プロローグ
【流しそうめん体験会 開催のお知らせ】
納涼の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。さて、このたび毎年恒例となっている「流しそうめん体験会」を今年も開催いたします。例年と変わらず開催できるのも皆様のお力添えがあってのことです。誠にありがとうございます。この「流しそうめん体験会」ではただ流しそうめんを食すだけではなく、道具なども手づくりで行い、夏をより楽しむことを目的としています。
当施設には裏庭がございまして、その奥には竹林が広がっております。そこで採集した竹で箸、器、そうめんを流す受け皿などをお客様自身で作っていただきます。当日の流れは以下のとおりです。
◇①竹細工(箸、器)づくり
加工に適した状態にした竹をこちらで用意いたしますので、それをもとに箸と器を作ります。ナタやのこぎり、木づちなどを扱うので軍手を持参してください。スタッフが一緒に作りますので初めてのかたもご安心ください。
箸……竹を縦向きに太めに割り、ナイフで削りながら形を整え、最後に紙やすりで整えます。
器……竹の底を横向きに切り、その断面をナイフと紙やすりで整えます。
ここから希望制で2グループに分かれます。
◇②-a.竹細工(受け皿)づくり
竹を加工して流しそうめんを流す半円の受け皿を作ります。作り方は①と同じ要領です。それらを裏庭に用意したスペースに設置していきます。力仕事になりますのでご注意ください。そうめんが無駄にならないように組み方も工夫します。
◇②-b.そうめん作り
②-aの方々が準備をしている間に、調理を進めます。作るのはそうめん、つゆ、薬味、サラダです。
・そうめん
大型の鍋でお湯を沸かして一気に茹でます。
・つゆ
鰹だしをベースに、醤油つゆ、ごまつゆ、味噌つゆ。
変わり種としてトマトつゆ、ピリ辛つゆの5種類を作ります。
・薬味
大根おろし、なめこ、やまいも、青ネギ、ショウガ、ワサビ、
大葉、オクラ、梅干、ゆずこしょう、揚げ玉、レモンなど。
これらを細かく刻んだり、輪切りにして食べやすくします。
・サラダ
キャベツ、きゅうり、レタス、トマトなど。
これらの食材を切って作ります。そうめんの箸休めです。
◇③実食
組み立てた受け皿に水を流し、そこへそうめんを流します。流すのはスタッフがしますので皆さんはお好みの味でお楽しみください。また、スタッフが麦茶を用意しますのでご自由にお飲みください。
◇④後片付けをして解散
使った道具類を片付けて、その場で解散です。
皆様のご参加をお待ちいたしております。
解説
参加費:300jr
おおまかな流れはプロローグの通りです。持参品は軍手のみです。
これは持ってきている前提で描写しますので、プランに書かなくてOKです。
●プランに書いてほしいこと
①~④での行動や感情をお願いします。
②では設営組と調理組に分かれますので、どちらに参加するか書いてください。
調理組については『料理』スキルは必要ありません。
参加者がどちらかに偏ってもスタッフがフォローしますので、参加したいほうを選んでいただければOKです。
スタッフが用意する飲み物は麦茶と水です。
これら以外の飲み物を持参する場合はプランにお願いします。
ゲームマスターより
星織遥です。
皆さんは流しそうめんを体験したことがありますか。
体験したことがある方もない方も楽しんで頂けたら幸いです。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)
① おお…!エミリオさんナイフの扱い上手だね、流石テンペストダンサー! ならどうしてそんなに上手なの? えっ!? な、なーんだ、びっくりした~ ②-a 調理組の皆が作ってくれているそうめん、早く流したいー(ワクワク) よーし!運ぶぞー! んしょっ…平気ー私、力仕事って結構得意・・(わっ、エミリオさん軽々と持ち上げちゃった)ありがとー 嫌じゃないよ、男の人って感じでなんかドキドキする エミリオさん? ③ 箸を竹において、流れてきたそうめんを止めてからすくい上げるようにして取るのがコツだよ! 醤油つゆにオクラ美味しい~ ④ ふふ、そうでしょ、そうでしょ! でも凄く美味しく感じられたのはこうやって皆で一緒に食べられたからだと思うな |
