暑さを吹き飛ばせ!!大運動会!!!(草壁楓 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

●猛暑のための対策
 タブロス市近郊の村バロルド、その日は太陽が輝き気温が上昇しまさに猛暑だった。
 街の一角のとある部屋では青年が二人何やら話をしている。
「しかし、暑い……まだ初夏だよな?」
 頭をうな垂らせながら窓の外を見ているサマエル・ネリアは隣に居る大人しそうな青年のベルナルド・ハモンドに話しかけた。。
「初夏も初夏、しかしこう暑い日が続くと農業や商業に影響が出そうだね。」
「昨日も青年団のやつらと話してたんだが、やっぱそうだよな。『青年団長なんだからどうにかしてくれよ!』とか言われてよ。」
「どうにかって言われてもね……」
 サマエルの話を聞いてベルナルドは苦笑いを浮かべ左頬を掻く。
「これいつまで続くんだ?」
ベルナルドはサマエルに質問されると近くにあった数枚の紙を手に取り目を通し話し出す。
「今日でかれこれ2週間で、あと長くて2、3週間は続くってタブロスから連絡がきてるよ。あ、しばらく雨も降らないって……」
 それ聞いたサマエルは更にうな垂れながらも口に手を当てて何か考え出した。
 ベルナルドはそんなサマエルに何も言わずそのまま様子を見ていた。
「人の出入りも少ないから商業してるやつらも売り上げ悪いってな……」
「ここ2週間程で売り上げが半減したって父さんが言ってた。」
「うーん………あ!!!」
 それを聞いてサマエルは思い付いたように手を叩き鳴らす。
「ベルナルド!!一つイベントをしよーぜ!!」
「イベント?」
ベルナルドの質問にも答えず机に向かい紙とペンを取り何かを書き出す。
「えぇーと………、つまり…。」
「サマエル?」
 ベルナルドの存在を忘れているかのように独り言を交えながらサマエルは何やら書き続けている。
「こんなもんか、ベルナルドこれを村長に渡して許可もらってきてくれ!!」
 サマエルはそう言うとベルナルドに書いた紙を渡した。
「おじいちゃんに?……これは何?」
 差し出された紙をベルナルドは受け取り内容を確認し、少し意表をつかれた顔をした。
「早くしろって!!」
「う、うん。」
 ベルナルドはそう言われ足早に部屋から出ていった。
「これが成功すれば村に活気も出るだろう…」
 サマエルは自信ありげな顔をして窓の外を見ていた。

●夏も楽しく運動会開催
 昼下がりの暑い中、タブロス市内の大きな公園では国民は木陰で休んだり、子供達は噴水で水遊びをしていた。
「日照りが続いているからどこも行く気もしないし……でも仕事もしなくちゃいけないしね。」
 太陽が輝く中皆が口々に空を見上げながらため息混じりに同じ事を繰り返し話している。話題はもっぱら暑さについてだ。
 そんな中1人の商人の格好をした男が足早に話しながら同業者の男に話掛けてきた。
「おい!!あれ見たか?」
「この暑いのにいきなり大声で何だ?」
 声を掛けられた男はうざったそうに顔を上げ質問した。
「さっき何やらあちこちに張り紙がされててな……何やら大会をするとかなんとか。」
「ほう…この暑いのに何を…」
 2人は訝しげな顔をしていた。

 公園の広場にある掲示板には人だかりが出来ていた。
 多くの人が見ている掲示板には張り紙があり、こう書かれていた。

『     暑さを吹き飛ばせ!大運動会!!!
 暑さの続くさなか皆様いかがお過ごしでしょうか。この度バロルド村では日常の一時を
 楽しんでいただきたく運動会を3日後に開催いたします。
 2人1組になり下記の競技を行ってもらいポイントを競ってもらいます。

 ・借り物競争
 ・二人三脚パン食い競争
 ・数取りゲーム
 ・障害物競走
 ・4組対抗リレー
  
  以上の5競技から3つ選び参加してください。
 そして、優勝商品にはバカンスに最適な妖精の森レジャーランドの宿泊券をご用意!!

 参加資格:どなた様でも
 参加費用:1組300ジュール
 開催場所:タブロス市近郊の村バロルド
 用意するもの:特にないが動きやすい格好をお願いいたします

 参加してくださる方は運動会開催日の当日にバロルドまでお越しください。
 皆様のご参加お待ち申し上げております!!!!!

