プロローグ
がりがりがりがりがりがりがりがりがり
あなたはビーチに遊びに来ていた。海の家から、軽快な音が聞こえる。
がりがりがりごりごりごりごりごり
「……かき氷だ!!」
わーいやったー、と海の家に飛び込む。
今日はとても暑い。こんなときはかき氷に限る。
アイス? いや、かき氷だ。誰が何と言おうとこういう時はかき氷だ。
今決めた。
「おじさーん、かき氷くださいな!」
あなたがそう呼びかけると、おじさんがぜはーぜはーと息をついてしゃがみ込んだ。
「ちょ、だいじょうぶですか!?」
「あー、あ、すまん、ね。朝から、ひっきりなしに、かき氷、作ってるもんで、ね」
みればおじさんは汗だく。
腕を擦りながら涙目になっているではないか。
「ちょっと、まって、ね」
うーん、待ちきれない。かき氷、食べたい。
でも、このおじさんに鞭打つのもなんだか可哀想だ。
昔ながらの手動のかき氷機が、さあ、氷を持ってきたまえと言った様子で佇んでいる。
「あっ」
そこでおじさんが思いついたように声を上げた。
「おじさん、ちょっと動けるようになるまで時間かかりそうだから、もしよければ君たち自分でやってみてくれるかい? すこしおまけしてあげるし、シロップはかけ放題だ。トッピングも安くしてあげるよ」
パートナーの目が輝いた気がした。
さあ、かき氷パーティーの始まりである。
解説
●暑いからかき氷たべよーぜ!!
基本料金は二人で300Jr。食べ放題です。200Jrプラスすると、ふわっふわな氷が出来るすごい氷に変更できます。
シロップは無料でかけ放題。
食べ放題のかけ放題だけど、お腹を壊さないように気を付けて。
トッピングは、海の家にありそうなものならなんでも使えます。あんまりへんてこなものをかけるとおじさんがドン引きします。トッピングは一種につき一律20Jrです。
海の家の他の物も食べたい! というときは、書いてくれても構いませんが、1種につき100~500Jrくらい追加消費します。
●プランに書いてほしい事
かき氷をどちらが作るか、何個作るのか(一緒に作っても良いし、精霊だけめっちゃ働くとかでもOK)
作っているときの二人の会話や反応。
シロップの味、トッピング(あるなら)
食べているときの二人の感想ややりとり。
今回は交流OKですので、
掲示板で相談をしてみんなで一緒に楽しむのも良いですね!
相談期間は短めですので、お気をつけて。
頭キーンってなりましょう。
ちなみに旧式のかき氷機結構骨折れるよね!
ゲームマスターより
かっきごおりが~食べたいの~♪
強いじぇらーともいいけど~♪ やさしいソフトもスッテキなの~♪
オレ、ゼンブ、クウ。(ナックルウォーキング)
リザルトノベル
◆アクション・プラン
叶(桐華)
かき氷食べ放題っていい響きだよねぇ ってことで桐華さん、頑張ってね! 僕はー桐華さんがー僕のためにー目一杯の愛をこめて削ってくれるかき氷が食べたぁい ブルーハワイでお願いしまーす 働きたくないわけじゃないよ失敬な!僕こういうの大好きだよ! だから最後に一回だけ。僕が目一杯の愛をこめて削ってしんぜよう 桐華さんは赤が似合うからイチゴシロップね! はい、あーん 他のウィンクルムの子に会ったら譲り合いながら楽しく削りたい お疲れなおじさんの代わりにかき氷屋さんお手伝いするのもありかなー? 呼びこみとか接客、要るなら任せて! 一杯お幾らぐらいなのかはおじさんに聞こうか 海の家、お客さん一杯でわいわい賑やかになったらいーね |
セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
