プロローグ
「だ、ダメだ……! もう我慢出来ない!!」
「ちょっと、どうしたの?」
「止めないでくれ! 俺には、俺には行かなければいけないところがある!」
「どうしたのよ、何でそんなに血走った目になってるの?! なんだか毛並みも悪くなって!」
「真っ赤な目は元からだ! 毛並みが悪い? そんなのどうだっていい! どうだっていいんだ! 行かなきゃ! 行かなきゃくぁwせdrftgyふじこlp」
「何処へ行くのよ!! せめてまともに喋ってよ!!」
「言bを! 失っtも! 構wない!! 俺hあの魅惑の二つn山を抱かなkrばなrない……ソウ!」
「……ちょっと待ったそれ以上言うな」
「おっぱいガ! 俺ヲ呼ンデル!!」
「んなわけあるかこの馬鹿息子!!」
……などという会話がプレジール・ラビット達の間であったかどうかは謎だが、実際問題胸をやたらと狙うラピット・ラビット達が現れたのは事実である。
「本当に申し訳ないんだけど、馬鹿息子達と馬鹿娘達を正気に戻してください……」
平和を取り戻した筈のショコランド。その中の『忘れられた古都』ウルプス。
その周辺に住んでいるプレジール・ラビット達に、オーガの瘴気による異変が起きていた。
瘴気に晒され、何羽かの年若いプレジール・ラビット達が狂暴になっている。
それをどうにかしてもらおうと、母親プレジール・ラビット達はA.R.O.A.に頼みに来たのだった。
大切な我が子の変貌に動揺している母親達。そのこころを踏みにじるように、外では正気を失った叫び声と絹を裂くような悲鳴が飛び交っている。
「触ルダケ! 触ルダケダカラ!!」
「いやー!!」
「ぱふぱふシタインダヨォ!!」
「助けてー!!」
「エエヤンカエエヤンカ揉マセロー!!」
「誰かー!! っていい加減にしろこのエロ兎が!!」
……響く悲鳴と罵声に母親達は顔を覆う。
「一・二発ぶん殴っても構いませんから……! お礼に胸が綺麗に育つって言われてるミルクキャンディを差し上げますから……!」
「OKわかりました何が何でも引き受けます」
A.R.O.A.の女職員の目が輝いた。ウィンクルムのお零れに預かる気満々である。ちなみに彼女の胸は控えめである。
ああ、母親達の目に浮かぶ涙は何処から来るものか。恐らくは心配よりも馬鹿っぷりと情けなさからだろう。間違いない。
どうしてオーガの瘴気に晒された結果がこれなのか。
それは誰にもわからない。
解説
●目標と成功条件
ラピッド・ラビット達を落ち着かせて母親達に引き渡す。
・男の子が五匹、女の子が三匹暴れまわってるよ!
・基本無傷で引き渡す事!
・弱点は尻尾だよ! 尻尾をぎゅっと握ると力が抜けて意識を失うよ!
・ただまぁ、精霊の軽いびんた、神人の全力びんた位なら問題ないと思うよ!
●プレジール・ラビット
・直立して歩き、頭もよく人語を理解でき、靴やネクタイやベストなどを着用しているものもいるよ!
・あとは普通のうさぎと変わらない、身長50cm~75cm位の生き物だよ!
●ラピット・ラビット
・瘴気の影響で凶暴化したブレジールラビットだよ!
・体毛が黒から紫色になり、毛が逆だってボサボサになってるよ!
・前歯で噛み付くよ! もしくは電気でピリっと感電させるよ!
・感電攻撃はダメージないけど、食らうと体がしびれて、三回以上受けると動けなくなるよ!(ただし15分程度で回復)
・オーガじゃないからトランスしなくても戦えるよ!
●暴れてる場所
・町外れの野原だけど、まぁぶっちゃけ神人が立ってれば勝手におっぱい目掛けて飛んでくるよ!
●支給品
・感電対策にゴム手袋が渡されたよ! でも前歯攻撃が一度当たると破けるよ!
●胸が綺麗に育つと言われてるミルクキャンディ
・成功したら精霊と神人にそれぞれ渡されるよ!
・あくまで『言われてる』だけで効果は謎だよ!
・普通に美味しいから精霊が食べてもいいけど、やっぱり神人だよね!
・精霊が神人にプレゼントしてもセクハラじゃないよ! セクハラじゃないよ!!
