プロローグ
「明日、ちょっと出掛けない?」
「ああ、いいぜ」
そんな感じに、精霊は神人の誘いに乗って出かける事にした。
「お待たせ、待った?」
「いや、全然。それで今日はどこに行くんだ?」
「えっとね、実はお勧めされたところがあって……」
言いながら神人はごそごそと鞄からメモ帳を取り出す。そこにどうやら今日の目的地が書いてあるようだ。
「新装開店のカフェと、ゲームセンターと、公園!」
「ふぅん?」
「カフェはねぇ、自分で好きなパフェが作れるんだって。それとゲームセンターは今ハロウィン仕様になってるみたいで、あと公園はライトアップとかちょっとした映像とかが見れるらしいよ」
「そりゃ凄いな。ところでそれ誰にお勧めされたんだ?」
「A.R.O.A.の受付の人!」
神人はニッコリと笑って答えた。
精霊はニッコリと笑って頷いた。
(その受付の人っていうのは、お前の斜め後ろ方向の街灯の影に隠れてるサングラスとマスクつけた怪しい二人組みのことか?)
精霊は空気を読んでそういう声は飲み込んだ。
そう、貴方達の二人きりのおでかけは、A.R.O.A.の受付職員に見守られていた。
後に被疑者その一曰く『いや違うんですよ、ミラクル・トラベル・カンパニーに勤めてる友達にデートスポットに行ったカップルの反応がほしいんだけどサンプルが少なすぎて大変って相談を受けちゃったから、ウィンクルムは愛情を深めるのに丁度いいだろうし、あの、ね? だってもう焼肉奢って貰っちゃったし!!』との事。
被疑者その二曰く『いいじゃないですか皆さんは楽しめる、私はサンプル集められる、その結果もっといいデートコースやデートスポットを紹介できる、そこに行って皆さんはまた楽しめる、これがウィンウィンってヤツですよ!!』との事。
あからさまに怪しい二人組みが様々なウィンクルムの後をつける。つけられている事に気付く者もいるし、まったく気付かない者もいる。
さぁ、貴方達は怪しい二人組みに気付くのか、気付かないままお出かけするのか。
どちらにしても、おでかけ中に貴方達は何とも興奮気味の奇声のような歓声のようなものを聞くはめになる。
解説
●行き先について
・1、カフェ…季節の果物とアイスとフレークとカステラとクリームを好きに組み合わせてパフェを作る企画をやってます
2、ゲームセンター…ハロウィン仕様で入り口で猫耳と尻尾を渡されるのでつけて遊ぶ事になります
3、公園…イルミネーションで作られた光のトンネルと、レンガ倉庫の壁に様々な花が映されるプロジェクションマッピングがあります
・カフェ、ゲームセンター、公園のどれか一つに行ってもいいですし、全部に行ってもいいです
・プランの頭に行く場所の番号を書いてください、全部行く場合は『全』の字を書いてください
●ストーカーについて
・サングラスとマスクをつけたあからさまに怪しい二人が貴方達から少し離れてついてきます
・貴方達がとる行動によってたまに歓声をあげたり叫んだり写真撮られたりします
・ストーカーに気付いても気付かなくてもいいです
・二人に話しかけてもいいですが、物理的に排除したりしないでネ! 喧嘩良くない!
●何だかんだでおでかけ中にあれこれ散財してしまった
・500Jrいただきます
ゲームマスターより
気付いた場合、見せ付けるのもいいし恥ずかしくなってギクシャクしちゃうのもいいですね。気付かない場合、普通にデートを楽しめますね。
どっちにしても叫ばれます。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ニーナ・ルアルディ(グレン・カーヴェル)
13 あれ、あの人達さっきも見かけたような…? やっぱり職員さんにオススメされた通り人気の場所なんですね! パフェ作りってそういえばやったことないですね、楽しみです! 私は果物多くしてみましょうか…うっ、いっぱい乗せようとするとなかなかバランスが… よーし、ぐらついてるけどどうにかアイスもてっぺんに乗りました! では早速いただき…あ、アイスがっ、アイスが落ち… 帰る前に公園に寄ってもいいですか? 光のトンネル、どうしても通ってみたくて… カップルの人が多いですね、あの人達腕組んでる…いいなぁ あの、腕を…いえ何でも! 袖を摘むくらいしか出来ない自分の勇気のなさが悔しいです… せめてもうちょっとだけくっつい…ひゃあ! |
かのん(天藍)
1と3 天藍、午後から出かけませんか? A.R.O.Aの方に良い場所教えて貰ったんです どうかしました? パフェ 天藍の言葉に甘えて半分こ前提に2種注文 焼き林檎+バニラアイス+キャラメルソース 和栗+抹茶アイス+白玉 おいしいですね 満面の笑み 天藍もどうぞ 日が落ちる前に公園へ行っても良いですか? …えっと、管理を請け負っているお庭にイルミネーションのお話が来たりするので、木を傷めないような配線とか気になって… 2人で出かけているのに仕事モードを持ち込んだ後ろめたさ あの、でも、イルミネーションは天藍と一緒に見たかったんです 差し出された手ではなく腕にしがみつくように 肩を抱かれたので身を寄せる こうしていると温かいですね |
