【メルヘン】クッキーデート(星織遥 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

クッキーラント王国。
ショコランドの中にある王国で、
小高いクッキー丘陵の上にそびえる城塞都市です。
城塞と言う名の通り、周りは高い城壁に囲まれています。
ここではクッキーの生産が主体です。城壁もクッキーで作られています。

そんな王国の中にある村の一つ、スニッキード村に遊びに行きましょう。
今までウィンクルム達はこの世界へ自由に入ることが出来ませんでしたが、今は大丈夫です。
普段とは違った世界を満喫しましょう。


●クッキー工場&クッキー研究所見学
この村にはクッキーを作る「クッキー工場」と
新しいクッキーを考える「クッキー研究所」があります。
クッキー研究所で考えたものをクッキー工場で作ったり、
クッキー工場で作ったものをクッキー研究所で見直しています。
この2つの施設を見学させてもらいます。

所要時間:1~2時間


●スニッキードの森
村の外れにある森です。
この森に生えてる木はクッキーが実る木です。
村の住人は「森クッキー」と呼んでいます。
形は丸く、色や大きさが異なり、味も多種多様です。
特に大きな木が森の奥にあり、その木にはたくさんの色が実っていてとても鮮やかです。
その木を村人は「クッキー大樹」と呼んでいます。

またこの森には、この実を主食にしている「スニッキードメル」という生き物が居ます。
リスに似た姿で穏やかな性格をしています。
この生き物は枝を伝って実を落としてから拾って食べますが、
今にも落ちそうな実を見つけると、その下へ行って落ちてきた実を口でキャッチして頬張ります。
その様子はとても幸せそうだといわれています。

所要時間:1~2時間


●クッキーのアクセサリー
「アクセサリー工房」ではキーホルダーやバッジなど、小さめのアクセサリーを作ることが出来ます。
クッキーの生地から型をとったり、思い描く形を切り取ったり。それらを組み合わせることも可能です。
細かい作業が苦手でも住人が手伝ってくれるので大丈夫です。

所要時間:1時間~2時間


●クッキー畑
村の裏手に広がる畑です。
クッキーの材料を土壌にしてクッキーを育てています。
この畑は新作クッキーの研究で活用されていて
収穫されるクッキーは「畑クッキー」と呼ばれています。
このクッキーは「森クッキー」のように決まった形はありません。
三角だったり四角だったりすることもあれば、星型で収穫されることもあります。
まだまだ研究中な部分が多く、何が出てくるかハッキリしていません。

所要時間:1時間~1時間半


●スニッキード山
村の近くにある小さい山です。
山といっても標高はかなり低く、
頂上にたどり着くまで、さほど時間は掛かりません。
頂上にはとても大きなクッキーがあり、
それにチョコで願いを書くとその願いが叶うといわれています。

所要時間:30分~1時間


村の住人は日が昇って、しばらくしてから活動を始め、日が暮れる頃に自分の家に帰ります。
施設や自然スポットはそれを過ぎると入れません。
その点に気をつけて、メルヘンな世界を楽しみましょう。

解説

材料費や制作費など:500Jr

住人の活動時間を考えると
施設や自然スポットを巡る時間は
移動時間を含めてだいたい6~7時間くらいです。

【各スポットの詳細】
●クッキー工場&クッキー研究所見学
ここでは工場内の見学と研究所での試食が出来ます。
自分でイメージしたクッキーを作ることが出来るので、それをアクションプランにお願いします。

●スニッキードの森
森の散策をしながら「クッキー大樹」を目指します。
また「森クッキー」を食べることができます。
もしかしたら「スニッキードメル」に会えるかもしれません。

●クッキーのアクセサリー
作ってみたいアクセサリーの種類やデザインをアクションプランにお願いします。
(限界サイズは手のひらに収まるくらいまでです)

●クッキー畑
「畑クッキー」の収穫と試食ができます。
どんなクッキーが出てくるかはハッキリしていませんが、
ちゃんと食べられるクッキーですので安心してください。
どんなクッキーが出るか予想しながら収穫すると楽しみも増えるでしょう。

