プロローグ
「全く、旧市街にかまけてこっちはお留守かい?」
たっぷりとした長い黒髪の女はコツコツとヒールを鳴らしてタブロス市街の公園に現れた。昼下がりの公園は、市民がのんびりと過ごしている。女は大きなマスクの下の真っ赤な唇を歪めた。
「オーガを放って旧市街で演習だなんて大胆な奴らも居たもんだよ」
パチンと女が指を鳴らすと、女の背後からわらわらとハイエナの頭をしたオーガが現れた。――ヤックハルス。低く唸りながら、10頭のヤックハルスは公園へと入っていく。
「こっちでは私が『演習』してやろうか。ふふ、見せてごらんよ、『ウィンクルム様の力』とやらをさ!」
真っ赤な瞳を光らせ、女は狂ったように笑う。
逃げ惑う市民、面白がるように追い回すヤックハルス達。
「助けて!」
「く、来るな! こっちにくるなぁああああ!」
この憩いの場所で寛いでいた十数名の市民は、皆散り散りに逃げ惑い泣き叫ぶ。
その様を愉悦、といった表情で女は見つめた。
「大丈夫、すぐには殺さないよ。ウィンクルム達の目の前で死んでもらわないとね」
女の額には真っ直ぐな短い角。ベンチに腰掛け、市民と狂犬との追いかけっこを楽しそうに眺めていた。
「守り切れるっていうんだろう? 尊いお力を頂いたお前らにはさ」
解説
●目的:市民を守り抜け。
戦場となるのはタブロス市街の公園です。広さはバスケットボールのフルコート一面分くらいです。皆さんは市民の通報を受けたA.R.O.A.からの緊急要請で駆けつけました。
敵の数はヤックハルス10体。
ヤックハルスを連れてきたとみられるデミギルティの女がいますが、デミギルティは戦闘に介入しません。こちらから攻撃を仕掛けない限りはベンチに座って高みの見物をしているだけです。
ヤックハルスはデミギルティの指示で市民を追い回していますが、デミギルティが飽きたと感じたりもう十分と感じた時点で噛み殺すよう指示を変えるでしょう。早い段階で市民を避難させ、ヤックハルスを退治した方が良いようです。
デミギルティへの対応はお任せしますが、Aスケールオーガですので十分にお気を付け下さい。
ゲームマスターより
こんにちは寿です。
久々に純戦のアドベンチャーです。
如何に攻めるかというより、如何に守るかというエピソードになりそうです。
どうぞよろしくお願いいたします。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
リチェルカーレ(シリウス)
守り切って、みせます デミギルティをまっすぐ見るも すぐに視線を公園へ トランス後ハイトランス 市民の避難誘導担当 ラルクさんの合図で 市民に声かけ敵から距離を 集まりきれていない 入口から遠い所にいる一般人を迎えに行く 大丈夫です わたしたちが誘導します 落ち着いてついてきてください 落ち着けるよう穏やかな声かけ ひとりで動けないような子どもやお年寄りは手を引いて励ましながら 仲間の壁をすり抜け 敵が自分の方へ来たら盾に 時間を稼いで市民を護衛役の方へ逃がす 逃げ遅れた人がいれば迎えに 細かい作戦は仲間に準拠 避難完了後は戦闘 弱ってる>入口へ向かう>仲間が攻撃している敵の優先順 連携し素早く確実に 戦闘終了後 精霊の手当て |
豊村 刹那(逆月)
トランスして、公園に入る。 味方のアプローチ発動後に、ヤックハルスが意識を離した市民に駆け寄る。 「ウィンクルムです。助けに来ました」 落ち着かせる意味も込めて、左手の甲にある文様も見せる。 近くの他の市民も同じように対応。 ある程度人数がまとまったら、囮とヤックハルスを迂回しながら公園の外へ先導する。 公園の外へ避難させることができたら、巻き込まれないようにここから少し離れるように伝える。 「必ず護りますから」 本当なら、誰か一緒にいた方がいいんだろうけど。敵の数が多い。 避難完了後は、討伐に参戦。 前衛に入り、味方の攻撃後の支援に盾を翳しながら斬りつける。 1体ずつ確実に。 味方から離れ過ぎないように気を付ける。 |
アイリス・ケリー(ラルク・ラエビガータ)
…やってくれますね 到着次第トランスし、ハイトランス 一般人の避難誘導を担当 一般人を集め、可能な限り纏めて逃がす方針 全員を集めきってから脱出が理想 複数人で固まっている人々(以下A)、孤立している人々の位置を確認 孤立している人の元に向かい、敵との間に割り込む Aの方へ逃げるよう指示し、その背中を守るように後を追うようにして合流のアシスト Aが入り口の近くへ行ければ、入り口の確保へ動く 入り口付近の敵に攻撃し、注意を引き付ける その間の脱出を促す 第一陣の脱出後は敵の引き付けを優先 脱出完了後は殲滅戦へ 攻撃できる範囲で 弱ってる>入口へ向かう>仲間が攻撃している敵 を優先順位とし、攻撃 |