水田 茉莉花(八月一日 智)
12 食べ物のイベントには目敏いのねホントに あ、ありがと…葡萄と甘栗と抹茶と餡 下のゼリーっぽいのはくず餅かぁ ほづみさんのそれ、持ってテーブルまで行けます? あっ、危ない!(支える) 気のせいじゃ…ないと思います(後ろチラ) ほづみさんあれ! ロケテここでやってたんですね、あのアプリ連動のアーケードゲーム さとるさん、泣いてるんですか?(頭撫で) ハイハイわかりました お菓子いっぱい取っていきましょうね さ、何言うんですか!ボタン押し間違ってアーム引っ掛かったじゃないですか! …ほづみさん、さっき向こうで取ってたの、この箱ですか? ピンキーリングのペンダント(どう見ても景品じゃない) さとるさん、この意味ってあのその… |
八神 伊万里(蒼龍・シンフェーア)
1 久しぶりのそーちゃんとのお出かけ …は、いいんだけど、何だか視線を感じるような気がするんだけど… 誰かいた?気のせいなのかな…釈然としない 気を取り直してパフェ作り まずクリームを敷きカステラを重ねる 上にアイスを豪快に乗せ フレークで底上げは邪道です フルーツはとれに…え?あの、そーちゃん…近いんですけど… ダメっていうか… どうしよう そーちゃんは初恋の人だけど、私は今他に好きな人がいて だからきちんと話しておかないといけないのに あ、あのね!私あなたに言っておきたいことが…ひゃっ! い、今の何!えっ、取材…?何の? ダメだ…今日は真面目な話ができない…! 完成後、テーブルに突っ伏しため息 また今度、話聞いてね… |
アンジェリカ・リリーホワイト(真神)
受付の人におススメされたカフェと公園に行きましょう! 「雪さまどうしたんですかー?」 そうですか?? カフェ パフェ作りですね! そうですよね、雪さま素うどん茹でるのが精一杯ですもんね… 雪さまは栗ですか?それじゃ、私はぶどうのパフェにします フレーク入れて―、クリーム入れてー、アイス入れてーたくさんぶどう盛って~ うふふー、こんな感じです! 雪さまのは…ホントに栗盛っただけですか! せめてモンブランにしましょうよ! 私の、一口食べますか? 公園 手を繋いでプロジェクションマッピングの建物へ行きます 「こっちみたいですね」 そいういえば、出会って一年ですよね 改めて、選んでくれてありがとうございます 大好きですよ、雪さま! |
■秋のパフェは感謝の味
「受付の人におススメされたカフェと公園に行きましょう!」
とある秋の日、『アンジェリカ・リリーホワイト』は自身の精霊である『真神』に誘いをかけた。
誘われた真神はここ最近の事を振り返る。自身が隠れ家にしているカフェへ行こうとした時、可哀想な事にアンジェリカは高熱を出して寝込んでしまい行く事が出来なかった。それを考えれば真神に断る選択肢はない。
「ふむ。この間あんじぇが風邪引いて出かけられんかったしの、出かけるのは良いが……」
笑顔で答えながら、真神はちらりと視線をアンジェリカの背後のその更に先へ向ける。
そこには……。
「いいですねいいですね、身長差カップルたまらんじゃないですかふひひひ」
「カフェと公園に行くみたいね……よし、いい感じに楽しんで頂戴ね~」
サングラスとマスクをつけて建物の影から上半身だけ覗かせ、さらに双眼鏡やら集音器やらを駆使してこちらの様子を窺っている怪しい二人がいた。
(あれは何であろうか……)
真神は視線を逸らして考える。とりあえずあのわかりやすさからプロの調査員とか後ろ暗い者ではないだろう。というか、片方の人間は何となく見た覚えがある気がする。具体的に言うとA.R.O.A.とかで。
「まぁ、害意はない様だし放っておくか」
「雪さまどうしたんですかー?」
ぽそりと呟いた声にアンジェリカは小首を傾げて訊ねる。
「いや、汝が気にすることではない」
真神が微笑みながら答えれば、アンジェリカはよくわからなそうな顔をしながら、それでも「そうですか??」と返した。
「では、まずはそのかふぇへ行くとしようか」
「はい! えっと、こちらです」
アンジェリカは張り切って道案内を始めた。
「あああああやばいやばい何あの可愛さの塊のような笑顔まじたまらん!」
「くっそ、カフェ周辺の雑貨屋とかも伝えておけばよかったもっとキャッキャうふふ見たいんだけど!」
風に乗って聞こえてくる戯言に、一瞬真神の表情が生温い笑みになる。
(本当に、なんなんであろうか……)
あまり深く考えてはいけない。
「パフェ作りですね!」
「ぱふぇか……」
カフェの一角、パフェ作りスペースにて、真神はどうしたものかと考える。
「あんじぇ、何をすればいい」
「そうですよね、雪さま素うどん茹でるのが精一杯ですもんね……」
自分の精霊の事を考えれば、ここでスムーズにパフェ作りが始まるわけがなかった。そんなわけで、アンジェリカはまず一般的なパフェと簡単なつくり方をその場で説明する。
「……ふむ、器に盛ればいいのか……我は善哉が食いたかったのだが……」