                           バロルド村 青年団     』

 その張り紙を見た者のほとんどは興味津々に見ながら話している。
「妖精の森か……この暑さ続きにはいいかもしれないね。」
「確かにねあそこなら暑さも凌げそうだけれど……そう簡単に優勝できるかね?」
「いやいや、そんな難しい競技でもないしな。俺は嫁と参加するかな!!」
 老若男女とたくさんの人々が運動会の話しをしていた。

解説

運動会を開催します。
参加する方は下記から3つの競技を選んでいただき、プランに記載していただきます。
 
 ・借り物競争
   ちょっとドキッとするような借り物が書かれているかもしれません。神人か精霊のどちらかが滑走者になります。
   素早い判断力と行動が必要になります。

 ・二人三脚パン食い競争
   二人三脚をしながらパン食い競争ですが、息を合わせないと転んだりぶつかったりします。2人の親密度が重要となりそうです。
 
 ・数取りゲーム
   頭を使うゲームです。25までの数があり最高3つまで選ぶことができますが、数の合計が30になったら負けです。勝敗は30にどれだけ
   近いかで決めます。2人で相談しながらの参加で対戦は4組で競います。頭の回転ノ速さが重要です。
 
 ・障害物競走
   青年団が考えた障害物を越えていく競争です。障害としては2メートルぐらいの壁があったり、水の上に不安定な板が置かれていたりと
   合計5つの障害をご用意しています。身体能力の高さと親密度がひつようです。
   2人で協力しながら障害物を越えていってください。どちらかが突破すれば先に進めます。
 
 ・4組対抗リレー
   1組16人で組んで100メートルリレーを行います。至って普通のリレーですが一番ポイントが稼げます。
   友好関係をなんなく気付けるスキルがあるとバトンパスなどがうまく行えます。

 1位には10ポイント、2位には7ポイント、3位には5ポイントとなります。
 また4組対抗リレーでは1位のチームには13ポイント、2位には10ポイント3位には7ポイントです。

優勝する方が複数いる場合には優勝者全員に商品が送られます。
準優勝や3位の方にも贈り物を用意しております。

皆様のご参加お待ちしております。

ゲームマスターより

はじめまして、草壁楓と申します。
閲覧ありがとうございます。
皆さんに楽しんでもらえるようがんばります!!!

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)

  私こういうイベント大好き!
エミリオさん、一緒に頑張ろうね
楽しい思い出たくさん作れるといいな

あとね私エミリオさんにお弁当を作ってきたの
お昼休憩に一緒に食べようね

★二人三脚パン食い競争
掛け声を決めようよ
私が『つぶ!』と『こし!』って交互に言うから、
エミリオさんはその後に『あん!』って続いてね

★障害物競走
壁は肩車したり、水の上は手をつないだり、
エミリオさんと協力して障害物を乗り越えるよ
な、なんか、ドキドキするね(赤面)

★4組対抗リレー
顔合わせの時にチームの人達と雑談して
少しでも交流できるといいな
バトンパスは渡す人の走るペースに合わせて、
名前を呼んでから渡すよ

☆服装
体操着、運動靴

☆使用スキル
会話術
調理


リゼット(アンリ)
  動きやすい服装でとはあったけど
どうして体操着なの!しかも名札付きでブルマ!
恥ずかし…勝たなきゃやってられないわ、やるわよアンリ!

借り物競走にはアンリを行かせる
犬でもお使いくらいやってもらわないと
その…がんばってきなさいよね
負けたらご飯抜きなんだから

パン食い競争は1、2、と声を掛け合いながらやるわよ
私は右から出すからアンリは左から。いいわね?
って、バカどこ触ってるのよ!この変態!
おかげで助かったけど…

障害物競争は高さのあるものや越えるのに力がいるものについては
アンリに助けてもらいながら動きましょう
私はその逆のものを主に受けもつわ

終わったら飲み物とタオルを渡す
まあまあ面白かったわね
今日は、ありがと



●今日も暑いよ運動会
 タブロス近郊の村バロルド。
 ずっと雨が降らず、今日も太陽が照り付け、さわやかな日である。
「結構……集まったな!!!」
 サマエル・ネリアは村の運動会受付所に並んでる人々を見て驚いている。
 並んでいる人々は次々と受付を済ませている。その人々のほとんどは運動服やブルマなど動きやすい服装をしている。
「こんなに来るとは…でもこれで問題も解消するかもしれないね」
 ベルナルド・ハモンドは並んでいる人数を数えながらサマエルに微笑みながら言う。

