【祝祭】チョコで描こう♪(草壁楓 マスター) 【難易度:簡単】

プロローグ

●チョコを思い出に
 粉砂糖が降り積もるブランチ山脈の近くの小さな村では祝賀会のイベントの準備がされていた。
 そんなイベント準備の最中、1人のパティシエと絵師3人が一室で話し合っている。
「では、祝賀会でのイベントの確認事項ですが……」
 そういうと、先に配っていた1枚の用紙にそこにいる全員が目線を落とした。
「会場は村の集会所……つまりこの場所で行います」
 責任者なのか長いコック帽を被った女が話す。
「ここに絵描きブースと作品作成ブースとで分け更なる細分化はブースで話し合って決めてください」
 入り口入ってすぐ左側の半分の30畳ほどのスペースを指差す。
「では絵描きブースは私達で後ほど分担を話し合います」
 絵師の中の一人の老年の女がそうにこやかに返事をする。
「それぞれ得意分野が違うから、お客様には分かりやすくしなきゃね!」
 その老婆の横に居た15、6歳の少年が残りの2人の絵師の顔を見ながら元気良く言い放った。
「はい、そのようにお願いします。では続いて今回のイベントについての概要を簡単にご説明します」
「確か村長さんからの依頼で、今回の祝賀会が思い出になるようなイベントをって話しでしたよね?」
 縦巻きロールにした金色の髪をなびかせながら気の強そうな女性が言う。
「えぇ~そうです。そこでここの地方の名物のチョコレートを使ってと言われてこちらまで来ていただきました」
「なるほど、そのチョコレートを使って私達が描いた絵をチョコレートにするんですね」
 優しい微笑みを浮かべながら老婆が何回か頷いた。
「そうなります!」
 パティシエが老婆の問いに満面の笑みで答えた。
 そんな話し合いはその後30分程で終わり、ブースごとに集まり次の話し合いに変わる。

 ここは絵描きのブース
「まず壁にここはどうような絵を描くのかを張り紙をして分かりやすくしましょうか」
 老婆が残り4人の絵師の賛同を貰う。
「それでいいと思いますわ、それでですが私はキャラクターなどオリジナルなものを担当させていただきたいですわ」
 縦巻きロールの女が自分の担当を言う。
「じゃあボクはちびキャラの似顔絵!!」
 少年が挙手をしながら立候補。
「じゃあ私は風景画とリアルなタッチの似顔絵にしますね」
 老婆がそう言うと決まったと言わんばかりに、3人は笑顔を浮かべる。

 続いて作品作成ブース。
「さてと、両ブース合わせて机を8個ぐらいに椅子を40脚ぐらい借りて……村長さんに後でお借りしなきゃ」
 一人でそうぶつぶつと呟きながら必要なものを紙に認めていく。
「材料は……ミルクチョコレートにビターチョコレート、ホワイトチョコレートにチョコペン」
 目を天に泳がせながら考える。
「あとは、苺チョコに抹茶チョコとかね……あ、トッピングも用意しなくちゃ。そうそう村長から貰った『祝福の金平糖』を1人1つずつ渡して最後の仕上げにっと」
 だいたいの材料は決まったのか、その場で両手を上げた。
「よーし、頑張るぞ!」

 そして村から村民全員でショコランド中にイベントの案内のビラが配られる。

『チョコレートで似顔絵教室』

 思い出に世界に一つだけのチョコレートを作ってみませんか?
 ホワイトデーのお返しにもピッタリ!!(渡したい方に見られないようにしたい方は係りの者にお申し付けください)
 絵が不得意でもお菓子作りが苦手でも大丈夫!
 プロの絵師が似顔絵やキャラクターを作成し、その後にプロのパティシエが作成方法を丁寧に教えます。
 参加費は材料費込みで500jr。
 皆さんのご参加お待ちしております。