・あ、あと成功したら【幸運のランプ】に【幸せの灯火】が灯るよ!
ゲームマスターより
オーガの瘴気で狂暴化してるラビット達を元に戻してあげてください。
ちなみに、貧乳・微乳・美乳・巨乳・爆乳、どんな胸でも全て等しく求められてるようです。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
リオ・クライン(アモン・イシュタール)
・・・・・・。(周りの神人を見渡し、無言で自分の胸を凝視) まさか、こんな任務だったなんて・・・い、いや別にミルクキャンディにつられた訳では・・・。 と、とにかくこの様な破廉恥な輩は早急に対処しなくては! 胸のサイズ・微乳(ギリギリB) 衣装・胸開きタートルネック、ゴム手袋装備 <行動> ・何かよくわからないが、敗北感を感じる(胸抑え) ・アモンの用意した衣装に絶句するも、自己暗示でなんとか奮起 「これは任務のために必要な姿だから破廉恥じゃない・・・恥ずかしくない・・・(ぶつぶつ)」 ・前歯攻撃、電気に注意しつつラビットを誘導 ・ラビットが胸目掛けてダイブされそうになり、思わず全力びんた 「い、いやーーーっ!」 |
ペシェ(フランペティル)
服装 胸元に穴の空いたハイネックニット(胸強調) 支給ゴム手袋 「穴空いてますよこれ…え?こういう服なんですか? フランもお揃いにするなら着ます」 「揺れると痛いので嫌です どうしてもというならフランもスカートはいてくださいね」 兎さんの前に出て飛び付かせます 我慢我慢 女の子は気絶したらそっと地面に寝かせ 男の子気絶したら普通に地面に寝かせます 他の人に集まりすぎるようならジャンプして胸を揺らして分散 「この胸はフランのじゃなくて私のですから!」 飴はフランに強引に食べさせます そんなに大きい胸が欲しければフランもそうなれば良いんです 痛いし重いし蒸れるし大変なんですから なんですかその悲鳴! セクハラなら私も訴えますよ! |
アイリス・ケリー(ラルク・ラエビガータ)
ゴム手袋着用 胸はほどほどのD どういうつもりも何も… 無駄に磨いてきた女装技術をここで使わなくてどこで使うつもりなんですか? 任務の為です、囮が多いことに越したことはありません、諦めてください 準備を終えたラルクは以下ラル子 フルネームはラル子・ラエピカーダ ラビットが見えたならとりあえずラル子をジャンプさせて揺らさせる 無抵抗が噛まれない為の最短距離ですね 胸に飛びついてきたラビットが警戒することなくぱふぱふしているならそのまま尻尾をむぎゅっと 警戒してれば警戒しなくなるまで放置 あら、ラル子さん 飴を私に?それじゃあ私が頂いた分はラル子さんに差し上げますね また何時ラル子さんの出番が必要かわかりませんから |
桜倉 歌菜(月成 羽純)
可能なら胸を強調したオフショルタイトワンピースを着る 胸パットで増量 皆と一緒に野原に立ち囮 ゴム手袋とハリセン「チラシアタック」装備 トランス化 兎さんが来たら、胸を庇いハリセンで攻撃 貴方達は間違ってます! 胸は女子にとって聖域! 触る事が出来るのは、その女子に選ばれし者だけなんですっ それをこんな風に… 反省して下さいっ 正気に戻って! 少しでも気を引け、その間に羽純くんが尻尾を握ってくれたら いざとなったら宝玉「魔守のオーブ」で防御 皆さんと協力し、兎さんを全員確保して、お母さんに引き渡そう ミルクキャンディ凄く欲しい! やっぱり胸は大きい方が良いんだよね? けど、羽純くんのも下さいと言えず… くれるの!?あ、有難う! |
ゼロ(エドガー)