秋野 空(ジュニール カステルブランチ)
公園突入時トランス 避難誘導班 市民の安全最優先 単独行動は極力避ける 市民の数が多い所でグループを組み入口へ 途中、アプローチでヤックハルスから解放された市民等を救出・合流させ、護衛し逃がす作戦 市民に合流、ラルクさんの合図で霞を煙幕替わりにヤックハルスから市民を引き離し その後入口へ誘導 常に逃げ遅れや隠れてる人はいないか、ヤックハルスの潜伏はないか周囲へ気を配る 子どもや怪我人、遅れがちな人には手を貸し注意を払う 何かあれば仲間に情報共有 背後からの攻撃にも注意 殿>先導>横の優先順位で人手が薄い所へ入る 殲滅戦 市民を安全に逃がせたら精霊へ避難完了を伝え援護 MPが少ならディスペンサ 合流不可:入口側から挟撃を目指す |
●
「こっちにこないでぇ!」
大きな声で、親子連れの母親が叫んでいる。そこへ、ウィンクルム達は到着した。
「Im here to celebrate you」
秋野 空は、ジュニール カステルブランチの頬に口づけてすぐさまトランスへと移行する。顔を見合わせ、ジュニールは頷くとすぐに公園の真ん中目がけて走り出した。
「アッハハ、やっとお出ましか。面白いものを見せてくれよ!」
額に短い角を持つ女はウィンクルムの登場に楽しそうに笑う。
「守り切って、みせます」
リチェルカーレはデミ・ギルティをまっすぐに見据え、宣言する。そして、すぐに逃げ惑う人々とヤックハルスに視線を移した。
「この手に宿るは護りの力」
傍らのシリウスの頬に口づけ、そしてすぐに左手を取り、紋様に口づける。二人の力を分かち合うトランスへと移行し、リチェルカーレは市民の元へと駆け出す。
「……やってくれますね」
底冷えするような視線でベンチに腰かけたデミ・ギルティを一瞥すると、アイリス・ケリーはぽつり呟いた。そして、低くインスパイアスペルを唱える。
「猛き心を」
「皮肉が効いてるな」
ラルク・ラエビガータはアイリスの口づけを頬に受けながら苦々しく吐き捨てるようにそう言った。そして、アイリスの前に左手の紋様を差し出した。そこへアイリスが口づけると、二人のオーラが変わる。ハイトランス・ジェミニへと移行したアイリスは、逃げ惑う人々の位置を確認した。
公園の中ほどについたジュニールが、アプローチⅡを発動して気合いのオーラを放つ。市民を追い回していたヤックハルスが3頭、彼を狙い駆け寄ってきた。
シリウスは、手にしたポトリーダブルナイフで己の腕を軽く傷つける。一文字に赤が滲んだ。ジュニールのアプローチⅡで寄せきれなかったヤックハルスを誘き寄せる算段だ。目論見通り、その血液のにおいに気付いたヤックハルスが此方を向いた。直後、シリウスはエトワールの剣舞を披露する。その動きにじゃれつくかのように、2頭のヤックハルスが襲い掛かっていった。
ヤックハルスから解放された市民へと、トランスのオーラを纏った豊村 刹那が駆け寄る。
「ウィンクルムです。助けに来ました」
左手をスッと掲げ、手の甲の紋様をしっかりと見せて落ち着かせるように告げる。逆月はそんな刹那と市民を守るように、その傍に控えた。デミ・ギルティの女が手を二回たたく。近くにいたヤックハルス2頭が吠えた。刹那達を狙い、走り寄ってくる。
「させぬ」
逆月はヴァンプ・オブ・アローに矢をつがえ、引きしぼる。一頭のヤックハルスに射かけると、もう一方のヤックハルスが怯えるように狼狽えた。体に矢が刺さったまま悶え転げるヤックハルス目がけ、もう一撃。
「こちらへ……っ」
逃げ遅れそうな少年へと駆け寄った空が手を差し伸べる。そこへ、ヤックハルスが飛びかかてきた。空は、市民を傷つけるわけにはいかないと咄嗟に腕を広げて少年の前に立つ。
「おっと」
そこへ現れたのは、霞斬りで素早く移動してきたラルクだった。到着と同時に、ヤックハルスを切り捨てる。
「助かりました」
空が冷や汗を拭い、ラルクへと視線を送る。ギャンギャンと吠えながら、逆月たちから逃げてきたヤックハルスがこちらへと向かってきた。
「怪我は無いな。……よし」