解説

●目的
 ・似顔絵やオリジナルキャラクターを絵師に描いてもらい、その絵を元にチョコレートを作成します。
  
●作成数について

 ・1人1枚(神人1枚・精霊1枚)
  縦10cm×横20cm程
 ・1組1枚(神人と精霊で1枚)
  縦20cm×横30cm程

 上記いずれか2種類作成できます。どちらかをお選びください。

●絵の種類について
 
 ・似顔絵
 ・似顔絵ちびキャラバージョン
 ・オリジナルのキャラクター
 ・思い出の場所
 
 の上記4点から希望の絵をプランにお書きください。
 似顔絵の場合その場でモデルとなっていただきますが、もしたくさんの人の前では少しやり辛いポーズなどでしたら言葉で伝えれば要望には答えられるようです。
 オリジナルキャラクターは絵師に分かりやすいように伝えてください。曖昧だととんでもキャラができるかもしれません。
 また、似顔絵やキャラクターに背景をつけることも可能です。

●チョコレート作成について
 
 ・チョコレート作成はパティシエが丁寧に説明しますので指示通りにやればかなりのできばえになります。
 ・チョコレートの色は、ミルクチョコレート、ビターチョコレート、ホワイトチョコレート。チョコペンにはたくさんの種類ありますが金や銀の金属色や蛍光色はありません。
 ・トッピングは多種用意してありますので使いたいものがあればプランにお書きください。
 ・『祝福の金平糖』は1人1個使えますので、使用したい色やチョコレートのどの部分に飾るかなどを指定してください。
 ・1人1枚を選ばれた方でパートナーに見られずに作成したい場合は席を離せますのでご安心ください。
 ・完成したチョコレートは冷やし固めた後にラッピングをしてお渡しします。

●参加費について
 
 参加費は1組500jrとなります。

●祝福の金平糖について

 祝福の金平糖とは、女神ジェンマ様の愛の力が結晶化したもの。
 ウィンクルムが手にするとお互いの愛の力が上昇し、その他の人々や動物が食べると、とても甘く感じます。
 

ゲームマスターより

草壁 楓です。
簡単にいうとキャラチョコを作ろう!っていうやつです。
オリジナルキャラクターや似顔絵を絵師さんに描き描きしてもたったものがチョコレートになります。
今年のバレンタインとホワイトデーに草壁自身が作っていて楽しかったのでお話にしてみました。

ご参加お待ちしております♪

リザルトノベル

◆アクション・プラン

リチェルカーレ(シリウス)

  1組で1枚
思い出の場所:虹蛍花の森(依頼43)
ふたりで見上げた夜の夜
きらきら光りながら空へ飛んでいった虹色の花を

できあがりが今から楽しみ!
…でも大丈夫?苦手でしょう、甘いもの…
返ってきた答えにぱっと笑顔

花の部分は立体的に作りたい
花びらも1枚ずつ細かく
難易度を上げているのはわかるけど
大切な思い出の風景だから綺麗に作りたいの

パティシエの説明を聞きながら真剣な顔で作っていく
チョコで花を成形したりトッピングを飾る部分では楽しそうに
2輪並んだ花の中心部にそれぞれ金平糖を飾って
これがわたしで こっちがあなたよ

出来上がりを見て 
食べるのが勿体ないわ
問いには頬を染めて目を逸らす
あの時の言葉もあなたの笑顔も 忘れない


吉坂心優音(五十嵐晃太)
  ☆心情
「絵描きさんが描いてくれるんだぁ♪
晃ちゃん、描いてもらおうよ~!」

☆1組1枚

☆似顔絵ちびキャラ

☆ポーズ
・晃太の膝の上で後ろから抱き締められ肩に晃太が顎を乗せている

「ねぇねぇ晃ちゃん、どんな絵柄でポーズにする?
あたし達のちびキャラとか可愛いかも!
うんそれにしよ!
? 晃ちゃん?(椅子に座った晃太に疑問を持ちつつ傍に行くと晃太の膝の上に乗せられる
ふへっ!?
こっ晃ちゃん!?
いきなり過ぎるよぉ!
そりゃ確かに忙しかったけど…あたしだって同じ想いだもん(小声
うぅ…分かったよぉ(赤面」

☆終了後
「わぁ、凄い凄い!
可愛い!!
ちびキャラになるとこんなにも可愛くなるんだねぇ♪
やって良かったね晃ちゃん(満面の笑み」


八神 伊万里(蒼龍・シンフェーア)
  絵師さんが描いてくれた絵をもとにチョコレートを作るのね
それなら私にもできそう…どうしたのそーちゃん?
う、うん…(謎の生物を地面に描き
はい、ドラゴンだよ!
で、でも元絵があるんだしそーちゃんもパティシエさんもいるし大丈夫

