すないぱーごっこ(錘里 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

 その日は、A.R.O.A.の職員に勧められて、子供向けの縁日が行われている小さな施設を二人で訪れていた。
 ウィンクルムが来るよと言われていたらしい子供達は、それっぽい二人組を見つけては、紋章を見せて貰ったりトランスをせがんだりしているようだった。
 程々にあしらいつつ、折角だからと屋台を見て回っていると、不意に、声を掛けられた。
「遊んでいかない?」
 声の主は、精霊の青年。見渡せば左手の甲に紋章の見える女性も近くに居るところを見るに、彼らもウィンクルムなのだろう。
 そう言えば、縁日を運営する側にも仕事としてウィンクルムが居ると聞いた覚えもある。彼らがそうなのだろう。
 ちなみにどんな出し物をしているのか。覗いて見れば、射的ゲームのような屋台が目に入った。
「あら。なぁに、遊んで行ってくれるの? 子供達の前で格好いいところ見せてってよ」
 にこにこと笑んだ神人の女性に手渡されたのは、おもちゃの銃。ペイント弾が入っているようだ。
「弾数制限はないわ。制限時間内に、全部の的に当てられたら成功。あっちの屋台の桜茶と生菓子のセットの引換券をあげるわ」
 あっち。示された屋台も、どうやらウィンクルムの運営している屋台らしい。
 なるほど、縁日も盛り上がるしちょっとしたおやつも手に入るかもしれないとなれば、遊んで行ってもいいだろうか。
「ちなみに、精霊限定バージョンで、うちの相方と勝負するモードもあるわよ」
 うちの相方、と示されたのは、先程声をかけてきた精霊。ペイント銃を二つ持つ姿が様になっている辺り、多分、プレストガンナーなのだろう。遊びたそうにうずうずしている。
「勝負する場合は、制限時間内でより多くの的を撃った方が勝ち。ペイント弾だから、相手が先に撃った奴に重ねて撃ってもいいわよ」
 気が付けば子供を中心にギャラリーが出来ていた。勝負するかはともかく、神人の言うように、『格好良い所を見せて』行きたい所である。
「あ、一回100ジェールね」
 ……ちゃっかりしている。思いながら、財布を開くのであった。

解説

●射的ゲームのやり方
【準備】最初の発言で、ゲーム挑戦者の【命中率】と【段取り力÷2】の数字を明記してください

1:会議室で10面ダイスを2個振って下さい
←のダイスを十の位、→のダイスを一の位とし、00~99までの数字を出します

00→0点
01~29→1点
30~69→2点
70~89→3点
90~99→4点

2:命中率に応じて成否判定が出ます
59(99)以下→4点で成功
60~79(100~119)→3点以上で成功
80~99(120~139)→2点以上で成功
100(140)以上→1点以上で成功

3:勝負をする場合は必要命中率が+40され()内の数字になります。
段取り力の半分が命中率に補正されます
(例:命中率80・段取り力70→80+35=115→3点以上で成功判定)
(勝負をしない場合には段取り力補正は適用されません)

●消費ジェール
一回ごとに100jr頂きます
何回挑戦して頂いても構いません
最終的な回数は記載不要です

●プランの書き方
・ゲームへの意気込み
・結果についての反応
・ゲットした引換券でお茶を楽しむ・縁日を回る
などをお書きください。
複数回挑戦する方は、途中の反応を会議室で発言して頂いても構いません
プラン以外の台詞はほぼ採用されないかと思いますが、リザルトの文字数に余裕があれば拾います。
会議室内の発言を反映してほしい場合はプランに書き移してください

●余談
子供が一杯いるので、はしゃぎまわってぶつかって狙いが逸れたりとかあるかもしれませんね。
ダイスのコロコロはそう言う運要素とお受け取り下さい

ゲームマスターより

ダイスの有効活用になって居ればいいな。
女性側では稀に出ます、錘里です。

参加回数はこちらで把握しますので、ダイスを転がした発言を削除するのはご遠慮ください

リザルトノベル

◆アクション・プラン

手屋 笹(カガヤ・アクショア)

  射的を楽しんだ上でおやつが食べられるなんて、
美味しいですね…!
これはぜひとも頂いていきましょう…!
(射的用の銃構え)

・自分の結果(成功)への反応
おもちゃだとしても銃を扱うなんて初めてでしたが
うまくいきました。
無事チケットを入手です。
カガヤも挑戦ですか?
頑張って下さい。一緒におやつ食べましょう。

・カガヤの結果への反応
1回目→あら…
2回目→今度は成功ですね。
やりましたわね!

