掛けに、セイリューは人差し指を立てた。
「川面に人影が映ると、それだけで警戒する魚も居るんだぜ」
釣り糸を垂れる前から、セイリューと魚の静かなバトルは始まっているのだ。
「よし、まずは大物狙いだ。この本流から攻める!」
セイリューは長竿にエサを付け、見事なフォームで川へ投げ入れた。
「セイリュー、頑張ってね」
メラメラ闘志の炎を燃やすセイリューに声を掛けて、ラキアは周囲を見渡した。
ラキアの手には竹製の籠、その中には、軍手と鎌、スコップも入っている。セイリューが釣りをしている間、ラキアは山菜を採るつもりなのだ。
軍手を嵌めたラキアの視界が、行者ニンニクが生い茂っている空間を捉えた。
ラキアは歩み寄ると、その葉にそっと触れて観察する。
葉が2枚の個体であることを確認すると、ラキアは両手を合わせた。
「少し森の幸を分けてね」
周囲の樹々にも聞こえるように声を掛けて、ラキアは丁寧に根元から2~3cm程茎を残すようにして、行者ニンニクを採る。
2枚葉の行者ニンニクは、こうして根を残すことでまた芽が生えてくるのだ。
「ここは豊かな森で過ごし易いね」
爽やかな風を受けて、ラキアの髪が舞う。
(何だかとてものんびり、寛げる)
樹々が歓迎するように揺れ、その緑の鮮やかさにラキアは瞳を細めた。
一方、セイリューの竿にも反応がある。
「キタ……!」
焦らず慎重に。
逆らわずに魚の力を往なしながら、徐々に寄せて──。
「疲れた時に、一気に引く!」
ザバーンッ!
見事釣り上がった大物を手に、セイリューはラキアに手を振った。
「ラキアー!」
「セイリュー、やったね」
ラキアは拍手を贈りながら、自分も採った山菜を振って見せた。
それから二人は、順調に魚を釣り上げ、山菜を採り、沢山の料理の材料を抱えて、日が暮れる前にコテージへと戻ったのだった。
「ふふ、これだけ材料があれば、ご馳走が出来るね」
炊事棟に材料を持ち込んで、ラキアがそう微笑めば、セイリューは瞳を輝かせた。
「魚は、焼き魚にしようね。後はお刺身もいいね」
「やったー! 焼き魚なら任せろー」
焼くだけならオレでもと、腕まくりするセイリューにラキアは笑う。
「セイリューは釣りの腕が上がったね」
「釣りは、思ったより魚と駆け引きがあって面白いんだぜ」
嬉しそうに、セイリューはエヘンと胸を張った。
「食べ物絡むとホント強いねぇ」
クスクスと笑って、ラキアは山菜に視線を向ける。
「山菜は、てんぷらとおひたしにしよう。山菜茶も作ろうかな」
「てんぷらとおひたしー!」
万歳するセイリューに、ラキアはにっこりと微笑んだ。
「それじゃ、薪を準備して魚を炙ろう」
「薪割りも任せろー!」
セイリューが薪を割る間、ラキアは他の料理の下拵えを慣れた手つきで次々こなす。
十分に薪を確保すると、セイリューはその薪を焚き火台にセットし、火を着けた。
パチパチと上がる炎が、日の暮れ出した辺りを明るく照らす。
セイリューは焚き火を囲む形で、二人分の椅子とテーブルを用意した。
「セイリュー、お待たせ」
そこへ、出来上がった料理と下拵えを済ませた魚を持って、ラキアがやって来る。
テーブルに料理を並べ、串を刺した魚を豪快に焚き火に立てれば準備は万端だ。
「乾杯!」
ラキア特製の山菜茶で乾杯すると、セイリューは早速パチンと両手を合わせ『いただきます』を言った後、刺身に箸を付けた。