やったー。 自分で作れるなんて最高じゃん! ラキアと一緒にかき氷作るぜ。 オレは氷をがっしがっし削るからさ。 シロップやトッピングはラキア、任せた!(爽笑。 ふわふわかき氷も作るぜ。 暑くて海の家も稼ぎ時。 おじさん1人じゃ大変そう。お店を手伝う。 オレ達が食べたいように、他のお客さんもかき氷食べたいだろ。 じゃんじゃん氷削るぜ。皆も手伝ってくれると嬉しい。 焼きそばならラキア作れるぜ。いか焼きだって得意だし。 カレーはきっと鍋いっぱいあるだろ。皿に盛るだけなら簡単! 接客もする。 オレは赤黄緑青シロップを縦縞に配置した レインボーかき氷を食べるぜ。豪華な感じ、するじゃん? 皆の作ったかき氷も交換して食べる。 ウマい!(笑顔 |
カイン・モーントズィッヒェル(イェルク・グリューン)
※交流歓迎 じゃあお互いのを1個ずつ作るとして ふわふわの奴にするか シロップ…夏に馴染みの、乳酸飲料のアレ、シロップにも出来んだけど、ここあるかな あればそれ、ない場合はイチゴ 頑張れ、シャッツ(くくく 俺も可愛い嫁の為に頑張って作って、と 滅多に作るものじゃねぇし、楽しいよな 作り終わったら食べる訳だが 俺ら以外とも楽しく喋りたいね 特にミカは同業者なので喋ってみたいと常々思っててな 機会あれば一緒に仕事してみたいが、今日は弟分のいつきとのやり取りを見て楽しんでおく 2人のやり取りを見つつイェルの尻尾を撫でてイチゴ以上に真っ赤になる反応を楽しみつつ、耳打ち 兄弟は賑やかだよな 2人『以上』希望なんで、そこの所よろしく |
信城いつき(ミカ)
1杯目:イチゴ、2杯目:ブルーハワイ+メロン 懸命にかき氷作り あれ?だいぶ作ったつもりだけど、思ったよりかき氷の量が…… ミカ!どさくさに何やってるの!?(いつの間にか容器が入替り) コーヒー……ミカの意地悪っ まずはシンプルに1杯目。 みんなのかき氷を参考に見て回る できるならみんなと分け合いして色々食べたい 2杯目は部分的にシロップをかける。 なんとなく青い花と葉に見えるかな? これのイメージなんだ(エピ19の銀プレートを見せる) 誕生日にミカが作ってくれたんだ。ね、綺麗だよね (先日ミカが落込んでたので、みんなに褒めて貰いたい) しぶしぶ一口…あれ?甘い。 う……意地悪なんて言ってごめんなさい もう一口ちょうだい |
ユズリノ(シャーマイン)
濃い青のサーフパンツ 彼が男女問わず声を掛けられる 精霊はイケメンだし海はそんな場所 仕方ないけど あ 気を遣わせた うん頭冷やす 聞く間おじさんの肩揉んであげたい 翳す手を合わせてみて あ と納得 (頼もしい大きな手 一緒に大きいの1つ作るのどう? 受皿+大皿に移す役 はいさほいさ 視線合い笑み 僕エリア シロップ マンゴーと苺 ソフトクリーム マンゴー 苺 キウイ バナナ パイン ブドウ 果物大好き! にっこにこ !?じゃ僕も 彼エリア掬って差出 一緒にパクリ 色んな意味で美味しくて嬉しい と思ってたら彼が自エリアのパクリ あ 間接… 赤面 彼のドヤ顔 確信犯!? あーもう 僕のでキーンしてしまえ! 自エリア掬って突出す ※皆さんと絡み歓迎 如何様にも調整をどうぞ |
濃い青色のサーフパンツにはき替えると、ユズリノは傍らに立つ精霊、シャーマインへと視線を向けた。小麦色の肌、引き締まった無駄のない筋肉が浮き彫りになる競泳パンツ『グリーンスタン』を身に着けた精霊は、本日はやたらと刺激的に見える。無理もない。普通の服を着て立っているだけでも人目を惹く美丈夫なのだから。そう言い聞かせるも、ビーチの視線を独り占めして道行く男女から次々声を掛けられている精霊を見ていると、なんだか複雑な気分になってきた。