・お茶を楽しむ
カガヤが失敗してもわたくしのを分けてあげましたのに
オーバーリアクションしなくても…

確かに…1回で諦めてしまっていたら
カガヤらしくありません…。
それでは…諦めなかったご褒美どうぞ。
(自分のお茶菓子半分にして差し出す)



日向 悠夜(降矢 弓弦)
  へぇープレストガンナーの子と対戦も出来るんだって…弓弦さん、挑戦してみたらどう?
子供たちに格好いい所見せるチャンスだよ~?
あはは…弓弦さんなら大丈夫。頑張って
周りの子供たちに交じって応援するね


終わったら拍手で2人を称えるね
弓弦さんお疲れ様
凄いね、百発百中だったよ
え、銃を?……うん、良いと思うよ
依頼を受け始めたころは銃も使ってたし…きっと大丈夫だよ
さっきの弓弦さんも格好良かったしね

弓弦さんの反応につい口が滑った事に気付いて…こっちも照れちゃうよ

そ、そうだ、弓弦さんお茶屋さんのチケット貰ったんだよね?そっちでゆっくり話そう!うん!楽しみだなー!
慌てて先に行こうとするね

…私の顔、赤くなってないかな


豊村 刹那(逆月)
  逆月は思ったより子供に手馴れてる感じだな。
前に村にいた子供の話してたし。子供には慣れてるのかも。
「ほら、文様だ」(子供にせがまれて見せる

的当て。そうだな。
「私がやろうか」
どんなのか逆月に見せるのも良い。
去年の紅月ノ神社は、結局祭りの方には行かなかったし。
珍しそうにしてるから。

あちゃー。「失敗か」
どうせなら成功させたかったな。(苦笑

「逆月もやるのか?」

「すごいな、逆月。初めてだったんだろ?」(目を丸く
(返しに苦笑
「折角引換券を貰ったんだし。お茶を飲みに行こうか」

桜茶か。春だからこういうお茶なのかな。(眺める
にしても。
私が失敗して、逆月が後で成功とか。

遊びとはいえ、出来すぎだろ。(少し頬を赤くする



アイリス・ケリー(ラルク・ラエビガータ)
  ノリ気のる精霊の後ろからぼそり
挑戦するからには勝ってください。生菓子がかかっていますからね…?
全力でプレッシャーをかけまくる

結果に少し驚く
あまり期待していませんでしたが…成る程、ラルクさんは追い詰めれば追い詰めるほど真価を発揮されるんですね
これからもどんどん追い詰めましょう

それはそれとして…見ていたらやってみたくなるもの
二つ目の生菓子目指して射的に挑戦
握ったペイント銃を色んな角度から眺める
縁日やこういう玩具に縁がなかったので新鮮です
念の為に使い方を確認

…この感じなら、いける
生菓子パーティを目指して、いざ私の2ゲーム目へ!

三つ目の生菓子を逃して凹むも…
二つとも食べていいんですか?やった!



影野 凜(沖瀬 夏彦)
  「沖瀬さん、すごい賑わってますよ!」
屋台の列を歩きながら雰囲気を楽しむ。
沖瀬さんは「そうですね」と微笑んでる。

屋台の遊びや食べ物を巡ってたら射的ゲームの人に声を掛けられる。
「私こういうの得意なんです。沖瀬さんもやりましょうよ」

私は難なく成功
「やったよ!成功!」
私の後に沖瀬さんも成功したけど私より苦戦したみたい。
苦笑いを浮かべて少し落ち込んでそうなので
「この引換券持ってあっちの屋台にいこっ!」って声を掛ける。
射的ゲームの2人にお礼の挨拶してから移動。
2人で桜茶と生菓子を食べながらさっきの射的ゲームや縁日のことを振り返る。
沖瀬さんも元気になったみたい。よかった。

