5月イベント『黄金の昼下がり』関連エピソード情報
(白金 イラストレーター)
⇒イベントのTOPはこちら!
◆関連エピソードエピローグ②◆ 2015/06/21更新
イベリン王家による立食パーティがおこなわれている場。
そこに、重要な資料を携えた警察官が静かに、かつ急ぎながら駆けつける。
資料を持ってきた警察官は、A.R.O.A.の責任者とイベリン警察の重役の姿を見つけると、そちらへと近づいた。
A.R.O.A.の責任者と有能なイベリン皇太子は、視線で示し合わせた。どちらの眼差しも、これから困難な仕事に挑むという者の凛とした目だった。
老王もコクリと頷く。
「お集まりの皆様に重要なお知らせがあります。オーガに加担し、イベリン社会を脅かしていたマントゥール教団員が判明しました」
イベリン警察の重役の発言に、貴族たちがざわつくが、ウィンクルムの多くは冷静だ。
「再建工事中のハルモニアホールに、大型トラックで白昼堂々デミ・トロールが運ばれてくるという事件が発生しました」
急な事態だったが、音楽堂の警備の仕事をしてた『ミサ・フルール』と『エミリオ・シュトルツ』、
『月野 輝』と『アルベルト』、『久野原 エリカ』と『久野木 佑』、『ミオン・キャロル』と
『アルヴィン・ブラッドロー』、『アイリス・ケリー』と『ラルク・ラエビガータ』たちがすみやかに対応した。
デミ・トロールは討伐、運転手は捕縛された。
イベリン警察は、この捕らえられた男を取り調べて充分な情報を得ることができた。
もしもウィンクルムが男の逃走を許していたら、イベリン警察は暗躍事件の真相から一歩遠ざかっていたことだろう。
「大成功を収めたのは、その場にいたウィンクルム全員あってのことじゃろう。深刻な被害が出る前に、力と知恵で敵を完封したのは見事である。
そういう意味では『月野 輝』と『アルベルト』、『アイリス・ケリー』と『ラルク・ラエビガータ』の影響が大きいように思える」
老王は、戦闘で負傷した精霊のことを気にかけながらも、音楽堂にも一般人にも大きな被害がなかったことを喜んだ。
(【悪の暗躍】トロール・トラブル・トラック 山内ヤト マスター)
「マントゥール教団員ガイ・ブロン兄弟が『一般人には無害だが精霊が吸いこむと深い眠りに落ちる魔法の粉薬』を完成させ、精霊を誘拐しました。
……これは異常事態です、驚くべきことですっ! ガイ・ブロン兄弟といえば、私も存じております。
兄弟は使えない教団員として一部で有名な、どーしよーもなくおマヌケな奴らなのですから!」
精霊がさらわれてしまい、神人たちが救出にむかった。『手屋 笹』と『カガヤ・アクショア』、『かのん』と『天藍』、『テレーズ』と『山吹』、
『吉坂心優音』と『五十嵐晃太』、『星川 祥』と『ヴァルギア=ニカルド』がこの騒動に巻き込まれたウィンクルムだ。
この事件の中で、動揺したガイが口にしたある貴族の女性の名前を神人たちは耳にしている。
警察は名前の出た人物と事件への関係の裏付け捜査をおこなった。
「うむ。精霊がとらわれるという状況下、神人たちだけでよく奮闘したのう。
『テレーズ』と『山吹』、『星川 祥』と『ヴァルギア=ニカルド』は兄弟の気質や性格に合ったやり方で、事件を一件落着させることに貢献したようじゃな」
なお、イベリンの警察官たちの一部は、ガイ・ブロン兄弟を逮捕できてホッとしていた。
牢屋の中にいれば、使えない教団員の彼らが、少なくともオーガのエサにされる心配はないからだ。
マントゥール教団への信仰心は厚いが、心根は穏やかな兄弟である。刑務所で更生してくれることを祈る。
(【悪の暗躍】眠れる森の王子様リアル 蒼鷹 マスター)
精霊と恋愛関係にあった一般女性エミが、精霊に適合する神人が発見されたことでショックを受け、凶行に走ってしまった。
エミはデミ・ウルフを引き連れナイフを持って、精霊キョウの家の前まで押しかけた。
『リチェルカーレ』と『シリウス』、『ミサ・フルール』と『エミリオ・シュトルツ』、『吉坂心優音』と『五十嵐晃太』、
『アマリリス』と『ヴェルナー』、『エセル・クレッセン』と『ラウル・ユーイスト』が騒動を終息させるために集まった。
平静ではない精神状態のエミをなだめるのはなかなか一筋縄ではいかなかったが、最終的にウィンクルムたちはエミの説得に成功した。
「ウィンクルムの説得のかいあって、女性は無事に保護されました。気になるのは、デミ・ウルフを操っていたオーブです。
詳しい事情を聞いたところ、真っ黒なワンピースの貴婦人から受け取ったものだとの証言が得られました。