「ウマー! 魚があまーい!」
「うん、新鮮で身が甘いね」
二人は顔を見合わせて頷き合う。
「山菜の天ぷらも、カリッと香ばしいぜ……!ウマー!」
「野菜にはない苦みが美味しいよね」
セイリューの箸の動きが止まらないのに、ラキアは頬を緩めた。
気持ち良いセイリューの食べっぷりは、料理を作る側にとって冥利に尽きる。
「あ、ほら。セイリュー、魚焼けたみたいだよ」
「いただきますっ……熱い! ウマー!」
中はふっくらで外はカリカリ。
ジューシーな焼き魚の美味しさに、セイリューの顔が蕩ける。
「幸せだー!」
「うん、美味しいね」
感動するセイリューにラキアが微笑んで、二人は楽しい夕食の一時を過ごした。
夕食の後片付けが終わる頃には、空には満天の星が広がっている。
セイリューとラキアは、再び蒸気機関車へと乗り込んでいた。
夜風を切って、昼間より何処か少しだけ控えめな汽笛を鳴らし、機関車はキャンプ場内を走る。
遮るもののない星空が、頭上に煌めいていた。
「昼と雰囲気結構違ってイイじゃん?」
昼間のサービスとは異なり、今度はホットコーヒーを片手に、セイリューは窓の外の光景を眺める。
「うん、森と空が溶け合っているみたいに見えるよ」
宝石のような星空の下、月明りに樹々の緑が輝いて見える。ラキアは瞳を細めた。
「ん? アレは蛍かな?」
丁度、川の横を通るタイミングで、ふわりと綿のような明りが浮かんで見える。
窓から身を乗り出して、セイリューは目を凝らした。
川をふよふよと幻想的に飛んでいるのは、蛍で間違いない。
川面を照らす小さな明りが、無数に地上を彩って、空の星と一緒に瞬いている。
「幻想的だね……」
二人はしばし無言で、その光景に魅入ったのだった。
機関車を降りた二人は、一旦コテージに戻り、徒歩で樹々が生い茂る森ゾーンへ向かった。
二人の手には、虫取り網と籠。
夜の昆虫採集である。
「カブトムシがオレを待つ!」
鼻息荒く樹々を見上げるセイリューの腕を、ラキアは笑顔で引いた。
「クヌギの樹はこっちだよ」
「ラキア、分かるのか?」
目を丸くするセイリューに、ラキアはふふっと笑う。
「耳を澄ませば虫の動く音もよく聞こえるよ、ファータには」
ラキアが指し示す樹には、沢山の昆虫が集まっていた。
月明りに照らされる昆虫達は、何処か神秘的で、セイリューの中の童心を刺激する。
「ラキア、ありがとう!」
不意にセイリューがそう言って、ラキアは瞬きした。
「……うん、俺もありがとう」
月明りの下、二人はしばし童心に戻り、森の中で過ごしたのだった。
吸い込む空気は、何処までも澄んでいて美味しい。
「森林浴キャンプだー!!」
セイリュー・グラシアは、満面の笑みで拳を振り上げた。
森林公園に、その声が木霊する。
「空気が美味しいね」
子供のように瞳をキラキラさせるパートナーに、ラキア・ジェイドバインはクスリと笑みを零した。
かく言うラキアの胸も期待に満ちている。
(森でキャンプってあまりした事無いよね。ふふふ、楽しみ!!)
ここに来るまで何度も眺めた森林公園の地図の内容が、すっかり頭に記憶される程には。
頬を緩めるラキアの顔を見て、セイリューは心の中でガッツポーズをした。
(アウトドア大好きなオレと、植物大好きなラキアが一緒に遊びに行くとなれば、ここだ!と。オレの判断に間違いはなかったぜ……!)