●スニッキード山
山頂を目指します。特別な装備は必要ありません。
なにか願い事を決めて登るといいでしょう。

ゲームマスターより

星織遥です。
クッキーラント王国はクッキーを主体に生産しているので、様々なクッキーがあります。
それらを通じて不思議な世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ひろの(ルシエロ=ザガン)

  本当にクッキーだらけだ……。

「スニッキードの、森。行ってみたい」
何処も不思議だけど。一番気になる。

木にクッキー……。(興味深々
味も木によって違うんだっけ。なんか、すごい。
「あ、うん」(掴まれ驚く

大きな木にクッキーがいっぱい。
リスっぽい生き物……、いるのかな?(見上げる
「あ……、ごめん」(気持ち慌てて姿勢を正す

「……特に、無い。ルシェは、どこ行きたいの」(首を振り、見上げる
言っていいの、かな。
「あの。……まだ、ここにいていい?」
人がいないから。ここ、落ち着く。
(視線を少し彷徨わせ頷く

(数瞬硬直後、事態を把握
(言い分の意味がわからないが、大人しくそのまま
嫌じゃない、けど。
ルシェ、何したいんだろう。



リオ・クライン(アモン・イシュタール)
  ここがスニッキード村か・・・!
どこを見てもクッキーだらけ・・・まるでおとぎ話の世界の様だ!(パアァ)

<行動>
・可能な限り時間内に全部まわる
・クッキー工場&クッキー研究所見学で試食、作るのは紅茶チョコクッキー
「えーと、これをまぜればいいのか?」
・スニッキードの森で森クッキーもぐもぐ
(スニッキードメルとは一体どんな感じなのだろう・・・)
・自分と精霊を模したジンジャーマンクッキーのキーホルダーを作る(ちょっと苦戦)
・クッキー畑で収穫&試食
(畑だし、野菜のクッキーとかが出てくるのか?)
・スニッキード山での願い事は「お互いにもっと頼れるパートナーになる」事
・いっぱいクッキーを食べれて幸せ気分

アドリブOK


シャルロット(リカルド)
  どこもかしこもクッキーだらけですね
不思議ですが、面白いです
…一緒なのがこの人じゃなければもっと楽しめたかもしれませんが
あらごめんなさい、私ったら正直者で

クッキー畑
畑にクッキーってすごいですね
収穫も挑戦してみたいと思います
どんな形がでてくるのか楽しみですね
…様になっているとは、褒め言葉と取っていいのでしょうか

スニッキード山
まだ時間もあるので山にも行ってみましょう
お願い事…となるとやはり現状の事でしょうか
今後のためには仲良くした方がいいというのは理解はしています
といっても急にはねぇ…
今の遠慮しない関係もそんなに嫌いではないんですけどね

まあ形だけどもお願いしておきましょう
「なんとかなりますように」



淡雪(ノエル)
  可愛いけど、不思議な所ですね…
外になるのクッキーも、食べれるんです?
それはあまり大丈夫じゃないような…?(首かしげ

私、スニッキードの森に行きたいです
木になるクッキーとはどんなものなんでしょう…

わあ、すごい…
クッキー大樹でしたっけ。綺麗で…美味しそうですね
あ、あの青色のクッキー綺麗です
でも、手が届きそうにないですね(じーっと見上げ

わ、ありがとうございます…
赤いのも可愛くて美味しそうですね
うん、美味しいです

あ、青色…

スニッキードメルとノエル見比べ
何だか、似てますね
食べてる時の顔、同じくらい幸せそうです

私だけ仲間はずれ…(しょぼん
…本当ですか?それなら、嬉しいです
でも無表情って言いすぎです



●スニッキード村
 バレンタイン地方。その中にあるショコランド。さらにそこにはクッキーラント王国という城塞都市がある。小高いクッキー丘陵の上にそびえ立ち、高い城壁で囲まれている。ここはクッキーの生産が主体で、その城壁もクッキーで作られている。そんな王国の中にある「スニッキード村」に『ひろの』と『ルシエロ=ザガン』。『淡雪』と『ノエル』。『シャルロット』と『リカルド』。『リオ・クライン』と『アモン・イシュタール』。この4組がそれぞれ向かっていた。国全体でクッキーの生産が盛んなため、道中もクッキーの雰囲気に包まれている。普段の生活からは想像できない不思議な空間を体感しながら、各々は歩を進める。