リヴィエラ(ロジェ)
リヴィエラ: うふふ、流しそうめんは初めてなので、楽しみです♪ ええと、まずは竹細工をするのですね…ええと、のこぎりとはどのように使うのかしら…? こうして、こうして…? 痛っ! (軍手をしているのにも関わらず、指をのこぎりで切ってしまう) え、えへへ、このくらい平気です! ろ、ロジェ!? あ、あの…恥ずかしいです、私は大丈夫ですから… (顔を真っ赤にしつつ、ロジェにそうめんを口に入れてもらい) これがそうめんというのですね。うふふ、美味しいです。 青ネギと一緒に食べると更に美味しいですね。 はうう…でも恥ずかしいです…でも、ありがとうございます、ロジェ… |
リーヴェ・アレクシア(銀雪・レクアイア)
全工程楽しんでやる 1 丁寧さを心掛けて作る 銀雪がお約束しないよう注意 2-b エプロン・三角巾を借りられたら借りる 手洗いを忘れずに そうめんはこまめに茹でて流した方がいいと思うが… 保存用に気持ち硬めに茹でもみ洗いし、氷水でしめ 醤油は甘め意識 ゴマはゴマ油も入れ、風味を 味噌はよく混ぜて分離しないように トマトはトマトを粗く切る、隠し味にオリーブオイル ピリ辛はラー油と豆板醤で作りたい 薬味は小皿で好みを調節出来るよう サラダは醤油つゆ、酢、調味料でドレッシングを作って和える 3 つゆや薬味を色々試す 「自分で何かするとより美味しいだろう」 銀雪はいつも食べる専門だからな 4 後片付けは率先 フォローが必要ならフォローも行う |
華(柘榴)
楽しみです。 器や箸まで作るとなると、食べる麺も格別に美味しいはず。 まずは竹細工で箸や器を作るそうですね。 軍手を着けたら、スタッフさんに箸と器の作り方を尋ねましょう。 ナタの扱い方も初めてなので伺います。 竹の器と箸はこういう風に仕上がるのだと思いながら、 他の皆さんとお話。 わたくしは、そうめん作りで薬味かサラダを作りにいきます。 ですが、手掛けていない所があればそこを担当する次第です。 「美味しい」 流れる素麺を箸で救い、触感を堪能した後、 隣で食べる柘榴に、疲れていないか声をかけ、気遣う。 (ですが) 楽しく食べ終わったのですから、お片付けも当然ですね。 スタッフさんにどう処理するか尋ねて、それに従いましょう。 |
瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
こんな本格的な流しそうめんに参加するのは初めて。 とても楽しみです。 ①竹で器やお箸を作るのも初体験。 作ってみたら意外と楽しい。 怪我をしないように注意しますね。 ミュラーさんが案外上手で驚きました。 ②はリーヴェさん、華さんと協力して作業します。 そうめん茹でますね。 「あーん」って言われ口をあけ麺をちゅるんと飲みこみます。 やっちゃってから「…あ」と。 ちょっと恥ずかしい。 麺はたっぷりのお湯で茹で、しっかり水で洗って締めます。この締めが美味しさの秘訣ですもの。 薬味を刻むのは他の人の作業も見ながら。 綺麗に刻むコツとかあるのかしら。 教えて欲しいです。 ③流れる麺を取るのが意外と難しいです(焦。 でも美味しく楽しい。 |
夏。その風物詩である流しそうめんの体験会に参加するため『リーヴェ・アレクシア』と『銀雪・レクアイア 』、『リヴィエラ』と『ロジェ』、『瀬谷瑞希』と『フェルン・ミュラー 』、『ミサ・フルール』と『エミリオ・シュトルツ 』、『華』と『柘榴』の5組がそれぞれ会場となる施設に向かっていた。
●手際の違い