「今日は本当に楽しかった!」



●楽しいと、楽しい
 わぁ、と感嘆の声を上げ、影野 凜はパートナーを手招いた。
「沖瀬さん、すごい賑わってますよ!」
「そうですね」
 子供向けの屋台がメインだが、だからこそ、はしゃぐ子供達によって、縁日は大いに賑わっていた。
 並ぶ屋台を一つ一つ眺め、その雰囲気を楽しんでいる凛は、まだまだ遊びたい盛りの女子高生。
 はしゃいでいる姿を微笑ましく見ながら、沖瀬 夏彦はたまにはこういうのも悪くない、と穏やかな笑みを浮かべた。
 と、暫し縁日を満喫していると、一際賑わう屋台を見つけた。
 覗いて見れば、丁度前の客が帰った所のようで、屋台の神人と目が合った凛は、声を掛けられた。
「射的、ですか」
 簡単な説明を受けてペイント銃を受け取った凛は、うん、と一つ頷いて、夏彦を振り返った。
「私こういうの得意なんです。沖瀬さんもやりましょうよ」
「こういうのはあまり得意ではないんですが……」
「楽しんだもん勝ちですよ!」
 やりましょうやりましょうとぐいぐい引っ張りながら、まずは凛がチャレンジ。
 得意と自称した凛は、危なげなく的を染めていき、難なくクリア。
「やったよ! 成功!」
「おめでとうございます」
 嬉しそうな凛に声をかけてきた夏彦に銃を手渡して、「次は沖瀬さんの番」と背を押した。
 少し渋りながらも銃を構える夏彦は、屋台の精霊との勝負は避けて、凛と同じように、順に的を狙っていく。
 あまり得意ではないと言いながらなかなか様になっている……と思ったら、一つ外したところで慌てたのか、上手く当たらず大きく時間をロスしてしまったり。
 何とか時間内に全ての的を染めることはできたが、かなり、ぎりぎりだった。
「カッコイイところを見せたかったんですけどね……ギリギリでした」
 苦笑する夏彦だが、ギャラリーは大きな歓声を送る。迎えた凛もまた、にっこりと笑って、つぃと夏彦の袖を引いた。
「この引換券持ってあっちの屋台にいこっ!」
「え……あ、そうですね」
「楽しかったです、ありがとうございました!」
 引換券を手に、笑顔で去っていく凛に倣って、ぺこりと会釈をした夏彦は連れ立って桜茶の屋台へと向かった。
 引換券を見せれば、おめでとう、と祝辞を告げられて、桜の花の沈む可愛らしいお茶と生菓子のセットが運ばれてきた。
 それを食べながら、凛は今日の縁日、先程の射的ゲームの事を、楽しげに振り返り語る。
(僕の顔が、そんなに沈んでいたんでしょうかね……)
 美味しい、楽しい、を繰り返す凛を見て、少し強引な挑戦となったけれど、こうして二人でお菓子を楽しめてよかったと、夏彦は思う。
 ふ、と穏やかな笑顔を取り戻した夏彦の顔を見て、凛は彼が元気になった事を、素直に喜んだ。
「今日は本当に楽しかった!」
 元気で快活な凛の喜びは、夏彦にも波及する。
「僕も楽しかったですよ」
 また、遊びに行こう。
 勉強もね、とささやかに釘を刺しながらも、次の機会を楽しみにする二人であった。