一組一枚
思い出の場所
故郷の家近くの小高い丘でのお月見

すぐ後ろにそーちゃんがいて緊張するけどパティシエさんの指示をよく聞いて慎重に作る

描きながら呟く
思い出したよ
引っ越しの前日二人でお月見して…
「一緒にテネブラを見よう」って
ウィンクルムになろうって意味だったんだね
今まで忘れていてごめんなさい
すごく悲しくて寂しくて、記憶に蓋をしてたみたい

今は人がいるから駄目…!
ちょっ、そういう意味じゃっ


マーベリィ・ハートベル(ユリシアン・クロスタッド)
  1人1枚
お互い自分のちびキャラ
顔(丸眼鏡有)
シンプルカチューシャ
襟まで

彼の似顔絵見て
「はい、頼もしいお顔付きがよく出ています
キュートという単語に照れ

パティシエの説明はきちんと聞く
堅実な作成心掛ける
頬はピンクに色づけ
眼鏡のフレームに丸いトッピングシュガーを控えめに飾る
カチューシャにチョコペンで水玉模様
髪の色はミルクチョコ※明るい色は潜在的願望
おさげの髪飾りに金平糖あしらう
(少し派手かしら…

彼のチョコ感想
思い切りの良さに羨望感※自分に無いものなので
「楽し気で素敵です

完成
「は、はい、では私も…私を貰って頂けますか?(な、なんとなく言い回しが…

「た、食べてください
さらに何か含んでしまった様で赤面


静華(ローレンツ)
  どんな仕上がりになるか楽しみですね
上手に出来ればいいのですが

1人1枚
オリジナルキャラクターを猫、色お任せ
金平糖を首輪の部分に

バレンタイン後に出会ったので何もしていませんでしたから
今回、プレゼントできればいいなと思って
これからよろしくお願いしますくらいの意味合いで…
猫なら可愛くなるかなと思ったのですが喜んで頂けるでしょうか

チョコは指示に従い丁寧に
初めて贈るものですし、気合を入れて頑張ります
真剣になりすぎて無言気味

いざ渡すとなると緊張しますが、渡さない事には始まらないですしね…
うん、頑張ってみます

結果的に交換になってしまいましたね
なんだか、嬉しいです。似たような事を考えていたなんて
大事に頂きますね


●想いを描いて♪
 静華とローレンツはオリジナルキャラクターを製作する絵師のところに赴いた。
「どんな仕上がりになるか楽しみですね。上手に出来ればいいのですが」
 静華は隣にいるローレンツを軽く見上げながら笑顔で話す。
「静華ちゃんならとても良いものができると思うよ」
 ローレンツは静華からバレンタインデーに貰ったわけではないけれど、丁度いい機会なので早めのホワイトデーにしてしまおうと考え贈るために参加することにした。
 静華はバレンタイン後に出会ったので何もしてあげられなかったのが気に掛かり、プレゼントできればいいなと思っての参加である。
 出会ってまだ間もない2人だが、お互い『今後ともこれからもよろしくお願いします』ということなのだろう。
 縦巻きロールの少し派手な女性のところに足を運び女性の前の椅子へと腰掛ける。
「1人1枚のオリジナルキャラクターをお願いします」
「じゃーどのようなキャラクターがいいか説明をお願い致しますわ」
 女性はまず静華の口からキャラクターの詳細について聞きだす。
 静華は猫のキャラクターで柄や色などはお任せだと話す。
 猫なら可愛くなるかなと思ったのと、ローランドに喜んでもらえると考えたチョイスである。
 続いてはローランドに目線を向けて聞き取りを始めた。
「僕はパンダを。色は……それっぽい感じになるような」
 フムフムと女性は数回頷き天井を見上げるとまた静華を見る。
 数分後2人に一枚ずつスケッチされたイラストが手渡される。
 静華に渡されたスケッチには銀色に輝くブルーの被毛が特徴的で手触りの良さそうな毛並みのロシアンブルーの猫のキャラクター。
 ローレンツには白黒のパンダのキャラクター。手足が短くどこかファンシーでちゃめっけのあるキャラクターだ。
「じゃあ次は隣の作成室に移動してくださいませ!」
 女性に促されると2人は隣の部屋へと移動した。

