プロローグ
飛花。
読んで字のごとく、空飛ぶ花である。
見た目はトランペットフラワーによく似ているが、色は虹と同じく七色ほどもあり、それらは開花するとともに一日中空を飛び、気が向いた時に地面に降りて土の養分を吸う。
そしてまた、気が向くと、蝶のようにふわふわと空に舞い踊り、風に乗って太陽の光を受けるのだ。
あなたと精霊はイベリンにのみ咲くというその飛花の噂を聞いて、その公園にやってきた。
飛花の公園の手前から、ぼんやりと空に何かが踊っているのが見えていた。公園内に入ると、その絶景がよく分かった。
公園内には飛花だけではなく、アジサイやプルメリア、ジャスミンなどがそれぞれが集められて花畑を作っている。その間を客が歩く小径がいくつも巡らされていた。その季節の華麗な花々の上を、トランペットフラワーを思わせる飛花が自由気ままに飛び回っている。実に幻想的な光景であった。
あなたと精霊は、半ば呆気に取られながら、花畑の中に入っていき、七色の飛花の乱舞を眺めていた。
やがて、小径の突き当たりに一人の少女が立っている事に気がついた。
「この飴はいかがですか。飴に見えますが、飛花には最適な肥料なんです。これで、飛花を引き寄せる事が出来ますよ」
少女は薄い黄色のキャンディにしか見えない粒がたくさん入ったビニールの小袋を示した。
「一つ300Jrになります。あとこれは特別な秘密なのですが……」
「秘密?」
「飛花には100輪に1輪程度の割合で、黄金の花が生まれます。その花を手に入れて、大好きな人にプレゼントすると、必ずその人と結婚出来る……という」
なるほど、キャンディで飛花を引き寄せれば、黄金の飛花を見つける事が出来るかもしれない。
「黄金の飛花に紛れて、たまに白銀の飛花が見つかる事もあるそうです。こちらは、大好きな人にプレゼントすると、不幸を浄化し、幸運を引き寄せると言います。どうでしょう。飛花にキャンディを上げて、目的の花を探してみませんか。一番好きな人と、結ばれるために」
解説
空飛ぶ花、飛花の公園デートです。
※肥料となるキャンディ一袋以上を必ず購入してください。
一袋=300Jrになります。一袋の中にキャンディ30個です。
※キャンディの袋を開けると、公園の周囲の飛花達が群がってきます。その中に、100に1の割合で黄金、もしくは白銀の飛花があります。その飛花をうまく見つけて、大好きな人にプレゼントしてください。
黄金……その大好きな相手と結ばれる。
白銀……大好きな相手の不幸を浄化し、幸運をまねきよせる。
そう言われています。
※キャンディを花に当てるように放り投げたりしても引き寄せる事が出来ます。人間が食べても問題ありませんが、異常に甘くて噴き出したくなります。
※飛花は人間に捕まると、一晩で萎れてしまいます。しかし、ラッキーの効果は長く残ると言われています。
※目的の花を探しながら、ウィンクルムらしい会話や行動をプランに書いてください。
ゲームマスターより
大好きな相手に空飛ぶお花をプレゼント。相手と結ばれたいと願ったり、相手の幸運を願ったり。幸せな愛の溢れるプランをお待ちします。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
絶対にラキアが喜ぶと思って、誘ったけどさ。 オレだって空飛ぶ花を見てみたいんだ。 だって、風に流されるんじゃなくて、飛ぶんだろ? すげーよ!!ホントに飛んでる。 あ。 騒ぎすぎないようにするぜ。 キャンディーは1人1袋ずつ購入だ。1袋ずつ持って、飛花を呼ぼう。 色によって動き方とか違うのかな。 でも捕まえちまうと萎れちゃうのか。それはちょっと可哀想な気がするぜ。 オレ達に幸運が舞い降りるように白銀の飛花を探すけど、見つけても捕まえるのはやめとこう。見つけたのがラッキーだし、きっとその幸運は続くぜ。 そのままキャンディーあげてさ。 「もっと沢山の人に幸運を運んでくれよ、頼むぜ」 と、飛花を自由にさせた方が良いじゃん! |