言いながら真神は見回すが、餡子はあっても善哉はない。別のものにするしかなさそうだと小さ目の器を手に取る。
「とりあえず、栗の甘露煮でも……」
「雪さまは栗ですか? それじゃ、私はぶどうのパフェにします」
真神が栗を取り始めたのを見たアンジェリカは、色とりどりの葡萄へと向かう。
「フレーク入れて―、クリーム入れてー、アイス入れてーたくさんぶどう盛って~、うふふー、こんな感じです!」
出来上がったのは可愛らしくも美味しそうな葡萄のパフェ。バニラと葡萄のアイスの上に、丸々つやつやとした若草色と紫黒色の粒を綺麗に並べられている。
「雪さまのは……ホントに栗盛っただけですか!」
対して、真神の手元にあるのは栗の山である。かろうじて渋皮煮も混ぜられているが、見事に栗。栗オンリーである。
「せめてモンブランにしましょうよ!」
「もんぶらんとは何ぞや」
そこから説明が必要だった。アンジェリカが必死に説明するが、あまりよくわかってはいない様子の真神。
「んー……わかりました、今度、一緒に食べましょう!」
「ふむ、それがよさそうだな」
にこりと笑う真神に、アンジェリカも微笑む。
(ふふ、約束してしまいました)
ふわふわした気持ちで出来上がったパフェを食べ始める。口に広がる甘さと冷たさは、今のアンジェリカに心地よく染み渡るようだった。
「私の、一口食べますか?」
幸せを分かち合おうと、アイスと葡萄を乗せたスプーンを真神の方へ差し出す。
「ふむ、まあ一口いただくか」
言って、真神はそのままパクリとスプーンを口にいれる。
「ん、これはいい」
「よかったです!」
微笑みあう二人。可愛らしいパフェ(と栗の山)。甘い空気。そして何処からともなく聞こえる「ああああああああ……ッ!」という悶絶した声。
アンジェリカがニコニコと笑いながらパフェを食べるのを横目に、真神はさっき見つけた二人組がやはり店内の離れたところにいるのを見つけた。悶絶した声の発生源はあそこのようだ。
(なんなんだあ奴らは……)
あまり深く考えてはいけない(二回目)。大丈夫、害意は無い。多分。
パフェ(と栗の山)を堪能した二人は、もう一つの目的地である公園へと向かった。
「転ばれては困るからな」
公園に着くと、真神は自然と手を差し出し、そしてアンジェリカも素直にその手を取った。
「こっちみたいですね」
目当てはプロジェクションマッピングが行われている建物。そこへと二人は手を繋いで向かう。
「そういえば、出会って一年ですよね」
「そういえば、もうそんな時期か」
出会って一年。まだ一年と言うべきか、もう一年と言うべきか。
建物の前へとたどり着く。目の前でプロジェクションマッピングが始まる。同じように集まった人達の歓声の中、壁に蔦が這い、その蔦から花が咲き、花が散りながら他の花へと変化していく。それはまるで出会ってから今までの様々な出来事のようだ。
「改めて、選んでくれてありがとうございます」
アンジェリカはきちんと真神に向き合って、感謝の言葉を述べる。
「大好きですよ、雪さま!」
そしてアンジェリカは笑う。映し出される花々と同じくらい華やかに、可憐に。
「一年しか経っておらんが、その……汝と出会えてよかったと思っておる」
その笑顔を微笑ましく思いながら、真神も言葉を紡ぐ。同じように感謝と深い愛を乗せて。
「我は汝をちゃんと伴侶として見てるおるぞ」
アンジェリカの頬に、可愛らしい赤い花が咲いた。
■プレゼントのその意味は
何もせずとも目の前で出来上がっていくパフェを見て、『水田 茉莉花』は軽く溜息を吐いた。
「食べ物のイベントには目敏いのねホントに」
「おうよー」
応えたのもパフェを作り上げてるのも、茉莉花の精霊である『八月一日 智』だ。
「それに、こういうパフェだったらまりかも食えんじゃねーかと思ってな……よし、秋の味覚和風パフェ完成っとな」
智がずいっと完成品を突き出せば、茉莉花はそれを見てきょとんとする。
「和菓子系なら食ってただろ?」
当たり前のように言う智に、少しずつ平気になったとはいえ甘いものが苦手な茉莉花は、何とも言えないくすぐったい気持ちになる。
「あ、ありがと……」
受け取った『秋の味覚和風パフェ』をじっくりと見る。パフェグラスに詰め込まれたのは葡萄と甘栗と抹茶と餡。
「下のゼリーっぽいのはくず餅かぁ」
これは確かに和菓子のようだ。そう感心していると、智は得意気にもう一つを突き出した。
「そしておれのは全のっけ金魚鉢パフェ、ウヒャッホウ!」
大きい。智の顔と同じの大きさ。そんな金魚鉢に、これでもかとあらゆる具材が詰め込まれて盛られている。盛られすぎて金魚鉢の二倍になっているような気がする。なにせ茉莉花からは智の顔が見えないほどだ。というか、うん、これ、ちょっと盛られすぎである。店員さんの笑顔が泣きそうだ。
「ほづみさんのそれ、持ってテーブルまで行けます?」
呆れと心配から声をかけた、その瞬間。智の足元がぐらついた。
「あっ、危ない!」
咄嗟に茉莉花が智を支える。
「さ、サンキューまり……」
