セラフィム・ロイスの『聖なる夜に恋の魔法を!』
都成 GM

プラン

アクションプラン

セラフィム・ロイス
(火山 タイガ)
11
星を見に連れて行ってくれる?
■フードを目深に被り
平気だよ。これ?一番よく見える場所で見たいから

う、うん(取り
わあ!
普段見てる星の周りにも沢山
こんなに眩いオリオン座みたの初めてだ

え、どれ?
次からは見つけてみるね

ううん十分。昔はプラネタリウムに行ってて、家で天体ショーするほど好きだったんだ。仲がよかった頃は・・・


どこも素敵だけど、一度自然の中で満天の星空を見たくって
タイガなら山に慣れてるし、見える場所がわかるかなって
正解だったね

?メリークリスマス
タイガへ。手編みの帽子で不恰好だけど(赤ニット帽
ありがとう。鍵?

■頭を横にふり
・・・嬉しいよ
でも今、手を取ったら引き離されるのが見えてるから
それで友達を無くしたんだ
『相応しくない』それだけでした父が怖くて
タイガが本当に大事だから、できない

・・・
(待たせたのに、我侭聞いてもらって、僕にはもったいなくて。向き合ってないのは僕だ)涙
頑張る・・・ね(微笑

リザルトノベル

夜も更けて静まり返った深い森の中を、セラフィム・ロイスと火山タイガは
二人で手を繋いで歩いていた。
ライトを片手に迷いのない足取りで歩くタイガの横を
あちこちに視線を向けながら歩くセラフィム。

夜目の利かないセラフィムは、闇に沈んだ森に目を凝らす代わりに
時折、息をひそめるようにして耳を澄ませた。
灯りのない道を歩いていると、目の代わりに耳が冴える。
そうしていると、踏みしめた足元で枯葉の砕ける微かな音や
遠くで鳴いている梟の声が耳に触れて、自分たちが夜の森を
歩いている感覚を味わわせてくれるのだった。

古代の森の空気は張りつめているかのように冷たく澄んで
息を吸うと口に薄荷でも含んだように、胸の中まで清涼感で満ちた。
は、と短く息を吐くと、口元に白い雲が生まれる。

ウィンクルムたちのために『大聖夜祭』が開催される、と知らされて
セラフィムは、タイガに「星を見に連れて行ってくれる?」と誘った。
その誘いを「任せろ!」と、満面の笑みを浮かべて受けてくれたのだった。

そして今日、ライト片手に二人は手を繋ぎ、
まるで天を突くような大樹の間を、縫うように歩いて行く。
「でっけぇ……。流石、樹齢2000年の樹がごろごろある森だ。
 拓けてよく見える場所は……」

空に届けとばかりに枝を伸ばす木々を見上げて、タイガは呟く。
空の良く見える場所を探して視線を巡らせると
視界の端で、セラフィムが白い息を吐く。
顔を向けると、彼は外套についていたフードを目深に被っていた。

「セラ、足元気をつけろよ。寒いのか?」
顔を覗き込むように尋ねると、月の光のような銀色の瞳が
フードの隙間からちらりと光り、柔らかく微笑みを浮かべた口元が見える。
「平気だよ。……これ?一番、星がよく見える場所で見たいから」
「ああ。じゃあ、とびっきりの場所みつけねぇとな」
繋いだ手を引いて、「一番、星がよく見える場所」、と、探すタイガの声に力がこもった。


「着いたぞ!」
木々の並びが途切れ、広い夜空を見上げられる場所に辿り着いた。
はしゃいだ弾む声でタイガが呼びかける。
「う、うん」
おずおずとフードを取ったセラフィムの目に、銀砂を撒いたような紺色の空が映る。
澄んだ星空には、冬の星座が広がり、その銀色の星々の間に
金剛石を縫い留めたかのように大きなきらめきが、いくつも散りばめられている。

「わあ!普段見てる星の周りにも沢山……。
 こんなに眩いオリオン座みたの初めてだ」

いつもならば街の灯りに霞んで見えなくなってしまう小さな星も
この森の中では、はっきりと見ることができた。
夜空全体がぼんやりと白く発光しているかのような満天の星に
セラフィムは感動したように深い溜息を吐く。

「へへ、連れてきたかいあった。
 ほら、アルデバランに、冬の大三角だ!」

タイガの指先が、牡牛の右目を表す赤いアルデバランを指差し
そのすぐ傍の冬の大三角形をすらりとなぞる。

「え、どれ?」

目で追い切れなかったセラフィムが身を乗り出すようにすると
口元に浮かべた笑みを深くして、タイガは得意げに言う。
「知らねーの?オリオンの三ツ星から左のあれと、あの星を繋いで言うんだ」

おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスを
結んでできる三角形を、倒木に座わって指差し
今度はゆっくりと指先で辿るタイガに、セラフィムはふわりと微笑む。
「次からは見つけてみるね」