リーヴェと銀雪はスタッフに案内されるまま作業スペースへとやってきた。そこで箸や器のもととなる竹と、それらを加工する道具を渡される。スタッフが見本をみせながら、それに従うように作業を進める。
全工程を楽しもうという心意気で臨むリーヴェは軍手をはめると丁寧さを心がけ、竹を割り、やすりを掛ける。一方、銀雪もなんとか彼女に置いていかれないように、同じく軍手をはめて作業に取り組む。ふと横に目を向けるとてきぱきと仕上げにむかっていくリーヴェの姿が目に入った。
(リーヴェ巧いなぁ……)
その巧さに思わず見惚れていた。その様子に気付いた彼女は一言声をかける。
「作業は気をつけて行うんだぞ」
しかしその注意も束の間、彼女に見惚れていた銀雪は、手にしていたやすりを竹ではなく自分の手にかけてしまった。軍手を外して確認すると、擦った部分が赤くなっていた。竹を擦るつもりで力を込めてしまったんだろう。それをみて、やれやれといった表情を浮かべるリーヴェであった。
箸と器を作り終えると、次は流しそうめんをおこなう装置の設営組とそうめんや薬味を準備する調理組に分かれる。2人は後者に参加するため厨房へと向かった。スタッフからエプロンと三角巾を借りると早速身に付け、手洗いを済ませると作業に取り掛かる。
「そうめんはこまめに茹でて流した方がいいと思うが……」
リーヴェは用意されている大型の鍋を見ながら呟いた。人数が多いので一度に大量に茹でることを想定しているのだろう。仕方ないか、と思いながら保存用にやや固めに茹でる。銀雪は茹で時間を計ったり、氷水の準備を進める。そして茹で時間に達したことをリーヴェに伝えると、彼女は手際よく氷水でそうめんを締める。
「醤油は甘め意識。ゴマはゴマ油も入れ、風味を。味噌はよく混ぜて分離しないように。トマトは粗く切って隠し味にオリーブオイル。ピリ辛はラー油と豆板醤で作りたい」
テキパキとつゆの方向性をまとめ、銀雪に伝えるリーヴェ。彼は計量カップで言われた通りの分量を頑張って量り、さらに薬味やサラダの野菜を切っている間に小皿やボウル、菜箸の準備を進める。薬味は小皿で好みを調節出来るようにしておく。サラダには醤油つゆ、酢、調味料でドレッシングを作って和えることに。
「和えるのは、頑張るよ」
そういって銀雪はボウルに手をかけ、ドレッシングと食材を和え始める。しかし動きがかなりぎこちない。
「日頃やってないからな」
リーヴェのダメ出しにしょんぼりとした表情を浮かべる銀雪だった。
つゆやサラダが完成したところで、裏庭へと向かう。そこには設営組が組み立てた、流しそうめんの装置ができあがっていた。半円に切られた受け皿がゆったりとした曲線に見えるように配置されており、そうめんが無駄にならないように工夫されている。スタッフにそうめんを渡すと、早速流し始める。受け皿を流れるそうめんを捕まえて器に移すと、それを口に運ぶ。リーヴェはつゆや薬味を色々と試しながら少しずつ食べ進める。その隣でとても幸せそうに食べる銀雪。
「自分で何かするとより美味しいだろう」
銀雪はいつも食べる専門だからな、と一言くわえながらリーヴェは話す。彼は、いつもより美味しいと言いながら流れるそうめんを掴んでは器に入れる。どうやらつゆは醤油とトマトが気に入ったようだ。サラダを時折挟みつつ、食事を楽しむ。他の面々も同じように楽しんでいるようだ。そうしているうちに、大量にあったそうめんやサラダがあっという間に無くなってしまった。
料理が無くなったので解散の運びとなり、流しそうめんの装置を解体する。
(よし、ここは率先して力仕事を……!)
銀雪がそう思って動きだす。しかしかさばる受け皿やそれを支える土台が予想以上に重い。みかねたリーヴェがすっとフォローに入る。そして彼女は他の片付け作業も率先して取り組む。その様子を呆然とみつめる銀雪。
(……筋トレしよう)
彼は静かに心のなかでそう呟いた。
●思わぬ出来事
「うふふ、流しそうめんは初めてなので、楽しみです♪」
(リヴィーは竹細工を作りたいと言っていたが、大丈夫だろうか……?)