●ひろの&ルシエロ
 スニッキード村に到着したひろのとルシエロはその光景に驚く。チョコとバターの香りが村全体を包み込み、その中を小人や妖精が歩いている。家にはクッキーで作られた装飾が施され、住人が身につけるアクセサリーもよく見るとクッキーで出来ている。
「本当にクッキーだらけだ……」
「話に聞いていたが、見事にクッキーばかりだな」
 感嘆の声をあげる2人。そんな2人に気付いた住人が、私たちの村へようこそ、と歓迎の意志を示した。続けて住人はこの村について話し始めた。それを聞いていたルシエロは、ひろのがふっと何かに反応したのを感じた。
「ヒロノ、今の話で何処か行きたい場所でもあるのか?」
「……いや、特には……」
「ほんとか?」
「……スニッキードの、森。行ってみたい」
 ルシエロに尋ねられて、ひろのは躊躇いがちに答えた。
(コイツはもっと主張しても良いんだが。何を遠慮……いや。何を怖がる……)
 ルシエロはそう思いながらひろのに視線を向ける。
「じゃあ行くか、スニッキードの森とやらに」

 住人に言われた通り、森の中をまっすぐ進む2人。
「木にクッキー……。味も木によって違うんだっけ。なんか、すごい」
 ひろのは興味津々といった様子で辺りを見回す。
「奥に大木があるんだったな。ほら、行くぞ」
「あ、うん」
 ルシエロはひろのの手を掴むと、奥へと進んでいく。ひろのは突然手を引かれて驚いたが、悪い気分はしない。2人が歩き続けると他の木とは大きさが明らかに異なる木を見つけた。
「これがさっき話に出てきた『クッキー大樹』か。確かに、この木だけ風格が違う」
「大きな木にクッキーがいっぱい……」
 クッキー大樹にはたくさんの丸い形をしたクッキーが実っている。色や大きさの違いが織り成す鮮やかさは1つの絵画のようにさえ思える。
「リスっぽい生き物……いるのかな?」
「スニッキードメル……だったか」
「うん……」
 ひろのはスニッキードメルを探そうと首を大きく逸らした。ぼんやりと上を見上げるひろのが、そのまま体ごと後ろに倒れそうになる。それをルシエロが支える。
「気をつけろよ」
「あ……ごめん」
 慌てて姿勢を正すひろの。
「さて……このデカい木は見れたし、他には何処に行くんだ?」
「……特に、無い。ルシェは、どこ行きたいの?」
 ひろのは首を横に振るとルシエロを見上げて尋ねた。
「オレは別に無いが。……言いたい事があるなら言え」
 ルシエロはひろのの様子から察したようで、ひろのに発言を促す。少しの間が過ぎた後、ひろのが口を開く。
「あの。……まだ、ここにいていい? 人がいないから。ここ、落ち着く」
 視線を少し彷徨わせ、そう言って頷いた。
(何を戸惑っているのかと思えば、そんな事か)
 ルシエロはひろのの言葉に安心した。
「好きにしろ。残り時間も此処にいるつもりか?」
 ルシエロの問いにひろのは首肯した。ひろのは再びクッキー大樹に視線を戻す。ルシエロはその体を引き寄せ、背中から抱きしめる。数瞬硬直するひろの。
「オレが暇だ。これぐらいはさせろ」
 ひろのはルシエロの行動に数瞬硬直してしまったが、事態を把握するとそのまま体をルシエロに委ねる。
(ルシェの言い分はよく分からない。けど、嫌じゃない。でも、 ルシェ、何がしたいんだろう……)
(以前よりはオレに慣れたか……やはり納まりが良い)
 2人に届くのは森を抜ける風とクッキーの香り。それを静かな時の流れの中で互いの体温とともに感じていた。

