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◆関連エピソードプロローグ◆



●前夜祭
 静寂。
 明日から始まる祭典のために飾り付けられた街は、驚くほど静かだった。
 先程まで「前夜祭だ」と騒いでいた者たちも帰路に着き、英気を養っている頃だろう。

 そんな時刻だというのに、人影がゆらりと動く。
 影は、タブロス中心部にあるハト公園、その広場にいた。
 本番となれば様々な催しが行わられるであろうそこには、この祭りの象徴である『ジャックオーランタン』が大小様々に積まれている。
 人影はその内の一つをゆるりと撫ぜると、おもむろに細い手を掲げた。

 ぱちん、とその指が弾かれる。
 一瞬、静寂を切り裂いたその音は、広場に、公園に、タブロスに響き染み込んでいくように思えた。
 そして人影は、満足したように笑みを浮かべると、闇へと沈むように姿を消した。

 再び無音。嵐の前の静けさ。
 ジャックオーランタンだけが、訳知り顔で笑っている。

●ハロウィンの起源
 この『ハロウィン』は、世界を清め、魔を鎮めるためのお祭りである。

 毎年この時期になると魔が強まり、『黄昏世界』に潜むというオーガ、『トラオム・オーガ』が緩んだ境界を乗り越え、こちらの世界へ溢れ出す。
 被害は甚大だったそうだ。

 それを何とかするべく提唱されたのが、世界を祭事で清め魔を鎮めること。
 その祭事というのがもちろん、現在催されているハロウィンである。

 しかし悲しいかな、そのような真意は時代とともに廃れてしまっていた。
 ほとんどの人はハロウィンを『仮装してお菓子を貰う祭り』や『カボチャ料理を楽しむ祭り』としか思っていないだろう。
 祭りに込められた想いを知るのは、余程の物好きか、我々A.R.O.A.ぐらいだ。

「つまりは魔を鎮めるためなので、これもお仕事のうちです」
 カボチャのパイを片手に持ちながら、仮装に身を包むA.R.O.A.職員は胸を張って祭りを巡っていた。
 そんな彼は公園の広場で人ごみを見つける。
「この時間イベントやってましたっけ? そんな予定はなかったはずですが……」
 視線を人ごみの奥へと向け、彼が目にしたのは、
「……ここのランタン、こんなに大きかったですかね?」
 直径10m以上はあろうかというジャックオーランタンの姿だった。

●トリック・アンド・ナイトメア
 お化けに仮装した子供たち(時々大人も混じっている)が、道行く人に呪文を唱える。
「トリック・オア・トリート!」
 お菓子をくれなきゃいたずらするぞ。
 そんな意味の魔法の言葉。
 相手は「いたずらされてはたまらない」と笑ってお菓子を渡す。
 そして可愛らしいお化けたちも満面の笑みを浮かべて去っていく。
 その笑顔が世界を清め、平穏をもたらしているとは知らずに。

 しかし、今年は違うのだ。

「トリック・オア・トリート」

 先ほどお菓子を配っていた女性がその声に振り向くと、絵本を抱えた子供がいた。
 黒いマントに、邪悪な顔つきのカボチャ頭。
 ハロウィンでもっとも有名であろう仮装をした子供だ。

 彼女は手馴れたようにお菓子を用意し、その子に手渡す。
 そして子供は嬉しそうに笑い、ありがとうと去っていく。
 はずだった。

「▲X●?♪!!」

 ひび割れたように弧を描く口元から飛び出したのは、奇怪な音だった。
 耳を引き裂き、鼓膜を突き破るような、そんな音。

 まさか、これは笑い声だろうか、礼の言葉なのだろうか。
 そんなはずがない。
 だって、さっきの子供たちとはあまりにも似ても似つかない。
 お化けなんて可愛らしいものではない。
 化物だ。

 そんなことを思いながら彼女はその場に倒れ伏す。
 その傍に化物の姿はなく、抱えていた絵本だけが落ちていた。

 魔が溢れ出す。

●ハロウィンパーティ
「緊急事態です」
 立入禁止となった広場へ集められたウィンクルム達。
 A.R.O.A.職員は彼らの前に現れるやいなやそう告げた。
 彼はそのままの勢いでまくしたてるように概要を話し始めた。

「ハロウィンで抑えられていたはずのトラオム・オーガが現れました。
 すでに多くの人が眠ったまま目を覚ましません。
 そして眠る彼らは、あのカボチャの化物の成長に合わせるように、衰弱しています。
 関連性がある、とみて間違いないでしょう。
 皆さんには、彼らの衰弱を止めるため、ひいては化物の成長を止めるため、夢の中へと向かってもらいます」

 職員はそこで言葉を区切ると一冊の童話の絵本を取り出した。

「これは被害者の傍に落ちていた絵本です。
 技術班の慎重かつ大胆な解析の結果、
 『描かれた内容の夢を見せる』『その夢の中へ転移する』
 という2つの術が施されているのが判明しました。
 これを使いトラオム・オーガの後を追ってください。