貧乳 全く気にしてない 瘴気に晒されるとこうなってしまうんですね…! こわっ ラインが出るようにぴったりめのワンピースにしてみました わぁ、地面がよく見えます ゴム手袋着用 無い胸を強調する…初めての体験です 今後に何も役に立たない気がしますが頑張って囮になってきますね! 前に立って兎の気を引いてみますね 尻尾を握りに行っている人に注意がいかないように適宜声をかけてみます 飛び掛ってきたら少し下がってみたり腕でガードしたりで直撃は防いでみます エドガーさんは胸の大きさの好みとかはいかほどでしょう? つまり今のままでいいと、さすがエドガーさんです! あ、キャンディどうぞ(職員にパス 私には必要ないようなので。ないようなので! |
■パフパフ準備
「瘴気に晒されるとこうなってしまうんですね……! こわっ」
「かなり特殊な例だとは思うけどああはなりたくない」
依頼を聞いて身を震わせながらも軽く言ったのは『ゼロ』で、『エドガー』は冷静に感想を述べた。
ゼロの服装は体のラインが出る、ぴったりめのワンピース。ゼロがふと下を向いてみれば、特に気にした様子もなく笑顔で言う。
「わぁ、地面がよく見えます」
それはつまりつるぺたですねやっほう。
エドガーも、見事に無いというか全体的に細すぎ、と思いはしたが、口には出さない。ああ、少年よ、そのまま紳士に成長したまえ。
「なあ、アンタ、これはどういうつもりだ?」
頭を抱えているのは『ラルク・ラエビガータ』。手元にはハンドタオルとA.R.O.A.支部から用意された簡易女装グッズ。
「どういうつもりも何も……無駄に磨いてきた女装技術をここで使わなくてどこで使うつもりなんですか?」
キリッと真面目な顔で言うのは『アイリス・ケリー』。もうやめて、ラルクさんのライフはゼロよ! あ、ゼロさんではなく。
「女装技術言うな、変装だ変装!」
「任務の為です、囮が多いことに越したことはありません、諦めてください」
噛み付く精霊をばっさり切り捨てる神人。残ったのは「抵抗するだけ無駄、か……」と諦めの境地に辿り着いてしまった精霊。ああ、ウィンクルムとは。
「穴空いてますよこれ……」
「当然だ! そういうデザインの服だからな!」
胸元に穴の空いたハイネックニットを意気揚々と渡したのは『フランペティル』で、それを警戒しながら見るのは『ペシェ』だ。
「え? こういう服なんですか?」
「うむ、それを着て兎達を集めるがいい!」
「フランもお揃いにするなら着ます」
「いいぞ!」
「え」
「え」
逃げる為の条件が何故か受け入れられてしまった。解せぬ。
「それを着て飛んで揺らして兎寄せするが良いぞ! さあ!」
「揺れると痛いので嫌です。どうしてもというならフランもスカートはいてくださいね」
「いいぞ!」
「え」
「え」
拒む為の条件が何故か受け入れられてしまった。解せぬ。
結果としてまさかのペアルックウィンクルムが誕生してしまうのだった。
そしてさらにまさかの、同じ服を精霊から渡されていた神人がもう一人。『リオ・クライン』だ。
自身の精霊である『アモン・イシュタール』が用意した衣装に絶句したものの、「これは任務のために必要な姿だから破廉恥じゃない……恥ずかしくない……」と自己暗示をかけて着てみれば。
周りの神人を見渡し、そして無言で自分の胸を凝視。
無い。いや、有る。ささやかな膨らみは確かにしっかりと有るのだが、いかんせんまったく同じ構造の服を着ているのがむちむちたゆんのペシェである。比べてしまえば、明らかに無い。この謎の敗北感はなんなのか。
「いやー、マジで着てくるなんてお嬢様は神人の鑑だわー」
棒読みで言うのはアモン。冗談のつもりで用意したものをまさか本当に着るとは思わなかったのだ。
(……コイツ、後でもう一回殴る!)
既に衣装を受け取った時に反射的に殴ってしまったリオが強く決意する。
「これが格差社会ってやつか……」
しかし、アモンはさらにリオの神経を逆なでする発言を続ける。
「あ、気にするな、ほら、よく言うだろ? 何とかはステータスだ、希少価値だって」
何も慰めになっていない。そしてとどめが次である。
「まあ、オレはどちらかといえば巨乳派だがな!」
次の瞬間、抉るような腹パンがリオからアモンへと繰り出された。
ちなみに彼女の胸はギリギリB。貧乳じゃないよ、微乳だよ!