ラルクが、軽く手を挙げる。――事前に決めておいた合図だ。空は頷き、少年の手を取る。瞬間、ぼわんと真っ白な煙があがった。ラルクが使用した忍法霞の中をひた走り、空と少年は木陰へと隠れる。泣き出しそうな少年に、空は優しく小さな声で語りかけた。
「大丈夫です、必ず、助かりますから」
「うん……」
息を潜め、ラルクが向かってきたヤックハルスを仕留めるのを待つ。
『グルルル……』
煙が晴れ、ヤックハルスは戸惑いながら少年を探すように首をめぐらせた。
「残念だったな」
獲物はお前の口には入らない。ヤックハルスの背後に回ったラルクが、手裏剣を投げつけた。紙吹雪の名を冠する折り紙手裏剣は、鋭くヤックハルスの肉を抉り突き刺さる。
『グ、ガァァァッ』
大きく吠えたのち、ヤックハルスはドサリとその場に身を横たえた。ラルクは先刻逃がした少年と空の元へ駆け寄り、再度忍法霞を使用して二人を逃がす。
複数人でまとまって行動している者、孤立し、泣き叫ぶ者。アイリスが駆け寄ったのは、1人で逃げ惑う少女だった。今まさにヤックハルスが飛び掛からん、というところで、少女とヤックハルスとの間に滑り込む。少女を背に庇い、ヤックハルスの爪を受けながらアイリスは妖刀・恋慕をヤックハルスの喉元に突き立てる。激しい血しぶきと共に、ヤックハルスはその場にどさりと崩れ落ちた。
「あちらの、人が多く集まっている場所へ……!」
震えながらその様を見つめている少女に、アイリスは力強く呼びかける。そして、その背を守るようにして彼女の後ろを走った。
――とある一点に人が多く集まっている。それは、アプローチⅡとエトワールに気を取られてヤックハルスが離れた隙を狙い、空とラルクが声をかけながら市民を一か所に集めたところだ。そこを目がけて、アイリスと少女は走る。
●
「……ふうん、なかなか面白いやり方だねぇ」
デミ・ギルティは手を叩く。ジュニールは自分と背中合わせでヤックハルスを引き付けるシリウスのためにフォトンサークルを展開させながら、ギリ、と奥歯を噛んだ。そして、すぐに首を軽く横に振る。あのデミ・ギルティに対する怒りの念がないと言えばうそになるだろう。しかし、そこに余計なエネルギーを割くのは得策ではないことくらい彼にも良くわかっていた。今は、目の前の敵に集中し、人々を守り抜くことだけを考えたい。思い直し、パヴィスを構え直すとジュニールは己に飛び掛かるヤックハルスの爪をその盾で受けた。
シリウスは、ヤックハルスが市民と公園の出入り口へ向かわないよう、追いつけそうで追いつけない速度を保ちながら少しずつ少しずつ奥の方へ誘導していく。
公園の大きな木の下で、ヤックハルスにじりじりと距離を詰められている老女がいる事に気付いたリチェルカーレはそこへ向かって全力で走った。襲い掛かろうとしたヤックハルスの眼前にジェンマの抱擁を掲げて飛び込み、その衝撃を受け止める。
「く……ッ」
「お、お嬢ちゃん……」
大丈夫かい、と老女が震える声で案じてくれるのをリチェルカーレは小さく頷き、ヤックハルスから視線を逸らさずに答えた。
「大丈夫です。わたしたちが誘導します。落ち着いてついてきてください」
ジェンマの抱擁を持つ手とは逆の手にトランスソードを握り、ヤックハルスとにらみ合う彼女の声色はその緊迫感にそぐわないほどに穏やかで、優しかった。
「リチェ……!」
遠くから、リチェルカーレを案ずるシリウスの声が聞こえる。その時、ドッ、と音を立ててヤックハルスの首元に何かが突き刺さった。――矢だ。逆月のスナイピングで放たれた一撃に、ヤックハルスは血を吐きながらその場に倒れ込んだ。そこへ、リチェルカーレがトランスソードを振り降ろす。
「逆月さん、ありがとうございます!」
ホッとしたような表情でリチェルカーレが礼を告げると、逆月は黙って頷く。リチェルカーレは、そのまま老女の手を取り市民が集まっている場所へと向かった。
「これで全員、ですね」
息を切らしながら、空は市民を背に庇い公園を見渡す。散り散りになっていた市民が14名、一か所に集まった。公園の中ほどから後部へと、ヤックハルスを誘導しながら離れていくシリウスとジュニールが見える。刹那、逆月、リチェルカーレ、アイリス、ラルク、空は顔を見合わせて頷いた。
「出口へ向かいます。殿は、私が」
空が告げると一同は頷く。恐怖に不安げな顔の市民たちも頷き走り出した。刹那が先頭を走り、一行を挟むようにして逆月、アイリス、ラルク、リチェルカーレが伴走する。その時、市民の1人――小さな男の子が声を上げた。