ほっとした智が感謝した瞬間。
「ぎゃ――――!! ぶらぼ―――――!!」
「もっと密着してもいいんですよ―――――――!!」
店内の、どこからともなく、響く声。(五七五)
「……何か絶叫聞こえたのは気のせいか?」
「気のせいじゃ……ないと思います」
小声で話した二人は、ちらりと後ろを覗き見る。すると、慌てて隠れる妖しい影が二つ。
「あれ、A.R.O.A.の受付の人だと思う……」
「何やってんだA.R.O.A.職員……」
呆れた二人は、じとりと怪しい影の方を見ながら席に着く。妖しい影は白々しいほど遠くを見たり下手くそな口笛を吹いたり……。
パフェは美味しく食べられた。BGMは悲鳴と歓声とたまにシャッター音であった。
カフェを後にし、ゲームセンターに着いた二人は、入り口で猫耳と尻尾をつけてもらった。
「か―――わい―――――!! え、何、にゃあって言ってくれるの? 二人でじゃれあってくれるの?!」
「プチコスプレ最高―――――!! 今後も仮装とかコスプレとか出来る場所を紹介しちゃうぞ―――!!」
店内に響く声を、二人は華麗に無視する。ついてきたのかよ! というツッコミすら口にしない。だってあれ絡んだら面倒臭いタイプだ。
さて、どのゲームをしようかと見回していると、ふと茉莉花がある事に気づく。
「ほづみさんあれ!」
パシパシと智の肩を叩きながら、少し離れたところのアーケードゲームを指差す。
そこには導入されたばかりのゲーム機があり、何人もの客がまだかまだかと並んでいる。
どこにでもある良く見る光景だ。けれど、二人には、特に智には特別な光景だった。
「ロケテここでやってたんですね、あのアプリ連動のアーケードゲーム」
それは智が仕事で関わっていたゲームだった。
「あのパズルゲームが……プレイしてくれる人もいる」
目を見開いて見入る智は、次第に目が潤んできた事に気付き、隠すように下を向いた。
「さとるさん、泣いてるんですか?」
気付いた茉莉花が声をかけ、優しく頭を撫でる。
「……ウルセェ、目から鼻水だばっきゃろ」
言って、智はぐいっと乱暴に目元をぬぐって笑顔で前を向く。そこには晴れ晴れとした笑顔があった。
「おっしゃ、今日はパーッとクレーンゲームで散財するぞチキショ!」
「ハイハイわかりました。お菓子いっぱい取っていきましょうね」
笑いながら茉莉花が答え、二人はクレーンゲームのコーナーへと進んでいく。BGMは嗚咽と割れんばかりの拍手であった。
暫くそれぞれ自由にクレーンゲームを楽しんでいたが、茉莉花が夢中になっている横に、いつの間にか智がやってきていた。
「そういやまりか、何か最近おれの事を名前呼びすること増えてね?」
ガチャン。
唐突な発言とその内容に動揺した茉莉花は、動揺してボタン操作を誤ってしまった。
「さ、何言うんですか! ボタン押し間違ってアーム引っ掛かったじゃないですか!」
「いやぁ、気のせいじゃなかったらコレやると怒られそうだと思ってよ」
そう言って、智は白い綺麗な箱を茉莉花に渡してくる。
「……ほづみさん、さっき向こうで取ってたの、この箱ですか?」
店内を歩いていた時に見かけたクレーンゲームの景品と似ていたので、そんな風に訊いてみる。
「ん、似合いそうだから取ってた」
開けてみろ、と促され、あんまり趣味なものじゃなかった気がするなぁ、と思いながらも箱を開けていく。
出てきたのは、ピンキーリングのペンダント。
(これ、違う……どう見ても景品じゃない)
安っぽさの無い、茉莉花の好みのデザイン。きっとこれは智が事前に用意してくれたプレゼントだ。
「モロ指輪じゃパソコン打てねぇだろ?」
本当は指輪を贈ろうとしたのだという事がわかる発言。茉莉花は智を見ながら尋ねる。
「さとるさん、この意味ってあのその……」
鼓動が速くなるのを感じながら訊けば、智は特に何も言わず、けれどニッと笑顔で首を縦に振る。
その意味を理解して茉莉花の顔が赤くなる。BGMは祝福の歓声と拍手とシャッター音であった。
見てた奴らを膝カックンしにいくわ、と言う智を勧めるべきか止めるべきか。どちらにしても、茉莉花には落ち着くまでもう少し時間が必要だった。
■甘い日々を寄り添って
穏やかな朝、『かのん』と『天藍』は朝食を取りながら話をする。
「天藍、午後から出かけませんか? A.R.O.Aの方に良い場所教えて貰ったんです」
かのんの誘いに天藍が勿論と頷けば、二人の午後の予定が決まった。
お昼ごはんを食べ終えて支度を整え、二人は街へとくり出す。
「確かこっちで……」
道を確かめながら進むかのんの隣で、天藍は自分達の背後に怪しい気配がある事に気づく。特段殺意や害意は無い様に感じるが、自分達をじっと観察しているような、そんな視線と気配だ。
念の為、と、かのんを守るように立ち背後を警戒した、途端。
「いやぁぁぁぁぁ!! カッコイイイケメン姫を守るナイト様ぁぁぁ!!」
「あ、これいい、やば、なんかこう、姫と騎士で行動できるアトラクション的なの提供したいんだけどこれ!!」
