【浄罪】記念に愛の一枚を(草壁楓 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

●楽しく愛と絆を深めてあれを枯らして

 タブロスのとある商業施設。
 ここは所謂ゲームセンターでいつもなら子供や家族などで賑わっているはずなのだが……。
 ほとんど人がいない。
 ギルティ・シードの影響かここ数日閑古鳥が鳴いている状態だ。
 そこでそのギルティ・シードの対抗策として考えた店の人々は大きなマシーンを導入した。
「これでいいんすか?」
「問題ない!」
 店長と男性の店員が話しをしながらそのマシーンを眺めている。
「店長!衣装揃いました!」
 今度は女性の店員がその場に準備が整ったことを告げてくる。
「あとはウィンクルムに頼むしかないな……」

 さて、ここで何を準備していたかというと……
 大きなマシーン。 
 その中に入ると照明が煌々とその空間を照らし、人が4~5人は入るようなそれなりの広い空間がある。
 また、カメラが数台あり上下と正面、そして正面の右側と左側に一つずつ。
 計5台のカメラがそこにはあった。
 つまりこれは!
 写真を撮り、その場でその写真をシールにしてくれるマシーン。
 である。

「ここで愛を感じるような写真を撮ってもらえれば……客足も戻ってくるだろう」
 そのマシーンを見て数回店長は頷くと、次は衣装部屋へと足を運ぶ。
「衣装もバッチリです!」
 そこには多くのかなり多くの衣装が用意されている。
 ナース、ドレス、メイド、騎士、魔法使い、サンタ(ミニスカ!)、着ぐるみ、なんでもある。
 もちろん着替え部屋に試着室も完備してある。
「うむ、準備は整ったようだな!」
 腕を組み店長はまたまた頷いた。
「あとはウィンクルムを待つのみだ!!!」
 ビシッと天に拳を上げると店長は目を閉じた。
 それを少し呆れた顔で2人の店員は見つめていた。

解説

【できること】
  愛を感じるような、又は仲間との絆の深さを感じるような写真を撮る。
  
【マシーンと撮り方について】
  キスでもハグでもお好きなように撮っていただいて構いません。(過激な撮り方はご遠慮ください)
  2人で撮るのも良し、仲間と撮るのもよし。はたまた全員で撮るのも可能です。
  全員の場合は空間的にカオス状態となります。

  マシーンは計3台ございますのでそんなに待たなくても撮れます。
  目を大きくしたり美肌や体型などの加工に顔を交換したり、子供顔や老人顔、
  動物顔にできるマシーンです。

  もちろんラクガキ機能もあります。
  枚数は人数分出てきます。

【衣装について】
  プロローグに書いていないものでもなんでもあるようです。
  お好きな衣装でお撮りくださいませ。着替えは2回までできます。
  残念ながら過激な衣装はありません。

【消費jrについて】
  必ず1枚撮りますので300jrいただきます。
  追加撮影する場合にはその都度200jrの消費となります。
  お1組様5回までとさせていただきます。全体で撮った場合も200jrの撮影代をいただきます。

【プランにお書きいただきたいもの】
  ・衣装
  ・撮影時のポージングとラクガキをする場合はその内容
  ・会話内容
 
【注意】
 ・アドリブが入る場合がございますのでご了承くださいませ。
 ・過激な発言や行動があった場合描写できかねますのでご注意ください。

 ギルティ・シードは愛や絆を深めれば勝手に枯れますので、探さなくて問題ございません。

ゲームマスターより

ご閲覧ありがとうございます。
草壁 楓でございます。

 某有名ゲームマシーンで楽しく撮影はいかがでしょうか!
ここ数年自分自身撮ってないなぁ~なんて考えつついますが、あれなかなかに楽しいものです。
どうぞ撮影を楽しんでくださいませ。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

アキ・セイジ(ヴェルトール・ランス)

  撮られるっていうので心ハードルは高く躊躇
でも、ランスの言葉と手に連れられて…

俺は狼耳と尻尾を選ぶ
ほら、おそろいだ

沢山のクッションを大きいのから小さいのまで、色んな形を持ち込むよ
こぼれそうになって慌てて支えたり
配置してもふもふのお部屋になったな

俺は本を読むことにするよ
いつもの居間の風景だ
そのうちにランスがチョッカイ出してきて…

くすぐった…(本でパシパシ
退屈になったならこれで遊んでおいでよ(ボール型クッションころころ
ははは、冗談冗談

うわっと><
追いかけっこの結末は巨大クッションに2人でぼふん
目を開けるとランスの顔
撫でられて、撫でる

瞳覗き込んで
額コツン

あ、写真?流石ランス(苦笑
でも、ま、いいや(ぎゅ


蒼崎 海十(フィン・ブラーシュ)
  お互いの衣装を選んでみないかというフィンの提案に乗る
フィンの衣装を選ぶのは楽しそうだ

公爵をイメージした豪奢な西洋貴族な衣装を選んでフィンに渡す
俺もフィンから衣装を受け取って、試着室で着替えてみるけれど…

これ、着物?
…上手く着れないぞ、これ
結局フィンの手を借りて何とか着て
…凄く慣れない
どうして着物なんだ?と尋ねると、逆にこちらの選んだ理由を聞かれてしまった