「!? お、おにいちゃん、おねえちゃんっ」
「どうした」
ラルクが短く答える。
「リノンちゃんがいない!」
出口に向かう足は止めず、ラルクは聞き返す。
「なんだって!?」
「リノンちゃんが、いないの!」
さぁっと血の気が引いた。――初めから姿が見えなかったが、かくれんぼでもしていたのだろうか。
「私たちは探しに行きます……!」
「そっちは任せた……!」
リチェルカーレとラルクは仲間を信じてくるりと踵を返し、公園の中に戻っていく。――子供が隠れそうなところ……事前に聞いていた通りなら囮につられていないヤックハルスがまだ一頭いるはずだ。危険が迫っている。……探さなくては。
不安げに足を止めようとする市民に刹那は呼びかける。
「大丈夫、必ず彼が連れてきます。ですから、まずは皆さん出口へ!」
●
そのとき、デミ・ギルティの女がヒュウと口笛を吹いた。
『グルルッ……アオオォォ……』
囮につられていなかった最後の一頭が、どこかから現れた。そして、出入り口の方へ向かって遠吠えしながら走ってゆく。ジュニールにまとわりついていた一頭も、その遠吠えを聞きつけて出口に向かって走り出した。
「くっ……」
これ以上向こうへ行かせるわけにはいかない。ジュニールはアプローチⅡの発動を続けつつ、斧を振ってヤックハルスの注意を引き付ける。シリウスも同じく、己の傍にいるヤックハルスを蹴りつけて怒りをこちらへ向けさせた。
『ギャンッ……ウゥウ……』
「よそ見している場合じゃないだろう」
挑発的な視線を送り、ヤックハルスが飛び掛かってくるのを待つ。振り降ろされた爪がその肩を掠めるのも構わず、シリウスは市民からヤックハルスを引き離した。――今、ヤックハルスにトドメを刺すわけにはいかない。ヤックハルスは群れで獲物を襲うオーガだ。数が減ると自分から離れてしまう。今は、二頭で獲物を追っていると『思わせておく』のが良い。痛む腕を犠牲にし、ただ、引き付ける。
「嫌ぁあ……!」
「どうすれば……!」
出入り口付近で唾液を垂らしながらこちらを見ているヤックハルスに、市民は震えあがる。スッと前に出て剣を抜いたのはアイリスだった。刹那も妖刀紅月を抜き、アイリスと共にヤックハルス目がけて振り下ろす。
「!」
『ガアァァッ』
「今のうちに!」
アイリスは斬りつけたヤックハルスが自分目がけてとびかかってくるのを盾で防ぎながら、叫んだ。
「できるだけ遠くへ逃げてください! 必ず護りますから……!」
同じように、刹那も襲い来るヤックハルスの攻撃を盾で受けながら市民へと呼びかけた。二人にヤックハルスの注意が向いているうちに、市民は公園の外へと駆け出す。
――本当ならば、誰かを護衛につけたかった。だが、敵が多すぎる。刹那はヤックハルスをしっかりと見据え、自分に飛び掛かってきたところで叫ぶ。
「逆月!」
「あぁ」
刹那の盾に弾き返されたヤックハルスにわずかな隙が生まれたところへと、逆月の矢が飛んできた。同時に、刹那も刀を振り降ろす。断末魔が響き、その場にヤックハルスが崩れ落ちた。その横でも、同じように鈍く重たい音が響く。
「やりました、か」
返り血を浴び、肩で息をするアイリスが刹那の方を振り返った。
「ああ、息は無い。そちらも?」
「えぇ」
刀に付いた血を払うと、二人は出入り口を背に立つ。――あと一人を、仲間が連れてくるはずだ。
「リノン! いたら返事をしてくれ!」
「リノンちゃん……!」
ラルクとリチェルカーレの呼びかけに、リノンは答えない。
「……!」
ようやっとリチェルカーレがリノンを見つけた場所は、遊具のトンネルの中だった。
「迎えに来ました、行きましょう……!」
逃げ遅れても無傷だったのは、幸いだった。ヤックハルスが入れない狭い場所を選んだのは、なかなか賢かったかもしれない。リノンは震える声で答える。
「う、ん……」
手を差し伸べて、リノンの脱出を手伝うリチェルカーレ。ラルクは二人の元へ走り寄るとリノンを抱きかかえ、指を二本立てて顔の前に持ってくる。小さく呪文を唱えると、ラルクは遁甲を発動し、そのまま出入り口へと駆け抜けた。
「1人で行けるか」
ラルクはリノンに問う。リノンは頷き、答えた。
「だいじょ、うぶ」
見れば、先刻リノンがいないといち早く気付いた少年が公園の外で待っているではないか。
「ああ、あの子と一緒か」
刹那はそっとリノンの背を押した。
「ついていけなくて、すまない。でも、必ず護るから。安心して行ってほしい」