聞こえてきた奇声とその内容に、思わず天藍は遠い目をして脱力する。警戒? そんなもん一瞬にして解いた。
「どうかしました?」
「いや……」
伝えるべきかとも考えたが、身体能力の差か自分達の事とわかってないのか、かのんは先程の声に全く気付いていないようだし、どう考えても実害は無いものだろう。
「何でもない」
「そうですか」
それならば、放っておこう。そう決めて天藍はかのんに案内されながら歩き出す。
(多少は期待に応えても良いけどな)
そんな事を少し笑って思いながら。
「沢山ありますね……!」
自分達でパフェを作れるカフェへ来た二人は、そこに並べられた多くの具材に驚いていた。
器も色々、果物にアイス、トッピングも自在。となれば、頭の中に色々な組み合わせが出来上がる。そのどれもが美味しそうに感じるから、では実際何を作るかと言うところで迷ってしまう。
「俺の分も作ってくれないか?」
迷っているかのんにそう頼む事で助け舟を出す。これでかのんの頭の中にあるパフェが二つは作れるはずだ。
「いいんですか?」
「ああ、任せる」
「じゃあ半分こにしましょうね、希望はあります?」
「そうだな……甘すぎない方が良いかな」
「わかりました」
それでは、とかのんはうきうきした様子でパフェを作り始める。
バニラアイスとキャラメルソースを交互に詰め込み、その上に焼き林檎を飾り付け、さらにキャラメルソースを垂らしたパフェ。
白玉を沈め、抹茶アイスを敷き詰め、そして和栗の渋皮煮を飾りつけたパフェ。
方向性の違う、けれどどちらも美味しそうなパフェが出来上がった。
「おいしいですね」
「うまい、な」
一口食べては感想を言って満面の笑みを浮かべあう。甘い甘い空間。どこからともなく響くシャッター音。しかも連写。写真まで撮るのかと天藍が一瞬頭を抱えたが、すぐ元通りで、甘い時間は続く。
「こっちも食べたら良い」
「天藍もどうぞ」
取りやすいように器をかのんの方へ差し出せば、かのんも同じように器を差し出してくる。半分この約束通り、二人は器を交換する。
「ふふ、こっちもおいしいです」
「こっちは……俺には甘すぎるが、組み合わせがいいな」
「でしょう」
言いながら二人は笑いあう。甘い甘い空間。どこからとも無く響くシャッター音。やっぱり連写。もう好きなだけ撮るといいと天藍は開き直った。甘い時間は、まだ続く。
「日が落ちる前に公園へ行っても良いですか?」
イルミネーションやプロジェクションマッピングが目当てならば日が落ちた後だ。だからかのんがそう言うという事は、それらではなく公園の草花が気になっているのだろう。
天藍はそう思っていたのだが、公園に着いてからのかのんの視線の向きがどうも違う。
首を傾げて眺めていると、それに気付いたのか、かのんが視線を外しながら申し訳無さそうに答える。
「……えっと、管理を請け負っているお庭にイルミネーションのお話が来たりするので、木を傷めないような配線とか気になって……」
それならば確かにこの公園は参考になるだろう。天藍は苦笑する。それはデートに仕事を持ち込まれたことでは無く、デートに仕事を持ち込んでしまった後ろめたさを出すかのんにだ。
「あの、でも、イルミネーションは天藍と一緒に見たかったんです」
別に気にしていない、と天藍が告げるよりも先に、かのんがそこは間違えないで欲しいと必死に訴える。その様子は天藍からすれば可愛らしいものでしかない。
「まぁ、仕事熱心な所含めて、俺はかのんが好きだけどな」
天藍が苦笑ではなく喉を震わせ笑いながら言えば、かのんが頬を薄っすらと染めて、はにかむように微笑む。
「日も暮れたし、そろそろ仕事の話は終わりにして貰えると嬉しい」
光の花を見に行こう、と天藍は手を差し出す。
差し出された手に、いや、腕にしがみつくように掴まるかのん。甘く温かな空間。どこからとも無く響く「ひゃあぁぁぁぁぁ!!」「あまぁぁぁぁぁい!!」という声。天藍はもう隣の存在だけを考えて他を無視した。思う存分見るといい。甘い時間も温かな空間も、きっと二人にとってはもう当たり前で、そしてきっとずっと続いていくものだろうから。続けていこうと、二人で作り上げていくものだろうから。
日が暮れ、人々がレンガ倉庫に集まる。壁に映されるのは様々な花。蕾から花が開き、そして吹雪のように散って、他の花に変わって降り注ぎ咲き乱れる。いつまでも続く、美しい光の光景。
「こんな風に見せる花もいいですね」
「そうだな」
かのんの口から、ほう、と吐き出される感嘆の息は少し白い。寒くないかと心配した天藍が肩を抱き寄せれば、かのんはそのまま寄りかかるように身を寄せてくる。
体温と体温が、存在と存在が、想いと想いが、重なり合った部分に熱が伝わりあう。
「こうしていると温かいですね」
「そうだな」
微笑みあう二人は甘く温かで、花よりも美しかった。
■大切に閉じ込めたい
皆さんこんにちは、『蒼龍・シンフェーア』です。今日はなんと、テネブラ研究同好会略してテネ研の親睦会という名のデート! デートの相手? 当然僕の神人の『八神 伊万里』さん、つまりイマちゃんに! 決まってるでしょう!