「絵描きさんが描いてくれるんだぁ♪晃ちゃん、描いてもらおうよ~!」
 そんなころ会場に来ている吉坂心優音が五十嵐晃太の袖を掴んで参加しようと誘っている。
「ほぉ…、結構凄い事するんやなぁ…あぁえぇよ、描いてもらおか」
 心優音の要望にもちろんと、満面の笑みを浮かべて答える。
「ねぇねぇ晃ちゃん、どんな絵柄でポーズにする?」
「んーせやなぁ……」
 と晃太は3つのブースを見比べる。
「あたし達のちびキャラとか可愛いかも!」
 心優音と晃太は目線を上げて想像する。2人のちびキャラが頭の中でお花畑を走っている様を……(たぶんそんな想像をしたに違いない!!)
「ほな絵柄は似顔絵ちびキャラにしよか」
 そうと決まればと2人はちびキャラブースへと足を進ませる。
 そこには心優音と晃太と同い年ぐらいの少年がいた。
 2人は同時に軽く会釈をし、椅子に座る。
「1組1枚で頼むで!」
 晃太の答えに少し大きめのスケッチブックを取り出す。
「じゃあポーズとかあったらその場で!もしやりづらかったら口頭でもいいよ!」
「ポーズは……そうや、みゆ、こっちに来ぃ」
「? 晃ちゃん?」
 晃太は座ったまま心優音を手招きする。その晃太に疑問を持ちながらも心優音はそっと近くまで近寄った。
「ふへっ!?」
 と心優音はちょっとすっとんきょうな声を出したかと思うと、晃太の膝の上へと座らせられた。
「こっ晃ちゃん!?いきなり過ぎるよぉ!」
「はは、堪忍な、みゆ」
 苦笑いを浮かべながら晃太はそっと心優音後ろから抱き締める。
「いやぁほら最近事件やら卒業関連なんやらで忙しかったやん?久々にみゆを抱き締めたかったんや」
 後ろから聞こえる晃太の声に、
「そりゃ確かに忙しかったけど…あたしだって同じ想いだもん」
 顔を真っ赤に染めながら心優音が小声で答える。
「せやから今回のイベに興じて堪能しようかと……」
「うぅ……分かったよぉ」
 そんな2人のやり取りを絵師の少年も顔を赤らめながらスケッチしていく。
 心優音の呟きを聞きながら晃太はスケッチが終るまで堪能することを決める。
「さ、どうぞ!!」
 スケッチされた2人は手足が短くちびキャラになり、いつもより目が大きくなって幸せそうに微笑んでる心優音を後ろから優しく抱き締めて満面の笑みを浮かべているちびキャラの晃太。
「そのラブラブなままチョコにしてきちゃいなよ!さっ次の人~~」
 少年は当てられたというように、2人を次の工程へと促した。

 ラブラブな2人の絵が書き終わる少し前、少し力の入った八神 伊万里と少し考えるような顔をしている蒼龍・シンフェーアが会話をしている。
「絵師さんが描いてくれた絵をもとにチョコレートを作るのね。それなら私にもできそう…どうしたのそーちゃん?」
「待ってイマちゃん……ちょっと外に出よう」
 蒼龍はそう言って一旦伊万里を外に連れ出す。そして近くにあった小石を渡しながら伊万里に問う。
「絵は上達した?ちょっと地面に描いてみて」
「う、うん……」
 その場に屈み込み地面へとスラスラと何か書いていくと、
「はい、ドラゴンだよ!」
 と少しの不安と自信が入り混じった顔をして蒼龍に披露する。
「……画伯じゃないか!」
 伊万里の描いたドラゴンを見て天を仰ぎながら言う。
 ドラゴンなのかはたまた謎の生物なのか……。
「やっぱりちょっと心配だな」
「で、でも元絵があるんだしそーちゃんもパティシエさんもいるし大丈夫」
「僕もできる限りサポートするから頑張ろうね」
 伊万里の説得と作りたいという気持ちに背中を押させたのか、蒼龍は伊万里に微笑みながら会場へと一緒に戻る。
 2人が選んだのは1組1枚の風景画。品の良さそうな老婆が聞き取りを始める。
「故郷なんですね。それは綺麗に書かなくてはね」
 2人の話を聞きながら、優しい瞳で老婆が2人と会話をしながら描いていく。
「家の近くに小高い丘があってそこでお月見をして」
 伊万里の言葉を聞き漏らさぬようにと、老婆がスケッチを進めていく。
 数分後伊万里に風景画が手渡される。
 絵の出来栄えに満足したのか大事そうに抱え、隣室へと移動した。