楽しそうに語るリヴィエラに心配そうな表情を浮かべるロジェ。施設に到着すると早速スタッフに案内され、竹の箸と器づくりに挑戦する。
「ええと、まずは竹細工をするのですね……ええと、のこぎりとはどのように使うのかしら……?」
軍手をはめて、いざ取り組もうとするが右も左も分からない様子のリヴィエラ。スタッフが見本をみせながら説明するものの、手元がおぼつかない。
(不安だ……)
その様子を静かに見守るロジェ。
「こうして、こうして……?痛っ!」
「……っ、リヴィー!大丈夫か!?」
リヴィエラの手にはめられた軍手の一点が赤色に染まる。どうやらのこぎりで指を切ってしまったらしい。
「え、えへへ、このくらい平気です!」
彼女は軽い調子でそう話した。大怪我というほどではないが、出血が緩やかに続いている。ロジェはリヴィエラの軍手を外すと傷口をくわえ、出血を抑えようとする。
「ろ、ロジェ!?あ、あの……恥ずかしいです、私は大丈夫ですから……」
「……全く、こういった事をしたことがないクセに、無茶をするからだ」
そうたしなめられるリヴィエラ。血が止まったことを確認すると、彼は絆創膏を傷口に貼った。リヴィエラは箸と器づくりが困難になったため、ロジェの作業を見守ることにした。
続いて流しそうめんの受け皿を作るために外へと移動する2人。
「受け皿づくりは俺に任せておけ」
そういうと彼はナタで竹を割ると、慣れた手つきでナイフを操り切り口を整え、紙やすりをかける。サバイバルの知識が意外なところで役に立った。
「こうして……ほら、出来ただろう?」
やすりのかけ終わった受け皿は綺麗な形をしていた。彼はその調子で次々に作っていく。完成したそれらを抱えて所定の位置へと運ぶ。彼だけでなく、無理のない範囲でリヴィエラも運ぶのを手伝う。設営組が所定の場所に集まると早速組み立てを始める。受け皿を乗せる土台部分を設置して、その上に受け皿を置いていく。それを繰り返していき、受け皿同士の位置関係を確認しながら作業を進めていく。
設営組によって流しそうめんの装置が完成したところで、調理組がつゆやサラダを持ってきた。スタッフがそうめんを受け取ると、それを装置のスタート地点から流し始める。
「ほら、俺が食べさせてやる」
そういいながら、ロジェはそうめんを掬うとリヴィエラの口元へと運ぶ。彼女は顔を真っ赤にしつつ、彼にそうめんを口に入れてもらう。
「これがそうめんというのですね。うふふ、美味しいです。青ネギと一緒に食べると更に美味しいですね。はうう……けれど恥ずかしいです……でも、ありがとうございます、ロジェ……」
指の怪我があるとはいえ、食べさせてもらうというのはやはり恥ずかしいようで、感謝を述べつつも頬を赤らめるリヴィエラ。ロジェは気にするなと言わんばかりに彼女の口へとそうめんを運ぶ。時間が進み、そうめんやサラダがみるみる減っていき、ついに無くなった。そして解散の流れとなり、全員で片付けを始める。リヴィエラの怪我を案じてロジェが率先して後片付けに参加する。彼女も出来る範囲で片付けを手伝う。
リヴィエラが指を切るという事態が起きたものの、大きなトラブルもなく過ぎていった。2人は初めての流しそうめんという、少し違った日常を楽しんだ。
●初めての体験
「こんな本格的な流しそうめんに参加するのは初めて。とても楽しみです」
「そうめんを流すといつもと違う美味しさだと聞くね。やった事無いから楽しみさ」
瑞希とミュラーはそんなことを話しながら会場へとやってきた。スタッフに案内されるまま、まずはそうめんを食べる箸と器を作るために作業場へ移動する。そこには材料となる竹、加工に使うナタやのこぎり、木づちなどが置かれていた。スタッフの手順を追うように作業を進めることに。
まず軍手をはめ、箸は竹をナタで縦向きに太めに割り、ナイフで削って形を整えたら紙やすりで表面を綺麗にする。器は竹の底を横向きに切り、その断面をナイフと紙やすりで整える。
「作ってみたら意外と楽しい……怪我をしないように注意しますね」
瑞希は初めての体験にわくわくしつつ、スタッフの動作を真似ながら慎重に作業を進める。その隣ではミュラーも同様に作業をしていた。彼は自作アクセサリの経験があるからか、器用にナイフを走らせる。加工の際に生まれる突起が気になるようで、それらに丁寧にかつ手早くやすりをかける。
「竹の皮部分を少し削って流線型の模様を入れてみよう。涼しげだし、滑り止めにもなるよ」
そういうと彼はナイフの持ち方を変えて、模様入れを行う。瑞希は彼が上手に作る様子を驚きの表情で見つめていた。
箸と器を作り終えた2人は、そうめんや薬味をつくるために厨房へと移動した。厨房につくとミュラーが大型の鍋に水を入れて火にかける。
(鍋のお湯でミズキが火傷をしないように注意しないと。それにお湯の近くは暑いだろうし。女性には涼しく作業して欲しいから)
そう思い、彼は茹で作業を担当する。瑞希も茹で作業を手伝うが、彼の気遣いから補助の立場をとる。茹でてる間に、彼女は他の人の作業を見ながら薬味を刻んでいく。
(綺麗に刻むコツとかあるのかしら?)