フィンはどちらかというと自分で選ぶ服装は控えめ
だけど…似合うと思ったんだ
そして、悔しいくらい似合ってて…
知らない人みたいで緊張する…のは胸に秘めとこう

折角だからラクガキ
え?俺のバンドのジャケットみたいにしたい?

じゃあ、互いのサインでも入れるか?


●似合う衣装

 タブロスのとある商業施設の一角の所謂ゲームセンター。
 そこには蒼崎 海十とフィン・ブラーシュが来店していた。
 大まかな説明を聞き、2人は衣装部屋へと案内される。
 フィンは折角だからとお互いに衣装を選び合い着てみないかと提案してきた。
「それいい案だな」
 その提案に海十も嬉しそうに応じた。
 善は急げと言わんばかりに2人は衣装を各々見始める。
 思っていたより衣装の数は多い。
「フィンには……そうだな……」
 何点か衣装を手に取りつつイメージと違うのか海十は取っては戻すの繰り返しを行なっている。
 フィンといえばイメージが固まっているのか一つのコーナーに足を止め吟味している。
「海十は肌の色が白いから……」
 それぞれがお互いのことを想いこれからの撮影のために衣装を選ぶ。
 衣装を決めた2人はお互いに選んだ衣装を渡しあう。
 海十が選んだフィンの衣装は公爵をイメージした豪奢な西洋貴族な衣装。
 また、フィンが選んだ衣装は全体的に赤い模様が施された着流し。
 それを受け取ると試着室へと移動する。
 
 フィンは試着室に入りカーテンを閉める。
 海十から受け取った衣装を改めて見てみるが……。
 少々気が引けるのか暫し眺めている。
 少し不安が残るようだがこのまま眺めていてもしょうがないと自身の服に手を掛けた。
「よし……」
 現在来ている衣服を一つ一つ脱ぐと衣装に手を掛け丁寧に着こなしていく。
「海十が選んでくれたから喜んで着るけど……派手過ぎないかな?」
 海十が選んだ公爵をイメージした豪奢な西洋貴族な衣装……白を基調とし、金色の刺繍糸で襟や袖が綺麗な縁取りをされている。
 中のベストにも白を基調としたものに金の刺繍糸で大きめの刺繍の装飾がされており、胸にはチラリと赤金色の薔薇の模様が見える。
 またパンツ部分は特に装飾は施されていないが、すらっと見えるデザインでバランスは良い。
「御伽噺に出て来そう……」
 全てを着用した姿を己で確かめつつフィンはそう呟いた。
 着ているのは自分ではあるが、服に着られていないかがとても心配な様子だ。