 前の2人がいなくなったのを見計らうと、風景画の席にリチェルカーレとシリウスがそこに座る。
「虹蛍花の森をかいていただけますか?」
 リチェルカーレの言葉に老婆は、もちろんと頷く。
 その横にいたシリウスは微かに瞳を見開くがそのまま彼女の言葉に耳を傾けている。
「細かく説明していただけます?」
 老婆にそう言われリチェルカーレは細かく説明する。
 きらきら光りながら星空へ飛んでいった虹色の花、そこに二輪の花が寄り添うように咲き誇っている。
 数分後完成した絵がリチェルカーレに渡された。
 そこには、森林の夜空に無数の星が輝きその中に虹色の花びらが舞う。その中央には虹蛍花が二輪寄り添いながら咲き誇っていた。
 希望通りだったのか、リチェルカーレは目を見開いた。
「さぁ、隣にいってチョコレートにしていらっしゃいな」
 老婆に促されると2人は立ち上がり隣の部屋へと足を向ける。
 ふと、リチェルカーレは一つのことを思い出す。
「できあがりが今から楽しみ!……でも大丈夫?苦手でしょう、甘いもの…」
 心配そうな表情を浮かべてシリウスを見上げてみるが、
「見るのも嫌だと言うわけじゃない」
 肩をすくめながらシリウスはそう答える。
「一緒に作るくらいできる ……やってみたいんだろう?」
 返ってきた答えにリチェルカーレの顔がとびっきりの笑顔へと変わる。
 わかりやすく明るくなった表情に表情を僅かにシリウスはほころばせた。

 リチェルカーレ達と同時間、ちびキャラコーナーではマーベリィ・ハートベルとユリシアン・クロスタッドが似顔絵を描いてもらっていた。
「まずはお姉さんからね」
 1人1枚を選び、最初に描かれるのはマーベリィである。
 絵描きの少年はじっとマーベリィを観察する。
 少し丸みの帯びた輪郭を描き、丸眼鏡を灰色の大きな瞳に装着させる。濃い茶髪の髪にアホ毛を一本におさげ、その頭にはシンプルな淡いピンク色の水玉模様のカチューシャが飾られるそして襟までのバストアップのちびキャラが出来上がる。
 マーベリィの特徴を良く捉えており、可愛らしく手を上げてこちらに笑顔を向けていた。
「いいね、丸眼鏡がキュートでよく特徴を捉えてる」
 マーベリィに渡されたイラストを見て隣に居たユリシアンが感想を述べる。
 キュートというユリシアンの言葉にマーベリィの頬は少し赤くなる。
「じゃあ次はお兄さんね」
 丸い輪郭に低彩度の金髪を右目サイドに前髪を流し小粋にサイドをはねさせたアシメヘアに描き、長さを首の中腹あたりに留める。
 釣り上がった眉毛には少し大きめでキリリとした睫が長く大きな瞳を描く。
 頭にはガルボーィハットを被せクラバットまでのバストアップが完成する。
 優しい微笑みを浮かべたちびキャラが出来上がった。
「はい、頼もしいお顔付きがよく出ています」
 ユリシアンのちびキャラを見るとマーベリィは感想を述べた。
 その『頼もしい』という言葉にユリシアンは悪い気はしなかった。
「あとは、チョコレートにするだけだよ、お隣にどうぞ!」
 そう言われ2人はその場を去った。

●チョコにしよう♪
「さぁ皆さん道具は揃っていますか?」
 そう言われその場にいる全員が道具を確認する。
 机の上には先ほど描かれた絵、クッキングシート、鉛筆、竹串と爪楊枝、チョコレートが多種とチョコペンにさまざまなデコレーション用のトッピング類が並べてある。
 更に一人に一個『祝福の金平糖』が小さいカップに配られてある。