「……」
(シャミィはイケメンだし、海はそんな場所。仕方ないけど)
けど。
傍らで、シャーマインが苦笑する。
「テイルスは目につき易いからな、アハハ」
あ、とユズリノはシャーマインを見上げ、ゆるく首を横に振った。
(気を遣わせた……)
気にしていない、というように笑うシャーマイン。そのとき、海の家のほうからがりがりと氷を削る音が聞こえてきた。
「かき氷で機嫌直せ」
ほら、と手を差し伸べるシャーマインの手を取り、ユズリノは頷く。
「うん頭冷やす」
海の家に入ると、そこにはぐったりとしたおじさんの姿が……! 今しがたお客さんの分のかき氷を作り終えて一息ついたところらしい。もうこれ以上かき氷を作れないと泣き言をいうおじさんに、二人はそっと近づいた。そして、事情を聞くユズリノはなんだか気の毒になっておじさんの肩を揉む。一通りかき氷機の使い方の説明を受けると、シャーマインはかき氷機のハンドルを握った。
「俺が回し役だな」
「僕もやるよ」
ユズリノが腕を伸ばしてきたのを、無言で制止する。シャーマインがユズリノの前に翳したのは、その大きな両手だった。節のある男らしく大きな手では、かき氷機の受け口で何か作業をするのには苦労するだろう。
「あ」
納得したユズリノは、ガラスの器をとるとそれを受け口へ持っていく。その手のサイズの差に、シャーマインは庇護欲で胸がいっぱいになるのを感じた。ユズリノが提案する。
「一緒に大きいの1つ作るのどう?」
「いいよ」
即答する彼、早速、ハンドルを回し始める。
「いっくぞー」
あっという間にガラスの器に白い氷が盛られていく。ユズリノは、タイミングよくそれを巨大なガラスの器へと移した。
「はいさ」
「えっさ」
また小さいほうの器を受け口に差し出すと、あっという間に満たされていく。
「ほいさ」
「ほいさ」
掛け声の合間に、目が合う。自然と、笑顔がこぼれた。何度か繰り返すと、大きな器にこれまた山盛りのかき氷が出来上がる。早くしないと、溶けてしまう。大急ぎで、二人はそれぞれ自分の側の氷にトッピングを始めた。盛り付けが終わると、店主に会釈をし、近くのテーブルを借りる。
シャーマインのほうは、抹茶シロップにまろやかな練乳、ほくほくに炊いた甘いあずきに、もちもちの白玉。そして、てっぺんに魅惑のバニラアイスが鎮座している。
「おいしそうにできたね」
「そっち果物パラダイスだな」
「果物大好き!」
大きくうなずき、ユズリノが満面の笑みを浮かべる。その眼前にはイチゴとマンゴーのシロップがかけられた氷。バランス度外視でてんこ盛りに盛られたマンゴー、イチゴ、キウイ、バナナ、おまけにブドウ。さらにそのてっぺんにはソフトクリームがどでんと巻かれていた。
幸せそうなユズリノの顔を見ていると、なんだか気分が乗ってきたシャーマインはスプーンにひとすくいフルーツのかき氷を掬ってユズリノの前に差し出す。
「じゃ、あーん」
「!?」
有無を言わさず口にスプーンを突っ込まれる。
「一つの皿でってこういうことだろ」
ドヤ顔で言い放つシャーマインにほんのり頬を染めながら、ユズリノは同じように抹茶の部分を掬って彼へと差し出した。
いろんな意味で、おいしくて、うれしい。そんなことをやっていると、シャーマインは先刻ユズリノが使ったスプーンがついた部分を掬って口に含んだ。意味ありげな視線をこっちによこす。
(!?!?)
