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5月イベント『黄金の昼下がり』関連エピソード情報


(白金 イラストレーター)


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◆関連エピソードエピローグ①◆ 2015/05/25更新



 盛大な音楽と高貴な花の香りが、パーティ会場を包み込んでいる。
 ハルモニアホールが完成し、祝賀ムードの高まるイベリンで、王家主催の立食パーティが開かれることなったのだ。

 心優しく民衆から慕われている老王。
 年老いた王の助けとなり政治の実権を持っている、有能でナイスミドルな皇太子。
 そして王の孫にあたる、年若い王子たち。
 イベリン王家の面々がそろっている。

 パーティにはイベリンの王侯貴族だけでなく、感謝の証としてウィンクルムたちも招かれている。
 イベリン領での任務に参加したウィンクルム。行楽として5月のイベリンに訪れたウィンクルム。どちらにも招待状が送られた。

「どうぞ楽しい一時をお過ごしください」

 若い王子たちに歓迎され、パーティに出席したウィンクルムは丁重にもてなされる。
 その中でも、事件を解決に導いて目覚ましい活躍をしたペアは、貴族たちからも注目され話題となっていた。
 皇太子や王でさえも、一目置いているようだ。

「……」

 温かな尊敬と感謝の眼差しが注がれる中、一人の女だけは微笑みの底に鋭い悪意を隠し持ってウィンクルムを見つめている。



 A.R.O.A.の責任者とイベリン警察の重役も、このパーティに出席していた。

 イベリンで暗躍していた卑劣な罪人を白日のもとにさらせるか。
 マントゥール教団の大物となれば、逮捕するのは簡単なことではない。

 一連の暗躍事件はイベリンの治安を乱したが、逆に大きなチャンスでもあった。
 ウィンクルムたちが事件を解決していけば、影の首謀者につながる証拠が見つかる可能性があるからだ。
 イベリンの貴族社会を静かに蝕むマントゥール教団員を捕まえられる、またとない好機。

 逆にこのチャンスを有効に活かせなければ、強大な財力と人脈を駆使されてみすみす犯人を取り逃すという、非常に苦々しい事態になるだろう。

 ウィンクルムとマントゥール教団、どちらが勝利を手にしたのか……。
 全ての事件の調査結果が出揃う時、それは明らかになる。


(プロローグ:山内ヤトGM

◆関連エピソード最新情報◆ 2015/05/15更新



 様々な妨害によって工事が遅れていたハルモニアホールだが、ついにその再建工事が完了した。
 再建を終えたハルモニアホールは、本日から音楽イベント会場として広く開かれることになる。
 イベリン王家からの正式発表は人々を喜ばせた。



 会議の席で、イベリン警察がA.R.O.A.の責任者に感謝の言葉をかける。

「A.R.O.A.に協力を要請したのは正解でした。実際に事件に対応したウィンクルムはもちろんですが、音楽や花を目的にイベリン領内に訪れたウィンクルムの影響も多かったようです」

 任務だけではなく、デートを楽しむためにイベリン領内にやってきたウィンクルムの数はかなり多かった。
 イベリンに訪れたウィンクルムの存在がマントゥール教団への抑止力として働き、また瘴気を払うことでオーガが活動しにくい状況を作ったのではないか。
 そのように警察は解釈していた。

 喜ばしい事態だ。しかし、A.R.O.A.の責任者は気を抜くことはなかった。
 一連の悪事を企てたと思われる首謀者は、まだ逮捕できていないのだ。音楽堂が完成したことで、今度は別の手段に出る可能性がある。
 油断はできない。引き続き、ウィンクルムの協力が必要だろう。