 その頃の海十といえば……
「これ、着物?」
 と少し固まっていた。
 綺麗な赤色の入った着流し。
 金や銀の刺繍が施されており、衣装にしては豪華である。
 フィンが選んだのは着流しで海十の白い肌と黒髪が映えるようなデザインである。
 どうやら衣装を選ぶ段階で着流しのイメージに固まっていたようだ。
 とりあえず、と海十は衣服を脱ぐと着流しに手を通す。
 あたふたと着てはみるがどうもうまく着ることができない。
「あれ……ここを……」
 海十の試着室には悪戦苦闘の渦が巻いている。
「あ、逆だ……あれ?」
 構造的には理解できるものの、いつもとは勝手が違う。
「……上手く着れないぞ、これ」
 そんなこんななところに試着室の外から声がする。
「海十?着れたかい?」
 フィンの登場である。
 海十より早く着用が終ったフィンが海十の様子を見にきたのだ。
「いや、なんか」
 その声を聞いて悪戦苦闘していることが分かるとフィンは試着室のカーテンに手を掛ける。
「入るよ」
「どうぞ」
 許可を得られたのを確認するとそっと中に入るフィン。
 その中では全くと言って良いほどにまだ着流しは着られていなかった。
 カーテンをもう一度閉めると、海十の悪戦苦闘の様を見る。
「これどうなってるんだ?」
 そんな海十も可愛らしいと思いつつ彼に手を伸ばす。
「オニーサンが手伝ってあげよう」
 フィンは優しい手付きで着流しを直しながら海十に着付けをしていく。
 最後に帯を締めると下から上へと海十の姿を真剣な眼差しで見つめるフィン。
「……やっぱり良く似合う」
 自身が選んだ衣装に間違いはなく、海十にとても似合っていた。
「……凄く慣れない」
 これも海十の本音である。
 普段は洋装である海十にとって和装は慣れた衣服ではない。
 海十自身も鏡に映る自分を見てみる、着慣れてもいなければ、見慣れてもいない。
「どうして着物なんだ?」
 自身の姿を見ながら和装を選んだ理由を尋ねた、のだがフィンは少し口角をあげつつ、
「勿論、海十に似合うと思ったから……そういう海十は、どうしてこの衣装を選んだの?」
 と直球な答えと共に逆に質問返しをされる。
「フィンはどちらかというと自分で選ぶ服装は控えめだ」
 フィンの着ている公爵風の衣装を眺めつつ海十は微笑みながら話す。
「だけど……似合うと思ったんだ」
 今回選んだ衣装に間違いはなかったことを確信する。
 フィンのまわりに星が瞬くようなオーラがあるような気がするぐらいに衣装は似合っていた。
「そして、悔しいくらい似合ってて……」
 その様に海十の瞳はフィンの姿に囚われる。
「似合ってる?」
 海十の言葉に照れつつも彼の顔を覗き込み改めて問い掛けるフィン。
 知らない人みたいで緊張する……と続け答えたいところだが、海十はこの言葉は胸に秘めておくことにする。
 少し自分ばかりみたいで気恥ずかしくもあるからだ。
 そしてお互いに見つめ合うように衣装を見る。
 お互いに選んだ衣装はとても似合っていた。
 金色の髪を引き立てるような白い公爵風の衣装。
 黒色の髪を際立たせる赤い模様に金と銀の刺繍の入った着流しの衣装。
 その場にはとても穏やかにそして暖かい空気が流れていた。

 撮影マシーンについた2人。
 中に入ると店員に用意をしてもらっておいた2人掛けのソファーがあった。
「ポージングはどうする?」
 海十は中を見回しながらフィンに尋ねると、彼はソファーの上へと座る。
「海十はここ」
 というと自身の膝の上を数回叩く。
 おいで、おいで。
 と。
「え?」
「公爵とその愛人ってカンジになっちゃったね」
 そんな設定も面白いと海十は笑う。
 そっと座っているフィンの膝の上へと横に座る。
 ソファーの縁へと手を掛けると堂々たる様子になるフィン。
「ほら、こうしたら俺の風格出るでしょ?」
 そうだな、なんて海十が笑うとフィンも一緒に笑う。
「王様ってカンジ」
 左手を海十の肩へと乗せれば更に雰囲気が増す。
 海十の直ぐ隣には撮影のボタンがある。
 それを押すと2人はポーズを決める。

 カシャッ

 シャッター音が鳴り2人の撮影は無事に終了する。
「折角だからラクガキ!」
 海十の提案で次はラクガキである。
 今撮った写真にラクガキが出来るのだ。
 ラクガキコーナーへと移動した2人は今撮影したばかりの写真を見る。
「いいカンジ」
 フィンは写真を気に入ったようだ。
「雰囲気でてる」
 そして海十も気に入ったようだ。
 お互いが見ているのは自分ではない、お互いがお互いを見ているのだ。
 どのようなラクガキをしようかと考えている海十にフィンは言う。
「え?俺のバンドのジャケットみたいにしたい?」
 フィンの提案は海十が活動をしているバンドのCDジャケットのような写真。
 今回撮った写真ならば見劣りしないはずだと感じたのだ。
 背景は西洋風の一室、少し星屑を散りばめて、その中に公爵の膝に乗る色っぽい色白の人物。
 ノスタルジックな雰囲気が出ていてとてもいい、シンプルなラクガキ。
「じゃあ、互いのサインでも入れるか?」
 最後にどうだ?
 とフィンにラクガキ用のペンを渡す。
 それはいい、とフィンも同意する。
 足元にそれぞれサインを施せばラクガキは終了である。

 それから10分もすればマシーンから写真が出てきた。
 2枚出てきたそれを海十が取り出すと、もう1枚をフィンへと渡す。
「ジャケットみたいだな」
「うん」
 とてもかっこよく、どこか艶かしさも感じることができる写真。
「シールか……」
「どこかに貼る?」
 貼る!?と少し驚いたような海十にフィンは笑う。
 それにまた海十も笑う。
 そんな2人の間には絆と愛のオーラが溢れている。
 お互いを良く知っている2人だからこそ衣装を選び合い、そして見事な写真が撮れたのだ。
 これからも2人は仲良く愛を育み、お互いを尊重し歩いていくことだろう。