あ、間接……、そう思った瞬間、顔が熱くなる。しかも、確信犯だ。ユズリノはなんだか悔しくなって。
「あーもう、僕のでキーンしてしまえ!」
フルーツ氷を再度シャーマインの口に突っ込むのであった。
「あれ……?」
やってる? と店を覗き込んだセイリュー・グラシアが首をかしげる。
「あぁ、店主が今お疲れで……」
シャーマインが事情を説明すると、大きくガッツポーズ。
「やったー。自分で作れるなんて最高じゃん!」
なっ、と精霊、ラキア・ジェイドバインに同意を求める。うなずいたのを確認すると、セイリューはにかっと笑った。
「オレは氷をがっしがっし削るからさ。シロップやトッピングはラキア、任せた!」
「セイリュー、味付けからこちらにまる投げかい」
なんて言いながらも、ラキアは楽しそうだ。がりがりと早速氷を削り始めるセイリュー。ふわふわのかき氷を仕上げると、そこにラキアが彩を楽しもうとイチゴ、ブルーハワイ、レモンのシロップをかける。
「えっ、ラキアそれ味混ざんない!?」
「大丈夫、これ、味は同じで色が違うだけだよ」
「そうなの!?」
「セイリュー、知らなかった? 色から味をイメージしてたんだね」
くす、と笑うと店主がにょきりと顔を出した。
「ああ、そっちのシロップは確かにそうだよ。でも、ちゃんと果汁使ってるのもあるから気をつけてな」
「へー、そうだったんだ!」
しゃり、と一口味見をしてセイリューは味が混ざっていないことを確認し、納得したようにうなずいた。
そこへ、やってきたのは叶だ。Callの名を冠するオーダーメイド水着に身を包み、歌うように挨拶をする。
「やっほー、なんだかいい音が聞こえてきたから来ちゃった。おじさん、かき氷……」
「おじさん、筋肉痛でね、自分たちで作るなら今日は食べ放題ってとこなんだ」
叶の目が輝く。うなずいたセイリューがかき氷機へと促してくれた。
「食べ放題! 良い響きだよねぇ」
にこぉっ、とまぶしい笑顔で振り返る先は、Answerの名を持つ、叶と対になるデザインの水着を纏った桐華だ。これから何を言われるのかわかって、桐華は眉間にしわを寄せる。
「ってことで桐華さん、頑張ってね!」
素晴らしい笑顔で当たり前のように仕事を振ってくるこの神人は、たぶん一発くらい殴っても許されるやつだ、と桐華は思った。けれど、一発だって殴る気はない。
「僕はー桐華さんがー僕のためにー目一杯の愛をこめて削ってくれるかき氷が食べたぁい」
こんなにも楽しそうな叶がいる。
「ブルーハワイでお願いしまーす」
(……けどまぁ、叶が喜ぶなら良いかって思ってるんだから、我ながら甘い)
桐華はふっと笑うと、黙ってかき氷機のハンドルを握った。がりがりと上質な氷を削ってゆけば、そこにはふんわりとした氷の山。少なめに作ったのは、ブルーハワイ以外も食べたいと言い出せるようにだ。シロップたっぷり、ついでに、練乳も。
「愛目一杯よりシロップ目一杯の方が喜ぶんだろ知ってる」
「へへへ~」
ぱく、とスプーンにすくった氷を口へ運ぶ。
「おかわり、次、イチゴにしようかな?」
幸せそうに頬を綻ばせる叶に、桐華は笑った。
「はいはい、任された任された」
信城いつきはそんなみんなのかき氷を見て歩く。
「わ、すごい! フルーツいっぱい……こっちはふわっふわだ!」
「一口いる?」
「いいの!? ありがとう!」
ユズリノに勧められて、一口ごちそうになるといつきは無邪気に笑う。
「すごいね、贅沢な味! 俺はどんなの作ろうかな~」
かき氷機を独占してはいけないと、叶はおかわりの手を止める。桐華もハンドルから手を放すと、一休みとばかりに叶の横に腰かけた。
「いつき君、次どうぞ」
「わ、ありがとう」
がりがりと無心で削って、まずはイチゴのシロップ。二杯目は……と懸命に削っていたいつきは異変に気付いた。
……思ったより増えていない……?