 50人ぐらいいる列の中にリゼット・ブロシャールとアンリ・クレティエの姿があった。
「アンリ、やっぱりこれは…恥ずかしいよ!!」
「現役が似合ってるよ」
 名札付きの体操着にブルマを穿いたリゼットはかなり恥ずかしいのか自分の服装をキョロキョロと見ながらアンリに訴えている。
 そんな様子のリゼットが面白いのかチラチラと見ながら笑いを堪えている。
「こんな格好をしているんだから、絶対優勝して商品もらうんだからね!!」
「俺がいるんだ優勝してやるぜ!!」
 アンリはやる気満々に笑みを浮かべている。
「頼んだわよ!アンリ!!」
 そんなアンリを頼もしそうに見つめリゼットは拳を握った。

 受付の机に申し込み用紙を差し出し微笑みを浮かべているのはミサ・フルールである。
「よろしくお願いしますね」
 その横にはエミリオ・シュトルツの姿がある。
「随分参加者が居るね……もう少し少ないと思ってたよ」
 エミリオは受付の机の上にある申し込み用紙の束を眺めながら少し目を丸くしている。
「ミサさん、エミリオさんは二人三脚パン食い競争に、障害物競争、リレーですね?お間違いありませんか?」
 受付の女性は2人に申し込み用紙を見ながら確認する。
 それに2人は頷きながら視線を合わせる。
「はい、間違いありません!!」
「開会式が受付を出た南西にある特設競技場で御座いますので、そちらに待機お願いします」
 そう言われ2人は受付から離れていった。

●緊張の中での挨拶
「この度はバロルドにお、お越しいただきまして……お日柄もよく……」
 サマエルはあきらかに緊張した面持ちで手を震わせながらメモを読んでいる。
 その様に運動会に参加している者たちは皆笑いを堪えているのかざわついている。
「あれじゃ……」
 そんなサマエルにベルナルドは額に手を当てて苦笑いを浮かべた。
「ではこれにて、開会式の挨拶を終了させていただきます!!!!」
 サマエルは勢いよく頭を下げると目の前にあるマイクに頭をぶつけた。
 会場にはそのぶつけた音が鳴り響いている。それと同時に参加者はずっと堪えていた笑い声が響き渡る。
「緊張しすぎじゃないかしら……」
「あんな古典的なのは久しぶりに見たよ」
「では!!ルールの説明に移ります」
 ぶつけた頭を抑えているサマエルを無理矢理に上がり台から引きずりおとしベルナルドがマイクを拾いながら話し出す。
「まず、競技の順番ですが、借り物競争、二人三脚パン食い競争、次に数取りゲーム、障害物競走に最後は4組対抗リレーになります」
 ベルナルドが説明しだすと会場は静まり返った。
「また、競技においてルール違反が見られた場合、即失格と致しますのでご了承願います。ルール違反についてはお配りしたパンフレットに記載しておりますのでご確認下さい」
 そう言われ参加者の各々がパンフレットを開き確認している。
「えっと……登録した人物と違う者が代行して競技を行う、参加者同士で乱闘、それに他参加者の明らかな邪魔する行為を行う」
「あとは、競技に関係ない物の持ち込みに器物の破壊かな」
 ミサはルール違反の項目を目で追いながら読み上げ、それに続きエミリオが続きを読む。
「その他ルールに付きましてはパンフレットをお読み下さい」
 ベルナルドはそう言うと一礼して台から降りる。それと入れ替わるようにサマエルが再び台に上がりマイクの前に立つ。
「それでは運動会を開催します!!借り物競争に参加する方はそのまま中央に残り下さい」
 サマエルはさっきの緊張はどこにいったのかと思うほどハッキリと開会宣言した。
「さて始まるわね。頼りにしているわよ!!アンリ!!」
 リゼットはそう言うとアンリの背中を軽く叩いた。
「任せとけよ!!」
 人差し指を立てリゼットにウィンクするアンリだった。