で、イマちゃんがA.R.O.A.の受付の人にパフェを好きに作れるって企画を教えてもらったらしいから、せっかくならその企画に参加して自作パフェを作っちゃおう、と、思ってカフェに来たのですが……。
「……ん? どうしたのイマちゃん?」
不思議そうな不安そうな顔で後ろを振り返る伊万里に、蒼龍は首を傾げる。
「気のせいかもしれないんだけど、視線を感じるような……」
「視線?」
蒼龍はきょろきょろと周囲を見渡す。特に妖しい人影は……残念ながらあった。伊万里からは丁度見えない角度にある席にいるからばれなかったのだろう。
一瞬見ただけだったが、どうもA.R.O.A.の受付職員に似ていた。
今日の企画を教えてくれたのは、A.R.O.A.の受付職員らしい。
……。
蒼龍はさりげなく目をそらし見てないふりをした。
「誰かいた?」
「気のせいだよ」
笑顔で答える。
色々と結びついた。多分、ひやかしの野次馬とか何かの取材とかそんなところだろう。だが、それなら黙っていても問題ないかもしれない。というかあんまり触れたくない。
「気のせいなのかな……」
釈然としない様子の伊万里の背を押し、二人はパフェを作るスペースへと移動した。
視線の事は忘れようと、気を取り直してパフェ作りを始める。
まずは器選びから。どれがいいかなぁと蒼龍が色々見比べている間に、伊万里は既に一つの器を選んでその中に具材を入れ始めていた。
下が丸いフォルムになっている器に、まずはクリームを敷き、カステラを重ねていく。その上にバニラアイスとチョコアイスを豪快に乗せる。
「フレークで底上げは邪道です」
甘い果物、冷たいアイス、滑らかなクリーム、その下には何があるかと期待しながらスプーンを差し入れた時、手に伝わるザクリとした感触。フレークが悪いとは言わない。だが、真ん中部分がほぼフレークって、それは違うだろう。フレークのアイス乗せやグラノーラのクリーム添えを食べに来たんじゃない、パフェを食べに来たのだ。それなのに!
そんな悲しい過去を塗りつぶすように、伊万里は真剣に理想のパフェを作っていく。
集中している。だからこそ、さっきまで感じていた視線に気付かなくなっていた。
視線を気にしているのは、今は蒼龍の方だ。
(うーん、例え取材目的でもイマちゃんをジロジロ見られたくないんだけどなあ)
視線だけではない。「夢中になってる~、可愛い~」とか「やっぱ一緒に体験できるものっていいみたいね~」とか、妙に楽しげな声まで聞こえてくる。このままでは伊万里が気付くし、デートの邪魔もされるかもしれない。
(でも力ずくで排除なんてスマートじゃないし……そうだ!)