「うん、おねえちゃん、おにいちゃん、がんばって……」
ありがとう、そう告げるとリノンは走り出す。
空が、大きな声で叫んだ。
「避難が完了しました!」
――これより、殲滅戦へ移行します。その声を聞き、ジュニールとシリウスはくるりと向きを変えた。挟撃すべく、ヤックハルス達を中央へ向けて追い立てるのだ。
●
「うーん、上手上手。あとはお掃除だね? がんばれがんばれ」
腕を組んでどっかりとベンチに腰かけたデミ・ギルティは足を組み替える。
ジュニールの元へ駆け寄った空は、ディスペンサで力を渡そうとしたが二頭のヤックハルスに二の足を踏んだ。――近づけない。ジュニールは空へと歩み寄るため、一頭のヤックハルスを斧で殴りつける。
そこへ、刹那が盾を翳しながら飛び込んできた。
『ギャン!!』
(頭部への攻撃を気にせぬ生き物はおらぬ。オーガと言えど、それは変わらぬだろう)
逆月は紅い瞳で、まっすぐにヤックハルスを見つめ弓を射る。命中したのは、ヤックハルスの目玉だった。
『ガアアァァァッ』
激しく吠え、のた打ち回るヤックハルス。
その隙に、空はヤックハルスをすり抜けてジュニールへと駆け寄った。ジュニールは彼女の意図をすぐに汲んで、そっと屈む。空は背伸びをしてやっと届く彼の額にそっと口づけし、己の力を明け渡した。瞬間、ガクンと膝の力が抜ける。
「ソラ……!」
そんな彼女を庇うように、ジュニールはヤックハルスと彼女との間に立った。
「大丈夫、です。すぐ、動けるようになります……」
そのわずかな隙にヤックハルスが襲い掛からんとする。ジュニールは再度フォトンサークルを展開し、仲間たちの守りを強化した。ディスペンサでふらついている空目がけて飛び込んできたヤックハルスを仕留めたのは、ラルクだった。鮮やかに舞う手裏剣が、いくつもその胴体に突き刺さっている。目に矢を受けたヤックハルスは、ジュニールによる最後の一撃で息をしなくなった。
「さて、本気で行かせてもらおうか」
シリウスはエトワールの動きをぴたりと止めるとオスティナートへと切り替える。まるで影分身のように素早く動き、ヤックハルスの喉元を掻っ捌いた。
「シリウス……!」
リチェルカーレの声が響く。背後に迫ったもう一頭のヤックハルスが、シリウスへとその爪を振り降ろした、瞬間。
「……ッ!」
「ジュニール!?」
「お怪我は?」
割入ったジュニールの手にはヤックハルスの血に濡れた斧、険しい表情でシリウスを背に庇い、問う。
「ああ、かすり傷だ」
「……お待たせして、すみません」
いや、とシリウスは首を横に振り、再度飛び掛かってくるヤックハルスにユニゾンで反撃を喰らわせた。仰向けにひっくり返るヤックハルス目がけ、リチェルカーレはトランスソードを振り降ろす。ついに動かなくなった最後のヤックハルスを見届けて、ウィンクルム達は小さく息をついた。
「シリウス」
「リチェ……」
怪我は無いか、と問われ、リチェルカーレは首を横に振る。
「私より、シリウス……あなたの方が」
こんなに傷だらけになって、とリチェルカーレはシリウスの傷をハンカチで結ぶ。自ら付けた傷以外にも、ヤックハルスの爪に付けられた傷が無数に残っていた。
「大丈夫だから」
涙目になりながら大げさに止血なんてしようとするリチェルカーレに苦笑いしながら、シリウスは彼女の頭を優しく撫でる。
――その時。
「いやぁ、見事見事!」
パンパン、とゆっくり、大げさに手を叩いたデミ・ギルティがようやくベンチから立ち上がった。シリウスは、警戒を解くことはせずにそちらへと視線を向ける。口をつぐんだまま、リチェルカーレは悲しげにデミ・ギルティを見つめた。
(どうして、こんなことを)
けれど、それを口に出すことはしない。――相手が何をしてくるかわからないし、それを問うのは最善ではないと彼女にもわかっていたのだ。
「さすがウィンクルム『様』だねぇ! ジェンマ様のご加護、そして聖なる愛の力。全く、反吐が出そうだよ」
煽るようにそう告げると女はヤックハルスの死体を踏みつける。
醜悪なものを見る目で刹那はそれを一瞬睨みつけ、そしてすぐに視線を逸らした。――刺激しておかしなことをされては元も子もない。そう思ったのだ。
どの神人も、精霊も、デミ・ギルティに何か問うことはしない。責めることもしない。ただ、黙ってその様子を窺うだけ。女はマスクを脱ぎ捨てて、ふと口の端を釣り上げて歪んだ笑みを見せた。
「……そう、お前たちは懸命だね。良い判断だ」
(どういう意味……?)