李月(ゼノアス・グールン)
飴袋1つだけ購入 周囲の他の参加者(NPC)の気合を見てこっちも気合を入れる 袋を開け飛花達が群がってきてちょっとしたパニック映画の様でびびる でも当ってもそう痛くない? 目を凝らし金花探し 相棒が飴を食べた うわマジか 餌減らすなよ 相手は100分の1なんだぞ! 相棒に食い尽くされる前に金を見つけなければ 動き回る等して花の密集を適度に散す 他の参加者と競り合いに 金花に飛掛るが届かない ゼノの手に足を掛けジャンプ 届く! でも他参加者の気迫の雄叫びに怯み取られた あー くそう! べ 別にその(赤面 白銀見送り いいのか? 反論しかけるが目の前の白いイケメン精霊は確かに花の様に綺麗で 多分…きっと僕の幸福を握ってる そういう事にしてやるよ |
歩隆 翠雨(王生 那音)
俺が撮影しやすいよう振る舞う那音に驚いて 「…ああ、サンキュ」 コイツのこういう所は本当にズルい 仕方ない こんなのドキドキしない方がおかしい 飛花の撮影目当てだったんだが… 白銀の飛花を気付けば探してた シャッターを押す指も止まって真剣に 見つけてどうするんだ?とか、頭の隅で自問自答して 答えが出ないまま、白く光る銀色の花が視界に入れば カメラを下ろし手を伸ばした 手の中で揺れる花を綺麗だなと魅入って 那音も覗き込んできて 「これ、那音にやるよ」 考えるより先に、花を渡し 「まあ、なんだ。効果があるかどうか分からないが、俺が自分で持ってても意味ないしな」 うん、深い意味はない… でも那音が嬉しそうに笑うから 俺も笑顔になってた |
●李月(ゼノアス・グールン)編
今日、李月は精霊のゼノアス・グールンとともに、イベリンの公園に飛花を見に来ています。
舞い飛ぶ飛花の圧巻の光景を眺めながら遊歩道を歩いていると、キャンディで飛花を呼び寄せる人々に気がつきました。
「面白そうだ」
李月は、飛花を呼ぶキャンディを少女から一袋だけ買いました。
見ると周囲には同じくキャンディを買って、黄金や白銀の飛花を呼び寄せようという気合いの入った参加者が何人もいます。
その姿も見て、李月も軽く拳を握って気合いを入れました。
李月は空飛ぶ花を見上げながら、キャンディの袋を開けました。
途端にサァーッと飛花達が群がってきます。
七色のトランペットフラワーに似た花が、蜜に群がる蝶のように一斉に飛んできて、李月は軽くパニックを起こしそうになりました。
ですが、飛花は、李月の手や腕に当たっても痛くありません。
そのことに気がつくと、李月は群れ飛ぶ飛花の中で、黄金の花を探して目を凝らし始めました。
虹のように七色の飛花、それが李月のキャンディを狙って群れ飛んでいます。一体いくつ飛んでいるのでしょうか。
なかなか見つかりません。
一方、ゼノアスは、飛花が凄い勢いで飛んでくるキャンディの威力に興味が湧きました。李月の横から手を出して、袋の中から一粒取り、口の中にポイッ。
李月はそれを見て仰天。
「うわマジか」
「うげ、ゲロ甘ぁ……」
ゼノアスはそう言いながらも、ガリガリかじってそのままゴクンと飲んでしまいます。
「食えなくはねぇな」
「飴減らすなよ! 相手は100分の1なんだぞ!」
李月はゼノアスに抗議します。
ですが、ゼノアスは呆れる李月をよそに飴をガリガリ食べながら、のんびり黄金の飛花を探し始めました。
(ゼノアスに食い尽くされる前に金を見つけなければ……!)