「ミカ! どさくさに何やってるの!?」
なんと、ミカの手にはふわふわのかき氷が鎮座しているではないか。途中でいつきのものとすり替えたのだろう。
「あー悪いなー」
悪いと思ってるのか思っていないのか、しれっと言い放ってシロップ代わりにコーヒーをかける。
「コーヒー……ミカの意地悪っ」
それ絶対苦いじゃん、と頬を膨らますいつきに、ミカは小さく笑った。
空いているかき氷機の前にやってきたのは、レッドサンをすっきりと着こなしているカイン・モーントズィッヒェル。
「じゃあお互いのを1個ずつ作るとして、ふわふわの奴にするか」
イェルク・グリューンはうなずく。
「互いの、ですか。いいですね」
めったにないことだし、楽しもうかとイェルクはカインの横に並ぶ。
「私はレモンにしましょうか。美味しく作ってくださいね、シャッツ?」
「ああ、頑張れ、シャッツ」
くく、と笑うカインの体躯は引き締まっており、氷を削ることなど易いように見える。牽制しないと、と軽くからかうように愛情をこめて言った『シャッツ』を、イェルクは同じように返されてしまった。尾をゆらゆらさせながら、イェルクはちょっとだけ悔しそうな顔をする。
エアーの入っていない高級な氷をがりがりと削ると、カインは店主へ声をかけた。
「シロップ……夏に馴染みの、乳酸飲料のアレ、ありますか」
「お、あるよあるよ、使っていいよ~」
白いとろりとしたヨーグルトに近い風味のシロップをかけて、出来上がりだ。次はイェルクがかき氷機のハンドルを握り、一生懸命に回す。
「そういえば、自分で、かき氷をつく、るって、あまりないですね」
「そうだな。滅多に作るものじゃないし、楽しいよな」
できたか、とのぞき込むと、小さく息を吐いてイェルクがうなずく。可愛い嫁が自分のために必死にかき氷を作ってくれたのだと思うと、カインは自然と頬が緩んでしまう。
「できたっ」
いつきは、部分的にブルーハワイとメロンのシロップをわけてかけたかき氷に満足そうな笑顔を浮かべる。
「へえ、綺麗だな」
シャーマインが覗き込むと、いつきは照れ臭そうに笑ったあとにポケットからシルバープレートを取り出した。
「なんとなく青い花と葉に見えるかな?」
これのイメージなんだ、と掲げるいつき。そこへ、カインが顔を出す。
「お、それ、どうしたんだ?」
「誕生日にミカが作ってくれたんだ。ね、綺麗だよね」
先日はミカを落ち込ませてしまったから、喜んでほしくてみんなにミカを褒めてほしくていつきはシルバープレートをみんなに見せる。
「人に見せて回るな、同業者にまで自慢しなくていい!」
アクセサリーを作ることを生業にする者同士、視線がかち合い苦笑する。
「……悪い、先日俺が仕事でふさぎ込んでたのを気にしてるんで」
「いや、ほんとに綺麗だ」
ゆるりと首を横に振るカイン、いつきはその称賛が自分のことのように嬉しくて目を細める。
「中々思い通りにはいかないが、それでも『ファン』だと言ってくれる奴がいるんで」
いつきに聞こえないよう、ミカはこっそりカインとイェルクへ耳打ちした。カインはうなずく。志をしっかりともって仕事に臨む相手は、輝いて見えた。機会があれば、いつか一緒に仕事をしてみたいと思えるほどに。けれど、今日は弟分のいつきとのやりとりをほほえましく見ていよう。そう思って、カインはかき氷を口に含む。イェルクはそんなカインの楽し気な横顔に、見とれていた。
決してワーカーホリックというわけではないが、彼が仕事の話をしているときは、本当に輝いて見える。
「チビほら一口、いいから食べてみろ」
ミカはかき氷をスプーンにたっぷりすくうと、いつきに差し出した。苦そうだもん、としかめっ面になるいつき。それでもミカは大丈夫だからとスプーンを下げない。しぶしぶ口を開け、氷を口に含むといつきは目をまん丸くした。
「……あれ? 甘い」
底のほうに入れておいたソフトクリームが溶けて混ざって、絶妙なクリームコーヒーの風味になっていたのだ。
――おいしい!