またこのオーブと類似のものを過去にマントゥール教団が使用していたことが、A.R.O.A.の資料に残っています」
貴婦人は優しい態度をとりながら、エミの不安を煽り、憐憫の言葉を浴びせかけた。
「人の心に適切な言葉をかけるのは、難しいことじゃな。感情が昂った相手を説得するのは大変だったろうに。
皆、ご苦労であった。『エセル・クレッセン』と『ラウル・ユーイスト』は粋なはからいを思いついたのう。
帰る場所という言葉の選び方も、相手への思いやりを感じる」
王は雨上がりの陽光のように温かで穏やかな眼差しで、難しい説得を成功させたウィンクルムたちの努力をねぎらう。
(【悪の暗躍】彼と引き離さないで 寿ゆかり マスター)
盲目の琵琶法師がマントゥール教団に騙されて、怪談めいた事件がイベリンの墓地にて発生した。
複数のデミ・リビングデッドに囲まれた琵琶法師ホーワンは、救出にむかうウィンクルムが対処を誤ればいつ命を落としてもおかしくはない、それほど危険な状況に置かれていた。
『月野 輝』と『アルベルト』、『手屋 笹』と『カガヤ・アクショア』、『かのん』と『天藍』、『日向 悠夜』と『降矢 弓弦』、『ガートルード・フレイム』と『レオン・フラガラッハ』が
イベリン警察からの緊急要請に駆けつけた。
逮捕されたメイドは口が固く、首謀者に繋がるような情報は一切明かしていない。
だが、ウィンクルムたちは別の証拠品も確保していた。
「呪われた琵琶という特徴的な珍品が犯行に使われています。古物商や芸術品を扱う商人にこの琵琶の流通や所有者に関する徹底的な聞き込みをしたところ、真犯人に繋がる実りある情報が得られました」
「一歩間違えれば、琵琶法師ホーワンは死んでいたやもしれぬ。ウィンクルムたちの的確な行動が、彼の命を救ったといえるのう。『かのん』と『天藍』は、理性的な相手が求めている情報を要点を
まとめて伝えられたようじゃの。言葉の勢いだけでは動いてくれぬ理屈っぽい相手を説得するのも、また骨の折れることよ」
イベリンの王はウィンクルムにお礼の言葉をかけながら、チラッと優秀で敏腕な皇太子の方を見た。
(【悪の暗躍】鬼神落涙琵琶僧侶墓地死霊奇譚 山内ヤト マスター)
音楽家ベーツァルト・シューバッハが作った、禁忌の組曲「生者の門」。死者の霊が現れるとされタブーとなっていたこの曲が、ハルモニアホールで演奏された。
「ブリアンヌ伯爵夫人からの強い要望で、ハルモニアホールで「生者の門」が演奏されました。ウィンクルムがいたので被害は最小限に喰い止められたものの、
会場は死者の霊とDスケールオーガヤグルロムの幻影が入り乱れて大変なことになりました」
もとはといえば、ブリアンヌ伯爵夫人のワガママな要求が原因だ。貴族として、その責任は追求されるべきだろう。
警備にあたったのが『ニッカ=コットン』と『ライト=ヒュージ=ファウンテン』、『ハロルド』と『ディエゴ・ルナ・クィンテロ』、『出石 香奈』と
『レムレース・エーヴィヒカイト』、『アンダンテ』と『サフィール』、『ヒヨリ=パケット』と『ジルベール=アリストフ』たちだ。
観客や演奏者を守りながら、ウィンクルムは幻影や死者の霊と向き合った。
「死者との対峙という試練を乗り越え、ウィンクルムたちは一層強さと気高さを身につけたようじゃの。
幻影の発生源であるヤグルロムを撃破したのは『ハロルド』と『ディエゴ・ルナ・クィンテロ』か。素晴らしい戦果である」
(【悪の暗躍】禁忌の組曲「生者の門」 木口アキノ マスター)
「突如現れたデミ・ワイルドドックにボトムスの布をかじられ、お尻部分のパンツが丸出しになりながらも、精霊たちは市民の安全のために果敢に戦ったのです!!」
イベリン警察の人の言葉に悪気はない、悪気はないのだが……。
この戦いに参加した『手屋 笹』と『カガヤ・アクショア』、『ロア・ディヒラー』と『クレドリック』、
『水田 茉莉花』と『八月一日 智』、『名生 佳代』と『花木 宏介』、『ファルファッラ』と『レオナルド・グリム』はちょっぴり複雑な心境で、警察の偉い人や王様の言葉を聴くことになった。
「うむ。パンツが見えても毅然と戦うその勇姿に、感動で心がうたれ……ぷふぅっ! ……コホン、失敬。ウィンクルムに感謝しておるのは本当なのじゃが、やはり面白くて笑ってしまうのう。
ウィンクルムよ、非礼を許しておくれ。『水田 茉莉花』と『八月一日 智』の行動は、事件解明に一役買ったようじゃな」