李月は焦ってしまいそうです。
李月は公園を小走りで走って袋を振り回し、飛花の密度を適当にチラしました。
すると、他の参加者と競り合いのような格好になってしまいます。
ゼノアスも李月が花の密度を散らしたので、周囲が見やすくなりました。
「お! アレじゃねーか?」
ゼノアスは、素早く黄金の飛花を見つけました。
李月は黄金の飛花にジャンプして飛びかかりますが、届きません。
「リツキ!」
ゼノアスは、手指を組んで腰を落とし、構えをとります。
李月はゼノアスの手に足をかけ、反動をつけてもらいながら高くジャンプをしました。
(届く! ……っ)
「おりゃああ!」
ですが、同じく飛び上がって飛花をつかみ取ろうとする、他の参加者の気迫。
それに押されて李月は怯んでしまいます。
結局、黄金の飛花はその参加者に取られてしまいました。
「あー、くそう!」
「なんだよ、取りそこなったのかよ」
ゼノアスはそう言って、李月の肩を何度か叩きました。
そして不敵に笑います。
「そうかそうか。オレと結ばれたかったんだな。花なんぞ無くてもそういう運命だ。安心しろ」
李月の肩や頭をなだめるように叩きながら笑うゼノアスでした。
「べ、別にその」
李月は思わず赤面してしまいます。
ふと、見上げると、ゼノアスに白銀の飛花が近づいてきていました。
最後のキャンディを差し出して、李月は白銀の飛花を誘いました。
白銀の飛花がますます近づいてきます。
手を伸ばせば、たやすくつかまえる事が出来るでしょう。
ですが、ゼノアスは眺めるだけでした。
白銀の飛花はキャンディを花弁で覆って食べるようにして取り込んで、離れていきました。
李月はゼノアスが飛花を見送った事に驚きます。
「いいのか?」
「ん? 欲しけりゃいつでもとっておきの花やるぜ? オ レ サ マ!」
ゼノアスは自分の顔を指差して得意顔です。
李月は反射的に反論しそうになりました。
だけど。
目の前の白いイケメン精霊は確かに花の様に綺麗で、先程の白銀の飛花にも決して負けていないのです。
(多分…きっと僕の幸福を握ってる)
李月は悔しいけれどそう認めざるを得ないのでした。
「そういう事にしてやるよ」
ぷいっと顔を背けながら李月がそう言いました。
その返事を聞いてゼノアスは彼の事を抱き寄せ、満面の笑みを浮かべます。
親友以上恋人未満。
ゼノアスはいつか李月を完全に自分のものにすると宣言しています。
そんな彼にとって、自分(という花)を全て李月にやると言う事ぐらいなんでもないことなのでしょう。
(こんな公衆の面前で……!)
抱き寄せられながら負けず嫌いの李月は照れが出て、ゼノアスの胸をグイと押そうとしました。ですがゼノアスが参加者の人々に視線を向けます。
ちょうど黄金の飛花を取ったカップル達が、李月達の視線も気にせずあられもないことを花畑の真ん中で。いちゃいちゃした空気に当てられてまたしても赤面する李月。
「オレ達も負けてらんないだろ」
ゼノアスがそう言ってさらに李月の事を抱き締めてきて、李月はカップルにも腹立つやらゼノアスにも照れくさいやら。
(ああ、あの白銀の飛花はどんな幸運を運んでくれるっていうんだよ--)
それはきっと。
李月が自分の気持ちに向かい合う日が、近いうちにやってくるという事ではないでしょうか。
そして二人は幸せになるのです。いつまでも、いつまでも。
●歩隆 翠雨(王生 那音)編
その日、歩隆 翠雨と、その精霊の王生 那音は、イベリンの公園に飛花を見にやってきました。
群れ飛ぶ七色のトランペットフラワーに似た花の美しさは、確かにこの公園でしか見られないものでした。あちらこちらには六月の花の花畑があり、その上を飛花が優雅に飛び回っています。
翠雨と那音は早速、一人一袋ずつキャンディを購入しました。
(黄金と白銀の飛花か……。どちらを見つけたいかといえば、勿論白銀。見つける事が出来たら、翠雨さんに贈りたい。誰かの幸せを願うなんて、翠雨さんに再会する前の己では考えられなかったが……。差し当たっては、撮影をしたがってた翠雨さんの為に協力しよう)
那音はそういう気持ちで、キャンディの袋を持ち上げ重さを確かめました。普通のキャンディと同じ感じです。
「翠雨さん、私がキャンディの袋を開けて飛花を引き寄せるから、貴方は撮影すればいい」
そう言って、早速、那音は袋の口を開け始めました。
翠雨は驚きます。
「……ああ、サンキュ」
那音は自分が撮影しやすいように気を配ってくれます。
(コイツのこういう所は本当にズルい。仕方ない。こんなのドキドキしない方がおかしい)
嬉しいような照れるような気持ちで翠雨はカメラを構えました。
(飛花の撮影目当てだったんだが……)
気がつくと翠雨は、白銀の飛花を探していました。
シャッターを押す指もいつのまにか止まって、真剣に白銀の花を探してしまいます。
(見つけてどうするんだ?)
頭の片隅で何度も自分に問いかけますが、答えはなかなか出て来ません。
那音の方は袋を広げ、密集して飛んで来る飛花を、腕を振り回して適当に散らしながら、翠雨が撮影しやすい位置を確認します。
翠雨がカメラを構えています。
(……ん? シャッターを押さない?)
怪訝に思って翠雨に声をかけようとした那音は、彼がカメラを下ろして飛花に手を伸ばすのを見ました。
(……白銀の飛花?)