●そこに書かれているのは!!
 開会式から30分、借り物競争が始まっていた。
「アンリ次よ!!ちゃんと紙を拾ってそこに書いてあるものをもって早くゴールを目指すのよ!!」
「分かってるよ!!」
 リゼットは走る準備をしているアンリの背中に向かって力を込めてそう言い放った。
「次滑走の方!準備をお願いします!!!」
 係員にそう言われアンリは3番目の滑走の枠に入る。
「1位じゃなかったらご飯抜きなんだからね!!」
「絶対に1位なるから安心して見てろよな!」
 リゼットの言葉にアンリは振り向き自信ある目で答える。
「頑張ってね!」
「OKー!」
 前を向いたアンリに精一杯の大きな声でリゼットは叫んだ。それに手を軽く手を振りながらアンリが答える。
「では、15組目開始です!!」
 係員がそう言うとスターターピストルを構え会場に大きな音を響かせた。
 それと同時に5人が一斉に走り出す。
 最初に飛び出したのは2人、その1人はアンリである。
「紙!!」
 アンリはそう言うと金色の髪をなびかせ地面に落ちている5センチ四方に折りたたんでいる紙に手を延ばし拾い開く!!
「えっ!!!!」
 内容を見たアンリは一瞬固まったが急いでリゼットの元に走り出す。
「リズ!!!!」
 そのアンリの勢いは凄いものであっという間にリゼットの下へと辿り着いていた。
「ア、アンリ!!??」
「早くしろ!!!」
 そう言うとアンリは素早く手を取り走り出す。
「ちょっ、ちょっと!!」
「1位だから早く走れ!!」
 リゼットは戸惑いながらも手を引かれながら走り出す。
 その他の滑走者も借り物を探しながら急いでいるが、アンリは素早くゴールを目指している。
「あと少しだ頑張れ!!」
「わかっているよ!!」
 一緒に走っている2人は後ろから追いかけてきている2人の滑走者を気にしながらもゴールを目指す。
 少しずつ近付いてくるのを感じながらも2人は必死である。
「1位ーーーー!!」
 アンリがそう言うとゴールテープを切った。
「はぁはぁ……アン、リいきなりなんなの?」
「だって……」
 リゼットの質問に持っていた紙を差し出し見せる。
「えっ!!!」
 リゼットは差し出された紙を見て絶句する。
 そこには『ブルマ』と書かれていた。
「リズだろ?」
「なっ!!!」
 少しからかうような笑みを浮かべアンリは言う。
 反論できないのかリゼットはその場に固まった。
「よし!!1位だぜ!!!」
 アンリの声が会場に響き渡った。