空は、その言葉を何度も脳内で繰り替えす。ジュニールは、空に万一の事が無いようにと彼女を背に庇うように立ち、デミ・ギルティから距離を取った。
背を向けると何をしてくるかわからない。相手が退くまで、こちらも何もできない膠着状態が続く。
「いつまでそうしているつもりだい? ……『演習』は、合格だよ」
『よくできました』くすっと笑って、女は言った。
「――私にも、あの時その『力』があれば、ね」
(……?)
そして地を蹴ると高く飛び上がり木の上に立つ。
どこか悲しげな表情でそう呟いたデミ・ギルティの真意はわからない。
しかし、今は市民を守り抜けたことを胸に、ウィンクルム達は痛む傷をおさえてA.R.O.A.へ報告に向かうのだった。
依頼結果:成功
MVP:
名前:リチェルカーレ 呼び名:リチェ |
名前:シリウス 呼び名:シリウス |
名前:アイリス・ケリー 呼び名:アイリス、アンタ |
名前:ラルク・ラエビガータ 呼び名:ラルクさん |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 寿ゆかり |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | 戦闘 |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 難しい |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 4 / 3 ~ 5 |
報酬 | 多い |
リリース日 | 05月19日 |
出発日 | 05月27日 00:00 |
予定納品日 | 06月06日 |
参加者
会議室
-
2016/05/26-23:59
-
2016/05/26-23:59
こちらもプラン提出しました。
作戦が上手くいって、誰も怪我をしませんように…。
ジュニールさん、ありがとうございます。シリウスもとても心強いと。がんばりましょう。
-
2016/05/26-23:40
先ほどプランを提出してきました
無事に市民の皆さんを守れると良いですね
>リチェルカーレさん
シリウスさんへよろしくお伝えください
貴方が俺の背中を守ってくださるように、貴方の背中は俺が守りますからと
>豊村さん
「例え一人だろうと誘導しようと思ってる。」の言葉に、胸を打たれました
無理はなさいませんように、ご武運を祈ります
>ラルクさん
頼りにしております
誘導班、よろしくお願いします
では、皆様、共に頑張りましょう -
2016/05/26-23:21
失礼しました、わたしも認識ミスですね。ちゃんと文章読まないと…。プラン、直しておきますね。
-
2016/05/26-23:14
読解力がなく失礼しました、了解しました
こちらもアプローチで大した数は集まっていないこと前提でしたが、少なくとも追い回されていた人が数人いて、ヤックハルスからは解放された人がいるかと思っての発言でした
まずはそこの人を集めて(=複数人)からの行動かと判断したので、出発から齟齬があったようですね、失礼しました
そことは別に複数集まっている人がいる場所がある、という前提での=複数人ということで理解しました
そのようにプランを修正しますね -
2016/05/26-22:58
>避難
んー、どうも言葉が足りないな。悪い。
人を集めるとしたら、最初から複数人でいるところに集めた方がいい。
んで、そこにアプローチで集めれてないヤックハルスがいたら、割り込まにゃマズい。
かといってヤックハルスに張り付かれたまんまってのもよろしくないだろ。
少しでも距離を離すための霞だな。
あと、認識の違いか。
アプローチで引き付けれる数はそう多くないと思う。
狭いとはいえ公園を動き回ってる上に、デミギルティの命令で追い回してる訳だしな。
デミギルティの命令を無視してジューンに食いつくやつはよっぽど近くにいる奴くらいじゃなかろうか。
てな感じで考えてたもんで、アプローチで引き付けれてない奴が多い前提で話してた。 -
2016/05/26-22:41
ひとまずプランは提出したよ。
上手く行くといいな。 -
2016/05/26-22:39
私も思い違いをしていたようです、失礼しました
ヤックハルスがいない場所に一般人を集めたい、そのための合図と霞ということでしょうか
…でしたら逆に、アプローチが発動してヤックハルスがそっちに引き寄せられたら
その周辺にはヤックハルスがいなくなるので、集まりやすくなりませんか?