●幸福な狼の兄弟

 次にゲームセンターに現れたのはアキ・セイジとヴェルトール・ランスである。
 意気揚々としているヴェルトールに比べるとアキの表情は固い。
 写真を撮ると聞いて少し躊躇しているようだ。
「そう構えるなって」
 アキの背中を数回軽く叩きながらヴェルトールは笑顔を彼に向ける。
「何時間かゆっくり休憩してこうぜ?」
「うむ」
 対称的な2人ではあるが、アキはけして嫌なわけではないのはヴェルトールには分かっていた。
 写真を撮るということがアキにとって少しハードルが高いということに。
「ゴロダラしてバイト代貰えるなんてラッキーじゃん?」
 けしてバイト代は出ない、写真が貰えるのだが。
 そんな陽気なヴェルトールの様子に少しずつアキは緊張が解れてきたようだ。
「いくだろ?」
「あ、あぁ」
 まだ少し戸惑いは見せてはいるが、これならとヴェルトールはアキの手を取るとそのまま店の中へと入った。

 大まかな説明を聞く。
 写真は店員が撮るのではなく、マシーンがボタンを押せば勝手に撮ってくれると。
 だから誰かに見られるというような心配はないとアキは理解する。
 理解と共に少しの安堵が胸の中に広がる。
 撮影時は2人きりなのだ。
 衣裳部屋へと着いた2人。
 ヴェルトールはいくつか衣装を見てみるがどうやら着替える意思はないようだ。
 アキと言えば手に狼の耳が付いたカチューシャと大きな狼の尻尾が付いたキーホルダーを持っていた。
 それを装着するとヴェルトールに見せる。
「ほら、おそろいだ」
 ヴェルトールは狼のテイルスである。
 これを装着すれば姿は同じ狼になる。
 そんなアキの姿にヴェルトールの顔はパッと笑顔になった。
 お揃いの装いをしてくれるアキの姿にヴェルトールは感動し、今すぐ抱き締めたくなった。
 それは後のお楽しみにと今はグッと我慢である。

 撮影マシーンの中に入るとその広さを確認する2人。
 何か装飾をしようと一旦出ると、衣装部屋に行き毛足の長い淡いブルーの絨毯と、大小さまざまのクッションを運ぶ。
 クッションの色は赤、青、黄色、緑、ピンク、パステルカラーから金、銀と多種である。
 撮影ブースからはみ出す程に何度もクッションを運び込んだ。
「これでは前が……」
「見えない」
 そんな状況も笑顔で楽しむ2人。
 たまにクッションが崩れ落ちそうになるのをアキが支えたり、もふもふしている絨毯に寝転ぶヴェルトール。
 そこは2人だけの空間となっていた。
 もちろん邪魔する者はいない。
 とてもいい空間が出来たことで2人はそこで寛ぎだす。
 アキは鞄に閉まっておいた本を取り出すと絨毯に座り読書を開始する。
 特に時間制限もなく、他に客もいない。
 撮影ブースから出れば店員がいるがここは2人、どんなことをしていても見られはしない。
 静かに本を読み出したアキをそっと見守るヴェルトール。
 そこには自宅での居間の風景が広がっていた。
(そのうちにランスがチョッカイ出してきて……)
 自宅にいる時にいつもヴェルトールはそうしてくる、と口角を少し上げつつ本を読む。
 そう考えているうちにやはりである。
 アキが付けた狼尻尾をフワフワと優しく触りだすヴェルトール。
 触っていたと思ったら今度は尻尾を枕にしてみたりする。
「くすぐった……」
 その尻尾の触り方が腰に響きアキは少し身を捩る。
 今度は強制膝枕をしようとアキの体をよじ登る。
 明らかに無理がある。どちらかと言えば強制よじ登りかおんぶである。
 それでもアキは本を読み続けている。
「なー、何読んでるん?」
 今度は本を盗み見るようにアキの顔の横からヴェルトールは顔を出す。
「あー今日はっっっ!!」
 答えようとしているアキの首にフッと息を吹きかけるヴェルトール。
 アキが振り向けばニタリと笑うヴェルトール。
 どうやらちょっかいが過ぎたようだ。
 アキは持っていた本を閉じ、片手に持つとそれをヴェルトールの頭目掛けてバシバシと数回殴りつける。
「イテッ!」
 やめて!と言わんばかりにガードはするもののアキの攻撃は止まない。
 攻撃を休むことなくしていたアキの目にふと一つのクッションが入り手に取る。
「退屈になったならこれで遊んでおいでよ」
 そう言うと先ほど手に取ったボール型クッションをコロコロと転がす。
 ヴェルトールはそのコロコロと転がっていくクッションに目を奪われると咄嗟に走り出す。
 そして手の中に収めると少し膨れた顔をアキに向ける。
「ネコじゃないぞ」
 膨れた顔のままボール型クッションをアキに軽く投げつける。
「ははは、冗談冗談」
 アキの顔には満面の笑みが広がっている。
 ブーブーと文句を言い続けるランス。
「構え構えー!」
 と言いながらヴェルトールは素早く近付くとアキの本を取り上げ狭い撮影ブースを走り出す。
「あ!ランス!」
 そのヴェルトールを追いかけるようにアキも走り出す。
 中は人が4~5人入る空間、けして広くはないのだが、狭いはずの撮影ブースは2人には関係ない、心地良い2人の空間。
 くるくるとその場を回るように走り続ける2人。
 クッションが多く敷き詰められているため足場はかなり悪い。
「うわっ」
 クッションの中でも一際大きいクッションに足を2人同時に引っ掛けるとその上へとダイブ!
「ははは」
「はははははは」
 可笑しくて仕方がなかった。
 楽しくて。
 笑い声が撮影ブースの中に木霊する。
 その声は幸せな笑い声。
 笑い合いながらアキは瞳を開ける。
 そこにはヴェルトールの金色の瞳が輝く顔。
 ヴェルトールはそっと狼耳の付いているアキの黒髪を撫でる。
 愛おしみ宝物を扱うように。
 その行為に身を委ねるアキ。
 ヴェルトールの手はいつも心地良いものだ。
 どんな不安も心の動揺さえも消してくれる魔法の手。
 赤色と金色の瞳の視線が混ざり合い。お互いに額を合わせる。
 見つめ合いお互いの気持ちを交わすようにそのまま動かない2人。