しかし、正直衣装が映えるかというと、マニアックな層に大受けな映え方となってしまっていた。アモンさん、なんて罪深い事を。あれ、なんかマニアックな層から『アモンさんありがとう!』という声が聞こえるようなあれ私は何を言ってるんだ。
そんな神人VS精霊にも近いやり取りをしている組達とは別に、『桜倉 歌菜』と『月成 羽純』はごく平和に、歌菜による歌菜の(胸の)為の歌菜の準備が進んでいた。
胸を強調したオフショルタイトワンピースに、ちょっと乙女の隠し技の胸パット。
「よし、どうかな?」
準備の出来た自分を羽純に見てもらえば、羽純からは「いいんじゃないか」と言いながらも、内心ではポツリ。
(……別に詰め物までする必要は無かったんじゃないか?)
事故で彼女の胸を鷲掴んでしまった時を思い出す。見た目よりはあるんだなという認識を持っているのはいいけれど、ヘイ、お兄さん、それは君の認識であって彼女の思いはまた別でああでもその認識を言わないから彼女も大きいのがいいの? どうなの? という思考の渦に以下略。
そんなこんなで、大きかったり小さかったりそもそも無いものを作らされたりと、色々な準備を終えたウィンクルム達は、戦場となる町外れの野原へと向かう。
「まさか、こんな任務だったなんて……い、いや別にミルクキャンディにつられた訳では……」
「つられたんだな」
ぼやくリオにつっこむアモン。それを慌てて否定する。
「違う! と、とにかくこの様な破廉恥な輩は早急に対処しなくては!」
そう、これは正式な依頼で、間接的とはいえオーガによる被害で、ウィンクルムとしての大事な仕事である。
「無い胸を強調する……初めての体験です」
そんな仕事を前に、ゼロがある種の感慨をこめて呟く。
「今後に何も役に立たない気がしますが頑張って囮になってきますね!」
あ、うん、ごめんね、多分きっと今後の糧にはならないよごめんね。などとA.R.O.A.の女職員は内心謝罪しながら、口では「お気をつけて!」と彼女達を送り出した。
■パフパフタイム
寝転がれば気持ち良さそうな野原。様々に胸を強調させた服装をしているウィンクルム達。
「さあペシェよ! 約束通り飛んで揺らして兎寄せするが良いぞ!」
「何で違和感ないんですかね……」
ペシェがじと目で見る先には、胸元穴空きハイネックニットとスリットスカートを着こなしているフランペティル。
細くしまったウェストと、スリットからのぞくつるつるの美脚、そして精霊特有の整った美しい顔。性別は何? 男? 女? いいえ、フランペティルです。
「だって吾輩なんでも似合うし」
当然のように言えば、苦虫を噛み潰したような顔になったのはペシェだけでなくリオもだった。同じ服なのに、同じ無い胸なのに、この違いは何なんだろう。精霊爆発しろ。
そしてもう一人、こちらは無い乳を作り上げ、ロングスカートと鬘の着用で、見事美女に変装したラルクことラル子。フルネームはラル子・ラエピカーダ。
「見事です」
「アリガトウゴザイマス」
アイリスの心からの褒め言葉に、死んだ目と死んだ声で答える。
傍から見れば女性同士があらあらうふふと会話をしてるだけである。変装・偽装・フェイクのスキルコンボって凄い。GMは感動を覚えずにはいられなかった。
そんなやりとりをしていたら。
「…………オッパイ?」
さわさわと風に揺れる草の音から、爽やかさとはかけ離れた単語が聞こえてきた。
揺れる草の間に、ぼさぼさ毛並みの耳が見える。ラピットラビットだ。
「ラル子さん、ジャンプを! 胸を揺らしてください!」
「ジャンプデスネワカリマシタ」
アイリスの指示に死んだ目のままラル子が従う。
上下に跳ねる体。そして上下に揺れる(偽)乳。
ああ、それはまさに兎達が求めていたもの。
「オッパイッ!!!!!」
複数の叫び声が野原に響く。
ぴょんぴょん出てくる兎達。
そんな兎達の前に出て構えるウィンクルム達。
今ここに、ろくでもない戦いのゴングが鳴り響いた。
「オッパイオッパイ!!」
揺れる(偽)乳に一羽の兎が飛びつく。やったねラル子、立派に女性だって認められたよ!