●淡雪&ノエル
 チョコとバターの香りに包まれる国内を、淡雪とノエルは進む。
「クッキーがいっぱい……可愛いけど、不思議な所ですね……」
「ああ、本当にクッキーばかりだ。世界は広いね、こんな国もあるのか」
 2人は驚きの声を漏らしながら、目的地であるスニッキード村に足を踏み入れた。クッキーの空気に包まれた村を見て、淡雪がふと思った疑問を呟く。
「外になるクッキーも、食べれるんです?」
「食べれなくてもお腹壊すぐらいだろうから大丈夫だよ」
「それはあまり大丈夫じゃないような……?」
 ノエルの返答に思わず首をかしげる淡雪。2人は村の住人から話を聞くと、淡雪が「スニッキードの森」に強い関心を示した。ノエルも興味が沸いたらしい。
「木になるクッキーとはどんなものなんでしょう……」
 2人は期待を胸にその森を目指すことにした。

 森の入り口から奥へと進む2人。道中にはクッキーの実がついた木が生い茂っている。さらに奥へ進むと、その中でも一際大きな木があった。
「わあ、すごい……クッキー大樹でしたっけ。綺麗で……美味しそうですね」
「すごいな、本当にクッキーが木になるんだ」
 ノエルは感心した様子で木を見上げ、手を伸ばすと実っているクッキーを1つ食べる。口の中に程よい甘さと美味しさが広がる。
(あ、あの青色のクッキー綺麗です!でも……)
 淡雪の視線の先には美味しそうに実ったクッキーがあった。しかし手を伸ばしても届きそうにない。その様子に気付いたノエルが代わりに手を伸ばし、その実を取った。
「はい、どうぞ」
「わ、ありがとうございます。……うん、美味しいです。赤いのも可愛くて美味しそうですね」
 淡雪はお礼を言うと、静かにクッキーを食べ始めた。その間、無言でもぐもぐ食べ進める。ノエルはその姿を微笑ましく眺めつつ、自分も青い実を取って食べる。淡雪が、あっ、と声を発したがノエルは気付かずに美味しいね、と返した。
 2人が黙々とクッキーを食べていると近くの草むらからガサガサと音がした。2人はその音に驚きと警戒を示したが、その正体に気付くと安堵の表情を浮かべた。リスに似たその姿は、住人から聞いていた『スニッキードメル』の特徴と一致していた。スニッキードメルはクッキー大樹に器用に登ると、実を1つ落とし、下りてきてそれをかじる。とても美味しそうに食べている。淡雪はスニッキードメルとノエルを見比べながら、こう言った。
「なんだか似てますね。食べてる時の顔、同じくらい幸せそうです」
「そんなことないよ」
 淡雪の発言を否定するノエル。しかし淡雪の考えは変わらない。すると、私だけ仲間はずれ、と淋しそうに呟いた。その表情を見て、ノエルが言葉を発する。
「無表情だったけど、クッキーにかじりついた時に目が輝いたというか 充分幸せそうだったよ。無表情だったけど」
「……本当ですか?それなら、嬉しいです。でも無表情って言いすぎです」
 一言多いノエルに苦笑しつつ、笑顔でそう返す淡雪。2人と1匹はクッキーの実がなる木の下で、穏やかな時を過ごした。

●シャルロット&リカルド
 クッキーラント王国を歩く2人。その景色はまさに別世界だった。
「どこもかしこもクッキーだらけですね、リカルドさん」
「ええ、見事にクッキー一色ですね」
「不思議ですが、面白いです。……一緒なのがこの人じゃなければもっと楽しめたかもしれませんが」
「シャルロットさん、聞こえていますよ」
「あらごめんなさい、私ったら正直者で」
「いえいえ、私の心の声を読んだのかと思ってしまいました」
 お互い笑顔だが、見えない火花がバチバチと音を立てているように感じた。