 とあるイベリン貴族の屋敷。
 黒い喪服に身を包んだ女は、落ち着かない様子で室内を歩きまわっていた。

「忌々しいですわ……。予想以上に、邪魔なウィンクルムがイベリン内に増えたせいですわね」

 ハルモニアホールの再建が完了した。
 イベリンを賑わせる吉報は、彼女にとっては苦々しいニュースだった。

「……このまま大人しく引き下がる? まさか! オーガさまのご加護がある限り、栄光と勝利を手にするのはこの私。お可哀想なウィンクルムではありませんわ」

 自信たっぷりの表情でくすっと笑みを浮かべ、オーガの下僕は新たな悪事の計画に着手した。


(最新情報シナリオ:山内ヤトGM

◆関連エピソードプロローグ◆



『どれだけ優れた演奏も、永遠には続かない。どれだけ可憐な花だとて、永遠には残らない。
 されども花は実を結び、あえかな歌は美を紡ぐ。
 健やかなる根がはられ、のびやかなる音(ね)が響く』

――音楽家ベーツァルト・シューバッハが、ハルモニアホール完成を祝福して捧げた歌



 タブロスから北に車を2~3時間ほど走らせれば、イベリン王家直轄領にたどり着く。
 心優しき老王が統治する穏やかな土地だ。政治的実権はナイスミドルの皇太子にあり、敏腕に活動している。
 かつてイベリンには国内最大の音楽イベント会場があった。イベリン王立音楽堂、ハルモニアホールだ。ハルモニアホールは20年前の流星融合の際に大きく損壊してしまい、修復作業を進めていた。

「そのハルモニアホールですけど、この5月にとうとう再建が完了するって話ですよ! イベリン出身の昔の音楽家ベーツァルト・シューバッハが音楽の素晴らしさを花にたとえた歌を捧げたことから、ハルモニアホールは花とも縁の深い建物なんです」

 雑誌を手にしながらA.R.O.A.の職員は楽しそうに告げた。タブロスのA.R.O.A.本部で、ウィンクルムと若い女性職員が雑談に興じている。
 音楽堂の完成式典を待ちわびて、イベリンには各地からミュージシャンやそのファンが集まり、賑わいを見せているという。

「ちょうど花の見頃とも時期が重なってますし、5月のイベリンは行楽ムードで盛り上がってるみたいです! 花と音楽かあ。楽しそう! はあ……。私もウィンクルの皆さんみたいに、ステキなお相手がいれば、デートにいきたいところなんですけどね~……」

 ウィンクルムは、ぼやく女性職員に苦笑いを返す。
 タブロスからイベリン領までそう遠くはない。後で足を運んでみようかと、ウィンクルムの二人は思い立った。

 イベリンの街角では、古風な吟遊詩人が手回しオルガンを鳴らし、そうかと思えばアイドル女子グループが公園でプチライブをおこなっていた。
 賑やかで活気にあふれた雰囲気だ。木々の枝葉は若々しい緑に色づき、爽やかな日差しのシャワーが降り注ぐ。よそ風にのって、ふわりと花の香りが届く。
 春のイベリンには、のどかで優しい時間が流れていた。



 花と音楽に彩られたイベリンの日常の影で、オーガを崇める狂信者がひそかに動きはじめる……。
 そう。マントゥール教団が。

 ウィンクルムの清らかな愛の力で瘴気が払われるように、美しい音楽もまたオーガにとって厄介なものだ。
 人々はイベリン王立音楽堂の復興を喜んだが、オーガとそれを支持する者たちには忌々しい事態だった。
 ハルモニアホールが無事に完成すれば、音楽の力で瘴気が払われ、オーガが暴れにくい環境になるだろう。
 教団は一般人を装い、古くから社会に潜伏している。イベリンの貴族階級にも、その邪悪な手が伸ばされていた。

 黒塗りの馬車が通りを進む。中に乗っているのは、喪服に身を包んだ金髪の女性。名はブリアンヌ伯爵夫人という。
 夫を亡くしたばかりだが、伯爵夫人の顔には微笑が浮かべられていた。
 華奢な体格と上品な顔立ち。外見の印象だけならエレガントで優しそうな人物に見えるのだが……、実際は……。

「ウィンクルムにはオーガに対抗する力があると申しますが、顕現していきなり戦いに身をおくのは覚悟がいることでしょうね」

 馬車の窓からウィンクルムらしき人影を見つけた伯爵夫人は、聞こえよがしの独り言をつぶやいた。安全な馬車の中から、外にいるウィンクルムに向けて。

「非力で愚鈍。短慮で浅薄。そんなたかが儚い人の身でありながら、オーガと戦わなければならないのですから。まさに悲惨ですわ。お可哀想な運命! どんなご同情の言葉をかけて良いのか、わかりませんわ」

