キャンペーン情報

6月イベント『ウェディング・ラブ・ハーモニー』関連エピソード情報


(水海碧 イラストレーター)


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◆関連エピソードプロローグ◆



 タブロスの北にあるイベリン王家直轄領。
 つい先日、その地でイベリン王立音楽堂ハルモニアホールの再建が完了した。
 完成式典の前後は国中の音楽家や演出家が集い、小さな催しから大きな催しまで様々なものが開かれ、それを見に来る人も押し寄せ、文字通り花と音楽に溢れた日々が続いていた。


●人の思惑
「まぁ以前からお伝えしている通り、今年一年はお祭ですよ」
 そう言ったのはとある催しの管理運営担当者で、聞いていたのはイベリン王家直轄領内の様々な施設や店の責任者達。
 ここはハルモニアホール内にある大会議室。
「というわけで、皆さん、用意は出来てますね?」
 ハルモニアホールの担当者が壇上で問えば、各責任者達が笑いながら「出来てるぞ!」「任せてください」と返す。
「では盛り上げていきましょう! 幸せな恋愛を! 幸せな結婚を! 是非ともこのイベリンで!!」
 そう、完成式典を無事に終えたイベリンでは、来るウェディングシーズンに結婚と恋愛に関するイベントやキャンペーンでまた盛り上がろうと企画していたのだ。
「さぁ皆さんご一緒に! 恋を見つけるならー?」
「「「イベリンでー!」」」
「愛を誓うならー?」
「「「イベリンでー!」」」
「ありがとうございます!!」


●神の祝福
「イベリンで、結婚と恋愛に関する催しがあるそうですね」
 そう言ったのは『初恋宮』の新任神、甕星香々屋姫(みかぼしかがやひめ)で、聞いていたのは紅月ノ神社の宮司であり妖狐一族の長であるテンコ。
 ここは紅月ノ神社の一角、妖狐達のお気楽極楽な寄合所。
「確かにその話はここにも届いておりますが、それがどうされたのでしょう?」
 突然の神の来訪とその発言内容に、テンコは動揺しながらも応対する。
『初恋宮』に着任した小さな女神は、とても勉強熱心で、地上の事も良く調べてきて、しかしその内容はどこかずれていた。
 ―――『地上の恋愛は破廉恥です!!』
 そう言ってテンコを巻き込み、『人間界風紀粛清大作戦』と称してデート会場を塞ぎ、恋人やウィンクルムの様子を見張っていたのが今年の初め。
 けれど、小さな女神は気付く。
 いや、気付かされたのだ。他ならぬウィンクルム達に。
 自分の思っていた地上の恋愛と、実際の地上の恋愛は別物なのではないか、と。
 だからこそ『人間界風紀粛清大作戦』は早々に中止し、けれど今日この日までじっと見守ってきていた。
 特に愛の絆により成立しているウィンクルム達を。
 ショコランドにおける活躍、ギルティガルテンの調査、オルロック・オーガ被害の救済……。
 そうして出した結論は。
「初恋を司る神として、僅かながら祝福しようと思います」

 人間、無罪。

「甕星香々屋姫様……ッ!」
 テンコは小さな女神の成長に感涙する。
「そうですね、イベリンと言えば花と音楽、それらに心が素直になる力を授けましょう」
「素晴らしいですね!」
「破廉恥ではない素晴らしい恋を育んでいただきたいものです」
「その通りですね!」
 まだ言うか、とは口にせず、テンコはこの祝福をイベリンに伝えるべく動き出した。


●街の高揚
 イベリンに少し不思議な花と音楽が溢れる事となる。
 花々はいつもよりも長く咲き続け、夜になれば、または雨に、いや、水に濡れればぼんやりと光を灯す。
 流れる音楽は録音されたものでも生演奏のものでも、聴く者を決して不快にはしない。
 また不思議なことに、どちらも人々の心を開き、一歩踏み出す勇気を与えることもあるらしい。
「いやぁ、ありがたいです! 必ず成功させてみせますよ!」
 にこにこと笑顔でイベリンの人達が言う。