 目的地であるスニッキード村に到着すると住人に歓迎される。住人から話を聞き「クッキー畑」と「スニッキード山」に興味を持った2人は早速畑から向かうことにした。クッキー畑と呼ばれる場所には黄色い土地が広がっていた。ところどころ赤色や茶色の場所も見える。住人によると、これはバター、卵、砂糖、小麦粉などをベースにした土壌で、色が違う場所はチョコなどを配合しているからだという。
「畑にクッキーって……すごいですね」
「いや全く。畑に実るとは本当に不思議な国ですね。種類も多いようですし」
 クッキーの出来る畑が目の前に広がっている。その事実にただただ驚く2人。住人はとある一角を指差すと、その区画はもう収穫が出来るのでどうぞ、と促された。
「折角の機会ですし、収穫にも挑戦してみたいと思います。どんな形がでてくるのか楽しみですね 」
 シャルロットは意気込むと畑へと足を踏み入れる。普通の土に比べてかなり柔らかい。慎重に収穫先へ向かうと腰を落として、土の下で膨らんでいるクッキーを収穫しようと少しずつ掘っていく。するとサイコロの形をしたクッキーが現れた。シャルロットはそれを掘り出し胸元に抱えると、かごに入れる。同じように作業をしていたリカルドは、その様子をじっと見ていた。
「……リカルドさん、なんですか?」
「いえ、一応土仕事ですし、何か困っているなら助けようかと思いましたが、全く必要なさそうですね。様になってますよ」
「……様になっているとは、褒め言葉と取っていいのでしょうか」
「褒めてますよ。転職を考えてみてはいかがですか?」
 リカルドが火花の散りそうな笑顔でシャルロットに問いかける。それに対して、放たれた火花を蹴散らすような笑顔で返すシャルロット。このようなやりとりは2人にとって、もはや日常的なものになっていた。畑から元の場所に戻ると、2人は収穫したクッキーを試食してみる。しっとりとした食感で、口の中にバターの香りが広がる。よく見かけるものに比べて柔らかいことを除けば、それはまさしくクッキーだった。2人は不思議な味覚と食感を楽しみつつ、畑を後にした。
「……まだ時間もありますね。山にも行ってみましょう」
 シャルロットはそう言うと、リカルドと共に「スニッキード山」へと向かう。

 スニッキード山のふもとまでやってきた2人。山と呼ばれているが、標高はさほど高くない。ゆるやかな傾斜を登っていくと、ほどなくして頂上へ辿り着いた。そこには住人から聞いた通り、とても大きなクッキーが置かれていた。「チョコで願いを書くとその願いが叶う」といわれているという。2人は借りてきたチョコペンを手に取ると、クッキーの前で立ち止まる。
(お願い事……となるとやはり現状の事でしょうか。今後のためには仲良くした方がいいというのは理解はしています。といっても急にはねぇ……)
(願い事……ですか。やはりウィンクルムになってしまった以上、シャルロットさんとの事でしょうか。しかし仲良くしようとして仲良くするのは何か違うような……)
 2人は心の中でそれぞれ考えを巡らせる。しばしの沈黙が流れる。その沈黙を破ったのはシャルロットだった。
「今後のことを考えたら仲良くした方がいいとは思いますけど、今の遠慮しない関係もそんなに嫌いではないんですけどね。まあ形だけどもお願いしておきましょう 。『なんとかなりますように』」
 そう言うとチョコペンを走らせ、クッキーに願い事を書く。
「全く隠そうともしないのが潔いですね。ですが似た考えのようで少し安心しました」
 それを受けてリカルドはシャルロットが書いた隣に「同左」と記入した。下山する間も笑顔で火花を散らせるようなやりとりが続いたが、2人の表情はどこか穏やかに思えた。