 あのカボチャの化物が成長しきった時、何が起こるかわかりません……。
 早期の解決をお願いいたします」

 その言葉を受け、ならば早速とウィンクルム達は絵本に手を伸ばす。
 しかし職員がそれに待ったをかけた。
 怪訝な顔をするウィンクルム達にハロウィンの起源が語られた。

 改めてウィンクルムに告げられた、指令は2つ。
『眠り人の救出によるカボチャの成長阻害』と『ハロウィンを盛り上げ魔の力の抑制』
 今度の祭りも忙しくなりそうだ。


◆関連エピソードエピローグ◆



●お祭り委員長キルト
 A.R.O.A.ビルにはいくつか予備室が存在しているが、ここ一月ほどはむしろ部屋不足になやまされていた。
 すべて、強力なオーガの出現が原因であった。強力なオーガ出現によりハロウィン委員会が求めた複数の対策室が設けられ、職員たちは連日走り回っていた。
「面白いけど、その格好はちょっと身内ネタ過ぎないかな?」
「なるほど! さっそく着替えてきます!」
 対策室では、ハロウィンを盛り上げる為に毎日仮装して職員たちが出勤してきていた。委員長のキルトもカボチャの被り物をかぶっていた。
「キルトさん! 街の住人からハロウィン祭りは飽きた、うるさいとの苦情がきてます!」
「その人は男? だったらカボチャパンツ祭りを開催予定って伝えといてー」
「なるほど男ならそれで納得しますね。了解です!」
「こっちは主婦から悪戯のせいで洗濯物が汚れたという苦情が!」
「誰かイケメンの人に謝りに行ってもらおうかー。『あ、申し訳ありません、お詫びの品を忘れてしまいました……悪戯、されます?』とかそういうのが得意な人がいいかな!」
「では僕が行ってきます!」
「冗談がうまいね!」
 一月もハロウィン祭りをいたるところで開催しているため、苦情対応、マンネリ防止の企画会議などで職員たちは常にナチュラルハイになっていた。
 ハト公園の巨大ジャックオーランタンが120メートル近くに成長している現状では、そのテンションでの職務遂行も致し方なしを見られていた。
「ふっふっふ……次はどんな祭りを開催してちゃおうかなぁ」
「……委員長、その必要はないかもしれません」
「え?」
 気づけば、多くの職員たちが窓に集まっている。
 ハト公園のある方向だった。

●目覚め
 連日祭りを行っていながら、多くの街の活気はなかなか衰えなかった。
 ウィンクルム達の活躍で、夢から目覚めた人が日々増えていったからである。
 ハークト・ラインケル少年もその一人であった。
 抱きつく両親をハークトは引き離した。夢の内容を語りたくてしょうがないらしい。目を輝かせながら、身振り手振りを付けてハークトは素敵な夢を両親に伝えた。
「そしたらね、女の人が男の人のほっぺにチューしたんだよ! そうしたらね! 男の人は力がすごくなって、敵を倒したんだ!」
 両親はハークトの話を真剣に聞いた。ハークトの話す内容はそのまま、恩人であるウィンクルムの活躍であることなのだと思っていた。
「お姫様が眠っていてね。悪い魔女のせいで起きられなくなっちゃったんだって。可哀想っていったら、男の人の一人が、『少年、眠り姫はこうやって起こすんだよ』って、女の人の手を掴んでからお手本見せてくれたの!」
「……そ、そうなのかい?」
「うん!」
 教育的にはどうなのだろうと考えてしまった両親だが、しょうがないしょうがない。
「それでね、僕がお姫様にチューしたらお姫様は目を覚ますんだ! お姫様が目を覚ましたら、悪い魔女も消えてっちゃった!」
「いい夢を見れたんだね。ハークト、外ではハロウィンをやってるんだ。せっかく起きたのだから、見に行かないか?」
 ハークトは行くと返事をして、両親よりも先に家を飛び出した。両親が追いつくと、ハークトは空を見上げていた。
「パパ、ママ、空からなにか降ってくるよ?」

●降り注ぐもの
 120メートルの巨大なジャックオーランタンが膨張し、破裂したとき、それをA.R.O.A.のビルから見守っていた多くの職員は絶望した。
 あれだけの陽気さとテンションを保っていたハロウィン委員会のキルトですら、目を瞑ってしまった。
「キルトさん!」
「委員長!」
「……僕達は――」
「お菓子が降ってます!」
「――負けた……え?」
 キルトはカボチャの被り物を取り、外を眺めた。
「……お菓子、降ってるね」
「確認しに行きましょう!」
 消失した巨大なジャックオーランタンと、降り積もる大量のお菓子。事情を確認するために動いた職員たちがハト公園にたどり着くまでには、A.R.O.A.ビルの正面玄関を埋めてしまったお菓子を取り除いてからとなった。