●パンの中身はつぶあん?こしあん?
 借り物競争が終わりパン食い競争が始まっている。
 滑走の枠にいるのはリゼットとアンリ、そしてミサとエミリオ、その他2組である。
「1位は確実にとろうね」
 ミサは自分の右足とエミリオの左足を青色の紐を結びながらそう言った。
「そうだね」
 エミリオの優しい声に紐を結び終わったミサは微笑み返す。
「おい、1位は俺達だぜ!!」
「負けないよ!!」
 その会話を聞いてか足を結び終わったリゼットとアンリが反応する。
 リゼットは左足とアンリ右足を結んだようだ。
「私達も負けないよ!!」
「そうだね!!」
 好戦的なリゼットとアンリに対し優しい微笑みを浮かべながら返す。
「では3組目、よーいスタート!!」
 係員がいうとスターターピストルが鳴り響いた。
 パンは滑走者の約150メートル先にある。
「つぶあん!」
「こしあん!」
 ミサとエミリオは交互に言いながら息を合わせている。
「1!」
「2!」
 またリゼットとアンリもそう言いながらリズム良く走っている。
 しかし、2組の前に1組が前に出る。
「おい!!抜かれた!!!」
「分かってるわよ!!ほら!1!!!」
 前を走る1組に反応してリゼットとアンリは掛け声を早くする。
「つぶあん!もう少しだね」
「うん、こしあん!」
 ミサとアンリは至ってペースを崩さずパンを目指して走っている。
 1組に遅れてほぼ同時にリゼット組とミサ組が到着する。
「以外と高いところにあるね」
「エミリオさん、何とか届くか届かないかだね」
「俺はなんとか届くよ。せーの!!いただきます!!」
「いただきます!!」
 ミサの体を軽く支えてエミリオはそう言うとパンに食らいつき、少し遅れてミサも噛み付いた。
「届かない!!!」
「おい!!あーーもう!!リズ!!」
 届かないとあたふたしているリゼットにアンリは焦り体に手を回す。
「ちょっと!どこ触ってるのよ!!」
「いーから!!」
 アンリは自分の左足を上げると同時にリゼットを抱え上げ自分もパンに向かって飛びついた。
「食べろ!!」
そういうと2人は同時にパンを口に含んだ。
「あ、つぶあん……」
「私もつぶあん!」
「ゴールを目指そう!つぶあん!」
「こしあん!」
 一足早くミサ組はまた掛け声を合わせて走り出す。
「行くぞ!!」
「1位!!」
 リゼット組もそういうと再び走り出した。
 抜きん出てた1組はどうやらうまくパンを食べれないようだ。
「もう少し!2!!」
「抜けない!!1!!!!」
 前走るミサ組にあと少し追いつけずリゼット組は掛け声を早くする。
「もう少しだよ!!」
「もう少し!!」
 ミサ組は安定して走っている。
 リゼット組は少しずつミサ組に近付いていく。
 リゼット組はどんどん掛け声のスピードを上げていきミサ組を半歩抜く、そして2組はゴールまであと2歩ぐらいである。
「並んだ!2!!」
「1!」
「つぶあん!!」
「こし!きゃっ!!」
 掛け声を合わせていたミサはゴール寸前で足を石に躓かせた。
「危ない!!」
 咄嗟にエミリオはミサを抱えようとするとそのままテープを切る!!
 ギリギリのところでエミリオはミサを支え間一髪転ばずに済んだ。
「エミリオさんありがとう!」
「間に合ってよかったよ」
 2人は顔を見合わせ微笑みあった。
「どっちが1位??」
 そんな2人の横で審判にリゼットは聞いている。
「今同時か?」
 アンリは首を傾げながらリゼットを見ている。
「えっと……」
 審判はそう聞かれ考え込む。
「同着?」
 ミサはエミリオにそう聞くがエミリオは分からないと首を振った。
「今のは……ど、同着で!!」
「どうやら1位みたいだね」
「やった!!」
「よし!また1位だぜ!」
 審判の言葉に4人は同時に喜んだ。

●2人の絆
 二人三脚パン食い競争が終わり運動会の係員達が急いで障害物の用意をしている。
「私達は…」
 用意をしている中でミサは順番の張り出された掲示板を見ていた。
「2番目だね」
 エミリオはそう言うとストレッチを始めている。
「リズ俺達も2番目だ!!」
「ここで1位になれば全部1位で優勝よ!!」
「絶対勝ってやる!」
 リゼットとアンリは拳を握り合わせる。
 ストレッチを続けているエミリオと一緒にミサも一緒にストレッチを始める。
「見ているといろいろな障害物があるみたいだね」
 そのまま続けながら用意されている障害物を見てエミリオは言う。
「えっと、壁登りにプールの中に平行棒…網の中を通って樽を転がしながらゴールだね!」
「大丈夫全部越えれるよ」
 入念にストレッチを続けているエミリオは余裕の笑みを浮かべている。
「3組目の方!用意をお願いします!!」
「行こうか」
「うん!」
 エミリオはそう言うと歩き出しその横に並んでミサは付いていった。
「リズこれを1位でいけば何点だ?」
「ちょうど30点よ!」
「ここで落としたらやばいか?」
「全部1位じゃなきゃご飯抜きよ!」
 指で数を数えながらアンリが聞くと、リゼットは人差し指は立ててアンリに言った。
「わかったよ!!最後の競技だな。頑張るか!!」
 アンリはそう言うと背伸びをした。