●リオ&アモン
 クッキーラント王国に入り、スニッキード村に到着したリオとアモン。村の空気にはバターの香りが馴染んでいて、家の飾りや服の装飾品もクッキーで作られている。
「ここがスニッキード村か……!どこを見てもクッキーだらけ……まるでおとぎ話の世界の様だ!」
「うわあ、一面甘ったるぅ……。クッキーづくしだな、こりゃ」
 目を爛々と光らせるリオと、げんなりとした表情を浮かべるアモン。対照的なリアクションを見せる2人のもとに、村の住人が歓迎の意思を示しながら近づいてくる。住人は2人に対して村にある施設や村の外にある自然スポットを教えてくれた。それを聞いてリオは、全部巡りたい、と考えた。善は急げと言わんばかりに駆け出すリオ。そのテンションの高さを尻目に、アモンは辺りを見回して軽くため息をついた。

 2人はまず「クッキー工場」とその隣に併設されている「クッキー研究所」を訪れた。工場では住人たちが様々な形のクッキーを焼いている。リオ達の過ごす世界と基本的には変わらないようだが、クッキーの配色や形、それらを焼く装置など、どこかメルヘンチックな印象を受ける。工場の中を一通り見学すると、その足でクッキー研究所へ向かう。2つの施設は外から見ると独立した建物に見えるが、内側は通路で繋がっている。研究所には工場ほどではないが、クッキーを作るには十分な設備が整っていた。住人に何か作りたいクッキーがあるか尋ねられ、リオは紅茶チョコクッキーを作りたいという旨を伝えた。すると住人が棚や冷蔵庫から必要な材料を取り出し、作業台の上に並べていく。出揃ったところで早速作り始める。
「えーと、これを混ぜればいいのか?」
 ボウルに常温に戻したバター、卵黄、牛乳、チョコレート、薄力粉、紅茶の茶葉などを加えて混ぜていく。しかしリオは不慣れなようで、手つきがぎこちない。
「……はぁ、貸せ。こうやるんだ」
 アモンはリオからボウルと取ると、慣れた様子で混ぜ始める。材料同士が程よく混ざり合っていく。だいたい混ざったところでリオにボウルを返す。リオはアモンの動作を思い出しながら最後の段階まで混ぜていく。それを棒状に成形し、冷凍庫で固める。固まったらそれを程よい厚さに切り、天板に並べて焼いていく。室内に美味しそうな匂いが漂う。充分な焼き時間を経て、ついに完成した。
「できた!」
 リオは自分の手で作られたクッキーに感動の声をあげる。それをアモンに勧める。
「どうだ?私の作ったクッキーは?」
「オレも手伝ったんだけどな。ああ……まあまあ」
 チョコのほんのりとした甘さに紅茶のフレーバーが合わさり、それが口の中全体に広がる。リオもその味わいを楽しんだ。満足な仕上がりに笑顔を浮かべながら2人は次の場所へと向かう。

 次に向かったのは「スニッキードの森」。クッキーの実がなる木々を抜け、奥へと進んでいく。
「木にクッキーが実ってる……」
 アモンは信じられないといった表情を浮かべている。一方リオはその木々を見て驚きと感動に包まれていた。さらに奥に進む2人の前に他の木に比べて、かなり大きい木が現れた。
「おー、でっけー木」
「凄い……これがクッキー大樹か……」
 その大きさに思わず感心する2人。そこに実ったクッキーを手に取り、口へと入れる。程よい甘さと歯ごたえがあり、風味も良い。クッキー大樹を満喫した2人は来た道を引き返す。するとその途中で野生の動物と遭遇した。リスに似た風貌の小柄な生き物。両手でクッキーの実を抱えている。
「あれはもしかして……」
 リオは住人から聞いた「スニッキードメル」の特徴を思い出す。そこから今いる生き物がそうだと思い至った。スニッキードメルは2人と目を合わせると少し首をかしげた。しばし見つめ合った後、森の奥へと消えていった。
「あれがスニッキードメルか……かわいいな」
 話で聞くのと実物を見るのはやはり違う、と思いながらリオは嬉しそうに呟いた。