そんなことを思いながら包丁を動かす。一方、鍋にはりつくミュラーは茹で加減にあたりをつけて、鍋から少し掬うと水にとる。
「瑞希、あーん」
名前を呼ばれて振り向くと、そこには差し出されたそうめん。それをちゅるんと飲み込む。
「……あ」
瑞希はいま自分が思わずとった行動に少し恥ずかしさを覚えた。
(うん、素直に口を開けちゃう所が実に可愛いよ)
ミュラーはそう思いながら彼女の姿を見ていた。彼女はその恥ずかしさを隠すように茹で上がったそうめんをしっかりと水で締める。
「この締めが美味しさの秘訣ですもの」
丁寧に、それでいてしっかりと。そうめんの艶がとても美味しそうに見えた。
そうめんなどの準備が整ったところで、裏庭へと向かう。瑞希たちが調理している間に、設営組が組み立てた流しそうめんの装置がそこにはあった。半円に切られたいくつもの受け皿で作られた、ゆったりとした曲線がそうめんを無駄にしない工夫を感じさせる。そしてスタッフがそうめんを流していく。それを掬おうと瑞希は箸をのばす。しかしなかなか掴むことが出来ない。流れはそれほど急ではないが、流れるそうめんを取るのが意外と難しいようだ。それでも少しずつコツを覚えると、つゆを入れた自作の器で堪能する。ミュラーも同じように掬っては口へと運んでいく。
「流れる麺を取るのが意外と難しい……でも美味しく楽しいです」
「予想より面白いね、これ」
本格的な流しそうめんが初体験の2人にとって、今日は楽しい1日となったことだろう。
●頼れる存在
ミサとエミリオは流しそうめんの会場に到着すると、スタッフに案内され作業場へと移動する。そこで竹の箸と器の作り方について説明を受け、さっそく作り始める。ミサはこういった作業に慣れていないのか、どこか危なっかしい。それを見たエミリオがミサの為に見本をみせる。
「ナイフを持つ手を固定して竹を動かして削った方がやりやすいよ」
「おお……!エミリオさんナイフの扱い上手だね、流石テンペストダンサー!」
「ぷっ、何それ、職業関係ないから」
ミサの意外な発言に楽しげに笑うエミリオ。
「ならどうしてそんなに上手なの?」
「昔、ある男にピクニックに連れていってやるって言われて、ナイフ一本渡されてジャングルを彷徨ったことがあるんだ」
「えっ!?」
「……冗談だよ」
「な、なーんだ、びっくりした~」
心底安心した表情を浮かべるミサ。本当は実体験なのだが、エミリオはこのまま冗談ということにしておこうと思った。
箸と器が完成したので、作業は次の段階へ。外へと移動した2人は流しそうめんの受け皿となる竹を用意する。もととなる竹を縦向きに半分に割り、その割れ目をやすりで整えていく。
「調理組の皆が作ってくれているそうめん、早く流したいー」
作業を進めながら、わくわくする気持ちを抑えきれないといった様子でミサが話す。エミリオも同じように作業を進める。結構な数になったところで設営予定の場所へと運ぶ。
「よーし!運ぶぞー!んしょっ……」
「大丈夫?そんなに抱えて」
「平気ー。私、力仕事って結構得意……」
ミサはそう言っているが、受け皿を抱えたまま右へ左へとふらふらしている。エミリオはそんな彼女に近づくと彼女が持っていたものを軽々と持ち上げて運び始める。
(わっ、エミリオさん軽々と持ち上げちゃった……)
「ありがとー」
「どういたしまして」
彼はまるでその重さを気にしてないようだ。ミサは自分で持てそうな量だけ抱えて運ぶことにした。そうして2人は一緒に所定の位置まで受け皿を運び終えた。受け皿以外にもそれらを支える土台部分なども運び、組み立てを行う。スタッフの指示のもと、全体的に円形に近くなるように工夫して、そうめんが無駄にならないように配置する。一同の努力の甲斐あって、流しそうめんの装置は無事に完成した。ミサが労おうとエミリオに近づこうとしたら、すっと距離を取られてしまった。不思議がるミサ。
「今あまり俺に近寄らないで、汗くさいから嫌でしょ」
「嫌じゃないよ、男の人って感じでなんかドキドキする」
「どうしてお前はそういうことを……」
エミリオは片手で口元を覆いながら赤面している。
「エミリオさん?」
「この鈍感娘……」
ミサに聞こえないくらいの声でそう呟くのが精一杯だった。