 かくして、イベリンで『ウェディング・ラブ・ハーモニー』が開催される事となった。


●オーガの暗躍
 そこが何処にある城なのかはわからない。
 柱にこっそりと隠れてる三人の青年の視線の先には、何枚もの絵をぺたぺたと壁に貼る城の主である青年の姿。
 どうやら絵は全て手描きの様で、お世辞にも上手いとは言えない。かろうじて人の姿だという事がわかるくらいのものだ。
「……人? の絵か?」
「多分、人?」
「いや、精霊かも?」
 沢山の絵を貼る青年は、ぴたりとその作業を止め、じっと絵を見つめる。
 苦しそうに顔を歪め、そして切なそうに溜息をつく。ふるふると首を振りながら。
 三人の青年は顔を見合わせる。
 絵を貼る青年は美しく、悩ましげなその所作は麗しい。
 人であれば、それはまさに絵になる『恋に悩む美青年』と言ったところか。
「いやいやいやいや!」
「え、だって、でも多分!」
「まさか、ボッカ様が、こ、恋なんて?!」
 そう、絵を貼っている青年は人ではなく、オーガ。
 しかもギルティの『イヌティリ・ボッカ』で、ボッカを見守る三人はデミ・ギルティだった。
 オーガとは、オーガ以外の生き物全てへの憎悪が根底にあり、見境なく人畜を襲っては魂を喰らう生き物。
 それは例え上位種のギルティであっても変わらない筈だが。
「でもあれどう考えても恋する乙女だよ! いや、乙男だよ!」
 デミ・ギルティ達に衝撃が走り続ける。目の前の光景が信じがたい。けれど現実だ。
 現実ならば、どうするか。
「…………攫ってくるか!」
 自分達には恋などわからない。けれど、ギルティであるボッカが求めているならば。
 こうして三人は行動に移す。
 特徴を一切捉えていない絵を頼りに、ボッカの想い人を見つけ出してボッカに差し出す為に。
「我らボッカ様親衛隊!」
「ボッカ様の為なら例え火の中水の中!」
「あ、俺ねぇ!」
 青年の一人が元気よく微笑む。それはどこか馬鹿にしたような歪んだ笑み。
「これから人と精霊が沢山集まるって場所、教えてもらったんだ!」

 ほどなくして、オーガが人や精霊を攫う事件がイベリンで頻発する。


●A.R.O.A.の決定
 音楽堂再建に助力したとあって、今回の『ウェディング・ラブ・ハーモニー』にも是非ウィンクルムに遊びに来て欲しい、とA.R.O.A.はイベリン側からの招待を受けていた。
 イベリン側の意図は、あくまで感謝と慰労だったが、勃発したオーガによる誘拐事件がA.R.O.A.を悩ませた。
「イベリンを中心にオーガによる拉致は起きているんだ。討伐任務としてウィンクルムを多く派遣すべきだろう」
「ですがオーガ被害はイベリンばかりではありません。正規ウィンクルムの派遣だけで充分では?」
「今頻発してるのはイベリンだ。大量のオーガが接触しているのだから、全ウィンクルムを遊ばせずに討伐に専念させるべきだ」
「待って下さい、本当に大量のオーガが接触しているのですか? 数匹のオーガが動き続けてるだけでは? 一体どこから大量のオーガという情報を得たのです」
「何故そんなにも腰を重くする? これだけ頻繁に起こっているなら大量のオーガと見て間違いないだろうが! オーガなどすぐにでも打ち倒すべきだ!」
「ちょっと落ち着いてください! 落ち着いて!」
 最近の活性化しているオーガの動きのせいで、A.R.O.A.全体がピリピリと緊張した空気になっている。
 慎重派、穏健派、強硬派、様々な意見が会議でぶつかり合い、そうして出た結論は。