白い燐光を放つ銀の花が視界に入ると、翠雨はカメラを下ろして、手を伸ばしました。
手の中に揺れる白銀の飛花。
空中を自由自在に舞い踊る銀のトランペットフラワーに似た花。それが己の掌の中に。
「綺麗だな……」
翠雨は花に魅入って呟きます。
那音も思わず、翠雨の手の中の飛花をのぞきこみました。
翠雨はその白銀の飛花を那音の方へと差し出しました。
「……私に?」
今度こそびっくりする那音です。
「まあ、なんだ。効果があるかどうか分からないが、俺が自分で持ってても意味ないしな」
翠雨は照れくさいような笑みを見せながら那音の掌に白銀の飛花を乗せたのでした。
(うん、深い意味はない……)
そのはずなのです。
翠雨は意識の上では、深い意味はないのだと自分に言い聞かせていました。
「有難う、翠雨さん」
那音が笑って白銀の飛花を受け取ると、翠雨は力強い微笑みを返してくれました。
(俺は貴方に、さらにうぬぼれてもいいのだろうか)
那音が嬉しそうに笑ってくれたから、翠雨も自然と笑顔になっているのです。
その笑顔を見て、那音は胸の奥が痛いような感情を覚えました。
そう、イベリンの花の中。
最初は花の匂いに囲まれて、脱いでしまった翠雨に愕然とした事。
裸の翠雨に抱き締められた事。
その翠雨に「綺麗だ」と言った事。
「綺麗だから、誰にも見せたくない」……そんな意味のことを言った事。
花と音楽のイベリンで、疑似結婚式を挙げた事。
疑似とはいえ、誓いの言葉をかわした事。
キス。
思わず笑ってしまった事。
そして写真の中の翠雨が--恋をしているような顔を撮られていた事。
そして、クリームでくっついてしまった掌と掌。
くっついてしまった那音と翠雨。
那音の冷静な判断で、なんとかなったけれど。
くっつくと指先から伝わるぬくもり。
那音がとても綺麗だと思う翠雨の、くるくる変わる表情。笑顔。照れた顔。真剣な顔。思い詰めた顔。
それら全てが、白銀の飛花を渡された事によって--翠雨に笑顔を向けられた事によって、那音の心を占めていきます。
(うぬぼれて、いいのだろうか)
既に那音の中で翠雨はかけがえのない存在です。翠雨にとっても、そうであって欲しいと願います。
「翠雨さん。それじゃあ、翠雨さんのぶんも飛花を探そう。俺がつかまえるのも手伝うから」
「俺の分?」
「まだキャンディはあるだろう」
「ふうん。それじゃ、どっちにしよう」
翠雨は思い出したようにカメラを構えました。
「どっち……」
那音は返答に窮します。
結ばれる黄金と、幸運の白銀。翠雨に既に独占欲を感じている那音は、一瞬、黄金を探して欲しいと思いました。
「白銀だろう」
ですが、彼はそう言いました。自分の手から幸せを呼ぶ白銀を、翠雨の手に渡すために。「うーん、白銀は既につかまえたからな……俺は、黄金がいいな」
すると、まるっきり何も考えていない口調で翠雨がそう言いました。
那音はびっくりして心臓が止まるかと思いました。
「あ、深い意味はないんだぜ?」
翠雨は本当に何も考えてない顔でそう言いますが、那音は真っ赤になった顔を震える手で隠してそれどころじゃありません。怪訝そうな翠雨をよそに、心の中で念じます。
(全く、勘弁して欲しい……!)
幸せなんだけれど不幸な那音でした。
●セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)編
今日、セイリュー・グラシアと精霊のラキア・ジェイドバインは、イベリンの公園に飛花を見に来ています。
ラキアもセイリューも、公園にやってきて、群れ飛ぶ七色のトランペットフラワーに似た花に歓声を上げました。
「イベリンにしか咲かない、しかも飛ぶ花となれば、見に行くしかないでしょ。
飛行する花って見た事無いもの。飛ぶ原理もだけど、まさかキャンディーに寄ってくるって性質まであるなんて、不思議だね。凄いね。近くでじっくり観察しなきゃ」
ラキアはそう言って、空中を華麗に舞い踊るトランペットフラワーに似た花達に近づいて行きました。
花たちは気が向いた時に、地面に降りてきて養分を吸います。
そうでなければ、アジサイやプルメリアやジャスミンなどの六月の花が咲き誇る花壇の上を蝶のように優雅に飛んで、花に時々花弁を触れさせていました。まるでじゃれ合うように。
ラキアはその花にどんどん近づいて行きます。
セイリューは絶対にラキアが喜ぶと思って誘ったのですが、自分も空飛ぶ花を見たいと思っていました。
(だって、風に流されるんじゃなくて、飛ぶんだろ?)