そしてそれに続けとばかりに、隣にいたアイリスのDの胸にも一羽飛び込んでくる。
「無抵抗が噛まれない為の最短距離ですね」
アイリスは自分の胸をぱふぱふと堪能している兎をそのままに、そうっと、そうっと腕を動かし、尻尾をむぎゅっと掴む。
「オッパイ!」
満足気な声をあげながら兎は気絶した。警戒させないよう無抵抗だったのが良かったようだ。
さて、男としての尊厳が大破して動きを止めてしまったラル子の方だが、兎は楽しそうにもぞもぞと(偽)乳をまさぐっている。
まさぐって、そして違和感に気付く。
「オッパイ……?」
確かに柔らかい。けれど、違う。これはおっぱいの柔らかさではない。
This is NOT オッパイ!!
「騙されたな!」
兎が気づいたのとラル子が何とも言えない悲しみから復活したのが同時。
兎が怒りの放電を放つよりも早く、ラル子はぎゅぎゅっと尻尾を握って気絶させた。
何とも言えない怒りで、ちょっと尻尾を強く握ってしまった気がするが、それはきっと気のせいだろう。ラル子悪くない。
「ムチムチオッパイwktk!!
「タユンタユンオッパイktkr!!」
「言語を成してない!!」
むっちり柔らかそうなペシェの胸に二羽飛びついた。思わずつっこんでしまったペシェだが、飛びつかれてからはじっと我慢。
巨乳だから出来る事、兎達が胸に乗っかるようにしている。地味に重い。でも我慢。
顔をうずめたり揉んだりしてうっとりと目を細めている兎の背後に、フランペティルがそっとまわる。
「隙あり!」
フランペティルはぎゅっと尻尾を狙って掴んだ、つもりだった。
直前で何かを察したのか、兎はさっと体を動かした。
そして結果として、フランペティルの手はさっきまで兎の尻尾があった場所、ペシェの胸をわしっと掴んでいた。
ペシェが微笑む。血管を浮かばせながら。
フランペティルも微笑む。冷や汗を垂らしながら。
「何してるんですか!」
「あ、やめて! 顔はやめて!」
兎を挟んで何故か始まる神人VS精霊。というか一方的な制裁殴り。その間も兎達はふくよかな胸を堪能している。
暫くたって、ボロボロになりながらも顔を死守したフランペティルが、満足気な兎の尻尾を改めて掴んで気絶させた。
『茜さす』
兎が物凄い勢いでこちらに向かってきてる中、歌菜と羽純はトランスした。
歌菜の割増オッパイ目掛けて突進してくる兎は二羽。
「オッパイオッパイ!」
「パフパフパフパフ!」
興奮した様子で飛びついてくる兎達を、羽純が月盾で防ぐよりも早く、歌菜がハリセン『チラシアタック』でスパーンと叩き落とした。
「貴方達は間違ってます!」
勇ましく説得を始める歌菜。そんな歌菜を呆然と見上げる兎達。
「胸は女子にとって聖域! 触る事が出来るのは、その女子に選ばれし者だけなんですっそれをこんな風に……反省して下さいっ」
「異議アリ!!」
「へ?」
ビシッと決めた歌菜に対してビシッと挙手したのは二羽の兎。
「胸ハアクマデ肉体ノ一部、ソレヲ聖域ト定メルカハ個人ノ主観、ソモソモ選バレナクトモ女性同士ナラ冗談デ揉ンダリスル事モアル筈トイウカ私ハ友達同士デ揉ンダリシテマス!!」
「アト某芸人ノ集団デハ男女関係ナク胸ヲ揉ム事ニヨリ仲間意識ト一体感ヲ得ルトシテイルカラ、ツマリ揉ム事カラ始マル関係モアルノデハナイダロウカ!!」
「ソレニ揉ンデ乳ガンノ発見ニ繋ガルト医者モ推奨シタリシナカッタリダカラ世ノ中積極的ニモット揉ンデ揉ンデ揉ミマクッテイケバイイト思ウノ!!」
「「ダカラオ願イシマス揉マセテ下サイ!!!!」」
「正気に戻って!!」
今更ですが、兎達の主張は読まなくても問題ありません。あたまおかしい発言してる事がわかれば充分です。
叫びながらまた飛びかかろうとする兎達。そこへ羽純がシャインスパークを発動させる。
「ピギャアアアアアアア!!」
「目ガ! 目ガアアアア!!」
目くらまし大成功。
何処かの大佐のような叫び声を上げて目を覆いながらゴロゴロ転がる兎達、羽純はその尻尾をギュッギュッと掴んで気絶させていく。
「何だかイラッとした」
その苛立ちは単に兎がウザかったからか。
それとも、歌菜の胸が触られそうだったからか。
「ツ・ル・ペ・タ・ちゃーん!!」
「おお?!」
語尾にハートでもつけてそうな歓喜の声で飛んできた兎に、ゼロは少し下がって避ける。
兎が着地し、ザッと振り返りもう一度ゼロの胸に狙いを定める。
ゼロも構えて腕でガードを試みる。
その間に、エドガーが兎の背後に回りこむ。
尻尾まであと少し。
「ソコカ!」