 最初はクッキングシートを絵に貼り付ける作業だ。
 皆真剣な眼差しで貼り付けていく。皺ができないようにと。
「貼り終わったら、その上から鉛筆で黒い線等、黒く塗りつぶす箇所を描いていきます」
 とても大事な作業だということを念押しし、全体を見回りながら説明を続けていく。
「大事な作業なんですね……丁寧に丁寧に」
 パティシエの言葉を聞いてマーベリィは堅実な作成心掛けるように慎重にクッキングシートに自分のちびキャラの線を描いていく。
 その隣ではユリシアンが絵心無いので派手と愛嬌目指して作成している。
 次に出てきたのは60℃程に温められたビターチョコレート。
「今書いたクッキングシートを裏返して絵とは別の厚紙に貼り付けてください」
 全員が指示通りに厚紙へとクッキングシートを裏返し貼り付けていく。
「晃ちゃん、そっち側押さえて!」
 心優音と晃太は共同作業で綺麗に別の厚紙にクッキングシートを張り直すことができた。
「バッチリやな」
「貼れましたね!では、ここからが本番です!その黒の線の通りに先ほど渡したビターチョコを竹串に取り描いていってください。細かいところは爪楊枝で書くといいですよ!」
 その指示を聞いて静華は無言でビターチョコを竹串で掬い、
「初めて贈るものですし、気合を入れて頑張ります」
 というと真剣に作業に取り掛かった。
 そんな静華を見て、
(こういう事にも真剣で真面目な子だな)
 印象は初めて会った頃から変わらないと思い邪魔はしないように気遣いつつゆるっと作成続けるローレンツ。
 その隣の机では伊万里が少し不安を滲ませながらビターチョコと対峙している。
 後ろから蒼龍がそっと立つと優しく伊万里の竹串を持っている手を包む。
「イマちゃん、大丈夫一緒に描こう」
「う、うん」
 少し震える手を恐る恐るクッキングシートへと近付けていくが、それを蒼龍の添えた手が止める。
 落ち着きを取り戻した手は蒼龍の手と共に線を描いていく。
「思い出したよ……」
「ん?イマちゃん何か言った?」
「ううん、なんでもない」
 伊万里は心に懐かしい思い出を思い出しながら、謝罪の気持ちを思う。
「イマちゃん、集中して」
「故郷書かなきゃね!」
 伊万里は気を取り直して作業に集中した。

 それから全員がビターチョコの線が書き終わり冷やし固め終わったのを見ると、パティシエが色付けを説明しだす。
 少し色付けが落ち着く頃、リチェルカーレがパティシエを呼び止めた。
「すみません、花びらを立体的にしたいんですが」
 絵の中央にある2輪の虹蛍花をリチェルカーレは指す。
「この花の中央に金平糖をおいて周りの花びらを2輪とも立体的にしたいと思ったんです」
「なるほどね、それじゃあ」
 とリチェルカーレとシリウスに説明をする。
 花はビターチョコで輪郭をかいてあるので一旦そのまま白いチョコを流し入れる。
 そして全部の色の工程が終わりチョコを裏返した時に金平糖を付けた後に花びらを一枚描いては冷やす工程を繰り返せばできる、と説明された。
「じゃあ、それまでは他の箇所に色付けしていれば大丈夫か?」
 シリウスの追加の質問に頷くパティシエ。
 工程をこなすリチェルカーレの眼差しは真剣でキラキラと輝いている。
 シリウスもパティシエのアドバイスを聞きながら、隣に居るリチェルカーレの青い瞳を時折見詰めていた。

「皆さん色付けは無事に終ったようですね!冷蔵庫で10分程冷やしたら次はトッピングに入りますよ」
 皆ぞろぞろと冷蔵庫に着色したチョコレートを入れていく。
 10分ほど経った頃、またまたぞろぞろと冷蔵庫の中からチョコレートを取り出す。
 取り出したチョコレートをそっと机に置くと蒼龍はクッキングシートをそっと剥がす。
 蒼龍は伊万里との故郷の思い出の場所を大事に着色していた。抹茶チョコペンで丘を、ホワイトチョコペンでルーメン、そして苺チョコペンでテネブラを描いていた。
「あとは星空をアラザンで飾ろう、最後に丘の上に祝福の金平糖を二つ、これが僕達だよ~」
 ニコニコと2つの『祝福の金平糖』を摘む。