●美味しいは、正義
 射的のお誘いに、ふむと一つ頷いて応じたのはラルク・ラエビガータ。
「折角だ、的撃ちの本職に挑んでみっかね」
 ノリノリでペイント銃を受け取って的の前に立てば、つつつ、と背後に忍び寄る影。
「挑戦するからには勝ってください。生菓子がかかっていますからね……?」
 囁く声は、パートナーであるアイリス・ケリーのもの。
 素直な応援とは違う、これは、負けたら何をされるか判らない。
 冷汗が背中に伝うのを感じながらも、ラルクは精霊との勝負に挑む。
 大丈夫だ、命中率には自信がないわけではない。打ち合う順番もタイミングも概ねシミュレートできている。
 負けるはずがない……!
 実戦さながらの真剣さで臨んだ勝負が見事に勝利をおさめるのを見届け、アイリスは少し驚いたような顔をした。
「あまり期待していませんでしたが……」
「嘘つくな、思いっきりプレッシャーかけてきてただろうが」
「成る程、ラルクさんは追い詰めれば追い詰めるほど真価を発揮されるんですね」
「やめろ。本気でやめろ。俺を殺す気か」
 これからも追い詰めていこう、という真顔の頷きに、お菓子セットの引換券を渡しながらふるふると首を振るラルク。
 と、生菓子を手に入れて上機嫌なアイリスは、じーっとペイント銃を見つめ、少しそわそわとしていた。
「興味があるのか? ならやってみたらどうだ」
「そうですね、見ていたらやってみたくなるものです」
 生菓子はいくらあっても困らない。美味しい物は正義だ。
 ペイント銃を受け取って、物珍しげにいろんな角度から眺めるアイリス。
 どうかしたのかというラルクの問いに、いえ、と小さく零す。
「縁日やこういう玩具に縁がなかったので新鮮です」
 試しに撃ってみても? と確認して、的の脇にペイント弾を飛ばしたアイリスは、うん、と一つ頷いて改めて的に向き直る。
 スタートの合図とともに順調に的を染めていくアイリスに、へぇ、とラルクは感心したような声を上げた。
 結果は難なく成功をおさめ、アイリスも無事に生菓子の引換券を手に入れた。
「へぇ、初めてにしちゃあ中々サマになってたな」
 良かったな、と告げようとしたラルクは気づいてしまった。
 きらりと瞳を光らせたアイリスが、怪しげな笑いを零しているのを。
「………この感じなら、いける」
 あ、調子に乗りやがった。
 女神ジェンマが私に笑いかけてるような気がします。なんて言いながら、2ゲームめに挑んだアイリスは、おねーちゃんがんばれーという微笑ましい声援を受けながら……惨敗した。
 特に害はないからと見守っていたラルクは、ギャラリーの少年少女らの、あーあという残念そうな声に、肩を竦める。
「私の生菓子パーティが……」
 がっくりと肩を落として本気で凹んでいるアイリスの肩を叩いて、まぁまぁ、と励ました。
「アンタが二つとも食っていいから、な?」
「二つとも食べていいんですか? やった!」
 ラルクの申し出に、ころっと表情を変えて喜ぶアイリスを見て、励ましが成功したことを喜ぶ感情よりも、若干の呆れが先行するラルクであった。
「………現金な女だ」
 それでこそアイリスなのだと言うのは、よく判っているつもりだけれど。