と、兎が後ろのエドガーに気付いてバリバリと電撃を放つ。そう強い電撃ではない。ゴム手袋をしていたエドガーにダメージは無い。
だが、兎の注意の方向が一時的にエドガーに向かった。
「邪魔ヲスルナ! 俺トツルペタちゃんノ愛ヲ邪魔スルモノハ何者デアロウト万死ニ値スルト宣言シt」
「ほ~ら、胸ですよ~」
「ツルペタちゃん!!!!」
ゼロの呼びかけにあっさり乗っかり、兎はまたもくるりと向きを変える。
そのままゼロが「こっちこっち」「ほら早く」などとひらひら逃げながら声をかけ、それを兎が「アハハ、待テヨコイツ~」「ペタンナオッパイサワサワシチャウゾ~」と、何故か恋人のような口ぶりで追いかける。
そうしてゼロが兎の気を引いて、完全にエドガーから逸らしたところで、エドガーが今度こそ兎の尻尾を掴む。
「マダ、サワサワ、シテナ……!」
言い残して気絶する兎。
二人はその兎を見つめながら確信する。
あ、やっぱりこの依頼、今後に何も役に立たないな、と。
ささやかな膨らみがわかる、胸元の穴。
それを目掛けて兎が突進する。
「チッパイチッパイ!!」
叫びながら追いかけてくる兎に、リオは若干焦っていた。
何故なら、この兎は放電しながら迫ってきている。
しかも前歯は強調させて、噛み付きますよと主張している。
おっぱいの楽しみ方など人それぞれ、いや、今回に限っては兎それぞれ。
そしてこの兎は。
「チッパイヲ噛ミ噛ミシタイヨオオオオオオ!!」
そう、噛み心地を楽しむタイプだった。最悪だ。
ちなみに放電は興奮する心を抑え切れてないだけで、別に攻撃しようとして放電してるわけではない。迷惑だ。
リオは走りながらもアモンのいる場所を確認する。
逃げ込むような場所もないこの野原で、頼れる(かどうかはわからないが)仲間とも離された一羽の兎。
アモンが完全に兎の背後を取ったのを確認した。もう、大丈夫だろう。
リオは立ち止まり兎に向き合う。兎は歓喜の声をあげながらリオに突進していく。アモンがその後ろから尻尾を握ろうと手を伸ばし。
そこへ、兎が「チッパイイイイイイイイイ!!!!」と叫びながらリオの胸に飛び掛った。アモンが尻尾を掴むより早く。
飛んでくる放電している兎。狙われている自分の胸。
「い、いや―――っ!!」
リオは叫んで、思わず全力でびんたした。
「ヘブゥ?!」
逃げたばかりだったから抵抗されるとは思っていなかった兎が、情けない声をあげて吹っ飛ぶ。そして地面に落ちて痛みに転がる。
そこへ、今度こそアモンが尻尾を掴んで気絶させた。
「……強いな、お嬢様」
「ち、違う! 咄嗟に!」
見事なびんたに、オレいらなかったんじゃねぇかな、と思いながらアモンは言った。
気絶した兎の子達八羽を確認すると、満足気に、そして自慢気にフランペティルが勝利宣言をする。
「わかったか兎達! あのおっぱいは吾輩のものだ!」
「この胸はフランのじゃなくて私のですから!」
そしてペシェに即否定される。
ともあれ、このろくでもない戦いはウィンクルム達が見事制したのは事実だ。兎達に怪我もない。
「じゃあ、お母さんに引き渡そう」
歌菜が言うと、全員で兎達を連れて戦場である野原を去った。
■キャンディの行方
兎達のぼさぼさだった毛並みは、ふわふわの滑らかなものに変わった。ラピット・ラビットからプレジール・ラビットへと戻ったのだ。
意識を取り戻した兎達に、エドガーがラピット・ラビットだった時の記憶の有無を確認する。
「覚えてないです……」
「そんなのになってたんですか?!」
「信じられない……!」
「ゼ、全然覚エテナイデスヨー」
「すみません、ご迷惑おかけしました!」
「助けてくれてありがとうございました!」
「すみませんでした!」
「ご馳走様でした!!」
もう大丈夫だと母親達が安堵しつつも、若干二羽程、その長い耳を母親に引っ張られていた。元々そういう兎だったようだ。
「皆さん、本当にありがとうございました! こちらお礼です!」
ウィンクルム達は【幸運のランプ】に【幸せの灯火】が灯るのを見ながら、お礼のミルクキャンディを受け取った。
「飴……俺が持っとく意味はどこにもないな」
女装、じゃなくて変装をといたラル子、じゃなくてラルクは、貰ったキャンディを持て余す。
「アイリス、アンタにやる」
「あら、ラル子さん、飴を私に? それじゃあ私が頂いた分はラル子さんに差し上げますね。また何時ラル子さんの出番が必要かわかりませんから」
「……って」
最後の最後までラルクさんのライフを削りに行くアイリスさん。ああ、ウィンクルムとは。
他の精霊達が「あ、また女装するんだ……」みたいな目でラルクを見る。ああ、その眼差しが痛い……!
