(イラスト:紬凪 IL)


蒼崎 海十の『聖なる夜に恋の魔法を!』
(桂木京介 GM)

プラン

アクションプラン

蒼崎 海十
(フィン・ブラーシュ)
8
スキーは初心者
フィンに教えて貰いつつ最初は初心者コース
フィンを練習に付き合わせるのは申し訳ない、一刻も早く滑れるようになって上級コースに行きたいと真剣
何とかナイターまでにはモノになった…筈
二人で夜景が一望しながら滑る
集中したせいかどっと疲れた…でも、心地良い疲れだ
ロッジでヒョウスイ味噌生姜ラーメンをフィンに作って貰い温まる
凄く美味い…!

7
ホテルへ着いたら、露天風呂
スキーで酷使した体を解す
色々教えてくれて…サンキュとフィンに礼を
二人でゆっくり湯に浸かって、夜空を楽しむ
贅沢な一時だ

風呂から出て、部屋食に舌鼓
お酒があれば、フィンに勧めてお酌する
有難う…フィンが居るから、俺は戦いの中でも最後まで立って居られるんだ
これからも、よろしくな
相棒としても恋人としても…
ほら、折角だから飲めよ
酔わないんじゃなかったのか?

俺からもプレゼント
マフラー
…編んだ、俺が
気付かれないように作業したからな
サプライズ成功だ

リザルトノベル

 ゴーグルを上げて蒼崎 海十は目を見張った。
「すっごい雪だな……!」
 この「すっ」と「ごい」の間に、約三秒の間があったことからも、海十の驚きようが推し量れそうなものではないか。
 それほどに壮麗な眺めだったのだ。ゲレンデに出た途端、海十が度肝を抜かれたのもけだし当然といえよう。
 あらゆる場所が雪、見渡す限りの雪、雪、雪、まさしく一面の雪景色。
 それも硬くて黒ずんだ雪ではなく、きめの細かなパウダースノウなのも嬉しいところだ。
 空は突き抜けるほどの晴天で、世界は青と白のコントラストだけで構成されているような気になる。
 海十は蛍光グリーンと黒のスキーウェアを着込んでいた。買ったばかりの最新デザインだった。
「ああ、いい雪だね」
 フィン・ブラーシュがロッジから出てきた。彼のほうはワインレッド基調のウェアだ。丁寧に保管されていたものと思われるが、肩口やジッパー周辺に、いささか使い込んだ感がある。
「待ってて」
 海十の前で、フィンはてきぱきとスキー板を足にはめる。終わると、
「手伝うよ」
 と手招きした。
 自分でできる、と強がりたいところだが、今日の海十は素直に従う。なにせ海十は、これがスキー初体験なのだ。
「今日は……よろしく頼むな」
「どうしたの? そんなに神妙にして」
「だって、スキーが得意なフィンを、ド素人の俺の練習に付き合わせるのは申し訳ないだろ……?」
「そんなこと気にしてたのか」
 フィンは笑った。
「得意、っていうほどのものじゃないよ。だから初心者コースで十分楽しいからね、俺も」
 気にしなくていい、とフィンは言うけれど、それが謙遜であることを海十は知っている。だから内心、心に誓うのである。
 一刻も早く滑れるようになって、今日中に上級コースに行きたい――!
 と。

 決意が胸にあるからか、海十はガッツあふれる滑りでフィンを感心させていた。
「そうそう。それがボーゲンだよ。よし、曲がってみようか……お、上手い上手い」
 なだらかな傾斜を、それこそ目に炎が宿りそうな勢いで海十は滑り降りていた。失敗にもめげない。足をもつれさせ雪に埋まっても、
「次こそは!」
 と、心底悔しそうに告げて立ち上がるのである。あまりにも根を詰めるものだから、フィンのほうからときどき、インターバルと称して小休止の時間を確保する必要があったくらいだ。
 そんな海十を指導するのはフィンにとっても楽しいことだった。こう言ったら怒るかもしれないが、いまの海十は、必死で親ライオンを追いかける子ライオンのように見えるのだ。あどけないけれど、獅子は獅子というわけだ。
 ――可愛いんだよね、そういう一途なところが。
 海十が健闘するたびに頭をなでなでしてあげたいという欲求がわいてきて、フィンは抑えるのに苦心したくらいだ。
 こうして半日練習して、スキー場『スノーウッドヒョウスイ』がナイター営業に入る頃には、海十は中級コースすらこなせるレベルに到達し、ついに目標である上級コースに挑めるまでになっていた。めざましい成長の理由は、元々の飲み込みの早さにもあるだろうが、やはりメインは、海十のたくましい向上心にこそあったといえよう。
「すごく上手くなったよね。オニーサンはびっくりだよ」
 林道の上級コース開始地点で、フィンは海十に笑いかけた。
「でも、どうしてここまで頑張ったんだい? 楽しいのはむしろ、初級や中級コースだと思うけど?」
 海十は少しうつむいて言いにくそうにしていたが、やがて意を決したように告げた。
「綺麗だって、聞いてたから」
「何が?」
「滑り降りながら見る上級コースの夜景が、このスキー場で一番綺麗な景色だ、って聞いたから……それをフィンと眺めたくて」
 照れくさそうに海十は言って、あとは所在なさげに、雪をストックで突いたりしている。
「……!」
 フィンは胸を締め付けられたように感じる。じわっと目頭が熱くなった。
 でも真っ赤になっているところを見られたくなくて、
「じゃあ行こうか? といっても海十のペースを考えてゆっくり気味に滑るからね。付いてきて!」
 と言い放つやフィンは力強くストックで雪面を押し、雪を巻き上げながら急斜面に乗り出したのだった。
 壮麗な夜景を存分に味わってゴール地点で止まると、フィンは振り返って海十を探す。
 いた。距離はあるものの、しっかりついてきたようだ。
「もうすぐだよ!」
 フィンは両手をメガホン状にして海十に呼びかけるのだ。
「ロッジに戻ったら、頑張ったご褒美にヒョウスイ味噌生姜ラーメンを作ってあげるからね♪」