「さぁ仕上げ……フルーツはどれに……え?」
夢中になっていた伊万里は、突然後ろから蒼龍に抱きしめられ、その熱に、腕に、心臓がどくんと跳ね上がる。
怪しい二人がいるのは伊万里と蒼龍の後ろ側。それならば伊万里を後ろから抱きしめ、姿を隠しながらパフェ作りをすればいい。蒼龍はそんな色々と一石二鳥な行動を思いついて実行したのだった。
蒼龍の作戦は成功したがある意味失敗した。
何故なら「うわぁぁぁぁ! 何やってんのあの子! 何やってんのあの子!! 後ろからハグとかお前もうそれ何処のイケメンキャラぁぁぁぁ?!」「公共の場所! 公共の! 場所!! ああでもそういうのガン無視でいちゃつくってそれはそれで醍醐味ですよねわかります!!」みたいな声が聞こえてきたからだ。
「あの、そーちゃん……近いんですけど……」
だが幸いと言うか、伊万里は現状に困惑していてその声に気付いていない。
そんなパニックになっている伊万里も可愛い。そう思いながら、蒼龍は伊万里の耳元で囁く。
「んー? 何となく、僕がこうしたいだけだよ……ダメ?」
耳元の甘えるような声に、伊万里はビクリと体を震わせる。
「ダメっていうか……」
混乱する。どうして今こんな事になっているのか。
だって今はパフェを作るはずで。実際そーちゃんの手は動いて、パフェを完成させようとしている。自分のパフェはこのままではアイスが溶けてしまうかもしれない。ああ、違う。パフェの問題じゃない。
どうしよう。
伊万里は逃げられない状況で、混乱する頭で、それでも必死に考える。
(そーちゃんは初恋の人だけど、私は今他に好きな人がいて。だからきちんと話しておかないといけないのに)
そうだ、話さないといけない。
決意した伊万里は身をよじって蒼龍の腕から逃れる。それでも離れる事はせず、向き合ってその目を見つめる。
「あ、あのね! 私あなたに言っておきたいことが……」
伊万里が蒼龍に話し始めた、その瞬間。
「こんなシャッターチャンスを見逃せるかぁぁ!!」
そんな叫びと同時にすぐ横でフラッシュがたかれシャッター音が響いた。
「ひゃっ!」
「やられた……!」
思わず二人共声の方を見ると、カメラを抱えた妖しい人物はぴたりと動きを止め「あらやだ失礼、間違えちゃったオホホ」と言って足早に去っていった。
「い、今の何!」
「うん……?」
もしかして今まで感じてた視線も?! と気付いてしまった伊万里に流石に隠し通せず暴露する。
「多分取材とかだと思うよ」
「えっ、取材……? 何の?」
「ウィンクルムの」
「な、何の……?」
「休日デートの」
つまり、今日一日見られていて、これからも見られているのかもしれない。その事実がわかって、伊万里はくらりと眩暈がした。
(ダメだ……今日は真面目な話ができない……!)
さっき言いかけた事は、飲み込むしかなかった。
何とかかんとかパフェを完成させ、テーブルに着くと、伊万里は思わず突っ伏して溜息を吐いた。
「とりあえず、パフェ食べようか」
気を紛らわせるように勧める。
蒼龍はこの状況に少し安心していた。伊万里がさっき言おうとしていた事。それは何か。
(せっかくのデートで聞きたい話じゃないような予感がする)
勧められた伊万里は、蒼龍をじっと見つめてからこくりと頷いた。同時に聞こえてくる「上目遣いー!」「見つめられたーい!」という歓声に、もう一度脱力しながら。
「また今度、話聞いてね……」
伊万里がそう言うと、蒼龍は笑顔で「勿論」と答えた。
その綺麗な笑顔が少し、悲しそうだった気がした。
■二人の距離は
『グレン・カーヴェル』はどうしたものかと考えていた。
(後ろのバレバレな尾行については黙ってた方がいいのか、アレ)
「あれ、あの人達さっきも見かけたような……?」
そんなグレンの思考を読んだように、『ニーナ・ルアルディ』は不思議そうに呟いた。
(ニーナでさえ存在に気付くって相当だぞ)
グレンは薄く溜息を吐くと、ニーナに尾行されていると言おうと口を開き……。
「やっぱり職員さんにオススメされた通り人気の場所なんですね!」
そっと口を閉じた。素直な人間て凄い。
害はないだろう、そう判断したグレンはカフェのドアを開けた。
「パフェ作りってそういえばやったことないですね、楽しみです! 私は果物多くしてみましょうか……」
パフェ作りのスペースには沢山の具材が並んでいる。グレンはその中から適当に食べたい物を積む。見た目にこだわらなかったせいで不恰好だが、食べたい物しかないという点では実に魅力的なものに仕上がった。
対して、ニーナは流石に慣れた様子で、見た目も良い物を作っていた。だが……。
「うっ、いっぱい乗せようとするとなかなかバランスが……」
途中で入れ忘れたからと、最後にアイスを持ってきてしまっていた。このまま触らないならいいだろう。だがそれを持ってテーブルに戻る、それをスプーンで突く、その辺りを考えたら、重さ的にバランス的に大丈夫なのだろうかと不安になるフォルムだ。
「何かそれぐらついて……」
一応忠告をするが、本人は大満足のようで。
「よーし、ぐらついてるけどどうにかアイスもてっぺんに乗りました!」
と、完成を宣言した。ぐらついてるって認めるのかよ、それでいいのかよ、という突っ込みは、グレンの心の中だけで行われた。
プルプル震えながらも何とかテーブルまでたどり着くと、一息つく間も無く、スプーンを片手に食べる体勢になった。
「では早速いただき……あ、アイスがっ、アイスが落ち……」
べしゃり。
ああ、アイスはテーブルと愛し合う運命だったのだ。
「あーあ、言わんこっちゃない」
ショックを受けて固まっているニーナに、グレンは仕方ないとばかりに自分のパフェをすっと差し出す。
「ほら、こっちのアイスやるから元気出せって」
「~~~ッグレン……!」
ニーナがアイスから目を離しグレンを見つめる。感謝の念をこめて。
「何あれやさし―――! ていうかアイスでしょげたり喜んだりする子カワイ―――!!」