「見るな、そんな目で俺をみないでくれっ!!」
依頼は大成功の筈なのに、ラルクのライフはマイナスになっていた。
持て余していたのはアモンも同じ。別に自分の胸を育てる気はない。
(大体効き目だって本当かどうか……)
馬鹿にした目でキャンディを眺めていたのだが、誰かが真剣な目でキャンディを見ている気配を感じ取る。誰かっていうかりオだ。
チラリと振り返れば、リオが慌てて誤魔化すように横を向いて自分の分のキャンディを口にいれた。
その必死さに、アモンはそっ……とキャンディを渡す。
「い、いいのか?!」
「ああ、いらねぇから」
「な、なら仕方ないから貰おう!」
仕方ない、と主張しながらも嬉しそうなお嬢様に、目頭が熱くなるものを感じるのであった。
乙女の魔法の胸パッドを取ってしまえば、見慣れた大きさの自分の胸。
(ミルクキャンディ凄く欲しい!)
ちらちらと羽純を、羽純の手元のキャンディを覗き見る。
(やっぱり、胸は大きい方が良いんだよね?)
自分の為にも、羽純の為にも、もう少し胸を育てたい。けれど、羽純のキャンディを「下さい」とも言えず……乙女心の複雑さである。
だが、羽純は歌菜の物欲しそうな顔に気付く。
「やるよ」
言って、キャンディを渡す。
「くれるの!? あ、有難う!」
パッと笑顔になる歌菜に小さく吹き出し、羽純はもう一つ、羽純にしか贈れない言葉も渡す。
「別に俺は今のままでもいいがな」
歌菜は笑顔をそのまま、パッと頬を赤く染めた。
「もが?!」
強引にフランペティルの口へキャンディを突っ込んだのはペシェ。
「そんなに大きい胸が欲しければフランもそうなれば良いんです。痛いし重いし蒸れるし大変なんですから」
今日一日の仕打ちを思い出しながらペシェは文句を言う。
「吾輩に生えてどうする! そういうのは自分じゃなくてだn…」
「どうですか、大きくなりましたか」
ラピットラビットもかくやという勢いでペシェがフランペティルの胸元をまさぐる。完全なる嫌がらせだ。
「きゃー! えっちー! セクハラで訴えるぞ!」
「なんですかその悲鳴! セクハラなら私も訴えますよ!」
ろくでもない戦いは、一部ではまだ続くようだった。
「エドガーさんは胸の大きさの好みとかはいかほどでしょう?」
胸の大きさなど気にしてないゼロは、パートナーであるエドガーの意見を聞いてみた。
「胸より先に気にすべき所があるはずだと思うんだけど」
嫌味とも取れる発言に、しかしゼロは笑顔で納得する。
「つまり今のままでいいと、さすがエドガーさんです! あ、キャンディどうぞ、私には必要ないようなので。ないようなので!」
笑顔で欲しがっていたA.R.O.A.の女職員に渡せば、女職員も「きゃあ!」と笑顔になる。
嬉しそうなゼロにエドガーは何も言えない。
―――このポジティブさをなぜ他の事に生かせないのか。
ともすれば感心にも似た呆れを抱えながら、エドガーはキャンディを食べた。
なんとも甘い味だった。
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 青ネコ |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 03月11日 |
出発日 | 03月18日 00:00 |
予定納品日 | 03月28日 |
参加者
会議室
-
2015/03/17-23:59
-
2015/03/17-23:58
-
2015/03/17-23:51
-
2015/03/17-23:51
-
2015/03/17-23:50
対応武器装備ではないので、威力とかは落ちるかとは思いますが、
シャインスパークを羽純くんにセットして貰うよう、変更しました。
目眩まし狙いです!(なんでもっと早く気付かなかったんだろ←
ギリギリとなりましたが… -
2015/03/17-23:32
私も殺傷力のなさそうな武器がないのでこのままいきますが、極力使わない方針でいきますね。
危なそうだったらマジックブックの効果を使用する、って感じで行こうかと思います!