調理組がそうめんやつゆ、薬味やサラダを持ってきたところでいよいよ実食開始。スタッフがそうめんをスタート地点から流していく。受け皿に向けて箸をのばすエミリオ。しかし思うようにそうめんを捉えられない。
(くっ、そうめんって思った以上に取り辛い)
ふと隣に視線を向けると、ミサは対照的にすいすいとそうめんを器に移してはその味を堪能している。
「ミサ上手だね」
「箸を竹において、流れてきたそうめんを止めてからすくい上げるようにして取るのがコツだよ!」
素直に感心した彼にコツを教えるミサ。早速実践してみると確かに先ほどに比べると格段に取りやすい。エミリオもそうめんの味を楽しむ。
「醤油つゆにオクラ美味しい~」
どうやらミサはこの組み合わせが気に入ったようだ。エミリオもそうめんが取れるようになってから色々なつゆや薬味とともに味わう。この幸せな時間はそうめんやサラダがなくなるまで続いた。
食べるものが無くなり、残るは後片付けのみとなった。受け皿を固定する土台から受け皿を外し、束ねて再び運ぶ。
「そうめんって初めて食べたけどとても美味しいんだね」
「ふふ、そうでしょ、そうでしょ!でも凄く美味しく感じられたのは、こうやって皆で一緒に食べられたからだと思うな」
そういいながら周りに視線を移すミサ。そこには同じく流しそうめんを楽しんだ人々の姿。
(そうか皆と協力して作った食事だからこそそう感じたのか)
「また一緒に参加したいね」
エミリオの提案に満面の笑みで頷くミサであった。
●楽しい時間
「楽しみです。器や箸まで作るとなると、食べる麺も格別に美味しいはず」
「鳳はん、あっしもでっせ。麺づくりも他のウィンクルム方との談話も楽しみたいですから」
華と柘榴の2人はそんなことを話しながら、流しそうめんの会場へと向かっていた。到着するとまずは箸と器を作るための作業場へと移動した。そこには他のウィンクルムたちの姿もあった。そこで竹と加工に使うナタやナイフなどを受け取り、スタッフが見本をみせながら各自作業に取り掛かる。
華はさっそく軍手をはめるとスタッフに作り方を尋ねながら作業を進める。とくにナタを使うのは初めてなので慎重に取り扱う。その隣で柘榴も作業を進める。こちらもスタッフに聞きながら慎重に作っていく。
(ふむ、ギザギザの状態で麺を食べるというのは危険でっせ)
箸も器もおおよその形は出来上がったものの、削ったときに生まれた小さな突起がいくつも残っている。彼はそれを紙やすりで黙々と削っていく。一方、華も同じく形にはなったものの細部が粗いので、紙やすりで表面を整える。
(竹の器と箸はこういう風に仕上がるのね……)
そんなことを思いながら他の面々と会話しつつ作業を進めていく。そうして出来た2組の箸と器は丁寧な代物に仕上がっていた。
箸と器が完成し、次はそうめんや薬味を用意する調理組と、受け皿作りや土台運びで流しそうめんの装置をつくる設営組に分かれることに。そこで華は調理組、柘榴は設営組となりそれぞれの作業場へと移動した。
華が着いた先は厨房。大型の鍋や青ネギやしょうがなどの薬味、サラダ用のキャベツやきゅうりなどが調理台の上に置かれていた。華は薬味をみじん切りにしたり、すり下ろしたり。キャベツを千切りにしたり、トマトをくし切りにしたり。淡々としながらも丁寧な仕事をこなしていく。他のウィンクルムたちもつゆ作りやそうめんの茹で作業などに精をだしていた。
一方その頃、柘榴は他の設営組とともに外に出ていた。そこには加工前の竹が置かれており、これを半分に割って受け皿にするとスタッフが説明する。柘榴はさっそくナタを手に取るとそれらを割っていく。
(肉体労働は苦じゃありまへんし、受け皿を作りまっせ)
そう思いながらスタッフに確認を取りつつ作業を行う。どうしても切り口が粗くなるので、それを箸や器を作ったときと同じように紙やすりで整える。その一連の流れを同じペースで1つ1つ処理していく。あとはそれらと一緒に土台部分を裏庭へと運ぶ。柘榴は他の人達が持ちきれない分をカバーするように持ち上げる。裏庭に到着すると土台部分を設置して、その上に受け皿を乗せる。それを円形になるように配置してそうめんが無駄にならないようにする。