二人の眼前には、緑に囲まれた湖。その周囲に立ち並ぶロッジやバンガローに、檜風呂の温泉、炊事釜・調理台・水道・流し台を備えた炊事棟。
そして、このキャンプ場の目玉の一つである、蒸気機関車の停留場がある。
蒸気機関車の重厚感のあるボディが、太陽の光にキラキラ光った。
「まずは、蒸気機関車に乗ろうぜ!」
機関車を指差すセイリューに、ラキアは小首を傾げる。
「その心は?」
「まずは、キャンプ場の全容を先ず把握して、だ」
セイリューの瞳がキラリと光った。
「何処を攻めるべきか、吟味せねば」
顎に手を当て、キリッと表情を引き締めたセイリューを見て、ラキアは笑う。
「攻める=ドコから遊ぶか、だね」
「そういう事!」
丁度発車間際だった機関車は、セイリューとラキアが乗り込むと、汽笛を上げ走り出した。
黒い煙を吐いて、キャンプ場を巡っていく。
サービスで配られたラムネを手に、セイリューとラキアは窓の外の景色に見入った。
ロッジやバンガローの建つ場所を過ぎると、湖の周囲の遊歩道、それを取り囲む緑が広がっている。
緑の中には、二本の川が流れていた。
「昆虫採集は外せないよな! で、晩御飯も確保しないとだし」
「昆虫採集は夜が良いから、日が暮れる前に釣りとか良いかもね」
二人は地図を拡げて、行動する順番を決めていった。
「ラムネ、ウマー!」
「よく冷えてるね」
それから二人は爽やかなラムネの味を堪能し、蒸気機関車は緑の中を走り抜け、元の停留場へと戻ってくる。
機関車を降りた二人は、コテージで装備を整えてから、早速川へと繰り出した。
初夏とはいえ、強めの日差しの中、川辺はひんやりとした空気に満ちている。
釣り竿を手に、セイリューは川を観察した。
今夜の晩御飯がコレで決まる──サバイバルだ!
(ふふ、オレの釣りスキルが炸裂するぞ)
何処から攻めるか。セイリューは川面を離れた位置から観察する。
「どうして近付いて見ないの?」
ラキアの問い掛けに、セイリューは人差し指を立てた。
「川面に人影が映ると、それだけで警戒する魚も居るんだぜ」
釣り糸を垂れる前から、セイリューと魚の静かなバトルは始まっているのだ。
「よし、まずは大物狙いだ。この本流から攻める!」
セイリューは長竿にエサを付け、見事なフォームで川へ投げ入れた。
「セイリュー、頑張ってね」
メラメラ闘志の炎を燃やすセイリューに声を掛けて、ラキアは周囲を見渡した。
ラキアの手には竹製の籠、その中には、軍手と鎌、スコップも入っている。セイリューが釣りをしている間、ラキアは山菜を採るつもりなのだ。
軍手を嵌めたラキアの視界が、行者ニンニクが生い茂っている空間を捉えた。
ラキアは歩み寄ると、その葉にそっと触れて観察する。
葉が2枚の個体であることを確認すると、ラキアは両手を合わせた。
「少し森の幸を分けてね」
周囲の樹々にも聞こえるように声を掛けて、ラキアは丁寧に根元から2~3cm程茎を残すようにして、行者ニンニクを採る。
2枚葉の行者ニンニクは、こうして根を残すことでまた芽が生えてくるのだ。
「ここは豊かな森で過ごし易いね」
爽やかな風を受けて、ラキアの髪が舞う。
(何だかとてものんびり、寛げる)
樹々が歓迎するように揺れ、その緑の鮮やかさにラキアは瞳を細めた。
一方、セイリューの竿にも反応がある。
「キタ……!」
焦らず慎重に。
逆らわずに魚の力を往なしながら、徐々に寄せて──。
「疲れた時に、一気に引く!」
ザバーンッ!