ジョブスキルも今の所回復スキルのみなのでトランスもなしでいきますね。
では、もう少しで出発ですね。
改めてよろしくお願いします! -
2015/03/17-20:40
ハリセンや刃物でない武器を用意できないので、私もラルクさんも素手で行こうかと思っております。
ジョブスキルは武器が無くとも使える陽炎及び朧月で。
陽炎を使ったラル子さんにひっかかってもらえれば面白…いえ、後ろから尻尾を触りやすいでしょうから。
ただ、トランスとジョブスキルは手間取った場合のみと考えております。 -
2015/03/16-22:07
こちらも、なるべく兎さん達を傷付けないように、
ハリセン「チラシアタック」を、羽純くんと共に装備していきます。
ついにこのハリセンを使う日が…!(ぶんぶん← 因みに胸はCカップ推定)
羽純くんに盾を持って貰って、上手にいなして尻尾を掴めたらと!
一応、羽純くんには、ファストエイドとシャイニングアローを装備して貰います。 -
2015/03/15-23:05
スキルだが、今回は兎共に傷を追わせてはならぬということで、吾輩は朝霧の惑いをつけていく予定である。
まあ、使う事は無いとは思うが念のためであるぞ。 -
2015/03/14-15:04
ゼロです。
どうぞよろしくお願いします!
あ、私は見ての通りになります。肩こりとは一切無縁です!(無い胸を張る)
大きさ問わず反応するそうなので私はそのままで行きますね。
貧乳を強調するとなると……なんでしょうね? -
2015/03/14-02:17
歌菜とペシェは久しぶり、アイリスさんとゼロは初めまして。
リオ・クラインだ。
胸・・・。(ギリBカップ)
いや・・・別に気にする事も・・・。(そっと胸抑え)
む、胸を強調とはどんな格好なんだ・・・? -
2015/03/14-01:43
桜倉歌菜と申します。
皆様、宜しくお願い致しますっ
わ、私自身の胸は……大きくもないけど、小さくもない……筈ですっ(たぶん
そ、そうか!タオルを詰めたらいいですよねっ!(ぐっ
囮になれるよう、頑張って胸を強調したオフショルタイトワンピースとか、着てみたいかなって思いました! -
2015/03/14-00:18
使えるものは使う主義、アイリス・ケリーと申します。
私自身はDですが、ここはラルクさんにも頑張って頂こうかなと思っております。
無駄に磨いてきた変装スキル、いつ使うかと言えば今でしょとしか言えません。
胸には丸めたタオルでも入れてもらえばなんとかなるでしょう。
それでは、よろしくお願いします。
胸を強調して服…意外とセーターって、胸が大きな方が着ると協調されるんですよね(ぼそっと呟き) -
2015/03/14-00:11
フランペティル「ふはははははは!ふはは…っげほっげふげふげふ!
あー、吾輩の名はフランペティルである!こちらの肉は推定Gカップのペシェという。
始めて会う者はよろしく頼むぞ。
さて、早速となるが。
神人が立っていたら勝手に飛び付くであろうからな。
そこを我々精霊がウサギの尻尾をつかんで気絶させるのがセオリーか。
前歯対策は、なるべく兎が精霊に向かないように神人に兎の意識が向くように構って貰いたい所である。
というわけでだ。神人諸君は胸強調した格好をするのはどうか?
決して!決して吾輩が見て楽しみたい訳ではないぞ!
兎が良く釣れるからであってだな…