流しそうめんの装置が完成して、そうめんなどの準備も整ったところで、いよいよ実食開始。スタッフがそうめんを装置の入り口から流し始める。それを自分たちで作った箸と器で掬う2人。
「美味しい」
「でっしゃろ?これは美味ですわ」
華は流れるそうめんの食感を堪能。柘榴はそうめんを食べながらも、薬味やサラダも口へ運ぶ。
(鳳はんがどれを調理したのかも気になりますわ……)
そんなことを思いながら食べている彼に、華が疲れていないかと声をかける。どうやら気遣ってくれているようだ。柘榴は問題ないと答える。肉体労働が苦でないところからして、体力には自信があるのだろう。彼女もそれを確認するとふたたび食べ始める。他のメンバーも食べ進めるなか、いよいよそうめんやサラダの量が少なくなってきた。きっとあと数分でなくなるだろう。2人は既に十分な量を食べて満足している。
「そういやあ、後片付けとか、いつにします?」
「楽しく食べ終わったのですから、お片付けも当然ですね。スタッフさんにどう処理するか尋ねて、それに従いましょう」
「じゃあ、スタッフに聞きましょ」
そんな話をしている間に、その場に居た面々が残りの分を完食していた。早速2人はスタッフに聞きながら道具を元の場所に戻すなど、片付け作業に勤しんだ。
食べる道具から設備まで、すべて自分達で行うという体験はきっと夏の思い出として2人のなかに残ったことだろう。
依頼結果:成功
MVP:
エピソード情報 |
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マスター | 星織遥 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 08月05日 |
出発日 | 08月12日 00:00 |
予定納品日 | 08月22日 |
参加者
- ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)
- リヴィエラ(ロジェ)
- リーヴェ・アレクシア(銀雪・レクアイア)
- 華(柘榴)
- 瀬谷 瑞希(フェルン・ミュラー)
会議室
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2015/08/11-22:07
皆さん、初めてお会いするようですね。
はじめまして、神人の華に、精霊の柘榴と申します。
柘榴は竹皿作り、わたくしは、そうめんの方にてお手伝いさせていただきます。
この手の作業は精霊共々初めてになりますが、
それぞれ足を引っ張らないよう努めていきたいと思います。
では、明日はお互いよろしくお願いします。 -
2015/08/11-09:11
-
2015/08/11-09:11
夏だー!流しそうめんだーー!!(きゃっきゃっとはしゃぐ)
暑い日にはぴったりだよね!
ふふ、楽しみだな♪
私達は普段こういう行事では調理を担当することが多いから今回は【②-a.竹細工(受け皿)づくり】をチョイスしたよっ
皆さんどうぞよろしくお願いしますー(ぺこり) -
2015/08/10-20:12
こんばんは、瀬谷瑞希です。
パートナーはファータのミュラーさんです。
皆さま、よろしくお願いいたします。
流しそうめん、良いですね。夏の風物詩です。
②ではbのそうめん作りの方をお手伝いしたいです。
沢山茹でるのって、大変ですものね。
作った器は持って帰ってもいいのでしょうか?
とっても楽しみです。
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2015/08/08-08:44
こんにちは、リヴィエラと申します。パートナーはロジェと申します。
リーヴェ様、銀雪様、宜しくお願い致します(ぺこりとお辞儀)
流しそうめんは初めてなので、とても楽しみです♪
私達は、②-a.竹細工(受け皿)づくりを頑張ろうと思います。
うふふ、今から楽しみです。 -
2015/08/08-00:20
リーヴェだ。
パートナーは銀雪。
成立前だが、挨拶を先んじてしておこう。
②-bのそうめん作りで考えている。
流しそうめんは馴染みがないが、楽しめればと思っているよ。
よろしく。