●何度でも、挑むもの
 屋台での誘いに、手屋 笹は瞳を輝かせた。
「射的を楽しんだ上でおやつが食べられるなんて、美味しいですね……!」
「確かに。丁度小腹が空いてたし、折角だからやっていこっか」
 これはぜひとも頂いていかねばと勢い込んでおもちゃの銃を構える笹を見て、カガヤ・アクショアは頑張れと応援する。
 スタートの合図と共にしっかり狙ってペイント弾を放っていく。
 命中率はそこそこ。しかし制限時間内にきちんと全ての的を色で染める事が出来た。
「おもちゃだとしても銃を扱うなんて初めてでしたが、うまくいきました」
 ほっとしたように銃を返して、代わりにお菓子セットの引換券を受け取った笹に、おお、と声を上げて拍手をするカガヤ。
「笹ちゃんうまい! よーし俺も当ててチケット貰わないと! 勝負でお願いします!」
 きりっと勝負を挑むカガヤに、屋台の精霊は待ってましたとばかりに銃を構える。
 大人げない本気モードだが、カガヤとて無策で挑んではいない。
 秘密兵器、獣心鏡がある……と思っていたら、無かった。
(あ、あれ? あ、そっか、今日はデートだから置いてきた……)
 気が付いたが、もう遅い。腹を括るしかあるまいと、改めて的に向き直るカガヤ。
「頑張って下さい。一緒におやつ食べましょう」
 笹と一緒のおやつタイム。格好いいところを見せて、是非とも、ゲットせねば。
 意気込んだカガヤだが、結果は惜しくも敗北。引換券ゲットはならなかった。
「あら……」
「あああああ、駄目だった……」
 がくりと膝をついて項垂れたカガヤは、しかしそこでは諦めなかった。
 笹と一緒のおやつタイムまで、あと一歩だった。
「も、もう1回お願いします……!」
 二度目の挑戦は、精霊にも火をつけたようだが、しかしカガヤは持ち前の段取り力で精霊の当てた的を的確に上塗りしていく。
 終了の笛が鳴った時には、カガヤの持っていた赤いペイント銃の色が大半を占めていた。
「か、勝てた……やったあああああ!!!」
「やりましたわねカガヤ!」
 ガッツポーズをして喜ぶカガヤに、笹もギャラリーも拍手をして喜んだ。
 無事に二人分ゲットした引換券で、桜茶と生菓子を楽しむ二人。
 甘いお菓子に舌鼓を打ってから、ふふ、と笹が小さく笑みを零した。
「あんなオーバーリアクションしなくても、カガヤが失敗してもわたくしのを分けてあげましたのに」
 己の喜びようを思い起こし、ちょっぴり気恥ずかしげに頬を掻いたカガヤだが、うーん、と小さく唸ってから、いやでも、と零す。
「分けてもらうのも確かに美味しいかもしれない。けどそれって俺が射的に失敗する前提だからね……簡単に諦めないのが俺だよ」
 その結果、こうしてちゃんとゲットしただろう、と、笑顔を見せたカガヤに、なるほど、と笹は呟いた。
「確かに……1回で諦めてしまっていたらカガヤらしくありません……」
 いつだって、全力で挑戦するのがカガヤだ。
 そんな彼のいつもの姿を思い起こして、ふわりと微笑んだ笹は、自分の分の生菓子を半分にして、カガヤに差し出した。
「それでは……諦めなかったご褒美どうぞ」
 爪楊枝の先でちょこんと佇む半分の生菓子に、結局貰う事になってたのかな、と肩を竦めたカガヤだが、素直にぱくり、食いついた。
「笹ちゃん、ありがとう!」
 顔を見合わせて、ほっこり、笑い合う二人であった。