 カシャ

 シャッター音が鳴る。
 ヴェルトールは店員に説明で撮影のボタンがあることを聞いていたのでアキを撫でている間に押しておいたのだ。
「あ、写真?」
 アキに向けて『押した』とウィンクするヴェルトール。
 シャッターチャンスが来ることを予測できたこともありたぶん良いものが撮れただろうと確信するヴェルトール。
「流石ランス」
 抜け目ないと苦笑を浮かべつつも感心するアキ。
 写真を撮ったことに少しの動揺が心に広がった気がしたアキではあったが、
「ま、いいや」
 とヴェルトールに聞こえるような聞こえないような呟きをしそのままヴェルトールにもたれ掛かる。
 この体温もアキの心の不安を取り除いてくれるもの。
 その全てを受け止めるようにヴェルトールはアキを抱き締める。
 お互いの体温とクッションのふわふわ感が心地良い。
 そんな2人の空間はその後も暫く続いた。
 店員はもちろん気にせず2人が出てくるのを待っていた。
 時折聞こえる笑い声に心を温めながら。

 しばらく有意義な時間を過ごし、撮影マシーンから出てくると既に写真は出来上がっていた。
 2枚出てきた写真を一緒に見る2人。
「ああ、幸せな狼の兄弟だ」
 そこには金色の髪の狼と黒色の髪の狼が額を合わせ見つめ合いながら映っている。
 愛を感じ、お互いの絆の強さが伺える。
「兄弟か、いいな」
 2人はともにその写真を見ると心が温かくなるのを感じていた。
 絨毯、クッションでふわふわとした中に、幸福に微笑みながらいる2人は家族。
「これどうする?」
 ヴェルトールは2枚持っていた写真を1枚アキに渡しながら問う。
「大事にしよう……家族写真だ」
 家族という響きに一瞬瞳を開くヴェルトール。
 しかし金色の瞳は直ぐに優しい眼差しへと変わる。
「そうだな」
 2人は見つめ合いまだ見ぬ未来を思う。
 これからも愛し愛されながら心地良い空間で過ごし、歩んでいくことだろう。
 その体温を感じながら。


●種の消滅

 2組のウィンクルムの愛の力によって種は消滅した。
 人知れずに。
 その効果もあってゲームセンターに多くの人々が戻ってきた。
 店長と2人の店員に安堵の息が漏れる。
 これでまた人々の楽しむ姿が見られると。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 草壁楓
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル コメディ
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 2 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 11月12日
出発日 11月18日 00:00
予定納品日 11月28日

参加者

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