「では、正規ウィンクルムは一定数派遣、それ以外のウィンクルムに関してはイベリン側の招待を告知、その上でイベリンに向かう者には討伐依頼がある可能性を通知します」


(プロローグ:青ネコGM

◆NPC情報◆


(キーコ イラストレーター) テンコ様
神社の宮司にして妖狐一族の長でもある子狐
先代が早世したため長を継いだ、黒髪おかっぱ頭の今年8才の少年
完全にお飾りだが、重要な会議やA.R.O.A.に、妖狐の代表・香々屋姫の補佐役として姿を見せる
変身の術が未熟で、しっぽも耳も出っぱなしで、引っ込められない
甕星香々屋姫
天界の「初恋宮」(はつこいぐう)に新しく新任した女神様
銀縁眼鏡の奥に見えるきりっとした眼が印象的な、和風人形のような10才の少女
お勉強が出来て几帳面、自称「天界の風紀委員」
地上の恋愛は破廉恥だと思い込んでいたが、そんな事は無いと気付いてイベリンを祝福した
イヌティリ・ボッカ
オーガ上位種のギルティ
過去に何度かウィンクルムと対決している敵。なにやらおかしな様子を見せているようですが……?
スガート
ボッカ様親衛隊隊員その1、デミ・ギルティ
長い深緑髪で角が一本、中性的な美青年。曖昧な言い方が多く口癖は「多分」
デクニー
ボッカ様親衛隊隊員その2、デミ・ギルティ
短い赤髪で角が二本、たくましい体つきのイケメン。あまり深く考えない所謂『脳筋』タイプ
セン
ボッカ様親衛隊隊員その3、デミ・ギルティ
ゆるふわの水色ボブで角が三本、美少女にしか見えない青年。
普段は可愛らしく喋るが、手下のオーガや人間・精霊には辛辣


◆詳細情報◆



・イベリン王家直轄領
タブロスの北方にあるイベリン王家の直轄地。
タブロスからは自動車や電車で2~3時間の距離で、気候としては涼しげな日が多く過ごしやすい頃合いですが、そろそろ雨季に入ります。
王立音楽堂の再建で各地から集まった音楽家は、まだまだ残る人が多いようです。
花畑でのピクニックや花を見ながら進むサイクリングロードなど、花にまつわるアウトドア系の行楽も盛んです。

・イベリン王立音楽堂 ハルモニアホール
国内最大の音楽イベント会場ですが、20年前の流星融合で大きく損壊してしまいました。
つい先日、ウィンクルムの助力もあり、無事に工事がおわり、完成式典も華やかに行われました。

・イヌティリ・ボッカ
オーガ上位種のギルティで、過去に何度かウィンクルムと対決している敵です。
なにやらおかしな様子を見せているようですが……?

・ボッカ様親衛隊(自称)
デミ・ギルティの三人(スガート、デクニー、セン)で構成されています。
強くて調子のいいボッカに従ってるちょっとお馬鹿な三人ですが、力は当然強いです。
詳細はNPC情報をご確認ください。

・祝福された花
夜になると光ります。ただし、昼間に暗闇の中に持って行っても光りません。
もしくは、雨(水)に濡れると光ります。
花によっては、見ていると、香りを嗅ぐと、触れると、花を使った料理を口にすると、
自分の気持ちを素直に伝えたくなるものもあるようです。
伝えたい! という気持ちが強くなるだけで、絶対に伝えるわけではありません。

・祝福された音楽
イベリンで流れる音楽すべて、生演奏であろうとそうでなかろうと、心地よく聴こえます。
普段音楽が嫌いな人でも、嫌いなジャンルの音楽でも、すべて心地よく聴こえます。
音楽によっては、聴き続けると、奏でていると、歌っていると、
自分の気持ちのままに行動したくなることがあるようです。
行動したい! という気持ちが強くなるだけで、絶対に行動するわけではありません。



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