「では、スタート!!」
 係員がそういうと大きな音を立ててスターターピストルから煙と同時に大きな音を立てる。
 エミリオとミサが走り出した。
 負けずとリゼットとアンリも走り出す。
「俺が全部やるからミサは先に行って待ってて!」
「分かった!!」
「リズ!!俺がいくから先にいろよな!!」
「これは全部アンリ向けよ!!」
 最初の壁の障害物には突起があり3メートルぐらいある。
「すぐ行くよ!」
 そうエミリオに言われミサは頷きながらそのまま壁を通り過ぎる。
「これぐらいオーガを倒すのに比べたら!」
「どーってことないよな!」
 アンリとエミリオはそう言って難なく登っていき一番上までいくとそのままリゼットとミサに向かって飛び降りた。
「次行くぞ!!」
 アンリはそう言うとリゼットの手を引き平行棒に向かう。
「俺達も行くよ!!」
 エミリオもミサに手を差し出し向かう。
 1メートルのプールの中に平行棒が滑走者分の4本ある。早く付いた順から平行棒に上がり渡っていく。
「エミリオさん頑張って!!」
「アンリーーー!!」
 平行棒をなんなく走り抜けていく2人に声援を送っている。
 アンリとエミリオはほぼ同時に平行棒から降りる。
 他の滑走者はまだ来ていないようだ。
「次は網だね。ミサ、ゴール付近に居てよ」
「うん!!」
 ミサはその言葉に従うようにゴールを目指して走り出す。
「網!!」
 アンリそう言って網の中に入り中腰で小走りをしている。
 エミリオは匍匐前進しながら進んでいる。
「アンリ!!早く!!」
「あー、絡みつく!!」
 リゼットの声が聞こえてないのかアンリは網を頭の上に上げながら耳に引っかかっている網を取りながら進む。
 先に網を抜けたのはアンリである。3秒送れてエミリオが網を抜け樽に向かって走る。
「リズお前も押せ!!」
「頑張るわよ!!」
「エミリオさん!!頑張って!!!」
 エミリオに向かって大きな声でミサが叫んだ。
 アンリとリゼットは一緒に樽を押しながら進んでいく。
「意外と重いな!!」
 エミリオそういうと少し顔をしかめ樽を押しだす。
「もっと押せ!!」
「やってるわよ!!」
 リゼットとアンリはそう言うと力を込めて樽を押し出しゴールを目指す。
 エミリオを少しずつ離しながらリゼット達は進んでいる。
「もう少し!!」
 エミリオは精一杯の力を込めてゴールまでの100メートルを進んでいる。
「これで!1位だ!!」
 リゼット達はアンリの声と同時にゴールテープを切った。
「エミリオさん!!」
 ミサはそう言うとエミリオに駆け寄り一緒に樽を押し出す。
「ミサ!」
「一緒に押すよ!!」
 リゼット達のゴール5秒後ぐらいにミサ達がゴールをする。
「ミサ、ごめん2位で」
「大丈夫、かっこよかったよ!」
 ミサにそう言われ申し訳なさそうにしていたエミリオは少し照れくさそうに笑った。
「よし!!これで全部1位だぜ!」
「アンリ!!」
 リゼットとアンリはハイタッチをした。

●疾走する者たち
 運動会の会場は最後の競技に盛り上がっていた。
「最後だね!!」
 ミサの言葉にエミリオは頷く。
「勝とう」
 ミサ達の周りには他に4人の男女が居た。
「円陣組まないかな?」
 エミリオの言葉に同じチームの4人が近寄り円陣が組まれる。
「最後!頑張りましょう!!!」
 ミサは元気良くそう言うと同時に声を上げる!!
「俺達がアンカーをする!!序盤頼んだよ!」
 チームのメンバーが頷きそれぞれの滑走の場所に移動する。
「私がバトンを渡すのはエミリオさんですね!!」
「そう、ミサからのバトンで1位になるよ」
 ミサを置いてエミリオはアンカーの滑走枠に歩いていく!!
「では、本大会最後となります!!よーいスタート!!」
 最後にそう言ってスターターピストルを鳴らしたのはサマエルだ。
「結構盛り上がったみたいだね」
 ベルナルドはサマエルに近付きながら声を掛けた。
「あぁ閉会式の準備だ」
 サマエルとベルナルドはそう言うとその場を去った。
 その頃リレーはミサ達のチームが3位の順位で走っていた!!
「もう少しで来る!!エミリオさんにちゃんと渡さなきゃ!!」
 3位という順位ではあるがエミリオは余裕そうに足を延ばしストレッチをしている。
「あれぐらいなら……」
 様子をみながらもアキレス腱を伸ばしている。
 リレーに参加した者は足に自信のあるものなのか皆早い。
「アンカーは200メートルだ。いけるよ」
 目を閉じながらエミリオは呟いた。
「ミサさん!!」
「はい!!」
 ミサは名前を呼ばれバトンを受け取る。
「前に2人少しでも!!」
 ミサはそう言うと全速力で走り出す。
 少しずつではあるが前に走っている人達に近付いていく。
「もう少し!!」
「ミサーーー!!もう少しだ!!」
 10メートル先にいるエミリオは手を延ばしミサを呼ぶ。
 その声にミサは応えるようにスピードを上げていく。
 エミリオにどんどん近付いていき、バトンを差し出した。
「エミリオさん!」
「ミサ!」
 ミサの言葉と同時にエミリオはバトンを受け取った。
 健闘のかいがあり2位とほぼ同時にバトンを受け取るとエミリオを低い体勢でそのまま走り出した。
「エミリオさん!!」
「任せてよ!!」
 笑顔を浮かべながらエミリオは走り、その表情は少しずつ真剣な眼差しになっていく。
 アンカーにバトンが渡った途端会場には歓声があがる。
 エミリオは凄いスピードで2位を離しそのまま1位にを抜かしている。
「いける!!」
 エミリオはそのまま1位を抜かしダントツの1位になっていた。
 そしてそのままゴールテープを切る。
 ゴールで待っていたミサはエミリオに駆け寄る。
「エミリオさん!!凄いよ!!」
「ちょっと、本気になったんだよ」
 少し息の切れたエミリオはミサに笑顔を浮かべ応えていた。
「これで、30点だね!!」
 ミサは嬉しそうにその場で飛び跳ねている。
 そんな様子のミサにエミリオは満足そうな顔そして見ていた。