 パティシエの説明をきちんと聞き、チョコレートを作成しているマーベリィとユリシアン。
「最後の仕上げをしようか」
「はい、ユリアン様」
 真剣な眼差しで自分のちびキャラにデコレーションを施していく。
 マーベリィは眼鏡のフレームに丸いトッピングシュガーを控えめに飾り、ミルクチョコで着色した(普段より明るい色なのは静華の潜在的願望である)髪に装着しているカチューシャの水玉をチョコペンで水玉模様にしていく。
 最後の仕上げには『祝福の金平糖』をおさげにトッピングした。
 遠めで見てみると(少し派手になったかしら……)と思案したが、大丈夫だと言い聞かせる。
 その隣で一緒に自分のちびキャラに装飾をしているユリシアンは、ハットに星形チョコやクリスタルシュガーを付け、頬に濃い目ピンクチョコで愛嬌を付けると瞳にハートと星のチョコ、クラバットの柄にチョコペンでチェック柄と丸いトッピングシュガーをあしらった。
 ユリシアンも最後の仕上げにと『祝福の金平糖』をクラバットのピンとして付け加える。
(思い切りやった、後悔はない)
 と自分のチョコの出来に頷いた。

 仕上げに一番苦戦していたのはリチェルカーレとシリウスである。
「ここが一番大事な場所ね」
 リチェルカーレは虹蛍花を立体にするためにパティシエに説明を受けてから最後の仕上げと花びらを描いていた。
「真ん中の金平糖を中心に一枚花びらを描いたら3分冷やす、そしてまた描くの繰り返しだったな」
「お2人さん!虹色の花ならこのオーロラ色の粉がオススメよ」
 パティシエはそう言うと、2人に金箔に似たオーロラ箔を渡す。
「全部の花びらが完成したら貼り付けてみるといいと思うわ!」
「ありがとうございます」
 リチェルカーレが花びらを描いてはシリウスは冷蔵庫に持っていくという作業を繰り返すこと数回。
 見事な立体の虹蛍花が2輪咲き誇る様が浮かび上がった。
 そこにオーロラ箔を少しずつ振りかけていく。
 出来上がった花をリチェルカーレは指差し、
「これがわたしでこっちがあなたよ」
 と微笑みを浮かべていた。

●出来上がり~♪
 全員が冷蔵庫から完璧に冷えたチョコレートを取り出していた。

「わぁ、凄い凄い!可愛い!!ちびキャラになるとこんなにも可愛くなるんだねぇ♪やって良かったね晃ちゃん」
 心優音は自分達のちびキャラを見てその場で飛び跳ねながら満面の笑みを浮かべている。
 そんな心優音をみて晃太も満面の笑みを浮かべている。
「ほぉー!こないもなるんやな!ホンマ頼んで正解や!どうもおおきにな」
 そのチョコレートは2人のラブラブ振りがとてもよく表現されていて、今後もこの2人の笑顔で幸福な道を進む未来が見えるような出来だ。
「食べるの勿体無いけど、一緒に食べようね♪」
 チョコレートと同じように晃太は頷きその場でそっと心優音を抱き締めたのだった。

「いざ渡すとなると緊張しますが、渡さない事には始まらないですしね……うん、頑張ってみます」
 と静華はローレンツに出来上がった猫のチョコレートを渡そうと少し緊張した面持ちで顔を上げた。
「はい、静華ちゃん!」
 上げたと同時に自分の前にローレンツが作成したパンダのチョコレートが差し出された。
「結果的に交換になってしまいましたね。なんだか、嬉しいです。似たような事を考えていたなんて、大事に頂きますね」
 そう言いながら自分の猫のチョコレートを差し出した。
「ありがとう」
 ローレンツは受け取るとその場でバリッと貰ったチョコレートを食べる。
「美味しいよ」
 静華から貰ったチョコレートとその気持ちを悪い気がしないローレンツだった。