ジューンたちから距離を取れば、危険も低いと思ったんですが、それでも危ないでしょうか -
2016/05/26-22:19
>リチェルカーレ
悪い、言い方悪かったな。
一般人を纏める場所を用意するときの話だ。
纏めたいところにヤックハルスがいりゃ、集まりにくいだろうからな。 -
2016/05/26-22:02
>囮
匂いに敏感なんですね。じゃあやるだけ、がんばってみます!とはいえ、ジュニールさんのアプローチの方がやっぱり引きつけられやすそうですし、できる範囲ジュニールさんの背後を護れる位置取りをするつもりです。
>誘導
奥の方にいる人を迎えに行って、出入口の方まで誘導するつもりです。ラルクさんの合図でヤックハルスから距離を、煙幕を目晦ましにしつつ避難…という感じでしょうか?はい、プランの方に書いておきますね。 -
2016/05/26-21:28
>避難誘導
とりあえず最初は複数人で固まってるとこがありゃそこをベースに人を集める感じで考えてる。
だがヤックハルスに襲われてるだろうから、俺が合図したら一般人を連れて少し離れてもらえると助かる。
霞を煙幕替わりにすりゃヤックハルスと一般人を引き離せるんじゃないかと思った次第。
そっちの字数が厳しけりゃ合図する云々も含めてこっちでぶっこむ。
>おびき寄せ
お、血か。いつだったか、嗅覚がいいとかいう情報を見た気がするしいいと思うぜ。
すげに怪我人も出てる分、どこまで効果が出るかは読めねぇが、試す価値はあるな。 -
2016/05/26-20:56
了解いたしました
私は攻撃力も高くないので『集めている一般人に張り付き』に回ろうと思います
背後からの攻撃にも注意が必要と言うことですね
確かに逃がす時の殿は大事、ですね
一旦逃がした後は、MPの残りも気になりますし、ジューンの援護に入ろうと思います -
2016/05/26-19:36
遅くなりました!皆さん、よろしくお願いします。
>囮
ジュニールさんのアプローチから外れたヤックハルスを引きつけたいですね。とりあえず攻撃は控え、追いつくか追いつかないかくらいの速さで出入口から離せれば…。ハイエナタイプ(?)のオーガですし、匂いには敏感かな?シリウスが先に剣でちょっと手を切って、血の匂いで引きつけられないかと。
>護衛
数人ずつまとめて、で了解です。ラルクさんがあげてくださった案がいいと思います。わたしもハイトランスをするつもりなので、「集まりきれていない一般人を迎えに行く」方に立候補しますね。パニックになっていそうですし、落ち着けるよう声をかけられたらいいかなと。 -
2016/05/26-17:47
うし、俺らは二人とも誘導側に行こう。
【囮】シリウス、ジュニール
【避難誘導】刹那、逆月、空、リチェルカーレ、アイリス、ラルク
って感じか。
>囮
ヤックハルスはデミギルティの指示で一般人を追い回して嬲ってるんで、入る分には苦労はねぇかなと。
厄介なのは脱出させるときとその後に押し寄せてくるかもってとこかね。
まだ逃がせてない一般人がいれば、後者のときが面倒なことになる。
だな、挟撃と洒落込みたい。
殲滅させる分にはそっちのが楽だろうが、ひきつけてる間に囮側の体力が削られてるってのとそっちの人数が少ないってのが気になるところだな。
一度目の脱出(出来りゃ一度ですませたいところだが)後、アイリスをそっちに合流させんのも手かね。
殲滅時は手近な範囲で
弱ってる>入口へ向かう>仲間が攻撃している敵
くらいの優先順で攻撃してくといいか。
>避難誘導
了解、「一般人を数人ごとにまとめて逃がす」で考えてく。
集めつつ入り口に移動していくって形かね。
2、3人が集めてる一般人にはりつき、残りが向かってきた『オーガの迎撃・進行方向もとい入り口の確保』、それか『集まれてない一般人を迎えに行く』くらいでどうだろうか。
とりあえず、アイリスは集まれてない一般人を迎えに行き、逃がす段では進行方向の確保を優先で動くつもりだそうだ。
俺は一般人に張り付いといて向かってくる奴を迎撃するつもりでいる。んでいったん逃がした後は入り口に陣取ろうかと。 -
2016/05/26-15:01
ご参加ありがとうございます、助かります!