●祭りの余韻
 タブロス市内の書店店員は忙しさに追われていた。どういうことなのか、ハロウィン終了から絵本を欲しがる人が急増し売り上げが倍以上になっていたのだ。
 この書店では、あまりの忙しさに昼食時間は営業を停止するほどであった。
「祭りなんていい加減飽きたもんだと思ってましたが、終わっちまうと寂しいもんですね」
「息子は楽しんでるよ。街を探せば回収し切れなかったお菓子がそこらじゅうに落ちてるってさ」
 巨大なジャックオーランタンが破裂したときに撒き散らしたものは、大量のお菓子であった。子供は喜んだが、大人はそうでもなかった。破裂から数日が経ったいまでも回収は終わっていない。
「まあでも、一月続いた祭りの締めくくりには、インパクトがありましたよ」
「まあな。しかし、今日はちょっと客が少ないな」
「予報では、曇りのちメロンソーダです」
「ああ、なるほどな」
 街のお菓子がなくなり、ジュースの雨が降らなくなったころ、人々はようやくハロウィン気分が抜け始めた。
 しかし、夢を見せられた人々は絵本をめくっては、ハロウィンの夜に見た素敵な夢を思い出していた。


◆NPC情報◆


●ハロウィン委員会 A.R.O.A.部署の1つ。ハロウィンを盛り上げ、無事成功させるのが使命。職務に忠実だが、悪戯好きが多い。

キルト
曲者ぞろいのハロウィン委員会を束ねる委員長である青年。
ハロウィンについての造詣が深く、A.R.O.A.内で一番詳しい。
20をとうに過ぎても変わらぬ低身長と童顔が悩みだが、
パーティに混じっても違和感がないので、その辺は得だと思っている。


◆エピソード情報◆


キルト
みなさん、今回サポートを務めさせていただくハロウィン委員会委員長のキルトです。
毎年恒例のハロウィンが今年も開催されましたが、緊急事態です。

ひとつは、ハロウィンパーティの警備中、僕が発見した成長する『巨大ジャックオーランタン』。

もうひとつは、『トラオム・オーガ』の発生による『眠ったまま目覚めない人たち』。

この2つは関連性が有り、巨大ジャックオーランタンは眠ったままの人から養分を吸い上げています。
このままでは、眠ったままの人は弱りきり、最悪の事態を招くことになるでしょう。
巨大ジャックオーランタンも、成長しきった時何が起きるかはわかりませんが、
きっとタブロスは壊滅的な被害を被ることでしょう。

そこでみなさんにやっていただきたいことは2つ。

『眠り続ける人たちを救出し巨大ジャックオーランタンの成長を阻害すること』

『ハロウィンを盛り上げて魔の力を抑制すること』

この2点になります。


事件発生を未然に防げず、ハロウィンを楽しんでいる最中だというのに、申し訳ありません……。
ですが、みなさんのお力が必要なのです、何卒宜しくお願いいたします。

では僕は、お祭りを盛り上げに……すいません、冗談です。
ハロウィン委員会総力をあげ、全力でサポートさせていただきます。


◆ハロウィン事件の詳細◆

■『ハロウィン』
 ハロウィンは10月いっぱい続く大きなお祭りです。
 10月はオーガをはじめとして闇の怪物たちの力が強まる月で、ハロウィンには魔を鎮める効果があります。
 お祭りに参加することで世界は清められ、闇の怪物たちは勢いを失っていくのです。

 ハロウィン仮装パーティへの参加でも、ハロウィンで飾られてた喫茶店でのデートでも、ハロウィングッズの買い物でも、そのパワーがあります。
 もちろん、自分たちでイベントなどを行えばより強いパワーで魔を押さえ込むことができます。

■『黄昏世界』
 この世界の影に存在する世界の一部。
 常に夕闇に染まる場所で、トラオム・オーガが多数生息しています。
 過去には強まる魔の力により世界の境界が緩み、活発になったオーガが餌を求め侵攻してきていたようです。
 
 しかし、こちらの世界と直接的な繋がりはないことと、ハロウィンの抑制力による永きにわたる平穏によって、現在では噂話の一つに過ぎないと考えられていました。

■『巨大ジャックオーランタン』
 鳩公園に突如として現れた巨大なカボチャランタン。

 最初は、お祭りのオブジュかなにかだと思われていましたが、調査の結果『休眠状態のオーガ』であることが判明しました。
 どんな攻撃も、表面を覆うバリアのようなものに阻まれて、傷一つ付きません。
 この怪物は、普通の方法では倒せないそうです。
 
 ハロウィンを楽しみ、お祭りを盛り上げると、魔が抑えられその速度が抑えられます。

■『トラオム・オーガ』
 『黄昏世界』に潜むという夢専門のオーガの種類名称。
 その多くはカボチャなどがデミ・オーガ化したもののようです。

 夢の外では、それほど強力な個体ではありませんが、夢の中へ入ると、夢の中の登場人物などに成きることで、それらの特殊能力を使うことができ、厄介です。

■『眠り続ける人』
 トラオム・オーガにより夢を見続けているの人たち。

 目覚めさせる方法は2つ。
 1つは、夢の中のトラオム・オーガを見つけ出して倒すこと。
 もう1つは、お話自体をハッピーエンドで終わらせてしまうことです。



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