コミカルさが目立つが、デミ・ワイルドドックが放たれたという点に注目すれば、笑い事では済まない事態だ。
そんな中で、不自然に堂々としている金髪の女性が目撃されている。避難を呼びかける神人に、突如暴力を振るって逃げ出したこの不審な女性は、ブリアンヌ伯爵夫人だと判明した。
(【悪の暗躍】PAN2○見得 白羽瀬 理宇 マスター)
不審な出来事の続く中、鼓笛隊のカラーガード任務がおこなわれた。
パレードの楽しい雰囲気を崩さず、賑わいに溶け込むように自然な護衛を務めたのは、『月野 輝』と『アルベルト』、『夢路 希望』と『スノー・ラビット』、『ガートルード・フレイム』と
『レオン・フラガラッハ』、『リオ・クライン』と『アモン・イシュタール』たちだ。
デミ・オーガの襲来があったが、観客にも鼓笛隊にも被害者は出なかった。
人を守ることと、人を楽しませること。どちらも両立ができた、後味の良い仕事になったのではないだろうか。
「ウィンクルムのパフォーマンスは好評だったようじゃな」
平和を好むイベリンの老王は優しげに顔をほころばせた後、威厳ある表情へと戻った。
デミ・オーガの襲撃は偶然のものではなく、悪意ある何者かが予め手引きをしている可能性が高い。
(【悪の暗躍】カラーガード1マイル 紺一詠 マスター)
これらの事件の結果を元に、A.R.O.A.とイベリン警察が犯人逮捕のための証拠集めをおこなった。
依頼の失敗はなく、ウィンクルムのおかげで、捜査は順調に進んだ。
「ウィンクルムの活躍により、イベリンの貴族社会を蝕んでいたマントゥール教団員が暴かれました。ブリアンヌ伯爵夫人! 数々の証拠が見つかっています。もはや言い逃れはできませんぞ」
「……そんなバカな!」
黒衣に身を包んだ未亡人は、驚愕のあまり愛用の扇子を取り落とした。
その顔からは余裕の笑みさえ消えている。
「そんなはずはありませんわ! ……なぜなら……」
ブリアンヌ伯爵夫人が口にしたのは疑惑を否定する弁明ではなく……。
「なぜなら私にはオーガさまのご加護があるのですから! 私が追い詰められるなんて、何かの間違い……。これはきっと悪い夢に違いありませんわ!!」
彼女の財力と人脈をもってしても、逃亡は不可能だ。
毅然とした態度で、敏腕皇太子が兵士に命じる。
「……捕らえよ」
イベリンの貴族社会を蝕んでいた大物教団員は、かくして逮捕された。
勝利を収めたのは、ウィンクルムたちの方だった。
(エピローグ:
山内ヤトGM)
◆関連エピソードエピローグ①◆ 2015/05/25更新
盛大な音楽と高貴な花の香りが、パーティ会場を包み込んでいる。
ハルモニアホールが完成し、祝賀ムードの高まるイベリンで、王家主催の立食パーティが開かれることなったのだ。
心優しく民衆から慕われている老王。
年老いた王の助けとなり政治の実権を持っている、有能でナイスミドルな皇太子。
そして王の孫にあたる、年若い王子たち。
イベリン王家の面々がそろっている。
パーティにはイベリンの王侯貴族だけでなく、感謝の証としてウィンクルムたちも招かれている。
イベリン領での任務に参加したウィンクルム。行楽として5月のイベリンに訪れたウィンクルム。どちらにも招待状が送られた。
「どうぞ楽しい一時をお過ごしください」
若い王子たちに歓迎され、パーティに出席したウィンクルムは丁重にもてなされる。
その中でも、事件を解決に導いて目覚ましい活躍をしたペアは、貴族たちからも注目され話題となっていた。
皇太子や王でさえも、一目置いているようだ。
「……」
温かな尊敬と感謝の眼差しが注がれる中、一人の女だけは微笑みの底に鋭い悪意を隠し持ってウィンクルムを見つめている。
A.R.O.A.の責任者とイベリン警察の重役も、このパーティに出席していた。
イベリンで暗躍していた卑劣な罪人を白日のもとにさらせるか。
マントゥール教団の大物となれば、逮捕するのは簡単なことではない。
一連の暗躍事件はイベリンの治安を乱したが、逆に大きなチャンスでもあった。
ウィンクルムたちが事件を解決していけば、影の首謀者につながる証拠が見つかる可能性があるからだ。
イベリンの貴族社会を静かに蝕むマントゥール教団員を捕まえられる、またとない好機。
逆にこのチャンスを有効に活かせなければ、強大な財力と人脈を駆使されてみすみす犯人を取り逃すという、非常に苦々しい事態になるだろう。
ウィンクルムとマントゥール教団、どちらが勝利を手にしたのか……。
全ての事件の調査結果が出揃う時、それは明らかになる。
(プロローグ:
山内ヤトGM)