 森を抜けた2人は次に「クッキー畑」へと向かう。そこは確かに畑だった。しかし地面に広がるのは土ではなくクッキーの生地だった。様々な生地で実験的にクッキーを作っているという。
「まさか畑でクッキーが採れるとは!」
「なんか段々慣れてきたな……」
 2人は住人に促され、畑へと入っていく。生地の土の中で膨らんでいるところを見つけ、周りの土から掘っていく。
(畑だし、野菜のクッキーとかが出てくるのか?)
 そんな事を考えながらリオは掘り進める。すると1つの形が見えてきた。両手を土に押しこみ、それを引き抜く。そのクッキーは横長の球体で少し赤みがかっていた。表面はやや柔らかい。まるで冬瓜のような見た目にリサは本当にクッキーなのかと疑問符を頭に浮かべる。それを持って畑を出ると、アモンも不思議なものを見るような表情をした。試食してみようと、そのクッキーをナイフで一口大に切る。2人は同時に口に運んだ。
「……これは……ニンジン?」
「ああ……ニンジンだ」
 噛めば噛むほどニンジンの味が口の中に広がる。しかしバターの風味と調和して、野菜の味が主張しすぎることなく、程よい加減になっている。
「畑だから野菜のクッキーでも出るかと思ったら本当に出るとは……」
 冬瓜のような見た目でニンジンの風味がするクッキー。驚きつつもその美味しさに思わず完食してしまった。その余韻を感じながら2人は「スニッキード山」を目指す。

 スニッキード山は、山といっても標高はかなり低いので2人が頂上に辿り着くまでそれほど時間は掛からなかった。辺りを見回すと、住人から聞いたとおり、とても大きなクッキーが置かれていた。
「これが願い事の叶うといわれているクッキーか」
「ほんとにでけぇな」
 巨大なクッキーを目の前に驚きと感心を見せる2人。リオは早速チョコペンを取り出すとクッキーに向かって字を書き始める。
「……よし、出来た。『お互いにもっと頼れるパートナーになる』。どうだ?」
「いいんじゃねえか」
「そのためにも、もっと精進しなければ」
「リオにあんまり無茶されてもな……」
 アモンは過去の依頼を思い出し、小さく呟いた。リオはアモンの様子に疑問を抱いているようだ。
「……太っても知らねーぞ?」
 アモンはその空気を払拭するようにリオに向かって言った。
「うぐっ……!」
 リオはアモンの発言に思わず言葉をつまらせる。ふと空を見ると日が暮れようとしていた。
「もうそんな時間か……」
「少し巻き気味ではあったが、全部の箇所を巡ることが出来た。いっぱいクッキーも食べられたしな」
「よかったよかった。そんじゃ下山すっか」
 嬉しそうなリオと、やれやれといった様子のアモン。幸せそうな2人の姿を夕日が照らしていた。

●日没
 スニッキード村の住人は日が暮れるとそれぞれ自分の家に帰っていく。工場や研究所から人も居なくなる。それに合わせてウィンクルム達も村を後にした。
 クッキー尽くしのメルヘンな1日はこうして幕を下ろした。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 星織遥
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 4 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 01月22日
出発日 01月30日 00:00
予定納品日 02月09日

参加者

会議室

  • [4]シャルロット

    2015/01/29-21:14 

    初めまして、シャルロットと申します。
    よろしくお願い致します。
    クッキーづくしですね、面白そうです。

  • [3]ひろの

    2015/01/29-12:25 

    リオさん、お久しぶりです。
    他の人達は、はじめまして。ひろの、です。

    クッキーばっかり……、不思議。

  • [2]淡雪

    2015/01/29-01:47 

    …初めまして。淡雪、です。
    よろしくお願いします。

    畑や森にもクッキーが……?不思議ですね。
    私も時間内ならどこに行ってもいいという事だと思いました。

  • [1]リオ・クライン

    2015/01/28-22:13 

    ひろのはしばらくぶり、シャルロットさんと淡雪は初めまして。
    リオ・クラインだ。

    どこを見てもクッキーだらけ・・・夢のようだ!(パアァ!)
    これは全部のスポットをまわれるということでいいんだよな?


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