●あなたあっての、わたし
 豊村 刹那は意外そうな顔をしていた。
 というのも、パートナーである逆月が、テイルスである己の尻尾に触れたり、よじ登ろうとしたりするのをのんびりと受け入れている姿を見ているためである。
(子供とは、何処にいても変わらぬものらしい)
 穏やかな微笑を浮かべる逆月に、ふむ、と刹那は思案する。
 逆月は、思ったより子供に手慣れているらしい。
(前に村にいた子供の話してたし。子供には慣れてるのかも)
 なるほどと一人納得に頷いてから、つんつんと袖を引いてウィンクルムの紋様をせがんでくる子供に、軽く肩を竦めて左手を示す。
「ほら、紋様だ」
 わぁ、と賑わう空気に釣られたように笑んでから、さて、と屋台に向かった。
「まずは私がやろうか」
 銃を物珍しげに見ている逆月を振り返り、こうして使うんだ、と構えて見せて。
「矢は射ても、銃とやらを用いた事は無い。此れは、銃を模した玩具か」
「私も本物を持ったことがあるわけじゃないが、結構よく出来てるな」
「ふむ」
 説明の後に、目配せでスタートの合図を受けると、刹那は的を狙って引き金を引いていく。
「ん、結構、難しい、な……」
 命中率はそんなに悪くないはずだがペイント弾と刹那の相性はあまり良くなかったらしい。結果は失敗に終わった。
 ……あるいは、じーっと見ていた逆月の視線が、少し気になったのかも、しれない。
「あちゃー、失敗か。どうせなら成功させたかったな」
 残念そうに呟いている刹那の横で、銃を受け取ってまじまじと見つめていた逆月が、ぽつりと零す。
「刹那」
「ん? 逆月もやるのか?」
 問いに、こくりと頷いて。ちらと屋台の精霊を見やった。
 うずうずとしている精霊は、望んでいるのだろう。
 ならば。
「勝負、とやらを」
 涼やかな面持ちで精霊と並び立ち、いざ尋常に、勝負。
 本命は弓とはいえ、逆月とてプレストガンナー。簡単には負けられはしないと、次々に的を染めていく。
 しかし相手も銃に慣れたプレストガンナー。逆月の染めた的を上塗りしては、塗り返されて。
 ほぼ互角と言った勝負に、ギャラリーも白熱していた。
 終了の合図と共に、互いの当てた的を数えてみれば、わずかに逆月が勝っていた。
 成功はしたけど、やはり、手に馴染んだ物が一番だと改めて思い直して。
(これで、格好良く。とやらは出来たのか?)
 よく解らないながらも、少し悔しげな精霊から、引換券を受け取る。
「すごいな、逆月。初めてだったんだろ?」
「……弓の方が良い」
 目を丸くした刹那に、小さく零した逆月。その台詞に苦笑して、刹那は彼の手にある引換券を示して踵を返した。
「折角引換券を貰ったんだし。お茶を飲みに行こうか」
 付き従って、椅子に掛け、桜茶を味わってまったり。
 半分こした生菓子を二人で食べながら、それにしても、と刹那は思う。
(私が失敗して、逆月が後で成功とか……)
 遊びとはいえ、出来すぎだ。
 あぁ、格好いい真似をされたものだと、ほんのり頬を染める刹那。
 それを、何と無しに見やった逆月は、気付く。
(刹那は良く頬を染める……)
 彼女といると、胸の奥が温かくなるのが心地いいと、逆月は思う。
 そして、彼女が表情を変えるかすかな瞬間が、また、胸の奥に温かさを誘う。
 ――嗚呼、今日は、暖かな日だ。

●苦手、敬遠、挑戦
「へぇープレストガンナーの子と対戦も出来るんだって……弓弦さん、挑戦してみたらどう?」
 子供達に格好良い所見せるチャンスだよ~? と、くすくす笑いながら促す日向 悠夜に、パートナーの降矢 弓弦は、えぇと、と言葉を濁らせ、困ったように頬を掻く。
「恰好を付ける……って柄ではないけどなぁ僕は」
 苦笑してから、でも、とペイント銃を見つめて、かすかに表情を引き締める。
「おもちゃとはいえ苦手な銃で同業の子と対決できるというのは興味を惹くね」
 普段はあまり触れないもの。だけれど、プレストガンナーとしては目にする機会の多い物。
 対戦を待ち侘びる精霊は、銃が本命の得物なのだろう。それに、形だけとはいえ銃勝負が出来るならば……。
「あはは……弓弦さんなら大丈夫。頑張って」
 挑まずには居れまい。そんな目をしている弓弦を見て、悠夜は表情を緩めて、そっとギャラリーの中に引っ込んだ。
 子供達と一緒に応援しているね。そんな彼女の『大丈夫』は、弓弦に素直な力を与えた。
「……悠夜さんが大丈夫と言うと、僕でもなんとかできそうだ」
 頑張るよ。微笑んで、的に向き合う。
 ――例えば、もし、これで、屋台の精霊に勝つ事が出来たら。
 弓弦の中にある銃への苦手意識も、少し、軽減できる気がしていた。
(なんて、場に逢わない考えかもしれないけど……)
 一呼吸で、心の波を凪に変える。
 真っ直ぐな目をして挑んだ結果は果たして――弓弦の勝利という結果に終わった。
 弓弦の真剣さに触発されたか、遊びとは思えない本気の応酬に、ギャラリーも大いに盛り上がった。
「ありがとうございました」
 ほっとした顔でお礼を告げて悠夜を振り返れば、拍手で迎えてくれた。
「弓弦さんお疲れ様。凄いね、百発百中だったよ」
「百発百中は言い過ぎじゃないかい?」
 照れくさそうに頬を掻いてから、ふと、弓弦は穏やかな中に真面目な装いを浮かべた。
「確かに思った以上の手応えだったけれど……本格的に銃も練習するのもありか……どうかな、悠夜さん?」
 問いに、きょとん、と目を丸くした悠夜は、ふわり、顔をほころばせた。
「……うん、良いと思うよ。依頼を受け始めたころは銃も使ってたし……きっと大丈夫だよ」
 大丈夫。無条件で力をくれる魔法の言葉を綴るのは、それを強化するような、微笑み。
「さっきの弓弦さんも格好良かったしね」
「え、あ、ありがとう……」
 ふわ、と、弓弦の頬に差した朱の色に、見上げた悠夜は気が付いて。
 己がうっかり口走った台詞にも、気が付いてしまった。
「そ、そうだ、弓弦さんお茶屋さんのチケット貰ったんだよね? そっちでゆっくり話そう! うん! 楽しみだなー!」
 あはは、と少し張った声で誤魔化した悠夜は、くるりと踵を返してすたすたと先を行ってしまった。
 それを追いかけて、弓弦は悠夜の手を取った。
 対の手で触れた頬は、熱くなっていたけれど。
(……僕の顔、赤くなってないかな)
(……私の顔、赤くなってないかな)
 揺れる髪の下に覗く悠夜の耳が赤く染まっているのにも、気が付かなかったけれど。
 それでも二人は繋いだ手を離すことなく、甘いお菓子を味わいにゆくのであった。