そう思って来て見て、実物を見て大興奮です。
「すげーよ!! ホントに飛んでる!!」
「セイリュー、あまり騒ぐと他の人の迷惑になるから。もう少し、静かに、ね。興奮するのはとてもよく解るけど」
苦笑するラキアでした。
「あ。騒ぎすぎないようにするぜ」
慌てて静かになるセイリューです。
そこに、キャンディを売る係員の少女が近づいてきて、二人に説明をしてくれました。
セイリューとラキアは一人一袋ずつ購入する事に決めました。
「1袋ずつ持って、飛花を呼ぼう」
セイリューが真剣な顔で言うと、ラキアの方も真剣に頷きます。
「色によって動き方とか違うのかな。でも捕まえちまうと萎れちゃうのか。それはちょっと可哀想な気がするぜ」
そう言いながらセイリューが袋の口を開くと、飛花達が一斉に近づいてきました。
「おおっ!」
喜びつつも目を丸くするセイリュー。それを見て、ラキアも袋を開けました。飛んで来る飛花。
(黄金や白銀の飛花にも遭いたいな。萎れさせたくないから、見るだけで満足。大好きなセイリューとはいつも一緒だし珍しい花達と出会えて今日の俺はとても幸運だから)
ラキアは美しい空飛ぶ花に囲まれて、いつになく幸せな気持ちです。
出来たら家の猫達やレカーロにも見せてやりたいと思いますが、流石にイベリンまでは連れて来られなかったのでした。ですが、猫達がいたら大喜びで飛花に飛びかかった事でしょう。
「白銀の飛花を探すけど、つかまえないぜ」
セイリューはそう言って、花と花をそっとかきわけるようにして目的の白銀を探しました。
自分達に幸運が舞い降りて欲しいと願いますが、見つけても捕まえたら花が萎れてしまいます。見つけた事自体がラッキーでしょうし、きっとその幸運は続いていく事でしょう。
セイリューはそのままキャンディをあげてしまうつもりでした。
するとその心がけが良かったのでしょうか。
セイリューのキャンディの方へと、一輪の白銀の飛花がふわふわと近づいてきました。
驚いて、セイリューもラキアも息を詰めて白銀の飛花を見つめます。
飛花は花弁全体をふくらませるように広げた後、その全ての花弁を使ってキャンディを包み込み、まるで食べるような仕草で吸収していきました。
その白銀の飛花の仕草を、セイリューは掌の上で、ラキアはそれをのぞきこんで、全て観察することが出来ました。
飛花は美味しそうにキャンディを平らげると、まるで酔っ払ったようにあっちに行ったりこっちに行ったりしながら、空中高くへ戻っていきます。
「もっと沢山の人に幸運を運んでくれよ、頼むぜ」
セイリューはそう話しかけました。
飛花の自由にさせた方が、幸せはどんどん広がっていくのです。
それでいいではありませんか。
「セイリューの願う通りに、他の人にも幸せを運んであげてね」
ラキアもそう声をかけて、キャンディの袋の口を大きく開けました。
飛花達が大喜びで近づいてきて、キャンディを美味しそうになめては食べて行きます。
「もっと沢山花達が増えるといいね」
ラキアが満足そうで幸せそうな顔で言うと、セイリューまで幸せいっぱいな気持ちになってきました。
「ああ!」
力強くセイリューも頷き、飛花達にキャンディをあげます。
飛花達は自分達が捕まえられない事を察したようで、安心したようにセイリューやラキアの肩や頭の周囲を飛び回り始めました。
虹のように七色の花々が空を飛び回って、自分達に近づき、かぐわしい匂いを放ちながら、頬に触れ、髪に触れます。
それはイベリンで今の時期だけ味わえる貴重な体験でした。
セイリューとラキアはそれをじっくりと体験し、また一つ絆を深めたのでした。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
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---|---|
マスター | 森静流 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | ロマンス |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ビギナー |
シンパシー | 使用可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 3 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 06月08日 |
出発日 | 06月19日 00:00 |
予定納品日 | 06月29日 |
参加者
- セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
- 李月(ゼノアス・グールン)
- 歩隆 翠雨(王生 那音)
会議室
-
2017/06/18-22:35
-
2017/06/17-00:13
歩隆翠雨だ。パートナーは那音。
よろしくな!
空飛ぶ花か…撮り甲斐がありそうだぜ…! -
2017/06/16-12:37
李月と相棒のゼノアスです。
よろしくお願いします。