「で、だれが意地悪なんだって?」
ニヤニヤと意地悪く言ったミカにいつきは素直に頭を下げる。
「う……意地悪なんて言ってごめんなさい」
そして。
「もう一口ちょうだい」
大きく口を開ける。
「はいはい」
ミカはくすりと一つ笑うと、かき氷を差し出してやるのだった。
(あーんとかしたら照れるかと思ったら、食い気が勝ったな……どちらかというと雛鳥の餌付けだな)
いつきたちとカインを交互に見て、イェルクはなんだか温かい気持ちになる。そのとき。
「ひゃあああっ」
声を上げるイェルク。慌てて自分の口を片手でふさぐ。
「!?!?」
彼の尾を撫で上げたのは、カインの手だった。真っ赤になっているイェルクの耳へと囁く。
「兄弟は賑やかだよな」
「そ、そうですね!?」
にやりと笑ってカインは続けた。
「2人『以上』希望なんで、そこの所よろしく」
「頑張りますけどその前に……」
濁しながら、イェルクはカインの耳にだけ届くように言葉を続ける。さあ、どうかえってくるかと思いきや、カインは大変うれしそうな顔で満足げに微笑んでいるではないか。
(恥ずかしい……!)
顔を真っ赤にして、イェルクは口を噤む。
――でも、きっと、夏だから許されるはずだ。そういうことに、してほしい。
しばらくすると、外のほうからお客がやってくる気配が。セイリューはそちらをのぞき込み、ぽつりとつぶやく。
「暑くて海の家も稼ぎ時だよな」
「だね」
ラキアが一つうなずいた。叶は店主へと声をかける。
「おじさん、もしよかったら僕たち少しお店手伝いましょーか?」
「おじさん1人じゃ大変そう! なぁ、それがいいよ、いっぱい食べさせてくれたお礼も兼ねて!」
セイリューが同調すると、店主はいたく喜んでお言葉に甘えると頭を下げた。
「じゃんじゃん氷削るぜ!」
「俺も手伝う」
桐華も立ち上がり、もう一台あるかき氷機を店主に出してもらった。
「焼きそばならラキア作れるぜ。いか焼きだって得意だし」
「あっ、セイリューまた勝手にそうやって……まあ、いいんだけど」
ラキアはふふ、と笑うと店のエプロンを身に着け、厨房に立った。
「カレーは鍋いっぱいあるだろ? 皿に盛るだけなら簡単!」
「頼もしいねえ、おにいちゃんたち」
店主は目じりを下げる。
「えーと、かき氷は一杯おいくら?」
叶は問い、返答を聞くと店の前にするりと出ていく。
「本日限定、ウィンクルムが愛のパワーでかき氷を作っちゃうよー。お一ついかがー?」
大きな声で呼び込みすれば、ビーチのお客が足を止めてこちらへやってくる。
小さな子供が、ラキアのつくるかき氷に驚いて尋ねてきた。
「おにいちゃん! これ、すごいね! ひよこさん?」
「そうだよ、レモンシロップはひよこさん、こっちのブルーハワイはイルカだね。おひとついかがかな?」
器用に氷を動物の形に固めたかき氷は、子供たちに大好評だ。バックヤードではセイリューと桐華が必死にかき氷機のハンドルを回している。客の回転率がすさまじいことになっているではないか。
「ね、ねぇ、これなあに?」
震え声でカップルの女のほうが聞いてくる。
「んっ? なんだろうこれ。ラキア君、これなーに?」
「今、変わり種をって希望が入ったから作ってみたんだよ、焼きそばトッピング」
冷めた焼きそばを細かく刻んで氷の上にかけたなんだか不思議なかき氷に、驚きを隠せない面々。それでもなぜか注文する客はいるもので、驚きだ。