依頼結果:大成功
MVP
名前:日向 悠夜
呼び名:悠夜さん
  名前:降矢 弓弦
呼び名:弓弦さん

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 錘里
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル イベント
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 04月16日
出発日 04月23日 00:00
予定納品日 05月03日

参加者

会議室

  • [16]日向 悠夜

    2015/04/22-23:57 

  • [15]アイリス・ケリー

    2015/04/19-18:28 

    そ、そんな…こんなはずでは…

    ラルク「おかしいってか。菓子だけに」

    ラルクさん、私、今度メイクアップの技術を習得するつもりなのでステキに華麗に女装…じゃなかった、変身しましょうね。

    ラルク「俺が悪かった」

    (PL:連投失礼致しました)

  • [14]アイリス・ケリー

    2015/04/19-18:25 

    …ふ、ふふ…。
    ふふふふふふふふふふ…。

    ラルク「その笑い方やめろ。怖ぇ」

    天が、女神ジェンマが私に笑いかけてるような気がします。
    もう一度……。

    アイリス二度目 【命中:80】(【段取力÷2:44】)

    【ダイスA(10面):2】【ダイスB(10面):6】

  • [13]アイリス・ケリー

    2015/04/19-18:22 

    93で4点…よかった、生菓子を食べれるんですね。
    プレストガンナーと勝負ですから、期待しないようにしていましたが…。

    ラルク「嘘つくな、思いっきりプレッシャーかけてきてただろうが」

    ラルクさんは追い詰めれば追い詰めるほど真価を発揮される方だと、これでよく分かりました。
    これからもどんどん追い詰めていきましょう。

    ラルク「やめろ。本気でやめろ。俺を殺す気か」

    見てたらやってみたくなるものですね。では、私もやってみましょう。
    生菓子はどれだけあっても困りませんから。

    アイリス【命中:80】(【段取力÷2:44】)

    【ダイスA(10面):7】【ダイスB(10面):2】

  • [12]アイリス・ケリー

    2015/04/19-18:10 

    ラルクだ。パートナーはアイリス。
    凛と夏彦は初対面で、他の連中は見知った顔だな。
    よろしく頼む。

    相方が生菓子生菓子とうるさいんで、うちも挑戦組だ。
    背後から猛烈なプレッシャーを感じる…。

    ラルク【命中:118】【段取り力÷2:74】

    (PL:出発前にレベルがあがる可能性があり、それにより実際のステータスと宣言した能力に誤差が出てるかもしれません。
    宣言した能力を優先されるとこちらは認識しておりますが、そうなりました場合、GM様にご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げます)

    【ダイスA(10面):9】【ダイスB(10面):3】

  • [11]手屋 笹

    2015/04/19-01:19 

    カガヤ:
    あ、今度は…81だから3点…やった!成功だよ!
    笹ちゃん、俺もおやつゲットー!