●宿泊券は誰の手に
 閉会式が始まる頃には昼時を少し過ぎていた。
 サマエルは台に上がり話しをしだす。
「本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました」
 その言葉に拍手が聞こえる。
「では、今大会の優勝者を発表致します!!」
「何点かな?」
 少し緊張した面持ちでミサがエミリオに言う。
「特に点数表がなかったからね…」
 首を傾げながらそう応えた。
「30点だよな!!」
「30点よ!!」
 リゼットとアンリも緊張した面持ちでサマエルの言葉を待つ。
「優勝者は!!リゼットさん組とミサさん組です!!」
 その言葉に一瞬空気が止まるが4人は同時に喜びだす。
「優勝よ!!」
「やったな!!」
 リゼットとアンリは抱き合い喜びあう。
「優……勝?」
「ミサ、優勝だよ」
 ミサとアンリは満面の笑みで言葉を交わした。
「続きまして2位になりますが……」
 サマエルは続けて話し出した。

 閉会式も終わりミサはリゼット達を誘い少し遅めのランチを摂っていた。
「一緒に優勝できるなんて嬉しいね!!」
「本当だね!!」
 ミサとリゼットは笑いながらウィンナーを摘む。
「いい汗かいたよ」
「飯抜き免れたぜ!!」
 手で汗を拭うエミリオにミサはそっとタオルを渡す。
 アンリは言いながら目の前にあるからあげを口に放り込んだ。
「リゼットちゃん達はいつ泊まりに行くの?」
「最近暑いから直ぐにいこうと思ってるよ」
 リゼットは太陽が輝く空を見ながらそう応えた。
「それ俺の」
「ん?これ?」
 アンリがそう言われ食べようとしていた卵焼きを横からエミリオは取り上げ口の中に入れる。
「1個ぐらいいいだろ!?」
「ミサが俺のために作ったんだよ」
 アンリの言葉をミサを見つめながら卵焼きを食べる。
 その二人にリゼットとミサは微笑みを浮かべ楽しそうに見つめていた。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: 神田珊瑚  )


エピソード情報

マスター 草壁楓
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 2 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 06月08日
出発日 06月15日 00:00
予定納品日 06月25日

参加者

会議室

  • [2]ミサ・フルール

    2014/06/14-00:11 

    ミサ・フルールです。
    ディアボロのエミリオさんと一緒に参加します!
    どうぞよろしくお願いします(お辞儀)

    リゼットちゃん、久しぶり(嬉しそうに手を振る)
    運動会楽しみだね、お互い頑張ろう!

  • [1]リゼット

    2014/06/12-18:01 

    リゼットよ。連れのアンリと一緒に参加するわ。よろしくお願いね。
    さ、のんびりしてはいられないわ。今から走り込みよっ。


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