「彼女の失敗をフォローする事で深まる愛……! これよ、この方向よ!!」
そしたら興奮気味の声が飛んできた。
どう考えても自分達に向けて言われた内容だ。グレンにはそれがわかるから一言物申そうと口を開き。
「わ、元気なお客さんがいますね」
そっと口を閉じた。素直な人間て凄い。凄いけど本当にこいつ大丈夫だろうか。そんな事もちょっと思った。
その後もパフェを食べながら話していると、様々なタイミングで「ひゅ―――!!」「イッケメーン!!」「きゃーわうぃー!!」などの声が響いてきた。それでもニーナは自分達が見られていると気付かない。
グレンはだんだんこの場でまともなのは自分だけなのではないかと思えてきた。呆れたような悟ったような気持ちになったが、そんな状況でもパフェは美味しく、ニーナの笑顔も可愛かった。
「帰る前に公園に寄ってもいいですか?」
カフェから出た後、ニーナはもう一つだけ、と、グレンを誘う。
「別に帰る時間は決めてねぇし別に構わない、行きたいんだろ?」
了承すると、ニーナは嬉しそうに顔をほころばせた。
A.R.O.A.の職員から教えてもらった公園は、プロジェクションマッピングとイルミネーションで作られた光のトンネルがあるらしく、ニーナの目当ては光のトンネルの方だった。
「光のトンネル、どうしても通ってみたくて……」
夜にもかかわらず昼間のように明るく輝いたり、光の色によって幻想的な雰囲気にもなったりするらしい。
「あ、あれです!」
公園に着けば、何処にあるか探すまでも無い。遠くからでも光り輝くトンネルが見えたし、人々の流れはトンネルの方かプロジェクションマッピングをやっている倉庫の方の二つだった。
(カップルの人が多いですね、あの人達腕組んでる……いいなぁ)
来ている客は様々だが、それでもニーナが思ったようにカップルが多かった。辺りは薄暗く、少し肌寒い。そうなればカップル達は皆、隙間を塞ぐようにくっつきあって歩いている。
けれど、グレンとニーナの間には隙間がある。
その隙間が淋しくなったニーナは、周囲のカップルの密着度に後押しされ、意を決してグレンに声をかける。
「あの、腕を……」
「ん?」
どうした? とグレンが訊ねれば、そこでニーナの勇気は潰れてしまう。
「いえ何でも!」
言って、これだけは譲れないとばかりにグレンの袖を摘まむ。相変わらず隙間だらけだ。
(袖を摘むくらいしか出来ない自分の勇気のなさが悔しいです……)
しょんぼりとしているニーナを見て、グレンは必死に笑いを噛み殺す。
実際のところ、グレンは察していたのだ。カップルとすれ違った時に、ニーナの視線や仕草を見て、何となく何を考えているかを。
それでもグレンから手を差し伸べなかった理由は簡単だ。ニーナ本人がどう出るかが気になったのだ。そしてニーナの頑張りを暫く眺めて楽しんでいたのだ。
結局、ニーナの頑張りの限界は袖を摘まむ事だった。けれどその過程を見ていたグレンは中々に満足していた。
トンネルに近づくにつれ、人はどんどん増えていく。混雑も増していく。
――ああ、このままだとはぐれてしまうかもしれないな。
「せめてもうちょっとだけくっつい……ひゃあ!」
小声でブツブツ言っていたニーナは、唐突にグレンに肩を抱き寄せられて動揺の声をあげる。
ニーナは驚いた顔のままグレンを見上げる。
「……何驚いてるんだ?」
恋人なんだから、おかしくないだろう。
そんな風に嘯くグレンに、ニーナは顔を赤くする。赤くして、それでも嬉しそうに笑った。
「ほら、トンネルだ」
すぐ真横にグレンがいる。二人の間に隙間はない。ぴったりとくっついて、熱を分け合って。
光のトンネルを二人で歩く。長く続く輝くトンネルは、まるでこれからの二人の道筋のようだった。
依頼結果:成功
MVP:
名前:ニーナ・ルアルディ 呼び名:ニーナ |
名前:グレン・カーヴェル 呼び名:グレン |
名前:八神 伊万里 呼び名:イマちゃん |
名前:蒼龍・シンフェーア 呼び名:蒼龍さん、そーちゃん |
エピソード情報 |
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マスター | 青ネコ |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | コメディ |
エピソードタイプ | EX |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,500ハートコイン |
参加人数 | 5 / 3 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 10月23日 |
出発日 | 10月30日 00:00 |
予定納品日 | 11月09日 |
参加者
- ニーナ・ルアルディ(グレン・カーヴェル)
- かのん(天藍)
- 水田 茉莉花(八月一日 智)
- 八神 伊万里(蒼龍・シンフェーア)
- アンジェリカ・リリーホワイト(真神)
会議室
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2017/10/29-12:32
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2017/10/29-01:27
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2017/10/28-22:12
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2017/10/27-23:17
えと、アンジェリカと、パートナーの雪さま、です。よろしくお願いします。
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2017/10/27-23:03