    (PL:連投失礼しました)

  • [10]手屋 笹

    2015/04/19-01:15 

    カガヤ:
    あ、これは……
    成功に3点以上必要だから…失敗か~…(がっくり

    うーん、もう1回!(財布を開け)
    よく狙ってー…

    カガヤ挑戦2回目(屋台の精霊さんと勝負)

    【ダイスA(10面):8】【ダイスB(10面):1】

  • [9]手屋 笹

    2015/04/19-01:08 

    カガヤ:

    それじゃあ今度は俺の番!
    これ(獣心鏡)があるから大丈…あれ…無い…?忘れてきた…?
    (PL:命中アップ系装備ワザと外しました)

    えーと…まあいっか!笹ちゃんに格好いいところ見せよう!
    よく狙って…

    カガヤ挑戦(屋台の精霊さんと勝負)
    【命中率:56】【段取り力÷2:60】

    【ダイスA(10面):4】【ダイスB(10面):10】

  • [8]手屋 笹

    2015/04/19-00:53 

    命中80は2点以上と、結果が46で…2点獲得ですね。
    成功しました。

    おもちゃとはいえ銃を扱う事は今まで全く無かったのですが、
    うまく行きました…!
    おやつ、無事に手に入れましたわね。

  • [7]手屋 笹

    2015/04/19-00:49 

    手屋 笹です。

    凜さんと刹那さんは初めましてでしょうか。
    よろしくお願いしますね。

    射的面白そうですね、引換券をぜひとも頂きましょう!
    さて当たるでしょうか…狙って狙って…

    笹挑戦
    【命中率:80】

    【ダイスA(10面):4】【ダイスB(10面):6】

  • [6]影野 凜

    2015/04/18-23:38 

    私は成功したみたいですね!
    次は沖瀬さんの番です。
    沖瀬さんも成功するといいんですけど……

    沖瀬夏彦【命中率】85 【段取り力÷2】5

    【ダイスA(10面):4】【ダイスB(10面):1】

  • [5]影野 凜

    2015/04/18-23:34 

    はじめまして、影野凜です。よろしくお願いします!
    屋台の精霊さんとは勝負せずに
    私と沖瀬さんで1回ずつ挑戦します。
    まずは私から。
    【命中率】81 【段取り力÷2】6


    【ダイスA(10面):7】【ダイスB(10面):6】

  • [4]日向 悠夜

    2015/04/18-20:24 

    どうも、こんにちは。
    僕は精霊の降矢 弓弦です。よろしくお願いするよ。

    成功すれば桜茶と生菓子のセットを頂けるそうだからね、僕たちもやろうかな。
    …折角だからね、屋台の精霊くんに挑戦する予定だよ。
    さて、賽の目はどうなるやら…(コロコロ)

    挑戦者:降矢 弓弦
    【命中率:153】【段取り力÷2:55】

    【ダイスA(10面):1】【ダイスB(10面):10】

  • [3]豊村 刹那

    2015/04/18-19:43 

    逆月:
    45か。
    成功したらしい。

  • [2]豊村 刹那

    2015/04/18-19:38 

    これは、……3って扱いになるのかな?
    つまり1点で命中が80だから。

    あちゃー。失敗か。

    逆月「刹那」

    ん?逆月もやるのか?

    逆月「(頷き)勝負、とやらを」
    (挑戦者:逆月。【命中率】95。【段取り力÷2】33)

    【ダイスA(10面):4】【ダイスB(10面):5】

  • [1]豊村 刹那

    2015/04/18-19:29 

    豊村刹那だ。よろしくな。
    こっちは契約した精霊の逆月。

    んー。そうだな。
    まずは私がやってみようか。

    神人だと勝負できないから、普通にだな。
    (挑戦者:刹那。【命中率】80)

    【ダイスA(10面):10】【ダイスB(10面):3】


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