あわただしく時間は過ぎてゆき、やがて客足も少しずつ落ち着いてきたころ。
「っは~、お疲れ! 俺たちも少し食べよう!」
セイリューが自分の分のかき氷に、イチゴ、レモン、メロン、ブルーハワイを縦縞にかけて持ってきた。
「虹色! きれいだね」
いつきがにっこりと笑った。
「おー、豪華な感じ、するじゃん? 一口いるか?」
「うん! 俺のもどーぞ!」
二人で器を交換して味見しあう。
「ウマい!」
セイリューは額の汗をぬぐうと飛び切りの笑顔を見せた。ラキアはその様子を見ながら、優しく笑う。
「何か作ってほしい動物ある? 好きな形、作るよ」
「ほんと!? じゃあ……」
きゃっきゃとはしゃぐウィンクルムたちを少し離れたテーブルから見つめ、叶は満足そうにつぶやいた。
「海の家、お客さん一杯でわいわい賑やかになってよかったね」
「ああ。とうとうお前、かき氷機回さなかったな」
桐華にそういわれてぷうと頬を膨らませて見せる。
「働きたくないわけじゃないよ失敬な! 僕こういうの大好きだよ!」
「まあ、好きだろうな」
ふ、と桐華の口元が緩む。次の瞬間、叶がすくっと立ち上がった。
「だから最後に一回だけ。僕が目一杯の愛をこめて削ってしんぜよう」
すたすたとかき氷機のもとへ向かい、手早くふわふわのかき氷を作る。
「桐華さんは赤が似合うからイチゴシロップね!」
できた! と笑顔で差し出してくる叶。桐華はそれを受け取ると、ブルーハワイのシロップを手に取り、小さな声で告げた。
「ほら、お前の眼の色」
「あ」
桐華の赤に、今しがた混ぜた青いシロップがゆっくりと溶け込んで行き、美しい紫色に変わる。
「ふふ、ありがと」
「混ざりきってひどい色になる前に食おうか」
「うん」
叶はスプーンで一番綺麗な紫色を桐華に差し出す。
「はい、あーん」
「愛目一杯篭ってんだろ?」
「ん? うん」
ぱくりと口に含んだ氷は心地よく溶けていく。
「そろそろ茶化して遊ぶのも諦めろよな」
桐華のそんな言葉にも、まだまだやめる気はなさそうに、叶は心底楽し気に笑うのだった。
依頼結果:大成功
MVP:
名前:叶 呼び名:叶 |
名前:桐華 呼び名:桐華、桐華さん |
名前:セイリュー・グラシア 呼び名:セイリュー |
名前:ラキア・ジェイドバイン 呼び名:ラキア |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 寿ゆかり |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 男性のみ |
エピソードジャンル | ハートフル |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ビギナー |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 08月06日 |
出発日 | 08月12日 00:00 |
予定納品日 | 08月22日 |
参加者
- 叶(桐華)
- セイリュー・グラシア(ラキア・ジェイドバイン)
- カイン・モーントズィッヒェル(イェルク・グリューン)
- 信城いつき(ミカ)
- ユズリノ(シャーマイン)
会議室
-
2016/08/11-23:09
プラン提出できた。
皆との絡みは天の采配にも委ねるぜ。
楽しいひと時が過ごせるといいな!