セラフィムの柔らかな笑みに、タイガは擽ったそうに微笑み返す。
「他にもな……、あー、聞いたのじゃ足りねぇ!
話知ってりゃよかったな!そういうの好きだろ?」

「ううん、十分。昔はプラネタリウムに行ってて、
 家で天体ショーするほど好きだったんだ。仲がよかった頃は……」

ふと、見上げた空に輝く月に目を奪われて、言葉が途切れる。
以前、家族に反対されている今の道をこのまま進んだらどうなるだろう、と
占ってもらった時に見たタロットカードの絵柄『月』がふと頭を過ぎる。
あの時と同じく、立ち向かいたい、と思いながらも
今も、家のことを気負いなく話せはしなかった。

あの時の占い師は、『月』を示すカードは、現状を見通せず不安な状態、と言った。
『月』が示すのは、『星』によって希望を見出し、
『太陽』のような明るさに向かうまでの道のりにある、不安を示すのだ、と
あの後で読んだ本にあった。
果たして自分は、『太陽』へと向かっているのだろうか──、
そんな不安がセラフィムの表情を沈ませる。

「……。なあ、色々あった中で、何でここにしたんだ?」
僅かに不安の色が見える表情で口を噤んだセラフィムに、タイガは尋ねる。
デートをする場所は、賑やかで華やかな、心の浮き立つような場所がたくさんあった。
けれど、そういった場所でなく、セラフィムは静かな古代の森を選んだ。

「どこも素敵だけど、一度、自然の中で満天の星空を見たくって。
 タイガなら山に慣れてるし、見える場所がわかるかなって。正解だったね」
物思いを続けることは止め、タイガの問いに、同意を求めるように微笑みかけた。
伏せがちだった視線を上げ、星々の瞬く音まで聞こえそうにきらめく夜空を見上げる。

「おう!だてに山で育ってねーぜ」

夜空を見上げて、瞳を輝かせるセラフィムに言いながら
タイガは、そっと、胸中で呟く。
(いつでもキラキラしててほしいから。俺は……)
と、そこで持ってきた時計が鳴る。
「メリークリスマス」
満面の笑みで言ったタイガに
セラフィムは少し首を傾げてから同じ言葉を返す。
「?メリークリスマス。
 ……タイガへ。手編みの帽子で不恰好だけど」

タイガは、差し出された手編みの赤いニット帽のラッピングを
その場で取ると、早速かぶって見せる。
タイガの金色の髪に毛糸の赤が映えて、見ていたセラフィムは
空気がほんのりと暖かくなるような気がして微笑んだ。

「サンキュー!俺からはこれ」
夜空のような紺色のリボンが結ばれた鍵が、セラフィムの手のひらに乗せられる。
「ありがとう。鍵?」
何の鍵、と問う前に、真摯な緑の瞳に顔を覗き込まれて、口を開けなくなる。
「新しい俺ん家の鍵」

そっと、鍵を握らせるように、タイガの手がセラフィムの手を包み込む。
「セラ。一緒に暮らそう。朝から晩まで俺の隣で笑っていてほしい」
いつも一緒にいたい、そんな思いのこもった視線に
セラフィムは息を飲んで顔を伏せ、小さく頭を横にふった。

「嫌か?」
「……嬉しいよ。
 でも今、手を取ったら引き離されるのが見えてるから。
 それで、友達を無くしたんだ。『相応しくない』、
 それだけで、友達と引き離した父が怖くて……。
 タイガが本当に大事だから、できない」

戦慄く唇から、掠れた声がこぼれる。
セラフィムの手を包んでいたタイガの手が、励ますように握り込まれた。
「……」
滲んできた涙を堪えようと、すん、と鼻を鳴らすと
まるで壊れ物を扱うように、タイガの手が頬に触れた。
(待たせたのに、我侭聞いてもらって、僕にはもったいなくて。向き合ってないのは僕だ)

「頑張る……ね」
微笑みを浮かべた瞳から、月の雫のような涙がこぼれる。
それを指先でぬぐってやりながら、タイガも少しだけ苦く笑う。
「……持っててくれ。
 セラがいつでも俺ん家に来れるように、認められる男になるからさ。
 何なら挨拶に行ってもいいぞ」

セラフィムの顔をのぞきこみ、冗談めかして言うタイガに
泣き笑いをしながら頷く。
何度立ち止まっても、この太陽のような明るさに向かって歩いて行くのだ、と
セラフィムは思った。
二人の手の中にある鍵が、まるで加護を受けたお守りでもあるように仄かに温かい。
それがどんなに困難でも、立ち向かおう、とセラフィムは胸に決めた。




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 都成 GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:セラフィム・ロイス
精霊:火山 タイガ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2016年12月18日

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