人が増えましたので、あまり戦力にならない私(神人)は避難誘導側に回ろうかと思っています
ジューンは予定どおり囮側です
バスケットのコートが縦28m、横15mですから公園もそれくらいでしょうか
見通しが良いかどうかと入口の場所にもよりますが、無難なのは中央付近でアプローチⅡかなと考えていました
それでカバーできない部分もあるので、逃げ遅れた方を救出・誘導しつつ、公園奥から両サイドを入り口側に向かって移動いただき、残りのヤックハスルがいれば対応いただくのもひとつの手かと考えています
後は奥と入口側からの挟みうちができたら効率が良いですが
最初の奥への移動と、入口付近にヤックハスルがいた場合の対処を考えないと、難しいですよね… -
2016/05/26-14:34
人が増えたんだな。
うん。改めてよろしく頼むよ。
>流れ
ラエビカータさんの言う通りでいいと思う。
Aスケールについては、手を出して来ないなら無視する予定でいる。
睨むぐらいはしてしまうかも知れないけど。
>避難誘導
私が考えてたのは、3に入るかな。
親子でいたりしたらまとめて誘導した方がいいだろうし。
漏れたオーガは逆月に牽制して貰うつもりでいたよ。
後は、数人まとめてで時間がかかりそうなら、例え一人だろうと誘導しようと思ってる。 -
2016/05/26-08:17
お、飛び込み仲間か。
リチェルカーレ、シリウス、よろしくな。
>流れ
囮側と避難誘導側に分かれ、市民の避難。
避難終了後、ヤックハルスの殲滅って感じかね。
推奨通り、Aスケールは放置でいいと思う。
>囮
どこでひきつけて、どうするかって問題か。
ヤックハルスってぇと素早いんだよなぁ…。
入り口付近でひきつけて、徐々に端なり後方へ移動が出来りゃいいが、数が多いんで下手すりゃ入り口から動けなくなる可能性があるか。
入り口から一番離れたところってなると、【6】での懸念があたったときが怖い。
公園のど真ん中あたりで引き付けんのが無難かとは思うんだが…ちょいと難しいな。
どれも一長一短なもんで、推しづらいってのが本音だな。
>避難誘導
・一人ひとりについて誘導
→埋まっても人手が足りない、囮から漏れた市民に手を回せない可能性あり
・ウィンクルムで通路を作るようにし、避難経路を確保(警備員が人壁になって道を作るような感じ)
→市民が散り散りになって逃げてるんで、広範囲にわたって経路を作らなくてはいけない
・一般人を数人ごとにまとめて逃がす
→先導担当と護衛担当に分かれるのが無難か
→漏れたオーガが間違いなく向かってくる
考えついたのはこんくらいかね。
どれをやるにしろ、避難誘導側に人手あった方がいいとは思う。 -
2016/05/26-06:38
ギリギリで飛び込み失礼します。
リチェルカーレです。パートナーはテンペストダンサーのシリウス。参加させてください、よろしくお願いします。
ここまでのところ、読みました。わたしたちもまとめて囮役をするか、二手に分かれるか…悩みますね。今のところシリウス:囮、リチェ:避難と思っています。
すみません、背後の仕事で書き込みは夜になります…掲示板は確認するようにしますので、何かありましたら教えてください。
ではまた夜に。 -
2016/05/26-01:07
悪い、訂正。
×纏めて囮側にいくか
↓
○纏めて誘導側にいくか
だ。
んでちょい気になってたこと。
連中、入り口から入ってきてるあたり、その周辺なんとかせにゃ不味いかもなぁと。 -
2016/05/26-00:09
ほいほい。最終日の飛び込みで悪ぃな。
シノビのラルクとアイリスだ。
よろしく頼む。
二手に分かれるとなると…ふむ、うちはどうすっかね。
神人と俺は別んとこにいくか、纏めて囮側にいくかで悩むとこだな。
とりあえずうちはハイトランスするつもりでいる。
後の細かいとこはまた朝に。 -
2016/05/25-22:09
そうですね、参加メンバーや人数にも寄ると思いますが
ひとまずは市民の救助と避難を優先していただけると助かります
市民の安全が最優先でしょうから
ただこちらが劣勢であれば、牽制または援護をしていただけると心強いです
スキルはアプローチⅡとフォトンサークルをセットする予定です
ヤックハルスをできるだけ引き付け、スキルふたつを併用しつつ乗り切り
市民の安全が確保された時点で、殲滅戦に移行できれば一番いいですね
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2016/05/25-21:54
ああ、よろしく頼むよ。秋野さん、カステルブランチさん。
範囲が公園全てじゃなくても、アプローチがあるのはありがたい。
近くの市民から順に救助して避難させて行くのがいいかな。
カステルブランチさんが囮役をするなら。
私たちは、始めの内は避難誘導を優先するよ。
それとも、逆月もそちらに回した方がいいかな。
遠距離職で20mまでなら攻撃が届くから、釣り役もできるし。 -
2016/05/25-21:01
秋野空とジュニール・カステルブランチです
出発人数揃うかわかりませんが、どうぞよろしくお願いいたします
>豊村さん
アドでご一緒するのははじめてですね、改めてよろしくお願いいたします
囮と避難誘導の二手に分かれる案に賛成です
ロイヤルナイトのスキルにアプローチⅡがありますので
それを使って、少しでも引き付け役になれればと思っています
ただ、公園全面まではカバーできないかもしれません
有効距離は最大で20m程度、確実なのは10m程度と聞いていますので
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2016/05/25-20:16
豊村刹那だ。
プレストガンナーの逆月と今回の件に参加させて貰う。
誰が来るとも知れないが、よろしく頼む。
ヤックハルスが10体で、逃げ惑う市民の数は……十数名か。
ヤックハルスを引きつける役と、市民を助け出して順次避難させる役の二通りになるのかな。