「ユリアン様できましたね!」
「それじゃ、ぼくを貰ってくれる?」
 ユリシアンは自分自身だと言わんばかりに自分のちびキャラを差し出した。
「は、はい、では私も…私を貰って頂けますか?(な、なんとなく言い回しが……)」
 チョコレートがなく言葉のままだと、と考えるとマーベリィは顔を赤面させる。
「た、食べてください」
「もちろんだ、大切にするよ」
 言葉遊びだが本音も混じってるような笑みを浮かべ、更に赤面している彼女の様子に満足そうな顔をするユリシアン。
「仕事の正確さが出ていて安心の出来だね」
 ユリシアンはマーベリィの作ったチョコレートを見ると、慎ましやかな彼女の飾りたい女心が見え隠れしている様に感じた。
「楽し気で素敵です」
 自分にはない思い切りの良さをチョコレートの中に見出し羨望の眼差しをユリシアンに向けたのだった。

 リチェルカーレとシリウスは出来上がったチョコレートを見詰めている。
「食べるのが勿体ないわ」 
 出来上がりを嬉しそうにみているリチェルカーレにシリウスは、
「……その場所を選んだのはなぜだ?」
 シリウスの問いにリチェルカーレは頬を染めて目を逸らした。
 そんな彼女に態度に同じ事を思っていると分かるとシリウスは微笑する。
 そばにいるという約束、初めて交わした口づけ、2人の一生忘れることはない大切な思い出の場所。
「あの時の言葉もあなたの笑顔も……忘れない」 
 リチェルカーレは小さくそう呟いた。
 シリウスは目を逸らしたリチェルカーレの肩をそっと抱き寄せると、静かに絵を見つめた。

「完成だね!この絵にしたってことは約束思い出してくれたんだね」
 蒼龍は左手を重ねて紋様を見つめながら伊万里の瞳を見る。
「思い出したよ……引っ越しの前日二人でお月見して……『一緒にテネブラを見よう』って」
 蒼龍に顔が綻ぶ。
「ウィンクルムになろうって意味だったんだね」
 瞳に微かに涙を浮かべている伊万里はすまなそうに蒼龍を見る。
「うん…本当に果たせてよかった」
 蒼龍は重ねていた左手の少し力を入れる。
「今まで忘れていてごめんなさい。すごく悲しくて寂しくて、記憶に蓋をしてたみたい」
 そんなことはいいと蒼龍は首を振る。
「イマちゃん……僕ちょっと感激しちゃった…ぎゅってしてもいい?」
 その言葉に伊万里は驚きを隠せない。
「今は人がいるから駄目……!」
「……二人きりならいいの?」
 蒼龍の返答にさらに焦りを見せる伊万里。
「ちょっ、そういう意味じゃっ」
「冗談だよ、一緒に食べよう」
 笑いながら完成したチョコレートを見る。いつかその冗談が冗談ではなくなる日が来るのかもしれない。
 それまでは故郷の話でもしながら笑い合っていようと。



依頼結果:大成功
MVP
名前:リチェルカーレ
呼び名:リチェ
  名前:シリウス
呼び名:シリウス

 

名前:マーベリィ・ハートベル
呼び名:マリィ
  名前:ユリシアン・クロスタッド
呼び名:ユリアン様

 

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 草壁楓
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 2 ~ 5
報酬 なし
リリース日 02月28日
出発日 03月05日 00:00
予定納品日 03月15日

参加者

会議室

  • よろしくお願いいたします。

  • [5]静華

    2016/03/04-00:11 

    はじめまして、静華と申します。
    どうぞよろしくお願いします。

    どんな絵にしようか悩んじゃいますね。
    無事に完成させられるといいのですが…。
    では、楽しいひと時となりますように。

  • [4]吉坂心優音

    2016/03/02-21:24 

  • [3]リチェルカーレ

    2016/03/02-19:31 

  • [2]八神 伊万里

    2016/03/02-08:52 

  • [1]八神 伊万里

    2016/03/02-08:51 

    えーと、僕とは初めましてな人ばっかりかな?
    精霊の蒼龍だよ。イマちゃんがいつもお世話になってます。

    あのね、イマちゃんは昔すっごく絵が下手だったんだ…
    今はちょっとは上達したかな?
    どんなチョコになるのか楽しみだね。
    それじゃあみんな、よろしくね~。


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