 宿に戻り、満天の星空が眺望できる露天風呂につかった。
「あー」
 多少オジサンくさい気もするが、よく運動しただけに、フィンの口からは深い声が出てしまう。白っぽい湯で水温は高め、ヨモギのようないい香りがした。
 ハンドタオルを置いて湯を眺めるふりをしながら、脱衣所のほうを何度かフィンは振り返っている。
 一緒に入ろう、と誘うのも変かという気もするし……。
 でも一人だと、大きな湯船だけになんとも寂しいのも事実である。
 すると、
「入るぞ」
 と、海十の「当然入るから」と言わんばかりの声がしたので、思わずフィンの口元は緩んでしまった。
 ――こういうところに、積み重ねてきた愛を感じるよね。
 かけ湯をしてから現れた海十は、湯に入るや、
「いてて……」
 と顔をしかめた。さすがに体を酷使しすぎたらしい。湯に浸ると、今日一日で作った打撲、擦り傷が海十に猛抗議していた。けれどもそれもわずかなことだ。十秒もしないうちに海十もほっこりと目尻をさげ、鼻歌でも唄いそうな顔になったのだった。
「今日は、色々……サンキュな」
「スキーのことかい?」
「そう。それにあのラーメン! 美味かった」
「どういたしまして。俺もとっても楽しかった。また一緒に滑ろうね」
「そうだな……ああ、星空が綺麗だ……」
 海十は空を見上げながら、頭のタオルがずり落ちないよう手で押さえる。贅沢な一時だと思う。
 ごく当たり前のようにフィンは応じるのだ。
「夜空も綺麗だけど……海十のほうが綺麗だよ」
 と。
 海十は、ぶほっと咳き込んでタオルで顔を隠してしまった。
「な、なんだよいきなりっ!?」
「いきなりだからいいんじゃないか」
 くっく、とフィンは笑いをかみ殺しながら言った。

 畳敷きの部屋には食事の用意ができていた。豪華な和膳だ。山海の珍味が盛りだくさんである。ちゃんと赤と緑の色彩で統一されているのもいい。小さなツリーの飾りすらあった。こういうクリスマスというのも、なかなか乙なものだろう。冷や酒の用意もある。
「じゃあ一献」
「いいの? では遠慮なく」
 海十が酌をしてくれたので、フィンはいただくことにする。すっきりした辛口の日本酒だ。ほのかな甘味が心地良い。
「海十にご返杯できないのが残念だよ」
「いいんだよ。酒を楽しんでいるフィンも……その……色っぽくて、結構、好きだから」
「またまたそんなこと言っちゃて~」
 空になった杯に海十は徳利を向け、注ぐとなぜか正座した。
「フィン、ちょっと早いけど……今年一年のお礼を言いたい」
「えっ……? はい」
 満たされた杯を慌てて干し、フィンも正座する。
「今年もありがとう。……フィンがいるから、俺は戦いの中でも最後まで立っていられるんだ。これからも、よろしくな。相棒としても」
 コホン、と咳払いして続ける。
「恋人としても……」
 ごにょごにょ、とここだけやや小さな声で言い終えて、
「はい、挨拶はここまで!」 
 ぱんぱんと海十は手を叩くのである。
「ほら、せっかくだから飲めよ。おかわりどうぞ!」
「ふふ、俺を酔わせてどうするつもり?」
「酒には酔わないんじゃなかったのか?」
「いまは酒より幸せに……海十に酔いそうだよ」
 もうっ、と照れ隠しのように声を上げた海十に、フィンはテーブルの下から包みを取り出して差し出した。
「海十、はい。誕生日のプレゼント」
 開けるとそれは、お揃いの腕時計だった。
「同じ時を刻んでほしい、これからも」
 礼を言い、さっそく時計をつけて海十は、
「実は俺からも」
 とビニール包みを取り出したのである。赤い毛糸のマフラーだった。
「……編んだ、俺が」
 恥ずかしそうに、上目遣いで手渡す。
「海十が!? いつ編んだの!?」
 これにはフィンも仰天し、受け取る際、ちょっと手を震わせていた。
「気付かれないように作業したからな……」
 にこっと海十は笑む。サプライズ成功だ。
 これ以上我慢しろと言われても、フィンには到底無理というものだった。
 フィンはマフラーを置き、浴衣姿の海十を押し倒すようにして、その背に腕を回したのである。
 舐めるように、海十の耳に熱い息をかける。
「もう限界だよ。嬉し過ぎて……ねぇ、キスしていい?」
 海十は小さくうなずいた。
 今夜はずっと、離さない。
 




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 桂木京介 GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:蒼崎 海十
精霊:フィン・ブラーシュ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2016年12月18日

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