見事釣り上がった大物を手に、セイリューはラキアに手を振った。
「ラキアー!」
「セイリュー、やったね」
ラキアは拍手を贈りながら、自分も採った山菜を振って見せた。
それから二人は、順調に魚を釣り上げ、山菜を採り、沢山の料理の材料を抱えて、日が暮れる前にコテージへと戻ったのだった。
「ふふ、これだけ材料があれば、ご馳走が出来るね」
炊事棟に材料を持ち込んで、ラキアがそう微笑めば、セイリューは瞳を輝かせた。
「魚は、焼き魚にしようね。後はお刺身もいいね」
「やったー! 焼き魚なら任せろー」
焼くだけならオレでもと、腕まくりするセイリューにラキアは笑う。
「セイリューは釣りの腕が上がったね」
「釣りは、思ったより魚と駆け引きがあって面白いんだぜ」
嬉しそうに、セイリューはエヘンと胸を張った。
「食べ物絡むとホント強いねぇ」
クスクスと笑って、ラキアは山菜に視線を向ける。
「山菜は、てんぷらとおひたしにしよう。山菜茶も作ろうかな」
「てんぷらとおひたしー!」
万歳するセイリューに、ラキアはにっこりと微笑んだ。
「それじゃ、薪を準備して魚を炙ろう」
「薪割りも任せろー!」
セイリューが薪を割る間、ラキアは他の料理の下拵えを慣れた手つきで次々こなす。
十分に薪を確保すると、セイリューはその薪を焚き火台にセットし、火を着けた。
パチパチと上がる炎が、日の暮れ出した辺りを明るく照らす。
セイリューは焚き火を囲む形で、二人分の椅子とテーブルを用意した。
「セイリュー、お待たせ」
そこへ、出来上がった料理と下拵えを済ませた魚を持って、ラキアがやって来る。
テーブルに料理を並べ、串を刺した魚を豪快に焚き火に立てれば準備は万端だ。
「乾杯!」
ラキア特製の山菜茶で乾杯すると、セイリューは早速パチンと両手を合わせ『いただきます』を言った後、刺身に箸を付けた。
「ウマー! 魚があまーい!」
「うん、新鮮で身が甘いね」
二人は顔を見合わせて頷き合う。
「山菜の天ぷらも、カリッと香ばしいぜ……!ウマー!」
「野菜にはない苦みが美味しいよね」
セイリューの箸の動きが止まらないのに、ラキアは頬を緩めた。
気持ち良いセイリューの食べっぷりは、料理を作る側にとって冥利に尽きる。
「あ、ほら。セイリュー、魚焼けたみたいだよ」
「いただきますっ……熱い! ウマー!」
中はふっくらで外はカリカリ。
ジューシーな焼き魚の美味しさに、セイリューの顔が蕩ける。
「幸せだー!」
「うん、美味しいね」
感動するセイリューにラキアが微笑んで、二人は楽しい夕食の一時を過ごした。
夕食の後片付けが終わる頃には、空には満天の星が広がっている。
セイリューとラキアは、再び蒸気機関車へと乗り込んでいた。
夜風を切って、昼間より何処か少しだけ控えめな汽笛を鳴らし、機関車はキャンプ場内を走る。
遮るもののない星空が、頭上に煌めいていた。
「昼と雰囲気結構違ってイイじゃん?」
昼間のサービスとは異なり、今度はホットコーヒーを片手に、セイリューは窓の外の光景を眺める。
「うん、森と空が溶け合っているみたいに見えるよ」
宝石のような星空の下、月明りに樹々の緑が輝いて見える。ラキアは瞳を細めた。
「ん? アレは蛍かな?」
丁度、川の横を通るタイミングで、ふわりと綿のような明りが浮かんで見える。
窓から身を乗り出して、セイリューは目を凝らした。
川をふよふよと幻想的に飛んでいるのは、蛍で間違いない。
川面を照らす小さな明りが、無数に地上を彩って、空の星と一緒に瞬いている。
「幻想的だね……」
二人はしばし無言で、その光景に魅入ったのだった。
機関車を降りた二人は、一旦コテージに戻り、徒歩で樹々が生い茂る森ゾーンへ向かった。
二人の手には、虫取り網と籠。
夜の昆虫採集である。
「カブトムシがオレを待つ!」
鼻息荒く樹々を見上げるセイリューの腕を、ラキアは笑顔で引いた。
「クヌギの樹はこっちだよ」
「ラキア、分かるのか?」
目を丸くするセイリューに、ラキアはふふっと笑う。
「耳を澄ませば虫の動く音もよく聞こえるよ、ファータには」
ラキアが指し示す樹には、沢山の昆虫が集まっていた。
月明りに照らされる昆虫達は、何処か神秘的で、セイリューの中の童心を刺激する。
「ラキア、ありがとう!」
不意にセイリューがそう言って、ラキアは瞬きした。
「……うん、俺もありがとう」
月明りの下、二人はしばし童心に戻り、森の中で過ごしたのだった。
依頼結果:大成功
エピソード情報 | ||||||
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リザルト筆記GM | 雪花菜 凛 GM | 参加者一覧 | ||||
プロローグ筆記GM | なし |
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エピソードの種類 | ハピネスエピソード | ||
対象神人 | 個別 | |||||
ジャンル | イベント | |||||
タイプ | イベント | |||||
難易度 | 特殊 | |||||
報酬 | 特殊 | |||||
出発日 | 2017年5月13日 |