 ……たしかにオーガと比較した場合、顕現したばかりの神人の身体能力は客観的に見て低いといえるだろう。だが馬車から聞こえてくる言葉は、単なる事実の指摘ではなさそうだ。なんだかドス黒い含みが感じられる。

「それに……手にそんな醜いシミが浮かび上がってくるなんて。お可哀想に。私なら耐えられませんわ」

 くすっ……、と小さく。心底人を小馬鹿にしたような笑い声が、神人の耳に届いた。
 精霊は神人の左手をギュッと握り、それから黒塗りの馬車に鋭い視線を向けた。

 伯爵夫人の命令で、御者が馬を鞭打つ。
 馬が大きくいななき、黒塗りの馬車はその場から去っていく。

「……」



 その頃、イベリンの警察とA.R.O.A.の責任者が会議をおこなっていた。

「音楽堂の再建がまもなく完成する予定なのですが、このところ不審な事件が続いています」

 イベリン警察の話では、工事の関係者がオーガに襲撃されたりと、再建を妨害する動きがあるそうだ。
 オーガが出没したことと、オーガと共に行動する人間がいたことから、警察はマントゥール教団の関与を疑っている。

「これまでの事件を調査したところ、かなりの経済力と人脈を持っているであろう一人の人物が裏で事件に関与しているらしいとわかったのですが、逮捕に踏み込むには具体的な証拠が欠けている状態です。なんとか一連の事件を手引きしている悪党を白日のもとにさらしたいのですが、我々だけでは力及ばず……。そこでぜひ、ウィンクルムとA.R.O.A.の協力を頼みたいのです」

 ハルモニアホールの修復や事件の解決、またイベリンの行楽を盛り上げることに協力してくれたウィンクルム全員を王家主催の立食パーティに招待しようという話がある。
 特に、事件に挑み目覚ましい活躍をしたウィンクルムには、イベリン王族から直接感謝の言葉が贈られることになる予定だ。

「ウィンクルムの活躍を期待していますよ。なかなか尻尾を見せないマントゥール教団の、化けの皮を剥がしてやってください!」


(プロローグ:山内ヤトGM

◆詳細情報◆


・イベリン王家直轄領
タブロスの北方にあるイベリン王家の直轄地。
タブロスからは自動車や電車で2~3時間の距離で、気候としては涼しげな日が多く過ごしやすい頃合いです。
王立音楽堂の再建が近いということで、各地から音楽を愛する人々が集まっています。
花畑でのピクニックや花を見ながら進むサイクリングロードなど、花にまつわるアウトドア系の行楽も盛んです。

・イベリン王立音楽堂 ハルモニアホール
国内最大の音楽イベント会場ですが、20年前の流星融合で大きく損壊してしまいました。
現在は再建途中のため、ウィンクルムの力で警備や楽器の準備が行われていますが、
再建した際には音楽会場として、ジャンルを問わず鑑賞や演奏を楽しむ場として利用される予定です。

・ベーツァルト・シューバッハ
故人。王立音楽堂の設立時に立ち会った、イベリン出身の昔の音楽家です。
イベリン王立音楽堂が初めて完成した時に、花と音楽にまつわる曲を作り王家を祝福しました。
穏やかでのんきな性格ですが、振る舞いが少し変人じみていて、
ちょっと感動するごとに即興曲を仕上げて高らかに歌うクセがありました。

・ブリアンヌ伯爵夫人
マントゥール教団員であり、貴族という立場を悪用して社会を混乱させようと企んでいます。
未亡人であり、彼女の伴侶は不審な死をとげました。
表面的には優雅なマダムですが、笑顔を浮かべたまま皮肉やあてこすりをするような、醜い本性の持ち主です。
悪知恵は働きますが、根拠の無い自信や慢心などから、ボロを出すこともあります。



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