皆のかき氷がとっても楽しみ。
-
2016/08/11-22:21
-
2016/08/11-22:20
-
2016/08/10-22:51
>ミカ
お、さんきゅ。
これは喋るのが楽しみだ。
とりあえず海の家にありそうなもの、が、どこまでだろうな。
最近色々あるからな……。
物珍しくなければあるかな。
まぁ、かき氷に物珍しいのは誰も期待してねぇだろうから、普通に楽しく作ればいいか。
個人的にはカルピスのシロップがいいが。
イェルク:
(この顔でカルピスのかき氷とか酷い案件と思っている顔) -
2016/08/10-00:02
おぉ、じゃぁみんななんやかやお話したり遊んだりって感じになりそうかなぁ。
ふふ、手回しのかき氷機ってなんか楽しい感じだよね。僕も好き。
でも僕は桐華さんが僕のために作ってくれるかき氷を満喫したいので働きません!(きっぱり
他のお客さんにも振る舞ってみよーってのなら、接客とかの方面でお手伝いはしたいかな。
本日限定、ウィンクルムが愛のパワーでかき氷を作っちゃうよー。お一ついかがー?って感じで。
海の家って僕行ったこと無いから何が売ってるのかはよくわかんないなぁ。
スイカはありそうだよね。ソフトクリームも。
後はなんか普通に食べるごはん系なイメージかなぁ。トッピングに冒険できそうなのは難しいかも。 -
2016/08/09-23:39
ミカ:
信城いつきと相棒のミカだ。どうぞよろしく。
交流はチビが乗り気なので、喜んで。カインも色々話しができたらありたい。
隣でチビがみんなのかき氷興味深げに見てる。あ、今「分けあう」の言葉にピクッと反応した……腹こわさない程度にしろよ。
海の家にありそうなトッピング……ソフトクリームとかすいかぐらいしか思い浮かばないな
他にかき氷にできそうなの何かあるかな
さて、チビちゃんをだましつつ俺の分まで氷を削ってもらおうかな(にやり) -
2016/08/09-21:55
セイリュー・グラシアと精霊ラキアだ。
ユズリノさんは初めましてかな?
他の皆も、いつもな顔ぶれで
楽しく交流できそうなヨカンがひしひし。
今回もヨロシク!
オレ達は2人でかき氷をしゃかしゃか作る予定だ。
旧式のかき氷機で心ゆくまでかき氷を作る絶好のチャンス。
逃す手はないな!……という意気込み。
かき氷作るのに疲れているおじさんを手伝って、
海の家を訪れる他のお客さんにも、
かき氷を提供しようかなーと思っている。
これなら食べる人が沢山居るから、
かき氷の無限の可能性を追求!出来るかも?
なので交流中心な方向でプランを考えている。
作ったかき氷を皆で分けあうのもいいかも。
-
2016/08/09-20:54
カインと嫁のイェルだ。
よろしく。
俺らは互いのを作る感じかな。
交流は歓迎。
あ、俺、同業者のミカとお喋りしたいです(挙手) -
2016/08/09-20:47
-
2016/08/09-13:19
ユズリノと相方シャーマインです、皆さんよろしくお願いしまーす!
僕等は個別希望ですが絡みは歓迎なので
絡みOKとプランに入れてGMさまの采配にお任せしたいところ。
挨拶くらいの接点かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。 -
2016/08/09-11:19
作るのは桐華さんに丸投げ予定の僕、叶ですよろしくねー。
ユズリノくんたち以外は見知ったお顔かな。あっついけど元気ー?
交流オッケーな仕様だけど、一緒にわいわいする?
全員でーって感じじゃなくても、2・3組だけでもいーし、
積極的に一緒ーじゃなくても、偶然居合わせてなにしてんのー?楽しそうだねーって
声かけるとかもありかなーって思ってるところ。
二人でしたいことあるんだーとかだったらその辺も教えてもらえたら僕も参考にしやすいかな。 -
2016/08/09-11:16